子育てサッカー相談室 ROOM4

 
低学年で身につけるべきこと

 はじめまして、地域のスポーツ少年団でサッカーをしている息子をもつ父です。息子は今2年生で、キャプテンを任されています。私はサッカーは素人なのですが、幼稚園の年長から息子がお世話になっている関係で、低学年の子守り(?)をしているうちにコーチになってしまいました。菊地さんにお聞きしたいのは低学年の子どもに必要な「もの」です。
 コーチになって2年近くになりますがいろいろと本をあさりました。サッカー選手になるための条件として「技術」「フィジカル」「スピード」の3つが必要だとよく言われます。でも、そんなことは誰でも理解できる事ではないでしょうか。私の知りたいのはそのまた先で、どうすれば上に示した3つが身に付くか、身につけるために必要なものが何か、と言うことです。それが最近ぼんやり見えてきました。

「サッカーが大好きである事」
「ポジティブシンキングである事」
「人に頼らず自分で考えれる事」

 どんな本にもほぼ共通して記載されているのは上の3つでした。上に挙げた3つを獲得するためには何が必要なのでしょうか。また、どのように子供と接していくべきなのでしょうか。そもそもコーチとして上の3つの課題には関われる事なのでしょうか。菊地さんは息子さんはもちろん、息子さんの仲間達とも小さい時から一緒に遊ばれています。菊地さんの経験から見えてくるものがあれば教えていただけないでしょうか。
('04.2 /じゃこ蔵)

 2年生のコーチをされているそうですが、私の手記にもありますように、この時期に私が最も重視したのは、「サッカーの楽しさ」です。正式にコーチを引き受ける前もそうでしたが、小学校時代はあまり難しく考え過ぎず、この「楽しさ」を最重点に置いた指導でいいと思います。
 要するに練習や試合などのすべての局面で、「サッカーが楽しくて楽しくてたまらない」状況を作ってしまえばいいのだと思います。具体的にはこのホームページに掲載ずみの「Soccer Coaching」「手探りベンチワーク」などをよくお読みいただければ、私の指導方針や考え方がご理解いただけると思います。
 あまり堅苦しく考えず、コーチ自身がサッカーを楽しみ、「サッカーの練習日が待ち遠しい」状況を自分の中に作ってしまえば、それは自然に子供たちにも伝わります。その中から、やがてプロをめざす子が出てくるかもしれないし、仮に小学校だけでサッカーをやめたとしても、その子の心の中にサッカーが楽しい記憶として刷り込まれるはずです。
 サッカー少年団の中で、将来サッカーで身をたてていける子は、おそらく1000人にひとりかそれ以下の割合でしょう。集団を指導するコーチの立場としては、ごく少数のプロをめざすような指導方針よりは、サッカーを通して物事を楽しむ心、目標にむかって努力する心、目標に到達出来たときの喜び、そんなものを集団の中で植えつけてやるべきではないでしょうか。大人としての役目は、それで十分だと私は思います。



 
僕はどうすればいいですか?

 前に一度フリークックについて質問したタケルです。教えてくれて有難うございます。
 僕の夢は、ベッカムみたいな選手になることです。ですが、お母さんたちはこのことを反対しているのです。僕はなぜだかは分かっています。それは、サッカーではいろいろケガがあるからです。
 僕はサッカー選手になりたいけど、お母さんたちに心配かけたくないのです、僕はどうすればいいのですか?
('04.2 /タケル)

 2度目の相談メールについて、ずっと考えていました。私には「ベッカムのようなサッカー選手になりたい」という君の夢に反対する君のお母さんの気持ちが、どうもよく分からなかったからです。
 君が想像している「ケガがあるから」というのは、反対の理由としてはおかしい気がします。確かに、サッカー選手になってケガがもとでやめてしまう選手もいます。でも、ケガを乗り越えてがんばっている選手もたくさんいるし、ほとんどの選手はケガをしないよう、毎日トレーニングにはげんでいます。
 サッカーでのケガがもとで死ぬ選手や、からだの障害を一生かかえてしまう選手はあまりいないと思います。すると、君のお母さんが心配しているのは、おそらく「もしケガでサッカーが出来なくなったとき、どうやって生活していくのか?(どうやってお金をかせぐのか?)」ということではないでしょうか。
 そこでまだ6年生である君がこれから進む道のヒントを教えます。あくまで「ヒント」なので、これを読んでどうするかは、君が決めてください。

 まず、君に本当にプロのサッカー選手になりたい気があるなら、本気でその道をめざしてください。その夢に向かって、練習にはげんでください。「お母さんが反対するから」という理由であきらめるくらいの夢なら、最初からめざすべきではありません。そして、6年生である君は、簡単に将来の夢をあきらめる年令でもありません。
 夢はあきらめた瞬間(しゅんかん)に消えてしまいます。私は小学校の卒業文集に、「一級建築士になって、家の設計の仕事をする」と書きました。その夢はとても難しい夢でしたが、32歳で一級建築士の資格をとり、54歳のいま、いろいろな人の家の設計をしています。小学校のころ持っていた夢は、ちゃんとかないました。それは、ずっとその夢をあきらめず、夢にむかって毎日努力していたからです。
 もっと厳しいことを書くと、「お母さんが反対するから」という理由でいろいろまようのは、(本当は僕はプロにはなれないかもしれない…)と心のどこかでは思っていて、その自信のなさをかくすために、お母さんの反対を理由にしているだけなのかもしれません。
 もう一度、自分の本当の気持ちを、自分自身に確かめてみてください。そしてそれでも自分の気持ちが変わらなければ、目標にむかって努力しましょう。

 ただ、ケガを含めて、「もしサッカーが出来なくなったら、どうやって生活していくのか?」ということは、いつも考えておいてください。そしてそのことは、お母さんたちにもきちんと説明するべきです。そうすれば、お母さんの心配も少なくなるでしょう。
 たとえば、体育の先生の資格をとりながら、プロサッカー選手をめざしていけば、もしサッカーが出来なくなったとしても、ちゃんと先生の仕事で生活出来るし、サッカーを一生教えることも出来ます。
 目標にむかって毎日少しずつ努力することが出来る人なら、サッカー以外のどの道に進んでも、ちゃんとやっていけるものだと私は信じています。



 
30mのフリーキック

 こんにちは!!僕は中1のサッカー部です!!ポジションはサイドバッグです!! で、聞きたいことは、30〜40mでの直接決める方法を知りたいんですが、アドバイスでも良いので教えてください!! 後、もう一つ聞きたいことがあって、サイドバッグはコーナー辺りまで上がって良いんでしょうか!?
('04.3 /ナオキ)

 これは本来、チームのコーチや監督に聞くべき問題です。この種の質問が次々と舞い込むこと自体に、現在の少年サッカーを取り巻くお寒い状況が表れていると思いますが、それはさておき、私の場合は30m前後のフリーキックを直接決める状況が訪れたとき、(こんな状況はめったにあるものではありませんが)蹴る選手を指名し、ベンチからはっきり「ねらえ!」と指示しました。記憶では8年間のコーチ時代でこんなことが3回ありましたが、すべてゴールを決めています。
 30m前後のフリーキックをねらえる選手は、ごく限られています。キック力が強いこと、ボールの中心を正確に捕らえられることがまず最低条件です。このふたつは持って生まれた資質に大きく左右されますが、日々の練習である程度鍛えることが出来ます。(リフティングや筋トレなど)
 最も大切な条件は、「抑えたボール蹴ることが出来るか?」です。どんなにキック力があっても、上に浮いてしまってはゴールを外れてしまいます。30mくらいの距離を、高さ2.5〜3mくらいを保ったまま、まっすぐ平行に飛ばす能力があるかが勝負の分かれ目です。実際にはボールはゴール前で少し勢いがなくなるので、この感じで蹴るとちょうどキーパーの届かない上の枠いっぱいに入ります。
 キーパーの能力が高い場合、これでも外に押し出される場合があるかもしれません。そのほか、地をはうような低い弾道でねらう方法もあると聞きましたが、小6レベルで私が試してうまくいったのは、このやり方だけです。

 練習方法は特にありません。集団や個人でこの蹴り方を指導したこともありません。蹴るときの立ち足をやや深くし、(ボールの真横に立ち足を置く感じ)蹴った瞬間に上体を後ろにそらせず、逆にかぶせるように蹴ることがコツです。ほとんどその子の資質に左右されます。個人練習だけで会得するのは、至難の技だと思います。
 最後の質問は、そのチームのコーチや監督の戦術やサッカー観、そしてその選手のスピードとスタミナ、サイドバックが上がったときに空いた守りのスペースをカバーする他の選手(ストッパーやボランチなど)の能力によって異なります。コーチや監督によく相談してください。いろいろな条件が満たされているなら、どんどん上がってシュートも打っていいポジションだと私は思います。



 
試合で走れない我が子

 はじめまして。サッカーのサイトを探していてたどり着きました!さっそく相談したい事があるのですが、小学3年からサッカーを始めて今、4年生の息子の事です。

 内気な性格で目立つのがあまり好きな方ではなく、おとなしい性格なのですが、サッカーは好きならしく、1年続けています。数日前、サッカーの試合があるということで、私も見に行きました。
 がっかりしました!!というか腹がたってしまいました!今まではあまり試合の回数が少なく、私もあまり見に行く事もなかったんですが…。
 で、何にがっかりしたかというと、息子の試合での様子です。自分からボールを取りにいく気がないというか、皆の後をついて走るだけ…。本気で走れー!とか思ってしまいました。アピールもしないし、(恥ずかしいからだと思う)ほんとにやる気あるの?って感じで。当然のことながら、交代〜!となって出番はほんと少なかったです。

 サッカーのプレーの事は口出ししない方がいい、と先輩お母さんから聞いた事がありますが、もう腹が立って仕方なく、帰りの車の中で、何でちゃんと走らないのとか、そんななら止めなさい、とか言ってしまいました。
 でも本人は続けると言ってます。練習もまじめに行ってます。まだあまり試合を経験してないから、こうなのかは分かりませんが、サッカーに向いてない性格なんですかね?結構スポーツやっている子って活発な子が多いじゃないですか?別に内気でもいいんですが、サッカーの試合の時までおとなしくなるとは!!でも本人が続けたいと言ってる以上、続けさせてやりたいんですが、やっぱり私からは口出ししない方がいいんでしょうか…。
 うちのチームは、上手な子だけ目を向けている、みたいな感じなので、ほんとに私もどうしたらいいのか分かりません。何かいいアドバイスがあればお願いします。
('04.5 /落胆ママ)

 熱血お母さんに対して、おとなしい男の子、というよく見られる母子の組み合わせです。数えてみましたら、文中に「!」が8つもありました。(実は見出しにもありました)あなたのその熱情が、おそらく日常のいろいろな面で息子さんを萎縮させている印象がまずしました。
 サッカーには、やっている本人の性格、気質がはっきりと現れます。別コーナーの「Soccer Coaching」でも一部ふれていますが、ポジションはその子の性格に合わせたものにしてやることが、コーチとしての大事な務めです。内気な息子さんにも、ちゃんと向いたポジションがあり、サッカーを楽しむことが出来ます。
 息子さんはまだ4年生です。しかも、初めての試合ということで、いきなり動き回ることなど、普通は考えられません。おそらくその試合でも、ボールに自分から向かっていった子は、ごく少数だったはずです。

 実は兄に続いて2年遅れでサッカー少年団に入った我が家の二男がこのタイプでした。最初の試合では、ほとんど「立ちん坊」「かかし」状態でした。同様な子がグランドには何人もいました。コーチは私でしたが、それほど叱った記憶はありません。最初は誰でもそんなものだ、という事を知っていましたから。
 私の場合は、次のような練習を何度もやることで、チーム全体からこの「かかし状態」を取り去ることに成功しました。

 左右均等の位置に二人を立たせ、笛の合図で私がまん中にボールを投げる。同時に二人の子をダッシュさせ、奪い合いをさせるのです。最初は単純に早く蹴るだけ、慣れてきたらただ蹴るだけでなく、ボールをキープさせます。トスするゴールも最初は転がすだけですが、高く放り投げたり弾ませたりして、徐々に実戦に近い難しいボールにします。
 競り合わせる子は、最初は同じくらいの能力の子がいいです。「ボールに向かってダッシュし、相手と競り合う」というサッカーの基本が、この練習によって確実に育ちます。
 コーチがこの種の練習をやってくれるのが理想ですが、工夫すれば親でもやれないことはありません。第三者にボールを投げてもらうか、地面にボールを置いて同じくらいの距離(能力に応じて距離にハンデをつけてもよい)離れ、ヨーイドンの合図で息子さんとボールを奪い合ってみてください。こうして親子で練習すれば、サッカーがどれくらい難しく、また楽しいものであるか分かるはずです。息子さんにとっても、親と遊んだよい思い出として記憶に残るでしょう。

 練習を始めてからまだ1年、息子さんのサッカーは始まったばかりです。もっと長い目で見ませんか。幸い、サッカーは好きで、自分からやると言い出し、また続けたいと言っているようです。この自発的な芽を、些細な親のいら立ちから摘み取ってしまうと、あとできついしっぺ返しがくるかもしれません。
 サナギが突然蝶になるように、それまでぼんやりと立っているだけだった子が、ある日突然グランドでいきいきと動き出す瞬間を、私はコーチとして幾度も目にしています。それは指導者として充実感を覚える瞬間でもあります。
 元来が内気な性格の息子さんの場合、少し時間がかかるかもしれませんが、辛抱強く見守ってあげてください。励ましながら、一緒にサッカーを楽しんでください。いつか必ず、蝶となってあなたの元から羽ばたいていくはずです。



 
自信をつけさせたい

 初めまして、偶然HPを見つけ、ぜひ意見をお伺いしたくてメールしました。
 息子が3人いて、現在5年生の三男に関する相談です。上2人もかってはサッカーをやっていました。兄の影響もあり、三男は物心付いた時からサッカーボールを蹴っていました。小学校入学と同時に長男と同じ少年団に入りたがっていましたが、もめごとの多いチームだったことと、いつもサッカーをしている環境だったことから、3年生からと約束をして兄とは違う地域の少年団に入団しました。
 コーチは県選抜にも選ばれた事のある方で、怖いが実績もあり、子供たちにも信頼されている方です。卒団した子が遊びに来たり、指導者として参加したりもしています。大きなもめごともなく、親も楽しく参加しています。

 入団と同時に秋の大会があり、何もわからないまま、試合に出てなんと3試合くらいで8得点。5、6年生の遠征にも4年生として2人だけ参加。5年生の試合は常に出ています。
 今年、5年生になってGWから本格的に外の練習が始まり、休みは全て練習試合。今年最初の地方遠征では全くいいところがなく、6年生の公式戦も2試合でトップとDFをしましたが、ビデオを見るとボールに触ったのはたったの6〜7回。フィールドに居ただけ、という感じでした。DFの時は相手がボールを持つと相手と一緒に自分のゴールへ走っていきます。相手に絡めません。ボールを取りに行っても味方が走ってくると自分は下がります。だから、ボールには触れません。
 入団当初はトップ、4年生の時は殆どが左DF、5年ではトップだったりMFだったりDFだったり…。ひとつの試合でもポジションがいろいろ変わります。コーチは何とかいいところを見つけて自信をつけさせてやりたいと、ポジションの変更をしているように思えます。
 私が何か言うと、あの時は××くんがあそこに居たから…、コーチが駄目といったから…など、言い訳ばかり。そういわれるとつい私もむきになってしまいます。

 高校生の長男は、「何にも言うな、自分で考えて解決しないと駄目なんだ」といいます。もっともだと分かっているのですが…。
 男ばかり3人兄弟の末っ子。態度も声も大きく、きかんぼうですが、その何倍も臆病者で、一人ではどこにも行けません。私が試合や練習に行けないと、「どうしてこないの?」と尋ね、私が役員を引き受けると、「役員になってくれてうれしい」などと言います。チームメイトはどんどん成長して、自分を抜いていく、自分は動けない。試合のたびに落ち込んでいる三男…。
 親として、どうしたらいいのか。出来る事は何か。黙っていられない親と、動けない息子に何かアドバイスをお願いします。
(技術的にはリフティング100回、いろいろはフェイントも見せてくれます)
('04.5 /悩める母)

 大変長いメールで、一部割愛させていただきました。まず指導者の視点から息子さんの現在の立場を分析してみます。
 低学年の最初の公式戦で大活躍をしたこと、5年生でリフティング100回出来ることなどから、息子さんは技術的には大変優れたものをお持ちと思われます。上の学年での出場機会が多いのも、コーチの期待度の表れと考えてよいでしょう。
 ただ、学年が進むにつれ、次第に試合での動きが悪く、活躍の場が少なくなってきているようです。お母さんはこの事態を「自信を失っているからだ」と分析されているようですが、私はそうは思いません。
 コーチが目まぐるしくポジションを変えるのは、技術的に優れたものを持っている息子さんを、何とかチームの中で機能させたい、将来の中心選手として育てたい、と思っているからでしょう。逆に言えば、息子さんがあるポジション(たとえばボランチとか)で優れた資質を見せ、チームの中で機能している場合、試合ごとにポジションをいじる必要はないはずです。

 おそらくいまの息子さんに不足しているのは、サッカーの戦術的な理解度だと思います。この年令で最低限会得していなければならない基本がありますが、どうもそれがまだ備わっていない気がします。それを試合の中で教えるか、練習の中で教えるか、コーチの考えやその選手に対する期待度によって異なります。
 それが順調に育たず、チームメイトにも置いていかれる状態なのは、おそらく低学年の最初の公式戦で得た「快感」が忘れられず、その夢を心のどこかでいつまでも追い続けているからではないでしょうか。これは本人だけでなく、お母さんも同じ状態かもしれません。
 この状態を抜け出すのは、容易ではありません。たくさんの選手を指導する立場のコーチに方に、多くを期待するのは無理があります。親の力が必要です。私の息子の例を挙げます。

 私の息子も低学年のときは破竹の勢いで点を取りました。当然、本人もその気になります。しかし、私はそれを「すごい、すごい」と手放しでほめちぎることはしませんでした。「よくやったが、…はまだ甘いぞ」などと、気を引き締める言葉を必ず添えます。油断させないためです。
 それでも子供ですから、調子にのって生活態度が悪くなったりします。息子の場合、たとえば、「試合で活躍すると、自分の布団をたたまなくなる」などという悪い傾向が生活態度に表れました。そんなとき、「そういうことをしていると、サッカーの神様が味方してくれなくなるぞ」と警告します。それでも生活態度は改まりません。しかし、ほどなく次の試合で全く無得点だったりします。サッカーとは正直なもので、そういうものです。
 すかさず、「だから言っただろう」とやんわり諭します。(あくまでやんわり)これは子供にとって非常に堪えます。てきめんに生活態度が改まります。すると不思議なことに、次の試合で動きが見違えるようによくなります。すかさず、「サッカーの神様が味方してくれたんだな」と言い添えます。
 この「サッカーの神様を味方にする」という言い方は、コーチとしてもここ一番でよく使いました。子供の精神をコントロールするのはある種の暗示ですから、どんな薬、どんな説教よりも効果があります。「サッカー、引いてはこの社会も自分以外の何かの力で支えられて成り立っているのだ」という事実を、理屈抜きで子供に教えることが出来ます。
 子供だましのようですが、プロレベルでもこの「暗示」は、優れた指導者は必ず使っています。使うタイミングが大変難しいのですが、指導者とか親という上の立場にある者がまず冷静になり、じっと状況を見守ってやらねばなりません。

 このほか、戦術的なことは指導者にすべて任せるのもよいですが、お母さんも本やビデオ、ネットなどで勉強してください。上の息子さんのアドバイスなどもよいでしょう。
「戦術的な理解度を深めつつ、生活態度を中心とした情操面を育てる」これがいまの息子さんに必要なことだと考えます。



 
元気がない息子

 こんにちは、小学6年のサッカー少年の母です。相談がありメールしました。
 4年5年と当たり前のようにレギュラーで試合に出場していましたが、体が小さく、段々と相手にかなわなくなってきたこともあり、最近では試合でフルに使ってもらえなくなってきているようです。
 それも試練と思い、なんとか乗り越えてほしい、強くなってほしいと思う親の気持ちとは裏腹に、段々と元気がなくなってきているわが子を見て、どうしたら良いものかと悩んでいます。
 又中学年代のチームについても、今後どのようなチームでサッカーをしたら子供にとって良いのかも悩んでいるところです。なにか良いアドバイスがあれば教えてください。
('04.5 /悩める親)

 サッカーの相談事にもマーフィーの法則のようにあるパターンがあるようで、同じような時期に同じような相談が舞い込みます。
 偶然ですが前者のご相談と似たような内容で、ほとんど同じ回答になると思います。身体が小さいのは使ってもらえない理由としては希薄で、厳しい言い方をしますと、それは単に親子の「精神の逃げ場」に過ぎません。おそらく技術面の遅れ、あるいは戦術面の理解度不足が出場機会の減った本当の原因かと思われます。
 今後1年間でこれらの問題に解決の見通しがつかない場合、中学校でのサッカーの選択は、たとえば部活動などの楽しみを中心とした活動になると思います。サッカーが本当に好きであれば、これで充分だと私は思います。
 大切なのはまず好きなことを長く続けることで、勝つこと、強くなることはたいした問題ではありません。

 ひとつ気になったのは、前者の方の場合も悩んでおられるのはお母さんばかり、父親の影がどこにも見えません。各家庭でいろいろな事情があり、出過ぎたことは申せませんが、この種の問題には父親の協力が不可欠です。ご家族で解決の道筋を見つけていただきたいと思います。
 何らかの理由でもしこれが不可能な場合、母親が独りで父親役までやらねばなりません。大変辛いことですが、この場合も親としては乗り切るべきでしょう。試練を乗り越えるべきなのは、決して子供だけではありません。



 
サッカーに必要な事

 始めまして、中学一年のものですが、僕が考えるにサッカにー必要なことは、

・技術面(パス、シュート、ヘディングなど)
・戦術面(ワンツーパス、ダイアゴナルなど)
・身体面(体力、スピード、パワーなど)
・精神面(やる気、声がけなど)
ルール、用具

 だと思います。……他に必要なことがあれば、教えてください。
('04.9 /RYO)

「サッカにー必要なことは?」と問われると、とても返答が難しい。メールに書いてあったことは、教科書的な内容ばかりで、言われてみると確かに必要なものばかりに違いない。
 でも、なぜか少しひっかかる。それが何かずっと考えていたけれど、一番大切なものが抜けていた。それは、「サッカーが好きで好きでたまらないこと」だと私は思う。このことは、私のホームページのどこかにも書いたはずだ。
「なんだそんなことか」と言われそうだけど、この「好きでたまらないこと」が意外に難しい。サッカーをやっている小中学生に聞いてみると、ほとんどの子が、「そんなの当たり前だよ、好きでなきゃやれないよ」と答えるだろう。
 でも、よく考えてみて欲しい。サッカーが好きだということを、実は、「サッカーで友達と遊ぶのが好き」だったりとか、「サッカーで格好よくふるまうのが好き」ということと勘違いしているのではないだろうか?
 私はいままで何百人もの子供にサッカーを教えてきたけど、「この子は本当にサッカーが好きなんだな…」と思える子は、せいぜいひとつのチームに一人か二人くらいだった。

 本当にサッカーが好きというのは、自分ではよく分からないことだし、誰かに教わることでもない。もちろん、本にも書いていない。もしかしたら、生まれたときから持っているものかもしれない。でも、たぶんこれがサッカーをやるうえで一番必要なこと、大切なことなんだと私は思う。
 ひとつだけ例をあげると、もしレギュラーから外れてしまったり、点が全然とれなくて、そんな状態が1年くらい続いたとする。それでも練習日にグランドに行くのが楽しく、一人で練習したりするのが少しも嫌でないのなら、君は本当にサッカーが好きなのかもしれない。だいたいそういうことです。



 
集中できない息子

 子供のふがいなさに特訓でもしようかと悩み、このHPにたどり着きました。現在小学校2年生になる息子の母親です。
 息子が地元のサッカーチームに入ったのが、約3年前の年中の頃からです。始めたきっかけは土日をもてあましていたので、何かスポーツをさせたくて母親の私が勧めました。当初は試合中に砂遊びしていたり、ゴールネットに足をひっかけたりといった状態でしたが、最近はさすがにそれはしなくなりました。
 そんな息子は、長年一緒の仲間とサッカーをするのが大好き、と本人は思っているようですが、親の私から見るととてもそんな風に見えません。
 練習中はコーチの話をロクに聞かずに私語ばかり。基礎練習もいいかげんに見えるし、ミニゲームのときもボールに立ち向かっている子の後ろをついていくだけ。せっかく試合に出してもらったかと思うと、このときはバックでしたが、簡単に抜かれてばかり。後から入ってきた子の方が断然うまい、と思うと悲しくなってしまいます。

 なんと言っても私が一番腹が立つのが私語が多いこと。練習中も試合中もペチャクチャおしゃべりをしていて、真剣味が全く伝わってこないのです。そんなにしゃべってばかりいると真剣にサッカーをしている子の迷惑だからやめさせるよ、と何度忠告したことか。今日は私が本当に切れてしまい、さんざん罵倒した気がします。それでもそんなに応えてない様子。
 息子の場合、サッカーが楽しいというより、サッカーをしている子たちといるのが楽しいという気がします。サッカー自体は人よりうまく出来なくて消極的になり、いいかげんになっているという悪循環です。私としては下手でも一生懸命うまくなろうと努力する子になってもらいたい。そこでまずは基礎練習を毎日マンツーで30分くらいやってみようかと…。
 けれど、そんなことするより、子ども自身が上手くなりたいと自分で考え、自分で行動するのを温かい目で見るほうがいいのではないか、という考えもあります。このようにいいかげんで、ちょっと人より出来ないと逃げてしまうような子供は、どのように対応するべきだと考えますか?
('04.9 /特訓ママ)

 サッカーというよりも、「子育て」に関するご質問だと思います。いろいろな考えがあるでしょうが、私の考えを書きます。
 まず、サッカーを始めた動機が息子さん自身の希望ではなく、「お母さんが何かスポーツをやらせたくて…」というきっかけであったことに私は注目します。そのスポーツがサッカーであったことも、おそらくお母さんのご希望だったのではないでしょうか。つまり、いま息子さんがやっているサッカーには、単に「お母さんがやりなさいというから」という弱い動機づけしかないわけです。
 それでも息子さんは、少なくとも「チームの仲間と楽しくやる」という点では、すでにチーム内に居場所を見つけています。「仲間との円滑なコミュニケーション」という、これから社会で生きていくために大切な要件を、サッカーを通してまず身につけたわけです。世の中には集団の中でこれすら満足に育てられない子が大勢いますから、この1点だけでも3年間のサッカー活動は無駄ではなかったと、親としてはまず満足すべきだと思います。

 私は過去に幼稚園年少から小1〜3くらいまでの子供を3年ほど教えたことがありますが、この年代の子はかなり子供によって集中力にばらつきがあります。親としては上手なよその子を見るとついあせるでしょうが、もう2〜3年は様子を見たほうがよいと思います。小学校も高学年になると、もっと集中力がついてくるでしょう。
 親の意にそぐわないからと、親の権限でサッカーを止めさせるのは禁物です。息子さんはいま、サッカーそのものより、チームメイトとの交流が楽しくてしかたないのですから、それを一方的に奪うと大きな弊害を生むと思います。
 ただ、チーム練習以外に暇があるときは、公園でパスやキックの練習を母子でやるのはよいことです。簡単なものでいいですから、どんどんやってあげるべきです。技術が向上すれば、サッカーそのものに対しても、もっと興味を示すかもしれません。
 何より、一緒に練習することにより、(お母さんは僕のことを考えてくれている)という信頼関係が息子さんとの間に築けるはずです。これはサッカーが上達するより、もっと大切なことではないでしょうか。



 
試合で緊張する我が子

 はじめまして。現在小学1年生の父親です。息子は幼稚園から自分でサッカーをやりたいと言い出し、今でもサッカーが大好きなようで、私と遊ぶ場合にはまずサッカーをやろうというほどです。
 その息子はどうもかなりあがり症のようで、大きな試合になると体が思うように動きません。(かって野球をやっていた私も同様でした)私の経験を話し、緊張をとる方法をいろいろアドバイスしたのですが、どうも有効な対策となりません。別にうまいへたではなくのびのびサッカーをやってもらいたい、またサッカーが嫌いになって欲しくないと思い、親として悩んでいます。
 指導した選手にそのような子供がいたと思いますが、どのように指導しましたか?もしよろしければ教えて下さい。(ちなみに、我が家ではプレーについて一切口を出さない方針でやっています)
('04.11 /新米パパ)

 ご相談の件ですが、コーチとして試合であがる子、緊張して普段の動きが出来なくなる子に、特に対策を講じた記憶がありません。ないということは、何もしていなかったのだと思います。10才以下の子の場合、練習通りの動きを試合でみせる子がそもそも稀ですから、あまり気にしてなかったように思います。
 多くの練習や試合を重ねるうち、この種のあがりや緊張はたいてい自然に克服されます。練習の方向さえ間違ってなければ、ほとんどの子はある日突然、サナギが蝶になるように、いきいきと動き始めるものです。親、指導者を含めた周囲の大人は、じっと辛抱強くそれを見守ることが大切です。

 親として何かできることがもしあるとすれば、日常生活のすべてにおいて、いろいろな経験を数多く積ませることです。我が家の場合、サッカーの武者修行(公園で見知らぬ人とサッカーに興じる)はもちろん、キャンプ、ホームスティなど、サッカー以外でも多くの経験を積ませました。
 親の友人関係が豊かで、家に多くの人が出入りするような環境も大切かもしれません。親が周囲に垣根を作ってしまうような環境は、良くないように思えます。

 また、日常生活で身の回りの事を年令に応じて自分でやれるようにしつけることも大切です。たとえばお風呂から上がったら、自分で体をふき、自分で新しい下着を引出しから出して着替える。このことは我が家では幼稚園あたりでクリアさせていました。
 そのためには、脱衣所に子供の手が届く位置に下着用の引出しを準備する、などの配慮を親がしてやる必要があります。
「サッカーがうまくなるために」ではなく、「サッカーを通じて子供の自主性や自立心を育てる」、それが我が家のやり方でした。3人の子供が成人したいま、そうした教育方針は少しも間違っていなかったと、胸を張って言えます。



 
親の口出しの程度

 サッカーをしている長男に、どのようなアドバイスをすればいいか、模索中に菊地様のサイトを見つけ、読ませていただきました。
「親馬鹿サッカー奮戦記」私も涙なくしては読めませんでした。すばらしいです。とても感動いたしました。そして、大いに参考になりました。ありがとうございます。わたしの周りの人たちにも読んで欲しいです。
 これから、息子がどういう道を歩くかはわかりませんが、サッカーを続けたいというのであれば、(たぶんやるでしょう)このサイトにめぐり合ったことを感謝せずにはいられないでしょう。

 現在、幼稚園年中の長男に、「GKはやるな」とか、「ボールをさわれ」とか、何か無理なことばっかり言っていました。先日、ちょっとした大会がありまして、相手ペナルティエリア付近での団子状態から長男が偶然一人で抜け出してシュート。相手GKがはじいたところをあきらめることなく数回ドリブルし、見事ゴールすることができました。
 本当に親馬鹿で、「才能あるじゃない」と、ますます尻をたたくところでした。菊地様のサイトを読んで猛省させられました。やはり、「ボールを追いなさい(蹴りなさい)」というようなことを親が言うのは良くないのでしょうか?黙って見守るのがいいのでしょうか。よく分からなくなってしまいました。
 もっとサッカーというものを知りたいと思いました。息子も菊地様のような指導者に出会うことができれば、と思っております。
('04.12 /手探りパパ)

 ご相談の件ですが、まだ幼稚園のお子さんですから、親が子供の生活全般に干渉するのは、むしろ当然でしょう。サッカースタイルに関しても、どんどん口を出してよいと思いますし、そうすべきです。
 問題はその口の出し方です。たとえば、

「キーパーなんてつまらないポジションはやるな」
「サッカーは勝ちさえすればいいんだ」
「サッカーのうまい奴は、チームでいばっていてもいいんだ」

 このような口の出し方は、私ならやりませんし、指導者として、そんな保護者の言葉をもし耳にすれば、何らかの方法でやんわりと注意するでしょう。理由は説明しなくても、お分かりいただけると思います。
 反対に、

「フリーでボールを持っていて、前にゴールが見えたら、必ずシュートしろ」
「ボールが出そうだな、と思う場所には、必ず走れ」
「1点くらいとったからといって、あんまり調子にのるなよ」
「ちょっとくらい調子悪いくらいで、がっかりするな。また練習すればいいじゃないか」

 などという言葉は、親としてどんどん口にすべきでしょう。これまた説明無用です。

 結局のところ、親が子供のサッカースタイルに対してどのような口出しをするかは、親が子に対して、「今後どのような人生を歩むべきか?」を示唆することに他なりません。
 その点で、上記の例はあくまで私の生き方に基づくものです。人によっては、がらりと言い方が変わることもあるでしょう。手探りパパさんの場合がどうなのか、あれこれ言う権利は私にはありません。ご夫婦で生き方や教育方針について、日頃からよく話し合っておけば、おのずと結論は出るでしょう。夫婦で言うことが違っていては、子供さんが戸惑うだけです。
 私たち夫婦の場合、日頃からその話合いを怠りませんでした。ご評価いただいた「親馬鹿サッカー奮戦記」にも、その下りが一部書いてあります。

 子供のサッカースタイル→親の価値観や教育方針→夫婦や親子関係の見直し

 たかがサッカーですが、突き詰めるとこういったことになりそうな感じがします。



 
親子で迷うチーム選択

 息子は小学6年生で、小学校の4年間地元のスポーツ少年団でサッカーをして、ナショナルトレセンまで選ばれました。来春中学生になり、どこのクラブチームに入部するか、親子で悩んでいます。

●Aクラブ:地元のほとんどの、サッカーのうまい中学生が入部する。
●Bクラブ:自宅から一番近いが、優秀な選手が集まらない弱いチーム。
●Cクラブ:近隣の都市にある最近設立したばかりの将来性のあるチーム。難点は自宅から遠く、電車で通わなければならない(片道約1時間)。電車代が毎月15,000円位かかる。

 各クラブとも体験練習したのですが、子供の考えは、
●Aクラブ:当日の練習内容が面白くなかった。嫌いな選手が入部するから、入部したくない。
●Bクラブ:雰囲気は良かったので、入部してもいい。
●Cクラブ:来年の2年生と練習したが、AやBに比べると優秀な選手がおり、楽しかった。
 親の目から見ると、Cクラブに一番入部したいように思えます。

 親の意見は、
●送迎しなくてもいいので、出来たら、Aクラブに入部してほしいが、嫌いな選手のいるクラブでは楽しくサッカーできないだろうと思う。しかし、他のクラブにも嫌いな選手が出来ないとは限らない。
●Bクラブにもし入部しても、他にうまい選手が入ってこない予想である。 来年の3年生には地区トレセンに選ばれている選手が4名ほどいるが、2年生には全員で5名しかおらず、5名ともうまくないらしい。やはり、同じチーム内にライバルや手本となるうまい先輩がいた方が、本人の技術も伸びると思うのです。

 息子は小学生の時、ナショナルトレセンまで選ばれているので、サッカーセンスはあまり良くないのですが、運動神経はいいので、今後どれほど伸びるか楽しみではあります。
 このように書いていると、子供が一番入りたがっているCクラブに入部させてやればと思うかもしれませんが、雪の日は駅まで歩くと40分もかかるので、親としては雨の日なども自転車じゃ大変なので、車での送迎を考えているのです。車で送迎すると、往復2時間はかかり、貴重な夕方の5時から9時までがつぶれてしまうのです。
 息子にはCクラブに入部するのなら、「車での送迎はしない。自分で自転車と電車で通わなければならないんだぞ」とは言ってあります。
 Cクラブだと電車代が余分にかかることも言ってあるので、息子としても家計の事を考え、Cクラブに行かしてくれと言えないようです。息子には電車代のことは気にするなと言ってやるつもりです。
 サッカーのレベルが上達する近道は、やはり、強いチームに入ったほうがいいでしょうか。弱いチームに入っても上達は本人の努力次第だという人もいますが、いかがでしょうか。
('05.2 /PEKO)

 大変長く、回りくどいご相談ですが、要約しますと、

●親子とも、なるべくいい選手のいる強いチームでやりたいが、嫌いな選手の中ではやりたくないし、やらせたくない。
●サッカーで息子が大成することが出来るなら、金も手間暇も惜しまずに親として協力したい。
●息子さんも、確実にプロ(あるいはそれに近いレベル)になれるのなら、どのクラブでもやっていきたいとおそらく思っている。
●しかし、その確約が現段階では何もないので、親も子もどうしたらいいのか分からない。

 こんなところでしょうか。はっきりしているのは、この年齢でサッカーの将来がどうなるのか、誰にも分からないということです。ナショナルトレセンに選ばれたことが親子とも大きな比重を占めているようですが、これとて何ら将来を約束されているものではありません。
 この時点でどのようなタイプのチームを選択しても、それがすぐに輝く将来に結びつく確約とはならないでしょう。私はそのような例をたくさん見聞きしています。
 極論すると、この時点でA〜Cどのチームに行っても大成する可能性はあるでしょうし、同時にどのチームに行ってもよい結果にはならない可能性があります。サッカーとはそのようなものだと最近、つくづく感じます。

 結論として、最終的には親の判断でチームを決めていいのではないでしょうか。親が子の将来に何をたくし、どのような人生を歩んでいって欲しいのか、それで決めてしまっていいと私は思います。
 ひとつの例をあげます。「嫌いな選手が入るからAには行かない」という選択が親として許せないのなら、逆にAに入れて人間関係の訓練をさせます。「Bなら入部してもいい」という態度が親としてごう慢に感じたのならば、逆にBを選択から外させます。「Cは優秀な選手が多くてレギュラーの自信がない」と子供が言えば、逆にそこに入れてチャレンジさせるかもしれません。これらの選択は、親自身が人生で何をめざし、それをどう子に伝えるかで変わってきます。どれがよいとか悪いとかは誰にも言えません。
 要は子供の顔色をうかがって一緒に迷うのではなく、人生の先輩たる親として、確固たる姿勢を子に見せることだと思います。子供のサッカーを論ずる以前に、親が自分自身をよく見つめ、その覚悟をまず決めるべきではないでしょうか。

 結果的に前回相談と同じような返答になってしまいました。相談の内容は一見異なっていても、問題の底に潜むものに、ほとんど変化はないような印象を最近、強く感じます。
 私自身がサッカー指導から縁遠くなってかなりの月日が経ちました。問題の多くが出尽くし、親の意識を含めた子供を取り巻く環境に大きな進展がない以上、この相談室もそろそろ終了の時期にきている気がします。