イベントライブ顛末記


に〜よん市電前ライブ 09th /2023.10.15



 7月に新聞で知ったフリー参加型の路上系イベント「に〜よん市電前ライブ」に初めて出演した。

 主催は市民団体で市民広場を活用し、街づくり活動の一環としてライブイベントをやるという。参加費無料、パフォーマンスのジャンルは問わず、資格審査等は一切ない。
 5〜10月の第3日曜に同じ区にあるホテル前広場で定期開催されていて、時間は12〜15時の3時間。参加希望者は11時半までに広場に集まり、3時間を人数で割って持ち時間を決めるルール。
 日中開催で非営利事業、飲食なしなど、いろいろな面で現状の自分に向いているイベントだった。


 屋根なしの屋外会場で天候の影響を受けるが、路上系ライブは私の得手とするジャンル。すぐにでも参加したかったが、あいにくの猛暑と玄関ドア枠補修に代表されるDIY作業に日々終われ、本年度の最終となる今回、ようやくエントリーが叶った。

 会場はよく行く区役所の横にあって駐車場は使えない。近隣駐車場に4時間近く停めるより、公共交通機関を利用するのが得策だった。


 心配していた天気は、雲ひとつない快晴に恵まれた。10時20分に家を出てバスと地下鉄を乗り継ぎ、到着は11時20分。代表のMさんには前日に電話し、参加を伝えてある。
 挨拶のあと、エントリー表に名前とジャンルを記入。5番目だったが、締切直前に続々集まってきて、最終参加者は10組となった。

 開演5分前にMさんから演奏順の発表がある。先着順でも抽選でもなく、Mさんいわく「私の独断です」。初参加なのでお任せである。
 私は早めの4番だったが、直前に3番に繰り上がった。待たされるより早めに演ってしまえば、他のパフォーマンスがゆっくり楽しめる。


 12時ぴったりに開始。参加者の内訳は音楽系9組、ダンス系1組。PA一式は充分な用意があり、演奏者は楽器と譜面だけ持参すればよい。
(あとで聞いたら、機材はMさん個人のものだそう)
 持ち時間は正味15分で、およそ以下のような内容だった。男女比は7:3だが、人数は女性が多い。

1)サキソフォーン独奏(BGM付):洋楽カバー(代表のMさん)
2)ハンマーダルシマー独奏:洋楽カバー(女性)
3)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「ボラーレ」 「時代」 「愛の花」 「ダニーボーイ」 「白い冬」

4)ギター弾き語り:松山千春他
5)ギター弾き語り:全曲オリジナル
6)ギター弾き語り:全曲オリジナル
7)エレキ弾き語り&カホン:ビートルズ他
8)エレキ弾き語り(BGM付):全曲オリジナル
9)ボカロ(BGM使用):全曲オリジナル?(女性)
10)ベリーダンス(BGM使用):女性7名


 毎回オープニングアクトを務めるというMさんの演奏はさすがに巧みで、冒頭から聴き惚れた。
 以降の演奏順は、前半にインスト系、中盤にギター弾き語りをアコギ〜エレキと6組続け、ラストをニギヤカ系の女性2組で締めるという一連の流れ。
 プロ並みのテクニックを持つ方もいれば、歌詞を失って演奏が中断するなど、発展途上の方もいたりして、「なんでもアリ」の多彩で自由な印象がした。

 予想外に洋楽とオリジナルの比重が高く、昭和歌謡やフォーク系カバー曲を中心に構成する身としては、やや戸惑った。
 持ち時間は開始直前までわからず、30分程度と想定して7曲を準備したが、咄嗟の判断で「時の流れに身をまかせ」 「ジョニィへの伝言」を外した。洋楽2曲は残し、結果として場の気分には沿うものだった。


 時間通り12時半に出番がやってきた。初めての場で、しばし人前で歌う機会から遠ざかっている。緊張感と前日遅くまでDIY作業に励んだせいもあってか、喉は不調。高音が安定せず、ロングトーン(声の伸び)もいまひとつ。全体的に守りの進行とならざるを得なかった。
 いつもライブ前に飲んでいた調整用の黒豆煮汁を今回はショウガ湯にしたが、やはり黒豆のほうが効く。これも不調の一因だった。

 そんななか、初披露だった人気朝ドラのテーマ「愛の花(あいみょん)」は練習を重ねただけあって、まずまずの手応え。「今年の話題曲を歌う」という点でも意味があった。
 15分で5曲は厳しいが、外すべきか直前まで迷った「時代」は部分的に歌詞を飛ばすなどし、ぴったり時間内で収めた。


 オーディエンスは演奏者を含めて20〜50名。ライブが進むにつれ、音を聞きつけた通りすがりの一般市民がじわじわ増えていった。こちらも想定外の多さで、場の条件としては恵まれていた。
 過去に経験のないお昼をまたぐスケジュールで、昼食は出番を終えたあと、持参のポテトサンドと珈琲で済ませた。トイレには一度も行かず、どこを利用するかは不明。隣りのホテルか地下鉄駅あたりか?

 終了は2時55分。代表の挨拶を含めると、時間ぴったりという厳密な進行である。
 4ヶ月ぶりに人前で歌ったが、ブッキング形式ということもあって自宅練習とは緊張感がまるで違い、得るものも大きい。
 参加者中おそらく私が最高齢で、いつまで歌えるかわからないが、場は積極的に探すべきと悟った。


 来年度は5月から活動開始とか。雨のリスクはあるが、代替日はなくて雨天中止。ただ、今年度は予定6回のうち、雨で流れたのは1回のみという。天は味方している。
 今回初めて歌ってみて、およその雰囲気はつかんだ。「幅広い聴き手を対象に他ジャンルを歌う」という自分の基本路線に大きな変わりはなく、場に沿って多少の修正を加え、次年度もできるだけ参加したい。


 

24市電前Live 10th /2024.5.19



 区役所近くの市民広場で実施されている路上パフォーマンスイベント「24市電前Live」に参加した。昨年10月に初めて出て、参加費不要&エントリーは当日会場でという自由なスタイルに惹かれた。
 介護施設や公的空間でのライブに閉塞感があり、開催が夜でアルコールを伴うライブハウス系の場は闘病中の身には不向き。雨天中止というリスクはあるが、新型コロナの感染リスクも少なく、開放的な屋外ライブは自分の活動の原点とも言えた。

 今年度の開催について、実は多少の不安があった。ネットで調べても全く情報がなく、思い余って代表のMさんに直接問い合わせたが、なぜか電話がつながらない。
 やるとすれば、これまでと同じ5〜10月、第3日曜のはずだった。あるという前提で1ヶ月前から選曲を絞り込み、日々練習に励む。5日前からは黒豆煮汁で入念に喉を調整した。

 当日は暑くも寒くもない天気。やや風は強いが雨の気配は皆無で、屋外イベントには絶好の条件だった。

 10時25分に家を出る。起床後3時間が経過してないため、リハの類いは一切やらず、軽い発声練習だけで済ませた。
 会場に向かう経路は前回と変えた。量販店から幹線沿いのバス停まで1.1キロ歩き、そこからバスに乗れば乗り換えなしで会場近くに着けることをネット検索で知った。

 エントリー締切直前の11時25分に会場着。引退した市電車両の展示は変わってないが、会場前のイベント案内板は新しくなっていて、今年度も開催されることを示している。準備は無駄ではなかった。

 エントリー表に名前を記入し、しばらくして代表のMさんから挨拶と演奏順の発表がある。
 2022年から始まったこのイベント、今回で10回目となるそうで、参加は過去最高の13組。表に名前が書ききれず、一部がはみ出すという盛況だった。

 私の順番は前回の3番から5番に下ったが、好きな早い順番であることに変わりはない。「演奏時間は正味10分厳守」と再確認がある。イベント時間は12〜15時と不動で、当日の参加者数で割り振るルール。
 順番がくるまでやや時間があり、持参のサンドイッチを半分だけ食べて備えた。

 前回と同じく、12時ちょうどにスタート。参加者は全員が音楽系で、インスト系が7組、ボーカル系が6組。男女比は9:4だが、人数は10:9と大差ない。
 以下は演奏の概要。(注釈なしは男性)

1)サキソフォーン独奏(BGM付):演歌(代表Mさん)
2)ギター弾き語りソロ:オリジナル
3)オカリナ重奏(BGM付):洋楽系(女性2人)
4)ギター弾き語りソロ:フォーク系
5)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「パープルタウン」(J-POP)
 「エンド・オブ・ザ・ワールド」(オリジナル訳詞)
 「夕凪ワルツ」(オリジナル作詞)

6)ギター弾き語りソロ:オリジナル
7)アコーディオン独奏:洋楽系
8)オカリナ重奏(BGM付):POPS系(女性5人)
9)フルート独奏:洋楽系
10)アコーディオン独奏:洋楽系(女性)
11)ギター弾き語りソロ(BGM付):オリジナル
12)ボカロソロ(BGM使用):POPS(女性)
13)エレキ&カホン:ベンチャーズ(3人)

 オープニングアクトは代表のMさんによるサキソフォーン独奏。てっきりジャズ系の曲かと思いきや、演歌を2曲並べて驚かされた。変わらぬ堂々の演奏である。
 以降、いい調子でトントンと演奏が続く。インスト系とボーカル系、男性&女性のバランスが程よく、演奏順を決めたMさんの構成も効いて、飽きさせない内容になっていた。

 私の演奏は12時45分あたりから。当日まで持ち時間がわからないという不確定要素があり、季節感を含めた選曲には相当悩んだ。
 過去の例から演奏時間を10〜20分と想定。「起」「転」「結」の3曲をまず決め、状況に応じて他2曲を間に入れて調整することにした。

 基本の3曲は正味10分で収める必要がある。「起」としてチカチカパフォーマンスで1曲目によく歌ったノリのいいJ-POP「パープルタウン」。「転」として緩やかなアルペジオの洋楽「エンド・オブ・ザ・ワールド」をオリジナル訳詞で。「結」として路上ライブでは受けのよいクラシック系オリジナル「夕凪ワルツ」を最終決定した。
 予備となる2曲に昭和歌謡の「赤いスイートピー」「時の過ぎゆくままに」を準備したが、結果として歌えずじまい。

 譜面台は自作の品を持参したが、風が意外に強くて低めにせざるを得ず、譜面がやや見えにくい。これが1曲目の前奏でコードの一部を見落とすという失態につながった。
 出だしのコードAmを2小節弾いてどうにか歌い出しのきっかけをつかむ。トラブルを切り抜ける咄嗟のゴマカシ業も時には必要か。
 以降はほぼ練習通りに演れた。黒豆煮汁の調整が効いて、喉の調子は前回よりも遥かによい。原因不明の左手首痛はサポーターを二重に巻いた対策が効き、支障なく演奏できた。

 聴き手の多くは参加者で、通りすがりの市民は10人余り。併せて30人ほどがオーディエンスで、前回よりも少なめ。今年度最初ということもあってか、終了まで数の変動はなかった。
 ぴったり10分で歌い終わると、期せずして会場から「ブラボー!」の掛け声。アンコールはないルールだが、それに匹敵する反応と手応えを感じた。


 7番目のアコーディオン独奏Nさんは、実はかっての音楽仲間で、4〜5回ライブでご一緒したことがある。自宅ライブにも来ていただいた。全くの偶然で、「お元気でしたか」と互いの無事を確かめあった。
 コロナ禍もあっていつしか疎遠になり、調べてみたら9年ぶりの再会。自分の演奏のほか、他の演奏者のまとめ役もやっていて、オカリナ演奏の女性をその場で紹介された。
 同年代だが、私よりやや年上。まだまだ意気盛んで、おおいに励まされた。

 ラストは3人組のベンチャーズメドレーで盛り上がり、参加者相互の絶妙なバランス感覚もあって、時間ぴったりの15時に終了。相変わらず進行は正確だ。

 前回からの継続参加者は13組中7組。今後の動向はまだ読めないが、この日は地元紙の取材もあった。さらなる告知がされれば、次回は15組オーバーの可能性も充分にある。
 自己責任の範囲で無理なく歌え、演奏へのプレッシャーは少ない。天候と体力次第だが、いまの自分には向いている貴重な場だ。


 

24市電前Live 11th /2024.6.16



 通算11回目となる自由参加型の路上イベント「24市電前Live」の日だった。
 この日に備え、前回終了直後から構成や選曲を準備していたが、予定1週間前の天気予報があいにくの雨。期日が迫ると状況はますます悪くなり、開始時間ころに降り出して、雨量はじょじょに増すという最悪の予報となった。

 屋外イベントの宿命で雨天の場合は中止。小雨なら決行としても、開催の有無を告知するネット情報は存在せず、最終的には各自の判断に委ねられる取り決め。

 やる前提で準備はしてあったが、会場に行くかどうかは直前まで迷った。行ってみて中止ならやむなしと最終決断し、いまにも降り出しそうな空の下、10時25分に家を出た。

 前回は徒歩とバスで会場をめざしたが、今回は雨模様もあって、やや遠回りの地下鉄を利用。乗り換えせずに直近の駅で地下鉄を降り、そこから徒歩で会場へと向かう。この判断が甘かった。
 予想以上に時間がかかり、到着は11時35分。すでに締切を過ぎているが、会場は雨対策の設営中で、まだ準備が整っていない。

 実施をどうすのか代表のMさんに確かめたら、はっきりしないので、とりあえずエントリー表に名前を書くよう促された。
 ビニール袋入りのエントリー表には8組の名前が。私が記入したあとにやってくる方もいて、開演15分前には10組を超す参加者が集まった。

 通常ならここでMさんから演奏順の発表があるが、今回は「自己申告で演りたい人が演る」という降雨特別ルールで始めることに決定。いつ降り出してもおかしくない状況で、定刻より5分早めて12時5分前にイベントは始まった。

 誰がいつ演ずるのかわからない不確定要素のなか、結果的に10組がパフォーマンスを披露。音楽系が9組(インスト系4組、ボーカル系5組)で大道芸系が1組。男女比は7:3だった。
 以下は演奏の概要。(注釈なしは男性)

1)サキソフォーン独奏(BGM付):演歌(代表Mさん)
2)ギター弾き語りソロ:加山雄三、オリジナル
3)アコーディオン独奏:テネシーワルツ他
4)ギター弾き語りソロ:フォーク系、松山千春
5)アコーディオン独奏:シャンソン、懐メロ
6)書道パフォーマンス(尺八BGM):Amazing Grace(女性&男性)
7)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「黄昏のビギン」(懐メロ)
 「雨ニモマケズ・抄」(オリジナル作曲)
 「傘がない」(フォーク)

8)アコーディオン独奏:洋楽、演歌(女性)
9)ギター弾き語りソロ(BGM付):オリジナル
10)独唱(BGM付):J-POP、演歌(女性)

 雨が時折落ちてくる空の下、各自が入れ替え時間や演奏時間を短縮しつつ、次々とパフォーマンスを披露。結果としてインスト系とボーカル系等がバラけ、ほどよいバランスとなった。
 初参加は3組。先月のライブで新聞取材があり、参加者急増が予想されたが、具体的な告知がなかったことと雨模様のせいで、参加者は前回より3組減った。はっきりしないが、エントリーしたまま参加しなかった方も数組いたようだ。

 雨に追われるように、各自が競うように演ずる。やや気圧されていた私だったが、半分以上が出演を終えた7番目に、ようやく歌うことができた。

 今回は「雨」をテーマに演ろうと早くから決めていて、曲の強弱や「起」「転」「結」のバランスを考慮して3曲を選択。まさか本当に雨中で「雨」を歌うことになるとは思わず、結果的にこの構成は場の気分にピタリはまっていた。
 直前の書道パフォーマンスの撤収作業で場が落ち着かず、始めようとしたとたん雨足が強まるという不運も重なる。Mさんから「演りますか?」と確認されたが、いま始めないとこのまま中止になりそうで、「演ります」と即答した。

 この日は雨中のライブを覚悟し、電子譜面は断念してA5の用紙に印刷した譜面をビニール袋に入れて持参。磁石つきの目玉クリップで袋ごとはさみ、会場の譜面台にくっつけた。
 譜面は演奏順にテープで止めて折りたたみ、入れ替えをスムーズにする。シールドケーブルは会場の設備を利用し、時間短縮と機材軽量化に努めた。

 13時から歌い始めると雨粒が大きくなり、見かねて知人のアコーディオン演奏Nさんが、うしろから傘を差し掛けてくれて助かった。

 喉の調子はまずまずだったが、前回に比べるとロングトーンがいまひとつの感じ。雨のせいで集中力に欠けた面もあったように思える。やや小降りになった3曲目の「傘がない」には、少ないながら場の強い手応えを感じた。
 無用なMCを極力省いて時間を詰め、正味9分ほどで終了。

 雨のせいでオーディエンスは少なく、常時15〜20名。出演者を除けば一般市民は数名といったところ。貴重な聴き手も、雨が強まるとふっと消えてしまう寂しさだった。

 その後もトントン進んで、ラストの女性プロ歌手の場面で、雨がいよいよ本降りになった。差し出された傘も断って気丈に歌い切り、定刻より1時間10分も早い13時50分にイベントを終える。
 開始前は実施困難かと思われたが、雨脚が強い時間は互いに傘を差し出してフォローしあうなどし、ともかくも予定のパフォーマンスを無事に消化した。
 雨中のライブ経験は皆無ではないが、ステージ上に屋根があるケースが大半。条件的には厳しかったが、得難い経験をさせてもらった。


 

24市電前Live 12th /2024.7.21



 通算12回目となる自由参加型の路上イベント「24市電前Live」の開催日。私は都合4度目の参加となる。
 前回は雨をついての強行開催だったが、今回も当日の予報は雨。2度続けての雨はさすがに堪え、その場合は不参加と決めていたら、前日になって予報が微妙に変わり、終了後の15時に小雨が降る程度という。
 このところ真夏日が続いていて、仮に降ってもいい熱冷ましだと腹をくくった。

 当日は午前中から30度を突破。暑さと雨の両方を頭に入れる必要があり、一部に車を使うより出発は早まるが、すべて公共交通機関を利用して向かうことにした。
 徒歩は自宅から最寄りバス停までの10分のみ。10時15分に家を出て日陰を選んで歩き、バスに乗るとエアコンが効いて涼しい。地下鉄に乗り換えても涼しさは変わらず、ルート変更は正解だった。

 11時15分に会場到着。締切15分前だが、すでに12組がエントリー済み。この日は女性ボーカルのユキさんのギター伴奏も務めることになっていて、2人同時に受付けを済ませる。
 懸念していた自分の弾き語りと他の伴奏とのWエントリーは、過去にも例があって問題なしとのこと。

 その後もエントリーが続き、最終的に19組という過去最高の参加数となった。制限の3時間に収めることが難しく、前回同様に開始を15分早めて12時45分からスタートとなる。入替えを含め、1組10分の持ち時間を厳守するよう代表のMさんから再確認がある。
 私の弾き語りは11番目で、ユキさんの伴奏は15番目。陽射しはそう強くないが気温は高く、水分補給しつつ持参のサンドイッチを食べる。
 あとで知ったが、この日の札幌は猛暑日寸前の34.7度(今季最高)を記録していた。

 記録的な暑さにもめげず、19組が次々とパフォーマンスを披露。音楽系が18組(インスト系6組、ボーカル系12組)で大道芸系が1組。初参加は9組、男女比は12:7(人数は23:16)だった。
 以下は演奏の概要。(注釈なしは男性)

1)サキソフォーン独奏(BGM付):テレサテン
2)ギター弾き語りソロ:ビーズ
3)ピアノ&ウッドベース合奏:少年時代他(女性2人)
4)書道パフォーマンス(尺八BGM):(女性&男性2人)
5)ギター弾き語りソロ:オリジナル
6)オカリナユニット(BGM付):昭和歌謡(女性2人)
7)エレキギター弾き語りソロ:オリジナル
8)ギター弾き語りユニット:J-POP(女性2人)
9)ギター弾き語りソロ:フォーク系
10)ギター弾き語りソロ:J-POP、オリジナル

11)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「不思議なピーチパイ」(J-POP)
 「野ばら(シューベルト)」(クラシック)
 「どうにもとまらない」(昭和歌謡)

12)アコーディオン&リコーダー&オカリナ合奏:
  シャンソン、演歌、唱歌(男性2人&女性4人)
13)ギター弾き語りソロ:フォーク、オリジナル
14)ギター弾き語りソロ:J-POP、オリジナル
15)ボカロソロ(BGM使用):J-POP(女性)
16)ギター弾き語りソロ(BGM付):オリジナル
17)オランジェットゆき:独唱(女性&男性)
 「スタンドバイミー」(洋楽・アカペラ)
 「勝手にしやがれ」(昭和歌謡・ギター伴奏〜菊地)
 「学園天国」(昭和歌謡・ギター伴奏〜菊地)

18)トロンボーン合奏:J-POP他(男性5人&女性3人)
19)エレキギター&カホン:ベンチャーズ(3人)

 各自が時間短縮に努め、トントンと調子よくプログラムは進んだ。私の出番は13時半あたり。開始105分が経過して10組が終了。ほぼ予定通りの進行だった。
 開始前のユキさんとの音合わせの際、強い陽射しの反射で電子譜面が見づらく、予備として持参した紙譜面を磁石つきクリップで使うことにする。

 この日の隠れテーマは「春から夏へのバラ」。歌詞にすべて「バラ」が入っていて、受けのいい曲を季節順に並べた。テンポや曲調にもメリハリをつけた苦心の構成。
 ただ、時間短縮の関係でテーマに関するMCは一切入れず、単にタイトルを紹介するにとどめた。

 暑さはピークに達していたが、場の反応はまずまず。開始時は20名くらいだった聴き手は、ライブの経過と共に増えて40名前後。聴き手の反応に限れば、雨より暑さのほうがはるかにマシである。
 春先から始まった原因不明の左手首痛は小康状態だったが、コードによっては痛むため、サポーターを巻いて臨んだ。結果として痛みは皆無。今後はライブ時の手首サポーターをデフォルトにすべきかも。

 反省点は、3曲目のラスト近くでピックが割れ、弦にからまって一瞬抜けなくなったこと。抜けるまで無伴奏でつないだが、失態だった。
 演奏中に割れることは過去にあっても、持ち替えることで凌いでいた。弦から抜けなくなったのは初めてで、何が起きるかわからないライブの怖さを思い知った。予備ピックは常に準備しておくべき。

 持ち時間内の9分で歌い終わり、素早く撤収。その後の進行も順調だったが、私が伴奏を務め、15番目に歌う予定だったユキさんの出番が迫っても、本人が現れない。
 会場近くにある職場を抜け出して参加する綱渡りで、14時半ころを希望していたが、進行が想定よりも早すぎた。事務局に事情を話し、順序を後ろにずらしてもらう。
 ユキさんは2つ遅れの17番目(14時40分)の登場となり、同時に私もスタンバイする。

 ユキさんとは介護施設ライブで10数年前に知り合った。先月の「24市電前Live」で突然声をかけられ、7年ぶりの再会。以前はギター伴奏の男性とユニットを組んでいたが、解散してアカペラでの活動をしているという。
「私もここで歌いたい」という話しの流れで、1回限定で伴奏を務めることになった。多忙で直接音合わせをする時間がなく、ネット経由で音源をやり取りしながら進めた。

 ぶっつけ本番に近く、多少の不安はあった。いざ始めると、1曲目「勝手にしやがれ」のイントロを弾き終え、目で合図を送っても、一向に歌い始めない。受付け直後の音合わせでは問題なかったが、目に緊張が走っている。新型コロナがらみでライブの場から遠ざかっているという事情があった。
「もう1回」と声をかけてやり直す。今度はうまくいった。ところがサビのリフレインは原曲通り、間奏なしで続けることを確認していたはずが、これまた歌が続かない。
 小声で「終わりますか?」と尋ねると、歌う気はあるようだ。適当な場所で伴奏を切り、目でうながすと、やっと歌ってくれた。時間短縮の意味では好ましくなかったが、まずまず無難にまとめた。

 2曲目「学園天国」は歌詞に合いの手が入って、さらに難易度は上がる。不安なまま始めたが、伴奏のタイミングをボーカルにある程度合わせたこともあり、これといった問題もなく終了。
 場にようやく馴染んできたユキさんが聴き手に掛け声の交歓を仕掛け、場もこれに応じて、大盛りあがりで終了となった。

 実は「学園天国」はレパートリーにはなく、この日に備えて毎日練習を重ねた。F#やBの難解な(自分には)セーハコードの連発で、そもそも他のボーカルの伴奏をすること自体が初めてのこと。
 緊張を強いられたが、ギターストロークのテンポを一様ではなく、歌詞に合わせて逐次細かく変える工夫をこらし、選曲が場にマッチしていたこともあって、予想以上にうまく運んだ。

 終了後に「よかったよ」と、見知らぬ方を含めて多くの声をかけられ、練習したかいがあった。ギターは下手だと日頃から決めつけていたが、毛嫌いせずにやってみるもの。

 その後見事なトロンボーン合奏と夏の定番、ベンチャーズ演奏が続き、予定をやや超えた15時20分で大団円となる。
 閉会を告げる代表Mさんの声が、感動で心なしか上ずって聞こえた。折畳み傘も準備していたが、雨が降り出す気配は最後までなかった。

 地下駅からバスへの乗り継ぎがうまくいかず、帰宅は17時近く。30度近くの暑さはまだ続いていた。
 前回は雨との闘いで、今回は暑さとの闘い。どちらも厳しいが、熱中症を回避して無事に乗り切れたこと、新しい自分を見つけられたことを喜びたい。


 

24市電前Live 14th /2024.10.20



 通算14回目となる自由参加型路上イベント「24市電前Live」に3ヶ月ぶりに参加した。
 前日からの長雨が午前中まで続いたが、午後からは晴れる予報。5月から始まったイベントは今回が今年度のラストで、ぜひとも実施して欲しかった。

 前回と同様に車は使わず、すべて公共交通機関を使っての移動。10時15分に徒歩で家を出て、最寄りバス停から順調に乗り継ぐはずが、肝心のバスが待てど暮せどやってこない。結局バスは9分遅れ、以降の地下鉄も1本ずつ乗り遅れることになる。

 到着はエントリー締切3分前の11時27分。この日は気温が10度前後と寒く、会場に音響はセットされていたが、人影は見えない。参加者が極端に少ないのか?と思いきや、広場の一隅に設置された古い市電内に人の気配がする。
 中に入ってみると、多くの参加者が寒さを避けてスタンバイしていた。私もギリギリでエントリーを済ませる。

 寒さにもかかわらず、この日の参加者は過去最高の22組。聞けば前回は雨で中止だったそうで、今年の締めくくりに参加したいという思いは、みな同じだったらしい。

 定刻の12時にスタート。トップ担当は代表のMさん(サキソフォン)が慣例だったが、この日はトリで演るという。代りのトップは、近隣でライブハウスを経営するプロ女性歌手の方が務めた。

 私のエントリー順は7番。昨年秋から数えて通算5度目の参加だが、およそこのあたりが居場所になりつつある。
 寒さのせいで、通りすがりの聴き手はゼロに近い。時折り陽がさすと市電内に退避していた参加者が広場に降りてきて、一時的なオーディエンスになるという感じで、聴き手自体は常に10人程度いた。

 私の出番は13時ごろ。「1組10分以内」という制限があり、ほぼ予定通りの進行である。
 直前の出演者がプロの方で、演奏が終わると会場から聴き手の姿が一斉に消えた。やりにくい雰囲気のなか、めげずに淡々と自分のペースで歌い始める。

 参加者の増加を見込んで、この日は曲数を2曲に減らして臨んだ。起承転結を考慮すると構成が難しくなるが、単純に「起」と「結」を想定。テーマを「夜」に決め、以下の2曲を歌う。

 「夜のバス」(フォーク)
 「グッド・ナイト・ベイビー」(昭和歌謡)

 転換時間を減らすべく、今回は電子譜面をやめ、A5サイズの紙譜面を使った。風や雨対策を施し、会場の鋼製譜面台に一発で装着できる磁石つき譜面枠を自作して持参。想定通りに素早くセットできた。
 いざ歌い始めると、1週間前から黒豆茶で調整した喉は絶好調。聴き手もそれなりに増え始め、2曲目ラストの高音部ロングトーンもピタリ決まって、会場から掛け声もかかる。今年度の締めくくりとして、満足できる内容だった。



 この日はなぜか道外からのプロ参加者が多く、4〜5組はいたように思える。おそらくは近隣ライブハウスからの紹介だったのではないか。
 さすがはプロで、どの参加者も力量は確かなもの。間で演ずるアマチュア参加者との格差がやや目立った。今後も同じ傾向が続く可能性はあるが、イベントのコンセプトがあくまで「なんでもあり」の「自由参加型」なので、それも自然な流れか。

 別の特徴として、この日は弾き語りやインストを含めたギター演奏の比重が高かった。ギター以外の楽器系が3組、ボーカル系が2組という少なさ。大道芸系はゼロだった。
 他のイベントでも最近はギター系が圧倒的に多く、私もその例外ではないが、多様なパフォーマンスを観たい身としては、ちょっと寂しい。

 イベント進行と共に気温はじわじわと下がり、風もでてきた。14時ころには9度を記録。この時点での進行はまだ半分程度で、時間内の15時までに全員が演じ終えるのは、とても無理である。
 そうした事情のせいか、代表のMさんを含めた運営側の参加者2組が急きょ出演を取りやめた。最終的な参加者は20組に落ち着く。主催者ではないが、参加者が多いときは「1組1曲」などの制限を今後すべきかもしれない。

 寒さのせいか、自分の出番が終わるとふっと消えてしまう参加者もいたが、インナータイツやストール&帽子で防寒対策は万全。なるべくステージ前にいて、他のパフォーマンスを観るよう心がけた。
 衆議院選挙の公示直後とあって、イベント中に選挙カーが2台もやってきて音響がバッティングし、周辺が一時騒然となった。7番という早めの順番で気温低下や大音量の影響もなく演れ、ラッキーだった。

 あれこれあって、15時40分に20組全員が演じ終える。選挙カーの音が一段と大きくなり、広場周辺に動員と思しき人々も集まり始めた。代表の挨拶もそこそこに、イベントは終了となる。
 詳細は未定だが、来年度も同じ要領でイベント自体は続くことなりそう。サポーター等の各種対策が効いて、筋肉痛や関節痛も小康状態である。喉はまだ衰えていない実感があり、今後も体調と相談しつつ参加したいと考えている。