若きころ、単独自転車放浪旅行を企てたことが三度あります。一度目は16歳の夏、二度目は20歳の夏、三度目は22歳の夏でした。
人生への畏怖、夢、憧れ、そんなものをただひたすら全身で感じとり、確かめてみたかった。それは旅というより、人生行脚に近いものでした。
旅の途中で若き日の私が見たものは、いったい何だったのでしょう?人生の折り返し点を過ぎたいま、それを振り返ってみて自分の足元を見つめ直してみるのも、悪くはありません。自分の生き方を決定づけた青春の人生旅紀行が、時空を越えていまよみがえります。
=CONTENTS=第1話/東京〜磐田『猛暑に打ちのめされた東海道』
第2話/伊良湖岬〜和歌山『美しき伊勢路を青息吐息』
第3話/小松島〜八幡浜『仏の功徳?巡礼四国の遍路道』
第4話/臼杵〜桜島『東九州人情港で無償の愛を知る』
第5話/鹿児島〜福岡『西九州巨大台風で九死に一生』
第6話/下関〜鳥取『絶勝山陰道は胸突き八丁』
第7話/高浜〜武生『初秋の北陸路へ涙のゴール!』
〜30年目のエピローグ
今回の紀行文は20歳の夏に書かれたものをベースにし、旅日記には書かれていない当時の心境やエピソードを、現在の視点で加筆しています。当時の息遣いのようなものを正確に伝えるため、本文には手を加えていません。(1999.9 記す)