訪問ライブ顛末記


ベストライフ東札幌・Xmas会 /2016.12.25



 市内の有料老人ホームXmas会余興で歌った。8年前に最初の依頼があり、その後しばし連絡が途切れたが、3年前から再び招かれるようになった。
 昨年からは年2回ペースとなり、今年も4ヶ月前の誕生会で歌ったばかり。都合6度目の依頼が今日だった。

 このところの大雪で航空機やJR、そして道路も大混乱していて、幹線道路では普段の何倍もの時間がかかっていると新聞ではふれている。
 夏なら30分強で着く場所だが、この日はライブ終了後に長男夫婦のマンションに集まり、家族Xmas会をやることになっていた。まず妻をマンションに送り届け、その足で私だけが施設へと向かうことになり、距離的には都心を抜けるルートが最短だった。
 しかし、大雪による渋滞の程度が全く読めない。ネット情報をかき集め、リアルタイムで札幌市内の渋滞状況が分かるサイトを見つけた。これに従い、慎重にルートを検討する。最短ルートはひどい渋滞であることが分かり、一度も通ったことのない迂回ルートが比較的空いていることを知った。

 ライブ開始は15時だったが、リスクを避けて2時間前に家を出た。選んだ道は情報通りまずまずの流れで、途中で妻を置きに寄り道したにも関わらず、14時10分には施設に着いた。
 さすがに早すぎるので、近くのイオンで時間をつぶす。14時40分に施設に入ると、プレゼント交換の真っ最中。スタートは多少早めでも構わないとのことで、14時55分から始めることになった。

 普段の誕生会では30〜40分は歌うが、この日は20分に収めるよう依頼されていた。結果として23分で以下の9曲を歌う。
(※は二択リクエストで、カッコ内は選ばれなかった対決曲)


「北国の春」
「宗谷岬」
「※矢切の渡し(津軽海峡冬景色)」
「サンタが町にやってくる」(Xmas企画)
「故郷」
「※時の流れに身をまかせ(夜霧よ今夜も有難う)」
「高校三年生」
「月がとっても青いから」
「青い山脈」


 聴き手は60名ほどいたが、非常に大人しいのがこの施設の特徴。いわゆる「傾聴型」の場である。
 従って、聴き手参加型の曲や手拍子系の曲は原則として歌わない。しかし、拍手で選ぶ二択リクエストなら少しは反応があるのでは?と期待し、3曲目と6曲目に入れてみた。
 結果は他の施設よりもやはり反応は弱く、拍手に応じてくれる方はごくわずか。他では強い二択リクエストだが、決して万能ではないことを知る。

 6曲目を終えた時点で持ち時間が迫り、担当の方に「時間が迫ってきましたが、あと1〜2曲でよろしいですか?」と確認をとる。早めに始めたが、終了時間は予定通りなのではないか?と思ったからだ。
 すると、案の定指を3本出す。つまりは、あと3曲歌って欲しい、とのサインだった。確かめてよかった。

 プログラム中で最も反応がよかったのは、中盤に歌った「故郷」である。前回も「赤とんぼ」の反応がよかった。唱歌はデイサービス系ではあまり人気がないが、この施設では必ず入れるべきだ。

 強い手応えはなかったが、大きなミスもなく、先方の希望に沿って無難にこなせたと思う。歌い手は受けることばかり期待しがちだが、実はこれが一番大事なことかもしれない。
 断続的に12本続いた12月のライブも、この日で歌い納め。喉を傷めることもなく、異常気象の悪条件下で時間に遅れることもなく、無事に乗り切った。

 今年の総ライブ数は68本。内訳は介護施設系33、イベント系6、そして路上ライブ系が29である。昨年が70本だったので、ほぼ同じペースといえる。
 来年のことは分からないが、感触としては介護施設系がさらに増え、相対的に路上ライブ系が減ることになりそう。水が流れるごとく、求められる方向に我が歌は流れてゆく。


 

清田区介護予防センター 美しが丘会場 /2017.1.17



 札幌市が運営する介護予防センターからの依頼で、市内遠方にある市民活動の場で歌った。打診はネット経由で昨年11月にあり、メールでの長い打合せを経て、実現にこぎつけた。
 同じ主旨での介護予防関連では、住民組織側からの依頼で過去に3度歌っているが、行政側からの依頼は初。

 対象は介護認定を受けていない65歳以上の地域住民で、聴き手の傾向はデイサービスに近いが、嗜好がより幅広いのが特徴だろうか。
 今回も市の相談員経由で7〜8曲のリクエストが入っていて、半数はレパートリーにない曲。幸いに充分な準備期間があり、ネット情報を駆使して練習を重ねた。

 大寒波襲来による交通渋滞が懸念されたが、幸いに温暖な天候に恵まれた。会場は札幌の南東端にあり、夏でも1時間近くはかかる。下調査はできなかったので、用心して開始1時間半前の8時半に家を出た。
 冬でも比較的車の流れのよい幹線道路をルートに選んだのが正解で、夏と同じジャスト1時間で到着する。

 会場は市営住宅内にある集会室。推測だが、介護予防事業を円滑に進めるため、行政側が対応しやすい市営住宅系の住民組織をまず選んだのかもしれない。

 部屋は詰めれば40名は入れそうだったが、集まった聴き手は15名ほど。町内会組織でも似た傾向にあるが、この種の場を設けても、なかなか集まってはくれないのが運営側の共通した悩み。過去3回の例でもそうだった。
 予定通り、10時ぴったりに開始。事前の打合せ通り、1時間で17曲を歌った。
(※は初披露)


《セレクトタイム》
「釜山港へ帰れ」
「宗谷岬」
「愛燦燦」
「矢切の渡し」
「仰げば尊し」
「つぐない」
「夜霧よ今夜も有難う」
「月がとっても青いから」
「虹と雪のバラード」
「青春時代」

《リクエストタイム》
「高校三年生」
「瀬戸の花嫁」
「ああ上野駅※」
「晴れたらいいね※」
「函館の女」

《うたごえタイム》(歌詞カード使用)
「好きですサッポロ※」
「青い山脈」


 苦手な午前中ライブで、喉の調子を崩しやすい冬場。朝7時前に起きて備えたが、数日前から風邪の初期症状もあったりし、万全な体調とは言い難かった。過去にも似たような条件で、手痛い失敗をやらかしている。
 初めての場で大きな失敗は許されない状況で、前半はやや声を抑え気味にならざるを得ず、守りのライブになったように思える。

 それでも1曲目から歓声や曲間での拍手をいただいた。会場がこじんまりしていて、声が届きやすかったことにも救われた。

 全体的に場は大人しく、完全な傾聴型。これも過去の場と同じ傾向である。気分を和ませるよう、曲にまつわるエピソードを多くするなど、普段よりもMCを長めにした。
 事前のリクエスト等から、比較的新しい昭和歌謡を中心に構成したが、この思惑はおおむね当たった。

 唯一「外れた」と感じたのは「宗谷岬」。曲名を紹介しても、「どんな曲だっけ…」との声があり、いまひとつ馴染みが薄かったようだ。
 場が最も盛り上がったのは、ラストの「うたごえタイム」だったかもしれない。ほぼ全員の歌声が響き、まさに「うたごえサロン」そのものだった。歌詞カードの問題はあるが、もっと曲数を増やしてもよかった。

 終了後、何人かの方がマイク前までやってきて、ねぎらってくださった。
「素晴らしい声に感動しました」「《青春時代》を聴いていて、自然に涙が流れました」等々。
 セレクトタイムのラストには当初「熱き心に」を予定していたが、過去のライブレポを参考に、直前で差し替えたもの。記録はあとになって活きる。

 ある女性からは、「全体的に洗練されたスタイルですね」と、これまで言われたことのない言葉をかけられた。歌だけでなく衣装や看板など、日々工夫を重ねている部分が評価されたようで、ちょっと嬉しかった。

 機材撤収中にある男性から「お前と水割り※」をギター伴奏で歌いたいというリクエストがあり、昨年の依頼当初からあった話で準備だけはしていたので、ただちに応じた。あとで知ったが、普段はもっぱらカラオケで歌っていて、いまひとつギター伴奏で歌う自信がなかったという。
 市の生涯学習教室でカラオケをずっと練習しているそうで、さすがに歌の技術には確かなものがあった。  歌い手のペースに自在に合わせられるのがカラオケとギター伴奏の大きな違い。最近は自ら歌うだけでなく、単なる伴奏の要望にも臨機応変に対応できている。

 いろいろ不安もあったが、少ない過去の経験値を有効に活かして、無難に乗り切った。


 

ベストライフ清田・1月誕生会 /2017.1.22



 市内南東端にある有料老人ホームで歌った。2007年に口コミ経由で最初の依頼があり、以後年一回ペースでの依頼が細く長く確かに続いていて、今回が実に12回目。累計依頼数が2桁の施設は3つしかないが、そのうちのひとつだった。
 場所は先週歌ったばかりの介護予防センター事業の場に近く、今回も車の流れがスムーズな幹線道路(札幌新道)をルートとして迷わず選択。あいにくの吹雪だったが、わずか50分で先方に着いた。

 毎月実施の誕生会余興で、14時5分くらいから施設側のイベントがまずあり、14時20分くらいから始める。アンコールを含め、約35分で13曲を歌った。


「北国の春」
「蘇州夜曲」
「宗谷岬」
「ここに幸あり」
「踊子」
「仰げば尊し」
「みかんの花咲く丘」
「旅の夜風」
「星影の小径」
「ミネソタの卵売り」
「港が見える丘」
「リンゴの木の下で」
〜アンコール
「丘を越えて」


 聴き手は50名ほどで、平均年齢は80代後半。入居者の入れ替わりは少なく、場としては完全な傾聴型だった。ニギヤカ手拍子系の曲は不人気で、叙情系の静かな曲に対する反応がよい。
 過去に入居者の方から、「古い曲も歌って」と直接言われたことがあり、これらの条件を加味して、慎重に構成を練った。

 手拍子をうながす曲はほとんどなく、強いて言えば最初と最初くらい。(もしや…)と期待した「ミネソタの卵売り」にも手拍子は起きなかった。
 反面、他の叙情系の曲に対しては、おおむね好意的な反応だった。歌詞カードもなく、歌詞指導も一切しなかったが、「蘇州夜曲」「ここに幸あり」「仰げば尊し」「みかんの花咲く丘」「港が見える丘」などで、一緒に歌う声が数多く耳に届いた。

 やや期待外れに感じたのが、「星影の小径」「ミネソタの卵売り」あたりか。どちらも古い曲だが、古ければいいわけではなく、選曲の難しさを改めて思い知る。
 介護施設では一度も歌ったことがなく、大きな冒険だった「蘇州夜曲」には抜群の反応があって驚いた。2番でやめるつもりが、急きょ3番まで歌うことに。
 同じ部類に入る「港が見える丘」も反応がよかったが、残念ながら時間の都合で2番で打ち切り。惜しいことをした。

 いつも通り約30分で12曲を歌い終えたが、ラストの「リンゴの木の下で」では珍しく手拍子も飛び出し、終了後にちょっと余韻が残った。いわゆる(もっと聴きたい…)という、独特の気分である。
 すると、そんな気分を敏感に察知したのか、進行の方が突然「アンコール!」の手拍子を始める。打合せには全くなく、そもそもこの施設では時間厳守で、過去にアンコールが出た記憶がない。
 しかし、場は明らかにアンコールを求めている。短い曲をありがたく歌わせていただいた。

 終了後、「外の吹雪を吹き飛ばす熱いライブでした」と進行の方が締めてくださった。何人かの入居者の方が近寄ってきて、声をかけてくれる。年に一回繰り広げられる家族的とも思える風景である。


 

清田区介護予防センター 里塚会場 /2017.2.6



 先月に続き、介護予防センター関連の場でまた歌った。札幌南東の清田区にある会場は自宅から遠いが、先月歌った場所には近い。前回通ったバイパスの札幌新道を今回も使い、50分で難なく着いた。
 同じ介護予防事業で担当係員も同じだが、聴き手は全く異なる。市営住宅系の町内会を軸とした住民組織であることは共通していた。

 聴き手の集まりがやや悪く、予定から少し遅れた10時13分から開始。およそ1時間で18曲を歌う。
(※は二択リクエストで、カッコ内は選ばれなかった対決曲)

《セレクトタイム》
「釜山港へ帰れ」
「なごり雪」
「川の流れのように」
「※矢切の渡し(浪花節だよ人生は)」
「仰げば尊し」
「※つぐない(時の流れに身をまかせ)」
「夜霧よ今夜も有難う」
「月がとっても青いから」
「宗右衛門町ブルース」
「青春時代」

《リクエストタイム》
「小樽のひとよ」
「桃色吐息」
「君こそわが命(初披露)」
「大空と大地の中で」
「氷雨」
「落陽」

《うたごえタイム》(歌詞指導)
「上を向いて歩こう」
「青い山脈」


 年代や嗜好などは似ていることが予想されたので、前回の構成を基本に、反応の弱かった曲には修正を加えて臨んだ。

・「宗谷岬」を「なごり雪」に変更。
・「愛燦燦」を「川の流れのように」に変更。
・「虹と雪のバラード」を「宗右衛門町ブルース」に変更。

 前半に純粋なフォーク系の曲が皆無だったので、今回は季節感も考慮して「なごり雪」を入れた。「川の流れのように」は、白石イベント広場での反応の良さから選択。演歌系の曲に対する支持が強いので、POP系の曲を「宗右衛門町ブルース」に差し替えた。
 聴き手は前回同様に介護認定を受けていない65歳以上の地域住民。およそ15人ほどが集まったが、珍しく男性が1/3ほどを占めていた。

 1曲目から熱い拍手が湧き上がり、上々の滑り出し。曲間に入れたMCへの反応もよく、随所で声がかかって、非常に歌いやすかった。前回の反省で加えた修正は的を射ていたようで、いわゆる「ハズレ」の曲は皆無だった。
 途中2ヶ所に入れた「二択リクエスト」も、場を盛り上げるアクセントとして効果的だった。前半締めくくりの「青春時代」では、自然発生の手拍子も飛び出す。

 後半のリクエストタイムは今回に限って事前リクエストはなく、その場で直接受けることになっていた。普段使っている315曲入りのリクエスト用紙を10枚準備し、ライブ前から参加者に配って、「後半にリクエストをお受けしますので、選んでおいてください」と告げた。
 考える時間を充分に置いたこともあり、リクエストが途切れることはなかった。前半に「なごり雪」を歌った効果か、フォーク系のリクエストも2曲でた。時間切れで歌えなかった曲もいくつかあった。

 ラストに全員で歌う曲は打合せのミスもあって、歌詞カードの準備がない。急きょその場で歌う曲を決めることになる。よく知られていて、曲間での歌詞指導が容易な2曲に落ち着く。ここでも手拍子が自然に飛び出し、にぎやかな幕切れとなった。

「介護予防事業」という未知の場を2つ続けてこなしたが、予想した通りデイサービスよりもさらに嗜好が新しく、バラエティに富んでいる。しかし、路上系ライブで使っているリクエスト用紙を事前に配れば、充分聴き手の要望に応えられることが分かった。

 最近になって知ったが、2015年の法改正で要支援1〜2の介護事業のうち、予防訪問介護と予防通所介護の2つが介護保険対象から外れ、段階的に市町村単位での介護予防事業へと移行するのだという。2017年度がその最終年度になるようで、今後はこうした介護予防関連の場が増えることが予想される。
 時代と共に、歌に要求されるスタイルも目まぐるしく変わる。今後はただ歌うだけでなく、歌い手の的確な順応性も問われてゆくだろう。


 

ツクイ札幌太平・訪問ライブ /2017.2.19



 近隣のデイサービスで歌った。今回が8回目の訪問という長いおつきあいのある施設で、互いの深い信頼関係がゆるやかに築かれつつある。
 依頼にあたって施設長さんから、「今回は冬をテーマに歌って欲しい」との要望があった。介護施設系のライブで事前にテーマが与えられることは稀で、多くは「お任せします」と、こちらに一任される。
 歌い手としてどちらがやりやすいとは決めにくいが、依頼が度重なるにつれ、ややもすれば構成が冗漫になりがちなので、むしろ何らかの「縛り」があったほうがまとめやすいのかもしれない。

 とはいえ、実は冬をテーマにした曲はそう多くない。前回の依頼が晩秋の11月末で、記録を調べると冬系の曲をいくつか歌ってしまっている。できれば重複は避けたく、電子譜面の検索機能を駆使してあまり歌ってない曲も加えるなどし、どうにか45分の構成をひねくり出した。

 開始15分前の13時45分に先方に到着。場を取り仕切る担当者が見知らぬ女性に変わっていて、いつもの段取りと違うことに少し戸惑ったが、予定ぴったりの14時から無事に始められた。
 度重なるアンコールなどあり、予定オーバーの1時間で18曲を歌う。


「小樽のひとよ」
「冬の星座」
「花笠音頭」
「津軽海峡冬景色」
「白い想い出」
「さざんかの宿」
「なごり雪」
「氷雨」
「釜山港へ帰れ」
「宗右衛門町ブルース」(二択リクエスト)
「函館の女」
「いい日旅立ち」
「丘を越えて」
「北国の春」
〜アンコール
「珍島物語」
「夜霧よ今夜も有難う」
「好きですサッポロ」
「おやじの海」(初披露)


 ここ数日で寒さが戻ったせいか、喉の調子がいまひとつだった。明け方に咳がなかなか止まらず、ライブを無事に乗り切れるか、一抹の不安があった。
 そのせいで出だしは手探りの進行になり、場の反応もいまひとつ。4曲目の「津軽海峡冬景色」あたりからようやく喉がなめらかになり、声もよく出始める。それに応じて場の反応もよくなってきた。聴き手は実に正直である。

 中間あたりで得意の二択リクエストを仕掛けたが、韓国に関わる2曲のうち、両方の拍手が拮抗。1曲に絞る判断が難しく、とりあえず「釜山港へ帰れ」を歌ったが、もうひとつの「珍島物語」を推す声も強く、では最後に時間があったら歌わせていただきますと、何とか納得してもらった。
 後半に進むにつれ、1曲ごとに手拍子や拍手歓声が湧き、それに応じて喉の調子も尻上がりによくなった。場に押されて歌が乗ってゆく典型である。
 特に手応えがあったのが、叙情性の強い「氷雨」「宗右衛門町ブルース」「いい日旅立ち」など。唯一外したのは1曲限定で入れたフォーク「なごり雪」だったか。他のデイサービスでの評判は悪くないので、このあたりが選曲の難しさ。

 予定通り45分で終えたが、その後二択リクエストで歌い残した曲を始め、アンコールが続き、場がなかなか治まらない。
「夜霧よ今夜も有難う」は前回もリクエストがあったが、同じ女性から再度のリクエスト。本来の利用日ではないが、私が歌うと聞いて利用日を飛び越して聴きにきたという。
 終了後に「○○さん、どうでした?」と職員さんから感想を求められると、「ずっと聴いていたい歌声です」と、歌い手冥利につきる言葉をかけていただいた。

 司会の女性が初めてライブを担当するせいか、場の進行にややぎこちなさもあったが、歌い慣れた場でいつものように熱い手応えを感じたひとときだった。


 

ベストライフ西・2月誕生会 /2017.2.26



 車で40分ほどの介護付有料老人ホーム誕生会で1年ぶりに歌った。施設長のMさんとは10年来の長いおつき合いがあり、社内移動で職場が変わるたびに呼ばれている。
 今回の施設では11年前に最初にお会いしていて、私は記憶にないが、当時はまだ役職は主任だったという。いつの間にか月日が流れている。

 依頼はいつもFAXでやってくるが、文面に「みなさんの心が元気になり、いっしょに口ずさめるようなライブを!」との希望があった。
 今回の施設は全体的に大人しい方が多い。幸い、同じ系列の別施設で先月歌ったばかりなので、そのときの構成を中心に微修正を加えて臨んだ。

 あいにく昨夕から降り出した雪がかなり積もった。安全をみて開始1時間以上前に家を出る。大きな渋滞もなく、開始15分前に到着。
 予定をやや遅れて14時25分くらいからイベント開始。まず施設のイベントがあり、14時35分くらいから歌い始めた。予定外のアンコールなどあり、30分強で11曲を歌う。


「三百六十五歩のマーチ」
「蘇州夜曲」
「二輪草」
「ここに幸あり」
「喜びも悲しみも幾歳月」
「高校三年生」
「さくらさくら」
「旅の夜風」
「港が見える丘」
「リンゴの木の下で」
「月がとっても青いから」(アンコール)


 先にもふれたように、場としては完全に傾聴型である。じっくりバラード系の曲に徹したいところだが、施設長さんの望まれた「みなさんの心が元気になる曲」という条件がある。しんみりし過ぎるのは禁物で、そのあたりのサジ加減が難しい。
 いつものことだが、施設長さんを中心に手拍子や拍手で上手に場を乗せてくれたので、その点ではやりやすかった。MCでは特に促さなかったが、共に口ずさんだり、手拍子をくれる方も多くいた。

 前半はやや大人しい印象だったが、「喜びも悲しみも幾歳月」あたりから場が次第に熱くなってくるのが分かり、「さくらさくら」でそれがピークに。
 寒暖の差が激しく、喉の調子を維持するのに難しい日々が続いていたが、今回に限っては大きなハズレがなかったと思う。

 先方の希望通り、30分ちょうどで終えたが、進行を担当していた若い女性職員さんから突如「アンコール」の声。時間には厳密な施設で、事前の打合せには全くなかったが、ただちに応じた。

 終了後はお茶とケーキが並んで茶話会のような雰囲気になったが、「いい歌だったね」と話し合う入居者の声が機材を片づけている私の耳にも届き、嬉しかった。
「次回はラストでいっしょにぜひ歌いましょう」と、施設長さんとの雑談の中で自然に話がまとまる。実現するといい。