訪問ライブ顛末記


清田区介護予防センター 里塚桂台会場 /2017.4.26



 今年6度目となる市の介護予防事業関連の場で歌った。いつものように開始は10時。声の出にくい午前中ライブだが、最近は少し慣れて、どうにかミスなく乗り切る術を会得しつつある。

 雪も消えてタイヤも交換したが、車の流れは冬とあまり変わらず、50分かかって会場に着く。ただちに機材設営にかかり、開始10分前にはスタンバイした。
 会場がやや狭く、プロジェクター投影をどうするかセンター職員の方と協議。やはりあったほうがいいでしょうということで、プロジェクターを最前列の椅子に置き、白いクロス張りの壁に投影してみると、まずまず見える。扉の枠で画面が分断されたが、譜面の中央切れ目に枠を配置することで、うまく回避した。

 集まった聴き手は約20人。全員が女性だった。事前に情報を得ていたので、構成にはある程度配慮した。予定ぴったりの10時に始まり、休憩なしの1時間半で22曲を一気に歌う。


《セレクトタイム》
「釜山港へ帰れ」
「みんな夢の中」
「恋のしずく」
「さくらさくら」
「青春時代」
「僕の胸でおやすみ」
「箱根八里の半次郎」
「南国土佐を後にして」
「いい日旅立ち」

《リクエストタイム》
「青い山脈」
「上を向いて歩こう」
「高校三年生」
「星影のワルツ」
「みかんの花咲く丘」
「浪花節だよ人生は」
「ワインレッドの心」
「山谷ブルース」
「さざんかの宿」
「愛の賛歌」
「人生一路」
「なごり雪」
「ブルーシャトー」


 この日は同じ町内会のメンバーがそろっていたようで、開始前からある種の統一感が会場に漂っていた。連日のライブで喉の調子は必ずしも万全ではなかったが、1曲目から手応えは熱く、熱心に耳を傾けてくれる。
「いい声してる!」と、曲間での声援も相次いだ。

 順調に8曲目まで終わって、約30分が経過。いつものように声をかけ、リクエストを募ってみた。場の反応からして、すぐにリクエストが出るものと期待していたが、なぜか誰も声をあげない。
 最前列のリーダーと思しき女性から、「聴いてるだけで充分楽しいですから、どんどん歌ってください」と言われ、それではと準備してあるリストの続きを歌う。

 9曲目の「いい日旅立ち」を歌い終えて、再度場にリクエストを求めてみた。するとようやく「青い山脈」の声が出る。聴き手の目は一様に輝いているが、メンバー全員が女性ということもあってか、真っ先に声をあげることに遠慮があるようだった。
「青い山脈」はラストのうたごえタイムの候補曲だったが、ここは素直にリクエストに従うべきだった。「どうぞみなさん、ご一緒に」と声をかけ、少し早めのシングアウトふう展開に持ち込む。

 これがきっかけとなり、次々と似た傾向のリクエストが飛び出す。大半の曲をみなさんが一緒に歌ってくれた。いわゆる「聴いてもらう」展開ではないが、ライブの楽しさという面では、十二分に満足できる流れだった。
 場の反応から、今回は歌詞を省略せずにフルコーラスを歌う曲が多かった。時間の割に曲数が少なめなのは、そのせいである。

 11時を回って、そろそろまとめに入る時間だったが、なぜかここでフォーク系のややマニアックなリクエストが相次ぐ。それに釣られるように、定番演歌のリクエストも続き、時計はいつしか予定時刻を過ぎて、終わるきっかけを失ってしまった。
 場が乗っている証で、歌い手としてはありがたいことだったが、ちょっと困ってセンター職員のKさんに判断を委ね、残2曲のリクエストで終了と決まる。
 結果として普段は必ずやるラストのシングアウトが出来ずじまいだったが、途中でたくさん一緒に歌ってもらったので、今回に限ってはこんな終わり方でもよかった。

 進行面では運営や機材設営以外に、リクエストの受け渡しでもセンター職員さんのご協力をいただいた。普段接している方のほうが初対面の歌い手よりも話がしやすいのは、介護施設と同じである。
 ライブがうまく運ぶには、単に歌の出来不出来以外に、いろいろな要素が複雑にからんでいるもの。まさにライブは生き物である。


 

ツクイ札幌太平・訪問ライブ /2017.4.28



 年に3〜4回ペースで招かれる近隣のデイサービスで歌った。数えて今回が9度目のリピート依頼で、今年に限っても2度目。私が歌うときは必ず聴きにきてくれる利用者の方もいて、長く確かな信頼関係が続いている場である。

 前回は終わり方がスッキリしないという反省点があったので、今回は施設長のKさんにラストで一緒に歌って締めましょう、と約束していた。
 そもそも職員さんと一緒に歌い収めるというアイデアは、かなり前にKさんから出たもの。なかなか評判がよいので、他の施設でも真似たりした。

 いつもは「あの素晴らしい愛をもう一度」「青い山脈」などを歌っていたが、今回は趣向を変えて「また逢う日まで」を共に歌うことになっていた。音合わせが必要なので早めに施設に行くと、Kさんが肺の不調で歌えず、別の職員を代役にしたいという。

 その代役である若いAさんと急きょ打合せ。あいにく「また逢う日まで」は知らないという。希望は「糸」だったが、曲調がラストの盛り上がりには欠ける。そこでもう1曲追加しようと考えたが、AKBの「365日の紙飛行機」を挙げたら、歌えないという。では「上を向いて歩こう」は?と問うと、ようやくOK。
 時間がないので、キーと前奏や間奏からの入りだけを確認。私はあまり歌わず、伴奏に徹することにした。

 予定ぴったりの14時に開始。このところ時間には正確だ。予定を大幅に超える1時間15分で20曲をノンストップで歌う。


《セレクトタイム》
「二輪草」
「蘇州夜曲」
「おかあさん(森昌子)」
「みかんの花咲く丘」
「恋のしずく」
「僕の胸でおやすみ」
「みんな夢の中」
「南国土佐を後にして」
「港が見える丘」
「ミネソタの卵売り」

《リクエストタイム》
「まつり」
「愛燦燦」
「夜霧よ今夜もありがとう」
「星影のワルツ」
「古城」
「くちなしの花」
「白いカーネーション」

《コラボ&ゲストタイム》
「糸」
「上を向いて歩こう」
「詩吟〜黒田節」(利用者)

《アンコールタイム》
「川の流れのように」


 開始前に進行の方と打合せて、30分経過したあたりでリクエスト一覧を会場に配り、後半のリクエストタイムにつなげることにした。
 曜日によって多少傾向は異なるが、場としては概ね傾聴型。従ってニギヤカ手拍子系の曲はほとんどない。場は静かだが、いつものように手応えには確かなものがあった。

 8曲目の「南国土佐を後にして」を終えた直後に、職員さんにリクエスト用紙を配っていただく。配布中は歌への集中が落ちるが、MCでつなぐことはせずに、そのまま歌を続けた。
 9曲が終わって場にリクエストを求める。しかし、声はない。続けて10曲を歌い終えたあとで、再度求めると、まず「まつり」のリクエストが出た。以降は堰を切ったようにリクエストが続き、場をつなぐ心配は消えた。だいたい他の会場と同じ傾向である。

 非常に珍しい「白いカーネーション」のリクエストは、最後の最後に施設の看護師さんから出たもの。この施設では職員さんのリクエストもよくある。多くは利用者が出尽くしたあとなので、求められれば応じている。
 14時55分から予定通り職員さんとのコラボ演奏が始まる。ごく簡単な音合わせだった割に、出来はまずまず。最後に施設側からの要望で、利用者代表の「詩吟〜黒田節」が披露された。80歳くらいの女性だが、堂々の発声は見事なものだった。

 終了予定時刻はとっくに過ぎていたので、ようやくこれでお開きと思いきや、進行の職員さんから、信じ難い言葉が。
「それではアンコールで菊地さんにソロでもう1曲、『川の流れのように』を歌っていただきましょう」
 この経緯はよく分からない。PA類の電源はすべて落とし、ギターシールドも抜いていた。電子譜面だけはスリープ状態を保持していたので、急きょ再起動。ともかくも、要望には応えることにした。

 最終的に1時間15分が経過していたが、この施設でこれほど長く演ったのは例がない。(過去の演奏時間は全て記録してある)しかし、施設側にも利用者にも喜んでいただけたことは間違いないので、よしとしたい。
 この施設では初の試みだった一覧表配布でのリクエストタイムは後半の進行がやりやすく、利用者の嗜好もよく分かって成功だったと思う。予想はしていたが、利用者の要望は全て演歌系の曲だった。
 終わり方に関しては前回よりはマシになったが、もう少しスッキリさせたい。気力体力的には厳しいが、聴き手が満足するまでリクエストタイムで延々引っ張り、時間切れを待つ、という終わり方が案外いいのかもしれない。


 

LALA拓北・花祭り /2017.4.30



 近隣の小規模多機能ホームで初めて歌った。以前に地区センターで知り合ったM子さんが昨秋から勤めている、開設して間もない施設だ。
 ネットで私の連絡先を探し当て、ライブを依頼されたのが3月末のこと。4月上旬に会場調査をかねたプロジェクター投影のテストをやり、準備は万全のはずだった。

 イベントは「花祭り」と称して、お茶やお香に私の歌をからめるという趣向。施設として初めてのイベントにしては歌単独でないことに、やや不安があった。
 13時45分に会場入りし、機材をセット。音響のほかにプロジェクター投影の機材があるので、普段の倍近い10分を要した。
 テストのときは晴天で歌詞が見えにくかったが、今回は小雨模様で室内は暗い。背面のカーテンを閉め、スクリーン前の照明をひとつ消すと、不完全ながらも歌詞はどうにか読めた。

 14時ちょうどに歌い始めたが、複合イベントのせいか始まり方がやや曖昧。ライブの開演宣言と自己紹介は私自身の主導でやった。
 1曲目を歌い始めると、職員さんから突然待ったがかかる。音が大き過ぎるので、落として欲しいという。マスターボリュームを30%ほど絞ったが、再開すると再度のストップ。これを計3度繰り返したが、何度調整してもOKが出ない。
 やむなくPAのスイッチを切ってノーマイクで歌ったら、ようやくOKが出た。長く歌っているが、介護施設系でノーマイクで歌った例は過去に一度だけで、しかも自主的に仕掛けたものだった。

 事前のマイクテストを怠ったツケだが、会場自体は充分に広く、他の施設なら間違いなくマイクを使っている。しかし、施設側の要望なので、従わざるを得ない。
 以降、想定外のノーマイクで1時間10分、全18曲を休憩なしで一気に歌った。


《セレクトタイム》
「二輪草」
「蘇州夜曲」
「おかあさん(森昌子)」
「みかんの花咲く丘」
「恋のしずく」
「恋の町札幌」

《リクエストタイム》
「酒と泪と男と女」
「アカシアの雨がやむとき」
「ブルーシャトー」
「リンゴの唄」
「川の流れのように」
「青い山脈」
「舟唄」
「人生一路」
「雪國」

《うたごえタイム&アンコール》
「上を向いて歩こう」
「丘を越えて」
「北酒場」


 自由参加ということもあって、開始時点で聴き手は10名ほど。マイクが使えないという予期せぬ事態で気持ちがすっかり引いてしまったが、このところの過密スケジュールへの対応でPA一式は自宅玄関ホールに置いたまま。日々の練習はずっとノーマイクでやっていたので、声はまずまず出た。

 しかし、マイクを使わない歌唱には、ある程度の準備も必要である。特に低音部の発声や強弱のつけ方が難しい。しばらくは手探りの進行が続いたが、6曲目を終えた時点で、突然M子さんからリクエストの提案がある。
 時計は20分ほど過ぎたところで、リクエストタイムには早すぎる気がしたが、場がやや沈滞気味だったので、気分を変えるには絶好と判断。即座に応じることに。

 事前にリクエスト一覧は配ってなかったが、準備だけはしておいたので、ただちにM子さんに手渡す。A4だと文字が小さいとのことで、施設のコピー機でA3に拡大して配布した。

 やがて出たリクエストが、リスト一覧にはない「奥飛騨慕情」。この曲はそもそもレパートリーにもない。「一覧表にある曲をお願いします」と、再度告げる。
 職員さんや聴き手もようやくこちらの意図を理解してくれたようで、以降次々とリクエストが出た。やはりここでも人気は昭和歌謡系である。

 歌い始めは立ち込めたお香の匂いが喉に苦しく、野点ふうの設定で抹茶とお菓子が順番に利用者に配られ、会場は落ち着かない雰囲気が続いた。
 ライブ前半はBGM的なガマンの進行だったが、30分が経過してリクエストが順調に出るようになってから、ようやく聴き手が歌に集中してくる気配を感じた。
 音を聴きつけて居室から会場に現れる利用者も増え、終わる頃には20名近くに達する。聴き手も職員さんもライブ自体に不慣れのように感じたので、リズミカルな曲には事前に手拍子を促した。

 進行はある程度任されていたため、1時間が経過した時点でリクエストを打ち切り、ラスト用に歌詞を拡大して準備した「上を向いて歩こう」を全員で歌う。
 アンコール2曲は利用者から出た自然発生的なもの。M子さんはもっと歌って欲しいような感じだったが、心身に負担のかかるノーマイク歌唱でもあり、聴き手の体力を考慮すると、時間としては妥当なところだろう。

 終了後に近寄って声をかけてくれた方が数人いたので、難しい条件がそろった割には、結果的にライブは成功だったと自己評価したい。
 買ってから初めて本番で使った廉価プロジェクターでの投影は外の曇天にも救われて、まずまず使えた。


 

ツクイ札幌稲穂・訪問ライブ /2017.5.7



 車で40分の地区にあるデイサービスで歌った。通算12度目のリピート依頼で、このところ年に3回ペースで定期的に招かれている。
 連休最終日だが、実は昨年も連休中日の5/3に招かれた。曜日は別だったが、ライブ記録を参考に曲が重複しないよう慎重に準備した。

 14時45分に会場入り。今回から本格的にリクエストを募る手筈になっていたが、他施設のようにその場で曲一覧を配る方式ではなく、事前に利用者から聴きたい曲を挙げてもらう手法をとった。
「その場で突然だと、リクエストが出にくい」という施設側の意向からだったが、数が少なければ曲一覧を配ることも考えていた。

 控室に入ると、ホワイトボードに希望曲や歌手名がずらり並んでいる。その数ざっと10を超える。大半は歌える曲で、これなら曲一覧を配る必要はない。
 ただ、希望歌手で「田端義夫」「大月みやこ」がレパートリーに全くなく、「哀愁列車」が歌えない。「出来る範囲で」という前提だったので、開始前にざっとメモをとって備えた。

 予定ちょうどの14時に開始。1時間5分で19曲を歌う。


《セレクトタイム》
「二輪草」
「蘇州夜曲」
「おかあさん(森昌子)」
「みかんの花咲く丘」
「人生いろいろ」
「みんな夢の中」
「ミネソタの卵売り」
「港が見える丘」
「釜山港へ帰れ」

《リクエストタイム》
「バラが咲いた」
「王将(初披露)」
「高原列車は行く」
「季節の中で」
「リンゴの唄」
「夜霧よ今夜もありがとう」
「人生一路」
「古城」
「青春時代」
「青い山脈」


 前半の「セレクトタイム」9曲はこのところ歌っている春メニューが中心で、大きな変更はない。

 聴き手は30名強で、9割が女性。思っていたよりも年齢層が高く、この中では「みんな夢の中」が馴染みが薄く、唯一外した曲だったかもしれない。1番を歌った時点でそれを察知し、珍しく2番を省略した。
 プロジェクターでの歌詞投影はやらなかったが、「みかんの花咲く丘」の反応がとてもよいので、途中から口頭での歌詞指導をやりつつ歌う。大半の方が一緒に歌ってくれて、場内が大合唱となった。
「蘇州夜曲」「港が見える丘」でも共に歌う声が多かったのは、年齢層が高めだったせいか。新旧のバランスは大事である。

 後半の「リクエストタイム」では計10曲を歌う。全体のメリハリを考えてPOP系の曲をバランス良く配置し、さらには叙情系とニギヤカ系の曲も連続をなるべく避けて歌った。
 リクエストがうまくバラけてくれたので構成がやりやすく、救われた感。

「王将」はかなり前に別の場でリクエストが出て歌えず、その後レパートリーに加えた曲。初披露にしてはまずまずの出来で、終了後にいま売り出し中の藤井四段の話が利用者から飛び出す。いいタイミングの曲だった。
「哀愁列車」は三橋美智也の曲なので、代替案として「達者でナ」「古城」を提示。多数決で「古城」に決まったが、これが会心の出来。いつも思うが、この曲は自分に向いている。

 リクエスト全般に言えるが、利用者が間接的にライブに参加する形になるので、否応なしに場が盛り上がる。12度目ともなると、どうやってマンネリを防ぐか腐心するところだが、リクエストをライブに取り入れていれば、その心配は当分ないかもしれない。

 予定をややオーバーして16時過ぎに終了。うまい具合にラストのシングアウトにふさわしい「青い山脈」がリクエストにあって助かった。こちらも歌詞指導をしつつ、全員で歌い終える。
 利用者や職員の方々にも喜んでいただき、「次はサマーライブですね」と約束して別れる。またひとつ場を重ねた。


 

新川エバーライフ・5月お楽しみ会 /2017.5.17



 車で25分ほどの距離にある特養&デイサービス併用施設で歌った。今年最初のお楽しみ会イベントで、出演は私一人。
 4年前にネット経由で最初の依頼があり、以降年一回ペースで定期的な依頼が続いていて、今回が5度目である。いつも書いているが、依頼は3回目に高くて険しい壁があり、そこをクリアすると、確かな信頼関係へとつながってゆくケースが多い。

 開始予定は14時30分だったが、14時10分に先方に着くと、ステージ付の広いホールにはすでに100名近い入居者利用者の方々が整然と座っている。

 会場が広くて天井も高く、しかも80センチほどのステージがあって、客席との距離がかなり遠い。対応するために3回目からはPAを2台使うスタイルに改めた。
 これまではローランドの乾電池式PAをサブに使っていたが、今回は先日中古で入手したばかりのヤマハMS101-2を、初めて本番で使うつもりだった。

 素早く機材を設営したが、ステージが広くて高く、PAが2台ということもあって10分近くかかった。駐車場からステージまでの移動距離が遠く、機材運搬にキャリーカートを使ったことも手間取った要因のひとつ。

 それでも開始10分前にはスタンバイ。会場からは「ずいぶん待つね〜」との声が漏れてくる。担当の方とも相談し、予定より早く始めることになった。
 最初に施設長さんの挨拶があり、その後進行の方から私のプロフィール紹介がある。施設によっては「ではお願いします」と、いきなり始まってしまうことも多いが、このあたりは施設ごとの運営方針で大きく対応が異る部分だ。

 14時25分くらいからステージ開始。久しぶりのアンコールなどあって、35分で12曲を歌った。


「北国の春」
「蘇州夜曲」
「釜山港へ帰れ」
「ここに幸あり」
「二人は若い」
「高校三年生」
「みかんの花咲く丘」
「恋のしずく」
「港が見える丘」
「月がとっても青いから」
「東京ラプソディ」
〜アンコール
「知床旅情」


 介護度が重い特養入居者と比較的元気なデイサービス利用者の両方が混在する場は対象を絞りきれず、対応が難しい。古い懐メロ系と新しい昭和歌謡系を分散させ、万人受けする曲を要所に配置するという苦心の構成である。

 実は今回のライブは当初4月中旬に実施予定だった。ところが直前の施設内インフルエンザ発症により、1ヶ月順延になった経緯がある。
 いつも事前に歌う曲目リストを提出していたが、概ね春メニューでそのまま使えそうだったが、「さくらさくら」だけは「みかんの花咲く丘」に差し替えた。

 人数は多いが、いつも全体的に大人しい場である。つまりは「傾聴型」の場だ。従って聴き手参加型や手拍子系の曲はない。
 ところが意外にも1曲目の「北国の春」の1番を歌い終えると、会場からさざ波のような拍手がおこる。過去にあまりないことで一瞬戸惑ったが、間奏で素早く「ありがとうございます」と言葉をはさむ。

 以降、「釜山港へ帰れ」「みかんの花咲く丘」「恋のしずく」「月がとっても青いから」などで同じように曲間での拍手が湧き上がった。「北国の春」での曲間拍手は過去にも経験しているが、他の曲では他施設でもあまり記憶にない。
 以前にもふれたが、曲間での拍手は場が乗っている証し。手拍子や共に歌う声は少なかったが、場の反応は充分よかったといえる。

 先方の要望通りに30分で歌い終え、進行の方が締めの挨拶を始めた。すると会場から「アンコール」の声が複数あがる。実は前日のスケジュール確認電話の折、「もしかするとアンコールがあるかもしれません」とは聞いていた。
 以前に数回あった進行の方によるアンコール要望、つまりは「お約束アンコール」とてっきり思っていたが、そうではない。何か利用者の方と事前に打合せがあった可能性も否定できないが、場の流れには沿うものだった。

 初めて使ったサブPAは手製スタンドアダプターを含めてうまく機能。今後使えるメドが立った。前半での声の伸びがいまひとつの感じだったが、後半になって持ち直した。5度目の依頼、無難にこなせたと思う。


 

ツクイ札幌太平・訪問ライブ /2017.7.8



 18日ぶりに人前で歌った。会場は近隣のデイサービス。年に3〜4回は招かれる馴染みの場だが、当初は6月上旬に予定されていた。
 しかし、予期せぬ風邪でやむなく中止。1ヶ月以上の間隔を空けて再実施となったいわくつきのものだった。

 体調は充分なはずが、なぜか数日前からまたまた咳が出始める。症状は軽く、さすがに2度の順延は許されないので、風邪直後のライブに習ってハチミツ大根を準備して臨む。
 しかし、直前の練習では歌の途中で咳き込みそうになり、本調子には程遠い。キーはどうにか普段通りで歌えた。

 前日から30度を超す酷暑が続いていたが、施設は程よく冷房が効いていて過ごしやすい。ローランドCM-30が修理中なので、この日もメインPAを予備のヤマハMS101-2に、乾電池式PAのローランドモバイルキューブをサブとして椅子の上に置いた。

 予定ちょうどの14時に開始。リクエストやアンコールが相次いで、休憩なしの1時間10分で21曲を歌った。


《セレクトタイム》
「憧れのハワイ航路」
「瀬戸の花嫁」
「くちなしの花」
「アカシアの雨がやむとき」
「ラブユー東京」
「王将」
「浜辺の歌」
「サン・トワ・マミー」
「長崎の鐘」
「達者でナ」

《リクエストタイム》
「ひこうき雲」
「夜霧よ今夜もありがとう」
「矢切の渡し」
「ブルー・シャトー」
「川の流れのように」
「石狩挽歌」
「恋の季節」
「柳ケ瀬ブルース」
「越冬つばめ」
「あの素晴しい愛をもう一度」
〜アンコール
「お富さん」


 喉が不安定なので、手探りの進行にならざるを得なかった。途中で何度か咳き込みそうになり、あやうくこらえて歌い進む。心当たりは全くないが、風邪がぶり返したか、あるいは新たなウィルスをどこかで抱えこんだのか…?
 5月末から似た状況のライブが続いて、今回で4度目。最悪時期の2度はキャンセルしたが、こんな状態が続くようだと、いよいよライブ活動自体を長期間休む必要があるかもしれない。

 体調が悪い割に、聴き手の反応は悪くない。これも他の会場と同じ不思議な現象だ。開始30分過ぎからリクエストタイムに移行したが、途切れることなくリクエストが続き、予定時間をオーバーして延々歌い続けた。

 この日は前半にあまり歌っていない曲を連発したが、それに合わせるようにリクエストタイムでも珍しいリクエストが相次いで驚いた。
「ひこうき雲」「恋の季節」「柳ケ瀬ブルース」はリクエストで歌ったのは初めて。演歌の傾向が強いなかで、間に配置したポップ系の「ブルー・シャトー」「恋の季節」がいい感じで歌えて、場は非常に盛り上がった。

 苦しみつつも、どうにか無難にまとめ終える。ヤレヤレと撤収にかかったら、「ぜひアンコールを!」と、予期せぬ声が挙がる。喉はすでに限界だったが定番曲なので、ありがたくお受けした。

 終了後に、何と来月の夏祭りへの出演打診。具体的な内容は未定だが、スケジュールだけ仮押さえすることに。体調と依頼主の要望とにどう折り合いをつけるのか?今後の活動にむけて、大きな課題を背負い込んだ。