家作りNet相談〜その2
青葉さんの狭く楽しく集う家



 実戦編ともいえる「本音で暮らす手作りハウス」第2部連載中の2002年5月、間取り相談に関するメールが再び舞い込んだ。「ネットDE添削家作り〜その1」を読んで興味を持たれた東北在住の方である。この方にも進行中の具体的な物件があり、メールは家作りに対する熱き思いに満ちていた。
 またまた遠方ではあったが、同じ北国という親近感もあり、第1回の企画が私にとっても非常に有意義なものであったので、一も二もなく引き受けた。


 ・CONTENTS・

   家に対する価値観
   境界線からの離れ
   総2階建の提案
   駐車場確保の難問
   苦渋の解決案
   衝撃の最終決着



 
家に対する価値観



 初めてメールさせていただきます。私は東北のある地方都市に住んでおります青葉と申します。検索エンジンで「ネットDE添削家作り」のページにたどり着き、菊地さんのサイトを楽しく拝見させていただきました。その他も読み終わって、すぐにメールを書いている次第です。

 実は私も第1回相談者の海野さんと同じように「なんちゃって間取り」を作り、その上設計士さんに提出してしまった家作り初心者です。その設計士さんは妻の知人であったことから、「若造」のすることぐらいに多めにみていただいたようなのですが、家に対しての価値観のような大きなところでかみ合っていないのでは?と思う気持ちが出てきました。
 建築士さんのプライド、かかわった家は子供のようなものであることは、いろいろなサイトを読んでいって分かったのですが、「どうしてもこうしたい」というこちらの意見が否定されたときに、その理由が「建築士さんのプライド」なのか、「資金面で」なのか、「建築方法的に」なのかの説明がなく、困惑してしまっているのが今の状況なのです。
 皆さんは建築士さんとどうやって付き合っているのか、そもそもどこまでが建築士さんの作業なのか。そういったサイトを検索しているところで菊地さんのサイトと出会ったのです。

 前置きが長くなってしましたが、こちらから間取りを添付いたしましたら添削していただけますでしょうか?お返事いただければ幸いです。
 最後になりますが、こちらの簡単な状況を書いておきます。



●土地
・ほぼ正方形の61.15平米
・南側に2階建て民家あり
・東側に3階建ての商用ビルあり
・北側に9mの公道(一方通行)西側に約4mの私道のある角地
・用途地域は第二種住居
・建ぺい率60%、容積率200%

●家族構成
・本人(20代後半)職業SE
・妻 (20代後半)職業OL
・娘 (未就学児)

●資金
・銀行融資3000万(予定)
・土地の価格が1257万から値引きを交渉中
・家にかけられる費用は1500万前後



 ページへのご訪問、そして「ネットDE添削家作り」へのお申込み、大変ありがとうございました。私のページでのあの連載は、ふとしたきっかけから始まったものですが、すべてご覧になっていただいたようですので、主旨はご理解いただけたと思います。
 一言で申しますと、「施主様の作られた平面プランにプロとしてチェックを加える」というもので、当然「これだけは施主として譲れない」という部分はすべて残すことになります。そのうえで、「施主様の持っておられる潜在的願望を掘り当てる」という大きな試みがあるのですが、こちらのほうは必ずしもうまく運ぶかどうか、やってみなければ分かりません。

 前回の海野さんと同じような形での間取り添削をお受けすることに、私のほうは何も問題はございません。ただ、メールだけでこうした作業を進める場合、充分な意思疎通の時間が必要です。ページでの連載を見ていただくと分かりますが、期間は約1ケ月、メールの数と文章量もかなりのものになります。
 ひとつの気掛かりは、現在設計を依頼されている奥様の知り合いの方とのことです。建築家に設計を頼まれる方は、住むことに強いこだわりを持った方で、青葉さんもその例外ではないと思われますが、施主と建築家の相性がぴたり合えば、ほとんど問題なく事は運びます。問題は運悪くその建築家との相性が悪かった場合です。
 別のコーナーにも書いてありますが、施主と建築家の相性は、結局その人の「生き方」「人生観」「道徳感」のようなものに左右されると私は思っています。合理的、機能的なローコスト、シンプル住宅が得手の私に、ぜいたくざんまいな豪邸を設計しろともし言われても、おそらくそれは不可能でしょう。(現実にそうしたことはたぶんないでしょうが…)

「家に対しての価値観のような大きなところでかみ合っていないのでは?と思う気持ちが出てきました」

 とお便りにありました。これは私の一方的な推測なのですが、もし「知り合いだから」という理由だけで建築家を選んだのだとしたら、そこに問題があったのかもしれません。

 私は建築家としては自宅以外にたいして実績はありませんが、単に「建築士の知り合いだから」という理由だけで、知人などから設計を依頼されることが多々あります。
 頼む側は一生の一度の買い物なので、安心出来る友人知人のたぐいへお願いしたい、という単純な理由からなのでしょうが、価値観や人生観のすべてが凝縮される家作りに、単に知り合いだから設計を頼む、というだけでは話はなかなかまとまらないことは、私自身が肌身で感じていることです。「価値観が違う」ということが遠因で設計依頼が流れてしまったことは、これまで一度や二度ではありません。

 現在、設計を依頼されている方との話がどこまで進んでいるのかはっきりしませんが、もしも設計契約(あるいは工事契約)を結んでなければ、私と並行させて話を前に進めるより、いったん白紙に戻すか、保留にするなどし、その旨を相手側にはっきり伝えたほうがいいのではないでしょうか。(すでに信頼関係にヒビが入っているように感じられます)
 私も以前に「ふたまた」のような形で別の業者に無断で見積依頼を出され、怒り心頭に発して依頼をその場で断った苦い経験があります。先方は設計費用を値切るなど、何らかの揺さぶりをかける思惑があったようですが、非常に不愉快な思いに陥りました。
 どんな方でも、設計士は強いプライドの持ち主が多いです。これは私のほうの条件ではありませんが、ご検討ください。

 土地や家族構成に関してはおおよその事は理解出来ました。「メール添削」を正式にご依頼いただけるなら、具体的な条件につきましては次回以降のメールにて進めさせていただきたく思います。それでは。



 メール拝見いたしました。お返事が遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。
 知り合いの建築士の方に依頼をストップしていただくようお話しし、納得していただきました。建築士さんについてよく調べもせず、「こういう仕事はやってくれるだろう」という勘違いと、菊地さんがおっしゃる通り、知り合いという安心感だけで依頼してしまい、本当に先方にも菊地さんにも失礼なことをしたと後悔しております。
 ただ、建築士の方も今までそういう経験をしてこられたこともあったのか、今回の契約も「図面を一度見てから正式に契約ということにしましょう」と言って頂いておりましたので、失礼かとも思いましたが、菊地さんにお願いしたいと思い、こうしてメールを打っている次第です。

 さて間取り図ですが、玄関がある間取りが1階です。方角は少々傾いてはいますが、上を北としてお話を進めさせていただきたいと思います。
 夫婦で話し合った結果を部屋ごとにできるだけ細かく書いて行きますので、添削の材料としていただければ幸いです。

…青葉さんの描いた間取り図〜その1…

●玄関へのアプローチ
 今回の建て方で一番問題になってくるところだと思います。2階がせり出していて、その部分が天井となる外の空間ということになり、建ぺい率はクリアできると思うのですが、問題は使用目的です。
 2578×5005という大きさを向きを換えて二つをつなげただけの広さになるのですが、ここを駐車スペースとして使えないか?ということなのです。
 常時車を置かない部分に関しては物置などを置いたりしない限り、駐車場として床面積に算入されないとのことでしたので、階段横の西側の部分には自家用車を一台止める予定でいました。駐車スペースの緩和の話も調べましたが、いまいち詳しく記載されている情報が見当たらず、どこまでを駐車スペースとしてどこまでを緩和してくれるのか?ということまで分かりませんでした。
「単にそれの申請が庭であるか駐車場であるかの違いです」的なことを役所で聞いたのでこういった間取りを考えたのです。他に駐車場を2台分取る間取りを思いつきませんでした。

●なぜ駐車場が必要なのか?
 私たち夫婦の住む家は、知り合いがよく相談事に来ては夜な夜な話をし、泊まって行くというのが基本的な流れであるように考えております。そうなると自分の車のスペースと客用の車のスペースがないとそれが実現できません。
 今回の土地は市でも中心地で駐車場代が高く、そもそも借りられる場所も遠く、少ないのが現状です。私の考えとしては警察に注意されたり、通行の邪魔にならない場所であれば基本的に路上駐車も良いと思うのですが、さすがにそうできる環境は近辺になく、こういう結果に行き着きました。
 もしアドバイスいただけるなら、どの面に壁を設けたらよいのか、柱はどの位置に設けたらよいのかをお聞かせください。

●夫婦寝室
「ただ着替えることと寝るためだけの部屋」としてしか必要ないので、ダブルとシングルのベッドマットレスを合わせて部屋一面に敷き、このような半端な大きさになりました。今住んでいるアパートは2LKなのですが、寝室はベッドがおいてない部分が物置状態で、あまり有効に使っているとは言いがたい状態です。
 もうひとつの部屋に関しては、ただカーペットだけが敷いてあってもっぱら客間としてしか利用していません。ですので、大き目のクローゼットとそのクローゼットのドアを開けることができるスペース、そして親子3人が並んで寝ることができる大きめのベッド以外は、私たち夫婦にとって必要のないものなのです。
 よって狭苦しいかもしれませんが、お互いに気にならないだろうという話し合いの結果こういう形に収まりました。

●子供部屋
 あと10年は目的どおりの使用はありえないことから、今のアパート同様客間、一時的な物置として使うことになります。窓がないのですが、できれば西側の階段下を外部に開けて窓を取り付けられればと思います。
 2階間取りのなかで出てくると思いますが、この部屋の2階部分の一部を吹き抜けにしてトップライトもとることができればいいのですが、料金との兼ね合いになると思います。

●トイレ
 小さい家ですが、トイレはできれば二つあったほうがいいという結論から、1階と2階にひとつずつとりました。構造上ムリであれば1階のトイレはあきらめますが、構造上問題ないのであれば各トイレのスペックを落とし、金額をおさえてでも施工したいと思っております。

●廊下、階段
 ともに二人が何とかすれ違える幅をと思い、900をとってみました。廊下、階段は単なる通路としか見ていないため、いまいち難しいのですが、とりあえずシンプルにという二人の見解が一致しております。
 階段は一坪あれば上ります、というふうにネットで見つけたため一坪とってあります。

●玄関
 ドア、戸はキチンと鍵が閉まって靴をしまえる小さなスペースがあればよい、というのが二人の一致した意見ですので、とにかくシンプルに。ドア、戸のセキュリティ面ぐらいにしかお金をかけるつもりはありません。
 靴を置く場所は隣がトイレということもあって、小さく作りつけられるならばそれでよいと思いますが、基本的には靴も多く持っているわけではないので、市販の靴置きで対応できるはずです。

●共有スペース(2階)
 共有スペースはリビングと考えていただいて結構です。基本的にはこの部屋ですべてが完結するように広めに取りました。客間にもなり、たまに寝室として利用し、いつもはリビング、ダイニング、遊び場などを目的として利用することになると思います。今のアパートが8畳のスペースで、ちょっと狭いかな?というところですので、こういった大きさにしてみました。
 図には記載しておりませんでしたが、西側に小さ目の窓をいくつかつけて光を入れたり風を通したりと考えております。後は今後周りに建っていく建物の高さを考えて、北側の屋根にトップライトをつけてみたいとも思っております。
 リビングに面した物入れには簡単な生活用品や部屋着などを入れて置くようにと考えております。
 物入れの奥の吹き抜けですが、構造上可能であれば1階の子供部屋の壁際にトップライトのように明かりを入れるために配置してみましたが、料金の面でムリであれば物入れを広げる方向で考えております。

●和室
 いつも使うわけではありませんが、アクセントとして考えており、リビングを広げるというより、区切ることのできる床材の違う共有スペースとして考えております。できれば押し入れの南側にすべてのふすま(戸)が収納できるとスマートかと思います。
 西側か北側にあまり大きくない程度に風通しと明り取りぐらいな意味で窓を設けられればと思います。

●キッチン
 キッチンは一人で使用するのではなく二人で利用できるスペースとして考えております。2550のキッチンを配置しておりますが、業務用のステンレス厨房セットが安く手に入れられる環境にありますので、そのセットを並べたときの幅を考えております。

●洗面所
 洗面所と脱衣所はお客さんがお風呂を利用することが多いので、あえて分けてあります。家族だけで利用する場合は一緒の空間にしてもいいのですが、来客や泊まって行く人が多いので、ぜひここには扉を設けたいと思います。

●洗濯室
 洗濯室は今使っている洗濯機と乾燥機の音がうるさいので、ひとつの部屋として考えてみました。もし壁を設けてドアをつける費用が10万円を超える場合、洗面所の中にうまく収めて使用できれば、市販のドラム式の洗濯乾燥機がかなり静かになっておりますので、この際購入しようかとも考えております。

●脱衣所
 とりあえずのプライバシーを守るための空間ですので、「壁にぶつからない程度に着替えができる場所」であれば良いと思っております。

●お風呂
 とりあえず一坪をとっております。金額的に難しいだろうと思いながらも、できれば大きな湯船のユニットバスを入れることができればいいなとも思っております。

 すべてに通して価格的に難しそうな場合は、できる限り不要なもの、あとで取り付けることができるもの、自分で施工できるもの(軽いDIY程度)を最大限に省き、あとで自分でできない部分だけを最優先に考えております。最悪の場合、使わない部屋の壁紙や床材、クローゼットの内装などは、後日追加施工を行うことにしても構いません。
 ちょっと意味が違うかもしれませんが、自分でできる部分は本当に自分でやってみたいという心がありますので、お金がない分は夫婦二人で楽しく作っていきたいと思っております。

 いろいろ長くなってしまいましたが、細かな部分はご指摘いただければその都度お答えいたしますので、この間取り図でどうぞよろしくお願いいたします。
 ところで、相談料はどのようにしてお送りすればよろしいでしょうか?お支払方法を指定していただければ、連休が明けてすぐこちらで手配を取らせて頂きます。



 札幌の菊地です。「ネットDE添削家作り」への正式ご依頼、ありがとうございます。さっそく話合いを進めさせていただきたく思いますが、最初に基本中の基本である土地のことと、法規上の事柄を確認させていただきたく思います。

■土地面積は61.15平方メートル(18.46坪)で間違いないでしょうか。
(最初のメールの土地面積単位がパソコン機種の関係で文字化けしていましたもので)

■土地の東西、及び南北方向の大きさを正確に教えてください。「8125」のように、ミリ単位でお願いします。
 また、北側公道、西側に私道があるとのことですが、土地の角の部分が道路として切り取 られていないかの確認もお願いいたします。

■用途地域は第二種住居、建ぺい率60%、容積率200%の再確認。
 建ぺい率に関してですが、角地にある敷地で特定行政庁が指定する場合は、プラス10%の優遇措置があります。(今回の場合は70%になる)ただ、今回の場合は西側が4mの私道ということで、指定は受けていない可能性もあります。
 計画は60%で進めるのが無難ですが、大事な数値なので、確認がまだなら直接役所の建築課などで聞いてみてください。

 以上3点につきましてまずご確認いただきたいのですが、もしもすべて間違いないとした場合、いただきました図面では建築面積が54.05平方メートル、この場合の建ぺい率は、
 51.05÷61.15×100=88.39%となり、基準オーバーとなってしまいます。
(ちなみに、建築面積とは、外壁または柱で囲まれた部分の水平投影面積をいい、今回の計画では床面積の大きい2階部分が建築面積となります。(1階部分に支えの柱や壁があってもなくても同じです)

 ご返答によっては、お送りいただきました間取り図を一から考え直す必要があります。相談料のお支払いに関しましては、しばらくお待ちいただいたほうがよろしいのではないでしょうか。
 ともかくも、まず数値の確認が先決ですので、取り急ぎご連絡いたします。



 青葉です。間取り図を再送させていただきます。というのは、間取り図に大きな間違いがあったためです。先にお送りした図は、建ぺい率を全く無視した状態であることに気が付きました。本当に申し訳ありません。
 ただ、基本的な考え方は変わりません。前回より修正した箇所は以下の通りです。

…青葉さんの描いた間取り図〜その2…

●玄関へのアプローチ
 車二台を置けるスペースは確保しました。この方法であれば建ぺい率もクリアしていると思われます。

●玄関
 今回の間取りでは物入れを多めにとってあります。

●和室
 和室は今回の間取りでは設けることが出ませんのでナシということにします。話し合った結果、あればよいという程度でしたので、どうしてもとなった場合は、共有スペースの一部に畳を敷くことにいたします。

●キッチン
 対面キッチンを考えておりますので、キッチンと共有スペースを隔てる壁は、コンロ部分の一部だけと考えております。

●洗面所
 洗濯室を別に設けることは止め、キッチンと洗面所の間に壁を設け、音をさえぎることにしたいと思います。

 何も知らない間違いばかりで本当に申し訳ありません。まだ間違いが存在するかもしれませんが、その際はご指摘ください。それではよろしくお願いいたします。



 札幌の菊地です。メールが行き違いになってしまいました。
 今回の計画は建ぺい率OKのようですが、土地の大きさ等に関する情報につきましては、やはり詳細な数値をご連絡ください。よろしくお願いいたします。



 メール拝見いたしました。間取り図を2度送ってしまいましてごちゃごちゃになってしまいまして申し訳ありません。

■土地面積についてですが、61.15平米(18.46坪)で間違いありません。菊地さんはマック使いでいらっしゃるようで、こちらもパソコンを考えずにメールしてしまいまして申し訳ありませんでした。

■土地の正確な大きさについてですが、東側8160、西側8180、南側7440、西側7530となります。土地の角の部分ですが、切り取られていませんでした。(図面上)

■建ぺい率と容積率、建ぺい率の角地優遇措置についてですが、とくに不動産会社からは話がなかったため可能性が低いとは思いますが、とりあえず明日、休み明けに確認してみます。

 間取り図の間違いですが、本当にお恥ずかしいです。役所で新人の方だと思いますが信用してしまいました。あれ?っと思って調べてみて変更したのがあの2度目の間取り図です。
 相談料の件は気を遣っていただきまして申し訳ありません。建ぺい率も確認はとってみますが、60%で間違いないと思われますので、再送させていただきました間取り図でよろしくお願いいたします。振込先を教えていただけばすぐ振込みいたします。
 役所などに問い合わせる内容は、確認いたしまして確実なところを明日メールいたします。それでは失礼いたします。



 下記の件について、本日役所で確認いたしましたので、メールさせていただきます。

 建ぺい率については、角地10%の優遇措置に該当し、建ぺい率は70%になりました。土地の角の部分が道路として切り取られていないことも確認しました。
 それではどうぞよろしくお願いいたします。



 
境界線からの離れ



 札幌の菊地です。
 土地に関する情報をいただきました。角地10%の優遇措置があったのは朗報ですが、最新図面と照らし合わせてみたところ、家の大きさに関してひとつの問題があります。
「北側7530」とありましたが、これに対して東西方向の家の最大寸法が7432です。土地に対して98ミリしか余裕がなく、これでは現実に家は建ちません。理由は以下の通りです。

■寸法は柱の中心寸法ですから、どのような工法をとっても中心から壁などが左右に100ミリは外側に出ます。いまのままですと、道路か隣地に家が飛び出してしまうことになります。

■木造住宅の工事をする際、一般的には家の外側に足場をたて、作業用空間を確保します。足場のかかる期間は普通の木造住宅で約2ケ月くらいでしょうか。
 家が完成すれば外してしまいますので、この空間(最低でも幅500くらい)が確保出来ない場合、その期間隣地を借りるとか、道路を借りるなどの手続きが必要です。何らかの理由でどちらかの許可がおりなかった場合、家作りは暗礁に乗り上げてしまいます。
(道路の占有許可はともかく、隣地の使用許可は難しいような予感がします)
 商業地域などの耐火ビルでは工場で作った外壁をクレーンで吊り降ろし、外足場なしで敷地ぎりぎりに組立ててしまう工法もありますが、予算に制限のある木造住宅でその工法が可能かどうか、私には分かりません。

■家には前面道路によって高さが制限されます。北側道路は広いので問題ないですが、4メートル幅の西の私道が問題です。二種住居の場合、道路の反対側からの水平距離をXとした場合、1.25Xの高さ制限を受けます。つまり、境界ぎりぎりで家を建てた場合、
 4×1.25=5メートルまでの高さの制限を受けます。通常の木造住宅の場合、軒の高さは5.8メートル前後なので、かなり計画が難しくなります。
 西の私道が「指定道路」でなければ、この問題はありません。私道が「指定道路」であるかないか(高さが制限の受ける道路であるかないか)は、役所の建築課で確認してください。

■落雪の問題。ぎりぎりに家を建ててしまい、隣地や道路に屋根から雪が落ちてトラブルになる例は雪国では多々あります。

■建物を建てる場合、隣地境界線より50センチ以上離して建てることが民法234条で義務づけられています。(防火・準防火地域で外壁が耐火構造の場合はぎりぎりでも構わないのですが、青葉さんの土地にはこの防火規制がないと思われます)
 建築基準法ではありませんが、最悪の場合、隣地所有者との裁判になる可能性もありますから、この数値は守らなくてはなりません。

 以上のような理由で、北海道などでは最低でも600ミリくらいは隣地や道路から建物を離して計画します。ただし、軽微な物置きや車庫などで隣地とのトラブルがない場合、ぎりぎりに建てるケースもあります。
 今回の計画での東西方向の寸法は、境界からそれぞれ600ミリ離した6370で計画されるのがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
 最初に挙げた理由により、いずれにしても現在のままでは収まりません。たとえいろいろな障害があっても、どうしてももう少し大きい寸法、たとえば7280くらいで計画したい、とおっしゃるのでしたら、当方はそれでも構いません。ご検討ください。
 なお、6370とした場合、南北を5460まで広げてやれば全体床面積は同じです。1階南側車庫スペースもぎりぎり確保出来ます。



 札幌の菊地です。前回のメールの一部に誤りがありましたので、おわびして訂正させていただきます。

「■家には前面道路によって高さが制限されます。…」の項を全面削除させてください。

 前面道路によって高さが制限されること自体は誤りではないのですが、青葉さんの土地のように角地にある場合、広い方の道路境界からその幅の2倍の距離まで(つまり、9メートル×2=18メートルまで)は、広い方の道路の高さ制限を受けます。
 境界でも 9×1.25=11.25メートル となり、2階建て住宅なら何ら問題ありません。従って4メートルの私道が高さ制限を受けようが受けまいが、青葉さんの土地に限っては関係ないことになります。誤った情報をお伝えし、申し訳ありませんでした。



 青葉です。メール拝見いたしました。その前に返信が遅くなってしまいましたことをお詫び申し上げます。
 土地の確認に手間取ったことと、融資の面で、土地の狭さから第一希望の銀行から断られ、わらわらと新しい融資してくれる銀行を探しなおしていたのが遅れた原因です。さすがに公庫にならってか100平米を切った土地への融資は受け付けない銀行が多く、ちょっと手間取ってしまいました。

 前回のメールは夫婦で目からウロコで読みふけりました。メールを見て思いましたが、やはり相談して良かったと思っています。これからもご面倒をかけることになるかもしれませんが、よろしくお願い致します。
 さて、数点ありますので、ひとつひとつ解答していくことに致します。

■寸法は柱の中心寸法ですから、いまのままですと道路か隣地に家が飛び出してしまうことになります…。

 上記の件ですが、恥ずかしいことにまったく考えておりませんでした。狭い土地ですので必ず出てくる問題ではあるとは考えておりましたが…。
 こちらの件に関しましては下記の問題も解消したサイズを訂正した上で作成した添付ファイルをご覧ください。

■木造住宅の工事をする際、一般的には家の外側に足場…

 上記の件ですが、1)とあわせまして本当に素人考えであることを再認識しました。こちらも検討の上訂正しました添付ファイルをご覧ください。

■落雪の問題。ぎりぎりに家を建ててしまい、隣地や道路に屋根から雪が落ちてトラブルになる例は雪国では多々あります。

 上記の件ですが、ギリギリに建てない(足場を確保する)と言うことで問題解消できませんでしょうか?ついでの質問になってしまいますが、屋根とはどういった役目を持っているのでしょうか?
 ちなみに東隣はビルですので雪が滑って落ちてくることもないのですが、このように大きく分けて、屋根が傾いている家と傾いていない家があると思います。妻と話し合って、屋根は傾いている必要はあるのだろうか?という話になりました。もしよろしければ屋根が傾いている必要性を教えて頂けないでしょうか?
 もし必要性がなく、建築上問題がないのであれば、屋根を平らにしたいと考えております。工法は鉄筋か木造を考えております。もし雪の問題があるのであれば、私道側に大きく傾ける形が良いのではないかと思います。

 と言うことで、添付致しました間取り図をもう一度確認して頂いてもよろしいでしょうか?部屋への考え方の基本的なところの訂正はありませんが、1階の南側部分には壁を設けて、2階を支えようと考えたのですが、南側だけでも問題ないでしょうか?というのは東側に壁を設けてしまうと駐車場を2台とることが難しくなるからです。こちらのほうも教えていただければ幸いです。
 どうにかリビングをもうちょっと広くとも考えましたが、2階のトイレとリビングの広さを妥協しこの形に落ち着きました。メールの訂正に関しては了解いたしました。今回もよろしくお願いいたします。

…青葉さんの描いた間取り図〜その3…



 
総2階建の提案



 菊地です。3番目の図面いただきました。素人とはとても思えない素早い作業に感心しています。間取りにも大きな欠点がなく、よくまとまっていると思います。
 住宅資金の借入の件が気になってはいましたが、やはり小さな土地は面倒だったようですね。私の家は公庫を借り入れて建てたので、ネットでの連載にも書きましたが、最低床面積80平米を確保するのに、随分苦労させられました。

 さて、土地に対して小さめに家を設計する件は納得いただけたようで、一安心です。最新図面に関していくつかコメントさせていただきます。

■1階南側窓について
 この窓は車庫に面しており、なおかつ南側を壁にしたいとのご希望ですが、ずばり壁にしてしまうと建築確認がおりません。理由は居室(人が継続して住む部屋。寝室や台所、居間など)には「採光上有効な窓が床面積の1/7以上ないとだめ」だからです。
 真正面に壁のある窓はこの規定からはずれます。ですから、南側の壁はやめて、光の通る柱と筋かいだけにしなくてはなりません。夫婦寝室の西側、子供部屋の東側にそれぞれ窓をつけるように変更すれば、壁にしても問題ありません。しかし、プライバシーの点で言えば東西にはあまり窓を設けたくないですね。せっかくの南側ですから、柱と筋かいだけにして開放的なほうがいいと思います。
 陽当たりといえば、南側の壁を柱と筋かいだけにすれば、このままの窓でも採光は確保出来ますが、2階部分の床のせりだしが2500ほどあるので、陽当たりの面ではあまり期待出来ません。その点もご承知ください。

■車庫東側壁について
 ご質問にもありましたが、ここにも柱と同じ太さの筋かいを入れないと構造上建築確認がおりません。(壁でもいい)筋かいをうまく避けて車が入るといいのですが…。
 車の問題はともかく、今回のように2階よりも1階が小さく、一部がピロティになっている建物は構造上、非常に不利です。

■屋根の問題
 境界からある程度離し、屋根をフラットにしてしまえば、落雪の問題はありません。2階の梁を少し太くし、屋根のトタンを水漏れしないような工法(長い期間雪がのっていることになるので)をとれば木造でも大丈夫です。北海道ではごく普通の工事方法です。
 このときの屋根の勾配は1/50くらいです。雨や溶けた雪が落ちる方向を決めておきます。氷解が落ちる可能性があるので、東側がいいかもしれません。
 屋根は本来傾けて雪や雨をすみやかに地面へ落としてやるのが建物から見ればベストです。余分なものを上に停滞させておくと、雨漏りや構造体への負担などの問題につながります。ただ、都会の狭い地域ではそうも言ってられないので、上記のような解決方法で対処しているわけです。

■階段の問題
 青葉さんの間取り図すべてに共通していますが、折れ曲がる階段は仕方ないとしても、曲がり部分に3段とっています。これはなるべく避けたほうがいいと思います。主たる居住空間が2階ですから、階段の安全には細心の注意を払われたほうがいいでしょう。
 欲を言うときりがないですが、基本的に長さ910に対して4段、合計で14段あれば何とか支障なく昇り降り出来ます。(我が家の階段がこれです)1階〜2階の階高を2800に抑えれば、一段200となります。曲がり部分は出来ればフラット、最悪でも2段までにしたいですが…。
 また、階段真下にトイレのドアがありますが、勢いよく人が降りてきたちょうどそのときに、中にいた誰かがドアを外に開けたことを考えると、これも大変危険です。引戸だといいのですが、難しいですね。万が一の転落を考え、階段直下にガラス戸を設けるのも禁物です。

■クローゼットの問題
 クローゼットがいずれも455の奥行き寸法ですが、中途半端だと思います。パイプを吊って洋服を縦に並べる場合、最低600は必要です。以前住んでいたマンションではクローゼット奥行きが510でしたが、ドアを開け閉めするたびに衣類の袖がはさまり、大変使いにくいものでした。
 1、2階どちらかを600にして洋服入れをかねるようにし、一方を300くらいに絞ってオープンな収納にするという案はいかがですか?

■部屋の寸法に関して
 木造でローコストをめざす場合、材料の無駄を省くのが大きなポイントになります。部屋各部の寸法は、原則として455(あるいは450)の倍数でとられたほうがいいと思います。

 その他、全体的な印象ですが、来客と話し込み、そして泊まってゆくという部分に家作りの大きなポイントがあるようです。家族のだんらんなどはその中に含めて、といったところでしょうか。
 家が小さいので、細かい間仕切りは出来るだけ省き、ワンルーム形式の住まい方を選択されたほうが何かと住みやすいように思えます。

 車2台を敷地におさめることが必須条件のようですが、このおさめかたで全体計画が大きく左右されそうです。
 個人的な意見ですが、案2〜案3をもう少し整理し、構造的にも単価的にも採光陽当たり面でも有利な単純総2階建てにし、車は大きく空けた南側空き地に2台(来客のないときは1台)停める方式が最も合理的だと思うのですが、いかがでしょうか。
 具体的には、東西方向寸法6370、南北方向寸法4550の総2階です。2階間取りがやや厳しくなるので、お風呂は1350×1820の製品になるかもしれません。台所〜居間をワンルーム形式にすれば、1820×1820でも可能でしょうか。この案は検討してみる価値があると思います。
 青葉さんはかなり空間構成力のある方とお見受けしましたので、案3の修正も含め、いろいろ考えてみてください。ご家族の普段の生活パターン、趣味など、プランの参考になりますので、もしさしつかえなければ教えてください。

 実質的に相談がどんどん進んでしまっていますので、相談料の振り込み方法に関してお知らせしておきます。(ここで振込み口座番号を依頼者に通知)郵便振替のほうが手数料が安いかと思います。代金に含まれるものは、一物件に関する間取り全般のアドバイスです。
 立面計画やパース作成、構造計算、見積りなどは別料金となりますが、今回のように平面計画の延長で立面計画が出てしまう場合、その部分に関する別料金は不要です。関係官庁等に対する問合せは依頼主のほうの作業分担となります。
 方法論は別にして、完成した平面プランをそのまま実現していただいても、もちろん構いません。そうなればいいな、と思っています。それでは。



 いつもお世話になっております。青葉です。今日はとても暑く、このまま梅雨がきてしまうのでは?と思うほどでした。
 さて、前回のメールの返答は目下作成中ですが、本日添削料のほうを振り込みましたので、取り急ぎその報告までにメールいたしました。確認のほうよろしくお願いいたします。
 明日までには返事がまとまると思いますので、もう少々お待ちください。それでは失礼いたします。



 札幌の菊地です。はやばやと添削料金のお振込、ありがとうございました。まだ確認してませんが、郵便振替だと少し時間がかかると思います。
 ところで、間取りに関連して少しおうかがいしたいことがあります。そちらの一般的な住宅に関してですが、

■暖房方式
 北海道の新築住宅では、石油によるセントラル暖房か夜間電気による温水暖房が普通で、これによってボイラの置き場所とか、外部石油タンクの置き場所などを考えなくてはなりません。(セントラル暖房にしても予算内におさまると思います)

■給湯方式
 こちらでは同じく石油ボイラか夜間電気による温水方式が一般的です。ガスは少ないです。

■水抜きについて
 寒い時期に水道の水抜きをする習慣がありますか?

 以上、次回のメールのときにでも教えてください。このところいつも青葉さんの間取りのことばかり考えているのですが、昨日、例の総2階方式でいいアイデアが閃きました。
 まだスケッチ段階ですが、前回指摘したすべての問題を解決(したつもり?)の案です。採用の別はともかく、ぜひ候補のひとつに加えてください。それでは。



 メール拝見いたしました。間取りを考えていただけるなんて…。夫婦でドキドキしております。
 先日頂いたお話で総2階はやはり難しく間取り図ソフトとにらめっこしていたところでした。組立てあがるはずがないパズルをくみたてているような、そんな気にもなっていたところでしたので、本当に感激しております。

 さて、暖房の件ですが、こちらでは、「雪が降らない寒さ」という言葉が一番似合っていと思います。私の生まれは隣の県ですが、小さいころは自分の背丈の倍ほどの雪の壁の中を歩いて学校に通っていた記憶があります。雪は降れど体感温度はそんなに寒いと感じなかったことも記憶しております。
 しかし、こちらの寒さと言ったら雪女にのろわれているかと思うほど、風が吹き荒れその風で地面が凍り、まさに「雪の降らない寒さ」になるのです。

 住宅メーカーに行くと、「夜間電力で…温水で…」と勧められます。一般的には、住宅メーカーはオール電化を推進しているところが多いので、暖房は夜間電力で、と言うところが多いです。
 ガスは基本的には暖房に使うと言うことを聞いたことがありませんでした。こちらではあまりガスによる暖房は一般的ではないかもしれません。

 石油(灯油)式暖房はもっともランニングコストに優れていると聞いております。こちらでも一般的な暖房方式だと認識しています。ただ、これが、給湯方式になってくると話は変わります。こちらでは市ガスがプロパンの約半額ですので、どうしてもガスを選択される場合が多いです。それと同レベルで石油式が使われています。電気給湯はオール電化を売りにしている住宅メーカーぐらいではないかと思います。(この辺はアヤフヤです。すいません)

 水抜きは行なうように進められると思います。そこまで寒くないという気がするのですが、一般的にはアパートなんかでも、そういったシステムが備え付けられています。

 私たちが考えていた方式は、ガスコンロ以外のすべての熱源は灯油(タンクを設置)。給湯、暖房方式の熱源は灯油を考えておりました。
 新しいものが好きなのでIHクッキングヒーターも考えましたが、火力と雰囲気(火が見える)、あとはコストの面であきらめました。確かにクッキングヒーターの魚用グリルはあれだけでも買う価値があるように思えましたが、断念しました。菊地さんも機会があればIHクッキングヒーターの魚用グリルで焼いた魚を食べてみてください。ガス焼きとはまったく違った味が楽しめますよ。

 給湯、暖房も、
●使い勝手が温まり方や室内パネルでの操作面などで、あまりガス、電気と差がなくなってきたこと。
●イニシャルコストは高くても、ランニングコストの安さ。
●光熱費としての灯油をカードでの支払いができること。(カードで購入しても値段が変わらないものは出来る限りカード支払いにし、利用料を上げてポイント変換しているため)
 などを含めて考えると、灯油式を選択するのが妥当と考えた結果です。そうなってくるとどうしても外部石油タンクが必要になってきますので、それもどうしようかと考えていたところでした。その問題も含めて第4段の間取りを考えておりましたが、それよりも早く菊地さんの間取りを見たく楽しみに待っております。
 それでは今回は短いですが失礼いたします。



 メールが行き違いになってしまわないようにとりあえず頂いたメールに対してお返事させていただきます。
 まず振込みの件ですが、銀行振込でしたことをお伝えするのを忘れておりました。申し訳ございません。
 住宅資金の件に関しては本当に驚いております。もっと借り手市場かと思いましたが、こんなにお堅い対応だとは思いませんでした。結局労働金庫(ろうきん)に落ち着きそうです。ろうきんはなかなか柔軟で何とかなりそうな感じです。

■1階南側窓について
 確かに採光の面で問題があるのではしょうがありません。その上、筋交いと柱が剥き出しになってしまうのが耐久性上ちょっと不安です。ということで、もう少々知恵を絞ってみます。

■車庫東側壁について
 構造上ムリであればしょうがないですね。ここに筋交いをつけてしまうと車が出っ張ってしまうので車を停めることができなくなってしまいます。これも含めて考え直してみます。

■屋根の問題
 これはとてもよく分かりました。やはり間取りにもよりますが、東側に落とすが妥当だと思います。

■階段の問題
 折れ曲がる階段、確かに気になっておりました。が、ソフトの都合上どうしても曲がる部分を3段設けてしまうようです。こちらも考慮して階段を設けたいと思います。
 トイレのドアの件も大人だけならまだしも来客の中にはこどもも多いので、ぜひ検討いたします。

■クローゼットの問題
 家のクローゼットを計ってみました。…ほんとですね…。やっぱりいろいろ勉強になります。こちらも考えて行きたいと思います。

 我が家はもともと来客も多いですが、来客を含めた家族だんらんというか、来客を来客と思わない感があります。ご飯をまたがないで帰ってしまう来客は少なく、特別でもなくただただ共にご飯を食べ、共に他愛のない話をして、眠くなれば布団を敷きそして共に寝る。
 毎日家族だけで過ごすのもそれはそれで楽しいですが、基本的に妻と私の共通の知り合いがほとんどですので、次の日が会社でも泊まっていったりする客も多いです。この状態がわれわれ家族の普通の状態であり、娘にもこのような人との付き合いができるようになってくれればいいなと思ってもいます。
 家が小さいので、たしかに間仕切りはできる限り少ないほうがよいと考えておりますが、夫婦寝室と子供部屋兼客寝室だけは、どうしても壁で仕切りたいと思っております。クローゼットを設けるほうがお金がかかるのであれば、タンスを置くことも考えております。そうやってコストを押さえていけるような間取りを考えていきたいと思います。

 ただ、総2階案はやはり駐車スペースの関係上難しくなってきます。上記の通り、車での来客も考えておりますので、最低でも2台の、それもRV車ぶんの大きさを確保したいと思っております。大きい車ですので片側が道路に面しているとしても、幅2100×長さ5100は必要になってきます。
 残った面積を総2階にすると、どうしても共有スペースが小さくなってしまいます。3階建ても考えましたが、お金の面でストップがかかるであろうことは当初から確認しておりましたので、2階部分が1階部分より広いという構造にどうしてもなってしまいます。
 ここで疑問が浮かぶのですが、今回の図面のように壁を設けられない2階部分のせり出しはどこまで大丈夫なのか?ということです。もし差し支えなければ教えていただけませんでしょうか。別料金でもかまいませんので、よろしくお願い致します。

 家族の行動パターンについてですが、1日の行動スケジュールは、7:00起床、朝食後隣の保育園に娘を預けて8:30出勤。(妻、私共に会社へは歩いて15分以内)
 妻、私共に17:30退社。18:00保育園を経由し帰宅。18:30〜19:00夕食。21:00お風呂(その後娘就寝)23:00夫婦就寝。
 平日はこんな感じで、来客があるとすれば夕食前後。そのまま次の日の朝同時に起床で同時に出社するケースが多いです。

 土日休日の場合は8:00起床、朝食後〜24:00自由に過ごす。昼食、夕食はその場の流れで大体の時間に合わせて取ります。基本的に娘が小さいうちは、3人+αの行動がほとんどですので、「家でゴロゴロ」「おでかけ」「ビデオ鑑賞」「実家へ泊まりに」「友達誘っておいしいものを探しに」「ブラブラ買い物」と行動を誰か(今の状態では妻と私のどちらか)が企画してその行動を行なう、と言う形がとられることが多いです。
 これが大まかな生活パターンです。

 趣味ということですが、私の趣味範囲は広いのですが、すべて浅く、イロイロなものに手をつけては飽きてを繰り返しています。仕事がらパソコンは手放せませんが、家庭の中でパソコンは新聞の代わりであり、雑誌の代わりであり、テレビの代わりであり、電話の代わりです。ということで取り立てて決まった趣味はありませんが、強いて言えば「新しいもの好き」が趣味ですね。
 妻は無趣味です。強いて言えば今は娘が趣味です。というのも、妻は現在育児休暇を取っておりますので、どうしても「娘」一色になってしまいますね。といっても昔はハンググライダーをやっていたり、石鹸を作ってみたり。そういったこまかな趣味を持っています。まあ基本的に二人とも「遊ぶ」ことが趣味という感じです。
 また今回も長くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします。



 
駐車場確保の難問



 TomtomBoxの菊地です。メールありがとうございました。
 車と駐車スペースに関して、大きな勘違いをしていました。私はてっきり東西方向に2台停めるものだとばかり思い、先日考えた総2階の案もそれに沿ったものです。その大きさの車ですと1台しか停められず、私のプランは使えません。停める車の大きさを最初にうかがうべきでした。失敗です。
 2.1×5.1メートル×2台の駐車スペースが絶対だとすると、(おそらく絶対条件だと思いますが…)計画は一から練り直しです。土地に対して駐車スペースが30%もあるので、プロでも非常に難しい計画です。おそらく何かを犠牲にしなくてはならないでしょう。

 ご質問にありました2階部分のせり出しですが、コンクリートの片持ち梁でやっても900が限度です。(木造ではバルコニーのような簡易なもの以外は不可能)
 建物は本来上からの荷重をまっすぐ下に伝えてやるのが原則ですから、1階よりも2階が 大きい計画は極力避けるべきでしょう。
 望ましいのは1階を総コンクリート製の車庫だけにし、その上に2階建ての木造を建てて3階建てにするやり方です。コスト面が厳しくなり、法規上も多くの制約がありますが、丈夫で住みやすい家が出来ます。その場合、車庫横の階段を上がった2階に居住部分を作り、3階に寝室部分を作る計画がいいと思います。

 1階の陽当たりを犠牲にし、建物の矩形にこだわらなければ総2階でもなんとか収まるかもしれません。その場合、敷地北側に車を1台横に置き、西側に縦に1台置くのが車の出し入れがしやすいでしょう。残ったスペースに逆L字形に建物を置きます。このとき、南側はぎりぎり600離れとなります。
 2階の陽当たりは天窓のようなものを作り、そこから光を落とすようにするべきでしょう。(技術的にはちょっと難しい)1階窓は確認申請を通すだけの窓です。

 私がすべて考えてもいいですが、そうなると「添削」から逸脱してしまいます。上の条件で、まず青葉さんが考えてみてください。
 ところでご報告が遅れましたが、入金確認いたしました。ありがとうございました。差し支えなければこれからの工事のご予定なども教えていただきたいと思います。それでは。



 メール拝見いたしました。本当に面倒なことを言ってしまって申し訳ありません。
 確かに何かを犠牲にしなければと考えました。ただ妥協と犠牲はできる限りしたくないと考えておりましたので妻と夜な夜な話合い、もう一度間取りを書いてみました。申し訳ありませんがもう一度よろしくお願いいたします。別途料金がかかるようでしたらそのときは何なりと言ってください。

…青葉さんの描いた間取り図〜その4…

 まずは問題の駐車場です。せり出しが事実上できないとなりますと、菊地さんのおっしゃる通りL字型の建物になります。ちなみに駐車場のスペースは2275×5157をとって北側と西側に配置してみました。北側であれば道路側、西側であれば私道側に車のドアをはみ出す格好になりますが、何とかなると思います。常時開けておくわけではないわけですし、なんと言っても気をつけさえすればドアが全開できるのはよいことです。公道側はかなり気をつけなければなりませんが…。

 さて建物に入ります。菊地さんの1階総駐車場案はとてもあこがれますが、料金面がなんとも難しいと思います。玄関側が少々私道側に近くなってしまいますが、ボイラー室などを置くためにそういたしました。私道側で、ほんの一部ですから少々の足場の出っ張りがあっても大丈夫かも…と思ったのですが…。先ほども書いたとおりボイラー室を設け、北側にクローゼット(物入れ)を設けました。玄関ドアにガラス部分があれば明るさは確保できるかと思ったのですがどうでしょうか?
 そして玄関横にトイレを設けました。1階の部屋はやはり夫婦寝室と子供部屋(客用寝室)だけになり、夫婦寝室は階段下を利用しています。できるかどうか分かりませんが、階段下の低くなりそうな部分はクローゼットとして区切って使いたいと考えております。
 で前回から問題になっていた階段ですが、菊地さんのお話を踏まえて、廊下を進んだ突き当たりを一段高くし、910×910とりまして、そこから北側に12段上って、最後の段を西側に一段上がって合計14段で2階のリビン グに上りきることができます。廊下北側のもの入れは部屋側のクローゼットを広げてもよいかとも考えておりますので、そこは臨機応変に変えていきたいと思います。

 あとは2階ですが、今回大きく変更した部分が数箇所あります。対面キッチンと脱衣所です。対面キッチンはどうしても部屋の大きさを殺してしまうため、今回は妻とも話し合い東方の壁に押し付ける形にしました。
 反対に西側にクローゼットを設けて中にはキッチンで使用する雑貨などをいれてできる限りシンプルにしたいと思います。クローゼットの西側に洗面所と脱衣所をいっしょにした空間を設けました。本当は脱衣所を別にとも考えましたがヤッパリ難しいことからこうなりました。
 話し合った結果、お風呂場の大きさを大きくすることでなんとか妥協しました。上に書いたとおり、トイレ、玄関、物入れの2階部分をすべてお風呂と考えると1.25坪のユニットが入ります。

 これが今回の間取りになります。まだ窓の位置が正式に決まっていませんが、南、東に600ギリギリに建つことになるため、北側と西側に窓を設けようと思っております。もしできれば天窓もほしいところですが、それは構造上できればでかまわないと思っております。
 ということでまた大幅に変わってしまいましたが、どうぞよろしくお願いいたします。



 札幌の菊地です。メールと図面〜その4、届きました。
 予想通り、かなり難しいプランになってきたようです。南の窓を捨て、西と北に窓を設けるというのはひとつの考えだと思います。
 図面を見て気がついた点をいくつかあげてみます。

■台所床と階段上部との距離
 この配置ですと階段開口高さが800くらいしかなく、
(6段×200-天井ふところ寸法400=800)頭がつかえてしまって人が昇り降り出来ません。階段上部は原則として開放、使っても下3段までが限度です。

■洗濯機&乾燥機スペース
 これが図面にありませんが、よろしいのでしょうか?

■夫婦寝室の形状
 かなりいびつになっていて、使いにくいでしょう。これに関連しますが、玄関〜階段までのホールスペースに死に場所(無駄な場所)が多く、これはローコスト&コンパクト住宅では極力なくすべきです。柱や壁の材料も多くなり、コスト高にもつながります。
 いっそ階段を直線で南側に配置する考えはいかがでしょう?この場合、真下のスペースがすべて収納に使用出来ます。(幅1820以上あります)

 ところで、クローゼット等の収納スペースが割と多いように感じますが、何平米くらいお考えですか?いま持っているものと買い足すものとを考えると、天井高さ2400として、だいたいの数値が出ると思います。
 ちなみに、私の家は押入れは幅2730m奥行き910のものがひとつ、クローゼットが幅910、奥行き1365のものがひとつ(前後と上下にパイプを3本つけて、大容量です)あとは何もありません。タンスは幅900のものが二つです。
 息子たちがいたころは高さ600くらいのベットを二つ自分で作り、下を収納にあてていました。(ホームページの連載に写真が写っています)
 このほか、床下に全面コンクリートを打ち、一部収納に使っています。(これが結構大きいかも?)また、台所は幅1800、高さ1800の食器棚と流し下の収納棚だけでやりくりしています。(台所上部収納は一切なし)

 実は昨日、青葉さんとは全く違うコンセプトで間取り案がひとつ出来ました。
・夫婦寝室4.25畳の長方形(幅2400、奥行き600クローゼットつき)
・来客室7.5畳の長方形(幅1800奥行き900収納つき)
・居間10.25畳のL字形
・台所2.8畳(居間とワンルームだが、下がり壁で区切られている)

 ただし、お風呂は0.75坪タイプですが、問題あるでしょうか?洗濯機、洗面所、ボイラのスペースはあります。いただいたプランのお風呂すべてが1坪以上あるので、もしかしてこれが絶対条件のひとつかな?とも思っています。
 あと、南側にすべての部屋を配置した関係で、夫婦寝室と客室の間に仕切戸が出来てしまいます。法規上、どうしても必要なものですが、これは完成検査後に完全に閉じてしまってもかまいません。
 例によってラフスケッチ段階ですが、もしご覧になりたければ作図してから後日お送りしても構いません。ただ、いま急ぎの仕事が入っているので、少し遅れるかもしれません。

 以前のメールでまだお答えしてなかったことがありますので、まとめてお答えします。石油タンクですが、200リットルタイプで幅427のものがあります。隣地との境界にこれを設置するといいでしょう。過去、私の家で200リットル以上の給油は一度もないので、これで充分かと思われます。
 IHヒーターのことですが、実は我が家がそうなのです。ものすごく快適ですよ。値段も15万くらいで、電気契約は40Aですが、電気代はすべてこみで月平均8000円弱です。おかげで、石油&電気&ガスの三つのエネルギーを使っていたマンション時代より、光熱費が大幅に減りました。これは絶対におすすめです。

 添削の追加料金のことが書いてありましたが、気を遣っていただいて大変ありがたく思っています。私のプランを出した段階で再検討するってことでいかがでしょうか?詳細設計レベルではないので、初回料金よりも上がることはありません。
 仕事の関係で明日から数日間、メールの返信が滞るかもしれません。それでは。



 
苦渋の解決案



 菊地です。青葉さんの家のことがどうにも気になってならず、昨夜遅くまでかかって図面のほうを仕上げてしまいました。添付いたしますので、ご覧になってください。ソフトの関係で数字が見づらいですが、だいたいの様子は分かると思います。
 今回、モジュールを910から900に減らしました。大きな差は出ませんが、実は600の離れですと外壁の仕様によっては、民法の「外壁は隣地境界線から500以上離す」に触れる可能性があります。今回の図面では隣地側は650の離れにしました。

…TOM工房/菊地による解決案…

 図面のおおまかな説明をします。

●駐車場RV車用2台確保
 西側の離れが2350で、ここに車を停めたときのドアの開け閉めがきゅうくつですが、人の出入りは出来ます。セキュリティ面でやや不安はありますが、思い切って玄関ドアを引戸にする手法もあります。

●1階動線を整理
 玄関〜階段〜1階各室〜トイレなどの動線が最短でしかもぶつからなく、なおかつスペースの無駄がありません。
 階段を降りてきてトイレに入るのも、安全でスムーズ。玄関からトイレの出入りが見えず、玄関から階段の昇り降りが直接見えません。(これらが玄関から丸見えなのはよくない間取りとされています)
 玄関は幅1500と十分な余裕があり、靴箱も確保してあります。同様にトイレも奥行き1500と余裕があります。

●1階寝室をそれぞれ4.7畳、7.5畳確保
 各室に合計幅3600ほどのクローゼットを確保し、収納は充分と思われます。部屋形状にも無理がなく、充分な広さがあります。
 西側クローゼットの左端にあるスペースは、2階の設備配管のためのパイプスペースで、 これはどうしても必要です。道路側につなぐので、この場所が最もローコストです。

 法規上、ふたつの部屋は開放可能な両開きの戸をつけなくてはなりません。これは法規上唯一有効な採光を確保出来る西側の窓を共有するためです。(ちなみに、東と南の窓は法規上、すべて無効な窓です)
 ここはあとでふさぐ手法もありますが、とりあえずワンルームのように使い、様子をみる考えもあります。開き戸には防音上の配慮をしてやれば、現状でもあまり支障ないようにも思えます。
 反対にこの仕切りを開いて来客時に大人数で修学旅行のような眠り方が出来るのではないか?などと勝手に想像したりしています。いずれにしても多機能な使い方が出来るというのは、ワンルーム形式の最大の利点です。

 東側に窓をひとつ設けたのは、もしかすると将来東の部屋をふたつに仕切るかもしれないからです。(子供が増えるか、子供の成長など)また、この窓は玄関から入ったとき、まっすぐ視線が外に抜けるので、空間の視覚的な広がりをもたせることが出来ます。
 隣地との距離がないので、1階の窓にはすりガラスを使うか、ブラインドを設けるなどの目隠しの配慮が必要でしょう。

●1階床下に収納空間を確保(点線部分が取外し蓋です)
 これは我が家と同じ手法です。工費はさして高くはなりません。ゴルフ用具、スキーとかキャンプ用具などの季節用品はすべてここに入ります。

●安全な階段
 曲がり部の段差を極力おさえ、特に2階曲がり部は全面踊り場としました。ここは通風用に窓をひんぱんに開け閉めする可能性があるので、特に安全への配慮が必要です。

●合計13畳分のLDK
 L字形ですが、南東部分をたまり部にすれば、おおぜいの人が集う空間が出来ます。台所は狭いですが、居間との境界に作業台兼収納台(ワークテーブル)を作っておき、多機能に使います。レンジやコーヒーサーバーを置いたり、ここで簡単な食事をとることも可能です。
 真ん中のへこんだ場所にあるのは、幅1800の食器棚スペースです。手持ちの家具か、新しく買う家具を置いてもいいですが、特注のものを作ってもいいと思います。台所を奥にした関係で、配膳時の動線がやや遠いかもしれませんが、収納スペースとしては充分です。

●PC机と腰壁
 階段と居間の仕切りには壁を設けず、床から半分だけたちあがった腰壁だけにします。これは視覚的に居間の広がりをもたせるためと、南北の風を通りをよくするためです。こうすることで、階段上部の窓から光と風が居間に入ってきます。
 階段横に出来たスペースに机をしつらえます。本などの収納のほか、パソコンも置けます。台所のワークテーブルを中心とした作業だまり、南東角のベンチを中心としたくつろぎだまり、パソコンを中心とした趣味だまりと、以上三つのたまりが居間に出来ます。

●ユーティリティ
 狭いですが、ユニットバス、洗面所、洗濯機&乾燥機、給湯ボイラなどがすべて入ります。収納は洗面所と洗濯機上部にとります。
 1坪タイプのユニットバスにする場合、居間がその分狭くなりますが、居間との境界壁を450下にずらします。

●天窓兼換気用のタワー
 南側民家の様子が分からないので何とも言えませんが、2階の採光も苦しいと思います。居間中央に天窓兼換気用のタワーを設け、そこから光りを落としてやります。技術的にはそう難しくなく、工費アップもそれほどではないでしょう。

●通風
 他の項目と重複しますが、南北と東西に窓が通っているため、非常に風通しのいい涼しい家が出来ます。断熱をきちんとしてやれば、クーラーは不要かもしれません。
 また、基礎部分と天窓部分に通風口をそれぞれ設け、上下の自然換気を図ります。(私の家でやっている「パッシブ換気」の応用です)こうすれば設備費や維持費のかかる24時間換気設備は不要になります。
 家全体の風通しがいいということは、家に結露やカビが発生しにくく、健康で長持ちする家だということです。

●水回り設備を一ケ所に
 1〜2階の水回り設備を西側にまとめ、ローコストを図ります。ただし、暖房ボイラは1階北側収納の中に入れます。石油タンクはそのすぐ外の壁際なので、この位置が合理的です。内装材に防火上の配慮は必要ですが、暖房配管は1階から出発するので、この場所でも何ら問題はありません。
 給湯ボイラだけは温水がさめてしまうことを考えると、2階の台所かお風呂近くが最も合理的です。ここへの石油の供給は、電動のリフターを使います。(安価です)

●引戸の多用
 玄関以外の出入口はすべて引戸を使用して、空間の有効利用を図っています。

●合理的な壁配置
 全体的に壁の上下を極力あわせ、構造的、動線的に有利になるようにしました。おおまかな構造計算もすでにしてありますが、構造的にはローコストにあがると思います。構造的な無理がほとんどないので、非常に上部な建物になります。
 強いて弱点をあげるなら、L字形の部分に壁がないこと。しかし、そう大きな問題ではないです。

●ローコスト
 これまた重複しますが、いろいろな配慮でかなりローコストな住宅になります。内外装材をどうするかにもよりますが、おそらくはご予算の範囲で収まるはずです。

 換気や断熱、立面の計画、建具や照明計画なども私の頭の中のイメージではおおよそ出来上がっていますが、この図面では表現出来ません。まずこの案を奥様とじっくり見て話合っていただき、青葉さんご自身の修正案ともつきあわせていただいて今後どうなさるのかを決定してください。それでは。



 
衝撃の最終決着



 お久しぶりです。と前置きしてしまうことになってしまったのは、土地の件が白紙になってしまったからです。唐突で本当に申し訳ありませんが、今回お話させて頂いておりました土地が別の人の手に渡ってしまいました。
 最初は驚きました。申し込みを終えて安心しきっていたところへの話でしたので驚き、夫婦ともども肩を落としてしまいました。最初に申し込みを行ったA不動産の営業の方とのお話がかみ合わず、微妙な不信感を持ち始めたことが事の始まりです。菊地さんとの話がうまく進み始めた時期でしたので、そんな不安もどこへやら、夢の詰まった間取りを考えていたころでした。そのときにはもう別のB不動産会社で契約が成立していたのだそうです。

 その後もA不動産からは、「まだか?」「相手は値引きはしないかもと言っている」などの電話がきておりましたので、急がねばと思いつつ、それでも最終的な決定を下せないでいました。融資の件もあり、他で契約が決まっていたのではどうやってもこちらの契約を取り交わすことはできなかったので、まだあきらめもつきますが、この内容をB不動産から聞いたときは本当にビックリいたしました。
 結局本日A不動産から、最終的な値引交渉の結果ヤッパリ値引きはできないそうです、と言う返事を聞いたところで、なんとも嫌な予感がしました。本当にこういうことってあるんですね。そのままの値段でも良かったのですが、とりあえず申し込みを白紙に戻していただくようにA不動産に伝え、ネットで探したその土地近辺のB不動産へなんとなく電話をし、その土地のことを聞いたところで先ほどの話になりました。
「先先週に決まっていた土地のことを…。おかしいですねぇ。」とB不動産にも言われましたが、本当におかしいでは済まされないと思いました。「カン」ではありましたが、その後も知らずにA不動産に頼んでいたら安心して取引はできなかったと思います。

 B不動産会社の方に、「これも何かの縁ですのでもっといい土地が見つかりますよ」と言っていただきましたので、これからはB不動産さんで新たに土地を探していきたいと思います。
 せっかくいろいろよくしていただいて本当に申し訳ありませんが、またよい土地が見つかり次第、新たに連絡させていただきますので、今回のお話は不本意ではありますが、ここで一旦終了ということでお願いいたします。
 これからも菊地さんのサイトは楽しく拝見させていただこうと妻とも話しておりますので、更新大変かと思いますががんばってください。

 しょうがないという気持ちよりかは、本当にこれも何かの縁でもっとよい土地が見つかるかも、と楽天的に夫婦ともども考え、新たな土地を探していきたいと思います。
 最後になりましたが、菊地さんと交わしたメールで私たち夫婦はとても大きく成長することができたと思います。これもひとえに菊地さんのおかげと思っております。本当に本当にありがとうございました。ただ、またお世話になるかもしれませんので、お礼はこの辺にしておきたいと思います。
 これをよいほうに生かして、良い家を建てたいと思います。それでは失礼いたします。



 札幌の菊地です。予期せぬアクシデントで土地が入手不可能になってしまったとのことで、おきのどくです。私の案を送付後、しばらく音沙汰がないので、ちょっと嫌な予感がしていましたが、当たってしまいました。
 連載にも書きましたが、実はこの私自身も最初の土地が流れてしまった当事者です。紆余曲折のすえ、いまの土地を買ったのがそのわずか1ケ月後。家や土地に関しては、どうもこの「熱く燃えているときが勝負」のようです。ですから青葉さんも、いろいろ独自に勉強なさったいまが事を進める大きなチャンスなのだと思います。そういうときには、不思議に次のいい土地が見つかるものです。

 いまさらの感がありますが、今回添付しましたのは前回の案の修正案です。時がたつとなぜかいい案が次々に出てきます。

…TOM工房/菊地による最終修正案…

●1階寝室を完全に壁で仕切った。
 1階レイアウトには無駄がないので基本的には変えてませんが、東の寝室の有効窓を階段下の北側にとったことで、東西の寝室を完全に区切りました。西の寝室のクローゼットは、以前お話した奥行きの深い二段式クローゼットです。下段に簡単な寝具も置けます。

●2階キッチンの位置変更
 キッチンの幅は2550、という大事な条件を忘れていました。北側に配置することで解決しました。冷蔵庫は南西の角になります。

●2階ユーティリティの変更
 壁の位置を南に下げ、広くしました。現状の0.75坪の浴室ユニットを使った場合はトイレが配置出来ますし、1坪の浴室ユニットを使った場合はトイレがなくなります。(吹出しで両方の案を描いてあります)

 以上の変更によって2階の居間は前回よりも多少狭くなりますが、前回ご提案した「三つのたまり」はそのまま確保出来ます。今回の修正案で、価格の件も含め、当初にご提示いただいた条件はすべて満たしていると思います。
 途中のメール交換の中でもお話ししましたが、青葉さんの家は「集う家」ではないかと思います。家族のだんらんや喜びもその「集う」という行為の中で進んでゆく。このキーワードは家作りの中でぜひとも貫くべきだと思います。

 結果的に流れてしまいましたが、今回のプランは私にとって大変楽しく、有意義なものでした。設計条件は極めて難しいものでしたが、広い土地に好き勝手にレイアウトするより、今回のように多くの制約がある中から解決策を探っていくやり方が、自分には合っているように感じました。
 前回提示の案そのものが「間取り相談」の主旨からは少し逸脱したものであり、今回重ねてお送りした修正案も具体案としては意味のないものですが、「クイズの答えを見つけた楽しさをお知らせしたい」という私の単純さのようなものとして、どうぞご理解ください。

 今後のことですが、何らかの形で関わらせていただけると大変うれしいです。青葉さんご夫婦は自分たちの娘や息子たちのような年代なので、その若さで家を持たれることに驚きと敬意を感じています。
 今回のメールのやり取りで、青葉さんご夫婦の生き方、暮し方、考え方などがかなり把握出来たと思いますので、次回はよりスムーズに話が進むと思います。

 ローコスト住宅で妥協しない家作りをめざす場合、まず詳細図面を固めてしまうのが得策かと思われます。もちろん、そのまま確認申請まで出せるくらいに煮詰めたものです。この図面ですと見積りも詳細に出ます。見積りの出し方によって工務店の優劣も見分けやすくなります。(いい加減な工務店は見積りのどこかにそれが表れます)見積りによって工事費のおおよその目処がたったら、ここで確認申請を出すわけです。
 あいまいなプランのまま、安易に工務店に声をかけてしまうと、施工者の都合のいいようにプランが変えられてしまうことが多々あります。工務店にも設計者はいますが、あくまで施工者側に立った物の見方しかしません。それが経済の論理です。

 これまでの単なる間取り相談のほか、もしもご希望なさるのなら、もっと踏み込んだ形でのご協力もいたしますので、その節はどうぞお声をかけてください。
 ローコスト住宅の場合、設計料にも制約があるとは思いますが、現場監理や役所との折衝を一切なくして図面作成だけに設計の仕事を限定すれば、かなり割安になります。確認申請は施主ご自身でやっていただくことになります。おそらく青葉さんにはそのお力があるのではないでしょうか。
 青葉さんご夫妻の今後の家作りが首尾よく進まれることをお祈りしています。それではまたいつか。



 青葉です。メール拝見いたしました。返信が遅れてしまって申し訳ありません。娘が一歳前の洗礼を受け、39度の熱を出しておりました。夫婦ともども初めての経験で、とてもばたばたしてしまいました。一歳前には誰もが通る道のようで、娘はケロッとしておりまして、なんとも不思議な気分でした。
 さて、本題ですが、菊地さんのサイトを拝見しているときから「こういうこともあるんだなぁ」と思っていたものですが、いざ自分に降りかかると、これも青葉一家の良い家を手に入れるための一種の洗礼なのかな?と思ってしまいました。
 唯一残念なのが、菊地さんからお話いただいた間取りが夢と終わってしまったことです。しかし、「次回相談するときはもっともっと良い間取りを」と心に刻んで、新しい土地を探していきたいと思います。長々とお付き合いいただきまして、本当に申し訳ありませんでした。忙しくあわただしくも、とても楽しく勉強になった不思議な期間でした。

 最後に何度書いても一緒かと思いますが、本当にありがとうございました、と書かせていただきます。これからもサイトのほうちょくちょく拝見いたしますので、お体にだけは気をつけて更新のほうがんばってください。またお会いできる日を楽しみにして土地を探します。それでは失礼いたします。



 約1カ月にわたる二度目の「インターネット住宅間取り相談」は、当該土地の契約流れという衝撃的結末により、こうして終わりを告げた。だが、相談の中で青葉さん自身も告白されているように、依頼者にとって極めて有意義なものであったことは間違いないし、相談者である私自身にとっても非常に価値あるものだった。
「狭小地」「ローコスト」「RV車2台駐車」という相矛盾する厳しい条件下での間取り案作成は困難を極めたが、すべての条件を満たすひとまずの解答は出た。もう少し時間をかければ、よりよい修正案が出そうな予感もあるが、すでに物件が流れてしまったいま、これ以上時間を費やすことは出来ない。

 今回の相談で強く感じたことがある。条件がより厳しさを増した場合、間取り、すなわち平面計画と立面計画は切っても切り離せず、常に並行して考える必要があることだ。階段の収まりのような物理的な問題の解決のほか、法的規制のようなより複雑な問題がそれにからんでくる。こうなるともはや専門知識のない素人だけでのプラン進行は不可能となる。
 ある意味で、ネット上での簡易な「間取り相談」の限界と言えるのかもしれない。結果的に実らなかったが、今回の数多くのメールと図面のやり取りは、単なる間取り相談の領域を越えた「設計相談」の色濃いものだった。

 蛇足だが、売買契約締結前で、登記の済んでいない土地に計画する家の設計依頼を積極的に受ける建築家、建築業者はあまりいないかもしれない。今回のケースのように手間暇かけた作業の多くが無駄になってしまう可能性があるからで、私の場合は決められた相談料内ですべてが完結するシステムなので特に支障ないが、具体的な話を専門家や業者に持ち込む場合、はやる気持ちを抑えてまず土地の登記を済ませる、という手順を踏むことをお勧めしたい。
 土地を手にするということは、手付金を払って契約書に判を押すまで、本当に何があるか分からないのである。

 青葉さんの今後の家作りがどう進むのか、土地が白紙に戻ったいまは全く予想がつかない。だが青葉さんご夫婦の自分流の生き方に対するこだわりが続く限り、先に書いた厳しい条件下での家作りは変わることはないだろう。多数のプランが乱れ飛んだ今回の相談が何らかの形で役立つ日が、いつかやってくることを陰ながら祈りたい。