訪問ライブ顛末記


デイサービスつどい・訪問ライブ /2019.3.18



 自宅から北へ片道60キロの遠方にあるデイサービスで歌った。昨春にネット経由で最初の依頼があり、9月敬老の日に再度の依頼があった。
 その際、「来年の敬老の日にまたお願いします」と言われていたが、なぜか年明け直後に3度目の依頼がある。リピート依頼は大変ありがたいが、あいにく今冬の自宅周辺は市内でも一二を争う豪雪。途中の道路事情にも不安があり、一度はお断りした。
 翌月にも打診があったが積雪状況は変わらず、「雪解けが進んでからご依頼を」とお願いし、ようやくこの日のライブに至った。

 前2回は早く着きすぎたので、出発を遅らせて11時10分に家を出る。施設近くのイオンで休憩し、持参のオニギリを頬張る。その後施設へと移動。到着は開始予定20分前という、程よい時間だった。

 聴き手は隣接するグループホーム利用者も含めて30名ほど。3度目ともなると顔なじみも増え、開演前からすっかりリラックスムードだった。
 予定少し前の13時28分くらいから始める。リクエスト&アンコールが相次ぎ、予定を大幅に超えた1時間で17曲を歌う。

《前半》(※は事前のリクエスト)
「春一番」
「二輪草」※
「真室川音頭」※
「蘇州夜曲」
「二人は若い」
「宗谷岬」
「みかんの花咲く丘」(歌詞指導)
「釜山港へ帰れ」
「小指の想い出」
「夜霧よ今夜も有難う」

《後半》(全てリクエスト)
「ランナウェイ」
「川の流れのように」
「上を向いて歩こう」
「嫁に来ないか」
「ハナミズキ」
「リンゴの唄」
「丘を越えて」(アンコール)


 この施設では圧倒的にノリのいい曲が受けるので、叙情系の曲はアクセント程度にとどめ、ニギヤカ手拍子系の曲を中心に選曲した。
 過去2回同様に、1曲目から手拍子が飛び出す。職員さんが率先して盛り上げてくれるので、非常にやりやすい。トントンと調子よく歌い進む。

 私のセレクションで歌った前半10曲で30分が経過。演奏時間は40分程度と言われていたので、開始前にリクエストのあった2曲をここで歌うことにする。ラストの曲で締めると、ピタリ時間内に収まるはずだった。

 ところが歌い終えると、「九ちゃんが聴きたい」と再度のリクエストが出た。リクエスト一覧は初回訪問時に置いてきたので、それを見ながらの要望。つまり、全て対応可能なのだった。
 請われるままに応ずるうち、次々とリクエストが続き、一向に収束の気配がない。担当のKさんも打ち切るタイミングに苦慮していた。

 元気のいい方が中心だったが、1時間を超えるライブは聴き手も歌い手も負担が大きく、できれば避けたかった。そんなとき、シングアウトに絶好の「リンゴの唄」のリクエストが飛び出す。
「ではこの歌をみなさんと歌って締めくくりましょう」とすかさず告げたが、その前にぜひハナミズキを、と職員さんからのリクエスト。介護施設ではあまり歌わない曲だが、雰囲気に押されて結局歌った。

「リンゴの唄」をにぎやかに歌ってヤレヤレと撤収しようとしたら、最後列の男性利用者から「アンコール!」という信じがたい声。すでに開始1時間近くが経過していたが、何か歌わないとどうにも収まりがつかない感じだったので、「丘を越えて」で短く締めくくる。
 休憩なしで、これほど長く歌うことは稀。しかも半分以上がリクエストという盛り上がりである。「ランナウェイ」「嫁に来ないか」など、介護施設系では珍しいリクエストも出て、何かと刺激の多いライブだった。

 終了後、「年に2回は聴きたいよね」と話し合う声が耳に届く。施設が地方にあり、来訪するボランティアが少ないという事情も関係がありそうだが、非常に相性のよい施設である。長いおつき合いになりそうな予感。


 

アサヒケアホーム新川・訪問ライブ /2019.4.13



 ネット経由で初めて依頼のあったサ高住で歌った。施設からの直接依頼ではなく、高齢者の住まいをサポートするNPO法人が仲介するという珍しいルートだった。
 入居者利用者の紹介&仲介だけでなく、演芸系ボランティアの紹介&仲介も手がけているという。NPOの業務としてはユニークで新しい。依頼ルートとして、今後増えるかもしれない。

 午前中にスケジュール確認の電話があったのは、そのNPOの担当者Aさん。施設の情報は事前にFAXが届いていて、迷わず開始25分前に到着。Aさんはライブに立ち会わないが、施設側責任者のSさんが対応してくれた。
 予定より早く準備が整い、5分早い14時10分に開始。およそ45分で13曲を歌う。


「北国の春」
「おかあさん(森昌子)」
「瀬戸の花嫁」
「真室川音頭」
「港が見える丘」
「幸せなら手をたたこう」
「高校三年生」
「みかんの花咲く丘」
「真実一路」
「夜霧よ今夜も有難う」
「君恋し」
「月がとっても青いから」
「リンゴの唄」


 聴き手はおよそ30名ほど。自立度の高い施設で、車椅子の姿はごく少ない。男性の姿はわずかで、2〜3名といったところか。初めて歌う施設なので冒険は避け、ごくオーソドックスな定番曲を中心に臨んだ。
 1曲目から間奏でさざ波のような拍手が湧き、終了するまでほぼ全曲でこの「間奏の拍手」が続いた。こんなことはめったにない。

 手拍子やかけ声はほとんどないが、曲に対する反応は熱く、目がいきいきと輝いている。あとで知ったが、施設の歴史が浅く、弾き語りボランティアの訪問は初めてのことだったらしい。

 聴き手の後押しもあって、ライブはトントン調子よく進む。演奏時間は45分と長めの要望だったが、休憩もなしに一気に突っ走った。
 特に反応のよかった曲は、「港が見える丘」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「夜霧よ今夜も有難う」あたり。傾向としては静かに耳を傾けてくれる傾聴型の場といえた。

 予定ちょうどに終えたが、場には微妙な余韻が残った。気分としては完全に「アンコール」だったが、担当者も聴き手もライブ自体に慣れてなく、特に声はあがらない。
 終了後に「よかった」との声が複数あり、担当のSさんからも「素晴らしかった。ぜひまたお願いします」と労われる。実は仲介に入ったNPOのAさんから「可能であれば定期訪問を」との打診が事前にあった。ライブの出来はまずまずだったので、実現するかもしれない。

 機材をまとめて挨拶を済ませ、帰ろうとしたら、玄関先まで利用者の女性が見送りに来てくれた。聞けば横浜から施設へやってきたという。「港が見える丘」(横浜が舞台の歌)を感無量の表情で聴いていた方だが、そんな事情があったとは。
 散りゆく桜がテーマで、時期的にもタイムリーな得意曲だが、選んでよかった。


 

ツクイ札幌稲穂・訪問ライブ /2019.4.14



 市内遠方のデイサービスで歌った。6年前に最初の依頼があり、以降年に3〜4回ペースで呼ばれている。
 担当者の移動で一時ペースが落ちたが、昨年から復活し、今回が実に16回目の訪問。多すぎるライブはマンネリとの壮絶な闘いとなるが、こうなれば飽きられるまで歌い続けよう。

 開始はいつも遅めの15時。14時に家を出て、40分強で到着する。以前は1時間近くかかっていたが、裏道を開拓してから大幅に短縮した。
 予定ちょうどの15時にスタートし、55分で15曲を歌う。(※はリクエスト)


「春一番」
「二輪草」
「瀬戸の花嫁」
「真室川音頭」
「港が見える丘」
「上を向いて歩こう」
「宗谷岬」
「みかんの花咲く丘」
「真実一路」
「いい日旅立ち」
「君恋し」
「月がとっても青いから」
「東京の花売娘」(初披露)
「吾亦紅※」
「花(滝廉太郎)※」


 聴き手は40名弱。大半が女性で、男性は3名ほどと少ない。新しめの曲が好まれる傾向にあり、前日のサ高住ライブとは構成をかなり変えた。

 ところが、いざ歌い始めると場の空気感が以前とは微妙に異なる。曲間はもちろん、終了後の拍手もまばら。理由ははっきりしないが、利用者の顔ぶれがかなり変わっているようで、馴染みの顔が少ない。
 介護度の重い利用者が以前よりも増えていて、歌に対する反応が弱い一因と思えた。推測だが、地域カフェや認知症カフェ、高齢者サロン等の増加により、介護度の軽い利用者がそちらへ流れているのではないか。

 そうとは知らず、1曲目にキャンディーズの「春一番」を選んだのが大失敗。かってはアイドル系の曲を歌える数少ない場だったが、状況変化の早さは予想を超えていた。

 前日と打って変わって難しい進行となったが、曲に関するMCを長めにとるなどし、めげずに歌い続ける。さらには反応のいい利用者を見つけ出し、目で重点的に語りかけて自らを奮い立たせた。
 終盤に予定していた「小指の想い出」は難しいと判断し、咄嗟に「君恋し」に差し替えたが、これは正解だった。

 大人しかった場も少しずつ乗ってきて、ラストは初披露の「東京の花売娘」で締めくくる。NHKの歌番組で知って急きょ覚えた曲だが、春にちなんだノリのいい曲。迷わず歌ったが、手応えはまずまずだった。
 高音部が美しい曲で手拍子が打ちやすく、ラストには向いている。埋もれた名曲はまだまだある。

 あれこれいいつつも堅実にまとめて、施設側には喜んでもらえた。


 

アサヒケアホーム山鼻・訪問ライブ /2019.4.27



 2週間前に歌ったサ高住の系列施設で歌った。依頼は同じNPO法人による仲介ルート。開始時間等の条件も全く同じで、今回はNPOの担当者Aさんが立ち会ってくれる。
 週3回、14〜17時に実施される介護サロン(レクレーション)のイベント講師というのが私の立場。講師といっても堅苦しいものではなく、歌を介して利用者に楽しんでもらうのが役目だ。

 前回の会場と比べて少し遠く、13時に家を出て13時45分に着いた。ただちに設営に入り、入居者の集まりを待って、予定より5分早い14時10分から始めた。
 およそ45分で13曲を歌う。

「北国の春」
「おかあさん(森昌子)」
「瀬戸の花嫁」
「真室川音頭」
「港が見える丘」
「幸せなら手をたたこう」
「高校三年生」
「みかんの花咲く丘」(歌詞指導)
「真実一路」
「夜霧よ今夜も有難う」
「君恋し」
「月がとっても青いから」
「リンゴの唄」


 聴き手はおよそ20名。男性は3〜4名ほど。構成は2週間前の系列別施設と全く同じにしたが、場の反応は微妙に違っていた。
 出だしの数曲には間奏で拍手が自然に湧き上がり、いい調子で歌い進んだが、じょじょに反応が弱くなるという不思議な現象が起きた。普通は出だしの勢いのまま突っ走るもので、かってない経験である。

 理由がはっきり分からず、曲に関するMCを長めにしたり、聴き手参加型の曲を入れたり、歌詞指導をしたり、自己紹介を入れたりと、あらゆる手段を講じたが、場の流れが大きく変わることはなかった。

 ラスト3曲でようやく盛り上がりを見せたが、時すでに遅し。終了後に知ったが、施設が出来て1年強しか経ってなく、4年の歴史がある系列別施設に比べて、入居者がまだ場に馴染んでいない部分があったようだ。

 立ち会った職員さんも出入りする入居者のサポートに忙しく、ライブを盛り上げる余裕がないように見えた。出だしと終了間際にはNPO法人のAさんが手拍子等で参加してくれたので、反応がよくなったのだろう。
 職員さんの参加なしで場を盛り上げるのが望ましい姿だが、残念ながら自分にその技量はない。

 終了後の場の気分はそう悪いものではなく、「よかった」という声も複数耳に届いたが、歌い手として消化不良のライブだったことに変わりはない。
 それでもNPO法人のAさんからは、「年に4度、シーズンごとの講師」を正式に依頼された。
 場は静ひつでも45分間聴いてくれているのは間違いなく、大いに盛り上がった系列別施設との合わせ技的依頼と謙虚に考えたい。