訪問ライブ顛末記


デイサービスつどい・訪問ライブ /2018.5.23



 自宅から東に60km離れた街にあるデイサービスで初めて歌った。依頼はネット経由であり、ブログ等でのライブレポを詳しく読んで、興味を持ってくれたらしい。
 ライブ開始は13時半だったが、移動時間を考慮すると、昼食をどこかでとる必要がある。11時に自宅を出発し、施設近くのイオンで昼食をとることにした。

 グーグルマップを駆使して空いている道を選んだので順調に走り、12時10分にイオン到着。店内で昼食を食べつつ休憩、12時45分にイオンを出発し、迷うことなく13時5分に先方に着いた。

 職員さんが苦心して作ってくれた名前入りの看板が開演前に突如落下する、というアクシデントに見舞われたが、何とか補修して準備が整う。予定を早めて13時25分くらいから始めることになる。
 相次ぐリクエストやアンコールなどあり、予定を超える45分で14曲を歌った。
(※はリクエスト)


「北国の春」
「おかあさん」
「蘇州夜曲」
「幸せなら手をたたこう」
「高校三年生」(歌詞カード)
「みかんの花咲く丘」(歌詞指導)
「夜霧よ今夜も有難う」(二択リクエスト)
「つぐない」
「浪花節だよ人生は」
「好きになった人」(初披露)※
「酒よ」※
「愛燦燦」※
「青い山脈」
「月がとっても青いから(アンコール)」


 聴き手は系列グループホーム利用者も加わって、20名強といったところ。初めての施設なので定番曲を中心に手探りで歌い進めたが、この日は調整がうまく運んで、喉の調子が絶好調に近かった。
 1曲目から調子よく手拍子が飛び出す。3曲目でバラード系の曲を歌い終えたあと、元気のいい曲が好きか、静かな曲が好きか場に尋ねてみた。するとすかさず「元気のいい曲!」との声が挙がる。そこで状況次第では外すつもりでいた「幸せなら手をたたこう」を歌った。

 以降はストローク系の曲を中心に歌い進めたが、不思議なことに叙情系の曲に対する反応も決して悪くはなく、「みかんの花咲く丘」や「酒よ」「愛燦燦」では涙を流す人も複数いた。
 つまりこの日は「何を歌っても受ける」という稀有な日だったといえる。地方都市でのライブにしばしば見られる現象で、弾き語りライブそのものが珍しいということも味方してくれたように思える。

 9曲歌い終えた時点で30分が経過。ライブ時間は30〜40分と打合せてあったが、ここでリクエストを募ってみた。声がなければ適当なところで打ち切るつもりでいたが、曲名ではなく歌手名でもOKですよ、と言い添えたせいか、それなりに声があがった。
 開始40分を超えた時点で最後の曲としたが、終了後も拍手が鳴り止まず、そのまま「アンコール!」の手拍子へと突入。久しぶりに打合せなしの「真のアンコール」で、この日の出来の良さを物語っていた。
 珍しくライブ中ほどで自己紹介をかねた長めのMCを入れてみたが、初めての場を和ませるには充分な効果があり、ライブの成功につながったと思う。

 終了後、デイサービス利用者の方々と共に、簡単な茶話会に参加。雑談の中で次回ライブの具体的な話が持ち上がり、9月の敬老会に再び伺うことがその場で決まった。5日前のカフェライブでも終了後に次回のライブ日程が決まったが、続くときは続くものだと驚く。
 調子に乗り過ぎぬよう戒めなくてはならないが、長く低迷していた喉の不調から、ようやく完全脱却できたかもしれない。収穫の多いライブだった。


 

ツクイ札幌屯田・訪問ライブ /2018.5.27



 車で15分ほどの近隣にあるデイサービスで歌った。初めて行く施設だが、先月歌ったデイサービスの系列で、ライブ中に電話があって受話器越しに歌を聞きつけ「ウチでもぜひ歌って」と依頼された。
 実は施設長さんとは系列別施設で一度お会いしている。依頼ルートとしては、紹介&リピートの混在型か。

 開始15分前に施設に到着。顔見知りの施設長さんは不在だが、他の職員さんに話は通っている。予定の14時に準備が整って始めようとしたら、最前列の女性が急にトイレに立った。職員さんの要望でしばし待つことにする。
 用が済んでいよいよ始めようとしたら、別の男性がまたトイレに。さすがに2度目なので今度は待たずに始めることになった。
 2分ほど遅れて開始。およそ1時間で17曲を歌う。(※はリクエスト)

《前半》
「北国の春」
「おかあさん」
「港が見える丘」
「バラが咲いた」
「二人は若い」
「高校三年生」
「みかんの花咲く丘」(歌詞指導)
「夜霧よ今夜も有難う」
「つぐない」
「浪花節だよ人生は」

《後半》
「川の流れのように」※
「与作」※
「王将」※
「箱根八里の半次郎」※
「荒城の月」※
「小樽のひとよ」※
「青い山脈」


 聴き手は30名強。他施設に比べて特徴的なのは男性の比率が高いことで、2〜3割はいた。そのせいかどうかは分からないが、全体的に場が大人しい。1曲ごとの拍手はそれなりにあるが、曲紹介での歓声や、自然発生的な手拍子が皆無に近く、ライブの進行は難しいものとなった。
 4日前に別のデイサービスで歌って大好評だったセットをベースにしたが、歌い手は同じでも聴き手の構成や職員の対応などで、ライブはガラリと変わる。それがライブの怖さであり、面白さでもある。

 予定を咄嗟に変更し、4曲目に「バラが咲いた」を追加して、「幸せなら手をたたこう」を「二人は若い」に差し替えた。場が傾聴型ではないか?と判断した結果だが、これが正解だったかどうかは分からない。
 手探り進行の中でも比較的反応がよかった曲は、「みかんの花咲く丘」「夜霧よ今夜も有難う」あたり。「夜霧よ今夜も有難う」は男性にも受けた。

 30分が過ぎたあたりで、いつものように場からリクエストを募る。3曲目まではすべて男性からのリクエストで、女性とは傾向の違う曲を求められた。そもそも男性のリクエスト自体が珍しいこと。
 その後はリクエストが途切れ、開始45分が経過したのでラストの曲に移って終わろうとすると、なぜか職員さんの待ったがかかり、盛んにリクエストを募っている。ところが、なかなか声があがらない。じっとスタンバイして待ったが、やや場の気分が冗漫になった。

 各テーブルを回るうち、ようやく女性からの声がいくつか出て、さらに3曲を歌う。この時点で1時間弱が経過。無理をするとまた喉を傷めるし、要望には十分応えたので、こちらから声をかけ、打ち切りとさせていただいた。
 進行等の都合でリクエストに応えられなかった曲は、「ふたり酒」「下町の太陽」「きよしのズンドコ節」「歩」「お祭りマンボ」など。

 退去時には利用者の方々から自然に拍手が湧いたので、そう悪いライブではなかったと思う。しかし、最後まで場をつかみきれない歯がゆさが残った。


 

ベストライフ西・6月誕生会 /2018.6.24



 市内やや遠方にある有料老人ホーム誕生会で歌った。施設長さんとは12年にわたる長いお付き合いがあり、関連施設に移動するたびに年1回ペースで招かれている。
 今回の施設に限れば、都合7回目の訪問。12年もの月日が流れると、職員さんはもちろん、利用者の顔ぶれもゆっくりと変わってゆく。

 事前の打ち合わせのなかで、最後に施設長さんとコラボ演奏することが決まる。最近よくある傾向で、私が伴奏とサブボーカルを担当し、職員や利用者がメインボーカルで歌うという趣向。
 特に施設長さんが歌うと、確実に盛り上がる。おしなべて反応が弱い場なので、歌い手としてはやりやすい。

 14時15分から誕生会の開始。施設のイベントなどあって、ライブは14時25分から始まった。コラボ演奏を含め、およそ40分で12曲を歌う。


「憧れのハワイ航路」
「宗谷岬」
「瀬戸の花嫁」
「ふたり酒」(初披露)
「バラが咲いた」
「二人は若い」
「埴生の宿」
「踊子」
「古城」
「浪花節だよ人生は」
「東京ラプソディ」
「上を向いて歩こう」(コラボ演奏)


「できれば元気の出る曲を」と事前に施設長さんから要望があり、それに沿った構成で臨んだが、歌に合わせて手拍子をしたり、共に歌ったりする方がけっこういて、進行はおおむねうまく運んだ。

 初披露の「ふたり酒」は他のデイサービスで出たリクエストだったが、ここではやや新しすぎた感。後半に歌った「浪花節だよ人生は」も他施設では受ける歌だが、同じ1980年代の曲ということで、外した感じだ。
 古い曲はまずまず安定した反応があったが、「埴生の宿」からの中盤4曲は聴き手の疲れもあったか、反応がやや弱かった。古ければよいというわけではなく、構成にもうひと工夫が必要だった。

 ソロとしてのラスト、「東京ラプソディ」は場から掛け声もかかり、大いに盛り上がる。この種の古くて元気がよく、手拍子のひとつも出そうな曲。数曲の準備はあるが、温存せずにどんどん中盤でも歌うべきのようだ。

「東京ラプソディ」の前に告知したが、ラストは施設長さんとのコラボ演奏だった。直前にキーや前奏からの入りを確認しただけで、ほぼぶっつけである。しかし、昨年も終了時に「次回はぜひご一緒したい」との要望があったので、うまくやれそうな予感はあった。
 歌い始めると、途中でアドリブのフリや掛け声を入れるなどし、そのたびに会場が湧く。巧みなステージさばきで、私はギターで調子を合わせるだけの楽な役割だった。
 後半になると、アドリブでのハモリが入る。事前の打ち合わせで(やるかも…)との話はあり、私はユニゾンで歌うことが決まっていた。ここだけメインボーカルとしてのバランスに変えたが、これまたピタリと決まって、ヤンヤの喝采を浴びる。
 それまで大人しかった場が、ラスト2曲で最高の盛り上がりを見せて終わった。

 マイクとスタンド、電子譜面は予備のセットを持参したが、手製でやや安定性に欠けることもあって、私が予備セットを使用。問題なく演れた。
 終了後に確かめたら、ずっと音楽(エレクトーン)をやっていたそうで、さすがにリズム感や音感に秀でているはず。場のさばきなど、いろいろと参考になった。


 

新川エバーライフ・7月お楽しみ会 /2018.7.18



 車で25分の距離にある特養&デイサービスの複合施設で歌った。5年前にネット経由で初めて依頼され、以降年に一回ペースで依頼が続いている。
 当初は誕生会余興として歌っていたが、最近は単純に月例のお楽しみ会余興、という切り口に変わった。余興としての役目はどちらも同じだが、イベントとしてはお楽しみ会がよりシンプルだ。

 14時30分開始に合わせ、14時15分に会場入り。長く担当していたケアマネのNさんが関連他施設に移動になり、今回から担当が相談員のYさんに変わった。利用者への対応に忙しそうで、設営は昨年と同じ要領で自主的に進める。5分前にはスタンバイした。
 新施設長の簡単な開会宣言があり、14時30分ぴったりに始まった。アンコールなどあって、およそ35分で11曲を歌う。

「憧れのハワイ航路」
「おかあさん」
「青春サイクリング」
「バラが咲いた」
「幸せなら手をたたこう」
「上を向いて歩こう」
「われは海の子」
「夜霧よ今夜も有難う」
「喜びも悲しみも幾歳月」
「りんごの木の下で」
〜アンコール
「月がとっても青いから」


 聴き手は特養入居者とデイサービス利用者を合わせ、およそ100名。ステージ付きの広いホールに対応するべく、PAはいつも2台使っている。
 年齢や介護度にバラつきがあるので、選曲にはいつも腐心する。万人受けする曲をベースに、要所にやや新しい傾向の曲を配置する。歌うのは今回で7度目だが、なぜか依頼はいつも春か夏で、選曲は似た傾向になりがちなのが悩みだった。

 この日は長く続いた梅雨模様の天気が一転し、夏空が広がる陽気。室内は蒸し暑く、聴き手の反応は弱くて曲間の拍手もまばら。
 5曲目には当初、初披露の「ああそれなのに」を予定していたが、難しいと判断し、参加型の「幸せなら手をたたこう」に変更した。
 これを機に大人しかった場の反応が少しよくなり、手拍子や共に歌う声も出始める。「夜霧よ今夜も有難う」では、終了を待たずして拍手が湧いた。

「喜びも悲しみも幾歳月」〜「りんごの木の下で」と続く終わり方は初めて試みたが、反応はよかった。どちらもリズム感に富んだ曲調で、人生の喜びと悲しみを思いつつ、明るく楽しく締めくくるという展開が支持された。
「りんごの木の下で」では、2番と3番の間奏中に「本日はご清聴ありがとうございます。みなさまどうぞお元気でお過ごしください」とメッセージを入れた。終奏でやることはたまにあるが、間奏では初の試み。期待通りの手応えだった。

 時間ぴったりに終えたが、職員さんから打合せにないアンコールが出る。しかし、場の気分には充分沿うものだった。暑いので、長い曲は禁物。2分弱で無難にまとめる。
 難しい場だったが、いくつかの新しい試みもうまく運んで、先方の要望には充分応えられたと自己評価。

 撤収中に車椅子の男性が近寄ってきて、いろいろ話しかけられた。若い頃にバンドを組んで歌っていたそうで、とてもよかったと喜んでくれた。
 身体が不自由になってギターが弾けなくなり、いまはカラオケに専念しているが、やはり弾き語りでないと感覚にズレがあって、うまく歌えないとこぼしていた。レパートリーを聞いたら、古い懐メロ系ばかりだったが、唯一「誰か故郷を想わざる」だけが私にも歌えた。
 職員さんが迎えに来ても名残惜しそうに、なかなかその場を離れない。「どうぞお元気で」と別れたが、次回がもしあるなら、「誰か故郷を想わざる」を歌おうかと思う。


 

ケアハウス瞳・夏祭り /2018.8.11



 ネット経由で依頼があった市内のケアハウス(高齢者対応住宅)夏祭りで歌った。世間はお盆休みに入っているが、介護に盆も正月もない。

 開始は13時で、裏道を通ってわずか15分で到着。あいにく雨模様の天気で、草花や木々は元気を取り戻したが、イベントには最悪の条件だった。
 ライブ会場は雨の影響を受けない屋内の食堂。だが、午前中の屋外屋台イベントは、わずかな晴れ間をついて無事に済ませたという。ライブの始まる時間には再び降り出したので、何という強運か。

 ケアハウスからの依頼は初めてで、様子は全く分からなかったが、利用者の介護度が1〜5と広く、昭和歌謡から懐メロまで幅広く歌って欲しいとの希望だった。
 13時ちょうどに開始。想定外のダブルアンコールを含め、およそ40分で13曲を歌った。


「憧れのハワイ航路」
「二輪草」
「瀬戸の花嫁」
「知床旅情」
「幸せなら手をたたこう」
「恋のバカンス」
「牧場の朝」
「夜霧よ今夜も有難う」
「旅の夜風」
「高校三年生」
「東京ラプソディ」
〜アンコール(リクエスト)
「王将」
「好きになった人」


 構成は一昨日実施の認知症カフェとほぼ同じだが、「みんなで歌える曲を歌詞カードで配布したい」という要望があり、「知床旅情」「高校三年生」の2曲をプリントして持参し、施設側にコピーしてもらう。これに応じて、曲順も入れ替えた。

 聴き手は40名強。事前の情報通り、介護度にはかなりのバラつきがあったが、同じ施設利用者で統一されているので場の反応は比較的よく、1曲目から早くも自然発生の手拍子が起きた。
 以降、曲の紹介をするだけで会場が湧くというやりやすさ。この日は喉が絶好調に近く、尻上がりに場は盛り上がった。
 特に手応えを感じたのが、「恋のバカンス」「東京ラプソディ」あたり。唯一期待はずれだったのが、懐メロの「旅の夜風」。この場にはやや古すぎた印象だった。

 要望通り30分強で終えたが、「次が最後の曲です」と告げたとたん、「え〜、もう終わるの」との声がいくつか届く。終わった直後の拍手がそのまま打ち合わせなしの手拍子アンコールにつながるという、まるで2日前の認知症カフェを再現するようなシーンだった。
 場の様子から、なにかリクエストが出る予感がし、アンコールに何を歌うべきか進行の方にうかがうと、すぐに場から複数の声が上がる。

「王将」「都はるみ」「真っ赤な太陽」「島倉千代子」「赤とんぼ」との声が続いたが、真っ先に出た「王将」を歌った。
 ところが場がそれでは納得せず、続けて「好きになった人」を歌うことになる。どちらもめったにリクエストは出ないが、この日は何を歌ってもうまくやれた。

 アンコールが延々続きそうな雰囲気になったが、施設側のイベントがまだ残っているそうで、進行の方の判断でここで打ち切り。
 終了後にも「よかったよ、ありがとう!」とあちこちから声がかかる。「バランスのとれた構成がよかった」「利用者がみんな喜んで乗ってくれた」と、施設側にも好評だった。


 

ツクイ札幌太平・訪問ライブ /2018.8.12



 近隣のデイサービスで歌った。今回で14度目の依頼だが、事前に施設側と折衝し、ステージ位置や客席の配置をこれまでとは大きく変えてもらった。
 音の返りや聴き手とのコミュニケーションに違和感を感じ始めたのがその理由。ステージは壁を背にし、客席は窓を背負う位置で歌い手を見やすくする。テーブルは通常の食堂配置ではなく、椅子だけを並べて歌い手との距離感を短くする。
 他の施設では普通にやっている手法だが、回数が重なると慣れの部分で悪い面も出てくる。その修正を提案した。

 開始15分前の13時45分に先方到着。テーブル配置はまだ通常のままだったが、ほどなくしてテーブルと椅子の分離作業が始まる。初の試みだったが、割と簡単に終わって、定刻前にはスタンバイした。
 やや早めの13時57分くらいからライブ開始。7分の休憩をはさみ、正味60分で19曲を歌った。(※はリクエスト)


「憧れのハワイ航路」
「二輪草」
「ふたり酒」
「瀬戸の花嫁」
「知床旅情」
「二人は若い」
「恋のバカンス」
「牧場の朝」
「われは海の子」
「夜霧よ今夜も有難う」
「君恋し」
〜休憩7分
「高校三年生」
「人生いろいろ」
「涙そうそう※」
「恋はやさし野辺の花よ」
「ダイアナ」
「思い出のグリーングラス」
「愛燦燦※」
「りんごの木の下で」


 聴き手は30名弱。今年になって2度目のライブだが、なぜか前回よりも参加者は増えていた。
 曲の構成は前日と大きく変えていない。ただ、この施設では1時間という長い演奏を求められる。川中美幸をメドレーで歌ったり、夏の唱歌を2曲続けたりしたのは、演奏時間を調整する意図からだった。

 大きな問題もなく、まず11曲を無難に歌う。4日で3回というハードなスケジュールの最終日だったが、喉は好調を維持していた。そのせいか、はたまた会場配置をガラリ変えたせいか、場の手応えは前回よりも遥かにいい。
 この日は非常に蒸し暑く、聴き手の体力を考慮して、途中で休憩を提案した。トイレに立つ人がけっこういて、思っていたより時間がかかってしまう。利用者の多くは顔なじみなので、適当な雑談で場をつないだ。

 他施設での夏向き構成は前半で使い切ったので、後半は目についた曲を適当に歌う。活発な場ならリクエストがどんどん出て選曲には困らないが、この施設に限ればその傾向はなく、曲の選択は概ね歌い手に任される。
 わずかに出たリクエストに応えつつ、過去にあまり歌っていない洋楽系を中心に歌い継いだが、反応自体は決して悪くなかった。

 やがて正味1時間が経過。他施設の平均演奏時間よりは遥かに長い。施設の求めには十二分に応えたので、ラストの曲でにぎやかにシングアウトして終えたが、なぜか場が納得していない雰囲気。
「もっと聴きたい」という無言の意思表示なのは明らかで、進行の方も扱いに困っていたが、この施設では過去にも無理をして喉を傷め、予定をキャンセルした苦い経験がある。情に流されては結局我が身を滅ぼすだけなので、「またの機会に」と固辞した。

「今日はこれまでで最高の歌唱ですね」と、昨年喉を傷めた時期に対応してくれた職員さんから、休憩中に声をかけられた。
 3日前からの連続ライブで、ピークに近い喉の好調さを自覚していたが、長く聴いてくれている方から同様の評価を受け、年頭から取り組んでいるさまざまな復活作戦に自信を深めた。
 3日続けて「もっと聴きたい」という声が自然に上がったのも、決して偶然ではない。聴き手は正直なものだとつくづく思う。

・風邪を引かない各種予防策(食生活やストレッチ)
・毎日の歌の練習はやらず、ライブ数日前に軽くチェック&調整する程度
・年間ライブ数は50以下
・演奏時間は短めに(やむを得ない場合は休憩を入れる)
・ライブは1日1本まで

 復活作戦の概要はこんな感じだが、これで何とか70歳まで人前で歌い続ける目標が叶うかもしれない。