街角100ライブ


037 チカチカ☆パフォーマンス23th
   「気ぜわしい街」
/2012.12.14



 12月2度目のチカチカパフォーマンスに参加。この時期にしては珍しい60センチを越す大雪で、自宅から都心に向かうにつれて雪の量が増えるという不思議な現象に遭遇。同じ札幌でも地域によって30センチ近くも積雪量が違うのだ。
 今日も割り当て枠いっぱいの3組がエントリー。パフォーマー増による最近の傾向である。他の方の都合でトップを務めることが事前に決まっていたが、渋滞のせいで到着がいつもより10分も遅れた。やむなく最初のセルフ写真撮影をカットし、準備を終えるとすぐに歌い始めた。

 会場は音響のよい北4条広場。第1ステージではシャンソン系洋楽を中心に14時3分から27分間で、以下の8曲を歌った。


「サン・トワ・マミー」
「ケ・セ・ラ・セラ」
「サンタルチア」
「ラ・ノビア」
「雪が降る」
「メガネを買う」(オリジナル)
「ペチカ」
「バラ色の人生」(初披露)


 悪天候で地下の人通りは多かったが、暮れと選挙が重なったせいか、人々の足取りがどことなく気ぜわしい。聴き手の集まりはいまひとつで、ピークが「サンタルチア」から「雪が降る」までの3曲、10数人といったところ。
 オリジナルの「メガネを買う」では前回と異なり、数人がその場から消えてしまったが、状況によって人が増えたり消えたりするのはやむを得ない気もする。一喜一憂せず、ただひたむきに歌い続けることが肝要ではないか。

 終わり近くに現れたジャグラーの方に次のパフォーマンスを引き継ごうと思ったら、準備とウオーミングアップに時間がかかるので、続けて私にやって欲しいという。もう1組のダンサーの方は、さらに遅い15時半に現れる予定だった。
 やむなく10分ほど休み、ただちに第2ステージを始めることにする。短いインターバル中に簡易三脚で写真を撮影。この日は初めてツバを後ろにしてハンチングをかぶり、ベレー帽ふうにしてみたが、けっこうサマになる。安上がりの気分転換になりそうだ。

 14時40分からの27分で、昭和歌謡を中心に以下の8曲を歌う。


「夢の途中」
「オリビアを聴きながら」
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」
「夜明けのスキャット」
「抱きしめて」(オリジナル)
「ジョニィへの伝言」
「天使のウィンク」
「冬のリヴィエラ」


 休憩が短く、第1ステージを聴いてくれた方がまだ周囲にいた感じで、集まりはさらに悪くなった。前回も似たような進行でステージ間隔が短く、やはり第2ステージの聴き手が減った。集客にこだわる場合、最低30分はステージ間隔を空けるのが理想だが、そう都合よくいかないケースも多々ある。
 とはいいつつ、この日の喉は絶好調に近かった。声の響きやツヤ、そして伸びが抜群。途中、水はほとんど飲まずに歌いきった。

 最後まで残って聴いてくれた中年婦人、「声が素晴らしい。感動して涙が流れました。きっと売れますよ」と、CDを買ってくださった。どうやら私を売り出し中の新人歌手と勘違いしたらしいが、その目には涙が溢れている。
 3日前のライブ終了後にも同じことを言われたが、自分の歌で泣けたと聞くと、(ああ、届いたんだな…)と思う。歌っていて良かったと思える瞬間である。

 この日も5枚のCDが売れ、在庫が数枚となった。今月はもう一回チカチカパフォーマンスがあるので、急きょ増刷することになりそう。半分は好奇心からかもしれないが、ともかくも売れる。しばらくはこの流れに乗ってみる。




038 チカチカ☆パフォーマンス24th
   「媚びずに歌う」
/2012.12.25



 記録的な豪雪と厳寒の日々が続く。明け方にトイレに起きた際、外に吊るしてある寒暖計を窓越しに見たら、何とマイナス17度を指している。新聞には厳寒ならぬ「酷寒」という珍しい見出しが踊っている。
 午後から今年最後のチカチカパフォーマンス、そして今年最後のライブがあり、マイナス12度の寒さのなか、早めに準備して出た。

 途中で昨夜遅くまでかかって仕上げた年賀状と請求書を投函。予想通り道路は渋滞していて、北4条広場の会場入りがぎりぎりの14時5分前。この日はクリスマスとあって、似顔絵を含めて合計5組がエントリーしていたが、すでに若手シンガーが歌い始めていた。
 いつもの北外れの一角にゆっくりと準備。写真を撮り終えた頃に、最初のパフォーマンスが終わる。5分の間を置き、場が少し冷えた頃を見計らって14時25分から第1ステージ開始。およそ27分で9曲を歌った。


「ウィンターワンダーランド」
「サンタルチア」
「ラ・ノビア」
「レット・イット・ビー」」(オリジナル訳詞)
「雪が降る」
「夢咲く街 チ・カ・ホ」(初披露・オリジナル)
「きよしこの夜」
「Godfather 愛のテーマ」
「We wish you a Merry X'mas」


 この日の切り口はずばりクリスマスで、洋楽系のクリスマス色の濃い曲をずらりそろえた。静かなアルペジオ系の曲が多く、メリハリをつけるために強めの曲を選ぶのに腐心した。
 直前に歌った若い女性プロシンガーの集客は抜群だったが、それに比べると聴き手は少なかった。私の歌は中高年がターゲットなのだが、通りを歩く人の平均年齢が普段よりもかなり若い。
 推測だが、記録的な寒さと暮れの忙しさとが重なり、中高年が都心への外出を控えたのかもしれない。

 それでも「レット・イット・ビー」から「雪が降る」までのピーク時では、10名を越す方々が足を止めてくれた。「レット・イット・ビー」を歌った直後、中年女性が近づいてきて、「よく出来た訳詞です。声も素晴らしい」と絶賛、CDを買ってくれた。
 ステージを終えると、別の女性が近づいてきて、親しげに手を振る。一瞬誰かと思ったが、マスクを外してくれて分かった。何と5月と7月の被災地支援コンサートでご一緒した歌手の清水紫さんではないか。
 たまたま通りかかってラスト2曲を聴いてくれたそうで、全くの偶然。互いに「メリークリスマス」と挨拶を交わしたが、こんな奇跡のようなことがしばしば起きる不思議な場なのだ。

 その後、15時20分から第2ステージ開始。いつものことだが、ステージ間隔が短いせいか、聴き手はさらに減った。途中で全く聴き手がいない状況も瞬間的にあったほど。
 プログラムは珍しく第1ステージと全く同じにした。途中、オリジナルを昭和歌謡の「聖母たちのララバイ」に差し替えてみたが、普段は強いはずのこの曲でも動きはなかった。
 厳しい寒さは地下にもヒシヒシ伝わってきて、用心してこの日はオーバーズボンをはいてきたが、途中で手がこごえてきた。終了後に検査入院中である母の様子を見に行く用事もあり、気持ちもいまひとつ入らない。ラスト3曲で熱心に聴いてくれる女性数人が現れたが、早々に打ち切って撤収することにした。

 結果としてこの日売れたCDは3枚。第2ステージでは全く売れなかった。まあ、こんな日もある。ともかくも今年最後となる46本目のステージを無事にやり終えた。
 この日歌っていて最も手応えを感じた曲は「きよしこの夜」だった。歌っていて自分自身が曲と同一化し、聴き手の中に入ってゆくような不思議な感覚を2度とも感じた。時期的にタイムリーなせいも、もちろんあっただろう。しかし、叙情的な旋律のこの曲は、自分にむいている。
 自分に向いている歌を探し、作り、そして歌うことだ。周囲に媚びる必要はない。

 帰り道も大渋滞に巻き込まれ、自宅到着が19時半近く。いろいろな面で大きなヤマを越えた、記憶に残るクリスマスとなった。




039 チカチカ☆パフォーマンス25th
   「自由気ままなスタイル」
/2013.1.19



 今年初めてのライブとして、チカチカパフォーマンスを実施。実はエントリーしたのは前日夕方という、ギリギリの際どいタイミングである。それもそのはず、押し寄せる仕事の波と大雪の始末に忙殺され、腰は悲鳴をあげ、喉からは軽い違和感がずっととれない。
 直前で体調不良を理由に、キャンセルすることは簡単だった。なにせ自由気ままなソロシンガーである。しかもライブはいわゆる誰かに頼まれた「依頼型」ではなく、あくまで自らの意志による自主企画ライブの位置づけだ。

 しかし、これまでエントリー後のキャンセルは一度もない。これはちょっとした誇りでもあった。前日の大雪も峠を越え、比較的穏やかな天気に恵まれた。気温も零度近くと、この時期にしては高め。
 迷ったが、本番のライブからは1ヶ月近くも遠ざかっている。ちょっとしたリハビリも兼ねて、やはり歌いに行こうと決めた。

 渋滞を用心して、開始時刻より1時間半前に家を出る。幹線道路を選んだこともあって、ちょうど1時間で都心に着いた。

 この日は「次回やるときは必ず連絡を」と事前にメールがあったKさんが来てくれた。Kさんとは昨年、チカチカパフォーマンスの聴き手として知り合った。私の活動をネットで知り、興味を持って観にきてくれたのだ。
 その後半年近くが過ぎ、また私の歌を聴きたくなったという。嬉しい話である。

 会場は南端の北大通広場で、午前中からパフォーマンスしていたフリーバスケットグループとの話し合いで、14時半から演らせてもらうことになる。
 この日は気分を一新し、聴き手はあまり意識せず、自分の歌ってみたい曲を中心に極めてマニアックな構成で臨んだ。およそ30分で以下の9曲を歌う。(※は初披露)


「Without You」※(オリジナル訳詞)
「どうぞこのまま」
「人形の家」※
「イエスタディ」※(オリジナル訳詞)
「夢咲く街 チ.カ.ホ」(オリジナル)
「異邦人」
「シンプル・ラブ」※
「オリビアを聴きながら」
「抱きしめて」(オリジナル)


 私のシンパシーともいえるKさんは別にし、立ち止まって拍手を貰えたのは「人形の家」くらいだった。喉の調子は70%ほどだったが、声が途切れるような致命的なミスはない。歌としてはまずまずの出来だったと自負している。

 しかし、これだけ馴染みの薄い曲を並べると、さすがに人は集まらない。加えてこの日は中高年の姿が極端に少なかった。中高年を主なターゲットにしている私にとって、これは厳しい条件だった。
 無理もない、終末とはいえ、連日の大雪で中高年は除雪に疲れ、外出を控えているのだろう。当の私でさえ、演るかどうか直前まで迷ったほどだ。

 結果として第1ステージで売れたCDはゼロ。これはある意味で予期していた通りだった。
 CDを手にとってくれた方は数名いたが、特にMCで販売告知はしなかった。まるで商売下手である。聴き手に全く媚びずに勝負すると、一体どんなことになるのか?この日のテーマは、そんな大それたものだった。

 15時40分から第2ステージ開始。シャンソン系の歌を中心に構成し、やや耳障りのいい曲を並べた。


「ろくでなし」
「オー・ソレ・ミオ」
「バラ色の人生」
「独り」(オリジナル・作詞/まりりん)
「詩人の魂」
「かなりや」
「もっと」(オリジナル)
「幸福を売る男」※


 第1ステージと打って変わって、1曲目からいきなり人が集まってきた。その数7〜8人ほどか。大半が中年女性だが、聴き手は実に正直だ。
 オリジナルの「独り」を歌い終えると、そのうちの一人がCDを買ってくださった。この日は4曲のオリジナルを歌い、2曲のオリジナル訳詞を披露したが、全体的に閑散とした気分の中だったので、評価は難しい。
 それでもオリジナルを歌った直後に、「いまの歌、CDに入ってます?」と確かめてから買ってくれたので、ちょっとした救いではある。

 このステージでは、Kさん以外にも最初から最後まで30分間、ずっと聴いてくれた見知らぬ中年女性がいて、これまた大きな救いだった。
「真剣に聴いてくれる聴き手が一人いれば、ライブは成立する」が持論なので、その一点では満足すべき一日だった。

 ただ、今後もこうした「好き勝手方式」で演るかどうかは、しばし考えてみたい。デザイン系の仕事がそれなりに増えれば、「CDを数多く売って小銭を稼ぐ」という、ある種さもしい目論見も意味が薄れてくる。
 状況の変化に伴い、歌のスタイルも微妙に変化する。それでいい。