街角100ライブ


025 チカチカ☆パフォーマンス12th
   「初の音楽共演」
/2012.5.31



 都合12度目となるチカチカパフォーマンスを無事に終えた。今回は初めて他の音楽系パフォーマーとの共演となった。相手は第2期パフォーマーの健・雄さん。実はこのグループ、たまに顔を出す居酒屋ライブハウスのマスターとお客様によるユニットで、オーディション時にも顔を出した周知の仲である。
 平日の昼間ということもあって、仕事のある雄さんは欠席。比較的時間に融通の効くマスターのKENさん一人の参加となった。

「ぜひご一緒したい」との連絡が入ったのがわずか3日前で、たまたまこの日はエントリー枠(最大3組)に空きがあった。PAやマイクスタンド、譜面台などは私の物を使ってもらうことにし、まずは一緒にやってみましょうや、という話が急きょまとまった。

 この日の構成は4つあるパターンのうち、「唱歌・叙情歌」。KENさんが得手とする70年代フォークとは全く異質で、歌が競合する可能性はゼロである。事務局のあるビル入口でギターを抱えたKENさんとばったり出会い、そのまま二人で事務局まで行き、最初の手続きのやり方などを教える。
 2つある案内用看板をめいめいが持ち、すぐに地下に潜って準備。今日も会場はいつもの北4条広場で、事前の打合せの結果、最初に私が40分近くを歌い、続けてKENさんが歌う段取りとなった。

 手慣れた内容なので特に気持ちを構えることもなく始めたが、その分やや緊張感を欠くライブとなったかもしれない。モチベーションの調整はなかなか難しいものだ。
 14時ちょうどから始め、40分弱で以下の16曲を一気に歌った。


「花(滝廉太郎)」
「みかんの花咲く丘」
「かなりや」
「思い出のグリーングラス」
「荒城の月」
「アニー・ローリー」
「おぼろ月夜」
「城ヶ島の雨」
「野の花や」(オリジナル・共作詞/なんかい)」
「さくら貝の歌」
「涙そうそう」
「この広い野原いっぱい」
「夏の思い出」
「忘れな草をあなたに」
「ゆりかごの歌」
「ゴンドラの唄」(初披露)


 いつものようにMCは簡単な曲紹介程度で、およそ5分で2曲を歌うペースである。唱歌系の曲は総じて短めなので、電子譜面ならばこんな芸当も難しくない。
 初披露は「ゴンドラの唄」のみ。ラストで歌ったが、やや曲が古過ぎたかもしれない。しかし、この日はぜひこの曲を歌いたかった。

 聴き手は曲によって増減したが、5〜15名といったところか。今回はなぜか入れ替わりが激しかった気がする。
 日本唱歌は日本人の琴線に響く内容である反面、おおむねメロディ展開は平易で、つまりは変化に乏しい。ともすれば単調さに流されがちで、編曲面でさまざまな工夫をこらしてはみたが、40分弱で16曲というハイペースは結果として忙しくて落ち着かない雰囲気のライブになった印象は否めず、聴き手の入れ替わりが激しかった理由のひとつだったかもしれない。
 それでも、1曲目から最後まで全曲を聴いてくれた方がいて、大変ありがたかった。(ちなみに、KENさんとは別の通りすがりの人)まずまず、無難な出来だったといえよう。

 衣装は先日買った赤のトレーナーに黒バンダナを襟元にあしらう。ハンチングは上衣の赤に合わせ、めったにかぶらないグレーのツイード調にした。いろいろ凝ってはみたが、結果としてあまり集客には影響しなかった感じだ。あくまで自己満足の世界である。
 今回初めて使ったスタンド式の案内状入れは好評だった。歌いながら随分いろんな人が持ってゆくな…、と思っていたら、準備した12枚が4枚に減っていた。何らかの反応があることを、あまり期待せずに待つことにしよう。

 終了後、案内状入れや譜面隠しなどを撤去し、ただちにKENさんのステージが始まる。「最初なので、2曲くらいでやめようかな…」などと歌う前は控え目に語っていたが、いざ歌い始めると、どんどん人が集まってきた。
 特に2曲目の「酒と泪と男と女」で一気に15名近くに到達。その後、曲によって聴き手は増減したが、常時10〜15名近くをキープ。初ステージとしては充分な集客である。場数を重ねた人はさすがに違う。ストローク奏法を基本にし、一部ハモニカを交えるなど、ストリートむけの手法がいろいろと参考になった。

 会場の後ろのほうで初めて「聴き手」となってみたが、ボーカルがよく反響して非常に聴きやすい。KENさんのギターにはピックアップがなく、生音だが、そんなハンデは感じさせない。なるほど、自分の歌もきっとこれに近い感じで聴こえているのかと、ちょっとうれしくなった。
 計6曲を25分弱で歌い、15時5分にステージ終了。これまで共演はずっとジャグリング関係の方々ばかりだったが、今回でようやく風穴が空いた感じがする。通りを行く人々に対し、「弾き語りパフォーマーここにあり」という認知度アップに今後つながれば喜ばしい。




026 チカチカ☆パフォーマンス13th
   「共演でアンコール」
/2012.6.5



 通算13度目となるチカチカパフォーマンスを無事に終えた。これまでかなりの回数をこなしたが、今回は初めて中4日でのライブ。気持ちの切換えと気力体力の維持が大事なポイントになりそうだった。
 前回に引続き、第2期パフォーマーの健・雄さんとの共演である。16時からは即興パフォーマーの宮脇誠さんのステージも入っていて、より徹底した時間管理が必要だった。

 今回の会場は少し遠い北大通広場だったので、早めの13時40分にKENさんと事務局のあるビル1Fで待ち合わせ。しかし、なかなか現れないので一人で先に手続きをしているうち、ようやくKENさんが到着。今日は雄さんも仕事の都合がついて参加できることになり、事前に大通り公園で入念にリハを重ねたとかで、つい出遅れてしまったらしい。

 手早く機材をセットし、普段通り14時ジャストからライブ開始。今回は30分交代で2ステージやる手はずになっていて、トップバッターは勝手知ったる私が務めた。
 この日のセット構成はフォーク&J-POP。事情で土曜日曜と2日続けて満足な練習ができず、喉は60%くらいの仕上がり。不安を抱えての第1ステージでは、27分で以下の8曲を歌った。(※は初披露)


「青春2」
「あの日にかえりたい※」
「傘がない※」
「あてもないけど」
「あしたの君へ※」
「帰郷」
「サクラ咲く※」(オリジナル)
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ※」


 以前に実績あるジャグラーの方から「火曜日14時あたりは集客のゴールデンタイムですよ」と聞いていたが、確かに歌い始めるとすぐに人が集まってきた。3曲目あたりに軽く30名を突破。しかも、みなさん熱心に耳を傾けてくれる。
 状況次第では飛ばす気でいた7曲目のオリジナル「サクラ咲く」だったが、聴き手の熱い視線に勇気を得て、思い切って歌った。

♪サクラをみたよ 今年もみたよ あなたとみたよ 二人でみたよ…
 日々を清かに重ねてゆきたい あのサクラの花のように…

 実はこの曲、昨日できたばかりだったが、非常にいい感じなので初披露の場をチカチカパフォーマンスとした。こんな冒険ができるのもこの場ならでは。
 ブログにも記した妻との花見の情景を元に作った曲だが、やや歌い込み不足のせいか、ラストあたりで感極まって崩れそうになった。しかし、きわどくこらえる。歌い終えるといい拍手をもらった。歌ってよかった。

 14時30分から健・雄さんのステージ開始。今回は同じフォークの切り口なので、自分のステージ終了間際、簡単につなぎの案内もやった。そのせいか、そのままその場に残った方もけっこういて、やはり30名を越える順調な集客だった。

 健・雄さんは短めの5曲20分ほどで終了。予定が早まったので、第2ステージは15時少し前から始めた。しかし、同じ場で同じような傾向の歌だったのにも関わらず、なぜか集客は極端に減り、平均して10名前後である。
 そんなわけで、第2ステージでは予定していたオリジナル曲を省き、25分ほどで以下の7曲を歌った。


「大空と大地の中で」
「河のほとりに」
「限りない欲望※」
「Too far away」
「突然さよなら」
「惑星」
「青葉城恋唄」


 予想外だったのは、力を入れたはずの「限りない欲望」の途中で数人の人が立ち去ったこと。メッセージ性の強い好きな曲だが、この日この場では受け入れられなかった。ライブは本当に難しく、まるで先が読めない。だから面白いんだよ、と言えなくもないが。
 結果として前後半15曲のうち、「あの日にかえりたい」「傘がない」「あしたの君へ」「サクラ咲く」「ダスティン・ホフマンに…」「限りない欲望」「Too far away」の7曲が初披露となったが、はたして後半の選曲が悪かったのかどうか、判断に苦しむ。
 ただ、今回も待ち時間で多くの方に声をかけていただいた。準備していった案内状16枚も、第1ステージで全てなくなった。今後どんな反応があるかは別にし、多くの方々に興味を持っていただいたことは間違いない。

 15時30分からの健・雄さんの第2ステージも私と似たような集客傾向で、10名前後に終始した。どうやら火曜日のゴールデンタイムは15時で終了だったらしい。
 ラストの「落陽」でふと思いつき、いったん片づけたギターを取り出して一緒に弾いてみることにした。2台よりも3台のほうが音は厚くなり、3人のセッションともなると、気分も盛り上がる。耳慣れた曲であることも手伝って、一気に人が集まってきた。
 ついには手拍子まで飛び出し、歌い終えると予期せぬ「アンコール」の声。事前のリハや打合せは一切なく、戸惑いつつも無難な「神田川」を歌うことになる。1番をKENさん、2番を私のボーカルとし、間奏その他はぶっつけで雄さんに任せたが、これが見事決まって大喝采を浴びた。
 アドリブやセッションの楽しさ賑やかさを通りすがりの聴き手と共有できた感じで、チカチカパフォーマンスの新しい可能性を感じた。




027 チカチカ☆パフォーマンス14th
   「案内状の手応え」
/2012.6.13



 通算14度目となるチカチカパフォーマンスを実施。最高気温が17度前後と肌寒い陽気で、そのせいか体調がすぐれず、不安を抱えたままの参加となった。
 会場は北4条広場。前回、北大通広場で久しぶりに歌ってみて、北4条広場の音響環境のよさを思い知った。壁と低めの天井に囲まれた半閉鎖空間なので、音の反響が抜群によく、歌っていて心地よいのだ。

 今日はジャグラーの方と共演の予定だったが、15分前に事務局に手続きに行くと、まだ来ていないという。最初のパフォーマーの責任分担であるずっしり重い看板を2つ抱え、よろける足取りで会場へと向かった。
 この日から地下歩行空間は節電のため、照明が24%減らされると聞いていた。なるほど確かにかなりの数の照明が消されているが、もともと北4条広場は明るすぎるきらいがあった。壁際の照明はすべて点いているので、歌うには支障がなく、そもそも中華Padを使った電子譜面は暗闇でも普通に機能する。

 定刻より少し遅れて14時2分くらいからライブ開始。この日の構成は1ヶ月ぶりとなるシャンソン&クラシック。マニアックな内容なので、集客はフォークや昭和歌謡に比べると落ちるのが常だが、その分熱心な聴き手が多いのが特徴である。
 およそ28分で以下の8曲を歌った。(※は初披露)


「恋心」
「さくらんぼの実る頃」
「サンタルチア」
「モルダウの流れ」
「ブンガワン・ソロ」
「詩人の魂」
「恋はやさし野辺の花よ」
「花は咲く※」


 最初の2曲はほとんど立ち止まる人もなく、聴いているのは開始前から床に座っていた男性一人。この方もなぜか拍手はくれずに、ひたすら目を閉じて瞑想するのみである。
 今日は厳しいぞと覚悟しつつ、淡々と歌い継いだが、「サンタルチア」から少しずつ人が集まり始めた。転換曲(捨て曲)の位置づけだった「ブンガワン・ソロ」でやや人が引き、「詩人の魂」あたりから再び増え始めるという、ほぼ予定通りの集客となった。

 ラスト近くになってじわじわと人が増え、この日の目玉だった被災地復興支援ソング「花は咲く」では15名近くに達した。
 数日前に覚えたばかりの初披露曲で、メロディ展開が非常に難解な曲。この日どうしても歌いたくて必死で練習し、体調悪化の遠因にもなったいわくつきの曲だったが、聴き手の反応は抜群によかった。
 4分を超える曲だが、フェルマータを一部に使ってシャンソン風のアレンジで歌ったのが効果的だったかもしれない。ラストでは無伴奏でボーカルを長くリフレインさせたが、終了前のその時点で盛大な拍手をもらう。

 終了後にかなりの人が集まってきて、数々の身に余る言葉をいただく。しかし、あくまで「素人にしては」という前提での評価に違いなく、勘違いしない程度にありがたくいただくことにする。

 第1ステージが終わってもジャグラーの方は現れない。やむなく15分休んだあと、黙々と第2ステージを始めた。
 14時45分から以下の8曲を30分間で歌う。時間に余裕があるのでMCを長めにし、体調もいまいちなので曲間の間合いも充分にとった。


「サン・トワ・マミー」
「ドミノ」
「野ばら(メドレー)」
「あたらしき世界」(オリジナル歌詞)
「サクラ咲く」(オリジナル)
「夢路より」
「帰れソレントへ」
「マイ・ウェイ※」


 第1ステージとがらり変わって、1曲目からどんどん人が集まってきて、あっという間に10名を超えた。なぜか若い女性も多数。いつでもどこでも「サン・トワ・マミー」は強い。
 しかし、2曲目以降になると人は激しく増減した。メジャーな曲を歌えば人は集まってはくるが、永続性はない。あくまで刹那的な動きである。いかにして集まった人をその場に長く留められるか?が問題なのだ。

 捨て曲のつもりで歌ってみたオリジナル「サクラ咲く」、出来は決して悪くなかったが、シャンソン系の場では馴染まなかったようで、聴き手は2人まで激減した。前回フォーク系の場での反応とは対照的で、やはりこの曲はフォーク系と位置づけるべきらしい。
(自宅でさんざ聞かされて耳タコ状態の妻も同意見)
 それでもラスト3曲ではかなり持ち直し、10名前後の聴き手で終えることができたので、トータルの集客としてはまずまずだったといえよう。この日2つ目の初披露曲「マイ・ウェイ」は2年近くも練習してモノにならず、一時は人前で歌うのを諦めた曲だったが、予想外にいい手応えだった。
「サン・トワ・マミー」と同じく、この曲も一般には受けがよいと知った。月日を経て、ようやく曲の世界観を噛み締める境地に達したのかもしれない。体調は最悪だったが、確かな収穫を得たライブであった。

 ライブを終えた2日後、案内状を持っていったらしい通りすがりの方からメールがあった。名刺を渡した方からの連絡は過去にもあったが、案内状を作ってからは初めてである。
 今回は用意した33枚のうち、合計1時間のライブ終了後に数えてみたら、28枚が消えていた。つまりは、少なくとも28名の方にはかなりの関心を持っていただいたことになる。「案内状を持ってゆく」という行為は、そう評価していいと思っていたが、その結果が早くも出たことになる。

 メールには自己紹介を含めて、私の歌に関する感想などが細々と記されていて、冷静な第三者の視点が非常に参考になったが、なかでも以下の一文は胸に深く響くものだった。

>弾き語りには、背景に歌い手の人生が醸し出されますね…

 この数年、同じようなことをよく考える。歌の最終的な勝負は「人生をいかに生きたか(生きているか)」ではないかと。それを通りすがりの方に感じ取っていただけたことで、我が弾き語り人生は充分に満足できるものだった、(まだ終わってはいないが)と言えるのではないだろうか。
 ストリートライブにこだわり続けてきて本当によかった。