訪問ライブ顛末記


ツクイ札幌新川・訪問ライブ /2018.8.22



 車で25分ほどの市内デイサービスで歌った。4月に系列施設の紹介で初めて訪れ、短い間隔でのリピート依頼である。
 明け方に激しい雷雨と風で起こされたが、昼までにはやんだ。その後気温はぐんぐん上がって、蒸し暑い天気に急変する。市内の一部では真夏日を記録したらしい。13時20分に家を出たが、あまりの暑さに今年2度目のカーエアコンを点けた。

 開始15分前に到着。会場では健康体操の真っ最中で、時間が押しているという。食堂の空いているスペースで機材をセットして備えた。
 室内が暑く、ベストは脱いでシャツの袖もめくって歌うことにする。

 5分くらい前に機材をステージ位置に運び、同時に施設側による椅子とテーブルの配置換えが始まる。ちょっとバタバタしたが、予定通り14時にイベントは始まった。ちょうど1時間で17曲を歌う。


「憧れのハワイ航路」
「二輪草」
「瀬戸の花嫁」
「涙そうそう」
「二人は若い」
「恋のバカンス」
「牧場の朝」
「われは海の子」
「恋の町札幌」
「君恋し」
「古城」
「浪花節だよ人生は」
「どうにもとまらない」
〜アンコール&リクエスト
「赤いハンカチ」
「きよしのズンドコ節」
「神田川」
「青い山脈」


 中旬に歌った系列別施設のデイサービスライブに準じた構成だが、4ヶ月前との重複を避け、4曲を入れ換えた。
 聴き手およそ30名。途中で知ったが、曜日が異なる関係で前回との重複はなかったらしい。そのせいか場の反応は全体的に大人しい。

 場がようやく乗ってきたのは、5曲目の「二人は若い」あたりから。続く「恋のバカンス」は予想外の手応えで、この曲は場を選ばず評価が高い。夏に限定せず、定番曲に取り入れるべきかもしれない。
 後半の「恋の町札幌」「君恋し」にも熱烈なファンがいて、「今日は来てよかった〜」と感激された。

 開始40分くらいで予定曲を歌い終える。アンコール4曲は施設側の主導によるものだが、場の気分には充分沿うものだった。
 石原裕次郎と氷川きよしの熱烈ファンがいて、それぞれレパートリーにある曲を歌う。盛り上がったところで終わろうとしたら、進行の方から「神田川」のリクエストが突然飛び出す。
「雰囲気が南こうせつに似ているから」というよく分からない理由からだったが、歌い終えると「歌もこうせつにそっくり!」と複数の声が上がった。

 その後、こちらも施設側の希望で「青い山脈」をシングアウトして終了。「いい歌をありがとう!」「来てよかった」との声が多くかかり、近寄って握手を求める方も。最も強い2度目の依頼を無難に乗り切った。


 

ツクイ札幌稲穂・訪問ライブ /2018.8.26



 市内やや遠方のデイサービスで歌った。今回が断続的に5本続く8月真夏ライブのラスト。途中で母の暮らす施設での夏祭りライブや、豪雨の中の家族BBQがあったりし、実に忙しい夏だったが、やがてそれも終わる。
 14時5分に家を出て、40分で到着。開始は遅めの15時で、定刻前には準備が整った。予定より早い14時57分くらいに始まり、およそ1時間で18曲を歌う。

「憧れのハワイ航路」
「二輪草」
「ここに幸あり」
「人生いろいろ」
「二人は若い」
「恋のバカンス」
「浜辺の歌」
「赤いハンカチ」
「君恋し」
「古城」
「浪花節だよ人生は」
「どうにもとまらない」
〜アンコール(※はリクエスト)
「うちのお父さん」※
「走れコウタロー」※
「荒城の月」※
「月がとっても青いから」
「ケメ子の歌※」
「りんごの木の下で」


 ネット経由で5年前に初めて依頼され、今回が14回目の訪問という長いお付き合いが続く施設。一時は年に4回も依頼されたが、近年になってペースダウンし、年に1〜2回という程よいペースに落ち着いた。
 同じ場で長く歌っていると、職員さんはもとより、利用者の顔ぶれもじょじょに変わってゆく。それが世の定めというものだ。歌っている本人はそう変わっていないつもりなので、場に合わせて微妙に対応を変えてゆく。

 構成は4日前に歌った系列別施設に準じたものだが、部分的に修正を加えた。利用者の入れ換えがかなりあったようで、場の反応はこれまでより大人しい。1曲ごとの拍手は熱いので、つまりは「傾聴型」の場に変貌したということか。

 どのライブでも似た傾向にあるが、乗ってくるのは概ね5曲目以降。出だしの数曲は場を探る助走のような位置づけで、このあたりにノリのいい曲を配置するのがポイントとなる。
 今回もその例外ではなく、「二人は若い」「恋のバカンス」あたりからじょじょに反応がよくなり、時折かけ声も混じるようになった。

 気分がピークに達したのは、前半ラスト近くの「浪花節だよ人生は」あたり。この日も喉は好調を維持していて、間奏の時点で「いいぞ!」の声が珍しく男性から上がった。
「どうにもとまらない」を歌う前に、「用意したセットはこれで終わりですが、もっと聴きたい方がいましたら、ぜひアンコールを出してください」と告げる。「なるべく長く歌って欲しい」という施設側の意向に沿った誘導だが、こう告げると100%アンコールは出る。

 リクエストはなぜか女性からは皆無で、一人の男性からマニアックなフォーク系のリクエストが相次いで驚かされた。
 久しぶりに歌った「うちのお父さん」はレパートリーにあって過去にも数回歌っているが、「走れコウタロー」「ケメ子の歌」の2曲は譜面の用意がなく、うろ覚えで1番だけ歌って勘弁していただいた。いずれも過去に人前で歌った例はなく、時代の急変をつくづく思う。


 

ケアハウスりょくえん・敬老会 /2018.9.12



 ネット経由で依頼された隣市のケアハウス敬老会で歌った。初めて行く施設だが、車で15分の普段よく通る道沿いにあって大きな戸惑いはない。
 依頼はかなり前にあり、何度かのFAXのやり取りで詳細を煮詰めていたが、直前になって記録的な大地震に見舞われ、イベントの実施が危ぶまれた。

 大停電が回復し、生活が少し落ち着き始めたころに確認の電話がある。先方に大きなダメージはなく、予定通り実施したいが、こちらの状況はどうかと気遣ってくれた。
 今週から来週にかけて4本のライブ予定があり、数日前から練習も始めている。いろいろな意見はあるが、大きな被害がない場合、沈みがちな気持ちを元気づけるのに、歌は絶好の存在だと私は考える。

 ライブは苦手な午前中開催。台風と地震による寝不足やストレスもあってか、声がかすれ気味だったが、調整してほぼ回復した。
 イベント開始15分前の9時45分に先方到着。私の出番は最後で、タイムロスを減らすべく、機材を予め組み立ててステージ横の空きスペースに置いた。

 予定ちょうどの10時に開始。来賓挨拶などあって、10時15分から経営母体が同じ保育園の年長児による歌や踊りなどが披露される。
 予定よりかなり早い10時40分に終了し、ただちに機材をステージ上にセット。10分早く10時45分からライブは始まった。およそ40分で13曲を歌う。


「高原列車は行く」
「二輪草」
「バラが咲いた」
「野ばら」
「幸せなら手をたたこう」
「月がとっても青いから」
「ドレミの歌」
「夜霧よ今夜も有難う」
「ダニーボーイ」
「恋のバカンス」
「古城」
「東京ラプソディ」
「上を向いて歩こう(アンコール)」


 聴き手は職員を含めて50名ほど。大半が女性である。年代は高めだが介護度が低く、車椅子利用者は見当たらない。外出も自由で、一般の高齢者と大きな違いはないそうだ。
 事前のやり取りでそうした情報を知り、選曲は洋楽系3曲含め、やや新しい傾向にした。

 先方が用意した歌詞集が配られたせいか、曲後の拍手は少なめ。歌詞集はプログラム順にとじられていたが、高齢者が1曲ごとにめくって探し出すのは簡単ではなく、両手がふさがってしまう。
 拍手や手拍子はおろそかになりがちで、ライブへの集中度はどうしても弱まる。歌詞集を配る場合の大きな欠点だが、当初からの要望だった。

 曲によっては共に歌う声がステージまで届いたので、折衷案としてプロジェクターによる歌詞投影も模索すべきだったかもしれない。

 5曲目の「幸せなら手をたたこう」は歌詞カードを配らず、動作で楽しんでもらう趣向を最初から選択したので、場は大いに盛り上がった。
 最も強い反応があったのは、「夜霧よ今夜も有難う」。この曲はどこで歌っても強い。そのほか、「バラが咲いた」「野ばら」「古城」「上を向いて歩こう」にも手応えを感じた。
 反面、「ドレミの歌」「ダニーボーイ」「恋のバカンス」などの新し目の曲に対する反応はいまひとつ。介護度が低いケアハウスとはいえ、曲の嗜好に他施設との大きな違いはないように思えた。

 実は当初、保育園児も残ってライブを聴いてくれるはずだったが、前日になって参加しないことになった。子供用に予定していた曲のうち、「さんぽ」は「月がとっても青いから」に急きょ差し替えたが、「ドレミの歌」も演歌系の曲などに差し替えるべきだったかもしれない。
 予定が早まったせいで時間が少し余り、アンコールで埋めた。歌う直前に進行の職員さんと打ち合わせ済みの「時間調整アンコール」だったが、場の雰囲気には充分沿うものだった。


 

のどか祭り /2018.9.16



 車で5分のグループホーム秋祭りで歌った。本格的に弾き語り活動を始めた13年前からお付き合が続いている施設で、今回が実に33回目の訪問。長い長い時間の積み重ねである。

 私の役目はほぼ決まっていて、余興のトップを務めて場の気分を盛り上げること。当初は叙情系の曲が好まれたが、最近は元気のいい手拍子系の曲を求められるので、場の嗜好に合わせて構成も変化させている。

 13時ちょうどにライブ開始。久しぶりの屋外ステージなので、電子譜面カバーや100Vバッテリなどの準備が必要だった。
 アンコールを含め、20分強で7曲を歌う。


「憧れのハワイ航路」
「お富さん」
「バラが咲いた」
「丘を越えて」
「二人は若い」
「ソーラン節」
「上を向いて歩こう(アンコール)」


 アンコールも含め、全曲をストロークで弾き語った。特に誘導はしなかったが、終始手拍子が耐えず、場の嗜好と選曲はピタリ一致していた。
 無用なMCを省いたので、持ち時間の20分よりも早く終わってしまう。アンコールは進行の職員さんからのもので、つまりは時間調整アンコールだ。

 その後、男女3人ユニットのHPMさんによる弾き語り演奏、お神輿披露、入居者の歌などが続き、14時半にイベントは終了した。
 断続的に続く9月敬老ライブの3本目が終了。今日がひとつの山だったが、無事に乗り切った。


 

デイサービスつどい・敬老会 /2018.9.17



 札幌から北へ60キロ離れた街にあるデイサービス敬老会で歌った。ネット経由で今年5月に初めて訪問し、終了後の茶話会で「次回は敬老会にぜひ」と声がかかった珍しいパターンだった。
 遠方だが2度目の訪問なので、前回の所要時間や交通経路などは記録に残してあった。それに従って行動すればいいので、気持ちには余裕があった。

 11時に家を出て、12時15分に施設近くのイオンに寄る。ここで昼食をとってから施設に向かい、開始20分前の13時10分ころに到着した。
 機材設営はすぐに終わったが、隣接のグループホーム入居者もライブに参加するということで、集合にやや時間がかかった。それでも予定の13時半よりやや早めの開始となる。

 前回訪問時にリクエスト一覧を置いてきたので、ステージ横のホワイトボードには、すでに5曲のリクエストが並んでいる。前半に通常のセットから数曲歌い、後半でリクエストに応える、という進行だった。
 結果として約45分で14曲を歌う。(※はリクエスト)


《前半》
「高原列車は行く」
「瀬戸の花嫁」
「バラが咲いた」
「ソーラン節」
「二人は若い」
「上を向いて歩こう」

《後半》(全てリクエスト)
「童神」
「函館の女」
「銀座カンカン娘」
「大空と大地の中で」
「浪花節だよ人生は」
「花〜すべての人の心に花を」
「愛燦燦」
「高校三年生」


 聴き手は30名弱で、家族と思われる小さな子供の参加も数名あった。

 前回同様に1曲目から自然発生の手拍子が沸き起こり、進行は非常にやりやすかった。3日連続のライブだったが、喉の調子はこの日が最もよかったように思える。
 職員さんも積極的にライブに関わってくれたので、曲間MCでの会話のキャッチボールも、ごく自然にやれた。これほどフレンドリーな雰囲気でやれる場は、そうあるものではない。

 地震や大停電の直後ということもあり、この日も元気のいい曲が中心。リクエストも似た傾向のニギヤカ系の曲が続いた。
 リクエスト曲の占める比率が6割近くに達したにも極めて稀。これでもまだ全てのリクエストに応えてはいないそうなので、もしかしたら全曲リクエストで進行することも可能だったかもしれない。

 お互いに元気でいれば、また来年の敬老会でお会いしましょうと約束して分かれたが、来年はいよいよ70歳の大台に突入するので、節制して少しでも長く活動を続けられるよう心がけたい。


 

ツクイ札幌麻布・訪問ライブ /2018.10.7



 定期的に招かれるデイサービスの紹介で、車で25分ほどの介護施設で歌った。開設して数ヶ月という新しい施設だが、私の活動をよく知っている職員さんが移動で在籍しているという。
 よく通る道沿いにあったが、路地が複雑で少し探した。開始10分前に到着して、ただちに設営。3分前にはスタンバイした。

 聴き手はデイサービスと隣接のグループホーム入居者を含め、30名ほど。珍しく男性の比率が高く、全体の3割はいた。
 場の嗜好が分からないので、オーソドックスな秋メニュー構成で臨む。15時から始め、アンコールを含めて、およそ50分で15曲を歌う。


「高原列車は行く」
「瀬戸の花嫁」
「ソーラン節」
「ここに幸あり」
「二人は若い」
「ブルーライト・ヨコハマ」
〜唱歌メドレー「浜辺の歌」「紅葉」「赤とんぼ」
「恋の町札幌」
「君恋し」
「古城」
「月がとっても青いから」
「東京ラプソディ」
「まつり」(アンコール)


 開設まもないせいか雰囲気にやや硬さがあったが、1曲ごとの反応は悪くない。3曲目の「ソーラン節」では、特に誘導なしで手拍子や合いの手が自然に湧いた。
 中間あたりに唱歌をメドレーで3曲続けたが、場がしんみりし過ぎた印象。ここは1〜2曲にとどめるべきだったかもしれない。

 後半に相当する「恋の町札幌」以降は歌謡曲系の歌を中心にしたせいか、手拍子やかけ声は上がらず、場は静ひつな雰囲気に包まれた。しかし、手応えそのものは決して悪くなく、じっと聴いてくれている。
 ラスト2曲はノリのいい曲でまとめ、「東京ラプソディ」では初めて手拍子を誘導。新しい施設では職員さんもイベントの進行に不慣れな場合が多いので、時に歌い手の誘導も必要と思われる。

 大いに盛り上がって時計は45分が経過。事前の打ち合わせは特になかったが、施設長さんが現れて、突然のアンコール。時間調整アンコールに近かったが、場の気分には充分沿うものだった。
 リクエストがあれば応えようと場に求めたが、特に声はない。ここであまり時間をかけてはまずいので、ラストに相応しい「まつり」を提案。年末には少し早いが、元気な手拍子系の曲で締めくくりたかった。

 終了後、「いい声だわ〜」「聞き惚れてしまったね」「また聴きたいね」などの声が多数耳に届く。近寄ってきて、丁寧に声をかけてくれた方も数人いた。

 およそ3週間ぶりに人前で歌ったが、この日は調整がうまく運んで喉の調子は万全。無理に歌わず、ライブ直前数日に集中的に歌いこむという調整法が、いまの自分には合っているようだ。
 各種対策が効いているのか、6ヶ月以上も風邪をひいていない。失敗を繰り返して、身の丈に合った新しい経験として積み重なってゆく。