イベントライブ顛末記


JUNON・リクエストサロン 02nd /2017.7.28



 5月末に歌わせてもらった近郊都市のカフェで再び歌った。前回は風邪で喉がすでに悪化し始めていた時期で、栄養剤や薬を総動員して何とか無事に乗り切った経緯がある。
 その後無理もたたって喉の不調は長引き、ようやく復調の気配を感じたのが1週間前のライブ。2度目となる今回のライブは前回終了直後に依頼されていたが、喉の不安は完全に払拭されてなく、入念に調整して臨んだ。

 外は小雨がパラつくあいにくの天候だったが、前回のような激しい雨ではない。数日前にママさんから連絡があり、オープニングで2曲ほど歌いたい女性がいるという。ギター伴奏の必要があるかもしれず、早めに出発して開始55分前にはお店に着いた。

 中に入ると、ステージ位置が前回とは違う中央のカウンター前に変わっていた。お店の形状がL字形で、前回は顔が見えない席が一部にあったという。立ってみると確かにすべての席を見渡せたが、問題はプロジェクタースクリーンの位置だった。

 前回と同じでは歌い手と重なってしまう。歌詞投影をやめることも提案したが、ママさんはやって欲しいとの希望。検討のすえ、スクリーン位置も入口側にずらし、天井廻り縁に釘を新たに打って、高い位置から吊るすことにした。
 同時にプロジェクター位置もカウンター上に移動。テストしてみると前回よりもむしろ見やすく、両側にある照明を消さずとも、充分読めることが分かった。

 いろいろ手間取って、あっという間に開演10分前となる。オープニングを担当する常連の女性Sさんと簡単な打合せをする。希望曲は「虹と雪のバラード」「アメイジング・グレイス」で、リクエスト一覧から選んでくれていた。
「虹と雪のバラード」を私とのデュエットで、「アメイジング・グレイス」をSさんのソロでやることが決まる。前奏からの入りやキーを調整するうちに開始時間がやってきた。

 定刻の14時から第1ステージ開始。およそ40分で11曲を歌う。
(◎はコラボ、※はリクエスト)


「虹と雪のバラード」◎
「アメイジング・グレイス」◎
「どうにもとまらない」
「少年時代」
「ラブユー東京」
「ダニーボーイ」
「恋のしずく」
「花の首飾り」
「異邦人」※
「いい日旅立ち」※
「恋の季節」


 ほとんどぶっつけ本番だった出だしの2曲は、まずまずの出来。Sさんは地域の合唱団に所属していて、全国大会への出場経験もあるという。のびやかなクラシック系の発声で、キーは私よりも高いほど。お店の常連でもあるので、場を引きつける力は抜群だった。
 3曲目からは私のソロ。2時間前と30分前に2種類のノド飴を舐めたせいか、声は問題なく出た。欲をいえば、ロングトーンがまだ完全に回復していない。もう少しのリハビリが必要だ。

 無難にこなして、第1ステージを終える。あいにくこの日は地域のお祭りと日程が重なっていて、聴き手は前回よりわずかに少ない感じがした。
 しかし、ステージ位置とスクリーン位置を変更したせいで、客席がよく見渡せて歌いやすい。歌詞を見て共に歌う声も多く耳に届き、初回より場の一体感では勝っていた。

 7〜8分休んで後半開始。休憩中に客席を回り、リクエストを募る。お店のスタッフは珈琲のお代わりやお菓子の手配に忙しいので、歌い手自らがやる必要がある。
 先日亡くなった平尾昌晃のリクエストが2曲出て驚いた。前半でも「恋のしずく」を歌ったが、さすがに昭和を代表する作曲家である。
 リストにはない「カナダからの手紙」の希望があり、急きょSさんに再度の応援を依頼。後半の冒頭で歌うことになった。

 13時50分くらいから第2ステージ開始。40分で10曲を歌う。
(全てリクエスト)


「カナダからの手紙」◎
「雪國」
「学生街の喫茶店」
「グッド・バイ・マイ・ラブ」
「人生いろいろ」
「千の風になって」
「涙のリクエスト」
「ラヴ・イズ・オーヴァー」
「もしもピアノが弾けたなら」
「ブルーライト・ヨコハマ」


 不思議なことに後半は、チカチカパフォーマンスでもよく歌っていた得意曲のリクエストが相次いだ。演歌が少なめでPOP系のリクエストが多かったのも今回の特徴。初回に来ていただいた方のリピート参加が大半だったが、時に応じて求められる歌も変わる。

 オリジナルCDの売上は1枚だったが、今回もお捻りをいただく。わずか2ヶ月という短い間隔での依頼にはリスクもあったが、初回と変わりない盛況だった。
「年内の冬が来る前にもう一度」とのありがたい言葉をママさんからいただく。介護施設でもそうだが、高くて険しい3度目の壁を無事に越えられるだろうか?


 

放送大学・第9回文化祭 /2017.9.16



 放送大学文化祭ステージにゲスト出演した。チカチカパフォーマンスの聴き手として知り合ったR子さんが通っている縁で紹介されたもの。私は学生ではないが、R子さん経由で音源CDを事前に責任者の方に送り、出演OKとなった。
 放送大学は文部科学省が設置した通信制の大学で、各種単位や学位の取得も可能。テレビやラジオ、インターネットなどで講義を受けられる。

 会場は北大構内にある北海道学習センター。文化祭は火曜から5日間に渡って開催されており、ステージ発表は最終日の13〜17時まで実施される。

 部外者が北大構内に入るには厳しいセキュリティチェックがあり、今回出入りできたのは北13条門だけだった。ゲートで係員に行き先と目的を告げ、受付票と駐車カードをもらう。必要事項を記入し、担当部署で確認印をもらって帰りにまたゲートで手渡し、駐車カードを入れて500円を払う仕組み。
 市民に広く開放されているのが大学本来の姿だと思うが、不逞の輩がはびこるご時世なので、これもやむを得ないことか。

 開始40分前に無事に到着し、ステージのある6階へと向かう。演者は計5組で、私の出番はラスト。ちょうど3組目が始まったところで、控室で機材を組み立てて準備する。
 出番の15分前に会場となる会議室に入り、場の雰囲気をつかむことにした。広い部屋に参加者は少なく、ざっと30人ほど。
 16時40分に手品が終わり、ただちに機材を運び込んで設営にかかる。普段は講義に使っていると思われる10センチほどの段があり、ほどよい高さだった。

 予定より3分早い16時42分から開始。聴き手の嗜好がよく分からなかったが、中高年が中心であることは確かだったので、叙情系の曲を中心に20分で7曲を歌う。(※はリクエスト)


「高校三年生」
「赤い花白い花」
「空に星があるように」
「ダニーボーイ」
「恋の町札幌」
「空港」※
「青葉城恋唄」※


 聴き手の7割以上が男性で、女性は数えるほど。全く予期しないことで、他の会場ではあり得ない男女比だった。難しい進行を覚悟したが、いざ歌い始めると、反応は決して悪くない。まるでそんな展開を予期していたかのように、選んだ5曲は男性歌手の曲が大半だった。
 1曲目で喉の調子が抜群にいいことを感じた。夕方の時間帯だったことと、今週に入って4度目のライブで、じょじょに声帯が復調してきたのかもしれない。

 歌い進むにつれて、聴き手の意識が糸のようにピンと張り詰めて、こちらに向かってくる気配を感じた。こんな感覚は久しくなかったこと。会場の反響がよく、チカホの北4条広場に近い感じだったことにも救われた。

 4曲目を終えた時点で、「リクエストを募るように言われていますので、時間の許す限りお受けします。最後の曲を歌う間に考えておいてください」と告げる。
「恋の町札幌」を歌い終えてリクエストを求めると、「空港」がまず飛び出した。歌い終えると「わが人生に悔いなし」「銀座の恋の物語」と、複数の声が上がる。なんと、どちらもたったいま歌ったばかりの裕次郎の曲である。

 得意曲でもあった「恋の町札幌」の出来がよかったので、(もっと裕次郎を…)となったのかもしれないが、あいにく「わが人生に悔いなし」はレパートリーになく、「銀座の恋の物語」は一人で歌っても味気ない。
 そうするうち、「青葉城恋唄」の声が上がる。リクエストが止まらない雰囲気になったので、進行の方の判断をあおぐと、「ではこれが最後の曲ということで」と決着がついた。

 盛況のうちに終了。会場にいたR子さんのほか、見知らぬ方からたくさんの声をかけられた。R子さんが連れてきた若い女性はお腹に赤ちゃんがいるそうで、
「菊地さんの歌に反応して、ポンポン蹴ってましたよ。いい歌はお腹の子にも分かるんですね」と喜ばれた。
(「歌にお腹の子が反応した」と聞かされるのは、これで3度目)

 参加者が疲れてくる時間帯で、聴き手は苦手な男性が中心だったが、うまく運ぶときは不利な条件など吹き飛ばせるものと実感。強く推薦してくれたR子さんの面目もつぶさずに済んで、喜ばしい。


 

前田公園団地自治会・敬老会 /2017.9.17



 市内の町内会敬老会で歌った。断続的に続く9月敬老ライブの5本目。上旬にやった路上ライブを加えると6本目となり、しかも木曜から続く4連続ライブの最終日で、さすがに心身の疲労が溜まっている。
 依頼はネット経由だった。このところ町内会からの依頼が続いているが、役員の年齢層が若くなってPCを操作できる人が増え、ネットで積極的に情報収集をしているらしい。検索にかかりやすいHPで詳細な情報公開をしているので、頼みやすい環境は整っている。

 会場は地域の町内会館だったが、よく呼ばれるデイサービスに行く道沿いにあり、場所は知っていた。11時から始まる懇親会の余興で歌って欲しい、というのが先方の希望だったが、アルコールを伴う宴会の余興は以前から苦手としている。
 開始直後ではなく、食べ物やお酒が一段落した30分後から歌い始めることを提案し、了解を得た。

 11時少し前に到着。控室は2階だったが、タイムロスを短くするべく、機材をセットして備える。11時25分に迎えがやってきて、機材を階下の会場に下ろし、手早く設営して11時30分から歌い始めた。

 場はすっかり盛り上がっていて、完全な宴会モード。1曲目には歓声が湧いたが、以降はノレンに腕押しの反応。後半のリクエストタイムでじょじょに盛り返し、リクエストが止まらなくなる。予定を大幅に超え、1時間15分で21曲を歌った。

《セレクトタイム》
「高校三年生」
「少年時代」
「人生いろいろ」
「埴生の宿」
「矢切の渡し」
「思い出のグリーングラス」
「恋のしずく」
「バラが咲いた」
「つぐない」

《リクエストタイム》
「積木の部屋」
「あずさ2号」
「おやじの海」
「青春時代」
「五番街のマリーへ」
「好きですサッポロ」
「愛燦燦」
「夜霧よ今夜も有難う」
「あんたのバラード」
「いい日旅立ち」
「また逢う日まで」
〜アンコール
「高校三年生」


 歌い始めて思ったが、開始時間はもう少し遅らせるべきだったかもしれない。参加者は会話や飲食にまだ忙しく、ゆっくり歌を楽しむ気分には至ってなかった。男性の比率が50%以上もあって、進行の難しさに拍車をかけた。

 構成には悩んだが、同じく町内会の集まりだった3日前の介護予防事業のセットに準じた。しかし、内容が女性向けで、おとなしすぎた印象。宴会のBGM程度にはなっていたかもしれないが、共に盛り上がる雰囲気とはとても言えず、1曲終わるごとの拍手もまばら。じっと我慢のライブが続いた。

 叙情系の曲は難しい感じがしたので「星影のワルツ」は飛ばし、「バラが咲いた」はストロークで歌った。このとき時間は11時50分あたり。飲食や会話の一段落した方が、少し耳を傾けてくれるようになる。
 この機を逃してはならじと、予定を早めてリクエストタイムに入ることを進行のMさんに提案。ただちにリクエスト一覧が会場に配られた。状況次第ではMさんにメッセンジャー役をやってもらうことになっていたが、これがなかなかうまく運んだ。

 以降、途切れることなくリクエストが続き、手拍子や共に歌って参加する方も相次ぐ。前半の沈滞ムードを吹き飛ばす勢いだった。
 終了時刻の12時30分を迎えてもリクエストは止まらず、その時点で受けていた2曲をもってお開きとさせていただくことに。

 最後に「また逢う日まで」を全員で賑やかに歌って終わるはずが、場が一向に収まらない。
「もう1曲、みんなで歌える歌をぜひに!」との声が上がる。全く予定になく、場から自然発生した「真のアンコール」である。
 さすがに何を歌うべきか迷ったが、これまた場から「高校三年生」の提案がある。最初に歌っているが、ここは流れに任せるべきだった。サビの部分をハンドマイクを回しつつ、参加者が順に歌うという趣向で、フルコーラスを歌いきった。

「また逢う日まで」を歌ったあたりで、会場からお捻りが届く。先日のケアハウスに続くもので、稀なことが短期間にこうも続くとは驚きだ。
 当初はどうなることかと思ったが、終わってみれば大団円。困ったときに、やはり頼りになるのがリクエストである。


 

真駒内緑町第一住宅団地・四季の会 /2017.9.30



 札幌南端にある町内会の懇親会で歌った。ネット経由で初めて依頼されたが、場所は偶然3日前に歌った小規模多機能施設のすぐ近く。前回と同じ経路をたどって約束時刻の10時45分に到着した。
 会場は地域の福祉センターで、私の出番は2番目だった。開始予定は11時15分だったが、トップ担当のマジックが早めに終わってしまう。機材の設営はすぐに終わったので、予定を早めて11時から始めることになった。

 聴き手は20名ほどで、事前に聞いていた高齢者中心という情報よりかなり若い。小学生2名と中学生1名が参加していて、男女比は3:7程度。懇親会の開催自体が初めての試みということで、主催者側も歌う側も手探りの難しい進行になった。
 結果として、予定を15分オーバーの1時間で17曲を歌う。

《セレクトタイム》
「高校三年生」
「少年時代」
「矢切の渡し」
「荒城の月」
「思い出のグリーングラス」
「恋のしずく」
「いい日旅立ち」

《リクエストタイム》
「365日の紙飛行機」
「大空と大地の中で」
「糸」
「五番街のマリーへ」
「赤いスイートピー」
「サン・トワ・マミー」
「酒と泪と男と女」
「天使のウィンク」

《うたごえタイム》
「世界に一つだけの花」
「青い山脈」


 聴き手の嗜好が全く読めないので、前半の構成は町内会が中心になって運営している介護予防事業に準じたものにした。
 昭和歌謡、フォーク、演歌、唱歌、洋楽と幅広いジャンルを歌ったが、当初予定していた演歌系の「人生いろいろ」は小中学生が参加するという事前情報からまず削除。当日の雰囲気から、「星影のワルツ」も難しいと判断して飛ばした。

 喉の調子は悪くなく、歌い進んでも不安はなかったが、聴き手の反応は全体的に固い。参加者がこうした場に不慣れで昼食直前の空腹な時間帯、という要素も多少は関わっていたかもしれない。

 7曲歌って25分が経過。持ち時間は45分だったので、ここでリクエストを募ることにする。進行の方も不慣れな様子だったので、私自身がリクエスト一覧を配ることにした。
「リストを見てゆっくりお考えください」と告げ、その間に1曲歌ってつなごうとしたら、最前列に座っていた小学生の女の子2人から、いきなりAKB48のリクエストが飛び出す。以降順調にリクエストが出て、進行は俄然やりやすくなった。

 中ほどにいた女子中学生から「糸」や松田聖子のリクエストが次々に出て驚く。それに引っ張られるように大人のリクエストも続いたが、この種の場としては珍しく、演歌系はゼロ。もしかすると積極的な小中学生の声に、大人が多少遠慮したのかもしれない。
 最後に全員で数曲歌う予定があり、持ち時間から差し引くと、リクエストタイムは15分程度のはずだった。しかしリクエストが止まらず、予定を早めて始めたこともあって、次々とお応えすることに。

 時計はいつの間にか11時50分を回った。昼食に食い込んではさすがにまずいので、進行の方に声をかけてリクエストを打ち切ってもらう。

 最後の「うたごえタイム」は6曲の候補があり、歌詞カードもすでに配られていたが、時間の都合で2曲のみとなる。小学生の強い要望から、まず「世界に一つだけの花」を歌う。ラストの「青い山脈」は進行の同年代男性の一声で決まった。
 ちなみに、他の候補4曲は「365歩のマーチ」「故郷」「紅葉」「幸せなら手をたたこう」だった。

 場の反応は終始大人しく、「大いに盛り上がった」とは決していえないものだった。しかし、リクエストが次々に出て予定をオーバーしたという事実は、そう悲観するものではない。
 反省としては、もう少し大人の聴き手に声をかけ、隠れていたニーズを引き出すべきだったかもしれない。とはいえ、次の町内会、引いては次の時代を担う子供たちが積極的にライブに関わってくれたのは、それなりに評価していいと思う。

 10〜80歳という幅広い聴き手が対象という難しさはあったが、小中学生にもリクエスト展開が充分通用することが分かったのは、思いがけない収穫だった。


 

JUNON・リクエストサロン 03rd /2017.10.20



 札幌郊外のカフェで歌った。今年5月末に知人の紹介で初めて歌わせていただき、2ヶ月後の7月末に2度目、さらに3ヶ月後の3度目が今日だった。
 前2回は雨模様の天気だったが、今回は雨の気配はない。しかし、前2回と同じく風邪気味で喉には不安がある。幸いに声は出て、高音も普通に出た。問題は明け方に発生する咳。ライブ中に咳き込んでは歌にならない。ハチミツ大根を中心とした懸命の調整で、どうにか封じ込める。

 開始45分前にお店に着き、ただちに機材をセットする。3度目なのでプロジェクターやスクリーンを含めた設営にも慣れて、短時間で終えた。保温第一のため、衣装はアンダータイツにウールセーターという完全なる冬モード。
 入口付近の席に小学校の恩師が座っていて驚いた。場所が近いので初めて案内状を送ったが、まさか来ていただけるとは。

 予定通り14時からライブ開始。お店の常連が集客の中心なので、短期間に3度のライブとなると、さすがに聴き手の数は少なめだった。しかし、依頼はあくまで先方の都合と要望によるもの。歌い手としては与えられた条件のもとで、粛々と歌わせていただくのみだ。
 いつものように私のセレクションで前半が始まる。40分弱で10曲をまず歌った。
(※はリクエスト)


「小樽のひとよ」
「私は泣いています」(初披露)
「白いブランコ」※
「小指の想い出」
「恋人よ」
「白い冬」
「エーデルワイス」
「男と女のお話」
「舟唄」
「ろくでなし」


 いざ歌い始めると声はよく伸びて声量も充分。喉の不安は吹き飛んだ。過去2回との重複を避けた関係で、ややマニアックな選曲となったが、場の反応は悪くなかった。
 3回連続で参加の方もいるので、曲にまつわるMCも多めにし、聴き手との交流を心がける。他の場と嗜好が少し異なり、新しい曲が好まれる傾向にあるので、POP系や洋楽系を中心にし、演歌系は少なめにした。
「白いブランコ」は店主のK子さんからの持ち越しリクエスト。前回もらっていたが、立て込んでいるうちに歌い忘れたので、今回は前半に入れた。

 これといったミスもなく、普段通りのキーで歌って前半を終える。休憩時間はいつものように聴き手の間を回り、リクエストを募った。
 14時50分くらいから後半開始。40分強で11曲を歌う。
(◎はコラボ、全てリクエスト)


「銀座の恋の物語」◎
「冬が来る前に」◎
「思い出のグリーングラス」
「地上の星」
「ああ上野駅」
「涙そうそう」
「レット・イット・ビー」
「桃色吐息」
「雪が降る」
「竹田の子守唄」
「吾亦紅」


 出だし2曲は、前回初めてコラボしたお店の常連Sさん(女性)とデュエット系の曲を共に歌う。今回もリハなしの本番一発勝負だったが、普段コーラスをやっている方ということもあり、無難にやり終えた。

 その後、リクエスト曲を順に歌う。ここでも演歌系は少なめ。順調にこなして予定通り15時30分にラストの曲を歌い終えたが、なぜか最前列に座った女性から「吾亦紅が聴きたかった…」との声があがり、名残惜しい様子。
 そこで「お帰りの準備をしつつ、お聴きください」と前置きし、前奏間奏を省略して歌って差し上げたら、感極まって涙を流している。心臓に大病を抱えているそうで、前半に貰った「思い出のグリーングラス」と「吾亦紅」いずれも死に関わる曲で、女性の心境を暗示している。
 終了後もしばし残ってくれて、「いいものを聴けた。来てよかった」と、たいそう喜んでいた。

 どのような場でもそうだが、3度目の依頼には大きな壁がある。特に短期間に依頼が集中した場合、多くはこの壁で依頼が途切れるが、果たして今回はどうなるのか?
「また来年、よろしくお願いします」と店主のK子さんは言ってくれたが、それが実現するか否かは、神のみぞ知る領域の話である。


 

白石イベント広場・昭和レトロ〜歌と紙芝居の集い
   「荒天でも盛況」
/2017.10.30



 かねてから準備していた白石区役所まちづくりイベント広場での自主企画ライブの日だった。今年の1月と4月にもソロライブを企画実施したが、今回はときどき一緒に演っている紙芝居&朗読の田中さんとのコラボ企画で、名づけて「昭和レトロ〜歌と紙芝居の集い」。
 今年6月に札幌地下鉄琴似駅パトスでも同種のコラボ企画に参画しているが、その際の企画責任者が田中さんで、今回はその「お返し企画」のような位置づけだった。

 あいにく台風が日本列島を縦断中で、北海道への直撃は免れたが、その余波で外は激しい雨に強い風が吹き荒れ、時折アラレが混じるという荒天。先週も別の台風に襲われ、必死の思いでライブをこなしたばかりなのだが…。

 先週は依頼型ライブだったが、今回は自主企画型なので、やるやらないを含めた判断責任がある。田中さんとは直前に連絡をとって実施を確認していた。
 早朝にやるかどうかの問い合わせを一件受ける。会場が地下鉄直結の地下広場なので、天候の直接的影響はない。そこは大きな救いだった。

 会場の空きの都合で、予約時間は前2回より30分遅い13時半。早めの昼食を済ませて12時半に家を出る。今回も撮影係として妻が同乗した。
 13時に区役所に着き、窓口で使用許可書を提示して確認を得る。田中さんがすでに会場入りしているらしく、広場横にある物品倉庫の鍵は引き継ぎが済んでいた。

 地下2階にある会場に入ると、直前の使用者はすでに撤収済みで、早めの13時15分から設営を始めることになる。
 過去2回はバッテリを持参したが、今回は事前の届け出で、会場内の交流電源を使わせてもらうことになる。椅子も含め、多くの備品を無料で貸していただけるのでありがたい。

 前回と同じく、カフェを背にして中央の通路をはさんで椅子を3つずつ左右に3列並べる。その後ただちにそれぞれの機材設営を開始。開場は13時半で開演は13時45分だが、開演前にお客さんが次々に入ってきて、並べた18脚の椅子がほぼ埋まってしまった。
 急きょ椅子を後ろや左右に追加。準備が整ったので、開演2分前から挨拶をかねてこの日のスケジュールを案内する。13時45分ぴったりに拍子木が鳴って、田中さんの紙芝居が始まった。

 田中さんの演目は「池にうかんだ琵琶」。昨年後半に自宅で転倒して体調を崩し、しばらく活動を休んでいて、今年6月からリハビリをかねて再開したばかり。
 以前はノーマイクで朗々と語っていたが、今回は私が準備したマイクを使った。状態としてはまだまだ100%とは言えないが、私よりも6つ年上で、さまざまな持病を抱えつつも活動を続けている。その気概、ぜひ見習いたい。

 20分くらいで終わって、私と交代となる。マイクスタンドはそのまま使えるので、転換は紙芝居のセットを横に移動させるだけで終了。正味1分ほどか。
 前半はいつも通り、私のセレクションで進めた。過去のデータから場の嗜好を考慮し、演歌系洋楽系は各1曲とし、フォーク系を中心に30分で8曲を歌う。


「冬が来る前に」
「池上線」
「風来坊」
「氷雨」
「Godfather愛のテーマ」
「真夜中のギター」
「今日でお別れ」
「熱き心に」


 ここ数日喉の調子はよかったが、明け方に不意の咳で目覚めてしまい、ヴィックスでどうにか凌いだ。まだ風邪の影響が多少は残っていたかもしれない。
 幸いに声はまずまず出たが、先日の突発性難聴の影響なのか、左側に置いたPAの音がいつもより聞き取りにくい気がした。
 30名近くも集まった聴き手のせいで音が吸われてしまうのかと、ボーカルのボリュームを少し上げたが、5曲目の「愛のテーマ」を歌い終えた直後に、会場の係員から「ボーカルの音を絞ってください」と、たちまちダメ出しが出てしまう。

 係員の手には騒音計が握られていて、どうやら会場の騒音規制値(最大80dB)を超えてしまったらしい。ギターの音は問題ないそうなので、あわててボーカルを絞って元の位置に戻す。普段と違うことを安易にすべきではない。

 予定通り14時35分で前半を終える。広場のある地下2階にはトイレがなく、エレベーターで1階まで上がる必要がある。休憩は長めの10分とした。

 後半開始前に準備の終わった田中さんが場つなぎとして、自分の活動歴などを語り始める。もともとが教育畑の方なので、話術は巧み。皆が聞き入るうちに後半の開始時刻となる。
 田中さんの後半は、菊池寛の「恩讐の彼方に」。過去に何度も演っている得意演目だ。時間と共に聴き手はじわじわと増え、席がまた足りなくなったので、ボランティアの方と共に追加する。イベント中のやり繰りが自在なのは、コラボ企画の大きな利点だ。

 15時15分で田中さんの紙芝居が終わる。ただちに転換して後半のリクエストタイムへと突入。30分で8曲を歌った。


「カントリー・ロード」
「わかって下さい」
「冬のリヴィエラ」
「面影橋から」
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」
「恋の片道切符」
「愛の讃歌」
「めまい」


 実は休憩時間中に募ったリクエストの動きがなぜか鈍く、「わかって下さい」の1曲のみ。「カントリー・ロード」は6月の琴似駅パトスで演ったイベント終了後にいただいた持ち越しリクエストだった。
 リクエストが途切れた場合を想定し、5曲程度の予備曲を別枠で必ず準備する。それでつなぐことも頭に入れつつ、いつもなら省略する部分をフルバージョンでゆっくり歌っていたら、中程から動きが急に活発になり、続々とリクエストが出始める。

 6曲歌い終えた時点で、終了時刻まで5〜6分。1曲では時間が余り、2曲では足りなくなるかもしれない微妙な時間だ。その旨を場に告げると、バタバタと続けてリクエストが出る。
 共に省略しにくい曲だったが、幸いに3分ほどの短い曲。ギリギリまで粘ってどうにかこなしたが、結果として予定を1分オーバーしてしまった。

 終了後、未知や既知の方から多くの声をかけていただく。1年以上もお会いしてなかった方も来てくださった。たくさんの差し入れもいただいた。

「カフェとかでは歌われてないのですか?」と、初めて聴いたという同年代の女性から問われたので、最近になって不定期に歌い始めたカフェでの今後の予定などをお伝えする。
「ここでまたXmasライブをぜひ演ってください!」とも請われたが、12月はすでに介護系ライブで予定が埋まりつつあり、とても無理だ。

 思いがけない荒天で集客には一抹の不安もあったが、終わってみれば前2回と変わらぬ盛況。イベントとして、ある程度定着した感じはする。
 自主企画ライブは負担が大きいが、その分依頼型では得られないふれあいや収穫が数多くある。ある程度の比重で今後も続けてゆきたい。