街角100ライブ
046 チカチカ☆パフォーマンス32th
「9割は歌で決まる」 /2013.4.18
新年度2度目のチカチカパフォーマンスを実施。ジャグラーの方と共演の予定だったが、直前にキャンセルがあり、久しぶりに単独でのパフォーマンスとなった。
前回同様に予報では午後から雨だったが、そんな気配は全くなく、時折晴れ間もさす陽気。13時50分には会場の北4条広場に着いた。似顔絵パフォーマーの方もエントリーしていたが、会場入りが遅れているようで誰もいない。
寒暖の差の激しい不安定な陽気が続いていて、衣装をどうするか直前まで迷ったが、薄手の萌黄系ウールセーターに、改良を加えたばかりのストールに落ち着く。ハンチングは春秋タイプのベージュにし、全体を春らしい色味でそろえた。14時5分から歌い始める。前回は後半から抜群の集客だったが、反動としてこの日はたぶん悪いだろうと覚悟していた。予感は当たって耳障りのよい昭和歌謡系で始めたにも関わらず、立ち止まる人はほとんどなかった。
前回もそうだったが、そもそも人通りが極度に少ない。あるストリートミュージシャンのサイトにも記載があったが、4月は誰もが雑事に追われ、路上芸人に足を止める心境ではないようだ。それでも通りに向かって、ひたすら歌い続ける。聴き手がいないように見えても、通りを往く人々の耳の隅には、必ず歌が届いているはず。手を抜けばそれがすぐに伝わってしまう。
2曲目で中年男性が近づいてきて、じっと聴いてくれた。歌い終わると500円のCDを手に取り、千円札を投げ込んで立ち去る。忙しそうな感じで、お釣りを…、と声をかけたが、取っておいて、と受け取らない。思わず最敬礼してしまう。
人が少ない割に幸先はよかった。結果としてこの日は以下の19曲をワンステージとし、休憩なしの1時間15分で一気に歌った。
(※は初披露)(◎はオリジナル)
「悲しき願い」
「天使のウインク」
「バス・ストップ」
「ダンシング・オールナイト」
「抱きしめて」◎
「寂しくなんかない」◎
「二人でお酒を」※
「夢一夜」
「風来坊」「時の過ぎゆくままに」
「想い出まくら」※
「男と女のお話」
「抱きしめて」◎
「赤いスイートピー」
「花の首飾り」
「サクラ咲く」◎
「雨ニモマケズ抄」◎
「あなたならどうする」
「そっとおやすみ」※
予定としては9曲目の「風来坊」で第1ステージ終了とし、休憩を入れるつもりでいた。しかし、前回同様、歌っても歌っても手応えがない。「バス・ストップ」でわずかに立ち止まる人はいたが、長続きしない。
予定を変更してストック分から数曲を歌い継いでみたが、相変わらず動きはない。開始からすでに45分が経過している。最後のつもりで12曲目に「男と女のお話」を歌い始めたとたん、小さな歓声と共に2人の中年女性が近づいてきた。
歌い終わると盛大な拍手。「いまの歌、このCDに入ってます?」
「日吉ミミのカバーなので入ってません。著作権の関係で、CDはオリジナル曲だけなんです」
「そう…、どうりでどこかで聴いた曲だと思ったわ」女性は迷っている。先ほどの男性と違って慎重だ。
「では、どちらのCDにも入っているオリジナルを歌います。気に入ったら買ってください」
そう言って「抱きしめて」をすぐに歌い始めた。これまで同じ日に同じ曲をストリートで歌った記憶はない。介護施設系ライブではアンコールで稀にあるが、今回はこうした展開なので、初めて禁を破った。歌い終わるとその女性、「心に残る歌声です。買います」と、500円のCDを買ってくれた。二人のやり取りを近くで見ていた方も数人寄ってきて、パタパタとCDが売れ始める。これまた前回と似た展開だった。
その後お礼の意味もあり、請われるままに6曲を続けて歌った。「雨ニモマケズ抄」は、「CDの中にあるこの曲をぜひ聴いいてみたい」という、その女性からのリクエストである。結果としてこの日も500円のCDが5枚売れた。最初の男性もそうだったが、1曲聴いただけで間髪をいれず買ってくれる人がけっこういる。長く歌えばいいというわけでもないのだ。
重複を含めて同じ日に5曲もオリジナルを歌ったが、状況をよく見極めれば、オリジナル曲が売上げに直結することも分かった。そしてこの日つくづく感じたことは、弾き語りの90%くらいは歌で決まるのではないか?ということ。少なくとも私の場合はそうだ。
苦手なギターへの依存度を減らすべく、イントロなしの入り方を数多くやり、間奏のいくつかにはスキャットでメロディを入れ、ギターをほとんど弾かない手法もやったが、聴き手にはそれが逆に効果的に働いていたようにも思えた。
ギターはミスをしない程度の修練にとどめ、せいぜい歌の研磨に今後も励むことにする。
047 チカチカ☆パフォーマンス33th
「春の手応え」 /2013.5.1
5月最初のチカチカパフォーマンスを実施。最高気温が6度前後で、平年値より10度近くも低いという異常気象。予報では午前中は晴れるはずが、シブシブと細い雨が降り続き、まるで梅雨のような空模様である。
念のため傘を準備して出たが、都心に着いてみると雨は傘を差すほどではない。小走りに会場へと向かう。連休の真っただ中だが、普通に勤めのある方もいるようで、休日なのか平日なのかはっきりしない日和だ。しかし、会場に向かう地下通路の人通りは、久しぶりに多い。
(今日はいけるかもしれない…)そんな予感が走った。この日も北4条広場が会場。珍しく共演者が誰もいないので、やや南よりの絶好な位置に陣取った。
14時ぴったりに開始。寒さ対策として首には冬用のマフラーを巻いて備えた。まずは春メニューとして以下の8曲を歌う。
(※は初披露)(◎はオリジナル)
「ハナミズキ」
「バラが咲いた」
「赤いスイートピー」
「花の首飾り」
「サクラ咲く」◎
「飛んでイスタンブール」※
「そっとおやすみ」
「ラヴ・イズ・オーヴァー」
通りに降り立ったときの直感は当たり、1曲目から立ち止まり、熱心に聴いてくれる方が続出した。拍手も珍しく1曲目からいただく。これに勇気を得て、2曲目から簡単なMCを入れつつ進めたが、「花の首飾り」では曲紹介の時点で歓声が上がった。
5曲目のオリジナル「サクラ咲く」あたりで20名を越える人々を確認。あまりに反応がよいので、普段は歌わない部分も省略せずに、フルコーラスで歌った。それぞれの曲が長めだったので、8曲にしては長めの30分を費やして第1ステージ終了。終わると最初から聴いていた中年女性が近づいてきて、親しげに頭を下げる。音楽仲間のNさんの奥様で、以前に何度かライブハウス等でお会いした方だ。
たまたま通りかかったら私が歌っていて、びっくりしたという。こんな偶然もある。別の女性が近づいてきて、「差し入れです」と、モリモトの美味しそうなドラ焼きをいただく。ありがとうございます。CDを買ってくれた方はいなかったが、ここしばらくなかった熱い手応えを感じて、心は晴れやかだった。CDは売れればうれしいが、それを目的として歌っているわけではない。自分の歌が通りを往く人々の心に届いているのか?そこが問題なのだ。
10分ほど休んで第2ステージ開始。いつもならもう少し休むが、この日は早く続きを歌いたい気分だった。それだけ手応えがよかったということ。
14時40分からおよそ40分で、以下の11曲を一気に歌う。
「天使のウインク」
「あなた」※
「ダンシング・オールナイト」
「抱きしめて」◎
「手紙(由紀さおり)」※
「つぐない」
「人形の家」
「どうぞこのまま」
「池上線」※
「積木の部屋」※
「神田川」
特に4曲目以降は「愛の暮らし」をモチーフにした曲を並べたが、どの曲も平均して人が集まってきた。ピークは「どうぞこのまま」あたりで、聴き手は30人前後に迫った。
初披露が4曲という冒険だったが、「手紙」「池上線」には熱い反応があった。この2曲は使える。計算外はラストの2曲。多くの聴き手の視線が正面でなく、なぜか右側に流れているのだ。(右の空間で何かが起きている…)と直感したが、それが何なのか、凹んだ広場の奥で歌っている私には分からない。
寒い中で続けて19曲も歌ったせいか、左手がつり始めている。いい潮時と打ち切り、左側に回ってみたら、急病人が出て救急隊員が患者を床に寝かせて治療の真っ最中。これは歌どころではない。
(はっきりしないが、AEDを使っていたように見えた)最後に思わぬハプニングに遭遇したが、オリジナルCDも前回なみに順調にさばけ、寒い寒いと言いつつも、いよいよ北の街にも遅い春がやってきたのかな…、という実感はする。人々の気持ちにも、歌をゆっくり聴く余裕が出てきたのではないだろうか。
ひたすら歌っていると、通りを往く人々の心が手に取るように分かる瞬間がある。今日も通りを走り抜ける風になれた気分だ。