さつきの里・訪問ライブ /2013.5.28
平日だが、ネット経由で依頼された近隣の小規模多機能ホームに歌いに行った。事前に担当の方から電話であれこれと情報収集したが、どのような反応があるのかは、実際に歌ってみるまでは分からない。初めての場とは得てしてそんなものである。
これまで弾き語り系のボランティアを頼んだことは一度もないそうで、施設側も完全な手探り状態。どのような状況にも対応出来るよう、ニギヤカ系としっとり系2パターンの曲をバランスよく混ぜてプログラムを準備した。
いつも行く地域カフェに行く途中に施設はあり、迷うことなく20分で到着。開始5分前には準備万端整った。
予定より2分早く、13時58分からライブ開始。アンコールなどいただいた関係で予定を少しオーバーし、結果として45分で以下の15曲を歌った。
「北国の春」
「バラが咲いた」
「ソーラン節」
「知床旅情」
「お富さん」
「浜辺の歌」(ノーマイク)
「夜霧よ今夜もありがとう」
「二人は若い」
「みかんの花咲く丘」
「さんぽ(となりのトトロ)」
「高校三年生」
「ここに幸あり」
「丘を越えて」
「青い山脈」
〜アンコール
「宗谷岬」
聴き手はおよそ40人。場の反応を探りつつ、慎重に歌い進めたが、叙情的な歌には一緒に歌ってくれる方が多数おり、ニギヤカ系の歌には職員さんがうまくリードして手拍子が飛び出すなどし、ライブは順調に進んだ。
大きな分岐点は、6曲目にマイクなしで歩きながら歌った「浜辺の歌」。状況次第では飛ばすつもりでいたが、歩き回るのに充分な空きスペースが会場にあり、場の反応も悪くないので、思い切ってやってみた。
先日の地域カフェ・オープンステージで初めて試して好感触を得ていた手法だが、介護施設系でやるのはこの日が初めて。失敗が許されないシチュエーションなので暗譜に自信があり、無難な唱歌を選択。
事前に充分にイメージ練習を重ねていたこともあり、うまく場に収まった。聴き手との物理的な距離がこれ以上ないくらい縮まるので、互いに強く通じ合うものを感じる。思い切ってやって正解だった。
以降、トントンとライブは進む。ラストにはこの日の朝、担当のEさんから連絡があった「何かみなさんで歌えるものを…」との要望から、急きょ予定変更して「青い山脈」を全員で歌う。
終了時点で開始後40分が経過していたが、盛り上がった場はすぐには冷めず、「アンコール!」の声。ありがたく「宗谷岬」を歌わせていただいた。
終了後、利用者の方々や職員さんと共に手作りのおやつを美味しくいただく。PAなしの生歌を始め、多くの歌を喜んでいただき、苦心した構成が報われた気がした。
自分としてのこの日最大の収穫は、やはり「歩きながらの弾き語り」ということに落ち着く。元々の発想は、敬愛するフォーク歌手、及川恒平さんがコンサートでやっているのを観てからのこと。
決してオリジナルな手法ではないが、「完全なる暗譜」のほかに、歩きながらブレずに歌う難しさと、聴き手に目で語りかける難しさとが加わる。アカペラか抱えて弾くことが可能なアンプラグドな弦楽器か鍵盤楽器でしかやれない技であろう。名づけるなら「ウォーキング・シンガー」といったところか。
今回でどのような場でもこなせる自信がついたので、気分を大きく転換させる決め技として、今後要所で使っていきたい。