穴のない50円玉  /'96.3



「穴のない50円玉」って、知ってます?もし、知ってる人がいたら、あなたは相当の物知り。「見た事がある」って人は、古銭に興味のあるお方。万一、「使った事がある!」って人がいたら、そりゃもう、「生きる化石」ですぜぃ。

 さて、「生きるシーラカンス」のTOMすけは、なんとそれを4個も持っています。実はこれ、昭和30年〜33年の4年間だけ発行されたものなんです。昭和30年と言えば、頼朝が鎌倉に幕府を…じゃなくって、私が小学校に入学した年ですね。
 100円玉でさえ初めて発行されたのは、昭和32年の事ですから、当時「新しい硬貨が出るぞ!」と、結構な話題だった気がします。とにかく、10円玉と5円玉しかない時代だったから。

 なにせこの私は、10円札や1円札使って「谷田のきびだんご」(当時、子供に人気のお菓子)買った事があるんです。分厚い札束握り締めて駄菓子屋に走ったりするとき、たいした金額じゃないのに、なんだか自分が大人に近づいた気分になったもの。まだお金に「ありがたみ」が残ってた時代ね。そうそう、5円札ってのもまだ使ってたな。
(こうなるともはや「生きるビッグ・バン」(^^;)

 そんなですから、白く光る大きな50円玉を手にしたときは、そりゃもう「宝を手に入れた勇者」みたいな気分でしたよ。(50円玉は、日本で初めてのニッケル硬貨)
 当時の50円は今の500円位の価値があったのでした。こんなんだったけど、見た事ない?


 直径25mm、今の500円と同じ位の大きさで、実に堂々としていた。で、裏はこうなってるの。どう?スッキリして、なかなかいいデザインでしょ?



 この50円玉、なかなか評判がよかったのに、なぜか4年間で生産中止。昭和34年からは真ん中に穴のある、今の50円に近いスタイルに変わってしまった。理由ははっきりしないけど、その後出た100円玉と大きさ、形がまぎらわしい、って事らしい。
 穴はあいても大きさは同じだったので評判は悪くなかったその50円玉も、昭和42年になって今の大きさに変わってしまった時は、「安っぽい」と悪評だった。直径が20mmに、それにあわせて穴も6mmから4mmに小さくなってしまったからね。
 確かに、小さすぎて暗い場所だと、1円玉と見分けがつかない。材質か色を少し変えてくれるといいんだけどな。

 私がやたら硬貨に詳しいわけは、各年代の硬貨が、手元に一個ずつあるからです。「穴のない5円玉」ってのもあるけど、発行年を見てみると…ワァー!昭和23年!さすがに「化石」も生まれてない。(でも、使った記憶はあるぞ→やっぱり化石じゃ!(^^;;)
 さて、ここではこんな風に、「むかし懐かし、あんなもの」の事を、トクトクと書いて行きます。みなさんからの情報も、お待ちしています。