白石イベント広場・チカっと叙情歌サロン01st
「予想を超える手応え」 /2017.1.23
かねてから準備していた白石区役所まちづくりイベント広場でのライブの日だった。広場は昨年11月に新規移転オープンした区役所地下2階にあり、何もかもが新しく、吹き抜けのある大空間は明るくて伸びやかな印象だ。
事前審査も無事に通り、下調べも済ませた。似た施設では何度か歌っているが、ここで歌うのは初めなので、まずは手探りの進行になるはずだった。
自分のブログで1ヶ月前に告知したほか、数人の友人に賀状の添え書きで案内しただけで、管轄する地域振興課のイベント告知はネットスケジュール表での数行のみ。告知としては控えめで、通りすがりの人をいかにしてつかむかに期待した。
広場の使用時間は13〜15時で、ライブは休憩を挟んで13時15分〜14時45分を予定していた。設営等の補佐役として妻を伴い、12時5分前に家を出る。
心配していた悪天候は回避し、温暖な陽気に恵まれた。12時30分には区役所に着き、駐車場にもすんなり停められた。幸先はよい。
まず最初に1階防災センターで受付を済ませ、持参のオニギリを休憩コーナーで食べる。13時10分前に広場に下りたら、直前の販売系使用者の方が撤収中。地域振興課の係員やボランティアの方もいて、倉庫の鍵をその場で引き継ぐ。まだ13時前だったが、ただちに設営に入った。
倉庫は広場横にあり、椅子はそこにしまってある。20脚を借りたが、3脚×3列を通路を挟んで左右に配置し、実際に並べたのは計18脚。そんなには来ないだろう…、との読みからだが、万一足りなくなったら追加しよう、ということなる。
広場に隣接するカフェへの騒音を懸念し、スピーカーを向けない位置がステージとして望ましいとのこと。そこでカフェを背にして持参のマイクとPAを設営し、さらに背後には2メートル弱の衝立をびっしり並べて音を遮へいした。
広場が大変寒いということで、先週から使用時にはヒーターが設置されたという。大小3基のヒーターが客席を左右から挟むように稼働。熱が逃げにくいよう、通路側には透明の衝立も置かれ、寒さ対策は万全だった。
広場内にある騒音計のチェック(最大80dB)も無事に通り、事前にテストした音量値でOKが出た。係員やボランティアの方が手伝ってくれたこともあり、13時7分くらいには準備が整う。
開演までの時間、集まってくれた古い友人夫婦やイベント仲間のTさんと歓談。見知らぬ女性が2人いたので声をかけたら、昨春にチカチカパフォーマンスで知り合ったSさんの友人だという。
ネットをやらないSさんだが、先週たまたま寒中見舞いが届いた際にお知らせしておいたもの。ご本人もあとから来るそうで、結果として自ら告知した5人が開演前の聴き手、ということになった。
予定ぴったりの13時15分に開始。歌い手として場を借りている立場だが、場所は公的空間なので、告知した時間は厳守が鉄則だ。
第1ステージでは、およそ40分で10曲を歌う。(※はリクエスト)
「カントリー・ロード」
「エーデルワイス」
「雪が降る」
「小樽のひとよ」※
「男と女のお話」
「川の流れのように」※
「池上線」
「恋の町札幌」※
「糸」※
「ミネソタの卵売り」※
リクエストを前提とした場でも、最初はリクエストが出にくいのが常。前後半を通して全くリクエストが出ないことも想定して準備したが、友人を中心に少しずつリクエストが出始める。
一般通行者の動線としては、ステージ背面にあるカフェ前通路から右手前方にある地下鉄駅に抜ける経路と、反対に地下鉄駅からステージ正面通路を通り、左手にあるエレベーターに向かう経路の2本があったが、厳寒期ということもあって、行き交う人はまばら。
それでも歌声を聴きつけて立ち止まる人も時折いて、すかさずボランティアの方が声をかけ、椅子に誘導してくれていた。チカホでは歌いながら自分で声掛けするしかないので、大変ありがたいシステムだった。
終了間際にはそうした通りすがりの方も椅子に座るようになり、曲間で声をかけてリクエストをもらうよう心がけた。
13時55分ころに第1ステージ終了。音量は小さめにしたが、PAの位置を高くしたので、まずまず歌いやすい。残響時間はチカホよりも短めで、リバーブはやや強めに設定した。
歌うに従い、最初はやや硬かった場の反応もじょじょによくなってきて、後半にはリクエストも次々に出た。久しぶりに歌った「川の流れのように」では気持ちが入って、満足する出来。客席で聴いていた妻にも高評価を得た。
リクエスト用紙は透明OPP袋に入れ、回覧返却方式にした。客席との距離が近いので、曲間に「○○を歌って」との声がかかると、ただちに対応できる。手探りながらも、まずまずの出だしだった。
14時過ぎから第2ステージ開始。およそ50分で14曲を歌う。
(◎以外は全てリクエスト)
「銃爪」(初披露)
「石狩挽歌」
「アメイジング・グレイス」
「ラ・ノビア」
「季節の中で」
「さんぽ」
「空港」
「ダニー・ボーイ」
「君恋し」
「さくら(直太朗)」
「翼をください」
「蘇州夜曲」
「上を向いて歩こう」◎
「世界に一つだけの花」◎
出だしから見知らぬ女性のリクエストで「銃爪」を歌う。好きな歌だが、なぜか今回が初披露。テンポのよい曲調にも救われ、会心の出来映え。これで一気に場が乗った。
以降、未知既知の聴き手からランダムにリクエストが飛び出す。過去の地域センターにおける同種のライブでも同じ傾向だったが、後半に進むにつれてリクエストは増え、それに比例して場も乗ってくるもので、この日もその例外ではなかった。
途中で1〜2歳くらいの男の子を抱えた若いお母さんが最前列に座った。すかさず声をかけ、子供向きの歌をお勧めした。
最終的に決まった「さんぽ」をその子に向かって歌ってあげると、じっと聴き入っている。この日、最年少の聴き手だった。
後半になってじわじわと人が増え、用意した椅子が足りなくなった。どうしようかと客席中ほどの妻を見たが、気づいていない。するとすかさずボランティアの方が椅子を追加してくれた。助かった。
追加した椅子に座ったのは、私のライブでは珍しい中学生か高校生の若い男性2人組。うまい具合に「さくら」「翼をください」などの若い人むきのリクエストが続く。そのまま最後まで残って聴いてくれた。
14時45分でリクエスト受付を終え、ラストの全員で歌える曲へと移る。いわゆる「シングアウト曲」で、5曲を用意していたが、場の雰囲気から「上を向いて歩こう」「世界に一つだけの花」のどちらかと考えたが、絞りきれない。そこで座興として場に結論を委ねることにした。いわゆる「二択リクエスト」である。
すると、それぞれを推す強い声と拍手とが拮抗し、1曲に絞るのが困難な状況。これは両方歌うしかない。
時間の都合で一部の歌詞を省略したが、2曲ともギターに合わせて歌う声と手拍子とが広場内に響き、エンディングにふさわしい盛り上がりとなった。
終了後、ただちに撤収し、倉庫内内線電話で防災センターに報告。係員に現状を確認してもらい、倉庫の鍵を渡して使用人数や感想を記した使用報告書を提出する。その後、1階防災センターまで再度行って、駐車料の軽減措置を器械でやってもらった。(5時間まで無料)
実際の撤収作業は設営と同様に、係員やボランティア、そして聴き手の方々までが手伝ってくださって、あっという間に終わった。
最後まで聴いてくれた方が次々に声をかけてくれたが、既知の方はもちろん、未知の方にも大好評。身に余る言葉のほか、食べ物を中心に差し入れもたくさんいただく。ありがとうございます。
若い男性2人が近寄ってきて「加山雄三も歌えますか?」と尋ねてきた。「君といつまでも」の一節をアカペラで歌ってあげると、とても喜んでいた。なんでも、おじいちゃんが大好きなんだそう。そういう世代なのだ。
最後列中央に座っていた女性に見覚えがあり、「どこかでお会いしてますか?」と声をかけたら、なんと私のブログの10年来の読者だそうで、私が設計した家のオープンハウスで一度だけ会っていたらしい。自宅が偶然白石区にあり、足を運ぶ気になったという。
古い友人を含めて「近所なので来る気になった」という人は他にも複数いたので、こうしたライブを各区でやってみる価値はありそうだ。
イベント仲間のTさんが集客数をメモしてくれていて、延べ集客数は25人だったそう。途中で帰った人が3〜4人いたが、大半の方が最後まで見届けてくれた。初めての場で手探り的進行だったにも関わらず、いろいろな方の支えもあって、予想外の盛況だった。
歌った全24曲のうち、70%強にあたる17曲がリクエストによるもの。ラスト2曲も聴き手に選んでもらったので、「聴き手の意向に沿う」という一点では、街づくり系の場として大変意義あるものだった。
反省としては、新しく席についた方へのリクエスト用紙案内が、必ずしもスムーズではなかったこと。チカホと同様にマイク横にスタンドを置いたが、この位置では取りづらい。会場入口に相当する客席後方に置くか、最初から椅子の上に並べておくなど、改善が必要だ。
イベントライブと路上ライブの両方の要素を持つ不思議な場、というのが初回を終えての率直な感想。チカホと違って営業行為は一切できず、通行する人も格段に少ないが、椅子があって明るく、決まった時刻に長時間じっくり落ち着いて歌えるのが最大の利点。駐車料も含めて、会場費が一切発生しないのも魅力だ。
2回目以降は初回の結果次第と思い保留にしてあったが、年に2〜3回ペースなら、今後もやれそうな気がしてきた。