街角100ライブ


111 チカチカ☆パフォーマンス92th
   「突発的シングアウト」
/2016.3.31



 第9期ラスト、そして3月4度目となるチカチカパフォーマンスに参加。昨年は一度もなかった月に4回のエントリーで、今年は介護施設系の依頼がそう多くないことが大きな理由だ。
 チカホでの年度末と年度始めの集客には例年苦戦している。そこで打開策として、前回試みてある程度の手応えを感じた「座って歌う」スタイルを、今回も続けてやってみることにした。機材にも修正を加えたので、はたしてうまく機能するのか確かめる意図もある。

 街から雪が完全に消え、道路状況が改善されたせいか、前回よりもかなり早く、正味50分で事務局に着く。
 この日も枠いっぱいの3組がエントリーしていたが、なぜか到着は私が一番。看板2つを抱えて指定された地下への階段を下りる。初めて実戦で試すブーム式電子譜面ホルダや、座面にクッションを加工した組立式椅子の設置に手間取り、始めたのは14時5分くらいからだった。

 およそ30分弱で8曲を歌う。(※はリクエスト)


「恋心」
「ケ・セ・ラ・セラ」
「恋のしずく」
「恋」(初披露)
「恋の町札幌」※
「恋の季節」
「上を向いて歩こう」※
「シクラメンのかほり」※


 座って歌うスタイルの神通力なのか、1曲目から立ち止まる人がチラホラと現れた。2曲歌ったところで、70代と思しき男性から「演歌は歌わないの?《湯の町エレジー》とか…」と問われる。残念ながらレパートリーになく、リストを見てもらった結果「恋の町札幌」を歌うことに。

 いい感じで歌っていると若い男性も近寄ってきて、「裕次郎、いいですね〜」と声をかけてきた。最近は市民との交流を第一に考えているので、最初の男性を交えて、あれこれと会話を交わす。

 忙しいのか、2人の男性はここで場を離れる。この日は「こ」から始まる曲の前後を適当に歌っていたが、続けて「恋の季節」を歌っていると中年女性が近寄ってきた。やはり立って歌うより座って歌うほうが、聴き手が近寄ってくる確率がぐんと高まる。
(なぜだろう…)と改めて考えてみたが、座って歌うことで電子譜面の延長線上に通りを往くの顔が見えることに気づいた。歌いながらも聴き手の動きが手に取るように分かり、視線も合いやすい。聴き手との心理的距離感が縮まるはずだ。

 かの中年女性からの「上を向いて歩こう」は、チカホでは初めて出たリクエスト。「お好きなんですか?」と声をかけつつ譜面検索。歌い始めると一緒に口ずさんでいるので、途中から口頭で歌詞指導しつつ歌い進む。女性は気持ちよさそうに手でリズムを取りつつ、最後まで歌ってくれた。
 この様子を見て5人ほどの家族連れが立ち止まり、一緒に歌ったり手を叩いたりしている。つまりは突発的な「歌声サロン」の場となったわけで、無理に仕掛けなくても、その気になればこうした自然の流れの中で聴き手を巻き込むことができるということだ。

 共演の若手ジャグラーが現れたので場を交代し、休憩後の15時15分から第2ステージを始める。およそ30分弱で10曲を歌う。


「大空と大地の中で」
「野ばら」
「愛燦燦」
「365日の紙飛行機」※
「ボラーレ」
「別れの朝」
「時の流れに身をまかせ」
「荒城の月」
「五番街のマリーへ」
「また逢う日まで」


 第2ステージは来週に迫った別のコンサートのリハーサルのような位置づけだった。しかし、これまた1曲目から立ち止まる人が続出した。

 そのうちの若い男性の顔にどこか見覚えがある。曲間で「どこかでお会いしてますか?」と問うと、「はい」と応ずるが、どこの誰であるかは名乗らない。しかし、その受け答えで、5年前に地区センターライブで何度かお世話になった方だと思い出す。
「…さんですね?」と問うと、そうです、よく分かりましたね、と嬉しそうな顔を見せた。お互いに短く近況を伝え合う。不思議な偶然である。

 直後に「愛燦燦」を歌っていると、女子中学生5人組がリクエスト用紙を手にして押し問答しているのが視野に入る。
 1番の途中で声をかけてきたので、歌を途中で打ち切って応対。大人ならば歌い終わるまで待ってくれるが、中学生なら仕方ないか。

「何かリクエストですか?」と問うと、「AKBお願いしま〜す」ときた。これまたチカホでは初めて飛び出したリクエストで、さっそく歌い始めるとかなりの人が集まってきて、自然発生の手拍子まで始まった。なぜか小さな子供にも受けている。
 特に歌詞指導はしなかったが、けっこうな人が一緒に歌ってくれた。第1ステージに続き、突発的シングアウトとでも言うべきか。  それにしても、「上を向いて歩こう」や「365日の紙飛行機」がこれほど世代を越えて人気があるとはオドロキである。よく心に留めておこう。

 このところ停滞気味だったが、前回に引き続き、この日もオリジナルCDが売れた。それやこれやで、数ヶ月ぶりの売上げを記録。詳しく書けないが、過去に一度しかなかった滅多にないことも起きた。もしかすると、これも「座って歌う」ことと関係があったかもしれない。

 今回初めて試したブーム式電子譜面ホルダと組立式椅子のクッションは、全く問題なく機能した。組立てを急ぎすぎて指に切り傷を作ってしまったが、当分はこれでいけそうだ。
 反面、ヒモ式のLED灯はまるで目立たず、途中から片づけてしまった。もっと明るいものでないと、使い物にならない。
 いろいろあったが、オーデション通過後に実証試験していた聴き手との新たな交流方法に、一定の方向性が見えたように思える。




112 チカチカ☆パフォーマンス93th
   「気が乗らないチカチカ」
/2016.4.18



 4月最初、そして第10期最初のチカチカパフォーマンスに参加した。大事なソロコンサートを10日ほど前に無事に乗り切ったことで、ずっと張り詰めていたキモチが切れてしまったのか、直前になってもいまひとつ気乗りがしない自分があった。
 ハズレが許されない依頼型のライブであれば、どうにか気持ちを奮い立たせるが、聴き手が定まらない路上ライブということが、状況を一層難しくしていた。

 しかし、「キャンセルは極力しない」をチカチカパフォーマンスのモットーとしているので、いつも通りに準備して家を出た。

 普段通りに片道2キロの道を機材を背負って歩いたが、遊歩道の雪はすっかり消えているのに、なぜか足が重い。気持ちのせいばかりでなく、体調もいまひとつの感じがした。
 お腹の調子が悪く、車を停めた量販店のトイレに駆け込んだこともあり、事務局到着が遅れて14時ぎりぎり。この日は作品系パフォーマーを含めて3組の共演だったが、会場入りは一番最後だった。

 他のパフォーマーも準備に手間取り、開演自体が定刻から30分遅れの14時半ころ。私の出番は2番目だったが、始められたのは15時10分からだった。
 およそ30分で8曲を歌う。(※はリクエスト)


「ボラーレ」
「僕の胸でおやすみ」
「骨まで愛して(初披露)」
「ブルー・ライト・ヨコハマ」
「釜山港へ帰れ」
「ビリーヴ」
「シクラメンのかほり」※
「時の流れに身をまかせ」※


 この日も組立式椅子を使っての座って歌うスタイル。前回、機材組立てを急ぎすぎて指に怪我をしたので、慎重に作業した。
 ソーラー充電のLEDイルミネーションも初めてセットしたが、ケーブルの処理に手間取った。初めて使う機材は、どうしても時間が取られる。

 私とほぼ同時間に作品系パフォーマーの人間彫像が真横の北寄りブロックで演技を始め、かなりの人だかり。音や光は出さず、仮装してフリーズするだけのパフォーマンスだが、すぐ隣で歌うと互いに障害になりそうな感じがした。
 そこで歌う場所を2ブロック南に移動する。この日は何かと手間取る日のようだった。

 歌い始めても北側に集まった客の歓声が時折響き、いまひとつ集中を欠いた。それでも聴いてくれる人はそれなりにいたが、このところ試みている歌声サロンふうには程遠い雰囲気だった。

 この日のキーワードは初披露の「骨まで愛して」。覚えたてで単純に歌いたかっただけだが、「ほ」に関連する曲を50音順に適当に見繕って歌う。
 最近になって始めた手法だが、多ジャンルの曲をアトランダムに歌える意外性があり、我ながら気に入っている。当分はこの手法で演りたい。

「ビリーヴ」を歌っているとき、同年代と思しき中年女性が近寄ってきて、熱心に聴いてくれる。曲間で声をかけてきて、いつもどこで歌ってますか?と尋ねてきた。全体の半分は介護施設系ですと応ずると、本当ですか、母の暮らす施設でもぜひ歌って欲しい、と話が発展する。
 連絡先を記した案内状とリクエスト用紙をお渡しし、その場でのリクエストにも応ずる。もしかすると近いうちに施設訪問が実現するかもしれない。
 こうして聴き手との距離感が一気に縮まるのは、やはり座って歌うことの効果なのか?

 体調も気分もいまひとつなので、ワンステージだけで早々に撤収することに決める。歌う場所を南に2ブロック移し、作品系パフォーマーと同時間帯の共演だったので、初めて試したLEDイルミネーションの評価は難しい。しかし、地下広場でもそれなりに目立つことだけは分かった。

 過去の記録を調べると、新年度開始となる4月のパフォーマンスはおしなべて苦戦している。気力体力面も含め、最悪に近い条件の割には、まずまずの手応えと前向きに考えることにしよう。




113 チカチカ☆パフォーマンス94th
   「晴れたら外で歌うべき」
/2016.4.22



 4月2度目のチカチカパフォーマンスに参加。夏以降は例年スケジュールが詰まってくるので、比較的暇ないまのうちに、「半年で4回」というライセンス継続要件を満たしたい。
 午前中から20度に迫る好天で、シャツやセーター&ジャンパーを一気に薄手の春物に変更することに。それでも駐車場からの道を歩くうち、汗ばむほどだった。遊歩道沿いの花壇には、チューリップや水仙が一気に開花。陽気につられて人通りも多い。

 来月から平日のチカチカパフォーマンスが3時間長くなって、午前11時開始となる。急な展開で、パフォーマンスの進行がどう変わってしまうのか見当がつかない。
 もしかすると今後は昼食を挟んでパフォーマンスすることになるかもしれず、その準備もかねて昼食をとらず、おにぎり持参で早めに家を出る。
 事務局には45分前に着いたが、私よりさらに早いパフォーマーがいて驚いた。

 最初のパフォーマーがなかなか終わらず、機材をセットしてじっと待機。いつものようにステージを別に設営したので、終了後ただちに始め、14時45分からおよそ30分で9曲を歌う。


「木綿のハンカチーフ」
「モルダウの流れ」
「港が見える丘」(初披露)
「昔の名前で出ています」
「夢一夜」
「桃色吐息」
「夜明けのスキャット」
「夜が明けたら」
「夜霧よ今夜も有難う」


 この日は外が好天のせいか、地下通りは週末にも関わらず、極端に人が少なかった。私のメインターゲットとなる中高年の姿もまばら。従って、立ち止まる人はほとんどいない。
 それでも3曲目の「港が見える丘」で高齢の女性が近寄ってきて、「いい歌だねぇ」と声をかけてくる。私の母親の年代だが、あれこれと言葉を交わし、しばらく立ち止まって聴いてくれた。
 実はこの日のキーワードは初披露だったこの「港が見える丘」。季節感もぴったりで、歌っていてしっくりくる。この歌は今後使えそうだ。

 ほぼ同じ時間帯に、中年男性が熱心にリクエスト用紙を眺めている。曲間で話しかけてきて、若いころに関東でジャズ・ピアノの弾き語りをやっていたという。(つまりは元プロ)
「300曲以上もレパートリーがあるとはすごい」と感心されたが、譜面がないと歌えないので、かなり価値は下がりますね、と応じた。  仕事柄よく弾いたという「スイートメモリーズ」を望まれたが、あいにくリクエスト用紙にはない。実は裏メニューにはあるのだが、しばらく歌ってないので躊躇していると、練習して今度聴かせて、と言い残して去っていった。

 その後、「夜明けのスキャット」まで立ち止まる人は皆無。通りを往く人々も、一様に足取りが早い。こんな日に暗い地下を歩くのは用事のある人くらいで、ブラブラ散策する人たちは、陽光きらめいて花が満開の大通り公園にでも行っているに違いない。
「夜霧よ今夜も有難う」で通りすがりの中年女性グループが歩きながら拍手をくれたが、その時ちょうど持ち時間が切れる。

 風もないこんな日は外で歌うに限るのだが、あいにく外広場の割当てがない。体調はまずまずだったが、長居は無用。この日もワンステージで打ち切って、早々に撤収することにした。