イベントライブ顛末記


すこやか倶楽部 篠路駅前
 春のレインボーコンサート
/2025.4.9



「すこやか倶楽部」という札幌市の介護予防事業イベントで歌った。
 事の始まりは10年ほど前の地区センターイベントで歌ったときのこと。場に居合わせた見知らぬ方から「ぜひ介護予防事業イベントでも歌って欲しい」と声をかけられた。名刺を交換したが、その後具体的な話はなく、時が流れた。
 昨年6月に地区センターでトーンチャイムを使った介護予防イベントがあり、参加した折に過去の経緯を新担当者に説明し、改めて経歴書を渡した。

 今年1月に連絡があり、新年度最初のイベントで歌って欲しいとの出演依頼。推測だが、年度中のおよその予定は決まっていて、途中でのイベント割り込みは難しかったと思われる。
 演奏時間は1時間で、前半を私が選曲し、後半はその場でリクエストを募るという、過去に何度もやっている手慣れたパターンだった。
 会場は近隣地区会館と地区センターの2ヶ所。介護予防が目的の概ね65歳以上の元気な人が対象で、気軽に足を運べるよう、対象地域は比較的狭い。

 1月下旬に担当者と面談し、詳細を詰めた。長く使っている327曲のリクエスト一覧を渡し、前半の大まかな選曲も伝えた。

 年度が変わって、駅向こうの地区会館で第1弾が実施となる。過去に同じ会場で歌ったことがあり、場の様子は把握している。
 問題は時間で、苦手の午前中ライブ。開始の10時にあわせ、7時少し前に起きた。世間では普通の時間帯だが、宵っ張りの私には早い。しかし、起床後3時間を経ないと満足に声は出ない。

 9時半に会場入りし、ただちに設営。高さ50センチほどのステージがあり、相談の結果、ステージの上で歌うことに決まる。
 会場の広さはそれなりで、セット終了後、係員に最後尾で音の大きさをチェックしてもらった。以前にこれを怠り、後方の席が聞こえにくい、というトラブルをおこしたことがある。
 そうするうちに続々と人が集まってきて、多すぎると思っていた席は、開演前までに埋まる。数えてみると40名を超す盛況である。

 時間ちょうどの10時に開演。冒頭で係員の短い挨拶があり、盛況に感謝しつつも、「他の介護予防イベントにもぜひ足をお運びください」と、言い添えていた。
 10時5分からライブ開始。休憩なしの1時間で15曲を歌う。

《セレクトタイム》
「天使のウィンク」
「さくら(直太朗)」
「空港」
「サン・トワ・マミー」
「糸(二択リクエスト)」
「こんにちは赤ちゃん」
「宗右衛門町ブルース」

《リクエストタイム》(数字はリクエスト票数)
「ラブ・イズ・オーヴァー4」
「月の沙漠3」
「五番街のマリーへ2」
「川の流れのように3」
「ブルーライト・ヨコハマ2」
「蘇州夜曲2」
「上を向いて歩こう2」
〜アンコール「また逢う日まで」

 私の選曲による前半は、多ジャンルから「春」を意識してチョイスしたもの。地域に配られた案内書には「春のレインボーコンサート」とあり、「虹」→「7色」→「多ジャンル」と関連づけている。
 先週のグループホームライブでは旅疲れによる喉の不調を感じたが、その後黒豆茶や漢方薬等による懸命の調整が効いて、出だしから声はまずまず出た。

 会場に男性は3人で、圧倒的に女性が多い。介護施設のように同じ組織に所属しているわけでなく、そのせいか場は終始静ひつ。手探りの進行となったが、曲ごとの拍手は熱く、手応えは悪くない。アップテンポの曲よりも、バラード系の穏やかな曲に強い反応があった。
 場を和らげる工夫として、5曲目に二択リクエストを仕掛ける。フォーク2曲の選択で、拍手の多さで曲を決める趣向だったが、僅差で「糸」が「なごり雪」をおさえた。

 7曲歌って後半のリクエストタイムに突入。開演前に会場3ヶ所に拡大掲示されたリクエスト用紙には、すでに多数のマルがついていて、係員が曲別に集計し、ステージに届けられていた。
 リクエストが予想を超える多さで、急きょ休憩なしで進めることになる。2曲以上のリクエストがあった曲はペンで囲ってあり、その数だけでも15曲。全てに応えることはとても無理だった。
 3票以上のリクエストを中心に、ジャンルのバランスも考慮しつつ、その場の判断で歌う曲を決める。電子譜面ソフトを更新したせいで、検索に手間取る場面もあったりし、ぎりぎりの進行になってしまった。

 気持ち面での余裕のなさと、休憩なしの進行による体力面からか、「川の流れのように」でピッキング(アルペジオ)が怪しくなり、ついにはCmのコードを一瞬押さえ間違えた。
 長く歌っていない曲という裏事情もあったが、ピッキングの怪しさは先週のグループホームでも自覚した。今後にむけて、課題になりそうな気配濃厚。

 それでも場の反応は悪くなく、ラストの「上を向いて歩こう」では手拍子が自然発生し、共に歌う声も多く耳に届いた。
 時間ぴったりに場を収めると、最後尾にいた係員2名から、打合せなしのアンコールが飛び出す。いちおう準備だけはしてあり、定番の「また逢う日まで」をありがたく歌わせていただく。

 終了後、何人かの参加者から、ねぎらいの声をかけられた。ミスはあったが、声に関しては絶不調を脱したので、出来としてはまずまずだったと自己評価したい。

 帰宅後、集計されたリクエスト曲を詳細に検討してみたが、「ポップス系昭和歌謡26曲」「演歌系昭和歌謡26曲」「J-POP1曲」「フォーク4曲」「唱歌5曲」「洋楽10曲」〜合計72曲という内訳だった。
 昭和歌謡が70%以上と他を圧倒し、洋楽と唱歌が健闘。フォークやJ-POPが苦戦という意外な内容で、これが介護予防参加者の最新傾向なのか、9日後に実施の別会場の動向も含めて、よく検討してみたい。


 

すこやか倶楽部 篠路
 春のレインボーコンサート
/2025.4.18



 先週に引き続き、「すこやか倶楽部」という札幌市介護予防事業イベントライブに出演した。
 依頼元や実施要領は先週と全く同じで、会場だけが変わる。事業の趣旨から、基本的に重複参加者はいない。

 先週は10時開始という難しいスケジュールだったが、今回は13時半開始という喉の調整がしやすい時間帯。13時に会場入りし、PA関連の設営と音出しのテストは問題なく終了。PAのボリュームは先週と同じ数値に設定した。
 出だしの集まりは悪く、会場は閑散としていたが、開始間際になって急増。参加者は全員が住所氏名を記帳し、マスク着用がルールである。
(ライブ中の歌い手はマスク免除)

 その後も参加者は増え続け、開演までに50名を超えた。準備した椅子が足りなくなり、急きょ予備椅子が搬入された。
 時間ちょうどに開演し、係員の挨拶のあと、13時35分からライブ開始。休憩なしの1時間余で16曲を歌う。

《セレクトタイム》
「赤いスイトピー」
「桃色吐息」
「空港(二択リクエスト)」
「恋の町札幌」
「荒城の月」
「アメイジング・グレイス」
「涙そうそう」

《リクエストタイム》(数字はリクエスト票数)
「なごり雪4」
「ブルーライト・ヨコハマ4」
「愛燦燦2」
「サボテンの花3」
「エーデルワイス2」
「異邦人3」
「つぐない5」
「高校三年生4」
〜アンコール「好きですサッポロ」

 歌い始めてからも会場を訪れる方が数名いて、最終的には60名近い集客となった。(今回も男性は2〜3名で女性が圧倒)この地区センターでは過去に14度歌っていて、名が知られているという背景もあったかもしれない。
 聴き手が多い割に場は静ひつだったが、曲紹介だけで会場が沸いたのは先週と異なる反応。

 調整のかいあって、喉の調子はまずまずだった。先週問題があったギターピッキングも無難にこなしたが、2曲で歌詞を一瞬見失ったのが反省点。おそらくは聴き手が多いことによる集中力の欠如で、「すべてよし」とは、なかなかならない。

 前半の構成は先週とガラリ変え、前会場のリクエストに応じた内容とした。曲紹介だけで会場が沸いた理由は、おそらくそこにある。
 後半のリクエストは昭和歌謡系がやや減って、フォーク系とJ-POP系が盛り返し、全体としてはいいバランスだった。
 予想を超える集客のせいか、音が場に吸収される感覚があり、数曲歌ったのちにPAのボリュームを少し上げた。

 時間通りに終えて、前回と同じく係員(女性2名)主導のアンコール。今回は完全な「お約束アンコール」で、準備していた「好きですサッポロ」を会場の手拍子で賑やかに歌う。

 終了後、「素敵な歌を贈ってくれたトムノさんに、こちらから感謝のお返しがあります」と、またしても係員からのサプライズ発言が飛び出す。これがなんと美しい花束だった。
 4月18日にちなんで、4番と18番の来場者にプレゼンターになってもらうという凝った趣向。この種のイベントで花束贈呈は稀なこと。完全ボランティアでの出演だったため、(もしや係員の自腹では…?)と心配になったが、野暮な推測というものか。
 いろいろあったが、10年前の出演依頼を2週に渡ってようやく果たすことができて、ホッとしている。


 

篠路コミセン・ボランティア懇親会 /2025.4.21



 新年度2度目の地区センター図書館、本修繕ボランティアの活動日。9時半から12時まで作業し、再補修を含めて計5冊を処理。この日は12時から別室で懇親会の予定があり、継続メンバー5名と新メンバー2名の全員がそろった。
 作業終了後、2階の料理室に移動すると、別スタッフ4名による昼食の準備がすでに整っていた。メニューは焼きサンドイッチで、並んだ具材から各自が好きなものを選び、2種類の食パンにはさんで焼いて食べるという趣向。

 参加者は昨年と同じく2つのボランティアメンバーが対象で、本修繕ボラから5名、読み聞かせボラから4名、両方をかねているボランティアが2名、スタッフ5名の計16名(女性14名、男性2名)である。
 私はウィンナー、ゆで卵、マッシュポテトを具に選択。サラダや珈琲もあって美味しく食べたが、今回は食事後の余興で私が歌うことになっていて、食べ過ぎは禁物だった。

 昨年の余興は読み聞かせボラによる紙芝居だったが、今年は予定がなく、私が「音楽ボランティア」として歌での協力を申し出た。
 メール連絡が不十分で正式依頼が届いたのは当日の朝。昨年の慰労会終了後に(依頼しようか迷った)と係員から聞かされており、演る前提で準備だけはしていたので、戸惑いはない。

 3日前に介護予防イベントで16曲歌ったばかりで、さすがに声に不安があった。翌日夕方まで喉を休め、試しに数曲歌ってみると声枯れはなく、演れそうだった。
 予め車に積んでおいた機材は、本修繕作業終了後に料理室へ搬入し、片隅にセット済み。全員が一通り食べ終えた頃合いを見計らって、12時55分から歌い始めた。

 負担を考慮し、最軽量の機材を準備。重いマイクスタンドは使わず、譜面台上部に自作の木製マイクブームと7インチタブレットの電子譜面ホルダを装着した。この簡易手法はチカチカパフォーマンスの最終年度で試していて、不安はない。

 PAはコンパクトで音はそれなりに響く「ヤマハMS101-2」を使用し、アルミ製三脚に止めた。8年前に予備として買い、メインPA修理中に本番でも何度か使った。出力10Wで、音は乾電池式のローランドモバイルキューブよりも安定していることを前日に確かめてある。
 マイクは正面の専用ジャックにつなぎ、エレアコのケーブルは背面のLINE入力に入れた。エフェクターは持参せず、リバーブなしの生音に近い感覚で歌うことに決める。

 発声練習は機材搬入時に車の中でバタバタと実施。15分4曲の予定が、2度のアンコールなどあって、25分ほどで6曲を歌う。


「22才の別れ」
 3日前の介護予防イベントのリクエストで3票を獲得していたが、同じかぐや姫の「なごり雪」が4票を得て、惜しくも歌えなかった曲。好きな曲で、路上ライブでもしばしば歌った。
 終了後に「あの曲、3日前に私がリクエストしました。聴けてよかったです」と、読み聞かせメンバーから喜ばれ、さらには本修繕メンバーの男性から、「あの曲と全く同じ実体験の思い出があって、泣けました」とも打ち明けられた。結果としてナイス選択だったらしい。

「風がはこぶもの」(初披露)
 数ヶ月前に本修繕メンバーのKさんから、ぜひ聴きたいとのリクエストを貰ったが、あいにくレパートリーにはない。歌はともかく、ギター伴奏が苦手とするスリーフィンガー必須の曲で、ずっと避けていた。
 いい機会と考え、以降密かに練習を開始。Kさんも参加した介護予防イベントではリストになく、歌う機会がなかった。
 今回ようやく歌えて、3連符×4のスリーフィンガーもまずまずの出来。Kさんは大喜びで一緒に歌ってくれた。もしや深い思い出でも?と思いきや、単にハンマーダルシマーで練習を始めた曲だったのがその理由。いずれコラボ演奏?とのハナシもあり。

「翼をください」
 3曲目は昭和歌謡にするつもりで、介護予防イベントで2票を得た「恋のしずく」を当初予定していた。
 ところが開始前に係員のAさんから「リクエストは可能ですか?」との打診。別の場からのリクエストだけでなく、その場でもリクエストを募るべきか?と考え直して問いかけると、かのKさんからいきなり「翼をください」の要望。
 ジャンル的にはフォークだが他に声もなく、ジャンルを超えた楽曲ともいえるため、素直に応じる。新しい電子譜面ソフトの操作にも慣れ、この日はどの曲も短時間で譜面を探し当てた。

「あの素晴しい愛をもう一度」
 2年前に同じ地区センターでのロビーコンサートで、見届けてくれた本修繕メンバーのHさんから、終了後にリクエストを貰っていた。
 歌う前にMCでその経緯を告げると、本人はすっかり忘れていて、話すうちに思い出してくれた。求められない限り歌わない曲だが、シングアウトとしては向いている。

「時代」
 事前の申し合わせでは4曲で終わりのはずだったが、終了の拍手がそのまま手拍子となって止まらない、という現象が発生。リードしているのが普段から共に作業をしている本修繕メンバーだったから、流れとしてはやむなし。
 すると、静かに聴くだけだったHさんから、突然「時代」のリクエストが出る。「演れますか?」と問われたが、過去に何度も歌っている得意曲。
 問題はラストとしては盛り上がりに欠ける、しんみりバラード系であること。しかしここでも素直に求めに応じた。

「雨が空から降れば」
 1曲追加で歌ったので、もうお役御免だろうと思いきや、場の雰囲気が微妙。(もっと聴きたい…)との気分に満ち満ちている。係員Aさんもそんな気分を察知していたが、場を取り仕切る責任もあって、板挟みになっている印象がした。
 そこで私から「責任者として、Aさんのリクエストはいかが?」と提案。するとAさんから「菊地さんが最も歌いたい曲を聴きたい」との要望が出る。具体的な曲名ではなく、判断を歌い手に委ねて、場の収束をうながす意図を感じた。

 何を歌うべきかしばし考えていると、「以前に六文銭の及川恒平さんの時計台コンサートを企画したと聞いてます。その時の曲はいかがですか?」とAさんから提案された。言われて気づいたが、人生の節目節目で歌っている名曲が確かにあった。
 この曲が自分でも過去に覚えがないほど出来がよく、場は静まり返った。「時代」から続く聴き手の琴線に深く訴える曲調の流れもあったかもしれない。
 歌い終わると、一瞬エアポケットに陥ったような、不思議な感覚が場に広がった。折しも外には細い雨が、まるでしつらえたように静かに降っている。熱くなった場を収めるには充分な演出で、居合わせた全員が得難い時間を共有していた。

 この日は4月4度目となる過酷スケジュールのラストにも関わらず調子がよく、歌もギターも大きなミスなく演れた。
 旅の疲れもようやく癒やされ、基本となる心身の状態がよかったせいもある。いろいろな条件が整っていた。

 リバーブなしのPAは本当に久しぶりだったが、機器に大きく依存しないことで、新しい自分を見つけた気がする。機材が軽くなって、フットワークも向上する。今後の手法として、見直すべきかもしれない。


 

北24条市電前Live・15th /2025.5.18



 今年最初となる自由参加型路上イベントの日。昨秋の最終イベントで今年も同じ要領でやると聞かされてはいたが、会場となる市民広場が自宅から遠く、設置されるはずの案内看板を見に行けない。
 ふと思いついてネット検索をかけたら、最新の看板を掲載しているSNS情報を発見。やることが確認できて、安心して出かけられた。

 昨年後半に試みた公共交通機関を使ったルートを今回も選択。10時15分に徒歩で自宅を出て、バスと地下鉄2本を乗り継ぐ。前回のようなバスの遅れもなく、11時20分には会場に着いた。
 今年最初とあってか、広場の人数は少なめ。一昨年秋から参加し始めて、今回がはや6度目。すっかり顔見知りになった方々と挨拶を交わし、早々にエントリーを済ませる。

 昨年最後の回は参加者が22組と過去最大を記録したが、今回は14組とほどよい数。代表のMさんから出演順の発表があり、いつもは5番前後だったのが今回は13組と遅い。「早めに演りたい」との希望が数名いて、Mさんが配置に腐心した様子だった。
 この種のイベントでは早めに演るのを好むが、順番を決めるのはあくまで代表Mさんの権限である。
 予報では雨は降らないはずが、なぜか空模様が怪しくなってきた。場の準備は整っているため、予定を5分早めて始めることになる。

 トップはいつも通り、代表Mさんのサキソフォーン独奏から。その後、女性ボーカルや書道パフォーマンス、アコーディオン独奏、ギター弾き語りなど、新旧交えた参加者のパフォーマンスが切れ目なく続く。
 参加者の男女比は10:4。珍しくグループ参加は書道パフォーマンスのみで、他はすべてソロ参加。順番が遅いため、持参したサンドイッチと珈琲の昼食は開演直後に半分食べて備えた。

 SNSで情報を発信していたKさんの姿を出演者に見つけ、声をかけてあれこれ話す。
 長く参加している常連の方だが、地元商店街に所属する企業に勤務していて、看板そのものを作っていたことを知る。なるほど情報が確かなわけだ。

 幸いに雨は降らず、参加者も10分の持ち時間を守って順調にプログラムを消化。聴き手は15〜30名の間を増えたり減ったりしたが、後半はやや減少傾向だった。
 14時くらいに私の出番となる。これまで中央のステージ上で歌ってきたが、立って歌うとやや不安定のため、今回は横のタイル上にマイクと譜面台を置いて歌った。

 都合6度目となる今回は「空を飛ぶ」をテーマに選んで構成。前回と同様に「起」と「結」を想定して、以下の2曲を歌う。

 「コンドルは飛んで行く」(フォーク)(オリジナル訳詞)
 「空も飛べるはず」(J-POP)

 4月の連続ライブを無事に乗り切った反動か、直近の練習では高音で声枯れが起きるなど、喉の調子はあまりよくなかった。それでも直前の喉飴が効いたか、いざ始まると声はまずまず出た。
「コンドルは飛んで行く」は1番を英語で、2番をオリジナル訳詞で歌うという、過去にやって評価が高かった構成。英語歌詞で歌う参加者は過去にあまりなく、珍しさの一点では特をしたかもしれない。
「空も飛べるはず」は過去に何度も歌っている得意曲。歌詞の内容にあわせてギターストロークパターンを細かく変化させる伴奏もハマって、場の手応えは熱かった。

 終了後に書道の女性から、いい構成でしたね、と声をかけられる。書道パフォーマンスとジョイントでも?との話も飛び出した。
 弾き語りや楽器以外のジョイントは過去に朗読くらいしかないが、試みとしては面白いかもしれない。

 全員が演じ終わって時刻は14時20分。5分早く始めたこともあって、定刻の15時を大幅に短縮した。帰宅はいつもより早めの15時45分。早く終わると身体の負担も軽く、いいことづくめだ。
 メールをチェックすると、しばし音沙汰のなかった有料老人ホームから6年ぶりのライブ依頼が飛び込んでいた。コロナ禍も収束傾向で、あちこちで復活の気配を感じる。


 

カリナンの会 02nd /2025.6.9



 10年以上も前に路上ライブ(札幌市公認のチカチカパフォーマンス)で知り合った同年代女性Sさんからの依頼で、Sさんが代表を務める健康寿命維持を意図した会で歌った。
 コロナ禍が沈静化しつつあった昨秋に初めて依頼され、今回が2度目。会場は過去に何度も歌っている市内の町内会館で、自宅からは20kmほど離れているが、冬以外は移動に支障はない。

 開始は前回と同じ10時で、演奏は90分を希望。声の出にくい午前中で、長時間のソロライブ。心身の衰えを自覚する身には厳しい条件だったが、長年お世話になっている方なので、万難を排して準備した。

 前回同様に8時50分に家を出る。途中で複数の道路工事に遭遇して遅れ、到着は9時45分。前回から会場が狭くなり、参加人数も13名とわかっていたため、PAは1台で臨んだ。
 設営は簡単に終わって、5分早い9時55分に開始。冒頭でSさんの挨拶などあって、実際に歌い始めたのは10時ちょうどだった。前半45分で11曲を歌う。
(1曲目以外は事前のリクエスト曲)(※は初披露)

「22才の別れ」
「J(門倉有希)※」
「恋の予感※」
「アメイジング・グレイス」
「時計台のある街(浅沼修)※」
「恋のしずく」
「あいたい(林部智史)※」
「酒よ」
「アカシアの雨がやむとき」
「どうぞこのまま」
「群青(谷村新司)※」

 前回と参加メンバーに変更はなく、その点ではやりやすかったが、問題は事前リクエストの内容。7曲中5曲がレパートリーになく、さらに「J」「時計台のある街」「あいたい」の3曲が聞き覚えのない曲だった。
 幸いだったのは要望がすべて1ヶ月近く前にあったこと。YouTubeを中心に情報をかき集め、連日の歌い込みでようやく人前で披露できるレベルに達した。

 事前のやり取りの中で、「女性の曲が少ないですね」「雨にちなんだ曲が欲しい」との話になる。
 全体的に別れや死をイメージした曲が多いという難しい面があり、相談のすえ、当初の7曲に加えて「恋のしずく」「アカシアの雨がやむとき」「どうぞこのまま」を要所に配置し、バランスをとった。
 こうした思惑はおおむねうまく運び、初披露連発の割には大きなミスもなく、無難に前半を終えた。
 休憩前の挨拶でSさんが感極まって言葉に詰まるというシーンもあり、場は終始水を打ったような静けさだったが、聴き手には届いていたと思う。

 前回は短い休憩後に後半を始めたが、今回は前半終了後に珈琲とケーキが振る舞われるという。珈琲程度なら問題ないが、ケーキを食べながらのライブ進行は難しいことが過去の例でわかっている。
 そこでSさんに事情を説明して休憩を15分に延ばし、11時から後半を始めることにした。その場でリクエストを募り、35分で8曲を歌う。

「マイ・ウェイ」
「心もよう」
「夢の途中」
「ジェラシー(井上陽水)※」
「for you…」
「空港」
「くちなしの花」
「霧の摩周湖」

 事前に配ったリクエスト一覧にある曲とばかり思っていたら、「ジェラシー」の譜面が検索で見つからない。レパートリーにあることは確かで、他の予備ファイルを検索して、ようやく見つけた。
(リクエストの少ない曲は汎用リストから外してある)
 ラストの「霧の摩周湖」も全く同じ経緯で予備ファイルから譜面を取り出す。事前リクエストもそうだったが、なぜか後半の当日リクエストまでも、リストを無視した任意の要望になっていた。

 他に「アメリカ橋」のリクエストも出たが、こちらはレパートリーになくて対応不可能。前半の「時計台のある街」が半年前の同じ場で要望があり、応えられなかったもの。いずれ歌う機会があるだろうか。
 結果として数年ぶりに歌う曲や初披露曲が相次いだが、不思議に問題なく対応できた。特にラストの「霧の摩周湖」は出来がよく、終了後に「泣けました…」との声が複数届いた。

 この日は30度に迫る暑い日で冷房がまだなく、アルペジオ奏法の曲が汗で弾きづらくなるというトラブルが発生した。持参のタオルで指と弦を拭いつつ歌うことでやや改善したが、今後の課題だ。
 コルセットを装着したこともあって腰痛は発生せず、手首周辺の痛みもなかった。数週間前からの黒豆茶と、当日朝に飲んだ喉の漢方薬「響声破笛丸」が効いたか、喉は終始好調をキープ。

 終了後に休憩で食べられなかった六花亭のケーキをお土産にいただき、「次はクリスマス月間にお願いしますね」と、半年後の予約までもらった。
 リクエストの幅が広い長時間ライブは厳しいが、自らの達成感を拠り所に、なんとか継続したい。