街角100ライブ


102 チカチカ☆パフォーマンス83th
   「路上ライブで泣かれた」
/2015.9.7



 およそ2ヶ月ぶりのチカチカパフォーマンスに参加。地下広場の空き時間を使って実施されるルールなので、他のイベントスケジュールが詰まってくると、長期間実施されないこともある。それが事業としての宿命である。
 集客に大きな外れのない月曜日に何とかエントリーできて、この日はジャグリングの時雨さんとの共演。相談の結果、先に会場入りした私から先に演ることになる。

 定刻の14時5分前にスタンバイしたが、開演前にデジタル式騒音計を使ってパフォーマンス時の騒音値を計測する予定だった。
(先日の中間会議で、全パフォーマーへの騒音値計測が周知徹底された)
 騒音計と測定手法は事務局に備えてあるので、それに従って計測。以前にも騒音のクレームが出た際、事務局立会いでチェックしてもらい、問題のない設定値をPAにテープでマーキング済みだったが、あくまで人間の耳での話。それをきちんと器械でも確かめようというのだ。

 事前にストローク調の音量の大きい曲「大空と大地の中で」を自宅でICレコーダーに録音。それをパフォーマンス時のPAにつないで、同じ音量になるよう調整。会場前の通りで計測してみたが、平均で70dB前後、ピーク時の値が78.3dBだった。
 マイクの場合、事務局のガイドラインが会場の角で80dB。今回はより近い正面での計測値なので、現状のボリューム値でひとまず問題なかった。
 ただ、生音での計測ではないので、次回は長いケーブルを持参して、実際に歌いながら測ってみたい。

 定刻よりやや遅れて、14時2分くらいから歌い始める。第1ステージでは昭和歌謡を中心に、およそ25分で7曲を歌った。
(※はリクエスト、◎は初披露)


「昔の名前で出ています」
「今は幸せかい」◎
「恋のしずく」
「シクラメンのかほり」※
「アカシアの雨がやむとき」
「吾亦紅」※
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」※


 外はカラリと晴れ上がったせいか、地下通りを往く人は少なめだった。苦戦を覚悟したが、3曲目あたりから立ち止まる人が続出。リクエストも順調に飛び出す。
 終わり頃に現れた中年の女性、通りから盛んに手を振るその顔に見覚えがある。
「ダスティン・ホフマン…ですが、覚えてます?」

 何と2ヶ月前に「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」を熱心に聴いてくれた方ではないか。要望のままに2度も歌ったので、忘れるはずがない。
「また歌ってくださいよ」との希望に、ありがたく応ずることに。

 時雨さんのパフォーマンスをはさんで、15時から第2ステージ開始。フォーク系の曲を中心に、およそ25分で7曲を歌う。


「季節の中で」
「少年時代」
「わかって下さい」
「サヨナラ模様」◎
「神田川」※
「舟唄」※
「愛人」


 第2ステージではめっきり聴き手が減ったが、第1ステージ終了間際に現れた「ダスティン・ホフマン…」の女性がまた来てくれて、最初から熱心に聴いてくれた。
 その他にも若い男性と同世代の男性が最初からずっと聴いてくれて、熱さの部分では第1ステージと変わらない印象だった。初披露の「サヨナラ模様」は、充分に歌いこんだこともあって、満足できる出来。全体として、夏から秋へと移りゆく季節感を反映させた選曲にした。

 リクエストを含めて叙情的な歌を連発したこともあってか、ステージが終わると「泣けました…」と声をかけてくる方が複数。その目から涙があふれていて、こちらが当惑するほど。
 前夜寝不足だったこともあって、決して万全な体調ではなかったが、熱心な聴き手に後押しされて、尻上がりに調子はよくなった。予期せぬ聴き手の涙は、歌が確かに届いた証。歌い手としては素直に喜ぶべきだろう。




103 チカチカ☆パフォーマンス84th
   「《本日のオススメ》が効いた」
/2015.10.27



 第9期初めてのチカチカパフォーマンスに参加。広場の割り当て自体はそれなりにあったが、急増するライブ依頼に追われ、どうにかスケジュールを合わせられたのは、この日だけだった。
 ライセンス取得後5年目に差し掛かり、これまでほぼ月2回ペースの活動を地道に続けてきたが、自分のスケジュールと広場の空き枠とのすり合わせが、なかなかうまく運ばない。しばらくはガマンの日々が続く。

 この日は友人と合う約束があるという妻が、久しぶりに同行。3組の共演だったが、開始20分前に広場に着くと、まだ誰も来ていない。手早く設営を済ませ、事務局から貸与の騒音計を所定の位置で妻に持ってもらい、実際に弾き語りながらの騒音値を開演前に測ってみた。

 すると、最も強い調子の歌の場合、ピークのフレーズでは目安となる80dbをわずかに上回ることが分かった。そこでマイクのボリュームを10%ほど下げ、立ち位置とPAを50センチほど後方にずらす。
 再測定してみると、今度はOK。ちょっと意外な結果だったが、数字は正直だ。

 14時ちょうどから歌い始める。この日は新しい試みがあった。通常のリクエスト一覧のほかに、「本日のおすすめ」と称して、季節感あふれる歌を複数ジャンルから20曲セレクトし、大きめの文字でプリントして添付したのだ。
 311曲のリクエスト一覧は量としては充分だが、多すぎて目移りする、という欠点も併せ持っている。そこを修正しようと考えた。

 開始直前になって現れた見覚えのある中年男性、一昨日のデイサービスで声をかけてくれたAさんだった。「必ず聴きに行きます」と言ってくれたが、本当に来てくれたのだ。
 第1ステージでは、およそ28分で8曲を歌った。(※はリクエスト)


「愛人」※
「池上線」
「熱き心に」
「ケ・セラ・セラ」
「恋人よ」
「白い冬」※
「酔歌(初披露)」
「真夜中のギター」※


 1曲目はAさんからのリクエスト。デイサービスでいただいた分の持ち越しである。通る人の数はそう多くなかったが、人の集まりはよかった。「熱き心に」であっという間に20人近くに達する。
 リストを別ファイルに分けておいたこともあって、多くは「本日のおすすめ」からの選曲だったが、数少ない洋楽だった「ケ・セラ・セラ」を歌い始めると、す〜っと客足が引いた。聴き手は実に正直で、選曲の難しさを思い知る。
(同じ洋楽でも、第2ステージで歌った「ろくでなし」は受けた)

 歌い始めて気づいたが、メガネが車運転用のままだった。度が強すぎて、譜面が読みにくい。およその勘で歌ったが、歌詞の読めない箇所やコードの読み違いが数箇所あった。ライブ専用のメガネを機材に入れておく必要がある。大きな反省点だ。

 30分過ぎても他の共演者は現れない。普段ならそのまま延々歌い続けるところだが、先日の会議で、仮に共演がいない場合でも30分で短い休憩を入れるのが望ましい、と言われていた。
 申し合わせ通り、いったん休憩を入れる。聴き手が通りにあふれるリスクが減り、入れ替えによってより多くの人々にパフォーマンスを提供する、というねらいである。

 10分休んだあたりで、共演のジャグラーはち君がやってきた。しかし、設営等に時間がかかるというので、続けて私が演らせてもらうことになる。
 14時45分から第2ステージ開始。およそ27分で8曲を歌った。


「学生街の喫茶店」
「夜霧よ今夜も有難う」
「ルビーの指環」
「冬のリヴィエラ」※
「ろくでなし」
「小樽のひとよ」※
「池上線」※
「人生一路」※


 盛況だったステージのあとは、得てして静かな展開になりがちなのが過去の例だったが、この日ばかりは違っていた。1曲目から立ち止まる人がいて、進行と共にじわじわと増えてゆく。3曲歌った時点で早くもリクエストが飛び出した。

 その曲が「本日のおすすめ」にある「冬のリヴィエラ」で、結果的に「オススメ」からのリクエストが3曲もあった。各ステージで8曲歌ったが、実は普段より1曲多い。「オススメ」を中心に選曲するので、時間ロスが少ないのだ。
 レストランやカフェのメニューにヒントを得たアイデアだが、予想以上に当たった。秋から冬へと移ろう、ちょっと人恋しい気分に、うまく寄り添う選曲だったと思う。次回はオリジナル曲も混ぜるなど、さらに工夫してみたい。

 両ステージとも、終了後に声をかけてくれた方が多数いて嬉しかった。某カルチャー講座の方からライブの打診があったり、さっそくツイッターでフォローしてくれた方もいた。介護施設系や街づくり系とは質の異なる出会いが路上系にはある。
 開演前の測定結果に従い、音をかなり絞って臨んだが、逆に集客は増えた印象。「音が大きければ人は集まる」と考えがちだが、むしろ控えめのほうが聴きやすくて快適なのかもしれない。いい勉強をした。




104 チカチカ☆パフォーマンス85th
   「つかみどころがない」
/2015.12.7



 12月最初のチカチカパフォーマンスに参加。第9期が始まって3ヶ月目に突入したが、今回がようやく2度目のエントリー。スケジュールに余裕のあった11月に広場の割当て枠が全くなく、なかなか思うような活動ができない。
 前回歌ってから1ヶ月半近くが過ぎた。ブランクが長かったせいか、機材を入念にチェックして出かけたつもりが、水を忘れてしまう。やむなく途中の自販機で調達。
 札幌駅ビルで開催中のフェルメール写真展を観たいという妻が同行したが、時間がないのでライブにはつき合ってくれない。

 未明からの雪で、道路はかなりの渋滞。到着がかなり遅れた。この日はジャグラーのパフォーマー2人との共演だったが、北4広場には誰も来ていない。定刻より遅れて14時10分から歌い始める。
 結果として、およそ40分で12曲を歌った。(※はリクエスト)


「雪國」
「ジングルベル」※
「サンタが町にやってくる」※
「雪化粧」
「ダニーボーイ」(初披露)
「熱き心に」
「夜霧よ今夜も有難う」
「襟裳岬」※
「池上線」
「男と女のお話」
「糸」※
「いちご白書をもう一度」※


 悪天候ということもあってか、この日の地下通りは人が多かった。集客を期待したが、思惑は外れて、最初に立ち止まってくれた若い男性からクリスマスソングのリクエストがあった以降は、全く立ち止まる人がいないという、寂しい状態が続いた。
 普段は強い「熱き心に」「夜霧よ今夜も有難う」などを連発するが、反応は変わらない。通りを往く人々の足どりが、心なしか早い。師走である。

 こんな日もあるさと腹をくくって淡々と歌っていたら、ときどき聴いてくれる顔見知りの男性が通りに見えた。人が少ないことを気遣ってか、いつも静かに聴いてるだけのその男性から珍しく「襟裳岬」のリクエストが出る。
 これをきっかけに少しずつ立ち止まる人が現れたが、寂しい状況に大きな変化はない。

 共演者は一向に現れなかったが、開始から30分が経過したので、「この曲でいったん休憩します」と宣言。「男と女のお話」を歌い終えると、期せずして通りにいた男性から「糸」のリクエストが飛び出す。
 先月の終活セミナーでリクエストが出たので、前回から始めた「今日のおすすめ」の掲示には入れてあった。一度はやめるつもりが、1曲だけ追加で歌うことに。すると、この曲でかなりの人が集まってきた。なんとも不思議な人の動きである。

 今度こそ終わるつもりでいたら、続けて中年女性から「いちご白書をもう一度」のリクエストが出る。やめにくい雰囲気になり、共演者が現れないこともあって、こちらにも結局お応えした。

 ぽつんと一人休んでいると、共演のジャグラーの一人がようやく現れる。事務手続きや準備に時間がかかりそうなので、15時から再び歌い始めた。準備が整うまでのおよそ20分で、急ぎ6曲を歌う。


「愛人」
「365日の紙飛行機」
「小樽のひとよ」
「終着駅」
「ワインレッドの心」※
「よろしく哀愁」※


 これまた不思議なことだが、第2ステージの人の集まりは悪くなかった。曲にまつわる交歓もあれこれあって、短時間の割には楽しいステージとなった。
 相変わらず路上ライブはつかみどころがない、というのがこの日の結論。