縄文の日々をめざして


 
シンプルPA.... 2005/秋



 都心の喧噪の中での青空ライブをやることになり、それまで静かな郊外の公園が中心だった青空ライブと同じやり方で果たしてよいのか、ふと不安になった。
 これまでPA(音響設備)を使った青空ライブの経験は一度もなく、すべて生ギターと肉声だけでやってきた。だが今回の場所は札幌のど真ん中にある旧北海道庁、通称「赤レンガ」の前庭で、周囲を取り巻く道路の交通量も多く、かなりの騒音である。

 最近、自分の歌の持ち味は聴き手の心にそっとささやきかけ、何気なく忍び寄るところにあると次第に気づきつつあり、その意味でも今回は何らかの形でPAを使った青空ライブにしたいと思った。
 最大の問題は演奏場所に電源の用意が全くないことだった。単に軽いPAを用意するだけではダメで、電池かバッテリーなど、なるべく長く使える可搬式の電源が使えることが必須条件だった。

 参考までに、私が普段PAを屋内施設などに持込んでライブをやるときのシステムを簡単に書いてみる。

普通のMDコンポ:
 セパレート形、合計出力40W、AUX端子つき
簡易ミキサー:
 2電源方式(単4電池4本)、ライン入力5本

 MDコンポのAUX端子と簡易ミキサーの出力端子とをケーブルでつなぎ、簡易ミキサーにマイクとエレアコのシールドケーブルをつなぐ。簡易ミキサーはライン入力や出力毎にボリューム等を設定出来るので、外でも室内でもこのシステムでほとんど支障ない。MDコンポなので、簡単に高音質の同時録音がとれ、非常に便利な手法だった。
 外でやるときの聴こえる範囲は、およそ半径20メートル前後。これだけあれば50人は軽く聴けるので、100V電源さえあればいいのだが、今回はそれがない。そこで私が考えたのは、以下のような対策だった。

1)あくまで既存のシステムを活かし、可搬式の100V電源を調達する。
2)電池かバッテリー等で作動する全く新しいPA機材を購入する。
3)手持ちのラジカセを利用し、お金をなるべくかけない簡易なPAシステムを新たに作る。

 1)には自動車用の12Vバッテリーと充電器、12Vを100Vに変換するインバーターを買えばよいことは分かったが、合計価格が最低でも2万円近く。バッテリーのメンテナンスや機材の重さも気になり、候補から脱落した。
 2)はいろいろ探すと使えそうなものが結構見つかった。「ミキサーがつなげる」「なるべく軽い」「なるべく大出力」「電池が長持ち」「安い」これらのキーワードにすべて適合する製品がひとつだけあり、実は一度は注文した。

YAMAHAミニアンプ/ AA5

 実勢価格は1万円前後。出力は合計4Wだが、青空ライブで半径10メートル以内をターゲットにするなら、これで充分のようにも思えた。しかし、いったん注文しながら結局キャンセルしたわけは、価格が安くて送料が無料だったamazonでは、納期が1ケ月以上かかることが分かったからである。これでは最初のライブに間に合わない。
(2005.10にもう一度調べ直してみると、中古なら2〜3日で入手可能のようである)

 最終的に私が選択したのは、3)の手持ち機材をやり繰りした安価なシステムの構築だった。以下、このシステムの構成を詳しく書く。
 必要な機材は以下の通り。

普通の一体型ラジカセ:
 単1電池8本で作動、合計出力は5W前後と思われる(説明書紛失のため、詳細不明)
 もしもこのラジカセにAUX端子があれば、屋内と同様に簡易ミキサーを直接つないでやれば、そのまま機能する。その場合、下記のFMトランスミッタ−は不要となるが、AUX端子付のラジカセは、中古を探しても入手不可能だった。

FMトランスミッタ−:
 TARGUS/AET01AP (amazonで送料込4,035円)
 単4電池1本で作動(作動時間不明だが、現在4時間作動)

ピンジャック〜ミニジャック変換プラグ(手持ち品を利用)

簡易ミキサー:
 2電源方式、単3アルカリ電池4本で60時間作動、ライン入力5本、出力2本
 オーディオテクニカ/AT-PMX5P(実勢価格9,000円前後)

 ミキサーの左上から出ているのがマイクとエレアコ用のケーブル。その右にFMトランスミッタ−を変換プラグを介してつないでいる。ここから電波を右のラジカセに飛ばす。この位置で電波状態がベストだった。周波数は92KHzに設定。

 簡易ミキサーのライン出力側片方にピンジャック〜ミニジャック変換プラグを介し、FMトランスミッタ−をつなぐ。簡易ミキサーのヘッドホン端子にもつないでみたが、ライン出力側のほうがはるかに安定する。
 簡易ミキサーはライブで常時使っていたため、手持ち品でやり繰り出来た。ライン入力が4本あり、それぞれにゲインが調整出来るようになっているので、これひとつでたとえばマイク2本、エレアコ2本をつなげる。大変重宝するので、ぜひそろえたい。

 買ったのは結局FMトランスミッタ−だけだが、ネット通販で買う場合は送料が大きなネックとなる。つまり、「本体価格+送料」がコストとしての評価なのだ。なるべく安いサイトを探したい。
 FMトランスミッタ−は、最近人気のMP3プレーヤーを車の中で聴くためのアイテムとして非常に種類が多いが、大半が電源を車のシガーライターからとるタイプで、路上ライブには使えない。電池で作動するタイプは非常に少ないが、ボタン電池でよいなら、もっと安いものもある。

オーディオテクニカ/AT-FMT4(実勢価格2,000円前後)

 TARGUSの製品に決めた理由は、短いケーブルがついていて、電波に合わせた向きの変更がしやすいこと。適合周波数が88〜108MHzで、事前に調べた札幌都心の地域FM局と混信する可能性が全くないことからだった。

 室内でのテスト段階ではうまく機能していたが、本番直前になって突然機能しなくなった。スイッチは確かに入っているのに、ラジカセ側の受信を示すステレオランプが点灯せず、音が全く出ない。そんなバカなとあせったが、試しに電池を新品のアルカリ電池に交換してやると、何ら問題なくなった。しかし、予備電池の携帯は必須だろう。
 音質としては、音を電波で飛ばしている関係で、多少のノイズはある。しかし、実際に現地で2度聴いた妻の感想としては、音質音量とも全く問題ないとの報告である。
(ギターがやかまし過ぎるとの話が当初あり、いまはかなり音を絞っている)

 私がこの簡易PAのシステムを決意した最大の理由は、ずばりコストである。(何せこのコーナーは「縄文生活」がうたい文句である)唯一買ったFMトランスミッタ−は、たまたまamazonのギフト券が2,000円分あり、実質持出しは2,000円だった。
 就職した息子が置いていったラジカセが古い割にやたらいい音を出していて、捨てるには忍びない、という背景もあった。

 しかし、正直に書くと最初に注文して断念した一体型のアンプ付スピーカーにも未練がある。ミキサーから一発でつなげること、重量が電池こみで2Kg弱という軽さ、60時間もつ電池、電波障害の影響が皆無であること等々、捨て難い魅力がある。
 手持ちのラジカセは音は良いが、重さが電池こみで7.2Kgもあり、長い距離の移動運搬を助手なしでやるとなると、かなり辛い。今後の活動形態次第では、別製品を買う可能性もゼロではない。

 PAのない喧噪の場での青空ライブ(路上ライブ)には、非常に厳しいものがある。
「音が小さいので誰も聴いてくれない」→「聴こえるようにと力任せで歌う」→「聴き手の心には響かない」
 得てしてこのようなスパイラルに陥りがちだ。手持ちの機材をやり繰りした簡易屋外PAシステムが、より良い明日をめざす路上ミュージシャンの、何かのヒントになればうれしい。



 
続・シンプルPA.... 2006/夏



 年間20本を超える雑多な弾き語りライブをこなすようになって、それなりの月日が流れた。ライブの数が増すにつれ、機材運搬係として妻をあてにすることが次第に難しくなってきた。妻には日々の仕事があり、しかも休暇は不定期である。ライブのたびにこちらの都合で休暇をとってもらうわけにはいかないのだ。
 一方、前回記したFMトランスミッタ−を使った簡易PAシステムには、安価でお手軽な反面、機材の数が多いこと、多くの電波が乱れ飛ぶ都心では、混信による障害が起きやすい等の欠点もあることが分かってきた。
 あれやこれの事情で、フットワークがよく、音もそれなりに安定したPAシステムの改良は緊急を要した。

 ネットでいろいろと情報を収集したが、これといった決め手に欠けた。こちらの条件は厳しくて実に身勝手。「安い」「軽い」「電池駆動が可能」「接続が簡単」「音がよい」である。お金に糸目をつけなければそれなりのシステムは構築出来そうだったが、しょせんは趣味道楽の世界、なるべく安く機材を調達したかった。
 そんなとき、たまたま立ち寄った近所のリサイクルショップに、あまり見かけないスピーカーを発見した。ヤマハ製だったが、どうやらアンプ付スピーカーらしい。しかも、明らかにエフェクターらしきスイッチまでついている。価格もわずか3,500円、手頃だ。
 はやる気持ちを抑え、まずは型番をそっとメモする。決して高くはないが、役に立たない物を家に転がしておく気はない。使えるかどうかを事前に充分確かめてから買おうと考えたのだ。

 家に戻ってさっそくネットで情報を収集する。単1マンガン電池6本で連続10時間稼動、出力3Wの12cmスピーカーが2個でステレオ仕様と、思っていたよりも高性能だ。
 一番気に入ったのは、電池こみで3.8Kgという軽さ。現行のラジカセのおよそ半分で、しかもはるかに小さい。フットワークという一点では、申し分ない。入出力端子も充分にそろっていて、現行のミキサーとも簡単に接続出来そうだった。
 その日のうちに再度店に行き、そのミニPAを購入した。

 右側がミキサーで真ん中がアンプ付スピーカー。ミキサー右上のピンジャックから、アンプ左上のライン入力につないでいる。ミキサーからエレアコ、マイクへの接続要領は前回と同じ。(旧北海道庁赤レンガ広場前、青空ライブにて)

 さっそく試してみると、予想よりもはるかにパワーがある。他の機材との接続もうまくいった。今回のシステムに使った機材は以下の通り。

ヤマハギターアンプVA-10 :
 単1電池6本で作動、合計出力は6W。(生産終了品、中古価格3,000〜5,000円前後)
 2電源方式、サンヨー単3エネループ電池で10時間作動、ライン入力3本、出力1本

ピンジャック〜ステレオミニジャック変換ケーブル(新規購入)

簡易ミキサー:(これまでと同じ物を使用)
 2電源方式、単3アルカリ電池4本で60時間作動、ライン入力5本、出力2本
 オーディオテクニカ/AT-PMX5P(実勢価格9,000円前後)

 前回に比べ、はるかに接続が簡単で音も安定しているし、電池と交流電源の両方が使える。電池切れが心配だが、PA本体にはパワーが最強のサンヨーエネループ電池を使った。これまでの実績で、連続10時間は使える。いまのペースなら、おそらく3ケ月は充電の心配をしなくていいし、会場でコンセントを探す面倒もない。万が一のときでも単3電池ならどこでも調達可能である。
 現段階でエネループ電池は単3仕様しかないが、同じサンヨー製の単1変換ホルダーを使った。(最近は100円ショップでも入手可能)これにより、ミキサーと全く同じ単3電池で全てがまかなえる。何種類もの予備電池を準備する必要がなく、軽装備の面でも望ましい。
 ちなみに、エネループ電池は単3で1本400円前後はする。とても高価だが、アルカリ電池の倍は持つし、1000回まで充電可能。地球にも優しく、値段だけの価値はある。

 買った当初は電源のない場所での、ほんの予備のつもりでいた。しかし、運搬が楽でセットも簡単であることから、次第に屋内ライブでも出番が増え始め、いまでは自宅コンサート以外、すべてこのシステムで対応している。
 アンプ本体にはDISTORTION 、CHORUS 、DELAYの3つのエフェクターを内蔵している。いろいろ試したが、マイクとギターの混合音源で使えるのは、DELAYだけだ。およそ30%ほどかけてやると、ほぼリバーブと同等の効果が得られる。外部機器なしでそれなりの効果が得られるのは、実にありがたい。
 欠点は録音機能がないことだが、ライブの本数を重ねつつあるいま、音の記録にはあまり興味がなくなってきた。あとでライブ録音を聴いて反省することも自身の向上のためには確かに必要だが、ライブはあくまで一発勝負、その場限りのナマモノである。録音で聴く音とは、どこかが本質的に違う気がする。自宅ライブ以外で音の記録を残すつもりは目下ない。

 この新システム、これまで100人近い聴き手の前でも試してみたが、パワー面での問題はなかった。ごく最近、路上(屋外)でも初めて試したが、都心の喧噪の中にも関わらず、立派に機能した。
 いまの自分の技術や歌唱法、そしてライブの体制に限れば、このシステムで必要かつ充分なのである。



 
レコードのCD変換.... 2009/冬



 かなり前に買った古いLPレコードが30枚近く手元にあるが、このところ全く出番がない。レコードを買うとすぐにテープにダビングし、普段はテープで聴く習慣だったため、度重なる引越にも関わらず、状態は非常にいい。
 20年以上前に買ったレコードプレーヤーはいまでも健在だが、レコードの管理やかける手間がわずらわしく、聴ける場所が限定されているのが辛い。中には貴重な音源もあり、ちょっとした時間ができたので、プレーヤーが動くうちにまとめてCD変換してしまおうと考えた。

 まずプレーヤーの音を専用ソフトを使ってパソコンに取り込み、ノイズ除去などの処理をしてオーディオCDとして焼けばよい。過去にMDの音源を同様にCD変換したことがあり、理論では分かっていたが、レコードでやるのは初めてだった。試行錯誤の過程をブログに記したら反響が大きく、以下、私がやった手法を詳しく記す。

 必要な機材は以下の通り。

レコードプレーヤー:
 私の持つ機種にはラインアウト端子がなく、音はヘッドフォン端子からとった。ボリューム調整は付属のアンプ側で実施。

接続ケーブル(ステレオミニジャック):(写真1)
 パソコン側は大半がステレオミニジャック。600円くらい。

ミニ&標準ジャック変換アダプター:(写真1左の銀色のパーツ)
 ヘッドフォン端子が標準ジャックで、ケーブルがミニジャックの場合、必要。モノラル用とステレオ用の両方が売られているが、「ステレオジャック」が必須。500円くらい。

パソコン:
 MacでもWindowsでもよいが、サウンドカードなどによって音声入力が可能な機種。

音源編集ソフト:
 私の場合、 MacでもWindows使えるフリーソフト「Audacity」を使用。音声の取り込み以外にもさまざまな機能があり、なかなか使いやすい。

プレーヤーのヘッドフォン端子とパソコンの音声入力端子とを、ケーブルと変換アダプターでつなぐ。(写真2)

ケーブルとパソコンをつなぐ。写真3はWindowsパソコンの場合で、私の機種では青い色のミニジャックだった。(赤マル部)写真4はマック(eMac)の場合で、ヘッドフォン端子の横についている。(赤マル部)
 カセットテープやMDの音を取り込む場合に使うMDコンポでは、ヘッドフォン端子がミニジャックなので、変換アダプターは使わない。

パソコン側のシステム設定(コントロールパネルなど)で、「サウンド入力」を「ライン入力」に設定する。(「内蔵マイク」は不可)

音声編集ソフトを起動し、入力を同じく「ライン入力(Line In)」「ステレオ」にし、サンプルレートを「44100Hz」に設定。
 最初に音声編集ソフトの録音ボタンを押し、その後プレーヤーを再生する。画面に写真のように青い波形が現れれば、正常に取り込まれている。終わったら停止ボタンを押し、編集後に「Export」から「WAV16bit(Windows)」「AIFF16bit(Mac)」をオプション指定し、保存。この設定で700MのCDに、約80分の音源が焼ける。

 音声編集ソフト「Audacity」は多機能で使いこなすのが大変だが、私が多用するツールは、以下の通り。

・カット:前後の不要な部分を削除。
・無音:曲のつなぎ目などの雑音部を無音化。
・コピー&ペースト:曲の切り貼り編集。
・ポップノイズとクリックノイズの除去(「効果」の中にある):異音の除去。効き過ぎると音が変わってしまうのでほどほどに。

 ほどよい音量で取り込むには、プレーヤー側のボリューム調整と、音声編集ソフトの入力ボリューム調整が非常に大事である。あくまで私の例だが、WindowsとMacとでは、同じレコードでも全く設定値が異なった。

・Windows:プレーヤー側ボリューム、1.5(Max10)/編集ソフト入力ボリューム0.2
・Mac:プレーヤー側ボリューム、3.0/編集ソフト入力ボリューム0.5

(音声編集ソフト「Audacity」のいろいろな使い方は、ネット上に多数ありますので、各自ご参照ください)
 外注するとLPレコード1枚で1,000円前後はかかるこの作業、自分でやれば限りなくゼロに近い。時間はあるが、金はない方にお勧め。

汚れたレコードの洗浄方法(参考)

 普通に布クリーナーをかけても取れない古いレコードの汚れ。以前に本で読んだ「水洗浄」のことを思い出し、試してみた。

・台所用のスポンジを使い、流水で円周方向(溝の方向)にレコードを回しながらこする。
・ティッシュペーパーで水を拭き取りつつ、さらに円周方向にこする。
・壁などに垂直に立て、完全に乾かす。(30分くらい)

 初めての試みだったが、以上のようなやり方で汚れは落ち、音は格段によくなった。ネット検索してみたら、ほぼ同じ手法。中性洗剤を使っている人もいたので、無色透明の台所洗剤で洗ってみたら、うまくいった。
 レコード中央に貼ってあるラベルは、物によっては色落ちする。洗剤使用も含め、各自の判断でお試しあれ。



 
ヘッドホン・イヤーパッド.... 2009/冬



 5年近く使っていたヘッドホンのイヤーパッド(耳にあたる部分のスポンジカバー)の傷みが激しく、ほとんど使用不能(写真1)。ほぼ毎日のように歌の練習や音源の編集などに使っているので、やむを得ないことだった。
 修復は難しく、交換するかそのまま外して使うしかないが、外したままだと耳にあたる部分の使用感がすっきりせず、音ももれる。やはり本来あるべき物なのである。

 ネットで情報収集してみると、手持ちのビクター製の交換部品は存在しない。ソニー製を見つけたが、送料こみで500円を越え、サイズの記載がないので買ってもぴったり合うかどうかは不明。
「仕方がないのでそっくり買い替えました」だとか、「100円ショップで似たようなヘッドホンを買い、イヤーパッドだけ外して強引にはめこみ、本体は捨てました」などとのコメントが多数。みなさん苦心のようである。
 手持ちのヘッドホンは珍しく1,000円以上も出して買ったそれなりの品。簡単に捨てるわけにはいかないし、ことヘッドホンに限れば、100円ショップの品は音質が悪く、使い物にならない。

 いつものように自分で代用品を作ってしまおうと考えたが、「こうやって手作りしました」という情報はどうしても見つからなかった。

 フリースのような柔らかい布を丸く切り、代用できるのでは?と考え、メガネふきに使っていた布をあてて試してみたが、耳障り感はともかく、縫い目が細か過ぎて、音にやや変化を感じてしまう。やはり音の抜けがよいスポンジに勝るものはないようだ。

 あれこれ試すうち、マイクのブロー音を回避するために使っている薄いスポンジ板のことを思い出した。マイクは2本持っているが、訪問ライブ用に使っているマイクには、もはやスポンジは必要ない。ブロー音を回避する方法を会得したことと、訪問ライブを録音する機会が、このところ皆無だからである。

 調べてみると厚さは4ミリ前後で、既存のイヤーパッドとほぼ同じ。大きさも偶然耳当て部分にぴったりの、幅6センチ前後。これを正方形に2枚切取り、固定用に家にあった造花用の細い針金(#26)をマジックで黒く塗り、準備した。(写真2)
 次にヘッドホンの耳に当たる部分にこのスポンジをあて、裏側をセロテープで仮固定。そして針金を巻きつける。(写真3)その後、はみ出した部分をハサミでていねいに切り取ると、写真のようにイヤーパッドが見事に復活した。(写真4)

 実際に聴いてみると、これまでのイヤーパッドと何ら変わらない音。ちなみに、使ったスポンジは確かクッキーの箱の上に載っていたもので、もちろんタダ。マイクカバーに使えるので、この種の薄いスポンジ板は貴重。必ず捨てずにとっておく。
 不要品や包装、空瓶や空き缶が全く別の用途に使えることは結構多いが、何でもかでも捨てずにとっておくと、家の中はたちまちゴミで溢れる。「何を捨てて、何をとっておくか?」は実に難しい選択なのだが、長年の経験で、最近は何とかその極意をつかみつつある。