我が家にずっと残ります
南野です。契約も無事終わり、ようやく前進してる感じがします。昨日は色決めが一部あり、さほど問題になるような事もなくスムーズに決まりました。システムキッチンは私がずっと夢見ていた木目をお願いしたので、キッチンに立つのが今から楽しみです。
ところで、次の内容で再度パースをお願いします。基本的には前回いただいたものですが、変更する点は、
●バルコニー手すり
アルミ縦スリットの白。ウッドは主人が安全性の不安から使いたくないとの事で、断念。色を変えるだけで10万円かかるのが嫌な事と、建物を引き締める効果を期待して白。形は現代的なものよりも単純で結構好きなので、縦スリット。
●外壁色
モスグリーン一色。バルコニー内木壁は、実際にパースを見たら、思っていたようなイメージじゃなかったのでやめます(^_^;)ガルバ異色はあまり意味がない事が分かったので、これもやめました。
●水切り
玄関ひさし部分は9Mとし、バルコニー下小屋根と玄関ひさしのつなぎ部分(出隅)は、角を縦に通したいので、前回パースのままでいいです。価格についてですが、まだ明確な解答はもらえてません。
今回のパースを合わせると、価格は××円でしたよね。いただいた後、指定の郵便局口座に振り込みますね。
住宅相談の校正はもう少し待っていただけますか?本当にかなりのメール量です。読み返してみると、こんなに多種に及ぶ相談にのっていただき、当初の相談料では改めて少なすぎると感じました。まだ分からない事だらけで、菊地さんに相談したい事も出てくると思うので、料金が発生する際は遠慮なくおっしゃっていただけますか?その方が私達も助かります。
札幌の菊地です。契約無事終了とのことで、予定よりも10日近くも遅れましたが、まずは一段落ですね。
パースの追加依頼に関して、了解しました。ウッドバルコニーの断念はちょっと残念な気がしますが、いたしかたないでしょう。
土台部分の水切りの色と破風の色がメールに書かれてませんが、どういたしましょうか?白、モスグリーン、チャコールグレーが現段階で候補にあがっており、それぞれのイメージと利点欠点もすでにお伝えしたと思います。最上部破風はおそらくチャコールグレーでしょうが、土台部分の水切りと破風とを変える手法もあろうかと思います。ご連絡ください。
個人的にはあまりチマチマ色を変えるのは好きではありません。それと、バルコニーの白手すりがサッシの白と重なってかなりインパクトが強くなりそうなので、小屋根破風はチャコールグレーのほうが全体として落ち着くかもしれません。
南野です。パースの破風は全てチャコールグレー。水切りは全てモスグリーンでお願いします。(西側、北側、土台)。
札幌、TOM工房の菊地です。ご依頼いただいたパースをお送りします。都合5枚目のパースになります。(現時点での合計価格は××円です)
今回のパースで決定の場合は、以前にお話しましたように、印刷用の高解像度の画像をのちほどお送りします。一般的には画像サイズを横24センチに調整してお送りしています。(A4で印刷した場合、周囲にほどよい白の額縁が出来る大きさ)こちらに関してもご希望がございましたら、ご連絡ください。
「風薫る水の家〜5」(「風薫る水の家〜4」を部分修正→最終決定案)
話が戻るような形になってしまいますが、ウッドバルコニー不採用の主な理由が「安全性の不安」ということなら、現段階でご計画のウッドテラス、ウッド車庫の安全性も考えにいれておいてください。
ウッドテラスは1階で屋根もないので、万一の腐食等でもそう神経質にならなくていいでしょう。問題は車庫&物置です。現プランではもろに玄関の前で、常に人が出入りします。屋根があり、壁があるので、風雪や雨の影響ももろに受けます。ここに木材を使う場合、おそらく2階ウッドバルコニーと同じくらいか、それ以上の気配りが必要と思われます。
私自身は以前にも書きましたように、塗料の再塗装やネジのしめなおし、木材の一部交換など、常に点検を怠りません。見栄えが抜群で普段いい思いをしている分、それくらいの気苦労は当然だと思っています。
実はつい最近発見したのですが、自宅木製車庫正面の梁(最も長い幅4000の部分)に一部亀裂を発見してしまいました。いますぐ倒壊するようなものではありませんが、たぶんあと数年内には何らかの補強が必要と思われます。この箇所は最も積雪の影響が大きい部分なので、仕方ありません。
近くのDIYの店で同じ寸法の材料を探してみたら、運良く1700円でありました。「2段梁」として、現在の梁の下にボルトで止める形で、近い将来に自分で補強するつもりです。
同様の問題が、南野さんのお宅でも将来起きる可能性が充分にあります。万が一、倒壊してからでは遅いので、普段からの気配りが不可欠です。気づいても自分で補修できなければ、当然外注ということになります。
これらの手間や気配りが出来ない可能性がある場合、木製車庫はお勧めしません。現在の外部デザイン計画が大きく変わってきますが、腐食に対して非常に強く、メンテの心配のないアルミ素材の既製品車庫がありますので、そちらをお勧めします。
この場合、物置なども一体として特注で作ってくれます。色は壁にあわせてくれるか微妙ですが、お金次第でしょう。全体予算は100万をこえるかもしれません。
南野です。今回のパースで決定します。全面モスグリーンガルバ外壁が、斬新でありながら落ち着いた雰囲気を出していると思いますし、白のバルコニーもすっきりして気に入ってます。印刷用の画像を送ってくださるとの事で、楽しみにしてます。サイズは記載の通りで良いです。
ウッドバルコニーは確かに魅力的ですが、「ウッドを取り入れた家」としては、とりあえず車庫物置&ウッドデッキで充分だと判断しました。白のバルコニーも菊地さんのパースを見る限り悪くないと思います。もし、施工店側でウッドバルコニーを安く施工してくれるのなら考える余地もありますが、現段階では追加になるとの事で、これも断念した要因のひとつです。
安全性についてですが、車庫物置と違って毎日利用する場所ではなく、目が届きにくいので、万が一傷みに気づかず腐食がすすんだ場合、転落するおそれがあり、やはり怖いです。車庫物置なら毎日必ず通りますから傷みにも気付きやすいかと思います。
菊地さんがおっしゃるように、木製車庫に対する手間や気配りは惜しまないつもりです。アルミ素材の既製品車庫では、せっかくここまでがんばってきた事が台無しになるような気がしますし、私達の構想の中でウッドの車庫物置を造る事は外せないものになりました。これなくしては全くつまらないものになってしまいます。
南野です。パースの料金はただいま郵便局口座の方へ振り込みました。ご確認下さい。
お忙しいのに、破格でこんなに素敵なパースを描いていただいてありがとうございました。我が家のインテリアの一員として、ずっと残る事になると思います。
総合住宅相談としての収穫
かくして約3週間にわたった「総合住宅相談」は、一応の区切りをむかえた。相談内容が多岐にわたったため、前編後編の2章に分けて掲載という前代未聞のケースとなったが、依頼者にとっても相談を受けた私にとっても、大変実りある内容となった。
平面計画はともかく、パースを何度も描いて、細かい修正を加えながら立面プランを施主と共に進めていくという手法は、私にとっても初めての経験だった。パースはもともと私の得意分野であり、依頼されてからの対応にとまどいはなかった。意匠計画20数年の実務経験がここで活きた。依頼者のご夫婦、特に奥様は平面計画と同様に外部デザインでも細部にこだわられ、妥協せずに互いに納得ゆくまで辛抱強く検討を重ねた。
パースの技法は、昨年秋に導入したばかりのリアリティを徹底追求したニュータッチのものを惜しみなく使った。採算は度外視だったが、依頼者にはそれに充分見合った満足感を得ていただいたと思う。依頼者の喜びは設計者の最大の喜びでもあるから、私としても充分満足出来る結果だった。
今回のケースが過去の例に比べても非常に幅広く、しかも深く突っ込んだ内容だったことはもちろんだが、メールのやり取りの主な相手が女性であったことも、また大きな特徴だった。
私と奥様がネットを通じてまず対話、そして問題点をひとつひとつ丹念に検討し、奥様とご主人が意見を調整したうえで、その結果を再度フィードバックするという手法は、その反対のケースに比べると、むしろやりやすくさえ感じた。
(なぜだろう?)と考えてみた。まず思い当たるのは、「男性(私)→男性(ご主人)→女性(奥様)」という順序で問題を調整するより、「男性(私)→女性(奥様)→男性(ご主人)」というふうに、男性二人の間に調整役として女性の入るほうが、話がより早くまとまりやすいという印象である。もしも私が女性だったなら、微妙にそのバランスは違ってくるのだろう。
そのほか、家作りにおける男女の微妙な視点の違いも背景にあったかもしれない。家作りの細部により強くこだわるのは、概して男性より女性のほうが多い気がする。たとえば、一見些細な事柄に思える蛇口の位置ひとつ、ドアの開き方ひとつをとってみても、家作りでは決しておろそかに出来ない問題であることは、今回の相談に注意深く目を通していただくとお分かりいただけると思う。
優れた建築家ほど、まず全体をおさえ、そして細部にこだわる。私もそんなプロを目指している。家作りにおいて、全容を素早く的確に把握することはもちろん大切なことだが、「そんな細かいことはどうでもいい」と、細部がないがしろになっても駄目なのである。
全体をおさえたり、細部にこだわったりすることに、本来男女の性差は無関係のはずだ。問い詰めれば個人の資質の問題なのだが、現時点での日本社会では、全体をおさえるのは社会的にトレーニングされる機会の多い男性側にやや分があるような気もする。だが、生活感に根ざした細かい詰めの部分では、同じ理由で男性よりも女性のほうが力を発揮するケースが多い。家作りではおそらく男性、女性両方の視点が必要不可欠なのだ。
全体を通して悔いが残るとすれば、計画に充分な時間がなかったことがまずあげられる。もう少し早く依頼者と巡り会い、あと数週間依頼者と共に検討を重ねる時間があれば、よりよいプランにたどり着いていたかもしれない。
平面と立面プランにここまで関わりながら、内部の細かい計画に設計者としてほとんど入り込めなかったことは、やはり規格住宅の悲しさか。結果的に生活に潤いを与える小さな仕掛けを提案したり、外部と一体感のある内部デザインを提案するまでには至らなかった。これらは次回以降の検討課題として持ち越したい。
家作りとは本来、「間取り」「立面計画」「外部計画」「内部計画」、これら雑多な要素をすべて統一されたひとつの視点から捕え、さらに法規や構造、断熱、設備、施工性、コスト等の具体的な要素をからめながら並行して進めてゆく、ある種の総合芸術である。これらの要素のいくつかが欠けていても形としての家はひとまず完成するが、そうした家の満足度は、長い視点で見れば必ず下がっていく。
一時的なものではなく、長いスパンで納得の出来る家作りをもし目指すなら、本当の意味で施主側に立ったプロの力を借りることをお勧めしたい。ここでいう「プロ」とは、施工者とは直接利害関係のない第三者を意味する。プロの仕事なので多少の代価は当然必要となるが、設計者の選択が適確であれば、それに見合う満足度は必ず得られるはずである。
今回は地元北海道からの依頼ということで、私としても非常に熱が入った。相談の中でも幾度か触れたが、建築家として進むべき道を模索中の私にとって、ひとつの方向性を示唆する重要な起点になりそうな予感がしてならない。