街角100ライブ


114 小樽運河フロート01st
   「水に漂う歌」
/2016.4.26



 ずっと温めてきた構想がついに実って、小樽運河沿いの遊歩道で初めて歌った。チカチカパフォーマンスと違って、ここで歌うためのライセンスや資格は特に必要ない。
 長年ここで路上ライブを続けている小樽在住のギタリスト、浜田隆史さんにいろいろ教えていただいたが、要は公衆の迷惑にならないよう、節度を守って演奏するということだった。
(基本的な部分でチカチカパフォーマンスと大きな違いはないが、一切を自分でコントロールするという点が異なる)
(場所が狭いので、人だかりができるパフォーマンスは無理と思われます)

 前日から天気の状態を調べたが、晴天は無理としても、雨の心配はなさそうだった。何より、風が強くないという予報が決め手となり、決行を決める。
 末の息子が小樽の大学に通っていたので、自宅からのルートは熟知している。運河になるべく近く、安い駐車場も数ヶ所ピックアップした。オニギリ持参で早めの12時ちょうどに出発。写真係として、妻も同行した。

 小樽に近づくに従って、次第に空が薄暗くなってくる。気温もじょじょに下がってきた。条件は悪いが、初回なので様子を見るだけでもよいと割り切ることにする。
 片道41Km、およそ1時間で現地到着。30分100円の駐車場も空いていた。そこから5分ほど歩いて運河の遊歩道に着く。
 歌う場所は北の外れにあるトイレの前だ。人通りは南端のほうが多いが、新参者なので隅っこで自重する。通行の邪魔にならない運河側の腰壁際に素早く機材を設営した。

 ギタリストの浜田さんはツアー明けのせいか、いつもの場所に姿は見えない。近くで水彩画絵葉書を展示販売していた男性に挨拶し、ただちに歌い始める。
 13時35分からのおよそ40分で、計11曲を歌った。


「I LOVE YOU」(初披露)
「オー・シャンゼリゼ」
「小樽のひとよ」
「風来坊」
「ダニーボーイ」
「つぐない」
「おれの小樽」
「大空と大地の中で」
「ビリーヴ」
「万里の河」
「釜山港へ帰れ」


 当初はジャンパーを脱いで歌うつもりでいたが、現地の温度表示を見ると、8.2度しかない。経験的に10度を切る環境下での路上ライブは厳しい。急きょジャンパーを着たまま歌うことにする。
 曇天で寒く、時折小雨もパラつく悪条件で、しかも平日である。通りを往く人の姿はまばらだったが、それでも関心を示してくれる方はそれなりにいて、手応え自体は決して悪くなかった。

 通路の反対側は高い石垣になっていて音の返りがよく、歌いやすい。石垣の向こうは3車線の広い道で交通量も多いが、高低差があるせいか騒音は気にならない。
 唯一の障害らしきものは近くのビル工事の騒音だが、これはやむを得ない。いろいろな場所で歌ってきたが、条件としては恵まれている部類だ。

 通行人との距離が近いので、PAのボリュームは地下通りよりも低めに設定した。反響がゼロに近いので、普段は使わないリバーブをわずかにかける。

 この日のテーマは特になく、強いて言うなら小樽関連の歌を入れることくらいで、あとはその場の思いつきで選んだ。まだ手探り段階だが、演歌系や洋楽系の曲よりはポップス系の曲のようが受けが良かった気がする。

 MCは一切なしで淡々と歌い続けたが、「ビリーヴ」を歌っているときに、突然ギターに異音がして、音がおかしくなった。調べてみると、なんと2番目に太い5弦がブリッジ部分で切れている。
 昨年の夏に3弦が切れたことがあったが、5弦が切れるとは予想外。応急処置を試みるが、回復しない。予備の弦も準備がない。近隣のガラスショップを散策に出かけた妻に連絡し、事情を話してライブの打切りを告げた。

 妻がやってくるまでの間、5弦を外したままで2曲歌ってみたが、ストローク系の曲ならそれなりに弾ける。しかし、5弦がないと間が抜けた印象で、続行はもはや不可能だった。

 妻と合流後、近くのカフェで珈琲とケーキのセットを食べる。車を停めた駐車場が提携していて、ここで飲食すると3時間の駐車料金が無料となってお得だった。

 予期せぬアクシデントにいくつか見舞われたが、手探りのお試しライブとしては、上々の出来だった。何より、自己責任下で時間や共演者を一切気にせず、自由気ままに演れるのがいい。これぞストリートライブである。
 演ってみて分かったが、「小樽運河」という歴史ある一種の異空間で歌うのは、かなり刺激的で気分がいい。条件が整えばどれだけの反応があるのか、ちょっと期待してしまう。

 今回の路上ライブ、シリーズ化するべく、自らネーミングを試みた。考えたすえ、「小樽運河フロート」に決める。
「フロート float」→「浮かぶ」「漂う」「流浪する」と、水辺で自由に歌うスタイルをイメージした。当日の天候やスケジュールを睨みながらのゲリラ的ライブになりそうだが、今後もぜひ続けたい。



115 チカチカ☆パフォーマンス95th
   「五分咲きサクラ」
/2016.4.28



 4月3度目のチカチカパフォーマンスに参加。連休直前なので集客面での大きな期待はできないが、連休に入ってしまうと、予定枠は希望者でほぼ埋まっている。
 連休中は客が増え、それに応じて投げ銭も増えるせいか、例年人気がある。単なるアマチュアパフォーマーに過ぎない私は、混雑を避けてエントリーが楽な平日枠をあえて選んだという次第。

 前回、かなり早めに家を出ても結局はパフォーマンス開始時間に大きな差はないことを悟り、今回はいつもより30分遅く家を出た。
 途中の道はサクラが五分咲き。昨年とほぼ同じペースだが、今年も無事にサクラを観られた。

 会場入りは14時40分ころで、当然ながら3組のパフォーマーの中で最も遅かった。14時開始なので、普通は最初のパフォーマーがとうに終わっているはずの時間である。しかし、そんな気配はなく、パフォーマンスはたけなわ。1組目がようやく終わったのは1時間経過の15時だった。
 続いて2組目が始まり、15時35分になって、ようやく私の番になった。およそ30分で8曲を歌う。


「I LOVE YOU」
「時代」
「空も飛べるはず」
「宗右衛門町ブルース」
「青春2」
「傘がない」
「いちご白書をもう一度」
「万里の河」


 外が肌寒かったので、地下通りを往く人はそれなりにいた。少なくとも外気温が21度を突破した前回よりは格段に多い。
 しかし、時間が16時に近いせいか、はたまた連休前に用事を済ませたいせいか、反応は極めて鈍い。このところ自宅での練習ではPAを使わずに生で歌っているので、喉の調子は抜群によかった。しかし、喉の調子と集客は全く関連がないようだ。

 この日は久しぶりに立って歌った。ソーラー式のLEDイルミネーションは使ったが、そのどちらも集客にはあまり関わっていないように思えた。

 ラスト2曲でようやく立ち止まってくれる人が現れ、それが引き金となって、少しだけ人が増えた。しかし、すでにライブは終盤。客が思うように集まらず、ズルズルと決められた時間を越えてしまうパフォーマーの気持ちも分からないではないが、ルールはルールだ。
 たまたまいつも聴いてくれる方だったので、「30分経過しましたので、これで打切りとさせていただきます」と告げて終了とした。リクエストが全くなかったのも、久しぶりのこと。

 この日もワンステージのみで終了。もっと演りたいが、時間的に演れないのだ。やり場のない脱力感を覚える。枠の割当て時間が増える来月以降に期待しよう。



116 チカチカ☆パフォーマンス96th
   「歌って墓参り」
/2016.5.6



 5月最初のチカチカパフォーマンスに参加した。3連休直後の平日金曜で、土日の連休にはさまれた微妙な日。地下通りがどんな様子なのか見当がつかなかったが、ちょうどこの日から平日チカチカパフォーマンスの開催時間が延長され、これまで14時だった開始時間が3時間早まって11時になる。
 終了時間はこれまでと同じ20時だが、1日を2枠に分けていたシステムに変わりはなく、最初の枠の終了時間が1時間半早まって、15時半終了となった。
 これまでの土日祝の開催時間に似てくるが、過去5年間も平日の昼間を中心に活動してきたので、今回の変更によってパフォーマンスがどう変わってゆくのか、こちらも見当がつかなかった。

 開始が早まっても午前中からパフォーマンスするつもりは現段階でなく、これまでより1時間ほど早めに家を出て会場入りし、他のパフォーマーの動向もうかがいつつ、人の流れや集客を見極めようと考えた。
 たまたま明日が亡き父の命日に当っていて、なるべくなら混雑を避けて平日に墓参りを済ませたい。自宅からみてチカホと霊園は同じ方角なので、パフォーマンスを終わらせたあと、その足で墓参も済ませることにした。

 昼食をとる時間がないので、大きめのオニギリ持参で出発。途中で墓参用の花や菓子を買い、事務局に入ったのが13時半ころ。この日は作品系パフォーマーを含めて5組がエントリーしていたが、看板類が受付に多数あって、どうも様子がおかしい。
 開催時間は2時間半も過ぎていたが、念のため確かめると、似顔絵パフォーマー以外はまだ誰も来ていないという。この時間で1番乗りとは恐れいったが、看板類や騒音計一式を持って会場へと向かった。

 広場は閑散としていて、似顔絵のまつみさんが片隅にぽつんと座っているだけ。いつもは他のパフォーマンスの待ち時間に昼食を食べていたが、急きょ機材を組み立て、まずは歌ってしまうことにする。
 13時45分から始め、およそ30分で9曲を歌う。(※はリクエスト)


「さくら」(直太朗)
「さくらさくら」
「サクラ咲く(オリジナル)」
「野ばら」
「ハナミズキ」
「花の首飾り」
「カントリー・ロード」※
「熱き心に」※
「花束を君に」(初披露)


 平日の14時前に歌い始めたのは初めてだったが、午後の早い時間帯は集客的には悪くない。1曲目から立ち止まる人がけっこういて、3曲目にオリジナルを歌い終えたら、中年女性が「とてもいい声。家でゆっくり聴いてみたい」と、CDを2枚まとめて買ってくれた。
「まずはお試しに最初に出たCDを1枚」というのが一般的で、「2枚同時に」は過去にあまり例がない。幸先のよい出だしだった。

 その後も聴き手が途切れることはなく、終盤の「熱き心に」にでは、久しぶりに10人近くの人が立ち止まってくれた。

 この日のテーマは「花」で、リクエスト以外は花に関連する曲でまとめた。桜がちょうど満開から散り始めるころで、会場に至る遊歩道も桜の花びらで美しく彩られている。歌うにはまさにぴったりの時期だった。
「花束を君に」はNHK朝ドラのテーマソングで、十分に練習を重ねたうえでの初披露だったが、手応えはいまひとつ。曲調が難解なことと、開始1ヶ月でまだ馴染みが薄いのかもしれない。
 同じ切り口の「365日の紙飛行機」も最初は反応が弱かった。この種の曲には、ある程度の時間が必要だ。

 歌い終えて10分待ったが、会場には誰も現れない。そのまま切り上げて墓参りに向かおうかと一瞬思ったが、時間が少し早過ぎる。予定にはなかったが、14時25分から久しぶりに2ステージ目を始めることにする。
 およそ30分で9曲を歌う。(※はリクエスト)


「亜麻色の髪の乙女※」
「愛燦燦」
「愛人」
「赤い花白い花」
「I LOVE YOU」
「青葉城恋唄」
「万里の河※」
「白い冬※」
「箱根八里の半次郎※」


 この日、外は曇天で気温も平年なみ。地下の人通りは普段の平日とあまり変わらない感じだった。ただ、連休の谷間のせいか人々の足取りは穏やかで、歌に足を止める気持ちの余裕があったのかもしれない。
 後半も聴いてくれる人が途切れることはなく、リクエストも程よい感じでもらえた。

 予定にないステージだったので、1曲目は似顔絵のまつみさんが好きな曲をまず歌い、以降は関連する「あ行」の歌を適当に見繕った。
 途中から聴いてくれた高齢の女性、リクエスト用紙を調べつつ、「氷川きよしの歌が見つからない」と訴える。実は彼の曲はいくつか歌えるが、需要が少ないとみて、一覧には入れていない。

「そこにはありませんが、歌えますよ」と声をかけ、裏メニューから素早く何曲かをリストアップ。お応えした「箱根八里の半次郎」は数年ぶりに歌ったが、この日は喉の調子がよく、なかなかうまく歌えた。かの女性にも好評。

 ステージ終了後、ようやく遅い昼食をとる。似顔絵のまつみさんと歓談して時間をつぶしたが、終了時刻の15時半になっても誰も現れないので、看板類はすべて事務局に戻すことにする。

 その後ただちに霊園へと向かったが、到着は夕暮れ迫る16時45分。ここにも人影は全くなかったが、予定通り命日前に墓参を済ませることができた。
 あわただしく2つの用事を一気に済ませたせいか、帰り道で睡魔に襲われたが、何とか無事に自宅に帰着。今後の平日パフォーマンスがこの日のように都合よく展開するとはとても思えないが、ともかくも久しぶりに会心のパフォーマンスだったことは間違いない。



117 チカチカ☆パフォーマンス97th
   「幸せな歌」
/2016.5.8



 5月2度目のチカチカパフォーマンスに参加。一昨日に続くエントリーだが、土日祝の地下広場で歌うのは2年ぶりのこと。
 今月からチカチカパフォーマンスの開催時間が延長され、新しくなった平日の前後半、土日祝の前後半の4パターンそれぞれの枠に関し、人の流れや他のパフォーマーの動向を見極めたいという思いがあって、今回のエントリーとなった。

 開始時間がこれまでより1時間早まって10時始まりとなったが、声が出にくく、何かと気ぜわしい午前中からの参加は、平日同様に当面考えていない。2日前と同じく、昼食用のオニギリ持参で12時ちょうどに家を出る。
 2日前には満開だったサクラの花に代わって、会場への遊歩道沿いには、白いリンゴの花が美しく咲き誇っていた。

 受付を済ませて会場入りしたのが13時10分ころ。すでに2組のパフォーマーがいて、私はラストだった。開始から3時間が経過していたので、さもありなん。
 進行中のパフォーマンスが13時15分で終わり、次のパフォーマーが続く。その間に機材をセットし、持参のオニギリを食べる。

 私の出番は14時15分くらいからで、待ち時間はおよそ1時間。結果として14時半の前半枠と後半枠の境目をまたぐパフォーマンスとなったが、この日は前後半の両方を予約してあったので、何ら問題ない。
 およそ30分で10曲を歌う。3分以内の曲が大半で、トントンと歌い進んだ。(※はリクエスト)


「さくら」(直太朗)
「赤い花白い花」
「ビリーヴ」
「エーデルワイス」
「22才の別れ」※
「カントリー・ロード」
「ビリーヴ」※
「365日の紙飛行機」
「季節の中で」※
「オー・シャンゼリゼ」


 週末の地下通りで歌うのは久しぶりなので、ターゲットをどう絞り込むか迷ったが、過去の例だと平日に比べて子供連れが多い傾向にあったので、以前から試したかった「キッズメニュー」を初めて歌ってみた。
 全レパートリーから子供受けしそうな曲を重点的に選んだリストだったが、最初の2曲にはこれといった手応えがなかった。しかし、3曲目の「ビリーヴ」で対象にしていた親子連れが複数近寄ってきて、熱心に聴いてくれる。
 これに勇気を得て、リスト内の曲を連発したが、いずれにも熱い手応えがあった。

 途中から拍手、手拍子、歓声まで加わり、何事かと集まってくる人もいたりして、あっという間に10人を越える人だかり。
「ビリーヴ」は途中から聴き始めた親子から再び出たリクエストで、歌詞指導しながら歌ったが、多くの人が一緒に歌ってくれた。3月に試みてある程度の成果があった、「歌声サロン」の再現である。

 大盛況のままステージを終えたが、熱くなった聴き手がなかなか立ち去ろうとせず、「連絡先を教えて」という中年女性に案内状を渡したり、ツイッターの相互フォローをその場で求められたりして、しばしの交流が続いた。
(広場の占拠は許されないので、交流は機材を撤去してから実施)

 2組のパフォーマンスをはさみ、16時35分からようやく第2ステージ開始。2時間近くの待ち時間はさすがに長いが、後半枠を全く演らずに帰るわけにはいかない。
 およそ25分で7曲を歌う。


「上を向いて歩こう」
「時代」
「翼を下さい」
「草原の輝き」
「雨ニモマケズ抄」(オリジナル)
「サクラ咲く」(オリジナル)
「シクラメンのかほり」※


 夕方にさしかかる時間で、平日なら客足の引く時間帯だった。構成をどうすべきか迷ったが、この日は「キッズメニュー」を徹底しようと腹を決める。
 しかし、さすがに子供連れの姿は激減し、立ち止まってくれるのは大人ばかり。「翼を下さい」で小学生の女の子が興味を示してくれたが、一緒にいた母親に急かされて、名残惜しそうに立ち去る。やはりこの時間帯に子供向けは無理のようだ。

 それでも「時代」あたりで近寄ってきた中年女性が目の前で熱心に聴いてくれる。途中でしきりにCDを手にとって眺めるので、中にあるオリジナル2曲を続けて歌った。
 直後に声をかけると、実は以前に2枚目のオリジナルCDを買ってくれた方だと分かる。自宅で聴いて非常に感動したので、ぜひ1枚目のCDも欲しかったが、たまたま通りかかって私を見つけたという。これはかなりの偶然だ。
「聴いていると幸せになる声」とその女性はいう。ほぼ絶賛に近い。これは歌い手にとって殺し文句ではないか。幸せなのはこちらのほうだ。

 この日は第1ステージでも「オリジナルをぜひ聴いてみたい」と、CDが売れた。一昨日の2枚に続き、この日も2枚。昨日3枚増刷したばかりだが、また増刷する必要がある。まさにうれしい悲鳴だ。
 今後もカバー曲中心の構成で臨む姿勢に変わりはないが、オリジナルをもっと歌うべきなのかもしれない。久しぶりに週末のチカホで歌ったが、収穫の多い一日だった。
 時間帯によっては「キッズメニュー」が充分通用すると分かったことは、特に大きい。今後の新しい展開につながりそうな予感がする。