イベントライブ顛末記


めりめろオープンマイク vol.7 /2017.1.28



 市内やや遠方にある手稲区のコミュニティカフェ「めりめろ」のオープンマイクで初めて歌った。別のカフェコンサートで知り合った若い女性からのツイッター情報で知ったもの。

 コミュニティカフェに関しては、自宅近隣にも設立を模索する動きがあり、発起人代表のY子さんとは以前からの知り合いで、場所や運営に関し、時折相談を受けたりしていた。
 発足の折には音楽系のイベントも実施する可能性が高く、その場合は協力することになっている。市内のコミカフェとしては先輩格なので、見学と勉強もかねた今回の参加だった。

 エントリーは先着5組で、持ち時間は正味20分。内容は音楽に限らず、パフォーマンス的なものなら、なんでもOKだった。
 エントリーや細部の詰めは全てメールでやったが、打合せの段階で地元コミュカフェ設立準備委のY子さんが、偶然相談に行っていたことを知る。世間は案外狭く、同じ志の道はどこかで通じているものだ。

 会場はJR手稲駅に隣接するビル2階にあるが、行くのは今回が初めて。幸いに年に数回招かれるデイサービスへの経路にあり、迷う心配はなかった。
 集合時間は開演30分前の14時30分だったが、前日と打って変わって平年なみの寒さが戻り、道路は完全に凍てついていた。それでも50分で無事に先方に着く。車は3時間まで無料の量販店駐車場に停めた。

 責任者のMさんと挨拶を交わし、カフェ内を見せていただく。ビルは新しく、店内も新装されたばかりで、洗練されたインテリアだった。台所はもちろん、完全バリアフリーのトイレもカフェ内にある。
 壁際には市民に開放された小物物販コーナーがあり、店内奥には高さ40センチほどの小上がりがある。普段はここにテーブルも並ぶようだが、ライブ時など、時に応じてステージにも変貌する仕組みだった。
 動線がシンプルでよく考えられている。市民の憩いの場としては、こうありたいものだ。

 この日エントリーしたのは最終的に4組で、14時45分からリハーサルを始めた。本番一発勝負でも構わなかったが、PAが初めて使う新品ということで、その調整もかねていた。
 音響は専門の担当者がいたが、初めて使うせいか、ちょっと時間がかかった。使い慣れている譜面付きマイクスタンドを持参し、マイクのみを借りた。
 他の2組が続けてリハーサルし、時間ぴったりの15時に開始。ちょうど20分で5曲を歌った。


「さくら(直太朗)」
「ケ・セラ・セラ」
「桃色吐息」
「サクラ咲く」(オリジナル)
「365日の紙飛行機」(二択リクエスト)


 オープンマイクは今回で7回目だそうだが、お店のHPやフェイスブックから、過去の参加者はかなり若い印象がした。セットリストはその若い層を多少意識しての設定である。
 実際に蓋を開けてみて分かったが、最終的な参加者16人のなかで、同年代と思しき方は私を含めて3名だけ。入口近くには女子高生の集団が座り、ほぼ予想した通りの客層だった。

 完全アウェイ感の漂う初めての場でのオープニングアクト。やや苦手としている高いステージ。そして慣れていないPAという難しい条件が重なったが、特に上がることもなく、淡々と歌い継いだ。
 途中、強いストロークの曲でハウリングを確認。初めてのPAなどでしばしば起きる現象だが、防止用のサウンドホールカバーを忘れた。ギターの音量を手元で絞ることで何とか回避したが、持参するべきだった。

 4曲目でサクラ系のオリジナルを歌い、持参のオリジナルCDを告知。(オリジナルCDの販売は許されている)ラストでは得意の二択リクエストを仕掛けた。
 5日前の白石イベント広場とは組み合わせを微妙に変えたが、若い聴き手が多いこともあってか、「上を向いて歩こう」が僅差で脱落。女子高生にも人気のAKB48が支持された。
 途中から手拍子も飛び出し、まずまずのエンディング。モニタがないので音がやや聞き取りにくかったが、無難にまとめた。


(お店のFacebookより転載)

 その後、ハンドベル、マジック、ピアノ弾き語りと続き、最後に飛び入りでギター弾き語りがあって、ちょうど17時にイベントは終わった。
 転換にそれぞれ5分を使ったが、持ち時間をオーバーすることもなく、快適な進行だった。

 各自のパフォーマンス内容は程よくバラけていて、男女比が2:3。年齢層も下は女子高生から上は還暦シンガー(私)までと幅広く、広く地域に根ざした活動を目指すコミュニティカフェの在り方としては、望ましいものだったろう。

 明るいうちに始まって夕食前に終わるのは、中高年にとっては大変ありがたいシステムだった。聴き手はワンドリンク付500円だが、演者はワンドリンク付で参加費無料というのも嬉しい。
 ガン療養中の身なので、何かと負担の多い夜のライブは未だ自粛せざるを得ない。次なる機会があれば、また参加したいと思う。


 

白石イベント広場・チカっと叙情歌サロン 02nd
   「音響トラブルにもめげず」
/2017.4.20



 今年1月に初めて試み、思いのほか好評だった白石区役所まちづくりイベント広場での「チカっと叙情歌サロン」の2度目を実施した。
 初回は全くの手探りで何かと不安もあったが、2度目ともなると予約手続きや当日の進行手段など、いろいろな面で慣れた。

 この日は広場の予約が私のみ。前回同様に妻を伴って12時ちょうどに家を出る。12時半に区役所に着き、駐車場も会場に近い場所が1台分空いていて、幸先がよかった。

 まず保安センターで使用許可書を提示し、倉庫の鍵を受け取る。その後持参のオニギリを食べ、12時50分に広場に向かった。知人のTさんとその友人2人がすでに会場にいて、挨拶を交わす。ただちに会場の設営に入ったが、前回とは微妙に会場の備品配置が変わっていて、少し戸惑った。
 騒音対策なのか、会場周囲が透明なパーティションで囲まれている。どこで歌うべきか迷ったが、結局前回通りに、カフェや店舗を背負った位置にステージを設営した。

 前回、後半になって椅子が足りなくなったので、今回は6脚増やすことにした。中央の通路をはさんで4脚ずつを左右セットにし、3列並べた。つまりは24席だ。
 今回、PAは交流電源のローランドCM-30を使った。電源は充電式の100Vバッテリーを持参。機材は重くなるが、音は格段に安定する。前回、お客様から音響に関する指摘があり、替える決断をした。

 過去にも同じ組合せで何度か使ったことがあり、前日に数曲歌ってテスト済みだった。問題ないはずだったが、直前の音響テストでなぜかPAが点灯しない。
 以前に修理した電源ケーブルの接触不良再発かと、接続部を軽く揺すってみると点灯する。やはり接触不良だ。1年ほど問題なく使えていたが、こんな時に再発するとは。

 固定する道具も見当たらないので、ともかく点灯した状態で歌い始めた。ところが、歌の途中でやはり音が途切れてしまった。1曲歌い終えた時点で問題部分を再チェック。強く押し込むと、ひとまず安定する。不安な気持ちのまま、2曲目を歌う。どうにか歌が途切れずに歌い終えた。
 予備のPAは持参してなく、万一音が出なくなった場合、ノーマイクで歌う覚悟を決める。最悪のスタートだった。

 出だしでトラブった関係で、開始は3分遅れの13時18分。第1ステージでは、およそ37分で9曲を歌った。(※はリクエスト)


「SACHIKO」(初披露)
「さくらんぼの実る頃」
「みんな夢の中」(初披露)
「ダイアナ」
「赤い花白い花」
「昴-すばる-※」(初披露)
「傘がない※」
「わかっているよ※」
「ドレミの歌※」


 この日は1月に聴いてくれた方の多くが、それぞれ別の友人など伴って再び聴きにきてくれた。開始前から席は八割方埋まっている状態。進行に伴って通りすがりの方も加わり、初回を凌ぐ盛況だった。後半には椅子も追加した。
 不安だったPAはその後音が途切れる気配はなく、次第に歌に集中することができた。

 13時55分で前半ステージ終了。接触不良再発が怖いので、バッテリーやPA類は一切スイッチを切らず、ギターも含めてそのままの状態を保持した。
 14時過ぎから第2ステージ開始。およそ50分で13曲を歌う。(◎以外は全てリクエスト)


「大空と大地の中で」
「そっとおやすみ」
「ミネソタの卵売り」
「いっそセレナーデ」(初披露)
「時代」
「僕の胸でおやすみ」
「学生街の喫茶店」
「鱒」
「サボテンの花」
「冬のリヴィエラ」
「アメイジング・グレイス」
「恋の片道切符」(初披露)
「どうぞこのまま◎」


 後半になって場もじょじょに馴染んできて、最後までリクエストが途切れることはなかった。聴き手の嗜好と思われるが、前回に比べてフォーク系のリクエストが多かったように思う。
 前回の反省をふまえ、リクエスト一覧は客席中央通路のステージ前に譜面台を置き、その上に20枚を並べた。A4の大きな看板を吊り下げたので客席からも見やすく、出し入れはスムーズだった。

 調整がうまくいって、喉の調子はよかった。これといったミスもなく、終了5分前の14時40分となり、ラストのシングアウトへと移るつもりでいたら、終了間際にリクエストが次々と出て、時間的にシングアウトが難しい状況に。
 ラストで最前列に座った女性から「一番お勧めの曲を聴きたい」という、ちょっと変わったリクエストがある。オリジナルの「サクラ咲く」を歌おうか一瞬迷ったが、迷ったすえに前半で歌い残した「どうぞこのまま」に落ち着く。
 出来は悪くなく、終了後に妻から「あの曲は泣けた」との高評価。この日は全般的に満足のゆく出来だったが、「みんな夢の中」「アメイジング・グレイス」は特に会場の反応もよかった。

 区役所への用事のついでに寄った通りすがりの方は、数曲で立ち去る方もいたが、延べ集客数は30〜35名ほど。前回よりかなり増えていて、会場ボランティアの方からも、「次回はいつですか?と尋ねる方がいましたよ。2回目で定着した感じですね」と声をかけられた。
 この種のイベントは3回目以降が難しくなる傾向にあるので、今後どうすべきか、他のライブスケジュールの動向と合わせて検討したい。


 

和氣藍々・テラス開き /2017.5.14



 自宅から徒歩10分のご近所に開店したコミュニティカフェ「和氣藍々」のオープニングで歌った。「篠路まちづくりテラス」が正式名称とかで、「テラス開き」と案内冊子にはある。

 店長のY子さんとは同じ経営母体のNPOが運営する地区センターで7年前に知り合った。ロビーコンサートの企画書を持参した折に応対してくれたが、その後コンサートは実現し、時を経てY子さんも館長に昇格。ライブ関連での長いおつき合いが続いている。
 地区センターからコミュニティカフェへと担当が変わり、今回の依頼へとつながった。

 1ヶ月前の内覧会に訪れ、歌う位置やコンセントの状況などは調査済み。イベント開始は11時だったが、20分前に会場に着くと、すでにかなりの人が集まっていた。
 出資者を中心に地域関係者のほか、札幌市からも広報の取材を含めて、かなりの人が来ている。最終的には70名を超したそうで、まさに立錐の余地もない盛況だった。

 運営側の挨拶や来賓挨拶、開設までの経緯説明、スタッフの紹介などあって、予定通り11時45分からライブを始めた。

 ところが直前の音出しチェックで、エレアコの音が大きすぎる。逆にマイクの音が小さすぎる。一瞬パニクリそうになったが、落ち着いてコード類を見直したら、エレアコとマイクのケーブルを逆に挿していた。
 進行をノーマイクでやるといっていたY子さんに、急きょエフェクターなしのマイクをお貸ししたので、再セット時に間違えたらしい。以前にも似たミスを犯しているが、その後マイクとエレアコのケーブルに色違いのテープを巻いたので、ぎりぎりで気づいた。危ない。

 持ち時間20分ちょうどで5曲を歌う。「できればオープニングにふさわしい内容を」とY子さんからの希望があり、それを意識した構成である。

「365日の紙飛行機」
「ケ・セラ・セラ」
「時の流れに身をまかせ(三択リクエスト)」
「かなりや」
「好きですサッポロ」


「365日の紙飛行機」は歌詞の内容が今回の手探り的企画に似ていて、迷わず1曲目に決めた。期せずして会場からは手拍子が湧く。
「ケ・セラ・セラ」は準備万端整えて船出したあとは、運を天に任せる気構えも大事と選んだ。

 3曲目は昭和歌謡の三択リクエストで、開店には無関係だが、普段やっているリクエストスタイルの雰囲気を味わってもらうためのプチ企画。他の候補曲は「時の過ぎゆくままに」「ブルーライト・ヨコハマ」だったが、僅差でテレサ・テンが抜けた。
「かなりや」は古いものに光を当てて見直そうという曲調がコミカフェの主旨とよく似ていること。ラストの「好きですサッポロ」は地元を愛する気持ちが、同じくコミカフェの設立主旨と一致していることから選んだ。

 特に前半部での反応が熱く、手応えは抜群だった。先方の希望通りに20分で終えたが、感触として後半がやや緩んだ印象。
 終了時の時計は12時を回っていて、厨房からは美味しい食事の匂いが立ち込め、一部はすでにテーブル上に並んでいる。イベントが1時間を超し、聴き手としては音楽よりも食欲、というのが正直なところだったのではないか。
 結果論だが、3〜4曲で15分以内がほどよい時間だった気がする。

 とはいえ、曲間のMCもうまく使って、そつなくまとめたことは間違いない。Y子さんを始めとするスタッフの方々にも喜んでいただけた。
 本格営業は2日後の火曜日からだが、今後も何らかの音楽イベントが企画される可能性は高い。声がかかれば喜んで協力したいと思う。


 

JUNON・リクエストサロン 01st /2017.5.27



 車で30分の近郊都市で6年ぶりのカフェライブをやった。別のライブで知り合ったR子さんの紹介で、1時間半のリクエスト型ソロライブである。
 初めての場だったが、ライブのシステム自体はこのところ介護施設系の場で多く手がけているもので、不安はなかった。問題は数日前から発症していた風邪気味の体調である。
 軽い咳から始まり、鼻水や声がれなど。熱はないが、ハチミツ大根や風邪薬、栄養ドリンクなどを総動員してもなかなか回復せず、前日の練習では最も高いキーが出にくいという非常事態だった。

 集客はお店側でやってくれて、私は単に歌うだけだった。だが、肝心の歌がこの状態では大問題である。

 一時は順延も考えたが、初めての場でいきなり順延はどうしても避けたかった。当日は早めに起きて喉の調整に励む。
 いろいろテストしてみると、低音は普段よりも響く感じだが、やはり高音がキツい。緊急対策として、前半に歌う数曲のキーを半音下げることにした。

 お店のキャパが20名ほどなので、当初は小型のPAを使うつもりでいたが、声量に不安があり、いつも通りローランドのCM-30を使うことにする。
 車を運転する都合で、当日は風邪薬が飲めない。出発直前に栄養ドリンクを飲んで凌ぐ。小瓶に入れたハチミツ大根も念のため持参した。

 外はあいにくの雨だった。まさに「泣きっ面に蜂」状態だったが、これも何かの試練と考え直す。余裕をみて開演45分前にお店に着いた。
 ママさんとスタッフの女性が準備の真っ最中で、歌う場所や電源の位置、CD販売法などを再確認する。ステージ位置は全ての席が見渡せるトイレ横の角に決定。相手に無用な心配をかけても仕方がないので、風邪のことは一切言わなかった。

 10分くらいで機材のセットや音出しテストは終わったが、数日前に電話で打診のあったプロジェクターによる歌詞投影をやってみることになった。
 スクリーン専用スタンドをまず立ててみたが、場所が狭くて歌う邪魔になる。マイク左横の壁にスクリーンを直接吊るすのが最適で、壁に設置してある照明金具にクリップをしばり、そこにスクリーンを止めてみるとうまくいった。
 プロジェクターの位置や角度を調整し、スクリーン上の照明は照度を絞ってもらう。以前に介護施設で使ったときより、はるかに見やすくなった。

 そうこうするうち、お客さんが次々と入ってきた。雨は降り止まないが、逆に運動会や農作業などが中止となり、歌でも聴きに行くか…、という方がいたのかもしれない。全く何が幸いするか分からない。

 予定ぴったりの14時に開始。まずはママさんの簡単な挨拶があり、すぐに歌い始めた。聴き手はスタッフ3名を含めると21名。ほぼ満席である。
 第1ステージでは、およそ40分で10曲を歌った。
(※はリクエスト)


「ジョニィへの伝言」
「青葉城恋唄」
「サン・トワ・マミー」
「古城」
「パープルタウン」
「ケ・セラ・セラ」
「竹田の子守唄※」
「糸※」
「長い夜※」
「くちなしの花※」


 出掛けに飲んだ栄養ドリンクが効いたのか、はたまた開始直前に飲んだハチミツ大根がよかったのか、咳の症状は全く表れず、声もまずまず出た。しかし、油断せずに「青葉城恋唄」「古城」ではキーを半音下げ、「ケ・セラ・セラ」では後半の転調を避けた。
 お店でのライブは10年ぶり以上とかで、前半の聴き手の反応はやや硬く、リクエストも遠慮がち。しかし、終了後の拍手は熱く、「古城」「くちなしの花」では曲間の拍手もいただく。手応えは決して悪くなかった。

 これといったミスもなく、前半を終える。咳の出る気配はなく、何とか乗り切れそうな感じがしてきた。
 14時45分から第2ステージ開始。およそ45分で13曲を歌った。
(全てリクエスト)


「恋の町札幌」
「つぐない」
「オー・ソレ・ミオ」
「いちご白書をもう一度」
「夜霧よ今夜もありがとう」
「時の流れに身をまかせ」
「サン・トワ・マミー」
「人生いろいろ」
「酒と泪と男と女」
「高校三年生」
「まつり」
「青春時代」
「また逢う日まで」


 後半に入ると、場はじょじょに乗ってきた。かけ声や手拍子が自然に出るようになり、「いい声だね〜」という声も耳に届く。そんな聴き手にあと押しされるように、喉の調子もじょじょに回復してきて、大半の曲をいつも通りのキーで歌えた。
 終盤の「高校三年生」から一緒に歌う人が増えだし、場は歌声喫茶ふうの雰囲気になる。最後はラストに相応しい曲をと、ママさんからのリクエストで締めた。

 終了後、見知らぬいろいろな方に声をかけていただく。オリジナルCDも5枚売れた。「お捻り」をそっと手渡してくれた方までいた。
「声が満足に出ない」という絶体絶命のピンチだったが、ぎりぎりまで粘って調整し、何とか先方に迷惑をかけずに乗り切れた。自分にこんな力が残っていたことに、自分自身が驚いた。

 夕方、ママさんから感謝の電話と共に、次回のライブ予約依頼があった。終わったその日に次回の予約とは非常に珍しいが、ありがたくお受けした。苦境を乗り越えて、新しい道が拓けたかもしれない。


 

日曜カフェ・ポピー 01st /2017.6.11



 2ヶ月前に依頼されていた地域カフェで歌った。依頼主はチカチカパフォーマンスで知り合ったS子さん。知り合ったのは数年前のことだが、地域の民生委員を務めている関係で、いろいろなイベントに呼ばれるようになった。
 今回の場は、この4月から月に2回ペースで始まった地域の認知症カフェ。場所は過去に2度歌ったことのある、車で1時間弱の町内会館である。

 先月下旬から続いている風邪の症状が延々と長引き、3週間近く経っても完治しない。この間、依頼されていた2つのライブをキャンセルするという失態をやらかしたが、今回のキャンセルは何としても避けたかった。
 ずっと歌えない状態が続いていたが、1週間前からようやく練習再開。声はじょじょに出るようにはなったが、時折咳き込んだり痰が絡んだりし、本調子には程遠い。前日ぎりぎりまで調整を続け、どうにか歌えそうな状態まで持ち込んだ。

 当日はあいにくの雨。ひき始めの先月末に強行したカフェライブと奇しくも同じ条件だった。直前の練習で高音がやはり安定しない。前半は曲によってキーを半音下げることを、この時点で決断した。
 開始30分前の9時45分に会場に着く。雨は降り止まず、こんな悪条件の日に限って声の出にくい午前中ライブである。

 10分ほどで設営終了。声量に不安があるので、PAは2台使うことにした。設置にマイクスタンドを使うと機材重量が増えて時間もかかるので、この日は予備PAを手近な椅子の上に置いた。
 状況次第では背面の白い壁にプロジェクターで歌詞を投影するつもりで、機材一式も準備していた。しかし、事前に何も打合せていなかったせいか、ステージ後ろにはイルミネーションが全面に設置されている。スクリーンを張ると隠れてしまい、せっかくの配慮が無になりそうで、あえて提案はしなかった。

 予定ぴったりの10時15分に開始。前半は45分で11曲を歌う。
(※はリクエスト)


「時の過ぎゆくままに」
「青葉城恋唄」
「サン・トワ・マミー」
「古城」
「パープルタウン」
「牧場の朝」
「バラが咲いた(歌詞指導)」
「空港」※
「ウナ・セラ・ディ東京」※
「少年時代」※
「あの素晴らしい愛をもう一度」※


 出掛けには栄養ドリンク剤を飲み、ライブ直前には用意したハチミツ大根を飲むなどして備えたが、やはり喉に不安がある。前半は手探り的進行にならざるを得なかった。
「青葉城恋唄」「古城」はリスクを避け、キーを半音下げて歌う。それでも最高音で声がかすれそうになるが、高音へ一気にいかずに、スラーをかけて歌うことで、かろうじて堪える。
 はっきりいってゴマカシ技だが、非常事態なので決定的なミスを避けるためには、やむを得ない措置だった。

 激しい雨にも関わらず、聴き手は30名ほども集まった。見慣れない顔も多かったが、あとで聞いたら広域の町内会に回覧を回したそうで、集客につながったようだ。
「認知症カフェ」とあるが、はっきり症状のある方は見当たらず、見たところごく普通の中高年である。実態は「認知症予防カフェ」ではないだろうか。

 不安な進行が続いたが、セレクトタイムのラストとなる7曲目の「バラが咲いた」を口頭での歌詞指導で歌ったら、場の反応がぐっとよくなった。以降、リクエストが順調に出るようになり、それに応じて喉の不安も次第に解消されていった。
 事前に打合せし、リクエストを募るメッセンジャー役を責任者のS子さんに託したことが、スムーズなリクエストにつながった。

 リクエストが予想外にたくさん出て、前半を予定より5分遅れて終わる。持ち越したリクエスト曲を後半に回すほどだった。
 11時7分くらいから後半開始。40分で12曲を歌う。(◎以外はリクエスト)


「くちなしの花」
「アニー・ローリー」
「二輪車」
「吾亦紅」
「宗右衛門町ブルース」
「空も飛べるはず」
「川の流れのように」
「雪が降る」
「シクラメンのかほり」
「ろくでなし」
「365日の紙飛行機」◎
「この広い野原いっぱい」(歌詞指導)


 後半は場も次第に乗ってきて、喉の調子もじょじょに回復。キーも普段通りに歌えるようになった。
「アニー・ローリー」は初めてリクエストを貰ったが、非常に出来がよく、場がしんと静まり返った。「吾亦紅」「川の流れのように」「雪が降る」も似た反応だったが、どちらかといえば叙情的な歌を場は求めていたように思える。

 ラスト近くの「ろくでなし」で手拍子をする人が数人でたが、実はこの曲は手拍子のリズムを合わせにくい。しかし、場は手拍子を求めている。
 そこで一計を案じ、ノリがよくて手拍子のしやすい「365日の紙飛行機」をラスト前に歌うことを提案。事前に手拍子も誘導すると、会場は一気に盛り上がった。新しいが、こうした状況にはよく似合う非常に便利な曲だ。
 ラストの「この広い野原いっぱい」はカフェのテーマ曲のような位置づけで、準備段階だった昨年もラストで歌っている。穏やかな曲調が、熱冷ましにはぴったりだった。

 終了後、多くの方に声をかけられ、労われた。「アニー・ローリー」をリクエストした女性からは、「今度私たちの組織でもぜひ歌って」と、名刺を求められる。

 自分の管理不行き届きからくる体調悪化も含め、難しい条件がそろっていたが、声をかけてくださったS子さんの顔を何とかつぶさずに乗り切れた。
 決してほめられたことではないが、「悪いときでも悪いなりに乗り切る」という対処法を会得できたかもしれない。


 

パトス・懐かしの歌と紙芝居の集い /2017.6.20



 札幌地下鉄琴似駅地下2階にある公的空間、パトスで2年ぶりに歌った。イベント仲間のTさんからのお誘いで、歌と紙芝居のコラボ企画である。

 紙芝居や朗読が専門のTさんは70代前半。知人の紹介で知り合い、5年ほど前から一緒にイベントを演るようになった。以来年に数回は共演していたが、私のガン発病やTさんの転倒事故が重なり、しばし途絶えた。
 今年1月と4月の白石イベント広場でのライブにTさんが来てくれ、怪我も回復してきたので、リハビリをかねてまた一緒に演りませんか、との話がまとまった。

 今回はTさんのお弟子さんである50代のMさんが岩見沢からやってきて、紙芝居で初参加する。
 開場12時半、開演13時だったが、12時過ぎに会場入りすると、Tさんがすでにスタンバイしていて、15席ほどの椅子も並んでいた。

 出演順と各自の持ち時間を打合せつつ、機材をセット。そうするうちMさんもやってきて挨拶を交わす。私の受け持ちは30分を2ステージで、第1ステージはMさんの紙芝居終了後の13時15分からと決まる。

 入場無料だが、チャリティ企画なので、入口には募金箱が置かれた。椅子が少ないかもしれないとの指摘があり、5席分をひとまず追加。予備椅子を会場片隅に置いて備える。
 マイクテストも含めて準備は終わったが、昼食をまだ食べてなかったので、いったん外に出て車を停めたイオンに行き、オニギリを2個調達。開演前のわずかな時間に、とりあえず1個だけを食べた。

 開演が近づくとお客さんがどんどん入ってきて、椅子を再度追加することに。最終的には30名ほどの方が集まった。思いがけず盛況である。

 予定ぴったりの13時に開演。まずMさんの紙芝居「池にうかんだ琵琶」が始まる。紙芝居を始めてまだ間もなく、こんな大舞台で演るのは初めてということだったが、堂々の場のさばきに驚かされた。

 13時10分くらいから出番に備えてステージ横に行き、ギターを出して備えた。ステージ上には紙芝居とマイク&PA一式の両方を並べて設営してあり、タイムロスなく出演者が入れ替われる工夫をしてある。
 予定通り13時15分から開始。30分で8曲を歌う。


「時の過ぎゆくままに」
「北の旅人」
「ボラーレ」
「長崎は今日も雨だった」
「パープルタウン」
「アニー・ローリー」
「グッド・ナイト・ベイビー」
「バラが咲いた」(歌詞指導)


 メインとして使っているPA、ローランドCM-30が修理中なので、今回は予備として買ったばかりのヤマハMS101-2をメインで使うことにした。
 風邪が完全に癒えず、声量への不安が消えないので、乾電池式PAのローランドモバイルキューブを椅子の上に置き、サブとして使用。全体の音量としては、まずまずである。

 聴き手は30名ほどで、この種の場としては珍しく、男性が半分ほどを占める。あとで知ったが、今回の企画は地元紙のイベントガイドでも告知されていたそうで、いろいろな地区から人が集まっていたようだ。
 聴き手の所属に統一性がなかったせいか、場の反応は大人しい。しかし、表情からは集中している気配を強く感じ、1曲ごとの拍手も熱かったので、手応え自体は悪いものではなかった。
 ラストの「バラが咲いた」では一緒に歌うことを客席に促し、曲間で歌詞指導。多くの方が歌ってくれた。

 13時45分から7分の休憩に入る。その後Tさんの小話があり、14時から再び私のステージが始まる手はずだった。
 第2ステージは完全リクエストで進めることになっていて、MCでも告知していた。リクエスト一覧を配るタイミングを探っていたが、休憩時間を利用するのが最適と判断。今回は私自身が一覧を持ち、客席を回って声をかけつつ配って歩いた。

 この段階で早くも3曲のリクエストが出る。不思議なことに、全て洋楽である。介護施設系の場とは、あきらかに傾向が違う。

 Tさんの小話はすぐに終わって、14時ぴったりから第2ステージ開始。予定を1分オーバーして31分で8曲を歌う。(全てリクエスト)


「シバの女王」
「詩人の魂」
「吾亦紅」
「亜麻色の髪の乙女」
「愛の讃歌」
「空も飛べるはず」
「酒と泪と男と女」
「世界に一つだけの花」


 聴き手の男女比が1:1に近かったにも関わらず、なぜかリクエストは全て女性からのものだった。この種の場でおしなべて女性は元気、対して男性はシャイである。
 リクエストを受け継ぐメッセンジャー役がいればまた違った反応になるのだが、残念ながら全てのライブでその役を準備するのは無理がある。
「声なきリクエストをいかにしてスムーズにすくい取るか?」は、今後の検討課題である。

 ラスト5分前あたりであと何曲歌うかは、そのつどステージ横に座った主催のTさんの意向を確かめつつ進めた。Tさんは元教育関係者で、時間には非常に厳密である。
 第1ステージは30分ちょうどで終えたが、第2ステージは長い曲のリクエストが多く、1分オーバーした。しかし、最後の演目であるTさんの紙芝居「恩讐の彼方に」でうまく調整してくれたので、全演目終了は予定通りの15時。

 風邪による喉の不安が消えず、開演前には栄養ドリンク剤とハチミツ大根を飲んだ。そのせいもあってか、声の調子はまずまず。特に大きなミスもなく、全ての曲を普段通りのキーで歌えた。状態としては80%くらいか。
 普段でも常に喉が絶好調とは言い難いので、ようやく通常モードに戻ったとも言えよう。

 入口に置かれた募金箱には、予想を超える額が集まったそうである。前回もそうだったが、募金は札幌市社会福祉協議会と北海道新聞社会福祉振興基金に寄付される。私の数少ないチャリティ参加だが、時にはこんな形のライブ参加も悪くない。