027 チカチカ☆パフォーマンス14th
「案内状の手応え」 /2012.6.13
通算14度目となるチカチカパフォーマンスを実施。最高気温が17度前後と肌寒い陽気で、そのせいか体調がすぐれず、不安を抱えたままの参加となった。
会場は北4条広場。前回、北大通広場で久しぶりに歌ってみて、北4条広場の音響環境のよさを思い知った。壁と低めの天井に囲まれた半閉鎖空間なので、音の反響が抜群によく、歌っていて心地よいのだ。
今日はジャグラーの方と共演の予定だったが、15分前に事務局に手続きに行くと、まだ来ていないという。最初のパフォーマーの責任分担であるずっしり重い看板を2つ抱え、よろける足取りで会場へと向かった。
この日から地下歩行空間は節電のため、照明が24%減らされると聞いていた。なるほど確かにかなりの数の照明が消されているが、もともと北4条広場は明るすぎるきらいがあった。壁際の照明はすべて点いているので、歌うには支障がなく、そもそも中華Padを使った電子譜面は暗闇でも普通に機能する。
定刻より少し遅れて14時2分くらいからライブ開始。この日の構成は1ヶ月ぶりとなるシャンソン&クラシック。マニアックな内容なので、集客はフォークや昭和歌謡に比べると落ちるのが常だが、その分熱心な聴き手が多いのが特徴である。
およそ28分で以下の8曲を歌った。(※は初披露)
「恋心」
「さくらんぼの実る頃」
「サンタルチア」
「モルダウの流れ」
「ブンガワン・ソロ」
「詩人の魂」
「恋はやさし野辺の花よ」
「花は咲く※」
最初の2曲はほとんど立ち止まる人もなく、聴いているのは開始前から床に座っていた男性一人。この方もなぜか拍手はくれずに、ひたすら目を閉じて瞑想するのみである。
今日は厳しいぞと覚悟しつつ、淡々と歌い継いだが、「サンタルチア」から少しずつ人が集まり始めた。転換曲(捨て曲)の位置づけだった「ブンガワン・ソロ」でやや人が引き、「詩人の魂」あたりから再び増え始めるという、ほぼ予定通りの集客となった。
ラスト近くになってじわじわと人が増え、この日の目玉だった被災地復興支援ソング「花は咲く」では15名近くに達した。
数日前に覚えたばかりの初披露曲で、メロディ展開が非常に難解な曲。この日どうしても歌いたくて必死で練習し、体調悪化の遠因にもなったいわくつきの曲だったが、聴き手の反応は抜群によかった。
4分を超える曲だが、フェルマータを一部に使ってシャンソン風のアレンジで歌ったのが効果的だったかもしれない。ラストでは無伴奏でボーカルを長くリフレインさせたが、終了前のその時点で盛大な拍手をもらう。
終了後にかなりの人が集まってきて、数々の身に余る言葉をいただく。しかし、あくまで「素人にしては」という前提での評価に違いなく、勘違いしない程度にありがたくいただくことにする。
第1ステージが終わってもジャグラーの方は現れない。やむなく15分休んだあと、黙々と第2ステージを始めた。
14時45分から以下の8曲を30分間で歌う。時間に余裕があるのでMCを長めにし、体調もいまいちなので曲間の間合いも充分にとった。
「サン・トワ・マミー」
「ドミノ」
「野ばら(メドレー)」
「あたらしき世界」(オリジナル歌詞)
「サクラ咲く」(オリジナル)
「夢路より」
「帰れソレントへ」
「マイ・ウェイ※」
第1ステージとがらり変わって、1曲目からどんどん人が集まってきて、あっという間に10名を超えた。なぜか若い女性も多数。いつでもどこでも「サン・トワ・マミー」は強い。
しかし、2曲目以降になると人は激しく増減した。メジャーな曲を歌えば人は集まってはくるが、永続性はない。あくまで刹那的な動きである。いかにして集まった人をその場に長く留められるか?が問題なのだ。
捨て曲のつもりで歌ってみたオリジナル「サクラ咲く」、出来は決して悪くなかったが、シャンソン系の場では馴染まなかったようで、聴き手は2人まで激減した。前回フォーク系の場での反応とは対照的で、やはりこの曲はフォーク系と位置づけるべきらしい。
(自宅でさんざ聞かされて耳タコ状態の妻も同意見)
それでもラスト3曲ではかなり持ち直し、10名前後の聴き手で終えることができたので、トータルの集客としてはまずまずだったといえよう。この日2つ目の初披露曲「マイ・ウェイ」は2年近くも練習してモノにならず、一時は人前で歌うのを諦めた曲だったが、予想外にいい手応えだった。
「サン・トワ・マミー」と同じく、この曲も一般には受けがよいと知った。月日を経て、ようやく曲の世界観を噛み締める境地に達したのかもしれない。体調は最悪だったが、確かな収穫を得たライブであった。
ライブを終えた2日後、案内状を持っていったらしい通りすがりの方からメールがあった。名刺を渡した方からの連絡は過去にもあったが、案内状を作ってからは初めてである。
今回は用意した33枚のうち、合計1時間のライブ終了後に数えてみたら、28枚が消えていた。つまりは、少なくとも28名の方にはかなりの関心を持っていただいたことになる。「案内状を持ってゆく」という行為は、そう評価していいと思っていたが、その結果が早くも出たことになる。
メールには自己紹介を含めて、私の歌に関する感想などが細々と記されていて、冷静な第三者の視点が非常に参考になったが、なかでも以下の一文は胸に深く響くものだった。
>弾き語りには、背景に歌い手の人生が醸し出されますね…
この数年、同じようなことをよく考える。歌の最終的な勝負は「人生をいかに生きたか(生きているか)」ではないかと。それを通りすがりの方に感じ取っていただけたことで、我が弾き語り人生は充分に満足できるものだった、(まだ終わってはいないが)と言えるのではないだろうか。
ストリートライブにこだわり続けてきて本当によかった。