イベントライブ顛末記


に〜よん市電前ライブ vol.5 /2023.10.15



 7月に新聞で知ったフリー参加型の路上系イベント「に〜よん市電前ライブ」に初めて出演した。

 主催は市民団体で市民広場を活用し、街づくり活動の一環としてライブイベントをやるという。参加費無料、パフォーマンスのジャンルは問わず、資格審査等は一切ない。
 5〜10月の第3日曜に同じ区にあるホテル前広場で定期開催されていて、時間は12〜15時の3時間。参加希望者は11時半までに広場に集まり、3時間を人数で割って持ち時間を決めるルール。
 日中開催で非営利事業、飲食なしなど、いろいろな面で現状の自分に向いているイベントだった。


 屋根なしの屋外会場で天候の影響を受けるが、路上系ライブは私の得手とするジャンル。すぐにでも参加したかったが、あいにくの猛暑と玄関ドア枠補修に代表されるDIY作業に日々終われ、本年度の最終となる今回、ようやくエントリーが叶った。

 会場はよく行く区役所の横にあって駐車場は使えない。近隣駐車場に4時間近く停めるより、公共交通機関を利用するのが得策だった。


 心配していた天気は、雲ひとつない快晴に恵まれた。10時20分に家を出てバスと地下鉄を乗り継ぎ、到着は11時20分。代表のMさんには前日に電話し、参加を伝えてある。
 挨拶のあと、エントリー表に名前とジャンルを記入。5番目だったが、締切直前に続々集まってきて、最終参加者は10組となった。

 開演5分前にMさんから演奏順の発表がある。先着順でも抽選でもなく、Mさんいわく「私の独断です」。初参加なのでお任せである。
 私は早めの4番だったが、直前に3番に繰り上がった。待たされるより早めに演ってしまえば、他のパフォーマンスがゆっくり楽しめる。


 12時ぴったりに開始。参加者の内訳は音楽系9組、ダンス系1組。PA一式は充分な用意があり、演奏者は楽器と譜面だけ持参すればよい。
(あとで聞いたら、機材はMさん個人のものだそう)
 持ち時間は正味15分で、およそ以下のような内容だった。男女比は7:3だが、人数は女性が多い。

1)サキソフォーン独奏(BGM付):洋楽カバー(代表のMさん)
2)ハンマーダルシマー独奏:洋楽カバー(女性)
3)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「ボラーレ」 「時代」 「愛の花」 「ダニーボーイ」 「白い冬」

4)ギター弾き語り:松山千春他
5)ギター弾き語り:全曲オリジナル
6)ギター弾き語り:全曲オリジナル
7)エレキ弾き語り&カホン:ビートルズ他
8)エレキ弾き語り(BGM付):全曲オリジナル
9)ボカロ(BGM使用):全曲オリジナル?(女性)
10)ベリーダンス(BGM使用):女性7名


 毎回オープニングアクトを務めるというMさんの演奏はさすがに巧みで、冒頭から聴き惚れた。
 以降の演奏順は、前半にインスト系、中盤にギター弾き語りをアコギ〜エレキと6組続け、ラストをニギヤカ系の女性2組で締めるという一連の流れ。
 プロ並みのテクニックを持つ方もいれば、歌詞を失って演奏が中断するなど、発展途上の方もいたりして、「なんでもアリ」の多彩で自由な印象がした。

 予想外に洋楽とオリジナルの比重が高く、昭和歌謡やフォーク系カバー曲を中心に構成する身としては、やや戸惑った。
 持ち時間は開始直前までわからず、30分程度と想定して7曲を準備したが、咄嗟の判断で「時の流れに身をまかせ」 「ジョニィへの伝言」を外した。洋楽2曲は残し、結果として場の気分には沿うものだった。


 時間通り12時半に出番がやってきた。初めての場で、しばし人前で歌う機会から遠ざかっている。緊張感と前日遅くまでDIY作業に励んだせいもあってか、喉は不調。高音が安定せず、ロングトーン(声の伸び)もいまひとつ。全体的に守りの進行とならざるを得なかった。
 いつもライブ前に飲んでいた調整用の黒豆煮汁を今回はショウガ湯にしたが、やはり黒豆のほうが効く。これも不調の一因だった。

 そんななか、初披露だった人気朝ドラのテーマ「愛の花(あいみょん)」は練習を重ねただけあって、まずまずの手応え。「今年の話題曲を歌う」という点でも意味があった。  15分で5曲は厳しいが、外すべきか直前まで迷った「時代」は部分的に歌詞を飛ばすなどし、ぴったり時間内で収めた。


 オーディエンスは演奏者を含めて20〜50名。ライブが進むにつれ、音を聞きつけた通りすがりの一般市民がじわじわ増えていった。こちらも想定外の多さで、場の条件としては恵まれていた。
 過去に経験のないお昼をまたぐスケジュールで、昼食は出番を終えたあと、持参のポテトサンドと珈琲で済ませた。トイレには一度も行かず、どこを利用するかは不明。隣りのホテルか地下鉄駅あたりか?

 終了は2時55分。代表の挨拶を含めると、時間ぴったりという厳密な進行である。
 4ヶ月ぶりに人前で歌ったが、ブッキング形式ということもあって自宅練習とは緊張感がまるで違い、得るものも大きい。
 参加者中おそらく私が最高齢で、いつまで歌えるかわからないが、場は積極的に探すべきと悟った。


 来年度は5月から活動開始とか。雨のリスクはあるが、代替日はなくて雨天中止。ただ、今年度は予定6回のうち、雨で流れたのは1回のみという。天は味方している。
 今回初めて歌ってみて、およその雰囲気はつかんだ。「幅広い聴き手を対象に他ジャンルを歌う」という自分の基本路線に大きな変わりはなく、場に沿って多少の修正を加え、次年度もできるだけ参加したい。