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ライブセッション"桜の宴" /2010.5.1



 今年最初の自宅ライブセッション「桜の宴」を実施。朝のうちは小雨がパラつき、気温も相変わらず低くてまたかとウンザリしたが、午後から次第に天候が回復。桜の花は無理でも、室内で歌うには充分なセッション日和になった。
 連休中も忙しく仕事が入っていて、前日も明け方までの作業を強いられたが、11時前には起きだし、飲み物や食器類、玄関の案内板などの準備をする。今回は初めての試みとして、ハガキ大に印刷したフライヤーを木製の額に入れ、玄関ドアに木製のピンで止めてみた。ちょっとした遊び心だが、なかなかよい雰囲気と、一人悦に入る。

 並行して自分のリハーサルを、さらには早めに来てくれたギターサポートのチロリンさんと入念に音合わせをやる。
 当初、チロリンさんとのセッションは4曲を予定していたが、実際にやってみた結果、1曲を削除することにした。理由はうまく説明できないが、(どうもピンとこない…)という、直感的なものである。

 午後2時前から続々と参加者が集まり始め、参加が保留だったご近所のSyukoさんも都合がついたとやってきた。急用で来られなくなった方が一人いたが、参加者は合計で11名。自宅ライブとしては、程よい盛況、といった感じか。

 早めにやってきた古い音楽仲間は、1階でなぜかタコ焼きパーティーで腹ごしらえをしている。昼食を済ませたグループは開始前の音楽談義にふけったが、やがて開始時刻の午後3時が迫った。
 今回はおよそ以下の3グループの混成イベントである。

・古い(といっても3年弱)音楽仲間5人。
・新しい音楽仲間3人。(全員がご近所)
・ホスト役3人。(私と妻、その友人)

 ホスト役3人の大事な役目は、新旧2つのグループの顔つなぎで、進行中はもちろん、開始前や開始後も、いろいろと気配りに腐心した。

 開始直前の数分でトイレの場所や喫煙所のことなどを簡単に説明し、3時きっかりにライブを始めた。どのような形態であろうと、ライブの開始時刻はピタリ合わせるのが自分流のこだわりである。
 この日の私のセットリストは以下の通り。

《第1ステージ》
「しのろ小唄」(オリジナル)
「城ヶ島の雨」
「河は呼んでいる」
「さくら貝の歌」
「野の花や」(オリジナル/作詞:なんかい)
「青春2」
「風街だより」(オリジナル)


 最初の4曲は私のソロで、最後の3曲はチロリンさんとのセッションだった。「青春2」のみエレキベースで、他の2曲はリードギターでサポートしていただいた。  準備やホスト役としていろいろ走り回ったせいか、最初は気持ちがなかなか乗らなかった。初披露の「城ヶ島の雨」では、ギターピックとボーカルがやや怪しかったりし、こうした場でのオープニングアクトは難しいと痛感した。
「さくら貝の歌」あたりから少し調子が出てきて、チロリンさんとのセッションでようやく場の空気をつかんだ印象。「青春2」では思いがけず会場の手拍子までいただき、練習を通して最もよい出来だったと思う。

 1ヶ月前に出来たばかりのオリジナル「風街だより」は、自宅周辺の風土を強く意識して作った曲。ほとんど手探り状態だったが、サポートしてくれたチロリンさんが演奏を終えるなり、「これは実にいい曲だ」と絶賛してくれた。
 他の聴き手の評判も上々で、「還暦」「珊瑚婚」「引越10年」という3つのイベントにちなんだアニバーサリーソングという旨味の部分を差し引いても、出来としては悪くなかったようだ。

 その後、新旧の歌い手によるライブがトントンと調子良く進んだ。

 出演が私を含めて4組あった今回のセッションには、実はひとつの「ノルマ」があった。それはライブタイトルに相応しく、「曲中に何らかの"桜"に関わる言葉かMC、寸劇、仮装などを入れる」というもので、努力目標ではあったが、趣向としては面白いと自画自賛していた。
 発案者である私は、1曲目の「しのろ小唄」で歌いだしにいきなり「桜の蕾が膨らんで〜」と入れ、難なくノルマ達成。
 この「しのろ小唄」は近隣のグループホームのテーマとして以前に作ったものだが、今回ホスト役としての地域性も意識し、場にはそぐわない「民謡」というジャンルながら、あえて歌詞の一部をアレンジして臨んだ。

 さて、他の出演者はどうだったかと言えば、3組のうち2組の方々が歌詞に「桜」の含む曲をセットしてくれた。(「ささやかなこの人生」と「加茂の流れに」)さすがのノリと手応えに、発案者の私は喜び、そして感謝である。

 他の楽曲では、夫婦ユニットである「ひで&たま」による「サラダの国から来た娘」「国境の風」が、そしてY2による「来年も来るよ」が心に残った。
 特にラストの「来年も来るよ」は、歌詞に私や自宅周辺の地名や川が出てくる特別アレンジ版。オープニングで私が歌った「しのろ小唄」とリンクしていて、ライブに必要不可欠な起承転結が、事前の打合せなしでピタリ決まった。心憎い演出、そして幕引きである。

 今回は「弾き語りライブセッション」というサブタイトルに相応しく、楽器の種類や数も膨大。正確に数えてはいないが、およそ以下のようなものだった。

・フォークギター(×7台)
・12弦ギター
・マンドリン
・エレキベース
・アコーディオン
・ピアニカ
・ブルースハープ(ハーモニカ)

 2階スタジオは14畳の吹抜け空間だが、それに続く2部屋は、楽屋をかねた臨時の楽器置場に変貌した。床いっぱいに並んだ楽器類は、いつもながら壮観である。

 ふと気づくと時計は夕闇迫る午後5時過ぎ。ここで場をいったんお開きにし、用事のある方々は三々五々と帰路についたが、時間に余裕があり、名残がつきないメンバー6人が延々と第2ステージを繰り広げる。
 外はとっぷりと暮れて、気ままなセッションが午後7時半まで続いた。この第2幕で私が歌ったのは、「雨ニモ負ケズ(オリジナル)」「時には母のない子のように」「赤い花白い花」の3曲である。朱いライトの下で、第1ステージとは気分の異なる、静謐な時間がゆるやかに流れた。こちらもまた記憶に残るひとときであった。

 第2ステージになってようやく落ち着いて歌を聴けたが、予想よりもはるかにPAの音が良かった。去年はハウリングが多発し、あまりうまくいかなかった記憶があるが、今年は事前の周到な準備が効いた。
 初めて自宅ライブを聴きにきたお隣のSyukoさんが、「会場の音がものすごくいいので、びっくりした」と妻に言っていたそうだ。よくぞそこを指摘してくれたと、とてもうれしかった。

 新しい出会いと刺激に満ちたひとときがこうして終わった。企画としてはかなりの冒険だったが、大成功と評価してよいと思う。人生意気に感じる、楽しい時間であった。


 

ライブセッション"夢色時刻" /2010.7.29



 今春の自宅ライブ「桜の宴」などで我が家を訪れ、いつも美しいハーモニーを披露してくれる様似町在住の夫婦ユニット、「ひで&たま」が再び我がTOMスタジオにやってきた。
 札幌やその近郊での一連のライブ活動のついでに立ち寄ったのだが、実はこの日の大きな目的が、私の作るスペシャルカレーを食べにくること。
 このブログでもしばしばふれている特製カレーライスに興味を持ち、一度は食べてみたいとのたっての願いで、さまざまなライブ活動にあわせてとった夏期休暇の合間をぬっての来訪である。

 約束は午後3時だったので、昨日から準備してあった各種材料を並べ、午後2時からカレー作りにとりかかった。しかし、普段の倍以上の量を作らねばならず、しかも失敗があってはならない。さらには、いつもなら気にしないコゲやら材料の不揃いも、極力避けたかった。
 いつもより手順を増やしたりし、作業に手間取っているうちに、2時半前にインタホンが鳴った。集合時刻は毎度アバウトだが、それにしても早過ぎる。二人とも楽器を持参していたので、ひとまず2階のスタジオに上がっていただき、ギターなど弾いてしばし時間をつぶしてもらった。

 3時少し前に何とかカレーは完成。味はまずまずで、米もいつもの倍とぎ、タイマーをセット。その後、珈琲を飲みながらあれこれと歓談した。

 話に花が咲くうち、時計は早くも5時。二人とも息の抜けないライブ続きで、さぞやお疲れと思い、今日は歌はナシだよネと確認したら、「やっぱりちょっと歌いましょうよ」ときた。基本的に歌が好きなのである。
 実は私も一連のライブ疲れで、今週は練習不足気味。しかし、やるとなれば、オープニングは私が恒例である。妻が素早く連絡し、自宅ライブ常連のNAOさんとSちゃんもやがてやってきた。
 機材などの準備を急きょ整え、始まったのが午後5時半。この日はやや控えめに、以下の6曲を歌った。


「詩人の妻」
「燃えながら飛んだよ」
「通りゃんせ」
「地下書店」
「切ない夕暮れ」(オリジナル)
「まつり」


 1、2曲と4曲目は雑談の中で飛び出した及川恒平さんの曲で、「詩人の妻」「燃えながら飛んだよ」はおよそ5年ぶりに歌ったが、何とかこなした。「切ない夕暮れ」はこの日唯一のオリジナルだが、夕暮れ時の情景にピタリはまり、聴き手にも好評だった。
「通りゃんせ」「まつり」は最近練習中の曲で、この日が初披露。難解と思っていた「まつり」(赤い鳥)は、案外いけそうな感じがする。
 私にしては珍しく、周到な準備ナシでいきあたりばったり歌ったが、出来はまずまずだったろうか。

 午後6時あたりから「ひで&たま」のステージ開始。最初はひでさんのソロで20分ほど。この日の目玉は、妻であるたまちゃんさえも聞いたことがないという、ひでさん初のオリジナル曲である。
 つい先日、岩見沢で実施されたフォークジャンボリーを歌ったイベントソングだが、素直なメロディにサビも効いていて、初のオリジナル曲とは思えない出来映え。タイトルが仮題とのことだったが、聞いているうちに素晴らしいタイトルが思い浮かんだ。「夢色の夏」というもので、曲の持つイメージにもピッタリはまる。
 歌の直後にその場で提案すると、大変気に入ってくれた。ほぼこのタイトルで決まりかもしれない。(後でネットで調べたが、他曲との重複はない)

 その後たまちゃんが加わり、あまり知られていない曲を中心に、二人でさらに40分ほど歌った。たまちゃんが買いたてのアコーディオンを初披露したが、すでにかなりの腕前である。若い才気の可能性を感じる。
 春の自宅ライブで初めて聴いた「国境の風」は、このアコーディオンを使って新しくアレンジされていて、前回とはまた異なる魅力を感じた。「りんごの木の下で」の美しいハーモニー、ラストの「赤い花白い花」の胸に迫る歌唱など、心に残った。

 その後場所を1階に移し、いよいよカレーパーティー開始である。量はたっぷり作ったので、予定にはなかったNAOさんとSちゃんにも急きょ参加してもらい、総勢6名で歓談しつつ、会食。心配していたカレーの味は、ほぼ全員に好評。歌よりもはるかに気を配ったので、正直ホッとした。
 突発的なライブだったので、用事のある人から順に帰路につき、ラストのひで&たま夫妻が帰ったのは、午後11時半を回っていた。確かに長い時間だったのだが、その長さをあまり実感しない、まるで夢のようなひとときであった。つまりは「夢色時刻」なのである。


 

ライブセッション"春色時刻" /2018.4.30



 8年ぶりに自宅ライブを実施した。参加者は3名なので、ごく内輪のセッションといった切り口だが、きちんとテーマを決め、持ち時間や開始時刻も厳密に設定。適度な緊張感があり、単なる練習会とは異なる。
 メンバーは昨年7月にネット経由で知り合った同年代のSさん。私の弾き語り活動をブログ等で知り、メールで連絡があって我が家に一度来ていただいた。
 弾き語りを始めた時期が70年代で、定年後に社会活動の一環として介護施設訪問ライブをやっていることなど、共通点が多い。

 今回は「春色時刻」とテーマを設定し、春に関連した曲を交えて構成する、という趣向だった。
 持ち時間は各自30分間で、開始は14時。前日に二男がGW帰省したので、いにしえの父子ユニット「tiny-ZOO」で飛び入り参加することになる。

 13時半にSさんがやってきて、ギターとPA一式を搬入する。普段使っているPAで歌いたいという希望で、組み立てと音出しリハーサルに15分ほどかかった。

 このPAがベリンガーの一体型「PPA200」で、5チャンネルのミキサーとリバーブ、そして100Wのスピーカー2台とマイクやケーブルが全部まとめてパッキングされているという優れもの。
 セット一式で12Kgと重さもまずまずで、価格はサウンドハウスで4万円強と安い。これから新たに活動を始める方には、お勧めかもしれない。

 1番は例によって企画者である私。持ち時間をぎりぎりに使って、以下の7曲を歌った。(※はオリジナル)


「ハナミズキ」
「サクラ咲く」※
「港が見える丘」
「メガネを買う」※
「アカシアの雨がやむとき」
「あなたに会いに」(初披露)※
「夕凪ワルツ」※

 8年ぶりでも、いつも練習している場なので特に緊張はなく、普通に歌い進んだ。長めの曲が多く、MCもやや長めにしたので、私にしては少ない7曲。時間次第では歌うつもりでいたシャンソン「バラ色の人生」が歌えなかったが、初披露だった「あなたに会いに」の出来がまずまずだったので、よしとしたい。
 7曲中5曲が春から初夏にかけての曲で、テーマ比率70%。そう厳密なものではないが、こちらもクリアである。
 Sさんとの曲重複を少し心配していたが、歌う前に確かめたら、問題なかった。

 14時35分くらいからSさんのステージ開始。PAは開始前にセットし、音出しチェックも済ませてあるので、転換によるロスはほとんどない。
 Sさんは自分のセットリストを予めワープロに打って持参してくれた。タイトルと歌手、簡単なコメントなどあって、大変分かりやすい。私同様に持ち時間をいっぱいに使って、以下の9曲を歌う。


「こころ手紙」
「いい日旅立ち」
「七つの水仙」
「江ノ島エレジー」
「みだれ髪」
「五木の子守唄」
「時には昔の話を」
「青い夏」
「岩尾別旅情」

 昨年のセッションでも感心させられたが、特にPOP系の曲での「ゆらぎ」が、聴いていて心地よい。クラシックギターということもあり、ストロークを使った曲は皆無だったが、ステージとしての統一感は絶妙だった。

 あまり知られていない曲とよく知られている曲をバランス良く配置していたのも効果的。「春色時刻」のテーマ比率は40%弱で、前半に集中させていた。
 同じ持ち時間で私より2曲多いのは、前奏間奏後奏を省略した曲が多かったせい。終了後に確かめたら、決まった時間内になるべく多く歌うために、普段からそうしているとのこと。

 15時10分からtiny-ZOOとしてのステージで、「恋は桃色」「恋のバカンス」の2曲を息子と歌う。直前に軽く合わせただけで、しばらく一緒に歌ってなかったが、何度もステージで歌っている曲なので、無難にこなす。

 15時15分頃に無事終了。昨日は母の対応やBBQ家族会で終日忙しく、充分な練習はできなかったが、4日前にデイサービスで1時間歌ったばかりで、喉の休養としては逆にそれがよかったようだ。
 既成概念に縛られないオリジナル中心で構成したこともプラスに働き、声もまずまず出た。

 終了後に2時間ほど簡単な茶話会を開く。初対面の二男も臆せず参加。中堅の営業マンらしく、うまく場をつないでくれた。なかなかやる。
 話の中で飛び出した曲を、その場で簡単に弾いて歌うという趣向もいつも通り。長らく遠ざかっていた自宅ライブだったが、たまにやると運営面や構成面でいい刺激になる。介護施設では歌いにくいオリジナルを心置きなく歌えるのが、大きな魅力だと再認識した。