無垢材の家具/のれん風カーテン ... 2006.8




 2階寝室でずっと使っていた布製ロールスクリーンの傷みが激しい。7年前の新築時に家具店で買ったものだが、自然素材の材質感はそれなりに気に入っていた。しかし、生地が薄くて遮光性が弱く、寝室には向いてなかった。
 スクリーンの巻き上げ装置も調子が悪く、麻ロープで作り直したが、そうこうするうち、生地の一部に穴が開いた。もはや限界だ。

 他の窓には、ロールスクリーンとブラインドを使っている。だが、遮光性の必要とされるこの部屋だけには、厚い布製のカーテンをぜひとも使いたかった。
 かといって、普通の市販品では何も面白味がなく、この家の雰囲気にも合わない。やるなら手製しかない。そう考え、実は数年前に厚手の生地だけはすでに買ってあった。

 カーテンのイメージは、ずばり「ノレン」である。この家には建具代りにノレン風仕切りを多用しているが、その一環として窓にもノレン風のカーテンをつければ、違和感なく生活に溶け込む。
 問題はいかにして自然素材を使うかである。市販のカーテンレールやカーテンリングは、なるべく使いたくない。実行するまでには、かなりの試行錯誤とスケッチを繰り返した。



 使用材料と価格(2006.8 札幌ジョイフルAK調べ→布を除く)

・KD材:28×40×1830、1本(支持材用)\98
・ツーバィ材:t19×89×1830、1本(レール&幕板用)\180
・布(札幌カナリア):w1150×2000(カーテン用)\250×2=\500
・L=40スリムビス×7本

 合計コストは、約780円となった。



 対象となる窓の内寸法は、w1650×H1000である。この寸法に余裕をもって使える生地を用意する。今回は幅1150の生地を縦に使い、カーテンは縫い目のない1枚物とした。もしこれより大きな窓なら、カーテンを2枚に分けるか、縫い合せる必要がある。

 写真はカーテンの全体とリング部分の拡大である。上下は生地の端部となるので縫う必要がなく、左右だけを折り返してミシンで縫う。仕上がり寸法はw1900×H1150。
 幅60くらいの生地が余るので、その生地を10分割し、細く折ってミシンで縫い、長さ115のリングを10個作る。端部を折り返してカーテン上部におよそ200間隔で縫いつけた。端部は写真のように40ミリくらい開けてリングをつける。これは窓端部からの光を漏れにくくするためである。
 リングは同色の布テープを買って加工するほうが簡単だが、コストは上がる。


 19×89のツーバィ材を縦に切り裂き、幅16と幅70の材料に分ける。仕上げはカンナと木工用紙ヤスリを使う。16×19の部材はカーテンレールに、70×19の部材は幕板となる。

 19×89の長い材料を縦に切り裂くのは、電動ノコを使ってもかなり難しい。DIYショップでもおそらくやってくれないので、自信のない方はコスト的には高くなるが、普通の角材か丸棒で同寸法の物を買うしかない。(丸棒ならφ16)
 私の場合、対象の材料の横に同じ厚さの材料をガムテープで仮止めし、長いガイド板をあててずらしながら慎重に切る。この場合、カンナ仕上げの余裕を1ミリ程度みて切ること。

 今回、支持材用の安いKD材が偶然手に入った。もしなければ、「小ダルキ」という材料をカンナがけすれば、ほぼ同じサイズのものが得られる。



 支持材の長手方向に半分くらいの深さでφ8ダボ穴をドリルで3カ所あけ、壁に木工ビスで止める。今回はL40のスリムビスを使用。取付け間隔は900とした。この寸法であれば、内壁材が石膏ボードの場合でも、下地の間柱か柱に直接とめられるはず。

 支持材の取付け高さは重要で、高すぎるとカーテンのかぶりが短くなってしまい、低過ぎると窓枠にリングがすれて開閉がしにくくなる。今回はカーテン上下のかぶりを均等にし、支持材下端から窓枠下端までの寸法を75とした。

 (カーテン縦寸法1150−窓枠内寸法1000)÷2=75



 カーテンレールを取付ける。端部から10離れた位置にドリルで細い穴をあけ、L40のスリムビスをねじこむ。レールの前後の位置は、カーテンリングが壁や窓枠にこすれないよう、6ミリ程度の余裕をみて慎重に決定する。

 レールの位置が決まったらいったんレールを外し、カーテンをセットしてから本締めする。このとき、リングがスムーズに動くよう、支持材とレールの上下間隔も6ミリ程度あける。(板などを挟んで締めるとうまくゆく)



 下の写真のように、このままでも充分使える。布製のリングがまさにノレン風のアクセントで、それなりに風情がある。19×89のツーバィ材を縦に裂くのが面倒な方は、レールを別途調達して、このままで使うのが面倒がなくていいかもしれない。
 今回、最初からレールとリング部分は隠す予定だったので、最後に19×70の幕板用部材を木工ビスで止めた。



 幕板を取付けた状態。カーテンのすべりもよく、開閉に全く支障はない。隙間からの光の漏れもほとんどなく、快眠が可能になった。


 カーテンを洗濯する場合、幕板とカーテンレールを止めてあるビスの片側だけを外せば、簡単に外れる。カーテンそのものを全面交換したいときも同じだ。
 カーテンは光量の微調整が出来ないのが大きな欠点だが、北側の窓など、場所によって使い分ければ、安価でユニークなこの「のれん風カーテン」が大いに役立ちそうだ。別の場所にもつけようかと、目下思案中である。