衝撃の最終決着
お久しぶりです。と前置きしてしまうことになってしまったのは、土地の件が白紙になってしまったからです。唐突で本当に申し訳ありませんが、今回お話させて頂いておりました土地が別の人の手に渡ってしまいました。
最初は驚きました。申し込みを終えて安心しきっていたところへの話でしたので驚き、夫婦ともども肩を落としてしまいました。最初に申し込みを行ったA不動産の営業の方とのお話がかみ合わず、微妙な不信感を持ち始めたことが事の始まりです。菊地さんとの話がうまく進み始めた時期でしたので、そんな不安もどこへやら、夢の詰まった間取りを考えていたころでした。そのときにはもう別のB不動産会社で契約が成立していたのだそうです。
その後もA不動産からは、「まだか?」「相手は値引きはしないかもと言っている」などの電話がきておりましたので、急がねばと思いつつ、それでも最終的な決定を下せないでいました。融資の件もあり、他で契約が決まっていたのではどうやってもこちらの契約を取り交わすことはできなかったので、まだあきらめもつきますが、この内容をB不動産から聞いたときは本当にビックリいたしました。
結局本日A不動産から、最終的な値引交渉の結果ヤッパリ値引きはできないそうです、と言う返事を聞いたところで、なんとも嫌な予感がしました。本当にこういうことってあるんですね。そのままの値段でも良かったのですが、とりあえず申し込みを白紙に戻していただくようにA不動産に伝え、ネットで探したその土地近辺のB不動産へなんとなく電話をし、その土地のことを聞いたところで先ほどの話になりました。
「先先週に決まっていた土地のことを…。おかしいですねぇ。」とB不動産にも言われましたが、本当におかしいでは済まされないと思いました。「カン」ではありましたが、その後も知らずにA不動産に頼んでいたら安心して取引はできなかったと思います。
B不動産会社の方に、「これも何かの縁ですのでもっといい土地が見つかりますよ」と言っていただきましたので、これからはB不動産さんで新たに土地を探していきたいと思います。
せっかくいろいろよくしていただいて本当に申し訳ありませんが、またよい土地が見つかり次第、新たに連絡させていただきますので、今回のお話は不本意ではありますが、ここで一旦終了ということでお願いいたします。
これからも菊地さんのサイトは楽しく拝見させていただこうと妻とも話しておりますので、更新大変かと思いますががんばってください。
しょうがないという気持ちよりかは、本当にこれも何かの縁でもっとよい土地が見つかるかも、と楽天的に夫婦ともども考え、新たな土地を探していきたいと思います。
最後になりましたが、菊地さんと交わしたメールで私たち夫婦はとても大きく成長することができたと思います。これもひとえに菊地さんのおかげと思っております。本当に本当にありがとうございました。ただ、またお世話になるかもしれませんので、お礼はこの辺にしておきたいと思います。
これをよいほうに生かして、良い家を建てたいと思います。それでは失礼いたします。
札幌の菊地です。予期せぬアクシデントで土地が入手不可能になってしまったとのことで、おきのどくです。私の案を送付後、しばらく音沙汰がないので、ちょっと嫌な予感がしていましたが、当たってしまいました。
連載にも書きましたが、実はこの私自身も最初の土地が流れてしまった当事者です。紆余曲折のすえ、いまの土地を買ったのがそのわずか1ケ月後。家や土地に関しては、どうもこの「熱く燃えているときが勝負」のようです。ですから青葉さんも、いろいろ独自に勉強なさったいまが事を進める大きなチャンスなのだと思います。そういうときには、不思議に次のいい土地が見つかるものです。
いまさらの感がありますが、今回添付しましたのは前回の案の修正案です。時がたつとなぜかいい案が次々に出てきます。
…TOM工房/菊地による最終修正案…
●1階寝室を完全に壁で仕切った。
1階レイアウトには無駄がないので基本的には変えてませんが、東の寝室の有効窓を階段下の北側にとったことで、東西の寝室を完全に区切りました。西の寝室のクローゼットは、以前お話した奥行きの深い二段式クローゼットです。下段に簡単な寝具も置けます。
●2階キッチンの位置変更
キッチンの幅は2550、という大事な条件を忘れていました。北側に配置することで解決しました。冷蔵庫は南西の角になります。
●2階ユーティリティの変更
壁の位置を南に下げ、広くしました。現状の0.75坪の浴室ユニットを使った場合はトイレが配置出来ますし、1坪の浴室ユニットを使った場合はトイレがなくなります。(吹出しで両方の案を描いてあります)
以上の変更によって2階の居間は前回よりも多少狭くなりますが、前回ご提案した「三つのたまり」はそのまま確保出来ます。今回の修正案で、価格の件も含め、当初にご提示いただいた条件はすべて満たしていると思います。
途中のメール交換の中でもお話ししましたが、青葉さんの家は「集う家」ではないかと思います。家族のだんらんや喜びもその「集う」という行為の中で進んでゆく。このキーワードは家作りの中でぜひとも貫くべきだと思います。
結果的に流れてしまいましたが、今回のプランは私にとって大変楽しく、有意義なものでした。設計条件は極めて難しいものでしたが、広い土地に好き勝手にレイアウトするより、今回のように多くの制約がある中から解決策を探っていくやり方が、自分には合っているように感じました。
前回提示の案そのものが「間取り相談」の主旨からは少し逸脱したものであり、今回重ねてお送りした修正案も具体案としては意味のないものですが、「クイズの答えを見つけた楽しさをお知らせしたい」という私の単純さのようなものとして、どうぞご理解ください。
今後のことですが、何らかの形で関わらせていただけると大変うれしいです。青葉さんご夫婦は自分たちの娘や息子たちのような年代なので、その若さで家を持たれることに驚きと敬意を感じています。
今回のメールのやり取りで、青葉さんご夫婦の生き方、暮し方、考え方などがかなり把握出来たと思いますので、次回はよりスムーズに話が進むと思います。
ローコスト住宅で妥協しない家作りをめざす場合、まず詳細図面を固めてしまうのが得策かと思われます。もちろん、そのまま確認申請まで出せるくらいに煮詰めたものです。この図面ですと見積りも詳細に出ます。見積りの出し方によって工務店の優劣も見分けやすくなります。(いい加減な工務店は見積りのどこかにそれが表れます)見積りによって工事費のおおよその目処がたったら、ここで確認申請を出すわけです。
あいまいなプランのまま、安易に工務店に声をかけてしまうと、施工者の都合のいいようにプランが変えられてしまうことが多々あります。工務店にも設計者はいますが、あくまで施工者側に立った物の見方しかしません。それが経済の論理です。
これまでの単なる間取り相談のほか、もしもご希望なさるのなら、もっと踏み込んだ形でのご協力もいたしますので、その節はどうぞお声をかけてください。
ローコスト住宅の場合、設計料にも制約があるとは思いますが、現場監理や役所との折衝を一切なくして図面作成だけに設計の仕事を限定すれば、かなり割安になります。確認申請は施主ご自身でやっていただくことになります。おそらく青葉さんにはそのお力があるのではないでしょうか。
青葉さんご夫妻の今後の家作りが首尾よく進まれることをお祈りしています。それではまたいつか。
青葉です。メール拝見いたしました。返信が遅れてしまって申し訳ありません。娘が一歳前の洗礼を受け、39度の熱を出しておりました。夫婦ともども初めての経験で、とてもばたばたしてしまいました。一歳前には誰もが通る道のようで、娘はケロッとしておりまして、なんとも不思議な気分でした。
さて、本題ですが、菊地さんのサイトを拝見しているときから「こういうこともあるんだなぁ」と思っていたものですが、いざ自分に降りかかると、これも青葉一家の良い家を手に入れるための一種の洗礼なのかな?と思ってしまいました。
唯一残念なのが、菊地さんからお話いただいた間取りが夢と終わってしまったことです。しかし、「次回相談するときはもっともっと良い間取りを」と心に刻んで、新しい土地を探していきたいと思います。長々とお付き合いいただきまして、本当に申し訳ありませんでした。忙しくあわただしくも、とても楽しく勉強になった不思議な期間でした。
最後に何度書いても一緒かと思いますが、本当にありがとうございました、と書かせていただきます。これからもサイトのほうちょくちょく拝見いたしますので、お体にだけは気をつけて更新のほうがんばってください。またお会いできる日を楽しみにして土地を探します。それでは失礼いたします。
約1カ月にわたる二度目の「インターネット住宅間取り相談」は、当該土地の契約流れという衝撃的結末により、こうして終わりを告げた。だが、相談の中で青葉さん自身も告白されているように、依頼者にとって極めて有意義なものであったことは間違いないし、相談者である私自身にとっても非常に価値あるものだった。
「狭小地」「ローコスト」「RV車2台駐車」という相矛盾する厳しい条件下での間取り案作成は困難を極めたが、すべての条件を満たすひとまずの解答は出た。もう少し時間をかければ、よりよい修正案が出そうな予感もあるが、すでに物件が流れてしまったいま、これ以上時間を費やすことは出来ない。
今回の相談で強く感じたことがある。条件がより厳しさを増した場合、間取り、すなわち平面計画と立面計画は切っても切り離せず、常に並行して考える必要があることだ。階段の収まりのような物理的な問題の解決のほか、法的規制のようなより複雑な問題がそれにからんでくる。こうなるともはや専門知識のない素人だけでのプラン進行は不可能となる。
ある意味で、ネット上での簡易な「間取り相談」の限界と言えるのかもしれない。結果的に実らなかったが、今回の数多くのメールと図面のやり取りは、単なる間取り相談の領域を越えた「設計相談」の色濃いものだった。
蛇足だが、売買契約締結前で、登記の済んでいない土地に計画する家の設計依頼を積極的に受ける建築家、建築業者はあまりいないかもしれない。今回のケースのように手間暇かけた作業の多くが無駄になってしまう可能性があるからで、私の場合は決められた相談料内ですべてが完結するシステムなので特に支障ないが、具体的な話を専門家や業者に持ち込む場合、はやる気持ちを抑えてまず土地の登記を済ませる、という手順を踏むことをお勧めしたい。
土地を手にするということは、手付金を払って契約書に判を押すまで、本当に何があるか分からないのである。
青葉さんの今後の家作りがどう進むのか、土地が白紙に戻ったいまは全く予想がつかない。だが青葉さんご夫婦の自分流の生き方に対するこだわりが続く限り、先に書いた厳しい条件下での家作りは変わることはないだろう。多数のプランが乱れ飛んだ今回の相談が何らかの形で役立つ日が、いつかやってくることを陰ながら祈りたい。