訪問ライブ顛末記


ケアハウスつかさ・敬老会 /2017.9.15



 ネット経由で初めて依頼された市内のケアハウス(軽費老人ホーム)敬老会で歌った。このところネット経由での新規依頼が増えていて、相対的にリピート依頼がやや減少傾向にある。
 年2回ペースで依頼が続くと、数年で途切れるケースが多い。定住性の高い介護施設だと4〜5回の訪問で飽きられるようで、これは仕方がないことだ。年1回ペースだと細くとも長く続くことが多いのだが、そう都合よくはいかない。

 施設は昨日のライブで行き帰りに走った札幌新道沿いにあり、場所と所要時間はすでにチェック済みだった。開始15分前には到着したが、会場となるホールではカラオケの真っ最中。聞けば午前中から続いている敬老会イベントの一環だそうで、入居者代表によるカラオケだった。
 会場の片隅で機材を組み立ててスタンバイ。カラオケは15時5分前に終わり、素早く機材を中央に移動させた。客席前には高さ40センチほどのステージもあったが、そこには上がらずに手前の床に立って歌うことにする。

 15時ちょうどからライブ開始。先方の希望通り、30分で10曲を歌った。


「憧れのハワイ航路」
「おかあさん」(森昌子)
「炭坑節」
「バラが咲いた」
「幸せなら手をたたこう」
「高校三年生」
「荒城の月」
「時の流れに身をまかせ」
「星影のワルツ」
「青い山脈」(歌詞配布)


 聴き手は40名ほど。自立度の高い居住型施設ということで、車椅子使用者もなく、昨日歌った介護予防事業の場と大差ない雰囲気。男性の比率も高い。
 そんな傾向を事前の調査である程度把握していたので、叙情系の歌は少なめにし、テンポのよい曲を中心に組み立てた。

 この思惑は当たって、1曲目から間奏でさざ波のような拍手が自然に湧くという現象が起きた。直前のカラオケの気分を引きずっていた可能性も否定できないが、めったに起きないこの「曲間での拍手」は、大半の曲で終了まで続いた。

 これといったミスもなく、トントンと歌い進んで、あっという間にラストの「青い山脈」を迎える。事前の打合せでこの曲だけ歌詞カードが施設から配られ、全員で歌って終了となった。
 場にちょっと余韻が残ったが、時計は15時半。長い時間続いたイベントということで、時間通りにお開きとなった。

 機材を片づけていたら、職員さんが近づいてきて「あちらの入居者様からです」と、小さな包みを差し出す。何と、施設ではめったにないお捻りだった。
 席まで直接お礼に行き、職員さんの計らいで記念写真など撮影する。母親のような年頃の女性だったが、「お一人で本当によくがんばっておられますね」と労われた。

 帰り際にも会場の出口で5〜6人の入居者の方が待ち構えていて、そのまま玄関までついてきて見送ってくれた。数多くの場で歌ってきたが、これほど手厚い待遇を受けた記憶はない。歌い手冥利につきる日だった。


 

パナソニックエイジフリー札幌南・敬老会 /2017.9.27



 今年1月にオープンしたばかりというパナソニック系介護施設で歌った。家電の大手が介護施設事業に進出していることを初めて知ったが、これもご時世なのだろう。
 引き合いはネット経由であったが、聞けばボランティア演者を受け入れるのは初めてという。電話のやり取りの中で担当者が不慣れな印象がしたので、ライブの進行に関し、こちらからいろいろと提案して進めた。

 施設は札幌の南端にあり、北端にある我が家からは市内で最も遠い位置にある。普通に走ると都心を経由することになり、1時間はかかる。経路を慎重に検討し、都心を回避して豊平川右岸の裏道を通って向かうことにした。
 12時45分に家を出たが、到着は13時35分あたり。所要時間50分で、多少は時間短縮できたかもしれない。

 施設はデイサービスとショートステイを併設した小規模多機能型。聴き手は併せて40名ほどで、男女比は4:6ほどか。他施設と比べ、男性の比率が高めなのが特徴だった。
 予定ぴったりの14時から始まり、想定外のアンコールなどあって、休憩なしの65分で20曲を歌う。

《セレクトタイム》
「高原列車は行く」
「おかあさん」
「お富さん」
「バラが咲いた」(歌詞指導)
「幸せなら手をたたこう」
「高校三年生」
「荒城の月」
「時の流れに身をまかせ」
「星影のワルツ」
「浪花節だよ人生は」

《リクエストタイム》
「北国の春」
「おふくろさん」
「ああ上野駅」
「いちご白書をもう一度」
「矢切の渡し」
「川の流れのように」
「ブルー・シャトー」
「今日でお別れ」(初披露)
「青い山脈」(歌詞指導)
〜アンコール
「月がとっても青いから」


 1時間のライブが先方の希望で、後半をリクエストで進めることにする。前半の構成には悩んだが、初めての施設とあって冒険は避け、一般的なデイサービスの構成で臨むことにした。
 叙情系の曲は少なめにし、7割をニギヤカ手拍子系の曲にしたが、この目論見は当たった。1曲目からいきなり手拍子が飛び出す。「バラが咲いた」は数少ない叙情系の曲だが、手拍子しつつ共に歌う人もいたので、歌詞指導しながら進めた。

 その後、大半の曲に手拍子が飛び出し、非常にやりやすい進行となった。アクセントとして入れた叙情系の「荒城の月」「星影のワルツ」の反応も悪くなく、つまりは「何を歌っても受ける」状態だった。

 喉の調子はあまりよくなく、1曲目のピーク音で一部声が割れるというアクシデント発生。5〜6月の悪夢が一瞬胸をよぎったが、以降の数曲は高音部に細心の注意を払って進め、どうにか最悪の事態は回避した。
 出掛けに雑事でバタバタし、充分なリハーサルが出来なかったことが直接の原因。まだまだ修行が足りない。

 後半から高音が安定し始め、場のあと押しもあってじわじわと乗った。リクエストはおおむね他会場と似た傾向だったが、終了直前に高齢の男性から「今日でお別れ」の珍しいリクエストが出て驚く。
 好きな曲だが、今回が初披露。これが我ながら出来がよく、場は水を打ったように静まり返る。感極まって涙をぬぐう女性もいた。一転して「青い山脈」を全員で賑やかにシングアウトし、ラストの伴奏にかぶせてお礼のメッセージを送ると、盛大な拍手で場の気分は最高潮に。

 拍手はそのまま収まらず、誰からともなく「アンコール!」の声が飛び出し、それが手拍子と重なった。全く打合せにない自然発生的アンコールで、これまた稀な現象。ありがたく「月がとっても青いから」で収めさせていただいた。

 機材をまとめて退出する際にも盛大な拍手で送っていただく。初めてのボランティア受入れとは思えない盛り上がりようで、職員さんも驚いていた。
 10日ほど前にも別の介護施設で似たシーンがあったが、今年の敬老月間はいろいろとツキにも恵まれている。


 

ふれあいセンター福住・お楽しみ会 /2017.10.11



 札幌市社会福祉協議会が手がける「福祉のまち推進事業」の一環として実施された、地域のふれあいお楽しみ会で歌った。
 きっかけは今年6月に歌った認知症カフェ。参加者に事業の関係者がいて、カフェ主宰のS子さん経由で出演を打診された。いつも思うが、地道でも真摯に活動を続けていれば、道は同じ志を持つ別の場所にどこかでつながっている。

 イベント開始は11時で苦手な午前中ライブだが、やはり今年から関わっている市の介護予防事業でも午前中開始が基本。高齢者が対象の公的事業では避けられないスケジュールのようだ。

 場所は6月の認知症カフェに近いまちづくりセンター。開始25分前に会場に着いて、たくさんの関係者と挨拶を交わす。プログラムをもらったが、ゲスト出演は私一人で終了後に会食、その後カラオケ余興と続く。
 裏面には参加者の席割りが記載されていて、数えてみると参加者は86名。男女比は4:6ほどだった。

 予定ちょうどの11時に開始。まず代表者の挨拶があり、11時10分から歌い始める。先方の希望通り、50分で18曲を歌った。


《セレクトタイム》
「高校三年生」
「赤い花白い花」
「涙くんさよなら(初披露)」
「星影のワルツ」
「サン・トワ・マミー」
「荒城の月」
「恋の町札幌」
「バラが咲いた」

《リクエストタイム》
「つぐない」
「アメイジング・グレイス」
「小樽のひとよ」
「ここに幸あり」
「いちご白書をもう一度」
「昔の名前で出ています」
「ルビーの指輪」
「青春時代」


 15センチくらいの小さなステージとプロジェクターが用意されていて、歌詞はリアルタイム表示である。会場が縦長で、いわゆる「うなぎの寝床」。聴き手が予想よりもはるかに多く、音の返りがほぼないので歌いにくい。事前の打合せ不足で、PAを2台準備してこなかったことを少し悔やんだ。
 あとで知ったが、参加者は近隣の21町内会から広く集まっていた。単一町内会ではなく、飲物も一切提供されていないこともあってか、場は非常に大人しい。そんな状況をある程度見越し、構成は叙情系の曲を中心にした。

 場は静かだが1曲ごとの拍手は盛大で、手応えそのもは決して悪くない。「星影のワルツ」では歌が終わる前にさざ波のような拍手が湧いた。確かめていないが、ライブによるイベント自体が少ないのかもしれない。

 25分が経過して、打合せ通りリクエストタイムへと移る。スタッフの一人だったS子さんがメッセンジャー役を引き受けてくれて、10曲を超すリクエストがすでに集まっていた。
 メモを見ながら、演歌系とそれ以外の曲のバランスをとりつつ歌い進める。「ここに幸あり」では間奏で拍手が湧いた。場は明らかに叙情系の曲を求めていた。

 時間の都合で歌えなかったリクエストは、「知床旅情」「昴」「愛の讃歌」「別れの朝」「糸」といったところ。やはり叙情系の曲が圧倒的で、この種の場ではそうした嗜好が強いことを再認識した。

 喉の調子はまずまずで、これといったミスもなく、12時ちょうどに終了。公的組織が主催する場合、時間には厳密さが求められる。
 関係者を中心に労われたが、「時間がちょっと足りなかった感じでしたね」と複数の方から言われた。歌っている本人にも、確かにそんな感覚はあった。対象地域が狭い介護予防事業なら時間はアバウトだが、そこが運営の難しさだ。
 しかし、ライブ自体は喜んでもらえたので、次につながる。


 

ツクイ札幌太平・訪問ライブ /2017.10.22



 車で10分ほどのデイサービスで歌った。3年前に系列施設の紹介で初めての依頼があり、今回が数えて10回目のライブ。今年に入ってから実に4度目の依頼で、深く確かな信頼関係が築かれつつある。
 依頼が続くこと自体は大変ありがたいが、マンネリ化の不安が常につきまとう。過去の記録を参照に、曲の重複を慎重に避けて準備した。

 風邪気味の体調はじょじょに回復しつつあり、明け方の咳も出なくなったが、用心してハチミツ大根だけはまだ飲み続けていた。

 開始15分前に会場入り。いつものことだが、普段の利用日を飛び越えて聴きにくる利用者の方が複数いて、「菊地さ〜ん、また来たわよ」と声をかけてくれる。すっかり顔なじみなので、「しばらくです、お元気でしたか?」などと応ずる。
 予定通り、14時から始める。断続的なアンコールなどあって、およそ1時間で17曲を歌う。

《セレクトタイム》
「高原列車は行く」
「函館の女」
「お座敷小唄」
「ここに幸あり」
「小樽のひとよ」
「思い出のグリーングラス」
「荒城の月」
「小指の想い出」
「北酒場」
「星影のワルツ」

《リクエストタイム》
「夢追い酒」
「夜霧よ今夜もありがとう」
「青春時代」
「涙そうそう」
「いい日旅立ち」

《アンコール&コラボタイム》
「東京ラプソディ」
「大空と大地の中で」


 台風接近で空模様が怪しく、選挙の投票日と重なって、聴き手はやや少なめ。それでもみなさん熱心に聴いてくれる。大半が女性ということもあってか、この日は叙情系の曲に対する反応が特によかった。
 出掛けの自宅リハで高音の一部がかすれ、やや不安があったが、いざ歌い始めると声は普通に出た。各種対策が功を奏して、風邪は9割方回復したようだ。

 30分で前半を無難に終え、後半のリクエストタイムへと突入。開始の時点ですでに3曲のリクエストを貰っていて、職員さんが付箋に書いてマイクスタンドに貼り付けてくれた。
 最初に出た「夢追い酒」はレパートリーにあったか記憶になく、一瞬戸惑ったが、ライブ前に調べてみたらちゃんとあった。人前で歌うのは実に9年ぶりだが、問題なくやれた。

 順に歌い進むうち、場の雰囲気が少しおかしくなる。感動して涙を流す人が一人二人と現れ、それが次々と会場に広がっていく。一昨日のカフェライブでも涙をみたが、あくまで限定的なもの。涙が伝染してゆくのは初めての経験で、かなり戸惑った。
 リクエストに応じると頼んだ人はそれだけで感動してしまう傾向にあり、今回は叙情系の切ない曲が集中したという背景もあったように思える。

 以前なら歌っている本人もつられて泣いてしまい、崩れてゆくパターンだったが、経験を重ねたいま、それは克服した。

 ともかくも要望には応えて、最後は楽しく賑やかに終わるべく、予め用意した「東京ラプソディ」で歌い収めるつもりだった。しかし、涙で燃え上がった場の気分は簡単には冷めず、「もっと聴きたい…」との声が複数あがる。
 つまりは自然発生的アンコールなのだが、ここで一計を案じ、以前にラストの曲をコラボした職員のAさんに登場してもらうことにした。全く予告なしだったが、Aさんのボーカルを主体に「大空と大地の中で」を歌って、ようやく場を収めることができた。
 終了後にクリスマスライブへの出演を打診される。まだ2ヶ月も先のことで、もし受ければ同施設で年5回のライブという記録更新となるが、こうなれば飽きられるまでお受けするとしよう。


 

清田区介護予防センター ライブヒルズ会場 /2017.10.23



 風邪が抜け切らない体調のなか、4日間で3度というタイトなライブスケジュールの最終日だった。この日を乗り切れば一息つける。
 依頼は市の介護予防事業からで、声の出にくい午前開始という難しい条件がまずあり、さらには大型台風が接近中で悪天候の予報。会場は遠方の札幌南東部に位置している。
 当初の実施予定は1週間前だったが、当該町内会の都合で延長され、運悪く忙しい時期にぶつかった。いろいろ悪条件が重なったが、ともかくもライブ3時間前の7時に起きて備える。

 外は寒くて暗い。予報通り8時くらいから雨が降り始め、雨脚は次第に強くなった。雨は雪に変わるらしく、悪天候下で高齢者対象の介護予防イベントがやれるのか不安だったが、事務局から中止の連絡はない。
 余裕をみて開始1時間15分前に家を出る。月曜と台風が重なって幹線道路は渋滞気味で、雨は途中からミゾレへと変わった。

 9時35分くらいに会場付近に着いたが、対象の町内会館がどうしても見つからない。事前にグーグルマップで確認したが、外観は普通の住宅だった。郊外の新興住宅地で、似たような街区と建物が延々並び、見分けがつかない。
 周辺をぐるぐる回るうち、ミゾレは雪へと変わる。開始時間が迫って気は焦り、思い余って担当者に携帯で連絡した。

 携帯でのナビ指導でようやく目的の会館にたどり着く。あとで知ったが、幹線道路から右折を3回すべきところを、2回だと錯誤していたようだ。

 時計は9時50分を回っている。雪に濡れながらアタフタと機材を搬入。挨拶もそこそこに設営し、スタンバイしたのが10時ちょうど。ずっと我慢していたトイレに行かないと始められないが、廊下で見知らぬ男性から「隣の部屋でフラダンスの音楽をかけていいか」などと不可解な声がかかる。
 こちらは単なる講師の身だし、相手をしている余裕はない。事務局に対応をお願いし、ともかくもステージに立った。

 身も心も落ち着かないまま、予定より2分遅れでスタート。くじけそうになる気持ちを奮い立たせ、1時間15分で22曲を歌った。


《セレクトタイム》
「高校三年生」
「赤い花白い花」
「恋のしずく」
「涙そうそう」
「サン・トワ・マミー」
「荒城の月」
「恋の町札幌」
「バラが咲いた」
「つぐない」

《リクエストタイム》
「くちなしの花」
「喝采」
「アメイジング・グレイス」
「川の流れのように」
「蘇州夜曲」
「白いブランコ」
「酒と泪と男と女」
「星影のワルツ」
「函館の女」
「いい日旅立ち」
「ここに幸あり」
「愛人」
「君恋し」



 道に迷ってギリギリの到着という心理的動揺を抑えつつ、平静を保つよう努めたが、一部で声が割れそうになったりギターピックがずれたりし、出だしの数曲には多少の影響があったように思える。しかし、歌い進むうちにじょじょに普段のペースを取り戻す。
 聴き手は15名ほどで、男性は一人だけ。市内でも高級住宅地で知られる地域で、前半は多少それを意識して叙情系の曲を多めにし、演歌系は1曲のみとした。

 30分経ってリクエストタイムへと移行する。いわゆる「山の手」地域なので、積極的なリクエストは出にくいことも充分予想されたが、蓋を開けてみると唯一の男性から「くちなしの花」がいきなり飛び出す。
 これが引き金になり、以降のリクエストが途切れることはなかった。終了後にかの男性と言葉を交わしたが、若い頃にバンドをやっていたことがあるという。音楽に対して理解が深いわけだ。

 女性の比率が高いこと、さらには土地柄もあるのか、全体的に叙情的な曲が好まれ、リクエストもそうした傾向の曲が相次いだ。ニギヤカ手拍子系の曲は皆無だったが、場の集中度は高く、反応は熱かった。
 1時間を過ぎた時点で打ち切り時期を意識したが、リードするのはあくまで事務局側である。リクエストは続くが、頃合いを見て担当の方が「ではあと2曲で終わりとします」と告げた。
 ラストの盛り上がりに相応しい「君恋し」がうまい具合に出て、この曲で終了とさせていただく。

 終了後、所用で参加できなかったという町内会長さんが現れ、名刺交換しつつ他の役員の方も交えて言葉を交わした。年に一回くらい、こうした音楽の場があれば会としては盛り上がりますね、出かける場作りは大事ですね、と意見が一致。
 市の事業は今回で終了だが、もしかすると今後につながるかもしれない。条件としては最悪でもうまくやり繰りし、結果としてはそれなりのものを出せたと思う。

 外に出ると車は雪に覆われ、ブラシの準備がないので手で払い落とす。道路は5センチほどの積雪だったが、まだ夏タイヤのまま。幸いに気温はプラスで路面凍結はなく、慎重に運転して帰路につく。
 なんとか無事に乗り切った。


 

小規模多機能ホーム "初恋"・訪問ライブ /2017.11.6



 車で10分ほどの距離にある小規模多機能ホームで歌った。今回も依頼はネット経由だった。最近ではリピート依頼を含めた多くがネット経由になりつつある。時代は動いている。ブログを中心とした情報公開を怠ってはいけない。

 開始15分前の13時15分に到着。珍しく2階ホールが会場だった。聴き手は職員を含めて40名弱で、そう大きくはない会場は立錐の余地もないほど。
 初めて訪れる施設で年齢層も幅広いらしく、ごくオーソドックスな介護施設系のセットで臨むことにする。

 予定よりやや遅れて13時31分くらいにスタート。先方の希望通り、およそ45分強で15曲を歌う。


《セレクトタイム》
「高校三年生」
「おかあさん(森昌子)」
「お座敷小唄」
「バラが咲いた」
「幸せなら手をたたこう」
「上を向いて歩こう」
「荒城の月」
「小樽のひとよ」
「星影のワルツ」
「まつり」

《リクエストタイム〜シングアウト》
「北海盆唄」
「影を慕いて」
「いい日旅立ち」
「酒よ」
「青い山脈」



 場の嗜好がつかめないので、前半は手探りの進行となったが、2曲目の「おかあさん」でいきなり泣き出す人が現れた。過去に何度か泣かれたことのある曲だったが、以降の叙情系の曲でも涙を流す人が続出した。
 反面、ニギヤカ系の曲に対する反応はいまひとつの印象。「お座敷小唄」では事前に手拍子を誘導したが、多くの場では何も言わずとも手拍子の出る「まつり」では、ほとんど手拍子がない。

 後半のリクエストタイムでも叙情性の強い曲が続出。メロディに合わせて共に歌う人も数多く、場の傾向としては明らかに傾聴型だった。

 今回、リクエストは一覧表を配ったり事前に募ったりせず、その場のなりゆきで進めたが、出たリクエストは幸いに全てレパートリーにある曲だった。
「北海盆唄」「影を慕いて」は過去にほとんど歌ってないが、以前に別施設でリクエストがあって覚えたもの。地味な備えは思わぬ場面で活きる。

 請われるままリクエストに応じるうち、いつの間にか終了予定の14時15分を過ぎた。最後に賑やかに「青い山脈」で歌い納めとさせていただく。
 場に聴き足りないような独特の余韻も残ったが、高齢者が対象のライブとしては、程よい時間だった。

 終了後、声をかけてくれたKさんが「実は吹抜けの下でもグループホームの利用者が集まって聴いていたんですよ」と思いがけないことを言う。顔は見えずとも、音だけでライブは楽しめるようだ。
 関連施設の課長さんがたまたま居合わせていて、名刺交換していろいろお話しした。もしかすると別施設からも声がかかるかもしれない。

 喉の調子はまずまずで、大きなミスなく無難にこなしたが、反省としては2曲目の「おかあさん」でキーを間違えて1音低く歌ってしまったこと。さらには、「バラが咲いた」で聴き手の涙に一瞬流されそうになり、かろうじて堪えたことがある。しかし、ライブの流れを壊すものではなかったと信じたい。