NON-FICTION ... ノンフィクション


「さあノンフィクションを書こう」と意気込んで書いたことは、実は一度もない。ちょっと格好が良過ぎるかもしれないが、雑文を書き連ねているうち、どうやらそれが「ノンフィクション」というジャンルだったことが後に分かる。だが、皮肉なことに結果が最も良かったのは、このノンフィクションだった。最も大きな賞に輝いたのも現時点ではこのジャンルである。
 大学3〜4年の2年間、ある地方紙でモニターとして若者むけの記事の類いを書いた経験があり、その蓄積が時を経て活きているのかもしれない。

「事実を自分の目で書く」というのがノンフィクションの基本だが、取材は苦手で、こちらももっぱら自分と家族を題材にした、いわば「プライベート・ノンフィクション」とでも呼ぶべき代物である。
 私にとって詩とエッセイ、エッセイと小説に明確な境界がないのと同様に、小説とノンフィクションにも実は明確な差はない。おそらく私の文学世界は、すべてがぼんやりとした不連続線でつながっているようだ。
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本音で暮らす手作りハウス/670枚・成人向け
 平成大不況の嵐が吹き荒れるまっただ中、土地もカネも仕事すらも満足にない万年かけ出し建築家の男が一念発起し、一戸建て住宅移住計画を決意した。
 見栄やお体裁をかなぐり捨て、勇気と知恵を振り絞ってついには願いを叶えた執念の物語。単なる家造りの記録であるばかりなく、モノやカネに重きを置くいまの世の中に対する、誇り高く貧しき男の果敢なる挑戦の記録でもある。
 純粋な一般ユーザーでもなく、さりとて経験豊富なプロ建築家でもない中間的位置、いわば四十五度の斜の視点から捕らえたユニークな家造りの手法は、市場を賑わすカタログハウスではちょっと飽き足らないあなた、そして土地もカネも仕事もなくて家造りをすっかり諦めているあなたに、少しばかりの夢と希望と勇気を与えるに違いない。


親馬鹿サッカー奮戦記/354枚・中学生以上
「父さん、サッカーやろうよ」
 幼稚園に通う息子の何気ない一言からサッカーにのめり込み、ついにはサッカーコーチまで引き受けてしまう羽目になったスポーツ音痴の父。やがて、サッカーは父と息子にとって、かけがいのない物になってゆく。
 サッカーを通した父子の濃密な関係を切々と描き、日本中のサッカーファンを熱い感動の渦に巻き込んだ作者の自伝作品。単なるスポーツ物としてばかりでなく、子育て奮闘記としても楽しめる。
(第20回北海道ノンフィクション大賞受賞作)


脱サラSOHO日誌〜人生は二度ある/390枚・高校生以上
「こんな会社辞めてやる!」
 25歳の秋、理不尽な会社のやり方に憤り、固く心に誓ってからそれを実行に移すまでには、それから7年の歳月が必要だった。だが、充分に準備したはずの脱サラには、予想を超える数々の障害が待ち受けていた…。
 自宅を拠点にした30年に及ぶ苦難と波乱の脱サラSOHO物語を、時には甘く、時にはせつなくてやっかいな家族との濃密な関わりを通して克明に描く。


さすらい…3000キロ/200枚・中学生以上
 人生への畏怖、夢、憧れ、そんなものをただひたすら全身で感じとり、確かめてみたかった。それは旅というより、人生行脚に近いものだった。旅の途中で若き日の私が見たものは、いったい何だったのか?
 20歳の夏に企てた、3000キロに及ぶ単独自転車放浪旅行記。私の生き方を決定づけた青春の人生旅紀行が、時空を越えていまよみがえる。


素敵にオカルト/1編8〜17枚・老若男女
 作者が直接見聞きした数々の霊的体験を語り継ぐ。