イベントライブ顛末記


JUNON・リクエストサロン 04th /2017.12.15



 札幌近郊のカフェで歌った。5月、7月、10月に続く今年4度目のライブで、15日間で断続的に続く13本のXmasライブのうち、これが唯一の介護施設以外の場である。
 札幌の北に位置し、距離的には遠いので風雪による交通渋滞が心配されたが、穏やかな陽気で道路に雪はなく、交通量が少ない分、夏場よりも走りやすいほど。25分で難なく先方に着いた。

 さっそく設営に取り掛かる。今回はプロジェクターによる歌詞投影をやめたので楽になったが、コラボ演奏用に専用マイクを設置し、Xmasの雰囲気を盛り上げるため、LEDのイルミネーションをマイクスタンドに設置。それなりに時間はかかった。


 懸命の治療のかいあって、1週間前に傷めた喉の調子は8割方戻っていた。前半の予定曲を事前にチェックしたが、大半の曲が普通のキーで歌えた。キーの選択が2つある曲は、用心して半音低いほうで歌うことにする。

 開始20分前くらいにコラボ演奏するS子さんがやってくる。電話で曲目とおおまかな進行は打合せてあったが、キーや入りのタイミングは実際に歌って合わせる必要がある。
 実はもう一人コラボ演奏予定者がいたが、諸事情で今回は見送ることになった。お店の関係者なので実現すれば受けることは間違いなかったが、惜しいことをした。

 今回は天候にも恵まれたせいか、集客は初回なみに戻り、ほぼ満席状態。お店側の飲物やXmasデザート等のサービスにやや手間取り、定刻をやや遅れて14時6分にスタートした。
 前半はXmas企画とそれに続く私のセレクションで、約40分で12曲を歌う。


「ジングルベル」
「サンタが町にやってくる」
「見上げてごらん夜の星を」
「ホワイトクリスマス」
「冬の星座」
「ウィンター・ワンダーランド」
「クリスマス・イブ」
「We wish you a Merry X'mas」

「雪が降る」
「赤坂の夜は更けて」
「ヘッドライト」
「雪化粧」


 喉に一抹の不安はあったが、開始20分前に持参の大根ハチミツを飲んだこともあって、特に問題なく歌い進んだ。Xmas企画は8曲としたが反応は悪くなく、全曲をXmas系で貫いてもよかったかもしれない。

「クリスマス・イブ」を歌っているとき、後半でピックが割れた。粘りのある素材で作った手製ピックで、ライブ中に割れることはめったにない。素早く持ち替えて切り抜けたが、実はこれが次なるトラブルの前兆だった。
「雪化粧」を歌っている際、前半で突然弦が切れた。あとで調べたら4弦がブリッジ付近でぷっつりと破断している。昨年はライブ中に5弦が、一昨年は3弦が切れている。以来予備弦を常に持つよう心がけているが、交換には数分かかる。

 歌は弦が切れたままで歌い終えたが、継続はもはや困難。時計を見ると14時44分あたりで、ちょうど休憩の時間だった。事情を話して休憩に入ることにする。


 動揺を抑えつつ、素早く弦を交換。やや手間取って5分近くもかかった。それにしてもピック割れと弦切断がほぼ同時に起きるとは。修復に手間がかかる弦切断が後半終了間際であったことが救いだった。

 14時51分くらいから後半開始。リクエストを中心に、およそ40分で11曲を歌う。
(※はリクエスト、◎はコラボ)


「ラ・ノビア」◎
「きよしこの夜」◎
「昴」※
「地上の星」※
「シクラメンのかほり」※
「知床旅情」※
「いちご白書をもう一度」※
「学生街の喫茶店」※
「ダニーボーイ」
「天使のウィンク」
「ジングルベル」※


 冒頭のコラボ2曲は交換直後の弦の緩みが気になって、やや集中力を欠いた。伴奏に専念というのが、逆に難しさにつながったかもしれない。コラボ演奏そのものは無難にまとめた。

 以降のリクエストタイムはフォーク系の比率が非常に多く、いつものお店の傾向と一致した。もし次回があるとしたら、前半をフォーク系セレクトで貫く考えもありそうだ。
 終盤になってリクエストが途切れたので、適当に埋めたが、アクセントで入れたつもりの「天使のウィンク」は、場の空気からやや外れたかもしれない。「ダニーボーイ」で場がしんみりしたので、明るめの曲を、と選んだつもりだが、叙情系フォーク「神田川」の選択もあった。

 多少の反省点はあったが、喉の調子は4回の中で最もよかった気がする。地方都市のカフェで音楽系のXmasイベントは運営面での難しさもあるが、思いのほか盛況でお店にも喜んでもらえた。
 手探りだったカフェライブ、回を重ねてお店の定例イベントとして定着しそうな気配をなんとなく感じる。そうなるとよいが。


 

真駒内緑町第一住宅団地・新年会 /2018.1.28



 昨年9月に初めてネット経由で依頼のあった町内会で再び歌った。前回は単なる懇親会で飲食は一切なく、幅広い年齢層を前に歌う難しさはあったものの、それなりに手応えはあって、今回の依頼につながった。
 今回は飲食が伴う新年会余興という難しい内容で、前回2組あった演者も今回は私だけ。カラオケもなく、責任は重かった。

 あいにく10日ほど前から風邪からくる副鼻腔炎を患っていて、頭痛や倦怠感がひどく、声も鼻声状態。珍しく病院に2度も通って懸命の治療を続けた結果、80%くらいまで回復。どうにか先方に迷惑をかけずに演れそうな状態までこぎつけた。

 会場は札幌南端にあり、北端にある我が家からはかなり遠い。前回は新しく開拓した豊平川沿いのルートを通って55分で着いたが、今回はさらに短縮できそうなコースを使うことにする。  イベント開始は12時で、私の担当は12時20分から。雪道なので余裕をみて10時35分に家を出たが、数日前にまとめて降った雪もすっかり除雪され、路面状態は非常によかった。夏よりも短い50分弱で着く。


 参加者は前回より倍近くに増えて、40名弱。会場もステージのある広い場所に変わっていた。
 予定より5分早い12時15分から歌い始める。予定をやや超えて、1時間5分で17曲を歌った。


《セレクトタイム》
「カントリー・ロード」
「エーデルワイス」
「上を向いて歩こう」
「冬のリヴィエラ」
「シクラメンのかほり」
「オー・シャンゼリゼ」
「虹と雪のバラード」
「まつり」

《リクエストタイム》
「恋するフォーチュンクッキー」
「北国の春」
「ハナミズキ」
「時代」
「乾杯」
「池上線」
「さよならはダンスの後に」
「無言坂」

《うたごえタイム》
「また逢う日まで」


 丸1ヶ月以上もステージからは遠ざかっていて、体力的な問題もあり、一抹の不安を抱えての出だしだったが、いざ歌い始めるとまずまず声は出た。

 会場は6つのテーブルに分かれていて、開始直前に1テーブル2曲のリクエストが届く。1テーブル最低1曲のリクエストに応える、という事前の打合せだった。
 当初予定していた前半8曲のうち、「シクラメンのかほり」がリクエストと重複していたが、他の11曲に重複はなかった。
 結果として歌えなかった曲は、「ありがとう」「くちなしの花」「秋桜」「恋人よ」の4曲で、前回もそうだったが、POP系フォーク系の要望が圧倒的に多い。


 最初の4〜5曲には手拍子や拍手など、1曲ごとにそれなりの反応があったが、30分が経過した後半に差し掛かると、アルコールが回ったこともあって、テーブルごとに歓談する姿が目立ち始め、歌に対する反応がめっきり弱くなる。
 この種の酒席ではしばしば見られる現象で、累計ライブ数500を数えたいまでも、こうした場の気分を劇的に打開する手立てを持ち合わせていない。

 いつも通りに無理な力技は使わず、会場のBGMに徹する気持ちで、リストにある曲をていねいに淡々と歌い続ける。
 曲によっては一緒に歌ったり、歓声があがったりもしたが、あくまで限定的なもの。こうした雰囲気は最後まで変わらず、非常に難しい進行となった。

 テーブルごとのリクエストが一巡したあとは、時間の許す限り数曲を二巡目として歌う。最後は全員で歌える曲を何か、と私から提案し、「青い山脈」「世界に一つだけの花」「また逢う日まで」などの候補のなかから、会場の圧倒的な声により、「また逢う日まで」で決着。

 この曲では司会用のハンドマイクを握って女性がステージ上に上ってきて、一緒に歌うというハプニングがあった。「北国の春」でも同様に私の歌に合わせて「口パク」をする男性がステージ上に登場した。
 いずれも酔いにまかせての座興のようなものだが、場所を半分ゆずって共に演ずるなど、アドリブ対応で無難にさばいた。
 反省点は多々あったが、悪条件の重なったなかでは、ぎりぎり場をまとめられたように思える。


 

日曜カフェ・ポピー 02nd /2018.2.11



 数ヶ月前から依頼されていた地域カフェ(日曜カフェ)で歌った。昨年6月に続いて2度目の依頼だったが、前回は夏風邪からくる喉の不調で体調が思わしくなく、薬を飲みながらどうにか乗り切った経緯がある。
 今回は体調も戻って喉も復調。薬にも頼らずに万全の態勢で臨んだ。

 ずっと温暖だった陽気が一転してあいにくの雪。湿った春の雪が10センチほども降り、開始は10時だったが用心して8時35分に家を出る。
 雪に強い札幌新道を主に走ったこともあってか渋滞もなく、夏と変わりない50分弱で会場に着く。

 会場は地域の町内会館だったが、冬に訪れるのは初めて。深い雪で周辺の様子がすっかり変わっていたが、道路沿いにピンクのよく目立つノボリが立っていて、「日曜カフェ・ポピー」の文字が。あとで責任者のS子さんから聞いたが、場所が分かりにくいとの声から、新しくそろえたそうだ。

 会場が広いので、今回もPAは2台を準備した。設営中に客席から「菊地さん」と呼ぶ声がする。16歳のときに郵便局のアルバイトで知り合ったMさんだった。
 バイト終了後も断続的な交流が続いていたが、ここ30年はもっぱら年賀状だけのおつき合い。ところが先月、突然の電話があり、町内会回覧板で私が歌う案内状が回ってきたという。
 調べると、会場とMさんの家が目と鼻の先。ぜひ聴きにきてください、と声をかけてあった。長く歌っていると、いろいろな偶然が起きるもの。

 開始間近になって続々と人が入ってきて、悪天候にも関わらず、聴き手は前回と変わりない30名弱も集まった。認知症予防もかねているイベントなので、全て中高年である。
 定刻やや遅れの10時2分から開始。前半は40分で11曲を歌った。
(※は案内状で事前告知の曲)


「白い冬」※
「白い想い出」※
「冬のリヴィエラ」※
「虹と雪のバラード」※
「矢切の渡し」
「雪が降る」※
「灯台守」
「雪化粧」
「ダニーボーイ」
「神田川」
「サボテンの花」


 先にふれたように、地域に回覧された案内状には、S子さんによる概要が記されていた。イベントのタイトルは「冬を歌う」で、冬に関連する5曲がすでに掲載されている。
 この5曲はある種の事前リクエストなので必ず歌わなくてはならず、前半の早い時間にリストアップ。他の6曲も全て冬に関連する曲でまとめた。
 全般的に叙情的なPOP系、フォーク系の曲を好む場なので、そうした傾向に沿った内容でもある。

 苦手な午前中ライブだが、前回と違って体調には問題なく、キーも普段通り。会場の手応えも抜群で、いい調子で歌い進んだ。

 10時42分に前半を終えて休憩に入ったが、メッセンジャー役としてS子さんが集めてくれたリクエスト一覧を見ると、全部で14曲も並んでいる。後半40分で全部歌い切るのはとても無理で、リクエストをなるべく多くさばくべく、急きょ予定を早めて10時47分から後半を始めることにする。
 約45分で12曲を歌った。(全てリクエスト)


「ウナ・セラ・ディ東京」
「吾亦紅」
「なごり雪」
「月の沙漠」
「時代おくれ」(初披露)
「シクラメンのかほり」
「釜山港へ帰れ」
「糸」
「風」
「川の流れのように」
「五番街のマリーへ」
「この広い野原いっぱい」(シングアウト)


 後半になると静ひつだった場も次第に乗ってきて、曲紹介のたびに歓声やため息が上がる。「いい声だね!」の声もかかるようになった。
 体調に余裕があったこともあり、今回は要所で意識してMCを入れ、自己紹介や曲にまつわる裏話を披露したが、これは聴き手とのコミュニケーションにかなり役立った。持ち時間にもよるが、MCはライブの大事な潤滑剤である。

 時間不足等の理由から結果として歌えなかったリクエスト曲は、「山谷ブルース」「雪國」「東京(桑田佳祐)」の3曲。リスト一覧から何を歌うかは一任されていたが、「山谷ブルース」は以前に一度歌っていて、「雪國」は歌詞が年末むきの内容、「東京」はレパートリー外という理由から外した。

 地域カフェとしては2度目のステージで、他に演者のいない単独ライブ。責任は重かったが、各種調整がうまく運んで、S子さんにも喜ばれた。
 終了後に「歌詞が心にすっと入ってくる」と数名の方から声をかけられた。よく指摘されるが、この理由は自分でもよく分からない。しかし、ほめ言葉であることは確かだった。
 反省としては、しばらく歌ってなかった「時代おくれ」で、メロディの一部をミスしたこと。「シクラメンのかほり」で「薄紅色」を「薄紫」と歌ってしまったことがある。リストにある曲は定期的におさらいすべきだ。

 地域包括支援センターの支援を受けた事業だが、運営は全て地域住民で行っていて、月2回ずつ年間24回開催されている。予定通り盛況で1年を終えようとしているので、今後とも地域に定着する可能性が高い。


 

JUNON・リクエストサロン 05th /2018.5.18



 昨年4度歌わせていただいた近郊都市のカフェで、半年ぶりに歌った。短期間で歌い尽くした感があり、さらなるライブは難しいものと思っていたので、再度の依頼があったときは正直驚いた。
 ごく普通のカフェだが、地域に根ざして40年余りも続けていて、大半は地元固定客。経営者は私よりやや上の年代で、本格珈琲が300円と利用しやすく、形態としてはいまふうの地域カフェに限りなく近い。中高年世代がターゲットの私の活動形態と、おそらく相性がよいのだろう。

 いつものように13時に家を出る。前回、ライブ中に弦が切れるというアクシデントに見舞われたので、今回は用心して予備ギターを積んだ。そのほか、毎回ゲストとして1〜2曲歌ってくれるお店の常連S子さん用として、昨日作ったばかりの予備電子譜面ホルダ一式も持参。

 13時半に先方に着いて、挨拶もそこそこに設営に入る。サブマイクのテストも無事に済んで、定時の14時からライブ開始。
 前半はおよそ40分で10曲を歌う。(◎はオリジナル)


「涙そうそう」
「サクラ咲く」◎
「港が見える丘」
「宗谷岬」
「アカシアの雨がやむとき」
「あなたに会いに」◎
「恋の町札幌」
「僕の胸でおやすみ」
「夕凪ワルツ」◎
「バラ色の人生」


 聴き手は普段より少なめの10名余。出掛けに降り始めた雨が次第に強くなり、客足に影響したと思われたが、途中から参加する方もけっこういて、最終的には15名程度とまずまずの集客となった。

 マンネリ化を打開するべく、今回は要所にオリジナル曲を歌ってメリハリをつけようと画策した。構成には季節感を重視するので、特に前半では春のイメージを重視した。
 オリジナルの「サクラ咲く」からカバー曲の「港が見える丘」へと続く流れは、惜しむ春という共通のキーワードがあり、ピタリはまった。場の反応も熱い。
 バラード系の曲を多めにし、ストローク奏法で歌った曲は「涙そうそう」「宗谷岬」「恋の町札幌」の3曲のみ。その3曲も情緒性が強く、全体の芯は通っていたと思う。

 最初の依頼があった1年前は、風邪で体調を崩して声がまともに出ないという最悪の体調だったが、今回は3月から始めた風邪対策が功を奏したか、喉の不安はなく、キーも普段通り。
 出だしの数曲でややノリの悪さを感じたが、歌い進むうちに徐々に回復。あっという間に前半を終えた。

 10分休憩後に後半開始。出だしでお店常連のS子さんにゲストで歌ってもらったが、あいにく冬場の骨折で体調が充分でないそうで、今回は1曲限定となった。
 この曲が奇しくも予備曲として準備していた「君をのせて」。リハーサルの類いは全くなく、休憩中にキーと前奏からの入りを確認しただけだったが、今回が4度目のコラボとあって、無難にこなした。文字を拡大表示させた予備電子譜面も「見やすい」と好評。
 以降は私のソロに戻り、計40分ほどで10曲を歌う。(※はリクエスト)


「君をのせて」(コラボ)
「大空と大地の中で」※
「思い出のグリーングラス」※
「浪花節だよ人生は」※
「酒と泪と男と女」※
「吾亦紅」※
「つぐない」※
「野ばら(メドレー)」
「はがゆい唇」
「また逢う日まで」


 回数が重なるにつれ、聴き手はリピーターが大半となり、それはライブ進行のやりやすさと難しさの両面で悩むことを意味する。歌い手としては常に新しいものを見せていかないと、やがて飽きられてしまうだろう。
 リクエストにひと通り応えたあとは新境地展開を意図し、クラシックの「野ばら」と高橋真梨子の新しめの曲「はがゆい唇」を歌ったが、これは当たって好評だった。
 前半ラストの「バラ色の人生」もそうだが、リクエストはあまり出ないが自分の得意な曲は、オリジナルも含め今後うまく配置していきたい。

 終了後、「よかったね〜」という声が場から複数あがる。歌いながらも手応えを感じていたが、「マンネリ打破」を意図したライブは、おおむね思惑通りに運んだようだ。
 帰り際にママさんから7月のスケジュールを訊かれる。なんと、早くも次のライブ依頼なのだった。2年目に突入したカフェライブ、もしかすると春夏秋冬定例化の気配がないでもない。
 いつまで歌い続けられるか分からないが、まずは目の前にあるライブをひとつひとつ誠実にこなすことだ。


 

日曜カフェ・ポピー 03rd /2018.6.10



 数ヶ月前から依頼されていた地域カフェ(日曜カフェ)で歌った。地域包括支援センターの支援を受けた事業で、昨年6月今年2月に続いて3度目の依頼だった。
 場所は札幌ドーム近くの町内会館。第2第4日曜の月2回、年間24回開催されていて、運営は全て地域住民で行っている。代表のS子さんとは路上ライブで知り合って以来の長いお付き合いで、講師としてはすっかり定着した感。

 開始はいつもと同じ10時。声の出にくい午前中ライブだが、認知症予防関連事業ともなると、この時間帯がどうしても避けられないようだ。
 8時50分に家を出て、40分で会場に到着。予備ギターやサブPAを含む多数の機材を搬入し、ただちに設営に入る。

 町内会女性部懇親会など、他イベントでも招かれているので、場としては都合5回目。大きな戸惑いはなく、予定通り10時からイベント開始となる。
 前半は40分で10曲を歌った。


「傘がない」
「アカシアの雨がやむとき」
「どうぞこのまま」
「有楽町で逢いましょう」
「雨の物語」
「長崎は今日も雨だった」
「雨が空から降れば」
「黄昏のビギン」
「空港」
「アビーロードの街」


 地域に事前回覧された案内状には、今回もS子さんによるイベント概要が記されていた。6月とあってライブテーマは「雨を歌う」で、雨に関連する8曲がすでに告知ずみ。この8曲は必ず歌う必要があり、前半に配置した。

 開始の時点で聴き手はスタッフを含めて40名くらいだったが、その後じわじわと増え、最終的には50名近くに達した。前2回は30名前後だったので、過去に例のない盛況である。
 昨年からPAは2台を準備してきたが、それでも聴き手の多さに吸音される感じがしたので、途中で数回ボリュームを上げた。

 1年前は風邪が抜けきらず、薬を飲みつつキーを下げて歌うという最悪の状態だったが、今回は調整が比較的うまく運んで、喉の調子はまずまず。ところが前日の気温が平年より7度も低く、暖房を点けるかどうか、かなり迷った。
 結局点けずに早めに寝床に入ったが、身体が冷えていたせいか、1時間毎にトイレに起きる頻尿状態。全く年はとりたくない。午前中ライブの緊張感も重なって、満足に寝られないまま朝を迎えた。

 開始時は寝不足で頭がボ〜とした状態。ピーク時の声がいまひとつ出ないが、変な力みが消えるという相反する要素のバランスを取りつつ歌うという、奇妙な進行となった。

 ライブ中にも断続的に客が入ってきて、その応対や飲み物サービスなどで場が落ち着かない部分も多少あったが、ジャンルや曲調のバランスを考慮した構成がうまく運んだのか、全体的な反応は悪くなかった。
 曲間のMCは曲紹介程度とし、淡々と歌い継ぐ。前半ラストはややマニアックな「アビーロードの街」だったが、期せずして場内から手拍子が湧いた。出だしの1曲と前後半のラストの選曲は、かなり重要と再認識。

 10分弱の休憩を挟んで後半開始。他のリクエストサロン系の場と同様に、後半は基本的に場からのリクエストで構成する。S子さんが休憩時に集めてくれたメモを見ると、15曲のタイトルが並んでいる。
 時間的に全部を歌うのは難しく、可能な限り応えるべく、ただちに始めることにする。およそ43分で12曲を歌った。


「雨がやんだら」
「つぐない」
「秋桜」
「別れの朝」
「あんたのバラード」
「ここに幸あり」
「糸」
「涙そうそう」
「なごり雪」
「星影のワルツ」
「アメイジング・グレイス」
「365日の紙飛行機」


 何をどの順で歌うかは任されていたが、全体的に叙情的な曲調が多く、前半同様にジャンルや曲調のバランスをとりつつ、その場の判断で歌い進めた。
 結果として歌えなかった曲は、「氷雨」「シクラメンのかほり」「地上の星」の3曲。余るほどリクエストをいただくのはうれしい悲鳴だが、最終的に応えられない曲が出てしまうのは心苦しい。何らかの救済策が必要かもしれない。

 後半は場が落ち着き、聴き手が集中してくる強い気配を感じた。進行に従って眠気もすっとび、連動して喉の調子も向上したが、途中から右の耳が聞こえにくくなって困った。
 以前にも数回同じ症状になったことがある。寒さに用心して薄いセーターを着て臨んだが、50名の聴き手で場内の熱気は高まり、暑いほど。おそらくは体調不良からくる軽い突発的難聴だった。
 頻繁に水を飲み、休憩時にはセーターを脱いでシャツの袖もまくって備えたが、容易に回復しなかった。

 それでも聴き手の熱気に支えられて、ライブの勢いが失速することはなく、あっという間にラストへとなだれ込む。場のコンセプトにもぴったりの「365日の紙飛行機」を選んだが、こちらにも自然発生の手拍子が湧いて大団円となった。
 最後に代表のS子さんが挨拶に立つと、どこからか(アンコール…)のささやきが聞こえてくる。場の気分は確かにアンコールを求めていたが、時計はすでに予定時刻を超えている。惜しいことをした。

 終了後、Xmasライブへの出演を打診される。さすがに12月のスケジュールはガラ空きだが、もし引き受けると、同じ場で年に3度の出演となってしまう。多すぎないかとそこが不安だったが、「こうして回を重ねるごとに、集客は増えていますので」と、意に介さない。
 よく考えると、似た切り口で先月終えたばかりのカフェライブも、季節ごとの年4回ライブが恒例化しつつある。回毎にテーマを決めてメリハリをつけ、きちんと記録を管理して重複曲を極力避けるなど、工夫次第で乗り切れそうな気がしないでもない。

 帰りがけに多くの利用者の方から声をかけられたが、ある同年代の女性からは、「声に独特の《ゆらぎ》がありますね」と言われた。
 実は過去にも同じ趣旨の言葉をかけられたことが数回ある。要は音色やテンポに規則性と不規則性とが微妙に混じり合った音(声)の状態らしいが、つきつめると、音楽的な癒やしにたどり着くという。かの女性はかって専門的な講座を受けたことがあるそうだ。
 自分でもその正体はよく分かっていないが、褒め言葉であることは確か。指摘を素直に喜びたい。


 

白石イベント広場・チカっと叙情歌サロン 03rd
   「少なくても熱い」
/2018.6.25



 白石区役所まちづくりイベント広場での「チカっと叙情歌サロン」3度目を実施した。昨秋の紙芝居とのコラボ企画を含めると、広場で歌うのは今回で4度目。
 4月から広場を借りる際のルールが変わり、過去に実績があるグループ(個人)は事前審査が簡略化され、借りやすくなった。

 椅子があるので聴き手が落ち着けて、滞在時間も長い。広場の使用料は無料で、駐車場も5時間までなら無料扱いとなる。他の街づくり系イベントと比べ、歌う側にとって好条件が多い。
 投げ銭やCD販売、ライブ告知等の営利行為は禁じられているが、その種の見返りを一切期待しない立ち位置なら、競合相手が少ないという利点にもつながる。

 今回は13時から16時まで長めの時間帯を申請し、原点に戻ってソロでの企画とした。ライブ開始はキリのいい13時30分とし、終了を早めの15時とする。
 いつものように妻を伴って、12時に家を出る。25分で白石区役所に着き、まず持参の昼食をとる。その後保安センターで使用手続きを済ませ、12時50分には広場に入った。

 13時までトイレの位置などを再確認したが、広場のある地下2階にトイレはなく、ひとつ上の地下1階にもなかった。広場から通ずる地下鉄駅のトイレを探したら、案外近い位置にある。同じフロアーに相当するので、混雑するエレベーターで1階に上がるより、こちらが便利かもしれない。

 13時ちょうどに倉庫の鍵を開け、椅子を出す。基準の椅子位置を決め、残りの椅子並べは妻にまかせた。そうするうち、広場ボランティアと事務局担当の方も現れる。
 機材の設営を同時に始めたが、前回から100V電源が使えるようになり、設営が少し楽になった。今回初めて小型の手元スピーカーをモニタ代わりにマイクスタンドに装着した。前回、会場の騒音規制値を5曲目で超えてしまったので、音が聞き取りやすいようにとの配慮だった。

 開始5分くらい前までに知り合いを中心に、10数人の方が集まってくれた。13時30分ちょうどにライブ開始。前半40分は私のセレクションで11曲を歌う。


「時の過ぎゆくままに」
「サンタルチア」
「黄昏のビギン」
「君をのせて」
「亜麻色の髪の乙女」
「森の記憶」(オリジナル)
「ダイアナ」
「雨が空から降れば」
「空港」
「少しは私に愛を下さい」
「アビーロードの街」


 他のリクエスト系サロンの場と同様に、フォーク系や昭和歌謡系の曲が好まれる場なので、それに沿った構成とした。演歌は1曲のみで、洋楽系が2曲。
 聴き手が固定化される傾向にあり、マンネリ回避策として初めてオリジナルを歌ったが、事前のMCで曲の趣旨を告知したこともあってか、手応えは非常によかった。先月のカフェライブでも試みたが、アクセントとしてならオリジナルも充分通用する。

 上旬に歌った地域カフェでは「雨」をテーマに前半を構成したが、かなりの手応えを感じたので、同じ趣旨で4曲を転用。聴き手の重複はないので、同じ曲でも問題はない。こうした似た傾向の場でのテーマや曲の転用は、今後も上手に取り入れたい。

 10分の休憩をはさんで、後半開始。この日は気温がかなり低く、小雨もパラつくあいにくの天気。広場横を通り過ぎる人の数が普段よりもかなり少ない。通りすがりに席に着く客がほとんどなく、休憩中に自ら席を回ってリクエストを募った。
(リクエストだけで後半を歌うのは難しいかも…)との不安からだったが、結果的に10曲を超えるリクエストがすぐに集まり、構成に問題はなかった。
 14時22分くらいから始め、およそ40分で12曲を歌う。(全てリクエスト)


「万里の河」
「アメイジング・グレイス」
「長崎の鐘」
「硝子のジョニー」(初披露)
「ウナ・セラ・ディ東京」
「花の首飾り」
「落陽」
「星影のワルツ」
「for you…」(初披露)
「ダニー・ボーイ」
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」
「グッド・ナイト・ベイビー」


 1曲目の「万里の河」で、事務局の方から音量制限(最大80dB)をわずかにオーバーしているとの指摘がある。
 前回も同様の指摘があったので、PAの音量はスタート時からかなり絞ってあったが、前半に連発した叙情系の曲で音量をやや上げたのがまずかった。絶叫系の曲は要注意で、曲調を自分で選べないリクエストの場合、問題になりやすい。
 曲ごとに音量を調整するのも面倒なので、以降危なそうなフレーズはマイクから50センチほど遠ざかり、ほぼノーマイクの感覚で歌った。

 なるべく多くのリクエストに応えるべく、後半のMCは曲紹介程度にとどめて、トントンと歌い進む。2日続きのライブの割に声はまずまず出て、これといったミスもなかった。
 時間等の都合で「冬のリヴィエラ」「マイ・ウェイ」が歌えなかったが、次回への宿題としよう。

 終了後、前半のオリジナル「森の記憶」で「いい曲だ!」と喝采をくれた見知らぬ中年男性が近づいてきて、「とてもよかった」と握手を求めてきた。この広場では初めてのこと。
 延べ集客数は20名程度と過去3回に比べて少なめだったが、聴き手の集中度は高く、場の反応はこれまでで最も熱いものだったかもしれない。