街角100ライブ


049 チカチカ☆パフォーマンス35th
   「歌唱開眼?」
/2013.6.7



 およそ1ヶ月ぶりにチカチカパフォーマンスで歌ってきた。平年より6度ほど気温が高く、スカッと晴れ上がったが、それほど暑さは感じない。北海道特有の爽やかな初夏である。
 何を着て行くべきかちょっと迷ったすえ、長袖シャツにベスト、首には短いバンダナを巻いた。

 会場はいつもの北4条広場。珍しく中央の北3条広場も同時開放され、他の4組のジャグリング系と似顔絵系のパフォーマーは全て北3条広場にエントリー。北4条広場のエントリーは私一人だった。
 会場に着いてみて驚いた。広場の北側半分以上に所狭しと本が並んでいる。以前にも一度ぶつかったことがあったが、この日は古本市が同時開催されていたのだった。
 歌う場所は必然的に南側の1/3ほどの空間。歌うスペースは2M四方もあれば足りるので、すぐに機材をセット。古本市の責任者の方にまず挨拶に行く。挨拶は必須ではないが、社会人としての基本条件。この状況下では、こちらから出向くのが常識であろう。

 責任者の方は事務局から事前に話を聞いていたそうで、ご丁寧にどうも、楽しみにしています、との好意的反応である。

 少し遅れて14時5分から歌い始める。この日はいくつか試したいことがあって、第1ステージでは「少女」「乙女」をテーマに、およそ25分で以下の8曲を歌った。(※は初披露)(◎はオリジナル)


「恋のバカンス」
「いつのまにか少女は」※
「想い出がいっぱい」※
「誰も知らない夜」◎
「夢の途中」
「空も飛べるはず」
「河は呼んでいる」
「青春時代」


 爽やかな好天に恵まれたせいで、外の人通りは多かったが、地下通りはかなり少なめ。人の集まりは悪かったが、オリジナルの「誰も知らない夜」を歌い始めると、声に吸寄せられるように人が集まってきて、あっという間に20名ほどに達した。
 普段はこの曲をストロークで歌っているが、この日は初めて緩やかなアルペジオでバラード風に歌ってみた。CDを買っていただいた知人のアドバイスによるもので、半信半疑の手探りで歌い始めたが、あまりの反応に当人が戸惑うほど。

 以前にもオリジナルの「独り」をストローク奏法からアルペジオ奏法に変え、歌唱開眼したことがあるが、もしかするとこの曲も同じかもしれない。自分の歌でも、歌唱法ひとつで世界がガラリ変わる。結果としてこの日最大の集客がこの曲だった。大きな収穫である。

 少ない聴き手の割には、いろいろと声をかけてくれる方がいて、励みになった。この日はあえて昭和歌謡を少なめに構成したが、数少ない昭和歌謡といえる「恋のバカンス」「青春時代」での反応がやはり抜群によい。チカホで昭和歌謡を捨てることは、当分難しいかもしれない。

 寒暖の差が激しい日が続いたせいで、喉の調子はいまひとつだったが、歌い進むうちに徐々にペースを取り戻す。ただ、ブランクが長かったせいか、MCで場の流れをつかむことがあまり出来なかった。
 15分休んで、14時50分から第2ステージ開始。およそ30分で以下の9曲を歌った。(○はオリジナル訳詞)


「Without You」○
「ろくでなし」
「カントリー・ロード」
「レット・イット・ビー」○
「夕凪ワルツ」◎
「思い出のグリーングラス」
「チキ・チキ・バン・バン」※
「ヘイ・ジュード」○
「ビリーヴ」※


 第2ステージの切り口は、ずばり「洋楽」である。月末に国際交流系の大きなイベントを控えているため、いくつか試してみたいことがあったのが本音。ラストの「ビリーヴ」以外は、全て洋楽系の曲を並べてみたが、集客的には前半よりもさらに苦戦した。
 普段は強いビートルズも、この日に限ってはいまひとつの反応。しかし、通りに立ち止まる人は少なくとも、歌い終えるとなぜか、かなりの拍手が湧き上がる。不思議に思って見回すと、何と隣の古書市で本を選んでいる方々の多くが拍手をしてくれていた。

 歌が誰かに「届いて」いれば、歌い手としては満足である。「よさこいソーラン」が2日前から街で始まっており、それも集客に多少は影響したかもしれないが、ともかく拍手をいただいてCDも売れた。1ヶ月ぶりのリハビリ的ストリートライブ、まあよしとしましょう。




050 チカチカ☆パフォーマンス36th
   「臨機応変」
/2013.6.29



 直前まで迷ったが、枠にかなり空きがあるので、今月最後のチカチカパフォーマンスに急きょエントリーした。休日なので割当て時間は平日と異なるが、11〜18時までの2枠を通しで予約。このところ暑さでかなり苦戦しているため、用心して温度変化に柔軟に対応できる体勢で臨んだ。
 衣装は長袖シャツにベスト、そして薄手のジャンパー。頭はハンチングとバンダナの両方を用意し、温度によってどちらでも歌えるようにした。水は手元にあったポカリスエットを多めに持参。

 会場の北4条広場到着は13時半ころ。すでに似顔絵描きの二人がお店を広げていて、どこに陣どるかちょっと迷ったすえ、両者から離れた中央付近後方にステージを設置。13時45分からおよそ25分で、以下の8曲を歌った。
(◎はオリジナル)


「さらば青春」
「恋のバカンス」
「時計台の鐘」
「真赤な太陽」(初披露)
「誰も知らない夜」◎
「河は呼んでいる」
「ゴンドラの唄」
「青春時代」


 歌に興味を持って視線を送ってくる人はかなりいたが、近寄ってくる人は稀。全般的に反応は弱かった。
「時計台の鐘」は2番のフル英語版を初めて人前で試してみたが、こちらも特別な手応えはなかった。ただ、自分としては非常にうまく歌えた。別の場で使えると思う。
 皮肉なことに、ラストに歌った「青春時代」の集客が最もよく、およそ10人ほど。少ないとはいえ、CDも1枚売れたので、よしとしたい。

 休憩時には充分に水(ポカリ)を補給した。一説によると、身体の一部がつるのは水分不足が一因だそうで、過去に20曲以上歌うと決まって左手がつるという症状が出たのは、もしかするとこれが原因だったかもしれない。
 この日は合計30曲を歌うつもりで譜面を準備し、前日深夜にもツイッターでその旨を宣言してあった。

 25分休んで、14時35分から第2ステージ開始。およそ45分で以下の14曲を一気に歌った。


「どうしてこんなに悲しいんだろう」
「亜麻色の髪の乙女」(リクエスト)
「青葉城恋唄」
「さくらんぼの実る頃」
「いい日旅立ち」
「夢の旅路」◎
「北の旅人」
「ハナミズキ」
「川の流れのように」
「時代」
「女ひとり」
「野の花や」◎
「サクラ咲く」◎
「ダンシング・オールナイト」


 第1ステージの「さらば青春」に続き、1曲目の「どうしてこんなに悲しいんだろう」はPAを一切使わず、生歌で歩きながら歌った。最近あちこちで試しているパターンを、初めてストリート系でも試してみたが、他の場ほどの強い反応はなく、やや拍子抜け。
 ただ、歩きながら似顔絵描きのお二人のすぐ近くまで行ったので、周辺のお客様は喜んでくれた。通り近くは天井が高く、音の反響は悪くなる。まあ、どこでも歩きながら歌えるという実績を重ねたことで、満足すべきかもしれない。

「亜麻色の髪の乙女」は似顔絵描きのマツミさんからのリクエスト。休憩時の雑談時に「菊地さんの『亜麻色の髪の乙女』がぜひ聴きたい」と不意に請われた。以前に聴いたことがあるそうで、いわば「身内」からの要請だったが、ここは応えねばなるまい。
 予定を大きく超えて14曲も続けて歌ってしまったのは、途中で熱心に聴いてくれる方が数人現れたから。場の流れで進行がどんどん変わるのが、筋書きのない路上系ライブの面白さだ。
 歌い進むにつれ、次第に喉の調子もよくなってきた。この日は「リラックスした8分の力でイメージ通りの声をスッと出す」という、不思議な感覚を初めて味わった。どこでもこの歌唱法で演れるようにしたい。

 30分休み、15時50分から最後の第3ステージを始める。この時点ですでに22曲を歌っていて、過去の上限値に限りなく近づいている。左手指と右足裏に多少の違和感を覚えたが、ポカリスエット補給とマッサージ処置によって回復した。
 およそ25分で、自分に課したノルマまでの残り8曲を歌った。


「時の過ぎゆくままに」
「バス・ストップ」
「あなたならどうする」
「抱きしめて」◎
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」
「グッド・バイ・マイ・ラブ」
「ジョニィへの伝言」
「男と女のお話」


 実は30曲歌い終えた時点で、まだ歌える余力があった。指定枠にも残り1時間以上の余裕があったが、CDもそれなりにさばけ、すでに目標を達成したこともあり、ここで打ち切りとした。
 暑さ対策として第1〜2ステージではバンダナを首から外し、額に巻いたこともポカリ補給に並んで効果的。いろいろな場面での臨機応変な対応、これがこの日最大の収穫である。




051 チカチカ実験ライブ・休日編 /2013.7.14



 事務局からの依頼で、北大通広場での実験的チカチカパフォーマンスに参加した。パフォーマンスの割当て会場は現段階で3ヶ所あるが、南端の北大通広場は改修工事のため、しばらくパフォーマーに開放されていなかった。

 最近になって工事が終わったが、北側に新たにカフェが完成して、使えるスペースが狭くなった。広場からカフェへの出入り口もあり、これまでとは人の流れが明らかに変わる。
 新たな環境下で、果たして従来通りのパフォーマンスが可能なのかどうか?事前に試験運用してみて、問題点を探るのが今回のパフォーマンスの目的である。

 事務局の方が検証のため、立ち会ってくれることになる。現地であれこれ打合せがあり、やや遅れて14時40分から歌い始めた。
 第1ステージは以前より歌う位置を5メートルほど西に下げ、マルチビジョン前に陣取った。カフエ出入口を左に見ながら、同時に通りにも正対する位置である。
 あくまで実験パフォーマンスなので長くは歌えない。30分を目安に、以下の9曲を歌った。(◎はオリジナル)


「恋のバカンス」
「時計台の鐘」
「真赤な太陽」
「誰も知らない夜」◎
「サクラ咲く」◎
「ハナミズキ」
「河は呼んでいる」
「ゴンドラの唄」
「青春時代」


 休日の集客はいまひとつなのがいつものパターンだが、この日は1曲目から人の集まりがよかった。カフェに出入りする人々が目をむけてくれ、並びながら拍手をくれる方もいたほど。
 強い曲調の歌もカフェ内でチェックした結果、音はあまり気にならないとの判断である。途中でカフェの店長らしき方が確認に現れたが、特にクレームもなく終了。あまり期待してなかったがCDも売れ、むしろ普段の休日よりも手応えはよいほどだった。

 15分ほど休んで、15時25分から第2ステージ開始。担当の方からの要望で、カフェを背にし、大通り側に向かって斜め45度の方向で歌うことになった。
 立ち位置は大差ないが、通りに正対せず、縦長の柱が邪魔して見通しは悪い。歌は聴き手から歌い手の姿が見えていることが大事で、苦戦が予想されたが、今回はあくまで実験的パフォーマンスである。
 およそ25分で以下の7曲を歌った。


「時の過ぎゆくままに」
「バス・ストップ」
「あなたならどうする」
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」
「グッド・バイ・マイ・ラブ」
「ジョニィへの伝言」
「抱きしめて」◎


 予感は的中し、第1ステージとは打って変わって集客は激減した。カフェに背を向けたスタイルのせいか、出入りする人々も関心を示さない。これといった手応えのないまま終了。
「最初と比べてどんな印象でしたか?」と担当の方に問われたので、「聴き手に届かない感じです」と、率直に答えた。
 聴き手が減ったのは位置や方向以外に、単に時間の経過によるものかもしれない。この種の変化は普段のライブでもよくある。

 5分ほど休んで、すぐに第3ステージを始めることになった。立ち位置をワンブロック南にずらし、カフェ出入口から完全に姿を消すと同時に、PAも柱の陰に隠した。歌う方向は通りに正対させた。
 外気温は28度ほどだったが、熱のこもるハンチングはやめて頭にはバンダナ、首にはシャツ襟の外側にタイを巻きつけ、水代わりにポカリを準備して対策は万全。おかげで疲れを感じることはなかった。  およそ25分で以下の8曲を歌う。


「季節の中で」
「恋の季節」
「空港」
「ブルーライト・ヨコハマ」
「どうにもとまらない」
「男と女のお話」
「ランナウェイ」(初披露)
「風来坊」


 第1と第2の折衷案のようなスタイルで、通りに正対してはいるが、左右に壁と縦長の柱があり、視野は狭い。それでも第2ステージよりは立ち止まる人が増えた。しかし、近寄って案内状をとったり、CDを手にするまでには至らない。
 そのまま16時20分に今日の予定を終えた。担当の方によると、両側に壁と柱があるせいか音の反響が最も大きく、好ましくないとの判断だった。
(カフエの営業面に支障があるか否かが、今回の大きな判断材料)

 時間の要素を無視すれば、第1ステージの立ち位置と方向が、見通しがよくて通りを往く人々の目にとまりやすいことは明らかだった。
 いちおうの結果は出たが、今回はあくまで休日モードでの実証試験である。これが平日だとどうなるのか、次回はその平日モードでの検証を試みる。今日の結果から、第1ステージのポジションを採用。PAのボリュームをやや絞ってやることになった。




052 チカチカ実験ライブ・平日編 /2013.7.19



 実験的チカチカパフォーマンスの平日版に参加した。前回の休日版で得た最適値を元に、北大通広場西端の通りに正対する位置にステージ設定。
 PAのボリュームを前回より20%ほど下げ、さらにはスピーカーの向きをやや南側にひねって、カフェ入口から音を遠ざけた。

 今回は事務局の立ち会いはなく、前回は明るかった広場照明も、従来通りの節電モードに。かなりの暗さだが、1個だけ点灯していたダウンライトの斜め下にマイクを置く。

 設営に手間取って、14時18分から歌い始める。通りを隔てた東広場で航空会社のイベントが賑やかに行われているなか、55分で以下の17曲を一気に歌った。(◎はオリジナル、※は初披露)


「恋のバカンス」
「恋はやさし野辺の花よ」
「真赤な太陽」
「人形の家」
「誰も知らない夜」◎
「河は呼んでいる」
「ランナウェイ」
「アメイジング・グレイス」※
「青春時代」

「ひこうき雲」※
「青葉城恋唄」
「さくらんぼの実る頃」
「ハナミズキ」
「北の旅人」
「夢の旅路」◎
「思い出のグリーングラス」
「時代」


 夏系の曲を中心にした夏モード構成だが、当初は9曲目の「青春時代」までを第1ステージとし、休憩をはさむつもりでいた。ところが、歌えど歌えどまるで手応えがない。
 真向かいの東広場では、ひょうきんな着ぐるみキャラ2体が大変な人気。人の流れがそちらに大きく傾き、西広場は閑散としている状況だった。カフェに出入りする客も休日よりは少なめで、歌に関心を示す人はほとんどいない。

 業を煮やし、予定にはなかった「アメイジング・グレイス」をアカペラ気味に歌ってみると、急に人が集まり始めた。数日前に覚えたばかりで、歌いこみがやや不足していたが、人は増え続ける。通常の4番だけ終わるのが惜しく、3番を繰り返し歌ってしまう。
 これに勇気を得て、第2ステージの予定分を続けて歌ったが、結果として集客のピークは「アメイジング・グレイス」だった。

 手応えのないまま、いったん休憩に入る。この日もポカリを持参し、随時補給しながら歌い進んだので、余力は充分にあった。衣装での暑さ対策も万全。
 5分ほど休憩し、15時18分から第2ステージ開始。およそ25分で以下の8曲を歌った。


「恋する夏の日」
「女ひとり」
「グッドナイト・ベイビー」
「ダンシング・オールナイト」
「抱きしめて」◎
「パープルタウン」※
「夢一夜」
「風来坊」


 第1ステージの手応えのなさから、この日はCDの売上げは全く期待できないことを覚悟していたが、「グッドナイト・ベイビー」から少しずつ立ち止まる人が増え始めた。
 かなり高齢の女性が声をかけてくれ、「お兄さん、いい声してる」と、CDを2枚も買ってくださった。1枚は紙ジャケ廉価版で、曲は重複しているのだが、「お兄さんの写真が入っているから、こっちも欲しい」とのこと。
 お礼にオリジナルの「抱きしめて」を歌うと、近くにいた別の方が「いまの歌、カラオケに入ってます?」と問う。この種の質問は過去にも数回あったが、すべて同じ曲「抱きしめて」なのだった。
 つまりは、「カラオケに入っていそうな曲」という評価になるが、たぶん素直に喜んでいいのだろう。

 結局この方もCDを買ってくれた。前回とはまるで逆の「あとになるほど盛況」という反応だったが、辺りを見回すと東広場のイベントが一段落し、着ぐるみキャラも姿を消して、静けさが戻っていたのだった。なるほど。
 一人立ち止まると続けてもう一人が立ち止まるというのが路上系ライブの不思議。ラストの「風来坊」では、けっこうな数の人々が耳を傾けてくれた。

 休日、平日を通して実験としての評価は難しいが、照明はあまり集客に関係しないのは明らか。この日はカフェ客との関連性も、あまりないように思えた。歌っている最中にお店の方が何度が外に出てきたが、特にクレームはない。私のステージに限れば、共存は充分に可能である。
 集客に大きく影響するのは、おそらく立ち位置。通りからかなり後退した位置で歌わざるをえないので、関心をもって目をむけてくれても、そこから数歩近寄ってくる人が少ない。
 対面の東広場でのイベントも集客に影響するのは明らかだが、これはお互いさまなので、何とかタイミングをずらして演るしかない。

 担当者からの依頼で参加した実験的パフォーマンス、普段とは異なる緊張感もあったが、それなりに楽しめた。個人的には暑さ対策をいくつか試み、ほぼクリアできたのが大きい。別の場でもそのまま応用が効きそうだ。