家作りNet相談〜その6
土地の陽当たりが心配な岡山さん



 ホームページを活用し、雑多な家作りの情報を提供していると、思いもかけない相談を持ちかけられることがある。

「欲しい土地があるのだが、他の条件は満足出来るのに、陽当たりだけが心配でふんぎりがつかない」
 設計をお願いするほどの予算はないが、プロとしての意見をぜひ聞きたい。アドバイスをしていただけないか。そんな主旨の相談メールがある日、やってきた。
 家作りの基本ともいえる「土地探し」では、私も相当苦労させられた。建物を想定し、敷地周囲の条件を入力して3D-CGソフトを使えば、そう難しい仕事ではない。メールからは、家作りに対する施主の強い熱意も伝わってくる。いわゆる「あまりお金にはなりそうにない仕事」だが、意気に感じてすぐにお受けした。


 ・CONTENTS・

   土地の陽当たりを知りたい
   ワクワクしてきてました
   現地取材写真
   やめることにします
   ご縁があればいつの日にか



 
土地の陽当たりを知りたい



 突然のメールで失礼します。最近、マイホームを夢見る北海道在住の岡山と申します。夫婦とも、20代後半です。出産を控え、何気なくモデルルームなどを見回るうち火がついてしまい、資金もおぼつかないまま、本気で探し始めているところです。
 そんなおり、先週たまたま「TOM工房」のHPにたどり着き、マイホームを作られたレポートを一気に最後まで読んでしまいました。今まさに我々夫婦が求めている知識が実に豊富で、大変勉強になりました。
 車庫まで作ってしまうDIYの極地に、夫はただただ感服しておりました。そして、「家とは何にお金がかかるのか」ということが素人にも分かりやすく書かれており、マイホームを建てようという人はみな、このレポートを読んだほうがいいのではないか、とさえ思えました。

 実はHPに記載されていました「住宅総合アドバイス」を是非お願いしたく思い、メールさせていただいた次第なのです。
 候補の土地はいわゆる「建築条件付」の物件で、広さは都会の密集地の割にはゆったりした感じです。しかし、道路側の物件は既に完売しており、奥まったものしかない状況です。利便性もよく、予算大幅オーバーな点や多少のキズは目に入らないほどに喜んだのですが、親に見てもらうと、3方向を家に囲まれているので日が当たらな過ぎるのではないか、奥まっているので道路に出るまでに冬は大変なのではないか、など、沢山ケチがつきまして、どうしてもっと早く手前の土地を買っておかなかったのだということになってしまいましたが、後の祭りです。
 しかし、この土地は本当にそんなに悪いのかどうか、小さめに建てて回りに庭などのスペースを取ればある程度日は差すのではないかとか、いまいち親を信じることが出来ません。しかし、押し切って買ってしまうほどの自信もないのです。

 専門家の方を身近に探してもおらず、かといってあまり知らない方に、設計をお願いするわけでもないのに相談だけをするのもはばかられる、そのようなときにTOM工房の「住宅総合アドバイス」を思い出したのです。
 設計をお願いするほどの予算はないけれど、専門家としてのアドバイスが必要、そういう我々のようなニーズに答えてくださる、素晴らしいシステムだなぁと思って読んでいました。
 実際に現地に希望の家が建つのかどうか、(我々の希望はほとんど陽当たりのみです)見ていただけないでしょうか?その際、費用はおいくらになるのでしょうか。また、大変お忙しいこととは存じますが、見ていただけるのは大体いつごろになるか、お返事いただければ幸いです。
 また、3Dソフトで日照時間を確かめるということも、お願いすれば可能なのでしょうか。もしくは、ソフトが高価でなければ自分でやってみようと思うのですが、(今後他の物件でも役立ちそうなので…)その際ソフトの名前を教えていただけるものなのでしょうか。
 このままではわだかまりを残したまま、「縁がなかった」と終わりになってしまうのかと思い、諦めきれずにおります。どうぞよろしくお願いいたします。



 札幌、TOM工房の菊地です。サイトへのご訪問、そしてメールありがとうございました。家作りをご計画中とのことで、当方のサイトを大変評価していただき、ありがとうございます。今回は、

1)気にいった土地があるが、そこに希望する条件の家が建つか?
2)その土地そのものの、建築学的検討

 これらをプロの目から検討していただきたい。メールの主旨はおよそそんな感じだと思います。料金に関してですが、1〜2回のメールだけのアドバイスでしたら、無料でも構いません。現地調査や役所に出向いて法的な調査を伴う場合の料金は、HPにも記載してありますように、今年はおよそ時給3000円が目安です。
 つまり、現地調査とそれに伴うアドバイスで3〜4時間は普通かかりますので、およそ1万円となります。役所の調査等も同じような金額ですが、ほとんどは施主から業者への問い合わせで済みますし、施主が直接市役所に行って尋ねても、ほぼ同じ答えになりますから、これらはご自分でやられたほうがよいと思います。

 まず1)ですが、文面から察するに、用途地域はおそらく最も建築条件の厳しい「第1種住居専用地域」ではないかと思われます。もしそうだとした場合、建ぺい率は40%、容積率は60%、このほかに「外壁の後退距離1メートル」「法22条防火規制」等の規制がある可能性が高いです。建物の最高高さは10メートルとなり、北側斜線制限という規制もあるので、3階建はかなり厳しいはずです。
(本格3階建住宅はローコスト住宅から著しくかけはなれますので、お勧めしません。また、設計相談等も現在のところ、お受けしていません)

 次に2)に関してですが、文化面や交通面での利便性では合格点のようですが、土地がいわゆる「旗ざお土地」(細い私道の奥に土地があり、平面で旗のように見える)で、あまりよい条件とは言えません。
 一般論ですが、以下のような欠点があります。

1)車の敷地内転回が大変難しい
 頭から入れてバックで出る、ということにもしなれば、運転の苦手な方には大変な苦痛となります。ただ、これは敷地に余裕があれば、設計面で回避可能です。
(HP掲載の新潟の物件では、苦労のすえに3台の車を敷地内転回可能にしました)

2)私道分の土地負担が無駄
 私道は単なる通路で、その分も何らかの形で価格に入っているはずです。(多少は安くなっているとは思いますが)この私道分は建築後も固定資産税に反映されます。通常の土地より、高い税負担がずっと続きます。
(条件にもよりますが、通路ということでの税軽減措置は普通ないはず)

3)私道の除雪
 そちらの地区はかなり雪が多いはずですが、除雪はどうなさいますか。私道分にアスファルト舗装し、ロードヒーテイングすると楽になりますが、施設費と維持費(石油代)がかなりのものとなります。
 私道の長さにもよりますが、この場合のひと冬の石油代は5〜10万くらいはかかると思ってください。また、ロードヒーテイングは場合によっては業者がサービスしてくれるケースもあります。交渉してみてください。
(以前関わった物件で、業者サービスのことがありました)

4)防犯面
 言葉は悪いですが、いわゆる「袋小路」となっている場合は、空き巣などにねらわれやすい家となりがちです。反面、これは「通りから引っ込んでいて、静かでプライバシー面で有利」という利点にもなります。

5)風水
 気になさるかどうか分かりませんが、「袋小路の土地は邪気がたまってよくない」と風水では言われています。これは4)とも関連し、「空き巣やほこり、ゴミなどのたまり場になりやすい」という建築学的解釈に置き換えられるかもしれません。

 また、予算面以外で唯一の条件である陽当たりに関しては、たとえば2階居間をもってくるなどし。設計面で充分対応可能だと思います。日影ソフトで日照時間を求める仕事もやっておりますが、こちらも時給3000円が目安です。家の概略が決まっていれば、およそ2〜3時間で終ります。もしご依頼いただいたとして、1万円以下でおさまると思います。
 日影ソフトですが、私は設計図以外には使っていませんが、「JW_CAD」というフリーソフトで 可能だそうです。しかし、専門知識のない方が使いこなすのは、至難の技かもしれません。
 私が使っているのは、パースを描くのと同じ3Dソフトで、HPにも一部掲載してありますが、素人の方でも分かりやすいように立体的に表示可能です。
 いずれの場合も、対象となる建物や周囲建物のおよその形状、計算する季節(普通は冬至)、対象となる部屋の床面高さや窓の位置等の条件を決める必要があります。これらを含めますと、やはりプロに任せたほうが無難だと思います。

 このほか、土地に建築条件がついているとのことですが、設計条件がもしついていなければ、設計だけを切り離すことも場合によっては可能です。これは業者によっては拒否されることもあります。
 法的責任を伴う設計だけをもしご依頼される場合、目安として建物延べ坪に対し、およそ1万2000円です。(2004年の数値)仮に30坪の延床面積の場合、36万円(税込み)です。(作業時間120時間)車庫やロフト、デッキ等の付帯設備がある場合は、床面積の1/2をこれに加算してください。これには工事監理は一切含みません。工事監理責任は業者となります。業者が信頼出来る場合は、これでも充分よい建物が出来ます。

 業者がこの「設計だけを切り離すこと」を拒否した場合、(普通は拒否されます)間取りや立面の材料、外観デザインだけを切り離す方式があります。この場合の法的設計責任は当方にはなく、確認申請は業者が出すことになりますが、お施主さんが目を光らせていれば、よりましな家づくりが出来ます。
 過去にこの方式でいくつか遠方の方と設計作業を進めたことがあります。土地探しから関わったこともあり、現地には一切行かず、候補の土地図面数点と私の指定した位置からのデジカメ画像を数枚、メールとFAXで送っていただき、私がそれぞれ意見をいいました。
 同様な手法をもしとられる場合、まず業者に「間取りと外観デザインは別の設計事務所と契約し、相談のうえで確定したものを提示する」ということを、本契約前にはっきり言ってください。ここをあいまいにして話しを進めると、のちのちトラブルのもとになります。
 ただ、確認申請図面と書類はあくまで業者が作成し、提出するので、業者の設計デザイン費用(数十万)は、全く値引きしてくれません。

 以上、いろいろ書きましたが、もし何らかの形でご依頼いただける場合は、ご希望の床面積(延べ30坪くらいとか)のおよその目安をまずお知らせください。現在候補の土地で話しを進める場合、先にあげた種々の建築条件を業者に確認するのがまず最初です。私が土地を直接見に行く場合でも、これらの条件を知った上でないと、適切なアドバイスは出来ません。
 春の仕事がほぼ一段落しつつありますので、もし現地調査を行う場合の期日は、いつでも構いません。当方の住所と電話番号を書いておきます。それではよろしくお願いいたします。



 昨日お問い合わせいただいた札幌、TOM工房の菊地です。その後の調べで、昨日のメール内容に関し、一部追記、修正がございましたので、ご連絡いたします。
 私道の固定資産税負担ですが、その私道に公共性が強い場合は、非課税となる場合があることが分かりました。調べたサイトは信頼性の高いサイトと思われますが、詳細は物件毎に異なりますので、役所等での最終確認がやはり必要です。

 その後、ネットであちこち調べていたら、岡山さんのご近所に、建築条件なしで似たような土地が複数売りに出ています。興味がおありでしたら、のぞいてみてください。
 こちらも道路は私道ですが、公共性の強い「位置指定道路」と明記されておりますので、おそらく固定資産税負担はないと思われます。ただ、除雪がどうなっているかとか、私道の所有権などに関してははっきり書いてないので分かりません。
「建築条件なし」というのは、施主にとってもろもろの制約がなく、有利な条件です。やり方によっては、よりローコストな家作りが可能です。土地に関してはまだ白紙のように思えますので、あせらずにじっくり構えて探されたほうが、長い目で見て得策かと思われます。



 とても迅速で、丁寧なお返事をありがとうございました。建築家の方とお話するのは初めてですので何か失礼があるかもと思いちょっと緊張しましたが、とても分かりやすく親切に教えていただいて心から有り難く思います。今はとってもワクワクしています(^^)

 HPの「家作りNet相談」にある南野さんのレポートを、またまた一気に読ませていただきました。私たちのケースと似ているので、とても参考になりました。菊地さんの文章は読んでいるとナゼか気持ち良くなってきます。物事をあいまいにせずに掘り下げていく誠実な文体は、きっとお人柄なのでしょうか。仕事や人生への姿勢として、とても学ばせられます。
 そして、あれだけのメールで、こんなに沢山のことが分かるんだ、という感動がありました。プロの方は現地を見なくても大体のことは分かってしまうんですね。
 南野さんのレポートを読んでいて一つ思ったのですが、やはり「角地」というのは人気なんですね。菊地さんのHPでは「角地は買うな」と書いてありましたが、人により土地により色々な条件があるでしょうが、我々も土地を見る眼を養わねば、と思います。

 いただいたメールから察するに、なかなか難しい土地であるな、という感じがしました。一番痛いのはロードヒーティングのランニングコストですね。電気ではなくて石油なんですね。業者によると、ロードヒーティングか融雪機か選べるとのことですが、融雪機の一冬のランニングコストについて調べてみる必要がありそうだと思いました。
 陽当たりに関してですが、設計で対応可能とのこと、一番の気がかりだったので一番嬉しいお言葉でした。ただ、夫が2階に居間を持ってくることに以前難色を示していたこともあり、他に代替案はいくつかあるものなのでしょうか。

 土地の条件についてです。後ほど書類をお送りいたしますが、用途地域は、「第1種中高層住居専用地域」で、建蔽率60%、容積率200%ですが、コストの面で3階建てはもともと希望していません。回りにも3階建ては無く、目の前のスーパーが平家建てなので、あまりその必要性は感じませんでした。
 夫は菊地さんのアドバイスにより、「旗ざお土地」の欠点が分かっただけでも良かったと、自分なりに納得したようです。しかし私としては、ここが他の場所であれば即あきらめるかも知れませんが、自分にとってあまりに都合の良い立地なので、なかなか踏ん切りがつかないところです。
 その上、始めに書いたとおり、土地を見る眼を養いたいなという気もありますので、何らかの形でやはりもうすこし詳しく菊地さんに土地についてアドバイスいただければと考えています。

 というわけで今回に関してですが、
・大体の希望の間取り(私が書いたラクガキみたいなもの)
・敷地配置図:業者にもらったもの
・敷地周辺地図:同上
・その他業者にもらった書類
・現地の写真
・種々の建築条件

 以上をお送りして、CGで日照のシュミレーションをしていただけたらと思うのですが、可能でしょうか?間取りだけ添付ファイルでお送りし、その他の書類は別途FAXにてお送りします。現地写真は週末に撮影します。

 実はここまでが、朝から書いていたメールで、その後段々気持ちの整理がついてきて、加えて菊地さんからメールを頂いたこともあり、そして近々出産を控えていることもあり、「もう少し待っても良いのではないか」と思えてきています。その方が、建築条件付でない土地を得て、ゼロから作れるチャンスが訪れるかもしれませんしね。
 書いてみた間取りですが、そのような事情により、お送りするのは今回は控えようと思っていました。しかし、土地が決まってから間取りを考えるのは初めてでしたが、まったく架空の話よりやはり真剣になりますね。加えて、私は菊地さんの家作りに非常に感銘を受けましたので、その影響がとっても出たと思います。
 そんなわけで、菊地さんのHPの感想文の一つとして、やっぱり間取りをお送りしますので、「ふ〜ん」と思って見てくださればとっても嬉しいです。♪土地の情報も添付ファイルでお送りいたします。
 いつか、菊地さんと家作りが出来る日が来るといいなと思います。目下、あせらずに、土地との出会いを待とうと考えています。菊地さんとの出会いに感謝します。



 敷地図と間取り図、拝見しました。敷地はほぼ最初のメールでご指摘した通りの印象で、この形状では私道の固定資産税免除は難しいかと思われます。
 予想外だったのが用途地域で、「第1種中高層住居専用地域」は「第1種低層住居専用地域」などと比べると、建ぺい率や容積率の規制が甘く、日照を第一に考える方にはあまり向いていません。
 ただ、今回の敷地に限れば、北の方位が約45度左回りに触れているので、建物を北西いっぱいに寄せて計画すれば、1階を居間にしても、ある程度の日照は確保出来ると思います。そのためにはあまり床面積を増やさず、総2階にして平面形状も正方形に近くしてやり、極力南西側(図面の右側)をあけてやる配慮が必要です。
 問題は周囲の建物で、(特に南東と南の建物)いま現在建ってなければ、日照計算するには想定してやるしかありません。「3階建ては絶対建たない」と決めつけるのも危険な気がしますし、難しいところです。

 ロードヒーティングですが、石油式以外に電気式もあります。業者が無料でつけてくれるのであれば、どちらでやってくれるのか、ランニングコストの見込みなど、聞いてみてください。融雪機も悪くはありませんが、やはり維持費(石油など)がかかりますし、融雪槽に投入する手間が馬鹿になりません。楽なのはロードヒーティングでしょう。
 車のことが何も書かれてませんが、バックで入れるにしても、頭から入れるにしても、敷地内転回はかなり難しい感じがします。
 土地の形状ですが、角地や南側道路は人気が高く、価格も高いのですが、プライバシー面で問題があります。私がお勧めするのは、北側道路で南北に長い敷地、あるいは南側に公園や河川敷などが開けている土地です。

 家を建てる時期ですが、近々ご出産とのことで、おそらく初めてのお子さんでしょうから、あまりいい時期とは申せません。どんな形になるにせよ、家作りは非常にストレスのたまる大仕事です。出来れば出産後で身も心も落着く夏以降に本格化させるのが望ましい気がします。
 これまで私が関わった施主の方々の家作りタイミングについてですが、どんなご夫婦でも二つの大事が重なるのは大変なストレスなので、みなさん上手にそれを避けていらっしゃいます。また、「子供が小学校入学前に」も重要なポイントです。転校は子供にとっての、大きなストレスです。(私がそうでした)
 私は家作りについて語るのが大好きなので、ついつい長くなってしまいますが、いろいろな情報が岡山さんご夫婦の今後の家作りに、参考になれば幸いです。



 
ワクワクしてきてました



 お返事ありがとうございました!とってもワクワクしてきてしまいました。「鉄は熱いうちに打て」、この言葉にせかされているわけではありませんが、なかなかじっとして待っているのももどかしいものがあります。頭の中は家のことで一杯です。ついつい週末は色々な物件を見に行ってしまいます^^;
 固定資産税の免除は難しいとのことですね。しかしそこに駐車が出来るのであればそんなにデメリットを感じません。車の運転にはそんなに自信はありませんが、今も駐車場の状況があまり良くないので心配はしていません。しかし、前のお宅が、自宅すれすれに車が通ることに神経質だったり、お隣の3m道路がロードヒーティングじゃない場合、いったい冬はどういうトラブルが待っているのかなど、そちらの方が気になったりします。

「第1種中高層住居専用地域」は日照を第一に考えるには向いていないとのこと。ご指摘いただいた敷地には、確か既に2階建ての住居が建設中だったと思いますが、それや目の前のスーパーがいつか高い建物に変わらないとも言えないですしね。
 しかし、あの土地に限って言えば、ある程度の日照を確保できるとのことですから、今日は夫が出張でいないので、帰ってきてから頂いたメールを二人で読み込んで、あの土地を再度二人で評価してみようと思います。

 土地の形状についても、とても良い指針を頂きました。「北側道路で角地ではないが、南北に長く、しかも南側が河川敷か公園」。私は水が大好きなので、公園より河川敷だったらもう最高の立地です。
 南北に長いというのは、南側に大きくスペースを設けられ、かつ北側に車を止められるからですか?理想的ですね。これなら十分日差しを浴びることが出来ますね。角地よりも割安ということで、我々にとっては狙い目ですね。
 家作りのタイミングを教えてくださって、重ね重ね感謝いたします。確かに、身軽なときより、どうしても動くのが億劫になり、フットワークはあまり良くありません。もどかしいですが後少しなので仰るように夏以降本腰を入れて考えてみます。

 参考までにお伺いしたいのですが、法的責任を伴う設計だけだと、建物延べ坪に対しおよそ1万2000円とのことでしたが、これに工事監理を含めると、大体どのくらいの料金になるのでしょうか?それから、キッチンなどの設備費は、やはりハウスメーカーは提携して大量に仕入れている面もあり、個人で発注するより大幅に安いのですか?
 ナゼこんなことを疑問に思うかと言いますと、今回のことで、「建築条件付」の土地だと菊地さんにはどうしても「設計のみ」依頼する形になりますよね。本当なら私は菊地さんの家作りの中で「ローコスト」を中心にすえて、「素材」や「工法」を徹底的に厳選するというのが物凄く新鮮でしたので、設計のみではそれが生かせないのではと思いました。
 もちろん南野さんの例のように、外壁の材料などある程度融通できても、本当は何の条件もついてない土地があることが一番いいのだろうなぁと漠然と思っているわけです。しかし予算が限られているためそんなことが可能なのだろうかと…。

 TOM工房のHPに出会い、実際に菊地さんとやりとりさせていただいて、岡山家にとっては大きな前進です。私たちの家作りは始まったばかりですが、菊地さんと具体的にやりとりできる日が待ち遠しいです。それまでにも、沢山の山があるのでしょうね…。いい土地が転がってないかしら^^;
 もっぱらインターネットと住宅情報雑誌と自分の足で探していますが、不動産屋に直接聞いたほうが早いかもしれませんね!インターネットサイトもこれから毎日チェックしてみようと思います。



 札幌、TOM工房の菊地です。私のメールに対し、間髪を入れずRESが返ってくる、岡山さんはまさにいま、「家作りに燃えている」時期なんですね。HP連載にも書きましたが、家作りはこの「鉄は熱いうちに打て」「時期を逃すな」がとても大事な要素で、この時期を逃すと家作りそのものがとん挫してしまう例も少なくありません。
 私が手がけた例でもいくつかそんな例がありました。すべて設計が終り、今週着工した新潟の上杉さん(連載中)も、4月から大変責任の重いセクションに転属となり、もし計画を半年先送りしていたら、とても無理だっただろう、と先日メールがきていました。この方も大変厳しい設計条件でしたが、なぜか急がれていました。虫が知らせていたのかもしれません。

 現在候補の土地ですが、縁があれば夏以降でも売れずに残っているかもしれません。私のいま住む土地がそうでした。その土地でご希望通りの家が建つかどうかの調査をしつつ、他に条件のよい土地がないかどうか、よく調べてみる。ご出産前のスケジュールは、およそそんな感じでよいのではないでしょうか。
 出産と土地の仮契約が前後するかもしれませんが、家作りで最も大変でストレスがたまるのは間取りや外観、材料の決定です。それらは出産後の身軽な時期となるので、それほど大きな問題にはならないでしょう。

「第1種中高層住居専用地域」の日照問題ですが、近いスーパーというのは、南側でしょうか?もしそうだとすれば、第1種中高層住居専用地域にも北側斜線制限が適用されますので、(第1種低層住居専用地域よりも甘いのですが)仮に制限いっぱいの高い建物に改築されたとしても、少し離れた候補地への影響は少ないと思われます。
 これらは現地調査とCGソフトでのチェックをすればよりはっきりします。

 駐車場に関しては分かりました。ロードヒーティングにしておけば屋根はなくとも常時路面は乾いていて、2台の縦列駐車が常時可能ですね。玄関前からロードヒーティング面まで通路のようにポーチを出す設計にしておけば、我が家のように冬の雪かきはほとんど無用でしょう。
 また、今回の配置では駐車場(私道部分)が南面しているので特に太陽が西に回ってくる午後は太陽の恩恵を受けやすく、北側にある同様の条件の駐車場よりはかなり石油代(電気代?)が安くなる可能性が高いです。

 工事監理費用ですが、法的責任を伴う場合、設計費用に対し、およそ3:2であることをHPに明記してあります。仮に延床面積30坪で試算しますと、

●設計費用:30坪×12,000=36万(ロフト、車庫、デッキなどは一切ないとします)
●工事監理費用36万×2/3=24万

 この場合、延べ30回ほど現場に足を運ぶ計算です。工期が3ヶ月(12週)として、週平均2.5回です。一回あたり8,000円で、時給3,000円が今年の基本金額なので、往復の時間と現場滞在時間を含め、2.5〜3時間の拘束時間で計算しています。
 法的責任を伴はない工事監理(工事着手届に私の氏名を記載せず、施工業者の有資格者の名前を記載する)の場合は、ポイントとなる時期だけ現場に数回(5〜6回)足を運びます。工事監理の質は下がりますが、よしましな家作りが可能です。
 この場合は現場滞在時間がやや長くなりますので、一回1万円くらいとお考えください。調べていただくと分かりますが、これらの費用はいずれも破格です。理由に関しては、家作り連載の
「新潟・とわの家」第1回をご覧ください。来年以降は時給を少しずつあげていくつもりですが、いずれにしてもそう大きな金額にするつもりは、いまのところありません。
 他の建築家よりもコストが安い理由ですが、私は事務所を別に持たず、(いわゆるSOHO)助手もいない「たった一人の設計事務所」です。打ち合わせもメールが中心で、私自身の人件費以外、経費がほとんどかかりません。上記見積りもそれを前提としています。距離的に私の家に近い方でも、それは同じです。打ち合わせや現場調査は最低限におさえることが、これら経費を削減する大きなポイントです。

 なお、現在候補の土地で、施主(岡山さん)から設計契約だけを分離して発注することが可能かどうか、あらかじめ業者によくご確認ください。仮に先方が認めても、「条件つき」となる可能性があります。つまり、

1)間取りや外観を別発注するのはよいが、設計責任は業者とする
2)これに伴う設計費用の減額は一切しない
3)使用材料は業者の指定した範囲のものとする

 このような厳しい条件がつく可能性が高いです。いずれも施主にとって不利な条件ばかりで、それは「なぜ業者は建築条件をつけて土地を販売するのか?」の裏事情をよく考えればお分かりかと思います。

 業者の基本姿勢がそうなってしまうのは、家を建てる行為が企業としての利益追求行為そのものだからで、この関係が崩れない限り、上記の問題はなくならないでしょう。
 HPに掲載の南野さんはこれらの条件を承知のうえ、やはりその土地に捨て難い魅力があると条件を飲んで、私に設計だけを分離して依頼されたわけです。ただ、やはり使える材料や工法が限定されている、というのはこだわりを持つ方には辛いようです。確認していただくと分かりますが、どのメーカー(業者)も、材料や工法を「標準」とうたって制限しているはずです。

 施主が独自に土地を見つけ、独自に設計者を探し、独自にプランを煮詰めて複数の施工業者に図面を提示し、価格交渉すれば手間はかかりますが、最も自分たちの意向に沿った家作りが可能となります。この場合、業者はオーナーを探し、面倒な間取りや材料を選定する手間が省けるので、見積りはその分確実に安く出ます。設計事務所の選択次第では、施主の総負担額は同等、もしくは同等以下となる可能性さえあります。
 要は施主が家に対してどのようなイメージを持ち、どのような家作りをしたいかでしょう。これらは突き詰めれば、これから家族(夫婦)がどのように暮し、どのように生きてゆくかにも関わってきます。家作りとはそういうものだと思います。家族(夫婦)が現在、そして将来も「お手軽なお任せ家作り」に納得出来るのであれば、それもありだろうと私は思います。

 土地探しですが、「ネット」「不動産」「足」「新聞広告」これらをすべて使ってください。ネットはかなり有効ですが、まだ限られた情報しかありません。私の場合は、住宅情報雑誌にはなぜかあまりよい情報がありませんでした。
 私の場合は新聞広告が最終決定した情報源でしたが、「足」もかなり有効です。ずばり、売りに出ている土地や周辺の電柱などに看板が建っています。これらは雪解けの終ったいまから、およそ1〜2ヶ月くらいにバタバタと出現しますので、よくお調べください。
 土地探しから関わった方で、難しい条件ながら、約2ヶ月でほぼ目標通りの土地を見つけられた方がいます。本気で探せば、だいたいこれくらいの期間で見つかると思います。

 恐縮ですが、間取りのチェックなども含め、かなり本格的な「住宅相談」の領域にすでに入りつつあります。今後ももしこのような具体的なご相談が続く場合、現在検討中の土地を契約するしないに関わらず、何らかの形で費用をお支払いください。
 費用は1万円をひとつの最低基準とお考えください。この場合、この費用の範囲でいまいただいてる資料に基づいた簡単な日照計算を行っても構いません。現時点でどの方向に決着するかは未知数で、最終的に私が全く関与出来ないケースも充分考えられます。こうしたほうがのちのちのトラブルが少ないと思います。
 なお、「方向性が見えた時点でそれまでの費用を出来高制で支払う」という選択もございます。もし、その方向性が私に何らかの形で設計をご依頼いただくケースだった場合、その費用に加算する形で処理可能です。これが最も現実的な手法かもしれません。ご主人ともよく相談され、およその方針をお決めください。以上、よろしくお願いいたします。



 菊地さんのご指摘どおり、今とっても燃えているかもしれません。^^しかし、1日と空けずに長いお返事をくださったことが毎回嬉しく、ついつい書いてしまいました。
 たくさんの事を教えていただいて、どうしようかなと思案していたところでしたので、料金のことを菊地さんからおっしゃっていただいてホッとしました。
 始めは料金確認のメールから、「1、2回程度なら無料」のお言葉に甘えてずるずると重ねてしまい、今回で4回目、その上間取りまで添付してしまったのですから、安易だったかなと後悔しています。初めからはっきりさせておくべきでした、申し訳ありません。

 今回のやりとりと簡単な日照計算をしていただいて、それを私たちが確認するまでが1万円と考えてよろしかったですか?その計算では、どんなことが分かるのかがまだ不明なので、それに関してもう少しやり取りさせていただくことになると思うのです。不足分はご遠慮なくご請求ください。夫には了解を得ております。
 現地写真など足りない資料があれば揃えますので仰ってください。そして、お支払方法を教えてください。それからこれからのことなのですが、新しく気になる物件が出てきましたら、またご相談させていただくこともあるかも知れません。

 工事監理まで全てお願いしたらいくらになるかという目安は、とてもはっきりしているのでよく理解できました。HPを読んでいても思いましたが、このはっきりした料金の設定の仕方が、とてもユニークで気持ちがいいですね!
 それに比べると業者への不信感が増してしまいます。「決まってますから」の一辺倒…。本心を言えば、さらの土地を手に入れ、ゼロからお願いした方が自分達の希望がかなえられるだろうと夫と話しています。しかしまだ私の心があの立地にひっかかっているので、その自分の気持ちも大事にしたいと考えています。



 札幌、TOM工房の菊地です。基本費用1万円の範囲内で出来る仕事の範囲ですが、これまでの経験ですと、現地に足を運ばなくても充分仕事は可能かと思われます。以下のような範囲でいかがでしょうか?

1)現在候補の土地に限らず、土地問題が決着するまで(仮契約するまで)の総合アドバイス料とする。(別の土地の検討が必要な場合も、この費用の範囲でいたします)
2)検討期間は今年いっぱいとし、これを過ぎた場合の作業や費用に関しては、双方が再度話合って決める。
3)現地調査は含まないが、その必要が生じた場合は出来高制として別途協議。
(費用が多少追加になる可能性があります)
4)現地調査なしによる不備を補おうため、依頼主(岡山さん)による写真(デジカメ)撮影を行い、TOM工房あてにメール送信していただく。これは現在候補の土地以外でも同じ考えです。
5)現在候補の土地に限り、周囲建物や将来の状況を法的に判断した日照検討図を作成する。
6)上記日照検討は冬至の1階居間床(GL+600前後)で行い、窓や建物形状等の状況はTOM工房と依頼主が協議のうえ決定する。
7)現在候補の土地やこれ以外の土地で、具体的な間取りの作成などのより詳細な作業が発生した場合、出来高制として別途協議。
8)土地決定後の建物の設計に関しては双方が再度協議するが、本格設計を依頼された場合でも土地の検討に要した今回の費用は返却しない。

 6)に関して補足しますと、計画建物と敷地、周囲建物のデータを3次元入力することにより、冬至の朝何時から居間の床のどのあたりに陽があたるようになり、午後のどの時間から当たらなくなるかが分かります。
 今回のケースでは日照時間に法的な規制はありませんが、北海道の場合、1階居間の床面で冬至で3時間程度確保出来れば、ほぼ合格点を与えてよいと思います。
 もし上記の条件にご了解いただける場合、以下の方向からの写真(デジカメ)を撮影し、送付してください。

1)敷地から、東南西北の順に見た他の敷地の状況。
(何も建ってなければその方向は不要です)
2)前面道路からみた南側(スーパー)の状況
 これらは状況が分かるようであれば、携帯に付属のカメラでも構いません。

 また、建物のおよそのお二人のご希望や家族構成を簡単に教えてください。以前にお送りいただいた間取りに準じてよいのであればそのようにいたしますが、私の考えでは、7280×8190の縦長形状の総2階(約36坪)で建物をひとまず想定してやればよいのではないか、と考えています。
 家作りで大切なことは、あまり施主が先走らずに、住む方の潜在的ニーズを施主自身と第三者である設計者とが充分話し合い、見極めることだと思います。以上、ご検討ください。



 おはようございます。メールありがとうございました。夫に確認取れず、返信が遅くなりました。検討どころか…、「この値段でこんなにやっていただけるの!?」と夫婦で驚いています。
 正直、退職により経済的にも厳しいのでとても嬉しいです。是非、「年内の土地検討」の総合アドバイス、お願いいたします。
 具体的な間取りというのは、土地が決まってからで大丈夫なのですね。了解いたしました。建物の希望としては、菊地さんの仰る7280×8190の総2階でお願いします。家族構成は、子供を二人と予定していますので4人でお願いいたします。
 私たちの「住みかに対する潜在的ニーズ」は、まだ全然自分たちで把握していません。お互いにどういう希望があるかもまだよく話し合ったことがありません。あわやマンションを購入する一歩手前で、一軒家に転向したばかりだからかもしれません。土地を探しつつ、そちらも探し当てていけたらと思います。
 週末に早速写真を撮影します。

 あれから、夫とも「もっと探す範囲を広げれば、その分価格も下がるかもしれないし、柔軟になってみよう」との話になっています。
 昨日は、夫からなかなか返事がなく、仕事もあまりないので、菊地さんのHPを読み込むうちに、「TomtomBox」を見つけてしまって、いま「脱サラSOHO日誌」にはまってます。^^;
 夫は「手作り工房」に興味津々のようです。うちにあるテレビ台、勉強机は夫のはじめての手作りなんです。もともと好きなんでしょう。「手作りハウス」に一緒に共感できるのもそういうところから来ているのかもしれません。

 色々書きましたが、まずは現在進行中の物件に決着をつけねばなりません。どうぞよろしくお願いいたします。



 札幌、TOM工房の菊地です。急な仕事が入り、バタバタしてしまって返信が遅れてしまいました。
 費用の範囲内でのアドバイザー契約に関し、ご了解いただけるそうなので、今後その方向に沿って作業を進めさせていただきます。前回メールで書き忘れたことがありますので、追加させてください。

9)本アドバイザー契約により、それ以降の設計契約等を一切拘束しない。
(双方の意向が一致した場合に限り、別途協議)
10)アドバイザー契約費用は、現在検討中の土地の日影図をメール添付等で納品した時点で依頼者(岡山さん)からTOM工房あてに支払う。
(恐縮ですが、手数料はご負担ください。手軽で手数料の大変安い郵便振替口座を所有しております)

 写真撮影の際、ご予定の敷地境界から目測で他の建物外壁がどれくらい離れているか、もし分かればお知らせください。一般的には北側、西側でおよそ600〜1100くらい(1〜2歩)のはずです。

「脱サラSOHO日誌」をお読みいただいているそうですが、人によっては「面白い!」と言ってくださいます。家作りの手記も、これらのHP連載の延長なのですが、思っていたより大きな反響があり、驚いています。
 ご主人が手作りをやっていらっしゃるそうで、一度お話ししたいですね。HPに掲載しているのはごく一部で、まだまだ多くの作品が我が家にはあります。ご覧になれば、参考になると思います。
 最近は無垢材と電動工具をもっぱら使っています。手作り家具等の趣味は実益もかねていますし、一度はまるとやみつきになると思います。特に戸建住宅の場合、腕を活かす場がたくさんありますから、大いに役立てるとよいと思います。

 お尋ねの「北海道の場合、1階居間の床面で冬至で3時間程度確保出来れば、ほぼ合格点を与えてよい」の根拠ですが、建築基準法の56条の2に日影に関する記述があり、あくまで高い建物が対象なのですが、それによりますと、

「北海道における第1種、または第2種住居専用地域では、冬至の午前9時から午後3時までの間、平均地盤面から1.5メートルの高さで、敷地境界から10メートルの範囲における場所に、2〜4時間以上の日照時間を確保すること」

 と規制されています。今回の土地は「第1種中高層住居専用地域」であり、床面の高さも600〜700前後です。この場合はもっと緩い日照時間の規制なのですが、最も厳しい規制でも上記のような数値ですので、目安としての数値に充分なると思います。
(というより、現時点でこれ以外に目安はありません)
 問題はいざ計算してみて、もし日照時間が3時間に満たなかった場合どうするか?です。実は「第1種中高層住居専用地域」では平均地盤面から4メートルの高さで上記の数値を満たせばよいということになっています。(2階の床あたり)そもそも、今回の土地では3階建等の高い建物以外、上記の規制はありません。現時点ではどうなるか何とも申せませんが、あらかじめ考えておいてください。
 ちなみに、作成する日影図は立体モデルの画像で、日の当たる様子が分りやすく表示され、誰でも一目瞭然です。



 
現地取材写真



 こんばんは!昨日は、お忙しいところご返信いただきましてありがとうございました。9、10の補足について、了承いたしました。
「脱サラSOHO日誌」は、昨日読破しました。究極のノウハウ記録ですね。独立する予定はないですが、なんというかすごく励まされ、力が湧いてきました。子供を抱えて再就職ができるのかなど、自分の夢に対して不安を抱くこともあったのですが、なせばなるということを身をもって示してくださっているこの記録は、独立する人もしない人にも心を打つと思います。
 菊地さんの文章にすっかり魅せられてしまい、今度は、「わが家のホームスティ体験記」にとりかかっています。^^;

 さて、現地を撮影して参りました。ムービーも撮りました。全て敷地の真ん中に立って撮影したものです。足りないものがあればおっしゃってください。
 菊地さんのお作りになった手作りの品々、是非拝見したいと夫が申しております。家を造ったら終わりではなくて、段々に自分たちで作って足していくという考え方がとても私たちの生活スタイルに合っている気がします。

 日照時間について教えていただき、大体理解しました。もうひとつ、お尋ねしたいことがあるのですが、古家付きの物件というのをたまに見かけます。土地のみより若干高い様な気がします。又は、築30年を越える中古物件というのも1000万円台で見かけます。そういったものを取り壊して新たに新築する場合、どの位の解体費がかかるのでしょう。調べたら、本州の値段で坪2〜3万円くらいだそうなのですが。予算が少ない場合はちょっと無謀なのでしょうか。

 明日は南の方に土地を見に行って参ります。それではどうぞよろしくお願い致します。



 写真とムービー、お手配ありがとうございました。敷地の様子が大変よく分かります。周囲建物は同じ施工店によるもののようで、外壁の色以外はほぼ同じ様な作りで、データ入力はそう難しくなさそうです。(三角屋根が見当たらない)
 私の得意とするガルバリウム鋼鈑や、木の素材を使った家も見当たりません。この施工店ン)に頼んだ場合、おそらくこういったごく普通の(悪い言葉で言えばありきたりの)家になるのではないでしょうか。

 お尋ねの木造家屋の解体工事の件ですが、廃棄物処理法が変わってから高くなり、全国的に坪2〜3万が相場です。最近てがけた新潟でも、40坪で100万ちょうどの解体費が別途かかりました。古い家のついている土地は、この解体費を見込んで評価してください。
(これを根拠に、土地の値段を100万値切る事なども充分可能です)
 解体費は廃材の搬出距離や手作業の比重により差が出ますが、札幌近郊なら最大で坪3万みておけば大丈夫でしょう。

 HP内連載をお読みいただいてるそうで、ありがとうございます。今後の設計契約その他の仕事のことは抜きにして、GWにでも手作り家具見学にぜひいらっしてください。勘のいい方なら、作品を見るだけでいろいろとヒントになるでしょう。歓迎したします。
 現在、急ぎの仕事が入っていて休日返上でやっていますので、日影計算の本格着手は、少し先になると思います。よろしくお願いいたします。やってみるまで何とも言えませんが、先に書きました冬至での最低条件は満たせるような感じが、写真を見て直感的にします。
 またこちらからご連絡いたします。



 了解いたしました。ご連絡をお待ちしております。 「古家付き」の物件についても、よく理解しました。解体費の分交渉可能の場合があるとのことで、ちょっと光明が差してます。

 来週末は今回の物件の最終判断材料にするため、業者に建築条件についてしっかり聞いてこようと思っています。昨日夫婦で話し合いましたが、あの会社の建築のデザインが気に食わないとかそういうこともなく、自分達が使う部材について凄くこだわりがあるというのもまだ感じないのですが、最初に「間取りによってコストは下げることは可能か」と聞いたときに「いえ、建坪で値段が決まります」と言われたのがひっかかっています。
 TOM工房のHPには、「部屋数が少ないほど大工手間も部材も減るのでローコスト」と書かれていたのに…。要するに何が何でも決まった部分は変えられない、という強い拒絶を感じたのです。最低の値段以下には下げることはない、という…。
 これは、今後我々の大きなストレスとなるのではないか、そんな気がしました。その辺を、もう一度確かめようということになっています。それに菊地さんにお願いしている日照の問題、地形にまつわる問題を加味し、総合的に判断しようと思います。

 それから以前頂いたメールに、

「施主が独自に土地を見つけ、独自に設計者を探し、独自にプランを煮詰めて複数の施工業者に図面を提示し、価格交渉すれば手間はかかりますが、最も自分たちの意向に沿った家作りが可能となります。この場合、業者はオーナーを探し、面倒な間取りや材料を選定する手間が省けるので、見積りはその分確実に安く出ます」

 とありましたが、このような場合、菊地さんがご自分で手がけたご自宅の建設費プラス設計費用が大体の最低ラインと考えてよろしいのでしょうか?
 注文住宅など我々にはとても手の届くものではないとずっと思ってきましたが、土地の値段によっては可能なのではないかと淡い期待を持ち始めてしまっています。一生に一度のことですから「お手軽お任せ」でいいとは決して思っておりませんので…。
 お時間が空いたときにで結構ですのでお教えいただければ幸いです。



 札幌、TOM工房の菊地です。先日ご依頼いただいた山の手2-6の土地に関する日影検討図10枚をお送りします。圧縮してありますが、解凍が出来ない場合はご連絡ください。ファイル名は「冬至」「春分」「夏至」を頭につけ、時間(24時表示)をその後に追加してあります。
 条件は先日ご送付いただいた敷地と周囲建物のデータを詳細に入力してあります。敷地の高低差も反映させてあります。どれも平均的な建物なので、ほぼ現況通りのはずです。南側のスーパー付近は現在駐車場のようですが、法制限いっぱいに新しい建物がもし建った場合を想定してあります。(図の半透明の建物)
 北の方位は反時計回りに38度回転、緯度経度はこの土地の正確な数値を入力してあります。
 新築建物は横(東西)8190×縦(南北)7280の総2階(延べ36坪)で想定し、それぞれ敷地境界から1メートル離してあります。1階居間の床高さは周囲GL+600、2階床はGL+3450としました。いずれも平均的な数値です。

 まず「冬至午前9時」をご覧ください。すでに1階居間に日が当たっています。次に「冬至午後12時」をご覧ください。まだ日が十分当たっていますが、南の建物の影の影響が一部で始めています。
 最後に「冬至午後1時」をご覧ください。南の建物の影が完全に1階をおおってしまっています。つまり、冬の午後は1階ではほとんど陽当たりが期待出来ません。午後の太陽の恩恵を受けたい北国では、結構大きな問題と言えます。
 しかし、全体の1階居間床の日照時間は3時間を満たしており、その点ではいちおうぎりぎり合格です。


「冬至の日影図」(TOM工房作成)

 同様に春分(秋分)と夏至のデータも参考までにご覧ください。こちらはあまり問題にならず、周囲建物の影響もほとんど受けません。3月から9月くらいまでの日中の1階居間の陽当たりは、合格点を与えてよいと思います。
 夏至にあまり居間の床に日があたっていないのは、周囲建物影響ではなく、太陽の角度が急だからです。夏はこのほうが涼しくてよいと思います。
「おまけ」の画像は、西からの春分午後2時の様子です。このように通路に充分日が当たるので、春の通路の雪解けは早いでしょう。


「春分と夏至の日影図」(TOM工房作成)

 以上の結果による評価は大変微妙で、「ダメだ」とも「合格」とも言い切れません。ひとつ気がついたのは、今回の敷地ように、北の方位が反時計回りに大きくふれている場合(38度もふれています)、冬の午後の陽当たりは極端に悪くなるということです。
 実は私の敷地は北が時計回りに23度回転で、今回と全く逆です。ですから、冬の午後の陽当たりは大変よく、石油消費量が極端に少ない大きな理由の一つになっています。
 北国の冬の午後の陽当たりは大変重要とよく言われていますから、「北国で陽当たりを重視する人は、北が時計回りにふれている土地を選べ」というのも、重要な土地探しのキーワードかもしれません。

 前回メールに関連し、我が家の家作り総費用をお知らせしておきます。家本体以外では、セルフビルド材料等30万、カーテン類10万、家の登記費用10万、引越し雑費5万といったところです。引越しはすべて自分たちで、登記の一部も自分でやり、高価な照明なども無縁で、たいしたお金はかかっていません。
 また、ローン借り入れに伴う諸費用(抵当権設定費や団体信用保険など)は入っていません。これは借りるローンによってかなりばらつきがあって一概に言えませんが、銀行ローンなどでは、ローンに一部繰り入れてくれる場合もあります。私の場合は公庫でしたが、全部で10万以下だったと思います。

 同様の手法で30坪前後の家を建てた場合、地域にもよりますが、およそ坪単価45〜48万で決して豪華ではありませんが、かなり個性的な家を建てることが可能です。(2004年春の段階)これに別途設計監理費用がかかります。付属車庫や物置費用はこれに含みません。車庫を私のようにセルフビルドでやったり、青空駐車でいい場合は、費用はこれだけですみます。
(物置つき車庫を木製で外注する場合、別途でおよそ100万かかります)
 建築条件つきの規格住宅の場合、まず総額で下限1500〜1700万前後の制限を設けているメーカーが大半です。標準床面積や標準設備の削減によるコストダウンは、一切受けつけません。「個性」「こだわり」「ローコスト」「エコロジー」これらのキーワードすべてを満たす家作りは大変難しく、素人にはほとんど不可能なのですが、企業の営業行為として考えた場合のメリットは少なく、プロでも手掛ける人はごく少数です。
 HPにも書いてありますが、私はもうけ主義で設計の仕事をやっているわけではありませんので、ほとんど誰も相手にしないような仕事でも、請け負えるわけです。ただ、万人に私の手法を押しつける気は毛頭ありません。お施主さんには全てを判断し、自由に選ぶ権利があります。



 日影検討図をありがとうございました!10枚も作っていただいて感激です。会社の私のパソコンでは圧縮ファイルが開けなかったので、帰ってから確認します。とても楽しみです。今週の業者説明と合わせて、夫と検討してからまたご連絡させて頂きたいと思います。
 相談費用の件ですが、今日か明日早速振り込ませていただきます。取り急ぎお礼まで。

「建築条件付」とうたっているメーカーは、下限が大体決まっているのが普通なのですね。企業側としては利益を得なければならないのでそういうことになるのでしょうが、我々としては選ぶことが出来ず厳しいところです。
(つまり、いらないものまで付けられてしまうということで)
 なおさらに坪45〜48万で「かなり個性的な家」が建てられるということに驚きを感じます。
 ローン借り入れに伴う諸費用が安いのにはビックリしました。マンションなどでは100万以上といわれていたので…。ご自宅の建設費を教えていただいてありがとうございます。とても参考になりました。

 もうひとつお伺いしたいことがあります。「ローコスト」「セルフビルド」は私たちでむしろ叶えたいことですが、「エコロジー」は予算の関係で追求しきれないこともあるのではないかと感じます。(例えば、無垢材を使いたくても、予算がなくて合板にせざるを得なくなってしまう、など)
 以前、3階建てはローコストからかけ離れているので相談を受けていらっしゃらないとお聞きしたので、設計主旨に反する場合は、受けていただけないこともあるのでしょうか?お時間あるときにでもお教えください。

 実は今朝、TOM工房さんにお伺いしている夢を見てしまいました。^^;やっぱり家作りに今まさに燃えているのかもしれませんね!



 札幌、TOM工房の菊地です。
 私のコンセプトのひとつである「エコロジー」ですが、あくまでお施主さん本意です。情報としていろいろ提供はいたしますが、最終選択権はお施主さんです。たとえば窓は塩ビの樹脂サッシより木製がよりエコロジーですが、コストが2倍近いので、納得いただいた方にしかお勧めしていません。(我が家もこの理由で樹脂サッシです)
 無垢材の床は合板と比べても20%アップくらいで済む製品を最近みつけましたので、それをお勧めしています。長い目でみて、合板に張り物の床はお勧め出来ないので、数万の差なら、断然無垢材です。そのほうがお施主さんの利益になります。
(仮に30坪全部に無垢材床を張ったとし、坪1000円の差が出ても3万円しかアップになりません)

 このほか、基本的に私の追求するエコロジーは、「安いこと」が前提です。「坪45〜48万でかなり個性的な家」というのも、この前提に立ったものです。これに基づく情報の収集には日々怠りありません。
「エコロジーを追求している」というと、多くの人に「コストが高いでしょう」と言われますが、前回書きましたように、我が家の工事単価は非常に低いです。
 3階建ての場合、申請に必要な構造計算だけで数十万はかかります。(外注となります)これだけで坪単価が何万もはねあがり、その他規制も大変面倒です。狭小地でやむを得ない場合は必要なのでしょうが、たった独りで全てを取り仕切る私には手間がかかり過ぎ、とても手がけられません。
 相談費用のお手配は急ぎません。よろしくお願いいたします。



 お忙しいところ何度もメールいただきまして恐縮です。エコロジーの件、とてもよく分かりました。
 以前頂いたメールを読み直していて疑問に思ったのですが、
1)「建築条件付」の場合、設計のみ切り離して外部にお願いする場合と、
2)それを拒否された場合、「間取りや立面の材料、外観デザインだけを切り離す方式」
 があると教えていただきましたが、1)を嫌がる業者は2)も嫌がるような気がするのですが、両者は業者にとって大きな違いがあるのでしょうか?

 また、週末に会うのとはまた別の業者に先日同じことを質問してみたのですが、「うちは工務店じゃないので設計だけ切り離すのはちょっと」と言われました。
 建設業界のシステムをよく理解していないものですから、「施工だけ請け負ってくれてもいいじゃない」と思ってしまうのですが、基本的にハウスメーカーは施工は外注だからなのでしょうか?それとも、単にプライドの問題なのでしょうか。
 ハウスメーカーでも「設計・施工は自社一貫で行っています」という会社がありますが、こういう会社も同様なのでしょうか。また、「施工だけ」ではハウスメーカーは儲からないシステムになっているのでしょうか。中にはそういったことを歓迎する業者がいてもいいのではと思ってしまうのですが。

 勉強不足で間取り以前のことを色々とお尋ねしてしまい、申し訳ありません。菊地さんのアドバイスをきちんと理解するためにも、早急に基礎的な知識を身に付けなければと気ばかりあせっている最中です…。どうぞよろしくお願いいたします。



 建築業界の裏側は、関係者でなければ知らない多くの謎に満ちています。言葉は悪いですが、業者にとってお施主さんは、ある種の「カモ」です。値切らず、業者の言いなりで高いお金を払ってくれるお施主さんほど都合のいいものはありません。
 反対に、お金や材料、設計システムにいろいろ質問したり注文をつけたりする客は、いわゆる厄介なお施主さんです。それでも住宅1軒建てると、それなりに経費や利益が出る仕組みになっているので、あの手この手で客を引き寄せます。
 何の知識もない素人の施主が、これらの専門知識に満ちた情報の本質を見抜くのは、不可能とは申しませんが、相当勉強しないと無理です。

 現在HP連載中の新潟の上杉さんは、勉強だけで数年かけたそうです。その分、プロ顔負けの知識をお持ちで、メールの最初にいきなりQ値とC値を指定してきたのには驚きました。これだけで、もう対応出来ない業者がいると思います。今回の日影計算も全然出来ないか、外注に出している業者が大半でしょう。
 新潟の上杉さんはいろいろ迷ったすえ、メーカーや工務店には設計を依頼せず、私(設計事務所)に全面的に設計依頼してくださいました。
 一方、同じくHP掲載の南野さんは、メーカーと土地(建築条件つき)がすでに決まっている物件でした。どんな業者でもハウスメーカーでも、設計の一部あるいは全部を切り離すことは原則として受けつけません。どのような形でも、無関係な外部の設計者を介入させると、自社の不利益(利潤の薄い材料と施工法の指定、クレームの元になる材料指定など)につながるからです。

 おそらく現在検討中の業者も同じだと思います。今回の土地を契約した場合、私の介入するすき間はほとんどないと思われます。
 南野さんのケースでメーカーが受入れたのは、
「自分たちの指定した材料以外は使わない」
「設計責任は自分たち(メーカー)」
「設計費用の値引きは一切しない」
 という条件を南野さんが飲んだからでしょう。メーカーとしても、「口うるさい客の間取りの相談を一切受けなくて済む」というメリットがあったのでしょう。こんな厳しい条件でも、南野さんが私に依頼されたは、私の空間構成のユニークさだそうです。

 施工だけ請負う会社は、本当に良心的な職人的会社か、あるいは客を見つける営業力のない会社でしょう。そういう会社でも施工力は充分ありますが、設計力はありません。
 CMを流したり、チラシを入れたりする会社(いわゆる住宅メーカー)は、まず外部の設計者が入るすき間はないものとお考えください。参考までに、この「住宅メーカー」というシステムは、日本だけのものだそうです。
 現在検討中の土地に何らかの憂いがあるのなら、もう少し勉強なさってはいかがでしょう。家作りに勢いは確かに必要ですが、あせりは禁物です。



 
やめることにします



 おはようございます。先日は日照シュミレーション、本当にありがとうございました。買う買わないは別にしても、ずっとあの土地にひっかかっていたので、即時に明確に判断できるとてもよい指針となりました。菊地さんがいらっしゃらなければいつまでもわだかまって決めかね、前に進めずにいたと思います。
 先ほど、料金を郵便局に振り込みました。先週はなかなか仕事を抜けられず、申し上げた日より遅くなってしまって申し訳ありません。

 日照的には、我々がその後色々見て回った物件の中では良いほうだと思いました。しかし、とても良いと言うわけではないこと、予算が大幅にアップする割には、隣近所とのトラブルも予想されるという憂い、「近くに住んで欲しい」という親が、「あそこはやめておいたほうが…」とゆずらないこと、等々をかんがみて、やめることにしました。
 きっぱり決断できたのも菊地さんのお陰です。ありがとうございました。あの物件を見つけてから、ぽやぽやとしていた我々のマイホーム計画に突然火がついたようになり、この1ヶ月間というもの取り付かれたように動いていましたが、これでしばらく落ち着いてまたゆっくり考えられると思います。

「初めての土地探し」の感想としては、新聞やネットでよさそうな物件を見つけたら、平日でも仕事の帰りに待ち合わせて二人で見に行ったりなどして、この2週間で15くらいは見ました。
 しかし予算内で、かつなるべく便利なところと贅沢を言っていると、とても狭いか殆ど日の差さないような立地条件であるとか、現実を見せ付けられました。

 最後まで迷っていた土地の業者には、今度売り出す別の場所の新しい「建築条件付土地」はどうかと提案されました。確かに実家にはやや遠いけれど、交通の便も申し分なく、夫の会社にも近く、区画整理されているので周辺はそれほどの悪条件でもなく、価格も予算内です。
 しかし、問題は建築条件付。下限価格をどうしても下げないと言うのであれば考えられませんとはっきり言いましたら、希望の間取りで見積を出すと言ってきました。
 菊地さんのこと、セルフビルドをなるべく活用したいことも話しました。外部の設計士に設計を依頼する場合、値引きは一切ない代わりに、その設計通りに作ることを今までやってきたと言っていました。建材についても指定メーカーのものであれば代用可能とのことです。ただし、法的な責任などはその業者が、という菊地さんに以前聞いていたのと同じような結果になりました。
 ご参考までに、業者の「注文住宅標準設備仕上表」を添付いたします。

 それからGWなのですが、菊地様のご都合の良いときがありましたら、是非ご自宅を見学させていただきたいのですが!どうぞよろしくお願いいたします。



 札幌、TOM工房の菊地です。アドバイザー費用を早々とお支払いくださったそうで、大変ありがとうございます。郵便振替は確認に数日かかりますが、通知がきましたら再度ご連絡します。
 候補の土地は断念なさったそうで、熟慮のすえの結論ですから、それでよかったのだと思います。決定に影響を及ぼすと思い、差し控えていましたが、入口の土地の方は、結構難しい方かもしれません。家がぎりぎり北西いっぱいに建てていること、そして居丈高なブロック塀が8段も積まれていることからそれが推測出来ます。
 去年、別の方の土地探しに関わったとき、同じようなことがあり、事前に私が指摘したところ、やはりその通りだったそうです。その方の土地は角地だったので、当初の計画を変更し、玄関を全く反対側にもってきて、その隣人となるべく顔を合わせないようにしたとのこと。密集地ではこの隣人との関係も重要で、すでに建っている場合は、家や塀などの状況からある程度推測出来ます。

 業者の標準仕様書も拝見しましたが、可もなく不可もなくで、ごく標準的で現在のお施主さんニーズの最大公約数を満たしている、といった印象です。各メーカー、いろいろ差別化を図ろうと苦心していますが、「クレームを少なく」「利潤確保第一」で進めると、結局どこも同じようなものになってしまいます。
 私とは対極にある考えなのですが、岡山さんご夫妻がこの「最大公約数的家作り」で将来的にも満足出来るのなら、こうしたメーカー主導の家作りでよいと思います。私も「いい客になるかもしれない」と、無理矢理自分の側に引込もうなどと、だいそれた考えはありません。

 ただ、少し気になるのは、もしかすると潜在的にお二人が「他とはひと味違う何か」を、住まいや暮しに求めているのではないか?とも思えるからです。
 奥様が私の文章をとても評価してくださったこと、(私は世間一般から見て、相当の変わり者だと思っています)また、奥様がデザイン関係の仕事をされていること、(他と同じことをやっていて、デザインや芸術が論じられるとは思えません)そしてご主人の手作り嗜好です。手作りという行為そのものが、先の「最大公約数的家作り」の対極に位置するものです。
 これらの情報から考え、もしかすると家作りの方向性がもっと絞られてくるのではないか?とも思えます。以前、「あまりあせらずにじっくり」と書きましたのは、お二人でいろいろ物件を見、いろいろな家の情報を入手することによって、もう少し自分たちの持つ潜在的な願望がはっきりしてくるのでは?と思えたからです。

 我が家の案内図を添付しておきます。住所、電話番号もすべて画像内に入っています。ご来訪をお待ちしています。




 
ご縁があればいつの日にか



 かくして約2週間にわたった「住宅総合相談」は、一応の区切りをむかえた。最初は単なる土地の日照評価だけの予定が、家作りや工事発注形態全般にいたるまで相談が発展したが、これも自然な成りゆきだった。
 この相談には、後日談がある。その後、我が家を見学にいらした岡山ご夫妻、すっかり我が家を気にいってしまい、

「あのような家で育つ子どもを見てみたい」

 と、ご主人が規格住宅そのものに、すっかり興味をなくされてしまったのだ。そして紆余曲折のすえ、奥様のご実家の近くに、ほぼ満足の出来る条件の中古住宅を入手された。数年住んで子育てや生活が落着いた時点で、再度家作りを考えよう、ということのようである。
 どうやら、「他とはひと味違う何かを、住まいや暮しに求めているのではないか?」との私の直感は、的を射ていたようだ。
 ここに至るまで、膨大な量のメールが互いにやり取りされたが、そのすべてを公表するのは、今回の相談の主旨に反する。しかし、単なる依頼者と建築家の関係を大きく超えた、「人生の先輩と後輩」そして「人間と人間」としての、大変有意義な会話が交わされたことだけは報告しておきたい。そしてこの「利害を超越した人間関係の構築」こそが、家作りにおける施主と建築家の望ましい関係ではないかと思う。

 土地確定後に岡山さんご夫妻から届いたメールを、最後に紹介しておきたい。



 ご縁がありましたら、いつの日にか我が家をデザインしていただければ、こんなに嬉しいことはありません。モデルルームに行って、どんなハウスメーカーの話を聞いても、機能美や機能性、住宅としての効率の良さを思い浮かべると、私と夫の意見は最後にはいつも行き着くところが決まっています。

「やはりTOM工房が一番だね」と。

 この2ヶ月間は我々にとって、家の勉強のみならず、現在過去未来の自分たちについて考える良いきっかけになり、本当に有意義でした。心から感謝いたしております。ありがとうございました。