昭和46年7月‥‥ 1971.7 菊地 友則昭和46年7月、僕の青春は終わった
僕のために残された最後の曳航綱も
ぷっつりと切れたいま真っ青な空と疲れた僕との間に
薄汚れた過去だけが
ダラリと垂れ下がっている
「お前は運の悪いヤツだ」
と言った誰かの言葉を思いだし
「そんなものか‥‥」
と海辺の砂を見つめていると
「そうさ、そうさ」
と打ち寄せる波だけが応え
「まあいいよ、アイツも許してやるさ」
と重い腰をあげる年老いた僕
ギラギラの熱い夏の太陽が
白い砂の上を舐め回し
午後の海辺のざわめきが
遠い残響となって響きわたるなにもかもが気怠い、昭和46年7月
アイツに僕の青春を捧げた
屈辱の夏‥‥
(この作品は1992年冬・MSXフェスティバルに入選しました)