家作りNet相談〜その3
大屋さんの現代風大家族の家



 おとそ気分も抜け切らない2003年1月上旬、間取り相談に関するメールがまたまた舞い込んだ。この方のお話は前2回の例と決定的に違っていた。すでに土地を入手され、土地を買った縁で施工業者まで決まっている。
 ところが、昨年夏から間取りの検討を重ねてきたのが、素人の作った案で計画を遂行するのに、一抹の不安を持たれたようだ。そんなとき、ネットでたまたま私の間取り相談をご覧になり、添削を依頼してきたのだった。
「とにかく資料を見てください」と、速達で送られてきた分厚い資料には、数カ月の間に数多くの検討と試行錯誤が施された形跡がある。どうやら計画は膠着状態に陥っているように見えた。
 この方たちは子供2人の4人家族だったが、3年前からご主人のお父様(身体がややご不自由)と狭いマンションで同居。奥様の両親は健在だが、いずれ同居したいので、それも計画にいれて欲しい、という複雑な家族構成である。ほかにも難しい要望が多くあり、計画の全貌を知った当初は、お断りしようかと正直思ったほどである。
 悩んだすえ、結局お受けした。うまくゆけば計画が完全に実現する可能性が高い、というのが何より魅力だったし、条件の厳しい物件ほどやりがいもあり、自分の糧になると思ったからだ。
 以下プライバシーには充分配慮しながら、約1ケ月間に及ぶ膨大なメール間取り相談の全容を記す。


 ・CONTENTS・

   現代風大家族の家
   いきなりの修正案
   直す箇所がありません
   工務店との相談結果
   早く終わって欲しい…
   間取り最終確定へ
   大いなる成果



 
現代風大家族の家



 初めてメールさせていただきます。本州東海地方のある地方都市に住む大屋と申します。現在、地元の工務店で家を建ててもらうことになっています。これまで煮詰まってきた間取りを見ていただき、添削(アイデア)だけ有料でしていただくことは可能でしょうか?

 我が家は「2.5世帯住宅」、つまり私の父(母は数年前に他界)と、妻の両親とが同居する計画です。(後に妻の両親は当分元気な間は今のまま分かれて暮らしたいということになり、同居はとりあえず私の父だけとなりましたが)

・最初から住む者:40才になったばかりの夫(製造会社で事務→私です)
         30代前半妻(専業主婦)未就学男児2人、実父
・将来住む予定の者:妻の父、母(+子供1人?)

 つまり、「夫妻相互の両親が完全同居する現代大家族の家?」になります。今までの経緯を簡単に書きます。

・2002年5月〜10月:
●現在は貸しマンション3LDKに私の父と同居。
●妻の「家が欲しい」との独り言より、一念発起。
●家の勉強をしながら、自分なりに間取りを落書きする。
(1階30坪位、2階20坪位+吹き抜け)

・2002年11月:
●希望の間取りで建てられそうな土地を地元の工務店が見つけてくれたので、正式契約で購入。
●広さ69坪、第一種住居地域、建ぺい率60%、容積率200%

 以後、私の考えたラフな落書きをもとに、工務店と間取りの相談を昨年10月20日頃から始め、屋根裏以外はほぼ固まった状態です。
 ここまで進んで間取りの添削を希望するのは、

●間取り特にリビングに、菊地様が重要だとする「たまり」が無いように思うこと。
●書斎や家事室を設けて私や妻が一人でいられる場所は作ったものの、将来同居する妻の両親のことは、(2部屋用意したものの)あまり深く考えて無かったことに気がついたこと。つまり、まだまだ検討不足な点がたくさんありそうな気がしたこと。
●工務店が田舎(農村部)にあるので、『田舎、つまり農村部の家作りの常識』から離れられないのではないか?と思ったことです。(モデルハウスを兼ねている事務所は外壁にガルバリウム鋼板を使っているので、まあ大丈夫だろうとは思っているのですが…)
 工務店に土地を見つけてもらいましたし、人柄では良い社長、設計士のようですので、このままこの工務店で立ててもらいたいと考えています。 今さら、プランを全面的に見直すのは困難ですが、もうちょっとだけよくできないか?と考え、ご相談のメールを出したしだいです。
 ご了解いただければ、詳しい資料を送らせてていただきます。ムシの良いお願いですが、よろしくお願いします。



 ページへのご訪問、そして「ネットDE添削家作り」に関してのお申し出、大変ありがとうございました。
 間取り添削の件ですが、すでにホームページで主旨はご理解いただいていると思いますので、喜んでさせていただきます。「現代風大家族の家」、創造意欲をかきたてられるやりがいのある素材だと思います。
 ホームページ掲載と一部重複しますが、添削料内での相談範囲は、以下の通りです。

・依頼主の作った間取りに、メールでやりとりしながら修正を加える形で添削
・立面計画やパース作成、内外装材料の選定等、間取りに直接関係がない作業は別料金
・関係官庁等に対する各種問合せが生じた場合、施主か決定した工務店にやっていただく
・やりとりの中でいい案が出た場合、実施設計に取り入れていただいて構わない
・実施設計図等(確認申請用、また詳細見積用など)の作成が生じた場合は別料金

 ホームページ記載の具体例ふたつを見ていただくと、かなり突っ込んだことが可能ではないかと思 われます。
 なお、当方の条件として添削料のほかに、すべての相談が終了した段階で、匿名で添削のやり取りをページ上で掲載させていただくことがあります。過去の二例では、アップロード前に全文を事前に読んでいただき、不都合をチェックしていただいております。

 以上の条件でよろしければ、詳しい資料をお送りください。必要な資料は以下の通りです。

・敷地配置図:敷地寸法、方位、前面道路幅、敷地の高低差が分かるもの
・敷地周辺地図:隣地の状況が分かるもの(メモでも可)
・間取り図:現段階で決まっているもの、メモ程度でも構いません
・特殊な法的規制がある場合は、その資料
・家作りにあたって、こだわっていること、施主として必要不可欠な条件
 (これはあとでメールでも構いません)

 郵送、FAX、メールのいずれかでお願いいたします。郵送の場合は終了後の再返送の必要がないもの(コピー)でお願いいたします。FAXは兼用ですので、夜11時までにお願いいたします。当方の返信は、対応を早くするため、原則としてメールかFAXになります。添削料は具体的な相談が始まってからで結構です。
 それではよろしくお願いいたします。



 ありがとうございます。早速今夜、資料一式を郵送します。参考までに今までの工務店建築士とのやり取り、間取りの変遷やメモなども同封します。特殊な法的規制は特にありません。詳しくは、また明日にでもメールいたします。まずは、お礼まで。



 札幌、TOM工房の菊地です。
 資料一式、届きました。大変詳しい資料で、計画の全容とこれまでのいきさつがほぼ把握出来ました。施工業者は確定しているとのことで、設計はほぼ大屋さんが土地入手以前に作られた原案通りに進んでいるように感じました。
 詳細設計図とパースも作成され、おそらく工務店はこの図面で契約〜確認申請まで一気にいきたいと考えていると思います。パースまで描いているところに、工務店の意気込みが伝わってきます。

 ただ、議論も煮詰まったこの時期に、遠地に住む私に間取り添削をご依頼なさったのは、よほどの事情があってのことだったろうと推測します。
 分厚い資料とその内容を見ると分かりますが、お施主さんである大屋さんは、住宅について実によく勉強なさっています。工務店側とのやり取りの記録を読みますと、プロとしてお施主さんの要求に、一部ついていけない部分があるようにも感じられました。そのあたりがお施主さんとして不安の種なのかもしれません。
 反面、材料の使い方や、お施主さんの細かな修正に対する対応などには、地元工務店としてのプライドと誠意が感じられます。
 もしかすると何らかの時間的な制約があるのかもしれませんが、家作りは一生にそう何度もない大きなイベントですから、のちのち後悔のない、充分な検討が必要かと思われます。

…大屋さんの案を元に、工務店がまとめた間取り図最終案…

 以下、私の独断になりますが、資料を見た範囲で計画に対する私見を述べさせていただきます。

●計画の長所
1)将来を見越した家族分の充分な部屋数と床面積がある。
2)全居室が南面し、充分な太陽の恵みが期待出来る。
3)1〜2階とも水回りが集中し、設備工事費に無駄がない。
4)南北に窓が通っているため、通風、特に2階の風通しがよさそう。
5)玄関と駐車場の距離が短い。
6)玄関位置が辰巳(南東)の位置にあり、風水的によい。
7)老人室とトイレ、浴室の位置が近い。
8)キッチン、UTがゆったりした広さ。
9)老人と子供の中間的立場にあり、三世帯住宅で最もストレスの溜りやすい夫と妻の隠れ家(書斎と家事室)がきちんと確保されている。
10)1階居間と2階フリールームをつなぐ吹き抜けは、通風と光りの通り道、家族のコミュニケーションなどにいい役割を果たしそう。

●計画の短所
1)玄関が一部居間にくいこみ、構造的、動線的によくない。風水でも「欠け」とみなされ、よくないと言われている。
2)その家の「顔」ともいえる玄関が大家族の割に狭く、貧相なイメージを与える。
(ちなみに、3人家族の我が家より狭いです)
3)リビングの幅を4550にとったため、壁際に余分な柱が出来てしまっている。
4)玄関〜西洋間、玄関〜キッチン、玄関〜階段、玄関〜老人室の各動線がすべて居間を大きく横切っているため、家全体に落ち着きがない。その結果、居間に「たまり」が全くない。各動線も非常に長い。
5)居間と同空間だが、トイレ前あたりにすっきりしない無駄な空間がある。
6)1階トイレの出入りが、居間から丸見え。
7)豊かなスペースの割には、階段が回り階段で貧弱なイメージ。
8)外観イメージに冒険がなく、現代風なのか純和風なのかもはっきりしない。

 以上、これまでのお施主さんや工務店さんのご苦労を無視し、好き勝手なことを書きましたが、第三者の意見として参考になさってください。

 初回ですので、これらの指摘に対して、大屋さんとの意見が一致すれば、「ではどう改善すればいいのか?」の検討に入るということでいかがでしょうか。長所は残しつつ、欠点を少しでも補正する方向がよろしいかと思います。
 私としては、4)の居間動線の問題はなんとしてでも解決すべきだと考えます。ご返答をお待ちしています。



 さっそくのご連絡ありがとうございます。現在の間取り案(工務店の図面、外観のもの)の考え等を簡単に 説明します。

1)1F:
●向かって右和室6畳が実父の部屋。
●真ん中のリビングが「茶の間」
●向かって左の手前の洋室8畳が、将来の妻の両親の部屋。
(妻の実家のピアノをもらってきて置く予定)
●向かって左の奥の和室6畳は、同じく将来の妻の両親の部屋。
 両方の部屋は、子供たちに「ここはおじいちゃん、おばあちゃんの部屋だよ。貸してもらっているだけだから、きれいにしようね」と何度も話し、「将来、いっしょに住むんだ」との気持ちを子供に植付けようと考えています。

 真ん中が茶の間になったのは、私の父と妻の両親の間に(なんと言っても他人ですから)心理的な空間を広く取りたかったからです。そのために玄関がリビング正面になってしまい、なんとなく不満を感じています。敷地の関係で玄関を横にもってこれないため、しかたないのですが。
(風除室を設けて玄関代わりにしようかと考えてみたのですが、「常識の建て方からすると良くない」と却下となりました)
 階段をリビングの中に設置したのは、1)階段に座って会話したりして通路以外にも活用したい、2)雑誌でよくみる階段側面に棚をたくさんつけて利用したいからです。
 北側の水廻り、台所、家事室は動線を一本化したかったので、このような配置となりました。しかし、できれば坪庭を造って、お風呂や台所などを見れるように見直せないかなあと思います。
 家事室は、妻が一人になりたい時に必要なので作りました。位置も父親室から遠い所が良いと考えています。今、3LDKに同居していますが、父との同居でストレスがたまるようです。

2)2F:
●向かって右手の奥の小さい洋室には、本棚をふたつと机、パソコンを置く予定です。私が1人になりたい時のための部屋です。また、将来ここで子供と一緒に勉強したり、インターネットしたりするかもしれませんね。
●向かって右の手前6畳の洋室(木製バルコニー付きの部屋)は、仮称「絵本の部屋」。妻の絵本棚を1つ置く予定です。(結婚前の妻は保母をしており、今でも絵本が大好きです)奥の小さい洋室から本を持ってきてゴロ寝して読んだり、親戚が泊まったり、第二リビングとして使ったりする予定です。
●真ん中のホールは将来、間仕切りして子供室に。
●向かって左、手前の和室8畳は寝室です。鏡台以外は何も置かないつもりです。ベッドではなく、ふとんを使います。
●向かって左の奥が納戸。タンス3サオを置きます。なお、寝室以外はすべて板の間を予定しています。

3)3F屋根裏:(添付資料の4枚目にスケッチがあります)
●向かって右側が物置。
●向かって左側の部屋は、仮称「秘密の小部屋(笑)」。趣味の部屋として使う予定です。(日曜大工や子供たちが遊んだりする?)
(「秘密の小部屋」のネーミングは、妻がたいへん気に入りました。「あの映画のポスターを探してきてはっ とこうかな?」などと言っております。逆に会社の女性社員にこの話をしたら、「これだから中年はやーね」 と言われてしまいました。人によって想像することが違うようですね)
 なお、まだ図面ができない理由を工務店に聞いたら、1〜2Fの間取りが決まってから簡単に決まるので、それまでしないとのことでした。

 たいした追加情報にならず、申し訳ありません。質問については、明日ご連絡します。



 大屋です。連絡が遅くなり申し訳ありませんでした。以下、ご指摘の短所への考えを含めご連絡します。よろしくお願いします。十分な説明となっていないかもしれませんが、ご容赦ください。

●議論も煮詰まったこの時期に依頼した理由
「3軒建てて満足した家が建つというが、その3軒目レベルの満足できる家なのか?」ということです。勉強のおかげで、1軒めの建て売りレベルはクリアできた?と思いますが、今の私では2軒目レベルの発想しかないだろうなと思います。
 また、私のような素人の考えた間取りよりもっといい案があるはずだ!という疑問からでもあります。第三者で実力のある建築家に相談して、この間取りで十分住みやすいか?を確認したかったのです。
 ただ、工務店の名誉のために一言付け加えますと、いろいろ詳しく突っ込んだ意見をいただいており、一生懸命対応していただいております。

●時間的な制約
 ありません。もともと、長男が小学校に入学するまでに建てて欲しいとの妻の要望だったのです。幼稚園に上がる前にここまですすむとは思いませんでした。(希望の土地を探すのに2〜3年かかったと雑誌で読んだ記憶があったので)
 また、私の場合、工務店との相談ペースも早い方だそうです。1年近くかけて検討する方もよくあるそうで、「お客さんが納得するまでやります」と言っています。ここで、1ケ月くらい、止まってもかまいません。
 ただ、遅くとも今年の11月〜12月には入居できるようにしたいですが。(鉄もだんだん冷えてしまいそうですから)

●ご指摘の短所についての考え

1)玄関形状と広さ
 欧米の家は入り口からいきなりリビングに入るのが一般的なので、日本の常識にとらわれなくても良いのではないか?と考えました。また、リビングの両側に両親の居室おくため、玄関をここにせざるをえなくなっている背景もあります。
 右側からアプローチをいれ、父の部屋とトイレの間から入ることも考えてみましたが、敷地が少し斜めになっていて難しい。また、昔の田舎風の縁側、今ならサンテラスを作って出入りする玄関の無い家にしたらどうか?とも考えましたが、常識の前に却下となって、現形状となっています。何か妙案があれば良いのですが。

2)居間にある余分な柱
 あまり気にしません。太い柱がドーンとあるのは好きです。リビングにたくさん集うことを考えると、横に広いほうが良いと思っています。妻の妹夫婦が帰省した時など、子供を除いても大人7人になります。

3)居間の「たまり」
 まったくその通りで、菊地さんのホームページを見て、ずっと今の間取りにモヤモヤしていた原因が分かった次第です。この問題をクリアできる方法はないのでしょうか?

4)トイレ前の無駄な空間
 車イスでも楽に通れるように、もし廊下を作るなら0.75間をお願いしたのが、ここだけそのまま残ったしだいです。場所があまれば腰の低い30cm位の家具などを置けば良いだろうと考えています。

5)1階トイレの出入りが、居間から丸見え
 気がついていたのですが、あまり気にせず扉でも(ダメならのれんやカーテン)つければと考えています。でも、冷暖房効率も含めあった方がよいですね。

6)階段が回り階段で貧弱なイメージ
 ご指摘の趣旨が良くわからないのですが、詳しく説明をお願いできませんか?階段が通路+アルファを狙ったのに、十分な効果がででいないとのことならその通りで、対策があるようでしたら、お願いしたいです。

7)外観イメージがはっきりしない
 ローコスト優先で考えていただけでしたので、ご指摘の通りかもしれません。こちらに希望がないのですからムリありません。ただ、屋根形状が信州の民家風になったので気にいってます。

 まとめて見ますとこのようになります。

・ぜひとも改善したい(希望度大):1)3)
・改善できると嬉しい(希望度中):5)6)
・他がムリが生じなければ(希望度小):4)7)
・現状でOK:2)

 以上、よろしくお願いいたします。



 
いきなりの修正案



 札幌、TOM工房の菊地です。前回の私の身勝手なる指摘に対するご回答、読ませていただきました。私へのご依頼の主旨もよく分かりました。私がはたして「実力のある建築家」なのかどうかは、はなはだ疑問ですが、ほとんど利害関係のない第三者であることだけは確かです。
 それと、たくさんの資料を読ませてただいてみて、家に対するお考えに、そう大きな隔たりがないようにも感じました。私のホームページに書いてあることと、ほとんど同じような記述が複数ありました。これはとても大切なことだと思います。
 時間の制約がないのはよかったですが、やはり家作りは燃え上がったときに一気にケリをつけるのが常道ですから、なるべく早く結論を出すべきだと思います。幸い、私も大変せっかちですので、スピードには充分ついていけます。

 前回メールの中で、一部説明不足があったことをまずおわびいたします。
 階段の件ですが、階段は降り始めが最も危険です。今回の図面のように、降り始めにいきなり180度回ってしまう階段はつまづきやすく、万が一転落すれば大事故になりかねません。老人や小さな子供のいる家庭では、できれば避けたいです。
 本当は回り階段そのものをやめ、直行階段かそれに近いものにするのが理想ですが、種々の事情でそうもいかないケースが出てきます。最近の住宅のように、15〜16段のゆるい階段の場合、スペースの関係で直行でおさめるのはますます難しくなります。
 やむなく回り階段にする場合、角度を変える箇所には段をつけず、平らな踊り場にすると安全になります。それも出来ない場合、180度回る地点を1〜2階のちょうど中間あたりにもってくると比較的安全になります。(昇り降りのリズムがよくなる)

 もうひとつ、今回の最終図面の階段は、一番下の2〜3段に、2階の天井が一部くいこんでいます。(平面図で確認ずみ)高さで言えば55〜60センチ、幅で言えば60〜70センチくらいです。これは昇り降りに頭がつっかえる感じとなり、非常に圧迫感があります。よほど土地に余裕のない計画以外は、極力避けるべきでしょう。
 せっかく安全を考えて階段幅を100センチにとり、段数も増やしたのですから、こうした部分も配慮してやらないと、バランスがとれません。

 外観のイメージのことですが、「古民家風の和風」でいくのか、「北欧風洋風」でいくのか、はっきりさせたほうが家作りはやりやすいと思います。資料を拝見した限りでは、このどちらかのように感じました。どちらかに決めてしまえば、材料の選び方ひとつとっても、統一感がとれ、家作り全体がスムーズに運びます。
(「太い梁」「太い柱」「むき出しの天井」などの記述から推測しますと、「古民家風の和風」の印象が、より強いように感じますが…)
 もし「古民家風」でいくならば、ビニルクロスは一切やめて、木材としっくいかそれに近い内装材を使う、外壁材もしっくいに見えるような材料、玄関床は石張りか玉砂利洗い出しのモルタルでいく、屋根はねずみ色の瓦屋根、等々…。

 実は今回私が指摘しました「短所」8つのうち、実に7つまでが玄関の位置に関わる事柄です。ですから、玄関がうまく収まる方法を発見すれば、すべてがうまくいくはずです。
 すべての計画を見直してみましたが、11/19に工務店さんの出した第3案の玄関の収まりを修正すれば、かなりいい物が出来ます。スケッチ段階ですが、7つの問題すべてが解決し、構造的にもより優れた計画が可能です。小さいですが、浴室から見られる坪庭もつけられます。手前味噌ですが、2階も現在よりすっきり収まっていると思います。もちろん、計画の長所はすべて残してあります。
 問題は居間にある柱までなくしてしまったことです。つまり、居間の幅がすべて3640になっているということです。その代わり、種々の動線を短く、しかもすっきりさせたので、「たまり」が完全に確保され、原案と比べて見劣りはしない思っています。
 ただ、大屋さんのご回答で、「居間にある柱はそのままで」とありましたので、もしそれが絶対条件なら、この案は出しません。

 通常なら依頼主ともっと議論を進めてから私の案を出すのですが、今回は計画そのものがかなり煮詰まっているので、その必要はないように感じました。
 もし上の私の案が却下なら、全く別の考えを進めなくてはなりませんが、土地の大きさから逆算すると、家の東西合計幅は12000くらいが限界です。他の部屋の幅とのからみから、居間南側の幅はどうしても3640となり、4550の幅がとれるのは奥の部分だけとなります。(第1案からずっとそういう形状になっている)現図面にいろいろ無理がきているのは、実はこのことに原因ある気がしてなりません。
 計画の大幅変更となりますが、玄関を北西にもってくる方法もあります。もしかすると敷地の段差の関係で無理でしょうか?こちらもスケッチしてみましたが、結構いい感じになりそうです。写真添付は結構ですから、道路がどれくらい傾斜しているのかだけ、教えてください。

 いろいろ書きましたが、まずは現行の南東玄関で議論を煮詰めるべきだと考えます。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。(上記案をお送りする場合、清書に数日かかります)



 大屋です。ご連絡が遅くなり、申し訳ありません。考えましたので、ご連絡します。

●階段の件
 曲がるところは段差がなくフラットにしたかったのですが、間取りの関係からこのようになった次第です。ムリなく変更できるなら、今でもそうしたいと考えております。踏み板には、安全のため、スベリ防止にカーペット張りを考えています。
 2階天井の一部くいこみに関しては、階段部の1F天井の構造を見直して圧迫感を緩和するようお願いしていますので、なんとか我慢できるかと考えています。

●外観のイメージ
 内装は私と妻の好みで「古民家風」にしたいです。床と天井は木、壁は白い漆喰(全部木ではつかれてしまうでしょうから)といきたいのですが、高価になるので和紙にしようかと考えています。
 逆に外観は銀色のガルバ鋼板で現代風に作りたいと考えています。和風・古民家風で作るなら、竹古舞を使った土壁などの本物を使わないと、見た人がまがいものっぽく感じてしまうのでは?と思うからです。少なくとも私はそう思います。逆に、ガルバ鋼板なら、「鉄板でこんなにきれいにできるのか?」と感心してもらえるのではないでしょうか?また、外観と中身が違ったほうが意外感があって面白いのでは?とも思います。
 なお、お送りした外観パースは全部ガルバ鋼板になっていますが、1Fの手の届く範囲は板張りにしようと考えています。(自分で日曜などに再塗装できる範囲で)

●東南玄関の見直し
 菊地様のご提案どおり、「11/19に工務店の出した第3案の玄関の収まりを修正する案」でのご検討を、最初にお願いします。もともと、リビングの窓側を2.5間確保したいため、最後にはいい案が浮かぶだろうと安易にこの間取りで進めてきました。残念ながら、中途半端に真ん中部分のみで終わってしまっており、考え直したほうが良いのかもしれません。
 参考までに第3案を採用しなかった理由は次の通りです。

1)リビング内階段にすることで階段に通路以上の付加価値を持たせたいが、それができない。(腰掛けて雑談する、階段下にきれいな収納棚をつくる)
2)父の部屋が前にでてくるため、駐車場がリビング左の洋間の前になってしまう。しかし、リビング前から左手にかけてはデッキつきの庭にしたい。
3)広くなるので費用が心配。(これが一番大きな理由か?)

 できれば、1)〜3)のメリットが残るか、ダメな場合はそれに変わるようなメリットがあれば嬉しいです。わがままなお願いで申し訳ありませんが。
 柱の件については、古民家風の広いリビングはあこがれでしたが、ヤムをえません。逆に、構造上ちょっぴり強くなるのではと期待できそうですね。ここは東海大地震で震度5強、東南海大地震で震度6弱から6強が予想される地域なんです。できれば、過剰品質でもいいから、地震に強くしたいのです。

 以上、ご連絡します。



 札幌、TOM工房の菊地です。
 居間の間口寸法4550に関して、「結果的に中途半端に真ん中部分のみで終わってしまっており、考え直したほうが良いのかもしれません」のご返答をいただき、目の前が明るくなる思いがしました。このハードルは結構高いのではないか?との懸念があったからです。
 敷地条件がとてもよいので、北西玄関も検討の余地がありそうですが、やはり通りから最も近い南東玄関をまず優先して考えるべきでしょう。そのためには4550の間口を一度捨ててみる必要が、どうしてもありました。

 私の修正案はすでに出来ておりますので、さっそく清書にかかります。早ければ次回のメールに添付出来るかもしれません。
 ちなみに、階段の問題点もすべて解決ずみで、居間から2階に昇れ、なおかつ階段途中に飾り棚(本棚)を確保し、階段途中に腰掛け、1階居間、台所、2階フリールーム、書斎などにいる人と会話が出来る楽しい構造になっています。

 もうひとつ気になっていることがあるのですが、ロフト(3階)は必須条件なのでしょうか?それとも、「納戸スペース」「秘密の隠し部屋」などの要素が1〜2階にもしあれば、特にこだわらないのでしょうか?次回にでも教えてください。
 現在の私の案では、上記ふたつに対する代案があり、特にロフト(3階)は必要がないようになっています。しかし、ロフトつきに変更可能なようにもなっています。コスト的にはロフトをつけると、構造材や外壁材、大工手間の割り増し等で、かなり割高になります。
 将来的にロフトを増築できる余地だけ残し、(増築にすれば、着脱階段の問題も解決)当初はその分のお金を1階の南面に石を敷き詰めるなどの工事にまわしたほうが、豊かな生活が得られるようにも思うのですが、いかがでしょう。

 外壁材の和風、確かに難しいかもしれません。モルタルや樹脂系の吹き付け材をうまく使ってやれば、なんとかいい雰囲気になりそうな気もしますが…。
 しかし、ガルバ鋼板も悪くありません。その場合、屋根は瓦ではなく、同じガルバ鋼板にすべきでしょう。瓦屋根とガルバ鋼板の外壁とのデザイン的処理は、大変難しいです。熱と雨音の問題は、屋根下にポリスチレン断熱材を20ミリ敷けば解決します。(我が家がその仕様)
 ちなみに、我が家は屋根、壁ともガルファン鋼板(ガルバ鋼板よりアルミが少なく、安価だが、同じような性能)ですが、なかなか快適です。南面の1階だけアクセントで板張りにしてあります。塗料は脚立に昇って、私自身が塗りました。大屋さんと全く同じ考えです。

 上記仕様でいく場合、ガルバ鋼板と板張り部分、そしてサッシの色のバランスが非常に重要です。私は納得がいくまで、パースで何度もバランスを確かめました。
 銀のガルバ鋼板でももちろんいいのですが、どうしても雰囲気が洋風になります。無難なのはチャコール系のガルバ鋼板に、木部分を濃いめの茶にする手法です。和風、洋風どちらにでも合います。サッシは木にすると感じがいいですが、高いのでアルミでガルバ鋼板と同じような色ということになるでしょうか。
 黒系の色で夏の日射がご心配なら、屋根だけ銀のガルバ鋼板にする方法もあります。ちょっと目立つでしょうが、すごくユニークな家になります。

 より具体的な外部デザインのご相談にも応じますが、まずは「間取り相談」の目処をつけてからですね。それでは。



 ご多忙のなか、すぐご連絡をいただき、たいへん感謝しております。こちらは子供が起きている間は相手をせねばならず、なかなか早くお返事できませんが、スピードをあげるようがんばりますので、よろしくお願いします。

「階段途中に飾り棚(本棚)を確保し、階段途中に腰掛けて、1階居間、台所、2階フリールーム、書斎などにいる人と会話が出来る」とのこと、探し求めていた理想の階段?のようで、妻ともども喜んでおります。案のご連絡を楽しみにさせていただきます。
 では、ご質問の件ですが、

●ロフト(3階)は必須?
 妻と相談し、すぐに決まりました。
「絶対欲しい。楽しく住むために家を建てるのだから、趣味の部屋としての屋根裏は絶対欲しい。また、人の居住空間にお金をかけるのはいいけど、それ以外にはあまりお金をかけたくない」
 もう少し付け加えますと、
1)何でも放り込める物置がないと、1F〜2Fに物があふれて困る。
2)2F右側の絵本室は、読書・Tea Room専用にしたい。したがって、もう一つ趣味の部屋が(贅沢ですが)欲しい。
3)親戚が宿泊した場合は絵本室が使えなくなってしまう。その時にも使える部屋が欲しい。
 外構は少しずつやっていけばよいと思っています。

●屋根
 もともと私の案は屋根・外壁は鋼板でした。雨音がうるさいのは慣れれば気にならないだろうし、軽いから耐震性上も良いと聞いています。間取りが固まりましたら、ご相談させてください。

●楽しい仕掛け(追加)
 不要と思い書かなかったのですが、子供が遊べるようにブランコを吊るし、さらに吹き抜けを利用して縄はしごを下ろす予定です。
 また、遊び心で屋根裏の秘密の小部屋は、忍者屋敷のように、入り口のドアをわかりにくくできないか?などと考えています。そんなわけで、ロフトはどうしても必要なんです。(笑)

 以上、ご連絡します。



 札幌、TOM工房の菊地です。たったいま、間取り図が完成しました。CAD図面をjpg画像に変換しましたので、やや見づらいですが、概要はお分かりかと思います。スピードをあげるため、部屋名称は普段私が常用している英語名になっています。ご容赦ください。なお、部屋の後ろについている数字は、部屋の概算面積(畳換算)です。

…TOM工房/菊地による修正案…

 内容は前回までのメールで書いた通りですが、簡単に説明いたします。

●居間の形状を構造的にも動線的にも風水的にも有利な長方形にし、すっきりさせた。
●玄関〜西洋間、玄関〜キッチン、玄関〜階段、玄関〜父親室、階段〜UT等の各動線を短く、すっ きり整理。その結果、居間に大きな「たまり」が出来た。
●玄関とホールを計3畳の広さにし、大家族にふさわしいゆったりとした印象にした。ホール正面に出入口はないので、玄関先の来客時に、中が丸見えなならない。
●父親室は玄関を介して離れのようにして独立性を強くしたが、介護等の可能性を考え、UTへ直接行ける通路を確保。
●トイレはUTの中に取り込み、居間や玄関から直接出入りが見えないように配慮。
●UTは広々と6畳あり、子育てと将来的な介護等の可能性にも充分対応。
●浴室とトイレの間に坪庭を配置。トイレは引戸が使えるよう、横長にした。
●階段を家の中央に配置し、家の中心スポットとした。安全性にも極力配慮。階段上部は完全に吹き抜けになっており、開放感がある。
●階段下には、玄関収納、父親室仏壇スペース、UT側の収納などを配置。
●1階〜2階をつなぐ吹抜けは、南側ではなく、中央階段と連続させて居間中央のキッチンよりに配置。その結果、1階食堂〜キッチン〜階段〜2階フリールーム〜書斎相互の声が届きやすく、家にいながら家族間のコミュニケーションが容易にとれる。
●階段昇り口をキッチン〜食堂にむけ、途中に本棚を設けたので、座って家族と対話しながら本が読める。
●2階吹抜けから北の書斎へは、空中にある「ブリッジ」を渡っていく。このブリッジはロフトへの昇り口もかねる。書斎への出入りのたびに階段や階下が見おろせ、日々斬新な気分にひたれる。
●書斎は4畳を確保。さらにその奥に2畳の秘密部屋を作った。用途はお好み次第。
●2階図書室奥に、3畳の納戸を確保。
●2階西寝室奥の納戸は、6畳を完全に確保。予備室としても使える。
●図書室前バルコニーは、3畳大を確保。
●平面形状を整理した結果、外観は現在の屋根の方向とは直角の切妻となり、すっきりした印象になる。(1階の一部のみ、同じ方向の片流れ)丈夫で外壁材も少なくすむ。
●玄関を北側に910だけセットバックさせたため、ひさしが不要になり、外観がすっきり。
 キッチンや家事室、1階西側居室は欠点が少ないので、今回はいじっていません。また、階段の段数、階段 幅、トイレの幅、窓の位置と幅などはすべて現行図面にあわせてあります。


 この計画の欠点はあまりないと自負していますが、強いてあげますと、

●階段に直接面する窓がなく、やや暗い。
 法的には問題なく、上下に大きく開放されているので、ほとんど問題ないはずです。面積の広い大家族の中心スポットとしての利点のほうが、はるかに大きいでしょう。家はすべての箇所が均等に明るいより、一部にほの暗い箇所があったほうが心理的なメリハリがある、という建築学的な意見があり、私も同感です。
 ただ、階段に座って読書する時のために、階段中央の梁か柱に、スポットライトは必要でしょう。私の自宅にも階段途中に本棚があり、主に趣味関係の本が並べてありますが、そのようにしてあります。
 施工難度がやや高いですが、ロフトの計画とあわせ、2階フリールームと階段上部をすべて屋根まで吹抜けにし、屋根から家中央に直接光りを落とす手法があります。(天窓かハイサイドライトを使う)立面計画と密接につながっていますが、実現させれば光のシャワーが降り注ぐ素晴らしい空間が出来るでしょう。

●2階トイレに窓がない
 あったほうがベターですが、大きな欠点ではないと思います。法的には強制換気扇をつければ問題ありません。(私の家のトイレにも窓がありません)

●坪庭が小さい
 この大きさならないほうがマシ、と言われるかも?トイレを縦長にするとUT側にも窓がつけられ、ちょっと広がりが出ます。(この場合のトイレ出入りはドアとなる)トイレの引戸は、バリアフリー住宅の必須条件と思いますが、ひっくるめてご検討ください。(もし坪庭をなくすと、2畳という大きなトイレが出現しますが、それも悪くないかも?)

●居間の面積が現行図面よりも少なくなった
 計算上はそうなのですが、各動線図を描いてみると分かるように、実質的な広さはむしろ広くなっていると言えます。
 面積表を見ていただくと分かりますように、1〜2階の合計床面積は現行図面よりも9平方メートルほど増えています。これは玄関を広くとるために1階父親室を南に910ずらしたこと、2階図書室奥に広い納戸をとったこと、2階書斎奥に秘密部屋を作ったことなどの理由からです。
 1階以外は少なくして数字上の帳尻をあわせることは可能ですが、これらの面積増による工費アップはごく少ないはずです。
(2.8坪増えたから140万増える、という単純計算にはならない)
 たとえば2階図書室奥の納戸を半分にし、面積を減らしたとします。数字上は0.75坪減りますが、へこました分の外壁の面積は変わりません。床材と内装材の一部は減りますが、逆に1階の屋根面積が増えます。大工工事はもちろん、でこぼこの少ない長方形がより簡単にすみます。
 つまり、この場合の価格的なメリットはほとんどなく、むしろ3階に比べて物の出し入れしやすい2階に大きな納戸を確保するほうが得策、ということになります。

 ロフトの件について、主に法的な問題があるのですが、長くなりましたので、次回にいたします。それでは。



 
直す箇所がありません



 大屋です。ほんとうにご多忙のなか、深夜遅くまでご検討いただき、ありがとうごさいます。お体を悪くしないかと心配しております。ご健康にはくれぐれもお気をつけてくださるようお願いします。
 さて、いただいた間取りは素人の私からみると「とてもあかぬけた」感じがします。これなら、「3軒目の良い家」ができそうな気がしてきました。

 では、拝見して考えたことを書かせてもらいます。

●居間の形状と各動線の整理
 居間のたまりの中心は窓側の右端、左端のどちらがよいのでしょうか?私は菊地様と反対に、右端にL字状にソファを置き、TVは左側が良いように思います。ソファにすわって、キッチン側も西側洋室も望めるので。FFフアンヒーターは、右側ソフアとリビング入口の間におければ良いのですが。
 欲を言えば、階段下収納部分にはめ込んでしまえれば、ベストでしょうか?でも、せっかく考えていただいた案がブチこわしになってしまいますね。困った。

●玄関とホール
 玄関左側の壁は上まで必要でしょうか?たとえば、玄関側壁を腰壁くらいの高さにして、あとはガラスなどで見通しできるようにすればさらに開放感がでないでしょうか?構造上ムリなのでしょうか?または、心理的によくないのでしょうか?

●父親室の独立性→OKです。

●トイレ位置
 だれかお風呂に入っているとトイレに行きにくくなるので、アコーディオン風の間仕切りを奥の外壁から2730の所に欲しいです。泊まりにくる回数が一番多い義妹は毎日1時間も風呂に入るそうです。なお、トイレの方向はもう少し考えます。

●階段まわり→OKです。

●階段下収納など→OKです。

●1階〜2階をつなぐ吹抜けの位置
 とても楽しい案です。ただ、台所が多少暗くなってしまわないでしょうか?さらに、子供部屋を作った場合は、2階からの明かりが望めなくなってしまいます。何か良い案はありませんでしょうか?たとえば、屋根から家中央に直接光を落とす手法ではどうでしょうか?
 また、工務店案ですと、1Fにあった柱のあらわしからブランコや縄はしごをつるす予定でしたが、ブランコは2Fに移動ですね。縄はしごは2F→1Fへ登ったり降りたりできるようにしようと思っていたのですが、今回の案では食事用テーブルの上に降りてきてしまいますね?(笑)あきらめないといけないかな?

●階段昇り口をキッチン〜食堂にむけ、座って家族と対話しながら本が読める
 子供がちょこんと座って絵本を読んでいる姿が浮かびます。(現実はマンガでしょうが)

●2階吹抜け部の空中ブリッジ
 良いアイディアで感激しました。とても楽しそうです。私たちでは考え付かない案で、ぜひ採用したいです。「このブリッジはロフトへの昇り口もかねる」がわからないのですが…。

●書斎と秘密部屋
 分けないで6畳分の細長い部屋として、当初は私と妻の書斎、将来は子供勉強室と子供収納室を兼ねたらと考えています。将来、子供室を作っても1部屋4.5畳にしかならないので収納がありません。子供も、のんびりする部屋と勉強する部屋が違ったほうが良いかなと思います。(ここに居なければ、「勉強してないな!」と叱ります(笑)

●2階図書室奥納戸→OKです。

●2階西寝室奥の納戸は6畳を完全に確保→部屋が増えてうれしいです。

●図書室前バルコニーは、3畳大を確保
 たて1間分の長さはとても嬉しいのですが、工務店より「1F部分の上にバルコニーを作るのは可能だが、長い目でみると雨漏りの心配があるのでやめた方が良い」と言われています。
 また、この形状にすると憧れの(山小屋風)木製バルコニーができなくってしまいませんか?部屋側半間はFRP、外側半間は木製は可能ですか?

●外観は現在の屋根の方向とは直角の切妻に
 すいませんが、この案は反対です。この案だとコストは安いでのしょうが、屋根裏が使えなくなってしまいます。
 理由1)最も高い部分で5寸勾配で1.8メートルしかなく、有効に使える部分が小さい。2)正面の田園からの風がはいらない。3)正面と裏の窓が、左右となり暗い。また、東海地方にすむ人間の気持ちとして、信州風の三角屋根への憧れがあります。
 あと、工務店案では書き忘れたのですが、屋根裏を実質3Fとして使用することになっています。私の不注意でした、申し訳ありません。(最近、私の住む所では固定階段がOKなんです。最近完成した家をみましたが、ちゃんとありました)屋根裏は、何か大きなものを広げっぱなしにできるようなスペースとしたいのです。

 とりあえず、ご連絡します。



 健康に関するお気遣い、感謝いたします。今週は急ぎの仕事の予定があり、どうしても連休中にしあげておきたかったもので…。深夜の作業には慣れていますので、どうぞご心配なく。
 当方の修正案を大筋でお気に入りいただけたようで、一安心です。
「インターネットで住宅設計に関する相談事を、どこまでやれるか?」という新しい課題にチャレンジする意図で始めた「ネット間取り相談」ですが、過去2件は平面図を具体的な形に実現するまでには至りませんでした。しかし、今回はなんとかお役に立てそうで、ネットの大きな可能性を再確認しました。

 ご質問のあった件と、前回書き忘れた事に関して列記します。

●父親室に関して
・UTへの通路はドアではなく、右押入れと一体化した3本引きの引戸のほうが将来的にいいかもしれません。ご検討ください。工費は同等です。
・階段下の仏壇スペースは、最大で幅900、高さ1400、奥行き500くらいです。奥行き以外は増やせませんので、このスペースでいいのかどうか、ご検討ください。(もしダメな場合、通路をつぶしてそこに置くことになりますが…)

●居間のたまりに関して
 基本的には、東西どちらでも構わないと思います。西側洋室との一体感を重視するなら、東側ソファがいいですね。居間にテレビ以外の家具があるのかどうかうかがってませんが、もしカップボードなどがある場合、ソファの背中側の壁際に置くようになります。ちょっと使いにくい気もしますが、ダメということにはならなでしょう。
 FFストーブの置場には困りましたね。排気管をあまり長くは出来ないので、階段下中央に置くのは難しいでしょう。予算にもよりますが、FF式のボイラをUTに置き、温水パネルヒータを1階の部屋だけでも窓際に配置するようにすれば、問題は一気に解決します。(いわゆるセントラル暖房)工事費は60〜70万くらいでしょうか。2階まで施工すると、100万はかかると思います。しかし、お金をかけるだけの価値はあります。特に子供や老人の多い家庭にはお勧めです。
 我が家は基礎断熱で床下は開放空間にし、床下にこの温水パネルヒータを3台置き、いわゆる「床下セントラル暖房」にしています。暖房器が一切部屋になく、足元からポカポカ暖かく、非常に快適です。詳しくはHPの連載をお読みください。技術的には大変難しく、経験ある設計者の工事監理が必要です。

●玄関西側の壁に関して
 この壁を腰壁にし、居間と一体感をもたせるというのは、素晴らしいアイデアです。その発想は、かなりプロに近いものです。技術的にはなんら問題ありません。
 私も自邸を設計する際、同じことを考えました。考えに考えて、結局やめました。やはり来客時、特に玄関先で帰る客からの視線が嫌だったからです。居間で家族でくつろいでいる時、家族の誰かが緊張を強いられるかもしれない外部からの第三者の視線は、やはり排除したいと私は考えました。
 ただ、玄関ホールから居間に通ずる引戸に、大きなガラスをはめこむのはいいかもしれません。これくらいなら食堂の一部が見える程度で、接客する人がそこに立てば、その視線も遮れます。
 西側の壁上部40センチだけ開放にするか、透明ガラスをはめこむ、という手法も考えられます。おもしろい空間になりますよ。音や暖房のことを考えると、ガラスが無難かもしれません。通気を主に考えるなら、開放ですか。こちらとは気候がかなり違うと思いますので、通気を重んずればいいのか、しゃだんして暖房を重んずればいいのか、いまひとつピンときません。

 もうひとつ、腰壁にして、その上に幅10センチの木材を45度に傾けてルーバー状につけ、「玄関からは見えないが、居間奥からは玄関のホール側が見える」という技があります。私の家の2階にこの方式の壁が2箇所つけてあり、「寝るときや来客時はルーバーを回転させてしゃだんし、他は平行に戻して開放させる」というふうに「動く壁」として使い分けています。(見た人は皆驚きます。しかし、工務店は工事をいやがるかも?)

●脱衣室
 UTはワンルーム形式で、利点と欠点とがあります。「水回りの作業が一気に片づく」のは最大の利点ですが、ご指摘の通り、誰かが入浴中に他の誰かがトイレを使用する、あるいは洗面台を使う、というケースを考えると、宿泊する来客の多い家庭、あるいは大家族などでは、困ったことが起きる可能性があります。
 私の家も全く同じワンルームUTなのですが、家族だけの場合、誰かが入浴中にUTに入りたい場合は、必ずノックする、というルールがあります。来客の時はUT中央をカーテンで仕切って、簡易脱衣室にします。
 今回の計画で、UTの中央にある点線は、そのカーテンのためのパイプのつもりでした。「カーテンがしまっていたら、誰かが入浴中」というルールです。いっそここに、型板ガラスの3枚引戸をつけてしまう手もあります。(上部は開放)
 その場合でも、誰かが入浴中に洗面台と洗濯機は使えません。窓のある部分にL字形に吊りレールをつけると、狭いですが完全に独立した脱衣室が出来ます。病院の診察室のような感じです。このやり方が最も安価です。トイレの配置と坪庭の必要性とあわせ、ご検討ください。

●吹抜けと階段の明るさ
 私としては屋根から何らかの形で光を落とす方式を強くおすすめします。ただ、これはロフトや立面、断面計画と密接につながっており、今回の間取り相談の域を越えた大きな問題です。
 資料をよく読むと、工務店さんにトップライト(天窓)に関する拒否反応があるようにも感じました。私の家にはついてませんが、技術的にはそう難しくないと思います。雨仕舞いのよさを考えるとハイサイドライトが無難ですが、正確な図面が必要でしょう。いずれの場合も工費はアップします。

●図書室前バルコニー
 1階部分がせり出しているのは南に910だけで、もしこれを避けたいなら、図書室を910南に出し、1階壁と2階壁を完全に一致させればすべて解決です。図書室が7.5畳に増えるか、奥の納戸が4.5畳に増えることになります。バルコニー奥行きを1365にしたい場合、455だけ外側にせりだす構造にすればOKです。
 北海道では、こうした場合、バルコニー下にトタンでせり出した部分だけの屋根(水平に近い勾配)をかけてしまます。完全な屋根ですから、雨漏りの心配はまずありません。その上にのせるような形でバルコニーを作ります。鉄製、木製、いずれも可能です。FRP等は一切使いません。
 ただ、工務店さんが尻込みしてしまえば、この案はボツです。工費は多少アップしますが、代案を採用すべきでしょう。

●2階ブリッジ
「ブリッジのある家」とでも名づけたいほどの、とっておきのアイデアです。これも私の家で採用するかどうかおおいに迷いましたが、今回のような完全な形での採用は断念しました。
 ブリッジは太い梁をむき出しにし、1階からはっきり木材が見える形にすべきです。手すりは木材で簡単に、ざっくりとした感じで。

●ロフト
 前項や屋根形状と関係があるのですが、札幌ではロフトの構造に多くの規制があり、たいした物は作れません。

・居室には使用不可
・床面積が直下の階の1/8以下
・最大天井高さが1400以下
・階段ハシゴ等は固定式は不可

 どれも厳しい規制で、設計屋としてあまり魅力を感じません。他の市でも同様の規制があるはずです。建築士という立場上、法を破るわけにはいきませんので、申し訳ないですが、今回はロフトに関する平面プランニングは、対象外とさせていただきたいと思います。(ロフトに昇るまでのご相談には応じます)
 ロフトへの昇り口は、ブリッジから右に階段かハシゴをかければ、図書室の真上に出ます。13段とれるはずなので、一気にロフト床に出られるでしょう。もし固定階段がつけられるなら、なおさら簡単です。あとは地元の事情に詳しい工務店さんとよく相談なさってください。ブリッジから 左側に昇る方法もありますが、真下にテーブルがあるので、避けたほうがいいです。(階段からゴミが落ちる可能性あり)

●屋根形状
 当初から相談の対象外でしたが、ついいい気になって、勇み足をしてしまいました。屋根からの採光とも密接に関係していますので、これも工務店さんとよく相談なさってください。
 関連しますが、資料を再読してみましたところ、建物西側の高さが、西側の2M道路の規制を受けるような記述があります。こちらも地元監督官庁の規制に関わることなので、地元の人間でないと分からない部分です。おそらく工務店さんは把握しているはずで、よく見ると原案のパースの西側屋根が、いくぶん他より低いですね。こちらも工務店さんにまかせたほうがいいでしょう。
 この高さ規制を受けると、切り妻の場合は、一部を入母屋にしなくてはなりません。それはそれで美しいと思いますが、ロフトや信州風へのこだわりを考えると、原案のままが無難でしょう。

 間取り相談が実質的にどんどん進んでいますので、恐縮ですが、添削料のお振込をお願いいたします。(いままでの方々も、数回のメール交換でいただいております)
 料金は打ち合わせ通りです。恐縮ですが手数料はご負担ください。郵便振替のほうが手数料が多少安いかと思います。代金に含まれるものは、一物件に関する間取り全般のアドバイスです。可能性としてまずないと思いますが、万が一「一からすべて考えなおす」という場合は、別料金とさせてください。
 なお、添削料に法的な設計責任料は含まれておりませんので、なにとぞご了承ください。それではよろしくお願いいたします。



 こちらは昨日まで暖かかったのですが、今日は冷えこんでおります。北海道はいかがでしょうか?私は昨日から少しのどが痛く、カゼのひきはじめようです。重くならなけれが良いのですが。菊地さまもくれぐれもお気をつけくださいますようお願いします。
 添削料ですが、さっそく郵便為替でふりこました。ところで、あれだけで本当によろしいのでしょうか?その十倍でも菊地様の努力分には足りないと思います。また、法的な設計責任料については了解しております。

 では、また質問や考えたことを書かせていただきます。

●階段幅
 よく見て確認したいのですが、階段幅を1000にすることは可能ですか?(菊地様案は910)その場合、家全体が前後に180長くなるのか?階段部分だけでOKなのでしょうか?前者の場合、かなりの部屋に影響がでそうですが。

●リビングと食堂西側
 食堂テーブルと西6畳間の間は、現在3枚のふすまにしてありますが、閉じてしまうか、1枚引戸にしたほうが良いでしょうか?現状なら、食堂に腰掛けながら北西側の外を見通せて開放感があって良いのです。しかし、食堂テーブルに落ち着きがないような気がします。閉じてしまえば、食堂テーブルにも「たまり」ができて良さそうです。

●父の部屋
 よく考えると、階段下の仏壇いれは田舎の慣習から難しそうです。他に設置場所があるのにモロに階段下では工務店の反対が強そうです。お客としてムリに作らせることは可能ですが、後で業者間同士で、「どうしてお客さんを良いほうに導いてやれんかったんだ。(そうするのが、プロだ)」と言われてしまうとのことです。私も階段を上り下りするたびに母を踏みつけているようでイヤです。
 ここはテレビや収納に利用しようと思います。仏壇は幸いアパート用の小さいものですので、押入れを1200にして残りの部分に入れます。
 あと、トイレへの通路は車イスで行けるように少し広くしたいです。押入れがもっと狭くなってしまいますが、まあ何とかなるでしょう。父の部屋に将来ベッドを入れる場合もありそうで、その場合6畳では狭すぎるので、坪庭を諦めトイレは縦 にして奥に半間伸ばそうか思案中です。

●セントラル暖房の件
 温暖な地方なのと、寒かったら服を着よう(子供は鍛錬になっていい)という妻の方針で、ストーブだけの暖房にし、寒い部屋は個別に暖房にしようと考えています。(床暖房さえ考えていません)
 ただ、吹き抜けがあると寒いということなので、対策として階段はカーテンで間仕切り、2F床はビニールでふたをするつもりです。(そちらでは、信じられない話でしょうが)

●屋根裏の件
「屋根形状に反対」などと、失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでした。こちらでは固定式階段もOKで、構造がしっかりしていれば2F床の50%を屋根裏にできます。同じ日本で、どうしてお役所の解釈が違うのか不思議です。
 メモに書きました通り、私の希望の難点は、物置と部屋を二つを作ると費用が相当かさみそうなことでした。菊地さまの案なら2Fにかなりの収納ができるので、下に落ちないように手すりをつけるくらいにして、「秘密の大広間(畳換算で24畳)」にすれば、安くできそうなので感謝しております。

●屋根形状の件
 私の説明不足でした。工務店からは、2F寝室と納戸の左外側は1700〜1800の高さに制限されると説明を受けています。しっかり明記すべきでした。申し訳ありません。
 その場合、納戸の衣装ダンスは高さが2050あるので窓側におけません。完全な6畳の部屋案は気にいっているので、タンスは幅900のものを図書室奥の納戸へ、一つは右側へ移動し、残りの一つは上下に分けて納戸におきます。上下に分けた一つは年に一回も着ない和服なので、屋根裏も良いかと考えています。

●脱衣室カーテン
 点線を上屋のラインと勘違いしました。ここにつければOKですね。

●図書室バルコニー
 後は、工務店との相談しだいですね。

 とりとめもなく書きましたが、あまり、菊地さまの案をこう見直したいという考えが浮かびません。とても良い案を考えていただき、ありがとうございます。



 札幌、TOM工房の菊地です。

 添削料をさっそくお手配くださったそうで、大変ありがとうございます。料金に関しましては確かに破格なのですが、何より実績のまだ少ない私のいい勉強になりますし、こうして努力を重ねていけば、いつかは大きな実になる日もあろう、などと考えています。
 また、インターネットで相談の一部始終を公開する「モニター料」も含まれていますことをお含みください。

●屋根形状
 その後いろいろ調べて、「本棟造り」という信州中南部独特のものであることが分かりました。次第に滅びつつある貴重な財産だそうで、旅館として改築されている建物もあるようですね。私は全く知りませんでした。勉強になりました。
 そちらではどうやら寄せ棟の古民家が抜群に多いようですね。入母屋はごく少ないみたいです。北海道は切り妻が抜群に多いです。私の父は大工でしたが、切り妻と入母屋の屋根しか建てていませんでした。私が生まれ育った家も父が建てた切り妻の家で、私が3年前に設計した自宅も切り妻です。その地方その地方で、いろいろな形式の家があるものです。
 ということで、今回の大屋さんの屋根形状へのこだわり、よく理解出来ました。私が切り妻屋根に強い愛着があるのと同じです。
 ただ、風格と伝統のある本棟造りを現代に再現させるには、かなりの工夫が必要に思いました。屋根の破風の厚みとか、面積の広い正面の壁の扱い方とか…。作品としてはとても興味をひかれます。

●階段の幅
 1階平面図寸法に一部誤りがありました。幅は原案とおり、すべて1000にしてあります。踊り場部分も1000あります。あとは2階トイレの幅も1000です。どうぞご心配なく。

●仏壇位置
 実はあの位置は最初から気になっていました。私の母が福井の寺の娘なもので、お気持ちはよく理解出来ます。小さなものなら、当然階段下より押し入れ横が最適の場所です。UTへの通路幅は、現在有効寸法で805あり、なんとか車椅子でも通れますが、もっとあればなおいいでしょう。

●父親室拡張
 ベットにそなえて父親室を北にのばす件ですが、坪庭をあきらめてもトイレ幅は原案通り1200は欲しいと思いますが?そうすると、620しかのばせません。押し入れの奥行きとしてはちょっと少ないかもしれませんね。(UTへの通路はすっきりしますが)
 変則的に、押し入れを300だけ南に広げる方法もあります。この場合は、父親室が620だけ北に広がることになります。UTと坪庭、父親室はもう少し考える必要がありそうです。いずれにしても、縦のトイレとなりますが、押入れ寸法を910とした場合は、押入れ側のほうに引戸がちゃんとおさまりますので、ぜひとも引戸にすることをお勧めします。

●1階西側部屋への引戸
 これもちょっと気になっていました。少なくとも、北側の1枚は不要だと私は思います。完全に閉じてしまうのは、将来の動線を考えると、賛成出来ません。
 万一、奥様のご両親のどちらかがご病気や介護の必要がでたとき、こちらにひとつ出入り口があったほうが、UTなどに行きやすいからです。動線図を書いてみると分かりますが、この場合は南側の1枚だけを引戸として残してやるのがベストで、おっしゃるように、食堂テーブルを中心に、第2の「たまり」が完成します。2階にもたくさんの「たまり」がありますから、「人だまりの家」という名も悪くないでしょう。
 開放感をある程度楽しみたいケースも考え、北側の1枚だけ壁にして、残りに2枚引戸(北側に完全に引きこめるタイプ)をつけ、場合によって全開放したり、1枚だけ閉じたり、完全に閉じたりと、使い分けるのがいいのではないでしょうか。

●暖房
 FF式ストーブを少し大きめの容量にし、吹抜けや階段から暖気を積極的に2階の各室に回してやる方法があります。2階の各室の戸は、原則として冬も寝るまで開け放っておくわけです。北海道でも、そのやり方で家全体の暖房をまかなっている家が多数あります。きっとうまくいきますよ。ひょっとすると、2階の暖房は不要かもしれません。(父親室だけは戸別暖房が必要)

●ロフト
 そちらではロフトの基準がそんなに甘いのですか!札幌は規制が厳しくて有名なのですが、やっぱりそうか、といった印象です。うらやましいです。「仕切りもなにもない、手すりと床だけの大広間」なかなかよさそうです。
 これに関連して、階段の明るさの件が検討事項で残っています。現状でもそう問題ないとは思いますが、屋根を原案通りの本棟造りにし、ロフトの南北両側になるべく大きな窓を作り、階段と吹抜けの上部にあたるロフト床をすっぽり開放してやれば、かなりの光が落ちると思います。ロフト床面積は多少減りますが、この手法が最も安くて安全でしょう。

●書斎
 2階書斎を奥様と共有する、という案は、実はこちらから提案しようと思っていました。予想通り、大屋さんとはかなり意見が一致するようです。ひっそりとした、素晴らしい空間になるでしょう。

●縄梯子
 2階吹抜けのブリッジの東側から下げられると思います。ただ、下は動線が激しく行き交う重要なスポットなので、普段は巻き上げておく必要があります。
 30センチおきくらいに「ダンゴ」を結んだ太いロープをこの位置から壁際に降ろし、昇り降りする案はどうでしょう?ロープはビニール製ではなく、海賊船にあるみたいな、ごつい麻ロープです。
 いっそロフトから柱ぞいに長く1階までおろしてやれば、バリエーションが一気に広がります。この場合は通行の邪魔にはならず、昇り降りの途中に書斎やキッチンのご両親と、楽しくコミュニケーションが出来ます。「階段図書室」もからめた、お遊びゾーンが出来ます。

 議論がかなり煮詰まってきましたので、いよいよ実現にむけて具体的に動き出すときですね。ほんの数時間でまとめた修正案ですが、喜んでいただいて、私もうれしいです。よき家作りが進展しますことをお祈りしています。



 札幌、TOM工房の菊地です。昨夜、寝る前にぼんやり考えていたら、UT〜父親室に関して、いい考えが浮かびましたので、添付メールにてご連絡します。分りやすいように拡大してあります。
 大きな変更点は階段下に押入れを設置したことで、高さは1200〜1600くらいですが、奥行きが1000あり、お父様の夜具一式としては充分かと思われます。他はごらんになっていただければ分かります。前回の大屋さんのメール内容を反映させたものとなっています。
 仏壇スペースの横はあいており、450分をUT側からの棚(衛生用品や掃除機等を入れる)にしてありますが、父親室からの収納にすることも可能です。UT側の階段下にも収納がとれますので、そちらとのからみになります。
 階段下はびっしり収納ということになり、全く無駄なく使えます。坪庭はカットしましたが、その分の見返りは充分あると思います。それでは。

…父親室の修正案/TOM工房…



 大屋です。毎日、次々とアイディアをいただき本当にありがとうございます。メールを拝見して考えたことを書かせていただきます。

● 父の部屋の収納
 アイデアありがとうごさいます。菊地さまの考えがよさそうです。私の希望では、父親室の階段下収納は幅1200くらいにして、UTからの収納の奥行きを大きくしたいですね。ここの収納は最後の段階まで案が変わりやすいと思いますし、また構造問題もなく、工務店と調整可能なところと考えますので、これ以上のご検討は結構です。

●暖房
 トヨトミに「クラシックシリーズ」というFF式ストーブがあります。なんと薪ストーブ風になっていて、セラミック製ウッドから炎が噴きだしてみえるそうです。少し高めですが、本物を導入できなかった代用にしようと考えています。
 難点は、MAX7000カロリーしかなくて、家全体をあっためるには、薪ストーブ並の12000くらい必要とすると、パワー不足の気もします。その場合、普通のFF式ストーブになってしまうのかな〜?(隣で妻が、「まがいものはダメなんじゃなかったの?」とぶつぶつ言ってます。でも、炎が見えるのはいいんだけどなー)

●縄梯子
 とても楽しそうですね。でも、子供が小さいうちは安全面を何か考えないといけないようです。工務店案の時は、吹き抜けの壁際にたらして、その下に不要のフトンを重ねておこうかと思っていたのですが、動線の集まるこの場所はできないですね。

●2Fの布団干し
 2F寝室前にバルコニーはつけないつもりなのですが、難点は布団干しです。東の絵本室のバルコニーまで持っていけばと考えていましたが、この話を耳にしたある女性から「あら、女性にやさしくない家ね」と言われてしまいました。
 本来の間取り相談とは逸脱しますが、干し竿用バーを受ける金具を窓の外に数本固定したりすればどうかな?と考えますが、いかがでしょうか?(ちなみに、なぜバルコニーをつけないかといえば、布団干し専用になってしまうからでしたが。(苦笑)

●本棟造りに関して
 もともと、正面左側の屋根制限から偶然本棟造りもどきになっただけで、こだわりがあったわけではないのです。ただ、こうなると欲がでるので、費用が少なくてすむ範囲でなんとか工夫できないものか?と思うようになりました。ところが本棟造りの知識がぜんぜんないので、まねることもできない状態です。

 以上、勝手なことばかりかきましたが、ご連絡します。



 札幌、TOM工房の菊地です。郵便振替の通知が届きました。振替書のメモ欄に書かれていた奥様の心暖まるコメントに、「お役にたててよかったな」と感激いたしました。

…奥様からのコメント…

 お世話になっております。夫にメールを見せてもらいながら、間取りの案に驚いています。もやもやしていたものが、少しずつすっきりしていくようです。ありがとうございました。

 さて、問題の布団干しに関する解決策を列記してみます。

●2階夫婦寝室と図書室を交換
 以前のメールでバルコニーからの雨漏り対策で出した代案を使い、図書室を南に半間広げると、東の2室と西の2室の実質的差はほとんどなくなります。いつも布団を上げ下ろしする部屋にバルコニーがついていれば、すべて解決。

●現在の夫婦寝室に簡単な布団干し装置をつける
 これはデザイン的に非常に難しいです。まず、モダンで立派な家の窓外に安っぽい物干ポールと金具がついている姿を想像してみてください。デザイン的に美しい市販の物干ポールを、私は見たことがありません。
 すると残るは特注の物干しかありません。実は私の家にも2階には布団干などの設備は一切ありません。私の家は湿度が非常に低く、そのため布団が湿気らず、干す必要がないのです。去年は確か1回しか干していません。冬はやはり1〜2回布団乾燥機で乾かす程度で済みます。
 当初は2階窓の外に、家の外壁やウッドデッキと同じ木材を使い、梁のような形式の布団干しを作る予定でしたが、やめてしまいました。もし大屋さんの家でつけるなら、この長さ3600くらいの木材を梁のように窓外に最初からつけてもらい、アクセントをかねた形にすればデザイン的に充分美しいものが出来ます。
 これらは、立面計画とも密接に関わっていますので、総合的に計画する必要があります。

●1階布団干しに関して
 市販の自立式の物干台は安っぽく、ただ家の雰囲気をこわすだけです。そこでこちらも立面計画やテラスなどの外部計画と強く関わってきますが、家の雰囲気にあったデッキ兼物干台を1階南側に早急に作ってやる必要があります。
 まだ話が出てませんが、外の洗濯干場の問題もいずれ話題になるでしょう。「普段はくつろぎのテラスだが、布団や洗濯物も干せる」そういう装置です。
 なお、これらの事に関連する記述が、私のHPに掲載されていますので、ぜひお読みになってください。
 話はまた戻りますが、台所を北ではなく、もっと暖かい場所に配置出来たらよかったですね。私の家の台所は、南西のとても暖かな場所にあり、流しの外に広い窓をつけ、水仕事をしながら庭や遠くの山々が見られるようになっています。
 形状は横長ではなく、あまり使われない4畳半の正方形にあえてしてあります。動線が短く、3人くらいが同時に立っても、少しも邪魔になりません。以前住んでいたマンションの台所が横長で前後が狭く、窓がなくて寒い。これらの経験から、妻の要望を充分聞いて計画しました。おかげで3年たったいまも、「すごく快適」と喜んでもらっています。

「女性にやさしい家」は、実は非常に奥の深いテーマで、設計者自身が実際に台所にたったり、洗濯をしたり、布団を上げ下ろししたり、掃除をしたり、子育てに関わったりしてみないと実感出来ないものだと思います。(もちろん私はすべて経験しています)いい設計者になるには、まずいい生活者になることだと、日々心がけています。
 本棟造りに関しては次回に書かせていただきます。



 大屋です。先に本棟作りにこだわってみようか?とご連絡をしましたが、その後、やはり外観は現代風にしようと考え直し、こだわるのをやめることにしました。また、内装も本棟作りにこだわるのではなく、できる範囲で一般の民家風にしようと思います。
 ですから、本棟作りについてはコメントは不要となりました。もし、調査していらっしゃいましたら、お手数をかけて申し訳ありませんでした。考えがフラフラ変わり、ご迷惑をおかけしました。

 やめた理由は、
1)外観では、三角屋根以外は、全然共通点がないこと。昨日、インターネットで長野県の民家を調べてそう感じました。
2)鋼板を使う限り、白い壁と黒い木組みの外観を作るのは難しいこと。また、白や黒で塗り分けたとしても、それこそ、まがいものっぽくなってしまうこと。
3)内装についても、黒っぽい板を多用すると白い壁との明暗のコントラストが強くなるが、妻との相談では、全体を少しでも明るくしたいと考えていること。などです。

 特に外装については、鉄板、トタンでこんなにきれいにできるんだ!という意外性を、当初どおり狙いたいと思います。なお、他の件につきましては、改めてご連絡します。
 ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。とりいそぎ、ご連絡します。



 
工務店との相談結果



 先ほどは、間に合わせのメールで失礼いたしました。菊地様にご迷惑をかけてはと、あわててメールしたしだいです。
「女性にやさしくない家」の件につきましては、余分な心配をさせてしまい申し訳ありません。布団干しの問題のほか、台所が北側にあることなど、探せばいっぱいありそうです。

 なお、今日、工務店にでむき、菊地様とのことを伝え、菊地様の案ですすめることで了解いただきました。大丈夫だとは思っておりましたが、正直ホッとしました。
(社長さんが、前より住みやすい間取りになりましたね、とおっしゃいました)

 今までの懸案事項について、決まったこと、保留になったことを書きます。

《決まったこと》

●ふとん干し
 あまりこだわらず、窓の外に花植え鉢をおくくらいのミニベランダ?を寝室、フリールームの窓につける事になりました。(あわせて、もっとフリールームの窓を大きくする)ご相談までしながら、妥協してしまい申し訳ありません。(100点満点を目指すのはちょっとしんどいです)

●1F食堂テーブル左側の6畳和室の出入
 押入れと柱の間、2730を半分を壁、半分を一枚の引き戸またはふすま(幅1365)にすることになりました。引き戸1枚分では狭いし、2枚分では落ち着かないので。

●1F父親室前のテラス
 車のノーズがぶつかるかも知れないので、455削る。難点は玄関外から父親室外へ移動しにくいことですが。

●2F寝室奥の納戸
 妻のアイロンなどの作業室を兼ねられるように、左側に窓をつける。逆に、裏の窓は半間の小さいタイプにする。

●奥の書斎4畳、秘密の部屋2畳の間の壁はなくして、横に長い部屋にする。さらに、秘密の部屋2畳と右側の納戸3畳の間に引き戸をつける。だれかが泊まっていても納戸に行き来できるように。(突然、後ろからでてきて驚かしたら楽しいでしょうね)

●屋根裏への階段は安全のため、1F〜2Fと同じ廻り階段とする。そのため、支えるのは手すではムリなので、壁とする。

●東側の絵本室前のバルコニー
 緩い傾斜の天井をつける。また、フリールームから出入りできるようにドアをつける。

●寝室奥納戸のタンス
 高さ制限があるのは寝室南西側だけなので、屋根を2段にすれば納戸の壁を高くしてタンスを置くのは可能。しかし、家具に合わせて家をつくるなんて本末転倒なのでやめて、タンスを分散して置く。

《保留となり、私が検討すべきこと》

●UTルーム6畳は広くて良い案ですが、壁がなくて家具などを置きにくい。(オムツを洗ったりする小さいシンクをつける。また小さいなテーブルくらいおきたい)そのため、キッチンから右に壁を作って、囲い込んだらどうか?

●老人室、階段下収納、トイレ、UTルームを、菊地さんの案を参考に、私や妻や義父とよく相談して間取りを決める。(最後は各家庭の状況を自分でよく考えたほうが良い、ということです)

●2F奥の書斎は、両脇を残せば吹きぬけ側の壁が不要なので、1)壁 2)壁+室内窓 3)腰壁+ガラス 4)手すりのみのどれにするか?

●FFストーブは壁付けが基本なので、希望するホールからの入り口のすぐ南の壁には設置できない可能性が高い。その場合、リビング内のテレビ、イスの配置を見直す。間取り自体は変えない。(工務店調査まち)

●玄関西側の壁
 工務店からは、菊地様案の引戸に大きなガラスをはめこむのがベターとのこと。妻と検討することになりました。

●屋根裏
 1〜2F間取りが固まるまで保留です。しかし、今の形状なら2Fの50%の大広間はOK。(畳換算で24畳)

●縄梯子、ブランコは現在検討外。(まず、間取りを固めましょう!)


 保留案件のうち、以下の二つについてのみで結構ですから、菊地様のお考えをお教えください。(本来、自分が考えるべきことなのですが)

●UTルーム6畳を、菊地様でしたら、どのように家具・収納を配置するか?今のままですと、壁を作るしかないと考えております。

●2F奥の書斎は、ブリッジより左側は開放感から腰壁+ガラス、右側は多少閉じて壁+室内窓にしようと考えています。菊地様案にも、「その結果、1階食堂〜書斎相互の声が届きやすく、家にいながら家族間のコミュニケーションが容易にとれる」の表現があり、なにか、お考えがあったように思うのですが。

 以上、勝手なことばかりお願いし申し訳ありません。



 TOM工房の菊地です。99%修正案の方向で話が進みそうで、関わった者として、ひとまずほっとしています。原案よりも床面積は多少増えていますが、各部屋の形状をすべて矩形にし、柱の通りもよくしてありますので、工務店さんにとっても作りやすく、結果的にローコストが計れるはずです。

 お尋ねのUTの件ですが、当初から洗面台以外のシンクはないと認識しておりましたので、ああいった広い矩形のUTになっています。将来的な介護の可能性まで考えた場合、あのままの広いUTがおすすめですが、あえて壁を設けるなら、まずUTに何を置きたいのかはっきりさせるべきです。
 予備シンクをぜひともつけたいなら、幅900くらいの壁がどうしても必要ですし、下着などをいれる整理タンスを置きたいなら、壁際にそれなりの場所と作業スペースが必要です。FF式のボイラを置くなら、外壁に幅900くらいのスペースが必要になります。メールにあった「テーブル」の用途がいまひとつ分かりませんが、どうしても必要なら、そのおおよその大きさと置き場所を決めてください。
 修正案では洗濯機を完全に扉で隠せるような構造になっていますが、これも必須条件にするかしないかで、レイアウトがかなり変わってきます。
 これらの要不要は、将来的な介護の可能性と天秤にかけ、もしそうなったときにはどうするのかまでよく考えてから決定してください。最終的には設計者や工務店ではなく、住み手の問題になります。

 私の家の例をお話ししますと、UTの構成は大きさが4畳半になっていることと、入口がひとつしかないこと以外は、今回の大屋さんの修正案とほぼ同じレイアウトです。

●洗面台は幅750、シンク容量21Lの大型多機能型とし、(TOTO製)洗濯の下洗いやシャンプーなどもすべてここで行う。バケツが楽に入るので重宝。洗い専用シンクは、予算とスペースの関係でボツ。
●家族分の下着や靴下が入る600×600、高さ900の引き出しを壁際に置く。
(上にはタオル類一式の入るバスケットを置く)
●FF式のボイラを2台、外壁側に設置。上下にうまく配置し、幅は900で収める。
●洗剤やトイレットペーパーなどを収納する900×300の棚を壁際に置く。収納は使うすぐそばに設けるのがすべての基本。この棚の上に脱衣かごを置く。
●640×640の洗濯機用パンを壁際に設置。カバーや扉は部屋が狭くなるので、一切なし。
●640×200の洗濯物入れを窓下(洗濯機そば)に置く。
●600×250の床下温風ダクト口が壁際にある。(物は一切置けない)
●長さ2600の洗濯ポールを2本設置。(1本は来客時脱衣カーテン吊を兼ねる)
 このほか、幅700のトイレと浴室のドア、幅900の出入り口引戸があります。
(詳細はHP内図面参照)

 これらの配置は、すべて設計段階で検討に検討を重ね、最終決定したもので、実際に住んでからの修正は一切なく、すべて満足のいくものでした。来客の中でUTの広さに感嘆し、うらやましがる方はたくさんいます。
「ここに一人眠れるわね!」と言った人も複数しました。(実際に寝た人はいませんが…)

 結論として、まずこれらのピックアップ作業を奥様などとよく相談なさって、最終的に決めてください。50代中年夫婦と、大家族とでは、要不要の基準が当然違うはずです。
 もし私なら、当然自宅のようにレイアウトします。壁が足りない場合、南北方向のちょうど半分の位置に、台所側から袖壁をつければいいのではないでしょうか。長さは910まででしょう。高さは、

1)天井まで
2)腰壁(洗濯機が隠れて水道管を配管出来る1300くらい)
3)ドアの高さまでにし、上は開放→鴨居部分を延長させ、脱衣用のカーテンレールをつける
4)一部に型板ガラスなどをはめる(暗くならない)

 などの方法があります。それぞれに特徴がありますから、あとは好みで最終決定ということになりそうです。

 次に2階書斎の壁の件ですが、確か過去の打合せ記録の中で、「書斎にも戸が欲しい」「隠れ部屋がお気に入り」との記述があり、それらを反映させてああいった形しました。あのままでも、入口が引戸なので、開けておけば階下との意思疎通は充分はかれます。
 その後、「仕切りをとって妻との共有書斎に」「いずれは子供達の勉強部屋に」との用途変更をうかがっています。これらの要件のどの項目を優先させるか。あるいはボツにするのかで、やり方は決まってくると思います。
 もし私が設計を全面的にまかされたなら、やはり高さ1000くらいの腰壁でしょう。入口の戸はなくします。家は風通しがいいことが基本ですし、風通しのいい家は、結局人間関係も風通しがよくなるはずです。
 ただ、ブリッジから東にロフトへの階段を作る場合、書斎の壁の一部にそれがかかってくることをお忘れなく。ある位置から奥は完全な壁にしなくてはならないはずです。

 これに関連して、書斎の東奥に図書室納戸への通路を作る件ですが、右の書斎の南側が事実上が通路となってしまい、「こもって仕事(勉強)をする」という大事な要素が、将来的にもほぼ損なわれてしまうことをご承知ください。納戸側もふたつ入口があることで、棚やタンスの置き場所に、かなりの制限が出てくるはずです。
 経験上、三方が壁に囲まれた机は、作業に集中出来てたいそう心地よいものです。こちらも、来客時に納戸に物を取に行く頻度と、裏道から抜けられる意外性との天秤になります。

 ロフトへの階段ですが、回り階段に比べて直行階段が安全面で劣るとは思いませんが、回り階段にしたほうが、ロフトの中央によりスムーズに出られる、というのが本当の理由でしょう。ただ、そのために階段中央に壁をロフトまで作ってしまうと、階段〜吹抜け回りの開放感が、かなり損なわれてしまう不安があります。(踏板と側板だけの直行階段なら、開放感は抜群)
 こちらもロフトの重要度との天秤でしょうか。

 FF式ストーブの配置ですが、外壁に対してぴったり平行ではなく、直角に配置するのが北海道では普通です。延長用の専用パーツを使えば、1メートルくらいは楽に延ばせます。ご参考までに。
 これらの検討事項は家が完成する直前まで延々続くと思います。(実際に壁が出来てみて当初とイメージが変わり、変えたくなることなどが多々ある)大幅な追加工事が出るような時期での変更はくれぐれもなさいませんよう、老婆心ながらご忠告いたします。



 
早く終わって欲しい…



 ご連絡が遅くなり、申し訳ありません。仕事が忙しくなったのと、懸案事項をどうするか決まらず、ご連絡が遅くなりました。(と言っても、やっぱり決まってないのですが)

●UTルームの件
 妻からは、予備シンクも欲しいし、かつ見えないないよう隠したい、衣装ダンスも欲しいとのことで、暗礁に乗り上げています。壁を作ってもまだ4畳半くらいあるので、最後には壁または袖壁を作ることになりそうです。UT室6畳という菊地様のアイディアを生かせなくなりそうです。
 ただ、カーテンで隠すという案は、採用させていただこうと考えています。平行に100ミリ間隔で2本カーテンをつけ、だれかがうっかり1枚めくっても、もう一枚あるから安心(特に女性にとっては)というようにしたいです。

●書斎の件
 デメリットをよく読ませていただきました。「うーん、どうしよう」と考えたのですが、やっぱり開こうと思います。もし3人目が生まれたら、絵本室を子供部屋にする必要があり、後ろから回れたほう良いので。(友人が泊まっているとき、納戸から出てきて驚かすことへのこだわりもあります。(笑)

●ロフトへの階段
 遊びにきたよその子供が安全に上れる、両手に荷物を持って安全に上下できる、等を考えて、回り階段を希望したものです。しかし、今は間取りや軸組みが決まってからどのように屋根裏を設置し、階段をつけるか決めようとの考えに変わりました。


 なお、この月曜日に再び工務店と相談し、リビングを次のようにすることに決まりました。

●リビングの食事テーブルや階段が暗いので、天井に明かり取り窓(トップライト)をつける。
(下家のキッチンにつけないのは、1間半はないと雨じまいが多少不安、とのことでした)
●玄関左側は、板ガラスかガラスブロックにして、リビングが明るくなるようにする。

 また、「吹き抜けからほこりが食事テーブルに落ちたりして気になりませんか?」との疑問が出て、良い案がないので「2階床をこまめに掃除しましょう(奥様がんばって)」ということになりました。
 さらに、昨日工務店からメールが届き、リビングが幅2間(3640)になってしまったことに関して、「左の洋室を6畳にして、リビングの東西幅を増やしたらどうか?」との提案がありました。「田の字」が崩れるのは残念ですが、そのほうがリビングが広くなって良いように思いますので、変更しようと考えています。

 次の工務店との打ち合わせでは、最終的な間取りが固まりそうですので(であって欲しい(苦笑)、この苦しみも早く終わって欲しいです。
 そして、菊地様にご迷惑をかける日々も早く終わるようにしたいです。いろいろご相談にのっていただき、 ありがとうございました。



 札幌の菊地です。まだまだ間取りが流動的のようですが、細部の修正を続けるうち、原案にあった良い部分がそこなわれてしまい、暗礁に乗り上げてしまうのは家作りではよくあることですから、充分ご注意になってください。
「これをいじることで、何が失われるか?」の見極めが大切です。

・居間を西に広げる件は、西の部屋を8畳から6畳に減らす事に妥協出来るのなら、余分な柱も増えず、南側が広げることですし、何も問題はありません。

・居間上部にトップライトをつける件は、当初から私がお勧めしていた案ですが、雨もりやロフト床の問題は解決したのでしょうか?

・玄関左側に型板ガラスかガラスブロックをつけても、居間の明るさには、ほとんど影響しない気がしますが…。壁でなくなることで、置ける物が制限されるデメリットのほうをよくご検討ください。

・吹き抜けからのほこりの件は、吹抜け周囲の手すりやブリッジの部分を床とぞろめではなく、10センチほど立ち上げてやれば解決します。(自宅で立証ずみ)

・ロフトへの階段を保留にしたのは、賢明な選択だと思います。

・UTの件ですが、ご希望をすべてかなえつつ、なおかつある程度の広さをキープし、しかも明るさをそこなわずに、入浴時に完全に脱衣室を分離出来るプランを添付しておきます。このあたりが妥協案ではないでしょうか。
 3枚引戸には型板ガラスをはめこみます。上部は開放します。カギつきにも出来ます。いざというときはすべて引込み、開放空間になります。2枚カーテンより、はるかにおしゃれで合理的でしょう。
 北西にあるL字形の物は、特注の多機能収納家具です。引出しや棚、天板をつけ、タオルや下着、その他雑貨を収納します。天板の高さを700にしてやれば、カウンター式のテーブルにもなります。脱衣カゴは、洗いシンク下か、窓下に収まるでしょう。洗濯ポール(または物干設備)は引戸の奥につけ、ガラス戸を閉めれば見えなくなるようにします。

 問題は引戸が居間側の台所方向になってしまうことで、これは工事が少しやっかいかもしれません。工務店さんとよく相談なさってください。洗濯機収納は内のり700くらいの寸法ですが、ぴったり収まるはず。UTへの出入口寸法は1000です。(芯寸法)
 これらの設備には多少お金はかかりますが、その価値は充分あります。

 これまで問題にはなっていませんが、台所の窓が少し小さいかもしれません。トップライトが実現すれば、かなり解決するでしょうが。
 それと、先日ふと思ったのですが、台所に小さなFFストーブがついていたら、暖かでいいでしょうね。奥様もきっとお喜びでしょう。吹抜けのすぐそばなので2階まで暖気が回りやすいし、ストーブを2台にすることで、家全体の暖房容量不足も解決出来ます。幅30センチくらいの安い製品がありますから、もしその気があるなら、検討なさってください。

…UTの修正案/TOM工房…



 札幌の菊地です。たびたびすみません。

 居間の西壁について一晩考えてみましたが、どうにも中途半端な気がしてきました。「居間をなるべく広く」という工務店さんの配慮はよく分かりますが、それによって居間の平面形状が中途半端なL字形になってしまうのが、すっきりしません。(図面に線をいれて、空間を想像してみてください)若夫婦の部屋より狭い6畳という広さも、奥様のご両親の将来の部屋として半端な気がします。
 南西の部屋の位置付けを、もう一度よく検討なさってはどうでしょう。

「将来の奥様のご両親の同居スペース」という大義名分が当初からありましたが、その後「同居は早くても10年先」と方針が変わったとうかがっております。すると南西の部屋の部屋の位置付けは当面どなるでしょう?
 ピアノの置き場所ともなっている現状から考え、おそらく常時開放して居間と共有空間として使わることが多くなるはずです。もしも奥様のご両親がお泊りになる場合、北西の6畳を寝室として使われるでしょう。南西の部屋を完全に閉ざして使用するケースが、今後10年間でどれくらいあるでしょうか。
 すでにお察しかもしれませんが、この際、居間と南西の仕切りをすべて取り払い、合計23畳(台所まで含めると、29畳)の大空間としてしばらく(子育てが終わるまで)居間を使われてはいかがでしょう。居間の南部分が巨大な「たまり」となり、このうえなく豊かなスペースが生まれます。個人的には横にも縦にも余分な仕切りのない、このような大空間がとても好きです。大屋さんもきっとそうでしょう。
 将来、どうしても南西の部屋を独立させたい時期がきたら、そのときに壁や戸はつければいいことですし、その工事はとても簡単です。構造的には、工務店案の「910だけ壁を西に」の場合とほぼ同じで、問題ありません。
(厳密には南北方向の壁がやや少なくなるが、玄関西の壁を工夫することで解決可能)
 奥様のご両親も、娘さんがのびのびとした空間でゆったりとした子育てが出来ることを、きっとお喜びになるでしょう。

 しかし、大家族の真ん中に位置する大屋さんのお立場は、実に大変そうですね。心中お察しいたします。
「大家族の中心的立場として、妻や子供たち、そして連れ合いをなくされた病弱なお父様までまんべんなく気配りしたい夫」
「妻として母として娘として、そして嫁として、のびのび子育てをしながら、自分の親戚や友人たちとの交際も大切にしたい妻」

 それぞれの立場のお二人の家作りに対する微妙な温度差を調整する。今回の計画はそこが重要なポイントで、「仲裁役」としてくしくも私が登場した意味も、実はそこにあったと思っています。
 幸い、私は生活者としても多くの経験があり、利害関係なしに両方のお気持ちがよく分かりますので、仲裁役としてはうってつけです。今後も小さな「せめぎあい」は続くでしょうが、お困りのときにはぜひ声をかけてください。



 大屋です。細かい部屋の仕様を考えるのが妻と意見調整に手間取り、ご連絡が遅くなりました。

●居間を西に広げる件
 メールでのご提案どおり、西側8畳の洋室はなくして、リビングとつなぎの部屋にすることにしました。この考えを思いつかなかったのは、今思うと、私に義父母への遠慮があったのだろうと思います。

●居間にトップライトをつける件
 屋根から1Fまで吹き抜けとします。そのため、屋根裏の一面の大広間案はなくなっています。雨漏りについは、1間半より長い屋根なら、大丈夫とのことです。工務店では昨年も2件、天窓をつけているそうです。天窓の開け閉めが容易なように、上っていけるような工夫をお願いするつもりです。

●玄関左側にスリ板ガラスかガラスブロックをつける件
 おっしゃる通りですね、もともと、リビングを横に伸ばすことを考える前でしたので、もう不要かもしれません。また、そうする場合でも、高さを腰壁くらいの高さに抑えようと思います。

●吹き抜けからのほこりの件
 ありがとうございました。段差を2〜3cmしか考えておりませんでした。ほんと、単純なことですね。

●UTルームの件
 ご提案を一部変更して、取り入れさせていただきます。菊地様案に対し、ミニシンクを冷蔵庫と接する壁側として、洗面台と同じ方向を向いて設置することです。
 また、洗濯機と同じように収納で隠します。妻が汚れものを洗うところだから隠したいとのことです。壁は家の壁とは違い、作りつけのルーバー調の木の板壁にしたいと思います。そのため、衣装ダンスは窓の横の外壁側におくことになります。

 今、検討中なのは、

●東側の実父の部屋を7.5畳とするか、6畳とするか?
 工務店からは、正面を引っ込めて6畳にしたほうが、費用的にもバルコニーの収まりも1Fデッキとの行き来もよくなるとの提案がありました。(現在、車の前との差がないので、父親室の前を半間に削る方向にすすんでいます)
 私は、「将来、ベッドを入れるかもしれないので、この部屋で十分な広さが欲しい」と反対し、菊地様案を希望していますが、工務店の考えも多少理解できるので…。

●2F東側の絵本室を、部屋というより窓をたくさんにしてサンルームのようにできないか、また、バルコニーと一体に考えて何かできないか?と考るのですが良い案がうかびません。
 先週読んだ本に、バルコニーにつながる2Fサンルームの家があって、ワーいいなと思ったのですが、ここまでくると、素人が考えつくものではないのでしょう。
 現実には筋交いもいるし、夏は暑くてたまらないのでムリかという気もします。また、親戚宿泊用の部屋をそこまでしてしまってもよいのか?という心配もあるので、窓を大きくしましょうで終わってしまうような。(冬の寒い時だから考えることで、夏なら考えもしなかったと思います)

●絵本室から階段室の間に窓を設けて明るくする。遊び心をいれるなら、階段のおどり場の南側をフラットにしてはしごをとりつけ、絵本室と行ききできるようにする。

 また、台所の窓や暖房の件のご指摘もありがとうございました。特に窓については、間取りばかり考えているため、タイプ、大きさなど検討不足が多いようです。
 細かく考えだすと、ほんとにたくさん見つかります。検討不足のご指摘、まさにその通りです。ほんとにありがとうございます。風邪気味なので、今日はここで失礼させていただきます。

PS:
 妻が薪ストーブが欲しいと、また言いだして困りました。屋根裏に小さいものでかまわないとか、2階なら少し安くならないか?とか…。
 屋根裏につけたら、3階建てにして床も耐火にせねばならず、1階に作るよりお金がかかる。2階につけても、煙突代が10万くらいしか浮かんとかといって、諦めてもらいました。
 菊地さまが作ったバーベキュー炉つき、多目的用デッキをつくることで簡便してもらいました。妻のおかげで、家の構造や費用についてよくわからない素人のお客と折衝しなければならない、住宅関係者の皆様の苦労が少しわかりました。(苦笑)



 札幌の菊地です。多忙のため、返信が滞り気味ですが、間取りの大勢は決していると思いますので、今後はこれくらいのペースでよろしいかと思います。

●天窓の件
 居間上部を屋根まで吹抜けにし、天窓をつけるのは大賛成です。光豊かな、開放空間が生まれることでしょう。
 ただ、天窓はクレームの出やすい場所ですので、特に使うメーカーなどに慎重を期してください。友人などに確かめたところ、輸入品のB社製品がおすすめとのことです。このメーカーは電動式の開閉装置をオプションでつけられます。使った人の話ですと、たいそう便利のようですので、ご検討ください。

●父親室の件
「ぜひ広げたい」という大屋さんの意向であの代案を出したのですが、工務店がそれを聞き入れないとは、どういったことでしょう?
 費用とバルコニーの収まりの件は分かりますが、もしも6畳に戻した場合、玄関を入って右の出入り口が910になってしまいます。せっかくUT側の出入り口を1000まで広げたのですから、当然こちらも1000にするべきでしょう。(階段下の押入れ側へ2枚引戸にする代案もあるが、収まりが非常に難しく、使いづらい)
 気になるのは、工務店側が費用のことを持ち出していることです。すでに間取りの概要は決まっているので、大屋さんのご予算に対して、どれくらいの実施予算でいけるのか、工務店側は概算を弾き出しているはず。最近の細かな手直しは、おおむねお金のかかる方向へいってますから、現計画でほぼ実施予算の上限に達している可能性があります。

 そこで妥協案として2階バルコニーの広さとも関連しますが、

1)父親室を455だけ北に縮める(父親室が約7畳確保)
2)2階絵本室を455だけ南に伸ばす(絵本室が約7畳に増える)
3)これにより、上下の壁位置がそろい、収まりもよくなって工費も節減出来る
4)父親室の引戸は1000を確保出来る

 外部父親室前と玄関の行き来の必要性がいまひとつピンときませんが、もし必須条件なら、構造的な弱点になることを犠牲にして、玄関右の袖壁をくり抜くしかないでしょう。

●絵本室の件
 この部屋をどう使いたいのか、いまひとつイメージが湧きません。現状ですと、山小屋のロッジのような、無性格な部屋になりそうです。どう使いたいのか、もう一度よく検討なさってはいかがですか。
 仮にサンルームのようにするとして、対応する方法はいくらでもあります。絵本室からバルコニーへと、視覚的、空間的に自然につながるような工夫をすればいいのです。私の家の居間から多機能デッキへのつながりが、その空間構成になっています。ホームページに具体的な方法が書いてあります。
 ただ、南東角の壁をガラス窓にし、夏の日光を遮断し、冬の陽光は取り入れるようにしなくてはなりません。構造的な補強方法や、バルコニーに透明屋根をつけたり、可動式のひさしをつける検討などが必要です。技術的には大変難しく、予算との両面で実現は難しい気がします。

●階段室と絵本室の通路
 これは縄梯子の代案として、私からも提案しようと思っていました。2階から階段を降りるときの正面にあたる場所に、600×1200くらいの地窓のようなものをつけます。引戸の型板ガラスにし、来客の宿泊時だけ閉じて、普段は開放しておきます。絵本室側からの子供の転落がないよう、下端は2階床から300くらいあげます。
 階段室の南東角の部分に、幅200くらいの木製のU字形ステップを南と東の壁に交互につけます。(壁の補強をお忘れなく)間隔は300くらいで、4〜5段あればいいはず。回り階段の角部分ならば、多少のでっぱりがあって も、あまり邪魔にはなりません。
 ここを昇ると直接絵本室に行けるしかけです。北側書斎裏から納戸に抜ける抜け道より、はるかに刺激的で面白い空間になります。階段室がより明るくなり、夜は絵本室からの光であんどんのような効果があり、階段を降りるたびに新鮮な気持ちになれるでしょう。
 梯子ではなく、あえて小さなステップにするのは、なるべく目立たなくする配慮のほか、少し昇りづらくすることで、小さな子の危険を回避することにあります。「このステップを無事に昇れたら、勇者として認める」という儀式にも使えそうです。

●ストーブの件
 必要性がいまひとつ分かりませんが、設置してもほとんどインテリアのような使われ方になってしまう予感がします。居間を大きく広げた関係で、設置する場所は大幅に増えましたが、前述の実施予算の面で、実現は難しいでしょう。

 新しい問題提起をひとつしますが、外物置についてどうお考えですか?内部の収納空間は充分だと思いますが、どうしても内部にはしまえない物、外に置いておいたほうが便利な物を将来的な可能性まで含めてピックアップし、それらを具体的にどうするのか、決めておかれたほうがいいと思います。
 本体が出来てからあわてて間に合わせのプレハブ外物置を設置する例が多々ありますが、せっかくの新居の外観をだいなしにしている例がほとんどで、お勧め出来ません。



 
間取り最終確定へ



 ご返事がおそくなりました。金曜日夜に工務店に伺い相談してきまして、間取りがほぼ決まりました。菊地様のご提案を大部分採用させてていただきました。本当ににありがとうございました。明日の日曜日にでも工務店の手書きの絵をFAXさせていただきます。

 ただ、UTルームにつきましては、ミニシンクを収納に隠したいとの私たちの要望から、菊地様の妥協案を参考にして工務店と決めさせていただきました。そのため、父親室からトイレへの通路が開き戸になってしまいました。トイレに行く時は外へ開くのでまあいいかと妥協しました。詳細は明日のFAXをご参照ください。

 なお、先回のメールでご提案いただきました件に関してですが、

●父親室の件
 菊地様案の父親室を455だけ北に縮めて、2階と壁をそろえる案を使わせていただきます。また、玄関右の袖壁をくり抜いて、と言うより柱のみにして行き来できるようにします。
 デッキと玄関の行き来が必要なのは、目の前に車が置いてあるので、多少足が悪い父にはデッキから庭への昇降が難しく、玄関側から降りられたほうが良いという考えからです。

●絵本室の件
 考え直して普通の部屋にします。その代わり、絵本を読んだりするのにふさわしいように内装材の柄等をチョッピリこだわることにしました。ご指摘、ありがとうございました。

●階段室と絵本室の通路
 菊地様の、窓は引戸の板ガラス案を使わせていただきます。しかし、木製のU字形ステップの良い材料が思い浮かばず、昇降するなら南壁と東壁をつなぐ木製の細い棒か板を、直角二等辺三角形の長辺のように入れてはどうかとの話がでました。
 菊地様のほうで良い材料をご存知ではないだろうか、聞いてもらえませんか?とのことです。私も含め、この取り付けた感じが今ひとつイメージしづらいので、何かわかりやすい絵等はありませんでしょうか?
「このステップを無事に昇れたら、勇者として認める」という儀式の件、元保母だった妻にたいへん好評です。なんとかして菊地様のアイディア通りにしたいと考えます。申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

●外物置の件
 広さ一坪、または横幅がもう少し広いものを、家事室の左手、西6畳和室からみて後ろやや左に設置したいと考えています。できれば木製の物置を置きたいと考えますが、そんな物置を安く作ってくれるところがまだ、見つかっておりません。インターネットで今後探す予定です。

 なお、今ごろになって気づいた工務店の特徴なのですが、今時珍しい、竹古舞を用いた土壁作りの工務店でした。(もちろん、お客が希望すれば、ボードや断熱材を使った作り方もするそうです)ですから、斬新なデザインやアイディアで勝負ではなく、昔風の高級感ある作り方で勝負するお店だったわけです。今まで、なんとなく歯がゆい感じがしていた理由がわかったような気がしました。
 お酒が入ってますので、今日はここで失礼させていただきます。インフルエンザがはやっていますので、お体を大切になさってください。



 札幌の菊地です。どうやら大きな山を越えられたご様子で、私のほうもほっとしました。大枠で私の提案を受け入れていただき、大変うれしく思っています。

●父親室〜UT扉の件
 できれば引戸がよかったのですが…。図面を拝見してから再度コメントさせてください。

●勇者のステップの件
 私が考えていたのは、バリアフリー用の木製手すりです。なにせバリアフリー用ですから、つかみやすくて丈夫です。ずばり200〜250の幅のサイズがあれば一番いいのですが、もしなければ、長い物をカットし、専用金具と組み合わせれば最適のものができると思います。このあたりは工務店さんのほうが詳しいでしょう。
 参考パースを描きましたので、添付します。2階ブリッジ上部から見下ろした感じです。階段手すりの一部は描いてませんが、おおよその様子はお分かりになるでしょう。
 内装などのバランスにとりますが、安く仕上げるなら、普通の角材の角を丸くして組み合わせ、U字形にして、長いビスなどで壁にがっちり止めるとよいでしょう。
 工務店案の45度の棒もなかなかいいアイデアだと思います。取付け方が難しくなりそうですが、もし45度の専用金具などがあれば、同じような形でつけられそうです。もちろん、普通の角材を45度にして、長いビスで止めてもかまいません。大屋さんの好みと、予算、技術などの面から最終決定してください。

「勇者のステップ」は、我ながらいい命名だと思います。私は53歳ですが、コンピュータゲームなどもいまだにやっていて、いわゆる「遊び心」はまだ十二分に持っています。
「勇者として認める儀式」は、以前に私が作った子供用3段ベットの一番上に昇れるかどうか?を子供たちにけしかけるときに使った言葉です。
 垂直のハシゴだったので、結構難しく、長男→長女→二男の順にクリアしましたが、それぞれかなりの月日を要しました。マンションに住んでいた頃の話ですが、家にこういうしかけがあると、生活や子育てが本当に楽しいものです。

●外物置の件
 その位置で1坪だとすると、家事室からの外回り動線が難しくなりそうですね。西和室の北側窓の通風もどうなりますか…。大きな物がないのなら、多機能デッキの下部に作る手段もありますよ。
 独立したものは、北欧などの輸入品のキッドで安いものがホームセンターなどでも売られています。こちらの場合は、バルコニーの木製手すりなどのデザインと合ったものを選択すれば、建物全体の雰囲気をこわさずにすみます。塗料なども当然あわせるべきです。

 工務店は地元では長い歴史があり、ハード面では信頼出来そうですが、プランニングに代表されるソフト面では、やや物足りなさがあったようです。ふとした縁で私と大屋さんがこうしてメールをやり取りしているもうひとつの意味が、おそらくそこにあったのでしょう。
 それではFAXをお待ちしています。

…勇者のステップ説明パース/TOM工房…



 札幌の菊地です。FAX届きました。とても住みやすそうな間取りにまとまっていると思います。私のところに最初に送られてきた原案と比べてみると、その差がより鮮明になります。

…TOM工房の修正案を元に、工務店がまとめた間取り図最終案…
(先方のスケッチをもとにTOM工房が作図)

 気がついた点を箇条書きにします。

●1階西南の部屋
 居間と一体にしながらも、畳を敷くことで心理的に区切ったようですね。こたつを置いて雑談したり、寝転んで居眠りしたりなど、居間の使い方のバリエーションが広がりそうです。

●父親室北側出入り口
 開き戸になったうえ、幅が910に戻っていますが、それでよかったのでしょうか?

●居間の壁
 広くなったのはいいのですが、その反動で壁が極端に少なくなっています。壁際に置きたい、あるいは置かざるをえない家具類をもう一度チェックなさってください。

●階段
 降り口が当初の私の案より、227だけ西に移動していますね。そのことで回り部分が一部正方形の形状となり、安全の面では大変いいのですが、弊害として、階段の裏側が居間の天井に一部食い込んできますが、ご承知でしょうか?
 居間の天井に階段の一部が斜めに食い込んでくるのは、実はあまりみっともいいものではありません。狭い私の家でも6段分が居間に食い込んでいますが、圧迫感がないよう、けこみ板(垂直部分)をすべてなくし、居間から階段の昇り降りが見えるようにあえてしてあります。夜は居間からの光がこの隙間から抜けて階段を明るく照らし、足元が明るくて、非常に幻想的な雰囲気を作ります。ご参考までに。

●勇者のステップからの開口部
 階段半分の幅かと思ってましたら、全幅ですね。階段上部天窓の採用で、ここからの光はそれほど期待しなくていいはずですが、最後は好みの問題でしょうか。
(ちなみに、窓やドアは多ければ多いほど、大きければ大きいほど構造的に弱くなり、コスト高になります)

●2階トイレの幅
 幅が原案より少ない910になっているのは、工務店の要望でしょうか。実は階段やトイレの寸法で最近多用されている1000という寸法は、とても不経済な寸法なのです。木材の規格は輸入ものも含めて、大半が910の倍数に近いものになっているからです。
 もし1000の寸法が指定されていると、使う材料は1820か2730を切って使うしかありません。端数部分は捨てることになり、見積上は大変な無駄が生じます。ローコスト住宅ではこれが馬鹿になりません。
 父親室北側出入り口寸法が、いつのまにか910に戻ってしまった訳も、おそらくこのあたりでしょう。(910を1000にするだけで、10万近くは違ってくるはず)
 私自身は、この不経済な1000の寸法があまり好きではありません。自宅の階段もトイレも幅はすべて910ですが、不便を感じたことはありません。「みんながやってるからウチも」ではなく、それが自分たちの生活に必要なのか?を全ての基準にすべきだと考えています。

●UTの収まり
 内部はなんとかすべての希望要件が満たされたようですが、弊害として、居間からUTへの出入りが窮屈になってしまいました。車椅子での転回はもちろん、出入り自体がかなり難しいでしょう。父親室北側出入り口も条件が悪くなっているし、その辺がとても気がかりです。皆様が納得づくなら、意義は唱えませんが…。



 大屋です。だいたい終わったと1人喜んでいたのですが、なかなかうまくいかないものですね。ご指摘の件、ウーンと考えてしまった次第です。

●父親室北側出入り口幅
 これはその場で手書きしたので、前のままになっています。実際の図面を書く時は1000に広くすることになっています。注釈をつけるのを忘れてしまいました。いつもながら、説明が足りず申し訳ありません。

●居間の壁
 良く考えると、壁をとりすぎたかな?と思います。リビング左側の真ん中の通し柱の南北に壁をいれようかと考えています。
1案:南側は窓から2730はあけて910壁、そして通し柱、その北側に910壁、910引戸、1820壁
2案:南側は通し柱までは1案と同じ、そして通し柱より奥は、現状と同じ

●階段の移動による居間天井くいこみ
 気がついていませんでした。工務店と相談します。

●勇者のステップからの開口部幅
 私は逆に全幅と思っていました。窓は大きくという気持ちが強いのでしょう。ただ、ムダな広さでもあり、考えてみます。

●2階トイレ幅
 2階のトイレはあまり体の悪いものは使わないだろう、という気持ちがありました。まあ、このままでよいと思います。

●居間からUTへの通路
 ウーン、これも気がつきませんでした。ただ、絵には書かれていませんが、キッチンは2700ではなく2550を使う予定ですし、ミニシンクや洗濯機の奥行きも910はないので、少し広い通路が確保できるでしょうから…と、思った矢先、引戸では困るか?それに、車イスではやはり入りにくいかな?と気がついた次第です。これも工務店と相談してみます。

 もうちょっとだけ、がんばって考えてみます。



 札幌の菊地です。頂上はもう見えているのに、最後の一登りがどうにも辛い。山登りにたとえると、まさにそんな心境でしょうか。ここが最後のふんばりどきです。

●居間の壁
 置く物がなければ、現状でもいいと思いますよ。ただ、玄関と居間の境にある窓はもういらないと思いますが。玄関右の袖壁を柱だけにしてしまい、強度面で不利になっていますから、ここを壁にしてやれば、かなり違います。
 中央に壁を追加するなら、2案がいいと思います。西和室の壁と引戸はいじらないほうがいいでしょう。いずれにしても、南側に壁は作らない方針ですね。

●階段の居間天井へのでっぱり
 工務店は知っているはずですよ。伝えるのを忘れたと善意に解釈しましょう。実はこうしたほうが構造材が少なくて済み、作りやすいのです。住み手が納得すればこれでもいいのですが、奥様がどう思われるでしょう。
 我が家のように、けこみ板を抜いてしまうのもなかなかいいアイデアと思いますが。

●UTの収まり
 現状は洗濯作業がやりやすく、作業が終われば扉で隠せるしで、まさに「女性に優しい家」となっています。そのあおりで、高齢者が辛くなっているわけです。この両者を同時に満足させるレイアウトは、非常に難しいと思われます。
 以前に私が送った妥協案を奥様が受け入れてくだされば解決ですが、「洗濯流しと洗濯機を同じ箱に入れて扉で隠す」というのが絶対条件だとすれば、この案はボツです。
 そこでみんなが少しだけ譲歩し、みんなが90%幸せになれる妥協案を添付します。

 この案のポイントは、洗濯と洗面台の作業スペースを背中あわせで共有したことです。HPにも同様のテクニックが書いてありますが、狭さを補なう場合によく使う手です。両者の作業が同時進行する可能性は極めて低いので、たぶん問題ないはず。
 これによって居間からUTへの通路が広くなり、車椅子がスムーズに通行可能となります。父親室からUTへも引戸で対応出来ます。UTが多少暗くなりますが、ガラス引戸と上部開放欄間からの光で、そう問題にはならないでしょう。
 3枚引戸が1350の1枚引戸となり、通常は西側に開けておいて、洗濯機コーナーの目隠しにします。入浴時と洗濯機使用時のみ、東側に閉じます。扉類が大幅に減って、かなりのコストダウンになります。もしこの使い方が嫌なら、それぞれにクローゼットに使うような2枚折戸をつけます。(開けるときはそれぞれ西側の壁にたたむ)

 洗濯機コーナーが浴室に近いので、残り湯などが使いやすくなります。UTの裏側に位置したので、洗濯機の音も静かでしょう。大きさをぎりぎりにしたのは、浴室前とトイレ前の作業スペースをなるべく広くするためです。介護等の可能性を考えると、これが譲歩可能な限界だと思います。
 収納は階段下収納と洗濯機コーナーの上部400くらいを棚にすることで解決します。我が家の階段下にも全く同じ大きさの収納スペースがありますが、掃除機、ミシン、裁縫箱、古新聞1ケ月分、アルバム30册、これら全部が入って、まだ余裕があります。充分足りるはずです。

 以上の案、みなさまでよく話合ってみてください。

…UTの第2修正案/TOM工房…



 大屋です。昨日、工務店に出向いて相談してきました。今度こそ、仕様が固まった?と思いたいです。

●居間の壁
 お勧めどおり、2案となりました。

●UTの収まり
 さんざん考えた末、当初の菊地さまの広いUT案を活かしたく、添付図のようになりました。父の部屋からの出口も引き戸に出来ました。洗濯機やミニシンクは、できれば木の板でかくす予定です。2度も案をだしていただき、本当にありがとうございました。

●2階寝室とフリースペースの壁
 南側から910だけ壁を残し、のこり2730はふすまか障子にして、フリースペースとつなげることにしました。そうすれば、初夏から秋にかけては、広い部屋で家族で眠れます。

●ダイニングのテーブル
 菊地様の自宅にあるような、台形型のテーブルを大工仕事で作ってもらう予定です。

 次の工務店との相談でも間取りが変わりませんでしたら、この作業も完成となるのですが…。また改めてご連絡します。
 次は内外装をどうするか、頭を痛めなくてはいけなくなりそうです。純和風の内装にこだわる工務店なので、私のローコスト仕様の説得は骨が折れそうです。

…UTの最終決定案…



 札幌の菊地です。
 間取りに関する諸問題がほぼ解決の見通しで、ようやく先が見えたようです。施工に関する大きな問題はあまりないはずで、間取り計画はほぼ終結したといっていいのではないでしょうか。
 家族の様々な要望をさばき、工務店とアドバイサー役の私との関係をすべてやりくりした大屋さんのご苦労は、さぞかし大変だったことでしょう。材料の選定や外部デザインなど、まだまだ解決すべき事柄は残されていますが、おそらくよき方向に進むことでしょう。本当にご苦労さまでした。

 UTの収まりは、結局私が以前に出した修正案に極めて近いものになりましたね。ミニシンクの向きが洗濯機と並列でなく、やや使い勝手の悪い直角配置になってしまいましたが、UT全体から見れば、この案が最善だと思います。位置が脱衣所の奥で完全なブラインドになっているので、仮に隠し扉がなくてもそう目立たないと思いますし、洗濯機と一体にして扉で隠すのもまた容易でしょう。
 女性の代表である奥様には小さな譲歩をしていただいたようですが、もし第三子が生まれたケースを考えた場合、浴室前の広いスペースは、赤ちゃんの入浴時にも大変有効だと思いますよ。私は3人の子を赤ん坊の頃に自ら入浴させた経験があるので、このことを身に染みて分かっています。
 つまり、広いUTは決して高齢者のためだけではなく、子供や女性のためでもある、ということになりましょうか。

 2階寝室とフリースペース間の壁を少なくする件は、お子様が小さい現時点ではよいと思いますが、お子様が成長されて子供室の改築時期がきたときに、見直しが必要となるかもしれません。思春期になったときの子供室と夫婦寝室があまりに近く、オープン過ぎるからで、1階西南コーナーの間仕切り戸増設なども含めた問題となるかと思います。
 家族は日々成長し、変化していくものですから、それにあわせて家作りも徐々に進化してゆくべきものだと思います。そのためには家自体にフレキシブルな要素を残しておくべきで、家族の形態が変貌したときに家が対応不可能であったり、莫大な改築費用がかかったりするのは、お金の面でも心理面でも大変なストレスになりますから、極力避けなければなりません。

「勇者のステップ」と「階段の居間天井くいこみ」がどう決着したのか気がかりです。確認申請には無関係で、現場が始まるまで流動的な要素かと思いますが、決まった段階で教えてください。



 こちらはここ数日暖かい日が続いています。襟巻きをすると暑いくらいです。このまま春になってくれればいいのですが。札幌の様子はいかがですか?

 お問い合わせの件ですが、「勇者のステップ」は、菊地さんの案にそって作る予定です。また、壁が多い方が良いということなので、絵本室への窓幅は半分にしました。
「階段の居間天井くいこみ」は、壁と同じように材料でおおうことになっています。階段からすかしを入れることにはなっておりませんが、内装をしっかりやる工務店なので、任せてみようかと考えています。
 来週の2/22日(土)には決定した?間取りと、見積もりを出してもらう予定です。そのさい、間取り図をFAXと郵便で送ります。

『素人に良い間取りがわかるわけもなく、菊地さんのアイディアがなければ、平凡な家になってしまったろうな』と妻とも話しております。真夜中までお仕事をしていただき、ほんとうにありがとうございました。




 
大いなる成果



 約1カ月半にわたる三度目のインターネット住宅間取り相談は、当方の修正提案の大半を受け入れていただくという最高の結果で終わりを告げた。短い時間でまとめた当方の修正案だったが、紆余曲折はあったものの、結果的に基本路線は最後まで崩れることはなかった。相談者の方にも素人や工務店とはひと味違ったプロの建築家の技術力を認めていただき、喜んでもらえたと自負している。
 相談の途中でも幾度か触れたが、大勢の家族と工務店、そして遠方の偏屈な設計士の間にたって様々な事柄の仲裁役をつとめた相談者の立場は、自分の家の事とはいえ、さぞや大変だったに違いない。そして面識のまるでない当方の提案を、ほぼ丸ごと受け入れてくださった工務店の度量の広さと寛大さにも感心させられた。もちろん、施工する側の立場にも充分配慮して提案したつもりだが、万が一工務店側がかたくなな姿勢を見せていたなら、計画はこうスムーズには運ばなかっただろう。

 今回の企画が成功した理由のひとつに、施主と建築家の家作りに対する考えに、大きな差がなかったことがまず第一にあげられる。依頼者には私のサイトの家作り連載にくまなく目を通していただいたようで、大いに共感もしていただいた。ついには我が家と同じ多機能台形テーブルまで作ってしまうという。相談のなかで示された高齢者や子供、そして女性などに幅広く気配りする姿勢、そして暮しの中で新しい発見や遊びを大切にする姿勢は、私の生き方ともよく合致する。
「自分の生き方にそう建築家を見つければ、家作りは成功したも同然」と常日頃から考えているが、今回はそれにぴたりあてはまるケースだった。

 相談を終えてみてつくづく感じたのは、やはり私は話すより書くほうが得手である、という事実だった。コミュニケーション手段として話すことはもちろん重要だが、こと家作りに関すれば、話すことと書くことの差はほとんどないといっていい。
 むしろ面談を重ねて様々な考えや主張をその場で調整するより、少しの時間を置きながらメールの交換を重ね、議論を進めたほうが互いが冷静になれ、よりよい解決案が出る可能性が高い。私のようにひとつの言葉で感情がすぐに表に出やすい人間にとっては、話すことよりはるかにメリットがある。今回はそのことを身を持って知った。
 今後はメーリングリストなどを活用して、ご主人だけでなく、奥様や同居予定のご両親、施工予定の業者なども交えた複数の方々と議論を交わす手法が、より有効になるだろう。パソコンの苦手な高齢者なら、お孫さんに代筆(代メール?)などしていただければ、家作りの準備段階として最適のコミュニケーションが計れるに違いない。

 設計費用の中で、施主との打ち合わせに要する時間給の占める比重が馬鹿にならないが、こうしたEメールによる打ち合わせを有効に使えば、設計費用の削減につながるのはもちろんである。議論をすすめるスピードが面談に比べると格段に早いので、家作りに大切な「鉄は熱いうちに打つ」という大前提が崩れる心配もまずない。互いの忙しいスケジュールを調整して面談を重ねるわずらわしさからも解放される。

 今回のように土地をハウスメーカーや工務店に見つけてもらうと施主は非常に楽だが、その後の一切がハウスメーカーや工務店主導で進んでしまうという、ある意味での弊害も覚悟しなければならない。「すべてあなたにおまかせ」の施主ならこれで問題ない。だが、家作りに対する強いこだわりが施主にあり、それが当該メーカーや工務店で柔軟に対応出来なかった場合、計画はたちまち暗礁に乗り上げる。
 家作りに強いこだわりがあり、なおかつ特定のメーカーや工務店におかませもしたくないという場合は、先にも触れたように、まず人生観や価値観の面で馬の合いそうな建築家を見つけ、一緒に土地を見てもらって土地を契約する段階から家作りに関わってもらうのが理想である。
 土地が何らかの色にそまっており、しかも設計がある程度進んだ段階から設計依頼を受ける建築家もいないではないが、ちょっとした提案でもすべて工務店やメーカーの了解を得る必要がでてくる。今回の私の場合、その点で多少歯がゆさを感じたのは正直な事実である。なにより、中途段階で他の設計者の介入を極度に嫌うケースが大半だから、よくよく考えなくてはいけないだろう。

 計画の実現性が強い場合、相談内容もよりシビアになり、解決にもかなりの時間を費やすので、モニター相談の要素を割引いても、費用面での見直しが必要なことも痛感した。
 物である商品と違ってアイデアには形のないものだが、必要とされる側にとっては、具体性のある物と比べても全く遜色なく、充分に意味と価値があるものだと思っている。それどころか、もしもひとつのアイデアによって家族の夢や希望が限りなく膨らんでいくのだとしたら、物よりはるかに意義深いものとなるに違いない。

 自分の手法と技術力、そして方向性に大いなる自信と確信が芽生えた今回の相談だった。微力だが、人々に夢と希望と生きがいを提供する活動に、今後とも尽力していきたいと思う。