親子で迷うチーム選択
息子は小学6年生で、小学校の4年間地元のスポーツ少年団でサッカーをして、ナショナルトレセンまで選ばれました。来春中学生になり、どこのクラブチームに入部するか、親子で悩んでいます。
●Aクラブ:地元のほとんどの、サッカーのうまい中学生が入部する。
●Bクラブ:自宅から一番近いが、優秀な選手が集まらない弱いチーム。
●Cクラブ:近隣の都市にある最近設立したばかりの将来性のあるチーム。難点は自宅から遠く、電車で通わなければならない(片道約1時間)。電車代が毎月15,000円位かかる。
各クラブとも体験練習したのですが、子供の考えは、
●Aクラブ:当日の練習内容が面白くなかった。嫌いな選手が入部するから、入部したくない。
●Bクラブ:雰囲気は良かったので、入部してもいい。
●Cクラブ:来年の2年生と練習したが、AやBに比べると優秀な選手がおり、楽しかった。
親の目から見ると、Cクラブに一番入部したいように思えます。
親の意見は、
●送迎しなくてもいいので、出来たら、Aクラブに入部してほしいが、嫌いな選手のいるクラブでは楽しくサッカーできないだろうと思う。しかし、他のクラブにも嫌いな選手が出来ないとは限らない。
●Bクラブにもし入部しても、他にうまい選手が入ってこない予想である。 来年の3年生には地区トレセンに選ばれている選手が4名ほどいるが、2年生には全員で5名しかおらず、5名ともうまくないらしい。やはり、同じチーム内にライバルや手本となるうまい先輩がいた方が、本人の技術も伸びると思うのです。
息子は小学生の時、ナショナルトレセンまで選ばれているので、サッカーセンスはあまり良くないのですが、運動神経はいいので、今後どれほど伸びるか楽しみではあります。
このように書いていると、子供が一番入りたがっているCクラブに入部させてやればと思うかもしれませんが、雪の日は駅まで歩くと40分もかかるので、親としては雨の日なども自転車じゃ大変なので、車での送迎を考えているのです。車で送迎すると、往復2時間はかかり、貴重な夕方の5時から9時までがつぶれてしまうのです。
息子にはCクラブに入部するのなら、「車での送迎はしない。自分で自転車と電車で通わなければならないんだぞ」とは言ってあります。
Cクラブだと電車代が余分にかかることも言ってあるので、息子としても家計の事を考え、Cクラブに行かしてくれと言えないようです。息子には電車代のことは気にするなと言ってやるつもりです。
サッカーのレベルが上達する近道は、やはり、強いチームに入ったほうがいいでしょうか。弱いチームに入っても上達は本人の努力次第だという人もいますが、いかがでしょうか。
('05.2 /PEKO)
大変長く、回りくどいご相談ですが、要約しますと、
●親子とも、なるべくいい選手のいる強いチームでやりたいが、嫌いな選手の中ではやりたくないし、やらせたくない。
●サッカーで息子が大成することが出来るなら、金も手間暇も惜しまずに親として協力したい。
●息子さんも、確実にプロ(あるいはそれに近いレベル)になれるのなら、どのクラブでもやっていきたいとおそらく思っている。
●しかし、その確約が現段階では何もないので、親も子もどうしたらいいのか分からない。
こんなところでしょうか。はっきりしているのは、この年齢でサッカーの将来がどうなるのか、誰にも分からないということです。ナショナルトレセンに選ばれたことが親子とも大きな比重を占めているようですが、これとて何ら将来を約束されているものではありません。
この時点でどのようなタイプのチームを選択しても、それがすぐに輝く将来に結びつく確約とはならないでしょう。私はそのような例をたくさん見聞きしています。
極論すると、この時点でA〜Cどのチームに行っても大成する可能性はあるでしょうし、同時にどのチームに行ってもよい結果にはならない可能性があります。サッカーとはそのようなものだと最近、つくづく感じます。
結論として、最終的には親の判断でチームを決めていいのではないでしょうか。親が子の将来に何をたくし、どのような人生を歩んでいって欲しいのか、それで決めてしまっていいと私は思います。
ひとつの例をあげます。「嫌いな選手が入るからAには行かない」という選択が親として許せないのなら、逆にAに入れて人間関係の訓練をさせます。「Bなら入部してもいい」という態度が親としてごう慢に感じたのならば、逆にBを選択から外させます。「Cは優秀な選手が多くてレギュラーの自信がない」と子供が言えば、逆にそこに入れてチャレンジさせるかもしれません。これらの選択は、親自身が人生で何をめざし、それをどう子に伝えるかで変わってきます。どれがよいとか悪いとかは誰にも言えません。
要は子供の顔色をうかがって一緒に迷うのではなく、人生の先輩たる親として、確固たる姿勢を子に見せることだと思います。子供のサッカーを論ずる以前に、親が自分自身をよく見つめ、その覚悟をまず決めるべきではないでしょうか。
結果的に前回相談と同じような返答になってしまいました。相談の内容は一見異なっていても、問題の底に潜むものに、ほとんど変化はないような印象を最近、強く感じます。
私自身がサッカー指導から縁遠くなってかなりの月日が経ちました。問題の多くが出尽くし、親の意識を含めた子供を取り巻く環境に大きな進展がない以上、この相談室もそろそろ終了の時期にきている気がします。