家作りNet相談〜その5
南野さんの軽やか風水、風薫る水の家〜立面プラン編



 最初にお断りしておくと、この章におけるやり取りのすべては、家作りにおける本編である「間取り計画編」の、いわば続編に相当する。したがって、この章を読む前に、まず前編である「南野さんの軽やか風水、風薫る水の家〜間取り計画編」をぜひお読みいただきたい。
 家作りにおける平面計画と立面計画とには密接な関係があり、同時進行でプランニングするのが本来望ましい。今回のように間取りに関する相談が「外部計画」、そして「立面プラン」へと発展していくのは、そう珍しいことではない。施主と設計士の相性がいい場合、家作りの流れは自然にそういう方向に向かっていくものなのだろう。


 ・CONTENTS・

   パースをお願いします
   見とれてしまいました
   決めかねるバルコニー素材
   あともう一歩
   我が家にずっと残ります
   総合住宅相談としての収穫



 
パースをお願いします



 南野です。外壁については、やはり全面ガルバリウム鋼板でしょうね。私は人と同じ事をするのがあまり好きではないたちなので、素材を上下に分ける方法に惹かれましたが、主人の全面ガルバリウム案が確かに実用的ではあります。
 家は住み心地を重視すべきだと思うので、外観のおしゃれ度はこの際多少目をつぶるべきでしょうね。全面ガルバでも、ウッドデッキ等で木材を充分取り入れるので、それでも充分素敵ですよね。
 ところで、全面ガルバ鋼板に決定した場合、バルコニー内側の外壁も同色が良いでしょうか。ガルバ鋼板には色のバリエがあまりないので、他の色では合わないような気がします。

 契約のことですが、当初の13日から15日へ。更にはもう少し遅れそうです。(・_・")?まあ、延びて考える時間が増えたのは良しとするべきでしょうか。



 札幌、TOM工房の菊地です。契約がまたまた延びそうとのこと。すでに契約は確実で、当初からの計画変更は確定、そうなれば企業として次に考えることは、一物件としていかにして社内経費を確保することです。そのためには綿密に工事原価を算出せねばなりません。これはどんなに手慣れた業者でも、数日〜1週間はかかります。
 私も結構長い積算の実務経験があるので、関わった物件は詳細に原価を出します。これは木材1本1本の体積と長さを出す事から始まる大変な作業です。私は自分で積算プログラムを作り、作業を半オート化していますが、それでも2〜3日はかかります。
 こうして自社の施工原価を把握したあと、オプション工事の価格調整をして、最終見積が出て来ます。原価算出次第では、現在あいまいになっている事項、たとえば「玄関ひさし」などは、「検討努力しましたが、やはり規格内では無理で、オプション料金を払ってください」などとなる可能性があります。もしそうなった場合は、合計見積価格をにらんでの両者相談となると思います。現在依頼しているオプション工事で、もう削れるものはほとんどないでしょう。

 奥様の「人と同じ事をするのがあまり好きではない」という資質は、私とぴったり同じです。実は私もB型てんびん座、独創性を追求しつつ、人とのバランスを図るのが得意で、建築家に向いた資質なのかもしれません。
「全面モスグリーンのガルバ外壁縦張」「白のサッシとドア」「ウッディ車庫とウッディデッキ」「チャコールグレーの破風」「花壇などにあしらったレンガ」これらの組合わせをイメージしてみてください。十二分に個性的なお家です。

 バルコニー内側の外壁ですが、同じ外壁で他にいい材料が思い浮かびません。私の家の近所に同様の仕様の家が最近建ちましたが、やはりガルバ鋼板でやっていました。内側とはいえ、同じ条件にさらされる部分ですから、ガルバ鋼板が無難です。あくまで施工店の最新図面に従った場合ですが、手すりを開放的にしてしまえば、面積としての内側外壁は、ほとんど数字にでてこないはずです。
 車庫の構造計算を昨夜やってみましたら、間口4MはOKですが、北東側にある2本の柱(間隔4560)の間にもう1本柱を追加しないともたないことが分かりました。そう大きなコストアップではなく、致命的な欠点でもないはずですが、とりあえずお知らせしておきます。(反対側は物置があるので、大丈夫)
 あと、私の家でもそうしているのですが、安全のために車庫梁の一部を建物本体に10センチくらいのビスで2ケ所程止めています。これは主として横方向からの力に対して車庫を安定させるためです。
 これらの詳細は、車庫&建物計画が具体化したときに再度お知らせします。



 こんばんは、南野です。以前に話のでた網戸の件を営業の方に再度確認してみたところ、網戸のみ取り寄せは不可能でした。さらに、「プリーツ網戸は1ケ所1万円以上しますよ」との事です。ネットで一般販売している店はないか検索して探してみましたが、見つけられません。
 このまま高い値段で施工店に依頼するのは無駄なような気がします。とりあえず「無し」で施工してもらって、最悪の場合、来春までに何とか探そうかと思っています。完成引渡しはおそらく秋口、実際居住を開始するのは、それから1ヶ月位後になるでしょうからもうすぐ冬です。春までは網戸を使う事はなさそうです。

 菊地さんもてんびん座ですか!!私もです。(笑)人とバランスが図れるかどうかは自信ありませんが、独創的なものに引かれる傾向はあります。仕事の場面では、こんな性格のために、それまでの常識を頑なに守ろうとする人達と意見が合わず対立してしまう事もありました。プライベートではいたって温和です(^_^;)
 主人は平凡、非凡に関わらず、機能や性能を第一に考えるタイプなので、その辺で隔たりがあるかもしれません。夫婦としては、違う二人だからうまくいくのかなと思ったりしますが。

 やはりバルコニー内側は同色ガルバですね。主人は内側の少しの部分だけなので、ガルバ鋼板のシルバーでもいいのではと言っていますが、どうでしょうね?
 ホームページのエッセイコーナーにあった
「こもる部屋」、子供時代に私自身体験したので、なるほどと思って拝見しました。狭い家で一家4人暮らし、中学生までは姉と二人で一部屋でした。夜毎片思いの彼について語り合ったり、それはそれは楽しい毎日でした。
 そんな時に新築の話が持ち上がり、仲はすごく良かったのですが、時代の流れで自然と一人部屋を希望する私達に、両親は希望通りの一人部屋を与えてくれたのですが、楽しいはずのその部屋は予想に反して何と寂しい事か。それから自然に私達の間で会話は減り、それまで全て分かっていたのに、お互いの生活が見えなくなって、悩み事にも気づいてあげられなくなりました。そしてそれぞれの部屋にこもるようになり、当然両親との会話もめっきり減り、変わりに喧嘩ばかり増えました。
 こうして思い出すと、やっぱり個室は絶対いやです。菊地さんのプランで本当に良かったと思います。



 札幌の菊地です。
 私はかなり偏屈な性格で、若いころからそんな自分の性格を持て余すほどでした。人生ではそれでかなり損をしたこともあります。いまだに損をしているかもしれません。

 網戸の件は、どうも話が食い違うと思っていたら、高級品の「プリーツ網戸」が単価に入っていたのですね。それでやっと納得しました。私が話しているのは、最も単価の安い「ロール網戸」のことです。内側にロール状にひもで巻き上げて収納するタイプで、私の家についているのもこれです。最も大きいもの(550×950)でも1ケ所数千円でしょう。汚れにくく、使わない時期はまるで目立ちません。取付も簡単ですし、これで充分ですよ。
「プリーツ網戸でなく、ロール網戸ならいくらでしょう」と、もう一度聞き直してみる価値はありますが、ここまでくるとやめたほうがいいですかね。
 網戸は全部の窓には、たぶん必要ないはずです。網戸は原則として1〜2階の東西、南北方向に1セットあればいいと思います。「いらなそうな窓」をピックアップしてみます。

・居間南西窓:出入りが激しく、サイズも大きいので不要。我が家では同じ用途のテラス網戸をすぐに外してしまいました。
・和室窓:居間南西窓にあれば、ここもたぶん不要。
・2階北東窓:3つあるうち、ひとつあればいいのでは?

 以上を累計しますと、17−4=13ケ所となります。トイレや浴室もいらないかもしれません。(こちらは微妙)取付を自分でやれば、全部で10万円前後で出来るはずです。見積りの半分以下です。ネットで一般ユーザーにも売ってくれそうなサイトを見つけましたので、お知らせしておきます。

 バルコニー内側の材料はガルバ鋼板でいくなら、同色のほうが現場でいろいろ材料のやりくりがきいていいですよ。些細なことで、あとで追加工事を出されてはたまりません。どの色でも価格は同じはずです。
 一般論ですが、施工店とは「つかず離れず」の関係を保っておいたほうが、クレーム処理や品質保証等でのちのち南野さんの利益になると思います。



 南野です。今日、施工店にロール網戸の件は確認してみます。お話を伺うと、居間南西窓はいらなそうですね。どの窓につけるかよく検討してみます。
 教えていただいた網戸のサイトは、実は検索していた主人が見つけたところでした。こんなに近くにあったとは…。問い合わせてみることにします。これで網戸の件は何とかなりそうですね、とりあえずホッとしてます。お気遣いありがとうございます。
 バルコニー内部は、おっしゃる通り同色の方向で考えます。

 ところで、施工店から新プランでのパースをもらったのですが、外壁にモスグリーンがないとの事で、ただのグリーン色になってました。セルフビルド予定の箇所も描かれていないのでイメージが湧きません。菊地さんにパースをお願いします。
 外壁を全面ガルバ鋼板にする事でほぼ固まりつつありますが、施工店からのパースを見る限りでは、あまりに単調でがっかりしてしまったので、上下、もしくは縦に分ける方法も考えたいと思っています。とりあえず全面ガルバリウム鋼板(モスグリーン)で作成していただけますか?それでは楽しみに待ってます。よろしくお願いします。



 札幌、TOM工房の菊地です。
 施工店のパースにモスグリーンがないそうですが、パースソフトの標準色にないという意味でしょうか。それはさておき、 パースのご依頼は喜んでお受けします。価格は以前にも書きましたが、一方向×万円で、同じデータでの色変更、別アングルなどは1枚につき×円追加です。(この価格は間取り相談の方だけが対象の特別料金です)
 車庫やウッドデッキも図面通りお入れします。大幅な変更は結構手間がかかるので、基本料金内ではご容赦ください。細かい追加などが生じる可能性があるので、お支払いはあとでも構いません。(というより、間取りのお金を先日いただいたばかりなので、来月でも結構です)

 とりあえずガルバリウム鋼板(モスグリーン)で作成しますが、以下の点を当方の判断で作成しますので、変更がある場合は至急ご連絡ください。

・サッシ、ドアの色はともに白(ドアがまだはっきりしない)
・2階バルコニー手すりは全面とし、縦の着色アルミ、色はチャコールグレー
・東北側にH=3000くらいで、バルコニー小屋根と同デザインのひさしつき
・屋根破風はチャコールグレー鉄板
・居間サッシはテラスの高さとし、開き窓
・2階東北壁に3連窓をつける
・ウッド車庫&物置とウッドテラスを入れる
・見る方向は東(玄関&居間側)→南からも見る場合追加料金となります。

 ほぼこれまでのやり取りで決まったか、決まりそうな方向です。
「あまりに単調でがっかりしてしまった」とメールにありましたが、建物形状が完全な直方体なので、形による面白さはあまり期待出来ません。
 それと、私のプランに基づいた施工店の修正立面図にあった屋根ひさしですが、全周300だけ出ているのが、ちょっとやぼったい感じです。水下にあたる西側は仕方ないですが、他は破風の厚みだけのほうがすっきりすると思います。外壁がガルバ鋼板なので、冬に氷雪が多少壁に垂れても、ほとんど問題になりません。(私の家でも妻側屋根はひさしの出は破風のみですが、全く問題なし)
 パースはとりあえず「西以外はひさしの出は破風のみ」で描きます。不都合があればご連絡ください。

 デザインを調整する方法ですが、コストアップなしでいくのが正道です。

●北東側以外の外壁の下半分をサイディングにする
 外壁の耐久性は落ちますが、コストはほとんど変わりません。

●外壁の一部に木材を使う
 これは相当印象が変わってきます。法的に使えるかどうか確認してください。(防火規制に関わる)使えそうなのは、「2Fバルコニー内側部分の外壁」「窓と窓の間で窓の高さがそろっている部分(2F東北、1〜2F南西)」
 木材は保護塗料塗り替えのメンテが簡単にできる個所に限定したほうがいいです。上記3ケ所はいずれもOK。(2F東北側は車庫完成後に車庫屋根に昇ってできる)木材は安いパイン系のものを使いましょう。
 雨水の侵入が考えられるので、この部分には下地として17Kg以上のアスファルトルーフーングを広めに張ってもらってください。ルーフーングを止めるためと防火をかねて、石膏ボードの下張りも必要です。これら全部を合わせると、ちょうどガルバ鋼板の厚みになるはず。価格は下地材こみでガルバとほぼ同等かやや安いくらいのはずですが…。(微妙)

●同様に外壁の一部に色変わりのガルバリウム鋼板(たとえば銀)を使う
 この場合、ガルバの張り方を横張りに変えたほうが、より個性的です。価格はたぶん変わらず。(こちらも微妙)
 私の家も単調なデザインの総2階ですが、外壁の一部に木材を使い、ウッデイ車庫&テラスを併用して単調さから何とか逃れました。まずは現プランでのパースを見て判断されてはいかがでしょう。ウッデイ車庫&テラスを加えるだけで、相当違ってくるはずです。

 車庫の構造計算をしていて気づいたのですが、単独で立っている柱にはすべて「方づえ」(梁と柱を斜めに補強する材料)をつける必要がありそうです。これは以前のメールにも書きましたが、デザインがやぼったいので、私の家ではつけませんでした。木造車庫でも方づえなしで確認申請が通っている例もありますが、構造的にはあったほうがいいです。車庫メーカーの最新版カタログを見ますと、木製車庫にはすべてこの方づえがついています。
 今回計画中の車庫は、面積が私の家の1.7倍もあるので、何もなしだと審査でひっかかる可能性があります。方づえがどうしても嫌な場合、東側に筋交いを×の形で入れるとOKとなるかもしれません。このへんはかなり微妙です。あくまで建物といっしょに確認申請を出した場合ですが、この「×形の筋交い」だけで通っている例があります。(デザイン的にはこちらが美しい)
 パースをとりあえずどう描くか悩みますが、デザイン的に美しくて価格も安い「鉄製×形の筋交い」で取りあえず描いておきます。しかし、これで確認申請が確実に通るということではありませんので、その辺はご了解ください。



 
見とれてしまいました



 南野です。パースの金額については了解しました。来月の支払いでも良いとの事で、お心遣いとても助かります。まずは東側だけで良いので、南からは必要となった時にお願いします。
 バルコニー・屋根破風の色について、施工店パースでは、どちらも白となっています。白の方がまとまりがあるのではないかと思っていましたが、想像だけで自信がないので、チャコールグレーも見てみたいです。とりあえずチャコールグレーでの作成をお願いします。
 屋根ひさしに関して、当初雨垂れ跡が壁に残らないように考慮して、屋根を少し出してもらう旨を相手に伝えたままになっていましたが、外壁をガルバにした事で、その必要はありませんね。これは、「西以外はひさしの出は破風のみ」で良いです。

 外部デザインとコストとのバランスですが、住むための家ですから、外観だけを重視して耐久性を無視するのも違う気がしますし、かといって、耐久性だけを追及したつまらい家だと住み心地にも影響するように思います。これは非常に悩みます。
 外壁の一部に木材、素敵ですよね!主人としては耐久性とメンテの問題からあまり好ましくないような感じですが、施工店のパースを見てからは、あまりに単調な外観にがっかりして、全面ガルバリウム鋼板採用に対して、少し気持ちが揺らいでいます。一部シルバー案は主人も提案していましたが、モスグリーン&シルバー&ウッド…、大丈夫かな(?_?)
 色変わりのガルバを使うよりはパイン材を使いたいです。とりあえず、全面ガルバリウム鋼板のパースを見せてもらってから考える事とします。

 念のため、パイン材を使う場合の法的問題や価格、記載されていた施工方法の可否を施工店に確認しておきたいのですが、ちょっとメールではイメージがつかめなかったので、素人の私達から説明できるように教えていただけますか?
 車庫の「鉄製×形の筋交い」、了解です。



 札幌TOM工房、菊地です。外壁の一部に木材を使う場合の留意点について、取急ぎご連絡いたします。

1)防火上の問題点
 地域に何らかの防火規制がある場合、普通の木材を外壁に使えないケースがでてきます。具体的には、「準防火地域指定」「住宅金融公庫等の借入金融機関の規定」「その他開発に伴う指定」などです。
 私の家の場合は「住宅金融公庫の借入規定」に引っ掛かり、「延焼の恐れのある部分」を防火構造にする必要があり、悩んだすえ、規制外の1階南壁だけを木製としました。この下りはホームページにも掲載してあります。こちらの
「木の外壁が使えない」の項をご覧ください。
 今回の計画でも、借入金融機関から同様の規制が提示されている可能性があります。「準防火地域指定」はたぶんないはずですが、施工店にご確認ください。また、「その他開発に伴う指定」は、今回の大規模開発に伴う規制として出されている可能性があります。
 これら規制は、将来車庫&物置を別途確認申請出す場合にも関わってきますので、この際確認したほうがいいと思います。(最悪の場合、木製車庫&物置そのものが作れない可能性が出てくる)

2)施工上の問題点
 外壁の一部に木材を使うことに手慣れた設計者、施工店の場合は問題ないですが、そうでない場合は施工をきっちりしないと、のちのちのトラブルになる可能性があります。
 資料の中にあった壁の詳細イラストをみますと、外壁部分は通気胴縁の上に、直接サイディングを打ちつけるだけの工法です。防火規制もこれでクリアされ、これが普通のやり方です。今回使う予定のガルバ鋼板は個別に防火認定をとっている製品でもあり、これを使う場合は同様の施工方法で問題ありません。

 はっきりしないのは、施工店側がガルバ鋼板の防水問題をどう考えているかです。カタログを見ると、「防水を万全にするため、ガルバ鋼板下にはアスファルトルーフーングを施工すること」とあります。契約にこれが入るのかどうか…。
 私の家は特注のガルファン大波鋼板でしたので、下地にはすべて17Kgのアスファルトルーフーングを施工しました。もし今回も同様に施工するのなら、木材外壁部分にも同様に防水材料が下地として施工されることになり、問題ありません。心配なのは「アスファルトルーフーングなし」で考えている可能性です。近所の家で同じ市販のガルバ鋼板を施工しているのを見ましたが、アスファルトルーフーングなしでやっていました。縦張りでもあり、防水上の問題はないと判断しているのでしょう。
「アスファルトルーフーングを入れるか入れないか」は、コストにも関わる大きな問題です。ガルバ鋼板だけならなしでもいけるかもしれませんが、(私が設計監理する場合は、必ずいれますが)木材の場合、継ぎ目から雨水が壁の中に侵入する可能性が高いので、最低この部分にはアスファルトルーフーングを施工するべきです。「広めに張る」とは、木材と他の材料(現状ではガルバ鋼板)との接触部分よりも、プラス30センチくらいです。もしもガルバ鋼板下地にアスファルトルーフーングをすでに考えてくれている場合、この記述は関係ありません。
 アスファルトルーフーングは紙のような薄い素材なので、そのまま通気胴縁の上に張るのは結構難しいです。そこで私の家では防火上の弱点を補うことも兼ね、まず通気胴縁の上に石膏ボードを張り、その上にアスファルトルーフーング、そのうえに木材、さらに保護塗料としました。ここまでやれば完璧ですが、施工店側がどこまでやってくれるかは全体コストにも関わるので、極めて未知数です。

 材料全体の厚みですが、アスファルトルーフーングはゼロです。石膏ボード12.5(又は9.5)+木材15として、27.5(24.5)です。ガルバ鋼板厚みが約25ですから、ほぼ同じ厚みとなり、取り合いの部分がうまく収まります。
 木材は魅力的な素材ですが、メンテも含めて、大変面倒な素材でもあります。普通の施工店があまりやりたがらない理由がお分かりでしょう。

 各材料の単価は安いものばかりなので、全部あわせてもガルバ鋼板よりも下のはずですが、手間賃によっては差額を要求される可能性があります。もし木材外壁を計画に取り入れる場合、足がでそうな塗装は、まずご自分でやることをお勧めします。(私は内外すべて自分でやりました)
 ホームページの家作り総括編にも書きましたが、魅力的な素材である木材を家作りに取り入れるためには、上記のような問題点をクリアし、なおかつメンテにも気を配らねばなりません。「ちょっと人と違ったこと」をするには、ただお金だけではなく、相応の覚悟と努力も必要です。

 パース作成に関する他の部分は了解しました。流動的な部分は逆にこちらから提案いたします。作成には多少時間がかかります。(たぶん二日くらい)



 南野です。丁寧に説明していただいて理解できました。同時に木材を利用した場合の大変さもよく分かりました。菊地さんもおっしゃっていたように、全面ガルバ鋼板でも車庫等のウッド部分が入る事によって、かなり印象は変わるはず。菊地さんのパースを待ちます。

 木材は色々面倒という印象がすっかり出来上がってしまい、自分の家にも木材を使用する事はないと以前から決め付けていた部分があったのですが、最近木材が見直されてきたようで、ちらほら新築の家に取り入れているのを見かけるようになりました。
「木材を使ってみたい」という願望はあったので、可能だと分かるとますますその欲求が膨らんで「出来るかも」という気になっていましたが、外観云々よりも、施工を行う相手の事もふまえて、もっとよく検討しなければなりませんね。お時間をとらせてしまいますが、よろしくお願いします。



 南野です。先程、施工店から見積もりをもらいました。総額で税込1600万強です。杭打ち工事とLAN配管はまだ金額が確定しないので後ほど追加となるようです。これらの合計金額から200万円割引となります。「会社はじまって以来の厳しい」見積もりだそうです。(苦笑)
 契約に向けて大幅な変更は明日までとの事。私としては、まだまだオプション部分を削る方法はあると思うのですが、例えば、玄関収納に扉を付けないで減額してもらう、トイレカウンターを机等を利用して自分で設置する等です。
 しかし、主人の意向で、最低限このくらいはほしいとの事なので、この見積もりでOKしようと思っています。菊地さんのパースを見て、もしかしたら変更する部分が出るかもしれませんが、大幅な変更はおそらくないと思います。



 札幌、TOM工房の菊地です。見積書、拝見しました。ほぼ目標達成、いやそれ以上の成果ではないですか!オプション工事も思っていたほど多くはないし、この金額なら、多少の追加工事が出てもなんとかなるのではないですか。数字が出るまではらはらしましたが、ようやく先が見えてきましたね。

 さて、ご依頼のパースですが、なんとか完成しました。急いだので、多少おかしな箇所があるかもしれませんが、ご容赦ください。


「風薫る水の家〜1」(施工店の手法に基づいて表現)

 2枚あるうち、「風薫る水の家〜1」がほぼ施工店の手法に基づいて表現したものです。玄関側ひさしは、あまり目立つとデザイン的によくなかったので、パースのように車庫予定部分(玄関から北側)だけにしてあります。バルコニー手すり回りの収まりがやや違うかもしれませんが、およそこんな感じだと思います。
 キッチン北東窓は、図面では高さ1200になっていましたが、この高さだと窓際にワゴンなどを置いたときに窓が邪魔になるので、パースでは900にしてあります。私の家でも同じ場所の窓は900ですが、大変使いやすいです。金額に無関係ですが、ご検討ください。
 同じくUTの窓は図面では高さ900でしたが、パースでは高さ750にしてあります。ここは脱衣所をかねているので、あまり大きくないほうがいいと思います。これまた私の家に合わせました。玄関横の通風窓も全く同じ寸法です。あわせてご検討ください。

 添付図の「風薫る水の家〜2」は、私なりにデザインを調整したものです。施工コストの差額はわずかです。


「風薫る水の家〜2」(TOM工房による修正提案)

●最上部破風を1段にし、高さを100におさえて軽快な印象にした
 これはガルバ鋼板の軽快なイメージに合わせるためです。現プランの2段破風の分厚い印象は、ややアンバランスに思いました。壁の高さは破風を小さくした分、高くなっています。

●最上部屋根の傾斜をなくしてフラットにし、西側のみ屋根を壁から突き出した
 これはバルコニーの小屋根のような収まりです。西側以外はフラットにおさめ、壁の高さを均一にしたほうが、特に東から見たときに建物が美しく見えます。(両方を比べてみてください)

●小屋根の破風を1段にした
 これも上記ふたつと同じ理由からです。もっと薄くてもいいかもしれません。

●バルコニー両側の手すりをなくし、腰壁とした
 これは採光、通風にはほとんど関係ありませんが、現プランのように3方向手すりだと、どうもやぼったい気がします。

●バルコニー正面手すりをポリカ半透明板に変更
 同じ理由で、縦のアルミ手すりより、マンションなどによく使われる半透明板のほうがスッキリした印象になります。採光は同等ですが、プライバシーはこちらが有利。通風はやや不利ですが、あまり影響はないでしょう。

 この修正案は私の思いつきで描いたものですから、基本料金の範囲内とお考えください。採用するかしないかは、おまかせします。一部だけ採用という手もありますし、コストに影響が出たら、追加工事で処理すればいいでしょう。上記の窓サイズの件とあわせてご検討ください。



 南野です。見とれてしまいました。素敵ですね、やっと私達の家をイメージする事ができます。
 施工店パースでは、上下の境に白の縁切りが入っていました。屋根破風、縁切り、共に白で締まった感じで良いかなと思っていたんですが、縁切りはなくても良いとお考えですか?
 確かにキッチン窓は下に長いと使いづらそうです。900にしようと思います。

●最上部破風を1段にし、高さを100におさえて軽快な印象にした
 断然この方がいいですね。

●最上部屋根の傾斜をなくしてフラットにし、西側のみ屋根を壁から突き出した
●小屋根の破風を1段にした
 これもスタイリッシュにまとまってると思います。

●バルコニー両側の手すりをなくし、腰壁とした
●バルコニー正面手すりをポリカ半透明板に変更
 菊地さんの修正案によって、バルコニー次第でガラリと印象が変わる事が分かりました。いっその事、途中にも触れて断念しましたが、バルコニーに念願の木製を取り入れる方向で話を進めようかと思っています。バルコニーについては着工までに決定すれば良いのでまだ考える余地はあります。

 全体の印象としては、外壁をモスグリーン一色にする事で、重い感じになっているような気がします。やはり、ガルバの異色を用いて印象を変えようかと思います。以前ご提案いただいた横張りというのは、性能面から大丈夫でしょうか?本来縦のものを横に使う事にちょっと不安を感じますが。菊地さんの「縦の美学」も好きなので、できれば横より縦が良いかな。考えてみたのが、出隅をモスグリーンにして、他はガルバ素地というのはどうでしょう。
 モスグリーン&ガルバ素地のコンビは、先日見かけましたが、悪くないと思います。もしくはグランブルー(紺色)をアクセントに使うという手もありそうですね。これについても、今日までの決定事項ではないので、じっくり考えようと思います。
 車庫の筋違い、あまり目立たなくてすっきりしていいですね。



 札幌、TOM工房の菊地です。方向としては当方の修正案「風薫る水の家〜2」のほうにお気持ちが傾いているように感じました。
 現時点で決意なさった部分、たとえば破風を一段にしてすべて100くらいの薄いものにするとか、西以外の屋根をフラットにし、その分壁を高くする等は、早めに施工店側にご連絡なさったほうがいいでしょう。場合によっては、パースそのものを先方に見せてください。窓寸法の件も早めに連絡したほうが、発注等のミスを未然に防げます。

 バルコニー仕様と外壁や破風の色と組み合わせは、パースをご覧になって、かえってお気持ちに迷いが出てしまったでしょうか。この二つは両方同時に検討し、結論を出されたほうがいいと思います。

●破風の色
 前回メールにて、「とりあえずチャコールグレーでの作成をお願いします」とありましたので、そうしました。私個人ではこの色がいいと思っています。(同色モスグリーンも考えられるが、同色の普通鋼板がおそらく入手不可能)

●水切りの色
 施工店パースでは白とのことですが、今回パースは壁と同じモスグリーンにしてあります。南野さんが「施工店パースを見てがっかりした」と何度も書かれていたので、このあたりのアンバランスのせいもあるのではないか?と感じたからです。私個人は数年で汚れの目立つ白や銀(ガルバ素地)を外壁部分に使うことは、あまりお勧めしません。
 機能や価格は同等なので、あとはデザイン面での評価だけが残ります。施工店パースをご覧になって、白の破風や水切りが気にいられたのでしたら、次回の修正でそのように変更しますので、ご連絡ください。

●木製バルコニー
 おっしゃるように、バルコニーひとつ、ひさしひとつで建物はがらり印象が変わります。単調なフラット屋根、総二階の建物ならなおさらです。
 木製バルコニーはメンテをしっかりやる覚悟がおありなら、この建物には最適です。(1階ウッドデッキと同じような縦張りのデザイン)メンテをご自分でやる場合と外注する場合で微妙に変わってきますが、お二人でよくご相談ください。なお、メンテを怠って木材が腐食に至ると、特に2階手すりは大事故につながりかねないで、よくお考えください。
 個人的には、車庫屋根と同じ材料でデザイン的にもすっきりし、上部で転落の危険も少ないポリカ製手すりがいいのではないかと思っています。いずれの場合も議論になるのは手すり部分のみで、床部分はアルミ製ということになるのではないでしょうか。

●外壁材料
 ガルバ外壁市販品は本来「縦張り用」として作られているので、横張りに使うのは雨じまいの点から本来好ましくありません。これに関連し、ガルバ外壁下地の防水ルーフィングはどうなっているか、確認されましたか?下地にルーフィングを施工し、たとえば2階バルコニー奥のように雨の影響の比較的少ない場所でしたら、横張りでもいけると思います。(やっている例が結構ある)
 ガルバ鋼板の異色を使う場合ですが、モスグリーンの基本色がすでに決定事項と思われますので、これとつり合う色は無彩色系しかありません。たとえアクセントとはいえ、グランブルー(紺色)を使うのは絶対に避けるべきです。モスグリーンとグランブルーの色のつり合いが大変悪く、しかも色数が増え過ぎて非常にうるさい印象になります。
 無彩色系は銀、グレー、ブラックですが、合いそうなのは銀(ガルバ素地)くらいでしょうか。この場合、縦張りでいいと思います。ただ、ホワイトサッシに最も合うのがダーク系か木材の色です。私は自宅の立面計画時に何度もパースを描いてそのことをすでに確認済みです。たとえ無彩色とはいえ、これ以上建物の色数を増やすのは、本来避けるべきかもしれません。
 2階バルコニー手すりを修正案通りとし、雨の影響の少ない2階奥の壁だけ木材を使う選択もあると思いますが。

 それやこれやを総括し、現時点で最適と思われる色の組み合わせと破風形状をご提案したのが、先の修正案 「風薫る水の家〜2」です。参考までに、家にはすっきりした印象(軽快感)と同時に、長い期間でも飽きのこない重厚感も大切な要素だと私は考えています。この一見矛盾する要素をうまく扱うのが、デザイナーの腕の見せ所です。部分的に色や素材を細かく変えた場合、この観点を失うと数年で飽きがきてしまう可能性があります。
 友人に北海道ではかなり高名な建築家がいますが、ガルバ鋼板は屋根から壁、水切りから破風まで、すべて同じ色、同じ素材のものしか使いません。むしろこちらの方向が正道なのかもしれません。
 以上の情報を整理され、施工コスト面の調整もふまえて細部を変更したパースをもう1点描いてみてはいかがですか。描く方向は東面でいいと思いますが、あわせてご検討ください。



 
迷うバルコニー素材



 南野です。今日も施工店の方を呼んで屋根等の変更事項を伝えました。私達もへとへとですが、施工店さんもかなり遅くまで残ってやっているようで、申し訳ない今日この頃です。
「家を建てる」と友達に話すと、「いいね、考えるの楽しいでしょ」なんてよく言われますが、こんなに頭の痛い事だとは、私達も当初想像していませんでした。楽しいより苦しい方が大きいけど、産みの苦しみを味わった分、かわいいマイハウスになる事を信じてがんばるしかありません。

●破風&水切りの色
 屋根の破風はチャコールグレーのままで、上下の境部分(バルコニー小屋根の破風、水切り、西・北面のガルバ外壁つなぎ部)を白にするというのはどうでしょう。上下の境部分がチャコールグレーの場合は大体つかめました。白の場合は施工店パースでは確認済みですが、菊地さんのパースで再度確認したい気もします。

●木製バルコニー
 木製にするべきか、ポリカ製にすべきか決めかねます。木製に決定した場合は、もちろんメンテを徹底する覚悟です。まだ時間があるのでじっくり検討して決める事にします。

●外壁材料
 ホワイトサッシに合うのがダーク系や木材、との事ですが、木材を外壁に使う件は主人がどうしても抵抗があるようで、残念ながら消えつつあります。あまり細かく色を変えずに、重厚感を失わない程度に2色を大きく分けるというのはどうでしょう。
 例えば、思いつきですが、上をガルバ素地、下をモスグリーン(又はその逆)。ガルバ素地の部分については、窓枠のサッシを着色とする。(オプションですが)

 以上の事から、参考に見てみたいので、次のようにパース作成をお願いします。

・上下境部分を白に
・木製バルコニー
・外壁については、配色に自信がないのでこのままで

 もう一点、気になったのが、ウッドデッキと外壁のつなぎ部分(2箇所)についてです。ここはどのようになっているのでしょう。外壁に何か施しておく必要がありますか?



 札幌、TOM工房の菊地です。外観デザインに関して、木材外壁はメンテと施工の不安材料から、候補脱落と考えさせていただきます。再度ご依頼のありましたパース「風薫る水の家〜3」が完成しましたので、お送りします。(現時点でのパース合計価格は、××円です)


「風薫る水の家〜3」(「風薫る水の家〜2」を部分修正)

 ウッドデッキの外壁への取付方法ですが、確実なのは専用金物で壁内部にある柱にビス止めする方法です。壁にガルバの凹がある箇所には、小さな当て木をかまします。本体工事とのからみは一切ありません。
 これに関して、当初お送りしたパースのデッキ寸法が、私の家と同じ幅3640になっていました。金物をつける下には柱のあることが前提ですから、幅は4000か3000がいいと思います。(3500でもいいかもしれないが、500間隔に柱が入っているかどうか、確かめないと分からない)今回送付のパースでは、幅4000とし、確実に下に柱がありそうな位置に修正しました。

 さて、2階ウッドバルコニーですが、描いてみるとさすがに素晴らしいです。1階だけでなく、2階にも同じ縦の木材がくるのがバランス的にいいです。なんだかだいっても、木材の風合いに勝るものはありません。ガルバと木材の相性は最高ですし、ほぼこれで決めてもいいのではないでしょうか。
 強度とメンテの問題がありますので、つける場所は図のように南東面のみ、左右はガルバ腰壁とします。床面はチャコールグレー系のアルミとすれば、最小の木材で、最大の効果が得られます。材料費は塗装分をいれて15,000円くらいです。(あくまでセルフビルドの場合)
 外注の場合、この5倍はかかるでしょう。使う木材は安くて美しいツーバィ材です。手すり全体を枠で作り、左右の柱に強固にビス止めします。勘のいい職人なら、このパースを見せただけで簡単に作るでしょう。もちろん入居前にご主人自ら作ることも可能です。
 水切りと小屋根破風の白ですが、これくらいならいいアクセントですね。汚れの件を別にすれば、この選択もありでしょう。バルコニー床と最上部屋根のチャコールグレーがいいコンビですし、よくまとまっていると思います。

 そのほかご提案のありました「上をガルバ素地、下をモスグリーン(又はその逆)、ガルバ素地の部分については窓枠のサッシを着色」もなかなかいいセンスですが、サッシのオプション差額をごっそりもっていかれるのが嫌ではないですか?ただ半分の色を変えるだけで、7〜8万円増というのが、どうにも馬鹿らしい気がします。木製バルコニーにお金を使うほうが、はるかにましです。
 あと、着色サッシの場合はおそらく黒かそれに近い色になると思いますが、せっかく風水で有効な白(くどいですが、白は邪気を払う最高の色です)を開口部にもってきた配慮が、半分なしになってしまうのが、どうにも惜しい…。
 ただ、パースとしてどうなるのか、確認してみる価値はあります。ご依頼いただければ、描きます。その場合、部分的な色変えはやめ、1階モスグリーン、2階銀が重量感などの点から最適です。サッシは1階白、2階チャコールグレーとなります。

 家作りで相当お疲れのようですが、施工者と設計者の間に施主が立って三者の立場を調整する、という手法は本来あり得ません。普通はどちらかに任せてしまいます。通常の家作りの倍の手間がかかるわけで、お疲れになるのは当然です。
 ただ、この手法は時代に合った大変有益でユニークな手法であることは間違いありません。苦労はしますが、お施主さんは安くて本当によい家作りが出来るはずです。まだやってみたことはないですが、同じ手法で「工事監理」も出来るのではないか?と考えています。もしそのような流れになったら、再度ご相談ください。



 南野です。パースをまた描いてもらう事になりそうです。こんなに破格で作成してもらって本当に助かります。ミニミニ我が家って感じで、パースを眺めているうちに愛着が湧いてくるものですね。完成した我が家に最終決定のパースを飾りたいと思っているので、(会社でよく見かけますよね)ついその配置など今から想像しちゃいます。

 ウッドデッキ取り付け部分について、本体工事で特に配慮する必要はないですね。
 水切りと小屋根破風の白に関して、私としてはこのデザインに惹かれますが、汚れの件は悩ましいところです。

 最近、健康のためにウォーキングをしながら、家の観察もしているのですが、今日は外壁が単色の家を注意しながら見て歩きました。モスグリーン単色になる事で、単純で重いイメージになるのでは、とまだ気になっていたのですが、暗めの単色を使った家を実際に見た時、「菊地さんの言っていたのはこれなんだ」と、パッと目の前が明るくなった気がしました。
 2色よりも現代的でなおかつ重厚感があって素敵ですよね。単純さなど全くなく、それどころか、モスグリーン一色はやはり斬新です。今になってやっと納得できました。
 菊地さんの鋭いご指摘には、毎回驚かされます。もちろんプロの方なので当たり前だと言われればそれまでかもしれませんが、菊地さんに相談するまでは、施工店に私達の意見を提案すると、そのまま採用される事がほとんどで、良いのか悪いのか分からないまま、どんどん計画が進行してしまっていました。菊地さんは賛成意見も反対意見もはっきり提示してくださるので、納得して次の段階に進む事ができます。

 もうひとつパースをお願いします。

・バルコニー内部の壁を木製(防火・防水について確認済み)
・バルコニー手すりをアルミ製白の格子(白の場合オプション追加なしとの事)
・水切りと小屋根破風はチャコールグレー、北東側水切りを全面9M

 以上の案を主人が見てみたいとの事で、私も驚いたのですが、木製を取り入れる案に少し光が射してきました。



 札幌、TOM工房の菊地です。パースによる外部デザインの進行ですが、自宅以外でここまで自由に議論を交わし、しかも画像をメールでやり取りしながら進めるのは、初めてです。価格は確かに採算度外視ですが、住宅設計士としてはまだ手探り状態なので、テストケースとして私のほうも大変勉強になります。
 施工店は基本的に「お客様のおっしゃる通りに」という態度で、面倒を避けるのが普通です。ですから、施主の提案に反対意見が出ることは稀で、もし出る場合は、コストに大きな影響がある場合か、のちのちの面倒なクレームになりそうな場合だけです。我田引水になりそうですが、利害関係のないアドバイザー役として南野さんが私に声をかけられたのは、賢明な選択だったと思います。

「風薫る水の家〜3」で外観デザインはほぼ決まりかな?と思っていましたが、もう少し時間が必要のようですね。
 白の水切り&小屋根破風ですが、これくらいなら汚れは我慢出来る範囲だと思いますよ。仕事柄いつも街の家々を見て歩きますが、耐久性抜群のガルバ鋼板でも、白系で広い面積だと数年で溝の部分に汚れが目立ってきます。春先などに水でていねいに洗浄すればいいのでしょうが、現実には難しいのでしょう。雨不足の日々が続くと、ますます汚れが気になります。
 個人的にはウッドバルコニーを採用するのなら、水切り&小屋根破風はモスグリーンでも白でもどちらでも構わない気がします。お気持ちが当初の私の提案のように、「全面モスグリーン」に傾いているのなら、その方向でいいと思います。

 さて、新しいパースに関して、確認したい事柄がいくつかあります。

・バルコニー手すりをアルミ製白の格子とした場合、格子は当初のように縦でよいか?
・バルコニー床の材質と色は?(現状はチャコールグレーの着色アルミ)
・バルコニー左右の部分は腰壁のままでよいか?(腰壁をお勧めしますが…)

 それと、「水切りと小屋根破風はチャコールグレー」とありますが、破風はともかく、水切りもチャコールグレーにするのでしょうか?参考までに、いままでお送りしたパースの水切りは、モスグリーンと白だけで、チャコールグレーでは一度も描いていません。 「風薫る水の家〜2」などは一見 チャコールグレーに見えますが、実はモスグリーンです。水切り部分が平らで、ガルバ鋼板部分に凹凸があるので、平らな部分はかなり濃く見えます。これが角波や丸波鋼板を使ったときの摩訶不思議なところです。
 製品にはチャコールグレー水切りもあるので、どちらでも描けます。また、「北東側水切り全面9M」は、おそらく出隅の柱部分だけは内側に少し入る収まりになると思います。(バルコニー小屋根のような感じ)以上、ご連絡お待ちしています。



 
あともう一歩



 南野です。外観について、あともう一歩のところですが、ここできっちり選択しないと納得のいく仕上がりにならないような気がします。お手数をおかけしますが、もう少し相談にのっていただけますか?

 水切り&小屋根破風の色については、両方の見本があるので、最終的にどちらを選択するか見比べて決めるつもりです。新しいパースについては、

●バルコニー手すり
 一般的な縦格子のものでお願いします。

●バルコニー床の材質と色は?(現状はチャコールグレーの着色アルミ)
 現状のチャコールグレーでお願いします。

●バルコニー左右の部分は腰壁のままでよいか?(腰壁をお勧めしますが…)
 腰壁でお願いします。

 北東側小屋根部分は出隅だけ内側に収まるのはおかしいような気がしますね…。見てみないと分から ないのでとりあえずその状態で作っていただけますか。
 水切りと小屋根破風について、チャコールグレーだと思い込んでしまってましたが、以前のメールで「モスグリーン」と記載されていましたね、失礼しました。どちらの色が良いのか微妙です。チャコールグレーで描いていただけますか。
「バルコニー白、内部外壁木製」案でいくと、上下境部分の色と形状をどうするとバランスよく収まるのか模索中です。以前もらった施工店パースでは白の太い縁切りがぐるっと一周入っていますが、ガルバ鋼板の細い縦ラインには、細い縁切りの方がすっきりおさまりそうですよね。



 札幌、TOM工房の菊地です。ご依頼のありました4枚目のパース「風薫る水の家〜4」を送付します。(現時点でのパース合計価格は、××円です)新たなる選択肢が加わり、ますます迷いが出てきたのではないでしょうか。


「風薫る水の家〜4」(「風薫る水の家〜2」を部分修正)

 水切りの色はチャコールグレーで描きましたが、幅がわずか30ミリ(既製品の場合)ですから、遠目からのモスグリーンとチャコールグレーの差はほとんどありません。白以外はどちらでも大差ないと思います。わざわざここだけに別の色を使う弊害(主に施工上)のほうが問題になりそうです。
 小屋根の部分は、もし施工可能なら、バルコニーと玄関側ひさしをL字形に連続させたほうが収まりがいいかもしれません。今回の「玄関側ひさし全幅」を採用される場合は、直接施工店にご確認ください。
 アルミの縦格子ですが、イメージ的に古い公営団地の手すりをどうしても連想してしまいます。(安価な素材なので、仕方ないですが)ここは大変目立つ場所なので、慎重にご検討ください。
 2階奥の木壁ですが、少なくとも10年以内に張り替えの必要が出てくる可能性があります。自分でやる場合はたいした価格にはなりませんが、(結構高度な技術が必要です。私は自分でやるつもりです)木製バルコニーの交換よりも、はるかに高くなるでしょう。ガルバ鋼板壁との差額調整も含めて、ご検討ください。
 描いてみないとなんとも言えませんが、もし2階奥に木壁を使うなら、価格は別にして手すりはポリカが似合いそうな予感がします。

 車庫屋根の件ですが、今回送付の画像は作成時の実情にあわせて、北西側に落雪用のゆるい傾斜(段差100)をとっています。そのため、UT窓の上部と梁下の間隙がけっこうぎりぎりになることが分かりました。
 UT窓上端高さがGLからどれくらいの寸法になるのかはっきりしませんが、現在はGL+2700、玄関上ひさし下端がGL+3100で描いています。この寸法ですときっちり収まりますが、これが大きく狂うと最悪の場合、UT窓が開かなくなる可能性もあります。施工店にこれらの寸法をご確認ください。
 現場が始まってからでも間に合うと思いますが、ボイラ給排気管高さとあわせて、非常に重要な問題です。頭に入れておいてください。

 なお、これまでお送りした画像4点の中のいくつかのパーツを組み合わせて新たな画像を作る場合、パーツの構成と画像出力がやり直しとなりますので、新たな依頼扱いとなります。さまざまな素材とパーツの利点欠点、その議論検討も出尽くした感がありますが、以上、ご検討ください。



 南野です。パースを見て検討しましたが、バルコニー内側の外壁は木製を使わない方が良い気がします。やはり当初の全面モスグリーン案が今のところ最有力です。車庫屋根とUT窓高の件は、明日、確認する事にします。
 パースの価格については了解しました。今までのものを総合して結論を出すつもりなので、見比べてよく検討して、まとまった時にまたお願いする事になるかと思います。



 札幌TOM工房の菊地です。外部デザインに関しては、まだまだ時間がありますから、じっくり検討されるとよいでしょう。

 ひとつだけ基本的な部分で気になっていることがあるのですが、今回の外部計画は少なくともウッドデッキと車庫&物置に100%木材を使う前提で進められており、現時点で採用の可能性の高いウッドバルコニーも入れると、木材の比重はさらに高まります。まさに木材なしでは語れないといってもいいほどで、特に奥様が私の描いたパースをご覧になって、ぱっと新居に対するイメージが膨らんだ最大の理由も、そこにあります。
 ただ、私のホームページの「家作り総括編」でも詳しく書かれているように、素晴らしい風合いの木材と末永く付き合うには、住み手のある種の「覚悟」のようなものが必要です。こまめな手入れを怠ると、すぐに薄汚れて始末におえなくなってしまうのも、忘れてはならない木材の一面です。一般論ですが、欧米人に比べると日本人は家を手塩にかけて手入れする、という意識が希薄です。

 私の家の近所に、我が家より半年だけ早く完成した家があります。北海道では高名な建築家の作品で、外壁は全面チャコールグレーのガルバ鋼板、屋根も破風も水切りも同色です。車庫&物置が木製、外壁の一部も木製、サッシもすべて木製です。施主は30代前半の若いご夫婦で、お二人とも私の顔見知りです。
 ところがこの家が手入れを全くしていないせいで、木部の傷みがひどい。塗装に顔料の薄い色を使っているせいもあるのでしょうが、すっかり薄汚れてしまい、ガルバ外壁の真新しさに比べて、みるも無惨な状況です。これに関して直接事情をうかがったことはありませんが、お二人とも共働き、ご主人がIT関連の多忙な会社務めで、家のメンテに気を配る時間も意欲もないのが裏事情にあるようなのです。お子さんがまだ小さいため、奥様が代行するのも難しい状況なのでしょう。
 自分でメンテが出来ない場合、外注すればいいと思うのですが、5年目に入った今年になっても、塗り直しをやる気配はありません。
(木材はまず新築後3年目に塗り直し、以降5年毎に塗り直すのが長持ちの秘訣です。安い松材は高価な杉系木材に比べて耐久性に劣るので、小さな補修は毎年やったほうが無難です)

 南野さんの場合は、こんなことにはならないと信じてはいますが、メールのやり取りのなかで、ご主人は奥様ほど木材に対してあまり強い思い入れがないような印象がしています。
 奥様はこれからしばらくは子育てに関わっていかなくてはならないはずで、メンテの主導権は当分ご主人、ということにやはりなるのではないでしょうか。これに関しては、私の取り越し苦労かもしれませんが、予めご夫婦でよく話合っておかれることをお勧めします。外部計画に関しても、のちのちのメンテの負担がなるべく少なく、もし外注に依存する場合でも、安いコストで済むような配慮が特に重要に思えます。
 ところで、「間取り相談」に関するメールをHP掲載用にまとめ始めたのですが、昨日までの累計メール数が、なんと合計60通もありました。わずか2週間の期間ですから、すごい数です。(当然、新記録)あまりに量が多いので、「間取り編」「外部計画編」とふたつに分けることを考慮中です。いずれまとまったら、校正用としてお送りします。



 南野です。私と主人との木材に関する温度差について、まさにおっしゃる通りで、またまた鋭いご指摘に驚いてます。
 木材を取り入れる事はもちろん私の発案で、主人にお願いしたような状態ですが、主人も全く反対なわけではなく、私の意見に賛同してくれて、理解してくれています。色々見たり聞いたりするうちに、木材の良さを見直したようです。
 二人で木材を取り入れた家を観察してまわりました。メンテがきちんとされている家はやはり美しく、理想的ですが、そうでない家も多々見かけます。うちは悪い例にはならないつもりですが、なにせ未来の事なので言い切る事はできません。
 ただ、言える事は、主人はわりと細かな作業が好きな方で、あまり苦にしないタイプです。お金はありませんが、時間はたっぷりあります。やると決めたからには、きちんとやると自分でも決めているようです。逆に、そういう思いから、外壁やバルコニーなどに木材を使用した場合、素人のメンテで失敗があっては…と、躊躇したようです。車庫、物置、ウッドデッキについては、きちんとメンテするつもりだそうです。

 相談メール、怖ろしい数ですね。(^_^;)整理されるのも一苦労でしょう。菊地さんが熱心に指導してくださるので、こちらも誠意に応えようとせっせと送るうちに、そんな数になってしまってたんですね。



 札幌TOM工房の菊地です。立面デザインに関して、進展がありましたらご連絡ください。最終決定後、印刷用の高解像度の画像ファイルをお送りします。(料金の範囲内です)
 確認のため、現時点での検討事項を列記します。

●外壁材の候補
・全面ガルバリウム鋼板
・2階バルコニー奥のみ木壁で他はガルバリウム鋼板

●バルコニー手すりの候補
・着色アルミ縦格子
・アルミ素地縦格子
・半透明ポリカ板
・木製縦格子

●水切り、破風の色の候補
・白
・チャコールグレー
・モスグリーン

●玄関側ひさし(小屋根)の候補
・玄関ドアまでの幅(約6000)
・全幅(約9000)
・全幅にしてバルコニー小屋根とL字形に連続させる



 
我が家にずっと残ります



 南野です。契約も無事終わり、ようやく前進してる感じがします。昨日は色決めが一部あり、さほど問題になるような事もなくスムーズに決まりました。システムキッチンは私がずっと夢見ていた木目をお願いしたので、キッチンに立つのが今から楽しみです。
 ところで、次の内容で再度パースをお願いします。基本的には前回いただいたものですが、変更する点は、

●バルコニー手すり
 アルミ縦スリットの白。ウッドは主人が安全性の不安から使いたくないとの事で、断念。色を変えるだけで10万円かかるのが嫌な事と、建物を引き締める効果を期待して白。形は現代的なものよりも単純で結構好きなので、縦スリット。

●外壁色
 モスグリーン一色。バルコニー内木壁は、実際にパースを見たら、思っていたようなイメージじゃなかったのでやめます(^_^;)ガルバ異色はあまり意味がない事が分かったので、これもやめました。

●水切り
 玄関ひさし部分は9Mとし、バルコニー下小屋根と玄関ひさしのつなぎ部分(出隅)は、角を縦に通したいので、前回パースのままでいいです。価格についてですが、まだ明確な解答はもらえてません。

 今回のパースを合わせると、価格は××円でしたよね。いただいた後、指定の郵便局口座に振り込みますね。
 住宅相談の校正はもう少し待っていただけますか?本当にかなりのメール量です。読み返してみると、こんなに多種に及ぶ相談にのっていただき、当初の相談料では改めて少なすぎると感じました。まだ分からない事だらけで、菊地さんに相談したい事も出てくると思うので、料金が発生する際は遠慮なくおっしゃっていただけますか?その方が私達も助かります。



 札幌の菊地です。契約無事終了とのことで、予定よりも10日近くも遅れましたが、まずは一段落ですね。
 パースの追加依頼に関して、了解しました。ウッドバルコニーの断念はちょっと残念な気がしますが、いたしかたないでしょう。
 土台部分の水切りの色と破風の色がメールに書かれてませんが、どういたしましょうか?白、モスグリーン、チャコールグレーが現段階で候補にあがっており、それぞれのイメージと利点欠点もすでにお伝えしたと思います。最上部破風はおそらくチャコールグレーでしょうが、土台部分の水切りと破風とを変える手法もあろうかと思います。ご連絡ください。
 個人的にはあまりチマチマ色を変えるのは好きではありません。それと、バルコニーの白手すりがサッシの白と重なってかなりインパクトが強くなりそうなので、小屋根破風はチャコールグレーのほうが全体として落ち着くかもしれません。



 南野です。パースの破風は全てチャコールグレー。水切りは全てモスグリーンでお願いします。(西側、北側、土台)。



 札幌、TOM工房の菊地です。ご依頼いただいたパースをお送りします。都合5枚目のパースになります。(現時点での合計価格は××円です)
 今回のパースで決定の場合は、以前にお話しましたように、印刷用の高解像度の画像をのちほどお送りします。一般的には画像サイズを横24センチに調整してお送りしています。(A4で印刷した場合、周囲にほどよい白の額縁が出来る大きさ)こちらに関してもご希望がございましたら、ご連絡ください。


「風薫る水の家〜5」(「風薫る水の家〜4」を部分修正→最終決定案)

 話が戻るような形になってしまいますが、ウッドバルコニー不採用の主な理由が「安全性の不安」ということなら、現段階でご計画のウッドテラス、ウッド車庫の安全性も考えにいれておいてください。
 ウッドテラスは1階で屋根もないので、万一の腐食等でもそう神経質にならなくていいでしょう。問題は車庫&物置です。現プランではもろに玄関の前で、常に人が出入りします。屋根があり、壁があるので、風雪や雨の影響ももろに受けます。ここに木材を使う場合、おそらく2階ウッドバルコニーと同じくらいか、それ以上の気配りが必要と思われます。
 私自身は以前にも書きましたように、塗料の再塗装やネジのしめなおし、木材の一部交換など、常に点検を怠りません。見栄えが抜群で普段いい思いをしている分、それくらいの気苦労は当然だと思っています。
 実はつい最近発見したのですが、自宅木製車庫正面の梁(最も長い幅4000の部分)に一部亀裂を発見してしまいました。いますぐ倒壊するようなものではありませんが、たぶんあと数年内には何らかの補強が必要と思われます。この箇所は最も積雪の影響が大きい部分なので、仕方ありません。
 近くのDIYの店で同じ寸法の材料を探してみたら、運良く1700円でありました。「2段梁」として、現在の梁の下にボルトで止める形で、近い将来に自分で補強するつもりです。

 同様の問題が、南野さんのお宅でも将来起きる可能性が充分にあります。万が一、倒壊してからでは遅いので、普段からの気配りが不可欠です。気づいても自分で補修できなければ、当然外注ということになります。
 これらの手間や気配りが出来ない可能性がある場合、木製車庫はお勧めしません。現在の外部デザイン計画が大きく変わってきますが、腐食に対して非常に強く、メンテの心配のないアルミ素材の既製品車庫がありますので、そちらをお勧めします。
 この場合、物置なども一体として特注で作ってくれます。色は壁にあわせてくれるか微妙ですが、お金次第でしょう。全体予算は100万をこえるかもしれません。



 南野です。今回のパースで決定します。全面モスグリーンガルバ外壁が、斬新でありながら落ち着いた雰囲気を出していると思いますし、白のバルコニーもすっきりして気に入ってます。印刷用の画像を送ってくださるとの事で、楽しみにしてます。サイズは記載の通りで良いです。

 ウッドバルコニーは確かに魅力的ですが、「ウッドを取り入れた家」としては、とりあえず車庫物置&ウッドデッキで充分だと判断しました。白のバルコニーも菊地さんのパースを見る限り悪くないと思います。もし、施工店側でウッドバルコニーを安く施工してくれるのなら考える余地もありますが、現段階では追加になるとの事で、これも断念した要因のひとつです。
 安全性についてですが、車庫物置と違って毎日利用する場所ではなく、目が届きにくいので、万が一傷みに気づかず腐食がすすんだ場合、転落するおそれがあり、やはり怖いです。車庫物置なら毎日必ず通りますから傷みにも気付きやすいかと思います。
 菊地さんがおっしゃるように、木製車庫に対する手間や気配りは惜しまないつもりです。アルミ素材の既製品車庫では、せっかくここまでがんばってきた事が台無しになるような気がしますし、私達の構想の中でウッドの車庫物置を造る事は外せないものになりました。これなくしては全くつまらないものになってしまいます。



 南野です。パースの料金はただいま郵便局口座の方へ振り込みました。ご確認下さい。
 お忙しいのに、破格でこんなに素敵なパースを描いていただいてありがとうございました。我が家のインテリアの一員として、ずっと残る事になると思います。




 
総合住宅相談としての収穫



 かくして約3週間にわたった「総合住宅相談」は、一応の区切りをむかえた。相談内容が多岐にわたったため、前編後編の2章に分けて掲載という前代未聞のケースとなったが、依頼者にとっても相談を受けた私にとっても、大変実りある内容となった。

 平面計画はともかく、パースを何度も描いて、細かい修正を加えながら立面プランを施主と共に進めていくという手法は、私にとっても初めての経験だった。パースはもともと私の得意分野であり、依頼されてからの対応にとまどいはなかった。意匠計画20数年の実務経験がここで活きた。依頼者のご夫婦、特に奥様は平面計画と同様に外部デザインでも細部にこだわられ、妥協せずに互いに納得ゆくまで辛抱強く検討を重ねた。
 パースの技法は、昨年秋に導入したばかりのリアリティを徹底追求したニュータッチのものを惜しみなく使った。採算は度外視だったが、依頼者にはそれに充分見合った満足感を得ていただいたと思う。依頼者の喜びは設計者の最大の喜びでもあるから、私としても充分満足出来る結果だった。

 今回のケースが過去の例に比べても非常に幅広く、しかも深く突っ込んだ内容だったことはもちろんだが、メールのやり取りの主な相手が女性であったことも、また大きな特徴だった。
 私と奥様がネットを通じてまず対話、そして問題点をひとつひとつ丹念に検討し、奥様とご主人が意見を調整したうえで、その結果を再度フィードバックするという手法は、その反対のケースに比べると、むしろやりやすくさえ感じた。
(なぜだろう?)と考えてみた。まず思い当たるのは、「男性(私)→男性(ご主人)→女性(奥様)」という順序で問題を調整するより、「男性(私)→女性(奥様)→男性(ご主人)」というふうに、男性二人の間に調整役として女性の入るほうが、話がより早くまとまりやすいという印象である。もしも私が女性だったなら、微妙にそのバランスは違ってくるのだろう。

 そのほか、家作りにおける男女の微妙な視点の違いも背景にあったかもしれない。家作りの細部により強くこだわるのは、概して男性より女性のほうが多い気がする。たとえば、一見些細な事柄に思える蛇口の位置ひとつ、ドアの開き方ひとつをとってみても、家作りでは決しておろそかに出来ない問題であることは、今回の相談に注意深く目を通していただくとお分かりいただけると思う。
 優れた建築家ほど、まず全体をおさえ、そして細部にこだわる。私もそんなプロを目指している。家作りにおいて、全容を素早く的確に把握することはもちろん大切なことだが、「そんな細かいことはどうでもいい」と、細部がないがしろになっても駄目なのである。
 全体をおさえたり、細部にこだわったりすることに、本来男女の性差は無関係のはずだ。問い詰めれば個人の資質の問題なのだが、現時点での日本社会では、全体をおさえるのは社会的にトレーニングされる機会の多い男性側にやや分があるような気もする。だが、生活感に根ざした細かい詰めの部分では、同じ理由で男性よりも女性のほうが力を発揮するケースが多い。家作りではおそらく男性、女性両方の視点が必要不可欠なのだ。

 全体を通して悔いが残るとすれば、計画に充分な時間がなかったことがまずあげられる。もう少し早く依頼者と巡り会い、あと数週間依頼者と共に検討を重ねる時間があれば、よりよいプランにたどり着いていたかもしれない。
 平面と立面プランにここまで関わりながら、内部の細かい計画に設計者としてほとんど入り込めなかったことは、やはり規格住宅の悲しさか。結果的に生活に潤いを与える小さな仕掛けを提案したり、外部と一体感のある内部デザインを提案するまでには至らなかった。これらは次回以降の検討課題として持ち越したい。

 家作りとは本来、「間取り」「立面計画」「外部計画」「内部計画」、これら雑多な要素をすべて統一されたひとつの視点から捕え、さらに法規や構造、断熱、設備、施工性、コスト等の具体的な要素をからめながら並行して進めてゆく、ある種の総合芸術である。これらの要素のいくつかが欠けていても形としての家はひとまず完成するが、そうした家の満足度は、長い視点で見れば必ず下がっていく。
 一時的なものではなく、長いスパンで納得の出来る家作りをもし目指すなら、本当の意味で施主側に立ったプロの力を借りることをお勧めしたい。ここでいう「プロ」とは、施工者とは直接利害関係のない第三者を意味する。プロの仕事なので多少の代価は当然必要となるが、設計者の選択が適確であれば、それに見合う満足度は必ず得られるはずである。
 今回は地元北海道からの依頼ということで、私としても非常に熱が入った。相談の中でも幾度か触れたが、建築家として進むべき道を模索中の私にとって、ひとつの方向性を示唆する重要な起点になりそうな予感がしてならない。