街角100ライブ


108 チカチカ☆パフォーマンス89th
   「自由気まま路線」
/2016.3.4



「これが最後のチカチカパフォーマンスになるかもしれない…」などと、2週間前のセルフレポに記したばかりだが、その後3月分の広場枠が正式発表され、予想以上に割当てが多い。何かのイベントがキャンセルになったのかもしれない。
 来週末にはライセンス更新のオーディションを控えていたが、その前にもかなりの空き枠がある。ガンの転移再発検査を無事にくぐり抜けたこともあり、オーディション前の調整もかねて、急きょエントリーすることにした。

 先月末に事務局が別のビルに移転となり、地下歩行空間から直接エレベーターで行けなくなった。手続きするには、いったん地上に出て1階出入り口から入らねばならず、煩わしさが増したが、やむを得ない。

 今回は機材の設営やステージ位置など、大幅に変えて臨んだ。その効果のほどを確かめるのも、エントリーを決めた理由のひとつだった。

1)譜面台利用のリクエストスタンドをやめ、機材運搬用のキャリーカートをそのままスタンド代りに使った。
2)CD陳列棚は背面に斜めの支持材を入れ、自立式にしてキャリーカート上に置く。
3)マイク前の料金箱には、100均で買った折りたたみ式の箱を利用。改造して案内状入れを前面にセットし、背面の上端には挟み込み式の看板をセットする。

 これにより、機材はこれまでで最軽量となった。設営もごく短時間で済む。風対策も考えてあるので、屋外での路上ライブ時にも有効に機能するはず。
 このところ機材関連の修正更新が頻繁だが、ライブ状況の変化に柔軟に対応するためだ。今後も修正は充分にあり得る。

 この日もジャグラー2名との共演。会場への到着は2番目で、14時45分くらいから歌い始める。およそ30分で10曲を歌った。
(※はリクエスト)(この日は1ステージのみ)


「パープルタウン」
「花(滝廉太郎)」
「パダン・パダン」
「花〜すべての人の心に花を」
「花の首飾り」
「バラ色の人生」
「釜山港へ帰れ」
「万里の河」
「つぐない※」
「青春時代※」


 今回のセットリストには、これといった傾向がない。それもそのはず、ジャンルや起承転結を考慮して事前に組み立てたものではなく、50音順に並べてある315曲のリクエスト一覧のうち、単純に「は行」の歌から適当に見繕って歌い進む、というアバウトなもの。
 当然ながら、ジャンルはバラバラ。J-POPを歌ったかと思えば、文部省唱歌。いきなりシャンソンに転じて、沖縄ソング、はてはGSといった具合だ。
 季節感にも一貫性はないが、幸いに「は行」には「花」のつく曲が多い。「春」という季節感にふさわしい曲を閃きで選び、歌い進んだ。

 この日はもうひとつ新しい試みがあって、普段歌っている場所より1ブロック北側にステージを設定した。いつもの場所だと直前のパフォーマーの撤収が長引き、入れ替りがスムーズに運ばないという傾向がこのところ続いていたからで、場所をずらして歌えば、入れ替えは瞬時に終わってロスタイムはゼロに近づく。
 同じ理由から、以前は通りに対して直角な壁を背にして歌ったことも何度かある。最近は常に枠いっぱいの3組がエントリーするので、こうした対策は今後も有効と思われる。

 構成に一貫性がないということもあってか、人の集まりは悪かった。いったん立ち止まっても、曲が変わると立ち去る、という傾向が続いたが、ジャンルを無視して自由気ままに歌っているので、ある程度は仕方がない。
 それでも後半の「釜山港へ帰れ」で、かなりの人が足を止めてくれた。タイムロスを少なくするべく、ほとんど曲紹介もせずに歌い続けてきたが、聴き手が10名近くに達したので、ここで初めてMCを入れ、リクエストも募る。
 ラスト近くにリクエストが続けて出た。終了後にも残ってくれた方々と、その場で言葉を交わす。ステージ位置がずれているので、次のパフォーマーが設営する邪魔にはならない。

「もっと聴きたかった」「いつ歌っているんですか?」などと尋ねられたが、「以前にあなたの歌を聴いた」という女性がいて驚いた。地域のイベントライブでのことらしく、私は全く記憶にないが、先方は覚えていてくれた。
 溢れるような集客はなくとも、こうしたささやかなふれあいがあると、やはり歌っていてよかったと思う。初期のスタイルに近い「自由気まま路線」も、そう悪いものじゃない。




109 チカチカ☆パフォーマンス90th
   「チカホで歌声サロン」
/2016.3.18



 3月2度目のチカチカパフォーマンスに参加。先週末に実施されたライセンス更新オーディションに合格できるかどうか分からなかったので、オーディション以降のエントリーは自重していた。
 ルール上、3月いっぱいはそれまでのライセンスが有効だったが、仮に落ちてしまった場合、「あなたは不適格」と宣告されたことになり、とても以降のパフォーマンスを続けられるものではない。

 5月のような陽気が続き、街の雪もみるみる解けている。今日は先日開拓した「量販店駐車場から2キロ歩く」という究極の節約コースをパフォーマンスとしては初めて使い、会場に向かった。

 昨年末に思いつき、順路を確かめて以来これが4度目の通行。ガード下の通路もほとんど雪はなく、キャリーカートの運搬もスムーズだった。
 途中、ビルの陰にあたる部分は一部ぬかるんでいたが、大きな支障ではない。20分強で無事に到着。地下通りと直接つながっていないビルに事務局が移転したばかりだが、この地上経路だとそのままビルに入れる、という利点がある。

 この日もジャグラー2組との共演で、到着順に私の出番は2番目。14時40分から始めて、およそ25分で8曲を歌う。(※はリクエスト)


「さくら(直太朗)」
「さくらんぼの実る頃」
「五番街のマリーへ」
「酒よ」
「酒と泪と男と女」
「ダニー・ボーイ」※
「桃色吐息」※
「知床旅情」


 この日は先週末のオーディション時に審査委員長から提案要望のあった「路上で歌声サロン」が果たして可能かどうか、初めて試すつもりでいた。
 通りに置いたリクエスト用紙スタンドには、「チカホ歌声サロン」と称した看板を掲示した。「最後にみなさんと歌います」「歌詞は口頭でお伝えします」「どなたでも歌えます!」などと記し、予定曲として、「知床旅情」「また逢う日まで」の2曲を具体的に付記。どんな反応があるのか、まずは手探りのスタートである。

 最初の数曲は人集め目的で、前回から始めてまずまずの手応えだった「自由気まま路線」を選択。多ジャンルの曲をアトランダムに歌う。この日は時節柄「さくら」を歌いたかったので、50音順の「さ」から始まる曲の前後を適当に見繕って歌った。
 このところ出だしの数曲は集まりがよくない状況が続いていたが、この日は最初から熱心に聴いてくれる方が常にいて、最初から最後まで見届けてくれた方もいた。

 3曲目あたりで「いい声してるね〜」と声をかけてくれる中年夫婦が現れ、ずっとリクエスト用紙を繰っていたが、やがて男性から「ダニー・ボーイ」と「小さな喫茶店」のリクエストが出る。
 まず「ダニー・ボーイ」を歌い、続けて「小さな喫茶店」を始めたら、その曲とは違う曲だという。渡辺はま子が歌っていたというので、何か別の曲と記憶違いがあったのかもしれない。

 その後、別の女性から「桃色吐息」のリクエストがあり、持ち時間が残り少なくなったので、ここで集まっている4〜5人の方に案内し、「知床旅情」を一緒に歌ってもらうことにする。
 フルコーラスを口頭歌詞指導しつつ歌い進め、大半の方がおつき合いしてくれたが、それを聞きつけて他の方が集まってくる、という広がりには至らない。続けて「また逢う日まで」を歌おうとしたら、「どうもありがとう」と、かの中年夫婦がその場を去り、それを潮に大半の方が消えた。

「路上ライブ歌声サロン」という実験的な試みをどう評価すべきか、ちょっと判断に苦しむ。これまでもそうだったが、立ち止まってくれた方は単純に私の歌唱に惹かれただけで、共に歌いたいから集まった、というわけではなさそう。
 しかし、フルコーラスは無理でも、たとえばサビの部分だけを一緒に歌うとか、手拍子を促して賑やかに締めくくるとか、そうした味付けは今後もやってみる価値はありそうだ。
 手法も確立し、いまは軌道に乗ったリクエストも、始めた当初は必ずしもスムーズではなかった。今後も試行錯誤しつつ、進めたい。

 この日もワンステージのみで撤収。このところ常に枠いっぱいの3組がエントリーしているので、待ち時間が長い。当面は短時間で完結するワンステージ方式で臨みたい。同じ理由から歌う場所も前回同様、他と干渉しない北側に設定した。
 もうひとつ、前回からPAのリバーブを一切かけないよう大転換したが、手応えは以前よりむしろよくなった気がする。無理に取り繕わずとも、純粋な声そのもので充分勝負できる。PAを全く使わない完全生歌も、今後アリかもしれない。




110 チカチカ☆パフォーマンス91th
   「久々に座って歌った」
/2016.3.22



 3月3度目のチカチカパフォーマンスに参加。例年この時期は介護施設系ライブの依頼が少なく、たまたまチカチカパフォーマンスの割当て枠が多いので、いつもより歌う回数が増える。
 この日は前回に引き続き、「チカホで歌声サロン」の新パターンを試すつもりだった。前回は看板表示と声かけを試したので、今回は審査委員長から提案のあった「座って歌う」スタイルを久しぶりにやってみる。

 どの場でも立って歌うスタイルを自分の標準にしているので、座って歌うには事前の準備が必要だった。自宅スタジオに本番と全く同じ機材をセットし、数日間試す。
 座って歌うには組立式の椅子と専用の電子譜面スタンドが必要で、量ってみると重量が1.3Kg増える。前回から往復4キロの道を歩いて会場にむかう「究極の節約コース」をとっているので、機材はなるべく軽いほうがいい。
 そもそも立って歌うほうがフットワークがよく、声も出やすい。しかし、「座って歌えば、周囲に人が集まってきやすいのでは?」という提案も無視できない。まずは試してみることだ。

 この日も3組の共演だったが、普段やや遅れてやってくるパフォーマーだったので、早めに会場入りする。案の定広場には誰もいず、事務局での受付も私が最初。2種類の看板を持ち、久しぶりにトップで演ることになった。
 定刻よりやや遅れて、14時4分から歌い始める。短い休憩をはさんで、計1時間で16曲を歌った。(※はリクエスト)


《前半》
「時の過ぎゆくままに」
「ドミノ」
「なごり雪」
「長崎は今日も雨だった」
「桃色吐息」
「小樽のひとよ」※
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」※
「池上線」※
「天城越え」※

《後半》
「釜山港へ帰れ」
「鱒」
「時の流れに身をまかせ」
「野ばら」
「愛燦燦」
「抱きしめて」(オリジナル)
「池上線」※


 この日も構成は多ジャンル思いつき型を採用。時節柄「なごり雪」を歌いたかったので、「な行」とその前後の曲を適当に選択した。
 3連休直後の週初めとあって、人の足取りは一様に早い。スタート3曲までは全くの無反応。年度末ということもあって、足を止めて歌うを聴く余裕もないように見えた。過去の記録でも、この時期は例年聴き手の反応が弱い、とある。
 それでも4曲目の「長崎は今日も雨だった」から立ち止まる人が増え始め、「桃色吐息」でかなりの数になる。直後にリクエストが出て、それを機に4曲続いた。

 この「忙しい状況下でも多くのリクエストが出た」という事実は、もしかすると「座って歌う」というスタイルと心理的につながっていたかもしれない。このあたりはもう少し見極める時間が必要だ。

「ダスティン・ホフマン…」は当初「過ぎ去りし想い出は」を望まれたが、あいにくレパートリーになく、妥協案として歌ったもの。大塚博堂は要望が多いので、今後レパートリーを増やさなくては。

 リクエストが連発した時間帯で聴き手は10人ほどに達したが、「天城越え」を潮に一斉にその場から消える。前回もそうした傾向があったが、滞留時間が10数分と短い。
 実はこの日はラストに「また逢う日まで」をその場に居合わせた方々とシングアウトするべく、完全に暗譜して備えていた。座っている状態からPAの接続を切って立ち上がり、聴き手に近寄って歌いながら歩く、という構想である。
 これまたオーディション時に審査委員長から出たアイデアで、2つを一気にまとめてやってしまおうと考えた。
 しかし、どうやらタイミングを逸してしまったようだ。その後人の集まりは散発的になり、とてもシングアウトを仕掛ける状況ではない。

 聴き手が途絶えたので、最後と思って久々にオリジナルを歌っていたら、目の前にきて熱心に聴いてくれる中年女性が現れる。
 聴き終えた女性、「あのう…、もう一度《池上線》を聴きたいのですが、ダメでしょうか?」と尋ねてくる。
 たったいま歌ったばかりなので、先ほどの方ですか?と確かめると、違うという。通りかかって最後のフレーズだけ聴いたが、どうしてももう一度最初から聴きたくなり、用を済ませて広場に戻ってきたという。ありがたい話なので、もちろんお応えした。

 歌い終えたちょうどその時、共演のパフォーマーが広場に現れたので、ステージは終了とさせていただく。その場に残った女性としばし歓談したが、若いころに東京の西武線沿線に住んでいたことがあり、似た情景を描いたこの曲には、強い思い入れがあるという。  実は私も以前、池上線の近くに住んでいて、歌の世界そのままのシーンを実体験しているのです、などと応じた。
 好きな歌だが、最近はとんと聴く機会がない。まさか生歌で聴けるとはと、大変喜んでくれた。大塚博堂のリクエストでも同じ主旨のことをよく言われるが、この「いまでは滅多に聴けなくなった名曲」というのは、路上系シンガーが発掘し、歌い継いで行くべきではないか。

 ねらっていた歌声サロンとしての明確な効果は得られなかったが、やはり座って歌うスタイルは、聴き手との距離感を縮めるのに有効のようだ。機材重量の問題はさておき、今後も状況に応じて仕掛けてみたい。