街角100ライブ


053 チカチカ☆パフォーマンス37th
   「異業種コラボ」
/2013.8.8



 8月最初のチカチカパフォーマンスに参加。チカチカパフォーマーとして活動を始めて丸2年が経過したが、盛夏の8月に歌ったことは過去一度もない。理由は単純に「暑い」からで、歌うと身体から熱が出るタイプの私にとって、暑さは大敵だった。
 ただ、ここ数回のライブでその暑さを克服する手段を見つけた。それを立証しつつ、さらには苦手な大空間である北3条広場で、100Vポータブル電源を使った大きめのPAを試すのが今回の主な目的である。

 ライブ後に墓参りも一気に済ませるべく、途中で仏花を買ったりして手間取り、会場に入ったのは14時5分。機材一式の重さが7.5Kgほど増え、駐車場からの移動負担はやや増した。
 共演のヨミガタリストまっつさんはまだ来ていないので、14時15分から歌い始める。第1ステージでは以下の8曲を、およそ30分で歌った。
(◎はオリジナル、※は初披露)


「真夏の出来事」※
「バラが咲いた」
「どうにもとまらない」
「オリビアを聴きながら」
「抱きしめて」◎
「恋する夏の日」
「アメイジング・グレイス」
「ブルーライト・ヨコハマ」


 この日の地下通りの人出はまずまず。1曲目が終わると中年女性が近寄ってきて、「いい声してる。さとう宗幸歌って」と、いきなりのリクエスト。
 一瞬戸惑いつつも、電子譜面をめくって「青葉城恋唄」を探すが、見つからない。旧暦の七夕も過ぎたので、別ファイルに移動したのを思い出した。やむなく予定通りに「バラが咲いた」を歌おうとタイトルを告げると、かの女性、「その歌あまり好きじゃない」と立ち去ろうとする。
 構わず歌い始めたら、途中で戻ってきて聴いてくれる。最後には盛大に拍手をくれた。3曲目も予定通りに歌い始めると、「リンダは嫌いよ」と立ち去り、今度は二度と戻ってこなかった。
 しかし、逆に別の人々が集まってきて、一気に10名を越す。人の好みは実にさまざまだ。

「オリビアを聴きながら」で一斉に人が消え、一瞬ゼロに。時によっては反応のよい曲だが、この日この場ではアウトである。オリジナルの「抱きしめて」で少し戻し、「アメイジング・グレイス」で、またどっと人が増えた。
 他の場でもそうだが、本当にこの曲は強い。歌い終わるとCDがパタパタと3枚も売れた。「次の曲で最後です」と告げると、一斉に「え〜、もぉ〜」の声。(ちなみに、大半が中年女性である)
 途中で現れたまっつさんはすでにスタンバイ中。こちらの都合で延長は許されない。「また後でやりますので」とお断りし、いったん終了。PAの位置は動かさずそのままにし、まっつさんはやや前方でパフォーマンスすることになった。

 まっつさんのネタは「蜘蛛の糸」で、時節柄ぴったりのこともあってか、かなりの人が集まった。私の歌のあと、そのまま残った方も数名いた。
 10分ほどで終了し、休憩に入るという。ふと思いついて、「《雨ニモマケズ》の朗読はやりますか?」と尋ねた。以前に宮沢賢治を演っていたことがあり、もしやと思った。すると演れるという。実は私のオリジナル作曲がありますので、引継ぎ形式でコラボしませんか?と誘った。
 全くの打合せなしだったが、即OK。まずはまっつさんが朗読し、続けて私が歌うことになった。

 まっつさんの朗読中にギターで情景に相応しいコードをアルペジオでBGMふうに弾き、朗読後に自然に歌へと移行した。実は「歌謡劇」という似た試みを過去にソロで数回やっている。物珍しいこともあってか、じわじわと人が集まってきた。
(あとで2人にと、大福の差し入れがあったことを知る)
 打合せナシのアドリブ的異業種コラボ、かねてからやってみたかったが、意外な形で実現した。

 ここから自然な流れで第2ステージへと移行。25分ほどで8曲を歌った。


「雨ニモマケズ抄」◎

「カントリー・ロード」
「北の旅人」
「どうにもとまらない」
「誰も知らない夜」◎
「夏の終りのハーモニー」※
「草原の輝き」
「アメイジング・グレイス」
「青春時代」


 コラボ企画が余程効いたのか、集まった方の多くがそのまま残って聴いてくれた。2曲を重複して歌ったが、消耗する夏のステージではこれもアリだろう。
 合計4枚のCDが売れたが、北3条広場では初の記録。これが大きめのPAの威力によるものか、はたまたアメイジング効果によるものかは、定かではない。

 初めて試したPAは特に低音の響きがよく、通りの遠くまで音が届いていた感じで、集客には効果的。ただ、ボーカルの反響はあまりよろしくない。これはおそらく会場の特質で、ナチュラルリバーブが期待できない空間形状なのであろう。
 暑さ対策は「バンダナ」「開襟シャツ」「ストールはゆるく外巻き」「ポカリ持参」で問題なく乗り切れた。何かと消耗したが、いろいろ試せて収穫の多いライブであった。




054 チカチカ☆パフォーマンス38th
   「リハビリ的チカチカ」
/2013.10.22



 およそ2ヶ月半ぶりにチカチカパフォーマンスに参加。8月から9月にかけて吹き抜けたライブ依頼の嵐に忙殺され、自分の都合でエントリーの調節が可能なチカチカパフォーマンスからは、すっかり足が遠のいた。
 通りすがりを対象に歌う勘のようなものが鈍っていることも充分考えられたので、集客はあまり期待せず、あくまで自分のリハビリを中心に臨もうと考えた。包丁は使わねば、やがて切れ味が落ちる。たまにでも使ってやることだ。

 会場は事務局から最も遠い北大通広場。7月中旬に広場に直面するカフェが完成し、以前とはすっかり様子が変わった場で、事務局からの依頼で2度にわたる実験ライブを試みた場でもある。
 場所が狭く、カフェの営業に支障が出かねない場なので、ここで歌うには通常のチカチカライセンスのほか、事務局に申請して個別に許可をもらう打合せになっていた。

 13時45分に会場到着。この日はジャグラーの方との共演だったが、先に到着してスタンバイした私が最初に演ることになる。
 14時ちょうどに歌い始めたつもりでいたが、1分ほど早かったようだ。1曲目を歌っている最中に広場の照明が突然パッと明るくなった。どうやらパフォーマンスの始まる14時から、節電モードが解除されることになったらしい。
 第1ステージでは、およそ25分で以下の7曲を歌った。
(◎はオリジナル、※は初披露)


「アメイジング・グレイス」
「雨ニモマケズ」◎※
「パープルタウン」
「バス・ストップ」
「つぐない」
「抱きしめて」◎
「サヨウナラ」◎※


 リハビリ的とはいえ、気持ちが守りに入ってはならない。2曲目の「雨ニモマケズ」はフルバージョンとしての初披露で、「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」は完全なる初披露だった。
 強いはずの「アメイジング・グレイス」で誰も足を止めず、2曲目でも大きな動きはない。(今日は苦戦するかも…)と思い始めた矢先、3曲目の「パープルタウン」でどっと人が集まりだす。「つぐない」でさらに増え、一気に30人に達した。
 広場が改装されてからの最大集客で、通りにまで人が溢れ始めている。このままでは規律違反になりかねない。(通行の障害になる行為は禁じられている)途中2度にわたって前に近寄ってもらうようお願いすることに。こんなことは久しぶりだった。

 ラスト3曲は昭和歌謡のメドレーのような切り口にしたが、受けた。この手法に限れば、新曲の「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」は今後使えるというメドがついた。
 集客数からして、終了後にはさぞかしCDが売れるものと期待したが、甘かった。全員がすっと姿を消すという不思議な現象。「歌は聴きたいが、お金は使わない」そんな印象である。消費税増税確定で、中高年の財布のヒモは相当固くなっているように思える。

 ジャグラーの方に場を引き継ぎ、30分後の15時から第2ステージ開始。25分で以下の8曲を歌った。


「宗右衛門町ブルース」※
「圭子の夢は夜ひらく」
「ラブユー東京」
「柳ヶ瀬ブルース」
「夜が明けたら」
「男と女のお話」
「寂しくなんかない」◎
「熱き心に」


 第2ステージの切り口は、以前に数回試みてそれなりの反応があった「暗い曲」。しかし前半同様、2曲目まで大きな動きはない。3曲目の「ラブユー東京」でようやく人が集まり始め、以降じわじわと増えて10人を超す。
 前半ほど多くないが、途中で消える人は皆無で、熱心な聴き手に囲まれた程よいステージが繰り広げられた。ささやかに希望を持って終わろうと、ラストに歌った「熱き心に」では20人ほどに達する。シアワセな時間だった。

 終了後、2枚のCDが売れた。実は聴き手の中に、先週末の街づくりセンターライブで終了後にお話しした女性がいて、その方も買ってくださった。献血に来てたまたま通りかかったそうで、全くの偶然である。こうした出会いが、数えてみたらこの2年で実に7度目。何とも不思議な場である。
 久しぶりにストリートで歌ったが、いわゆる「用意された場」とは全く異なる得難い緊張感に包まれている。歌いながらサワサワと人がどこからともなく集まってくる気配を感ずると、背筋がぞくぞく震える。自分の歌の原点はここだな、とつくづく思う。




055 チカチカ☆パフォーマンス39th
   「ついにCD売上げゼロ」
/2013.10.28



 早めの昼食をとり、正午過ぎに母の暮らす施設へと向かう。普段は15時前後に着くよう家を出るが、14時からチカチカパフォーマンスに参加する予定が別にあった。同じ都心方向なのでガソリン代を節約するべく、一気に回ってしまおうと考えた。

 30分ほどを母と過ごし、その足でチカホへと向かう。14時に事務局に到着。入口で共演するトイシアターさんとばったり出会い、2種類ある看板を手分けして運ぶことに。
 第5期から広場出入口に掲示する市民むけの注意書き看板が、これまでのイーゼル式からコンパクトな折畳式に変わった。パフォーマーの真横に置く「パフォーマンス中!」の黄色い看板と同じサイズだが、色がなぜか5種類ある。
 今回はオレンジを選択したが、前回は緑。いずれ全5色を制覇しよう。

 話し合いのすえ、最初は私が演ることに決まる。準備にやや手間取り、14時23分から第1ステージ開始。およそ27分で以下の7曲を歌った。
(◎はオリジナル)


「アメイジング・グレイス」
「パープルタウン」
「雨ニモマケズ」◎
「風来坊」
「つぐない」
「抱きしめて」◎
「サヨウナラ」◎


 6日前の北大通広場での第1ステージ構成とほぼ同じだが、今回は苦手な北3条広場。会場が大きすぎて音が通りに届きにくい。
 実は先週のチカチカパフォーマンスで、「音が大き過ぎる」との指摘が一般市民からあったという。直後のパフォーマンスなのでPAの音は絞らざるを得ず、普段の70%くらいで演った。そのせいかどうかは分からないが、この日は人の集まりが非常に悪かった。
 4曲目の「風来坊」で少しずつ立ち止まる人が増え、ピークに達したのは何とオリジナルの「抱きしめて」である。前回と違ってラストの「サヨウナラ」ではやや減らしたが、オリジナルの集客がカバー曲を凌いだことを素直に喜びたい。

 終了後、熱心に耳を傾けていた中年女性がつけていたマスクを外し、親しげに近寄ってくる。よく見ると昨年コンサートで2度ご一緒したクラシック歌手の清水紫さんではないか。紫さんには昨年末のチカチカパフォーマンスでも偶然お会いしている。よくよく縁のある方らしい。

 トイシアターさんのパフォーマンスをはさみ、15時33分から第2ステージ開始。およそ25分で以下の9曲を歌った。


「恋心」
「ドミノ」
「サン・トワ・マミー」
「サンタルチア」
「河は呼んでいる」
「ケ・セラ・セラ」
「月の沙漠」
「独り」◎
「ろくでなし」


 第2ステージの構成は久しぶりにシャンソン中心の洋楽にしてみたが、人の集まりに大きな変化はなく、広場に置かれた10席ほどの椅子に座った人々が主な聴き手である。月曜ということで、通りを行く人々の足取りは一様に早い。皆向かう場所が決まっていて、歌に耳を傾ける余裕もないような印象だ。
 それでも熱心に聴いてくれる方はいて、終了後に「素晴らしかった。ぜひ握手を」と中年女性に求められた。今年になって握手を求められたことはこれで2度目。プロではないので、正直握手は苦手である。しかし、拒むとトゲが立つので、やむなく応ずる。

 当初は2ステージでやめるつもりでいたが、この日はなぜかCDが1枚も売れない。場の反応はまずまずなのに、市民の財布のヒモは相当固い。先週とよく似た傾向である。ちょっと意地になり、時間ギリギリまでねばって第3ステージを珍しくやることにした。
 16時42分から開始。およそ23分で以下の7曲を歌った。


「いちご白書をもう一度(初披露)」
「あてもないけど」
「風」
「心もよう」
「白い冬」
「サクラ咲く」◎
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」


 第3ステージの構成は、これまた久しぶりのフォーク。場の反応は第2ステージによく似ていて、椅子に座って熱心に聴いてくれる少数の人々が主な聴き手である。
 終了後にていねいに挨拶をしてくれるなど、反応は熱かったが、やはりCDは売れない。昨年10月にオリジナルCDの頒布をチカチカパフォーマンスで始めて以来、ついに売上げゼロを記録してしまった。
 場の反応はさておき、CDの売上げに限れば、冬の時代が到来した印象がする。消費税が2段階で上がり、年金が3段階で下がる。電気代はすでに上がっている。これらが、ごく短い期間にまとめて実施される。娯楽にかける庶民(特に中高年)のお金は、節約に走らざるを得ない。冬は当分続くだろう。