イベントライブ顛末記


篠路コミセン・ふれあいコンサート /2015.10.3



 近隣の地区センターで催された地元小中学校の音楽発表会「ふれあいコンサート」で歌った。私の担当はラストのシングアウトで、「ドレミの歌」をリードしつつ、全員で歌う。
 2年前にも全く同じ場で歌っていて、1曲限定。場所も近く、大きな問題はないと、どこか軽く考えていたかもしれない。実はここに大きな落とし穴があった。

 折しも、道立近代美術館前にあるカフェで週明けから展示される「ガリ箱アート」の立体オブジェ作りの真っ最中。お店の都合で、製作期間が3日間しかなく、ぎりぎりである。前夜から集中的に作業していて、当日も朝から作業していた。
 コンサートでの私の出番は11時20分。11時までには会場に入ります、と前日までに館長さんとメールで打合せていた。15分前に家を出れば間に合う、そう思いつつ作業していたが、突然電話が鳴る。館長さんからで、「菊地さん、今日はコンサートの日ですよ!」と悲痛な声。時計を見ると、11時7分。しまった!

 自分でもよく分からないが、(あと30分あるな…)と思いつつ作業していた。つまりは、とんでもない時間の錯誤である。11時を過ぎても現れないので、(もしや…)と思って電話をくれたのだ。

 そこからの動作は、自分でも信じられないほど早かった。妻に頼んでマイクスタンドとバッテリを持ってもらう。PA一式を素早く箱に詰め、バタバタと車に積み込む。落ち着いて備品を指差確認したら、ギターとシールドケーブルを積み忘れていた。
 ただちに出発。2つある信号はどちらも青で、すんなり会場に着いた。あいにく駐車場は満杯で、やむなく空いた路肩に車を停め、あたふたと会場に走りこむ。
 館長さんが待ち受けていて、進行が少し遅れているとのこと。時計を見ると11時15分で、奇跡的に間に合った。

 会場では最後の中学生ブラスバンドが始まったばかり。息を整えながら会場の隅で機材を組み立てる。幸いに忘れ物はなかった。やっと一息ついたら、どっと汗が吹き出した。
 ブラスバンド演奏が終わったのは、11時35分。結果として15分遅れたことになるが、全くの冷や汗ものである。

「一日に2つのことをやるときは要注意」
「手慣れた場でも気を抜くな」
 いつも自分に言い聞かせていたはずだったが、忘れた頃にトラブルはやってくるものだと痛感。

 肝心の歌のほうは、不思議なほど落ち着いてやれた。いわゆる「火事場の馬鹿力」とのようなものか。
 開始前にテンポや入りのタイミング、ラストのフェルマータのタイミングなどを全員に確認し、一部は実際に歌ってみせた。事前の練習は全くやってなかったので、これがちょっとしたリハーサルの代りにもなった。

 会場は4つの小中学校音楽部生徒と、その父兄でいっぱい。300人近くはいたかもしれない。終了後に何人かの父兄や地域住民の方に、感謝の声をかけていただいた。
 自分で招いた修羅場だったが、どうにか大きな穴を開けずに済んだことが救い。しばらくは自分を戒めなくては。


 

コープ会・ミニコンサート /2015.10.10



 各方面で地域活動を精力的に続けているK子さんからの依頼で、コープ会地域支部のミニコンサートで歌った。K子さんとは2年前に知人の紹介で知り合い、社福協敬老会や地域サロン等で何かとお世話になっている。
 最初の1時間で省エネ関連の講習をまずやり、その後の1時間で懇親をかねたコンサートをやろうという企画。コープ会メンバーの一人であるchikaさんがハンマーダルシマーの奏者で、以前に社福協敬老会でご一緒したことがある。

 そのchikaさんと私とでコラボ演奏をぜひやって欲しい、というのが今回のK子さんのプラン。ハンマーダルシマーとのコラボは全く経験がないが、せっかくの機会なので、お受けすることにした。
 準備期間は充分にあったので、どの曲をどのように演るか入念に打合せ。およその方向性が決まったあと、1ヶ月ほど前に我が家で曲目の決定をかねた練習をやった。

 会場は近隣の街づくりセンター会議室で、聴き手は11人のこじんまりした場だ。講習がやや長引き、会議室の外で予め機材をセットして備える。会場の準備が整ったときは開始予定を10分ほど過ぎていた。
 11時15分くらいから、まずchikaさんのソロ演奏が始まる。知らない曲が多かったが、サステインの効いた独特の音色が印象的な楽器である。K子さん作成のプログラムによれば、chikaさんの演奏曲目は以下の通り。


「ダニーボーイ」
「グリーンスリーブス」
「スパンシル・ヒル」
「スクエア・ウッズ・ラメンティション」
「ザ・スターオブ・カウンディダウン」
「アニーローリー」


 練習時の打合せで、chikaさんラストの曲「アニーローリー」で私がスタンバイし、演奏終了後ただちに、私が同じ「アニーローリー」をギターで弾き語るという趣向。
 今回、共通する曲目が少なくて苦労したが、数少ない共通曲の「アニーローリー」はキーが違ってハンマーダルシマーでの転調が難しく、それでは2人の演奏の「たすき役」として使おう、ということになった。

 PAにはchikaさん専用のマイクをつなぎ、私専用のマイクやギターは接続した状態でボリュームを絞ってスタンバイ。chikaさんの演奏終了後にボリュームを調整して続けるという手段をとったが、使い慣れた機材なので、移行はスムーズに運んだ。
 その後、私のソロで6曲を歌う。演奏切替えの時点で時計は11時30分。当初の予定より5分押している。途中でK子さんに確認したら、予定曲は全部歌って欲しい意向だったので、無用なMCは極力省いて進めた。


「風来坊」
「時代」
「グッドバイ・マイラブ」
「なごり雪」
「少年時代」
「桃色吐息」


 曲目はすべて参加メンバーからの事前リクエストで、私が考えたのは曲順だけだった。前半の演奏が叙情性の強い内容になることは分かっていたので、場の気分をガラリ変えるべく、1曲目には迷わず強い曲調の「風来坊」を選択。
 以下、ストローク系の曲を随所に配置して、全体の流れにメリハリをつけるよう腐心した。

 中間部の「なごり雪」の前に、アクセントとして少し長めのMCを入れる。季節感からやや外れたリクエストなので、過去に受けた時期外れリクエストの余話を披露。真夏に「雪が降る」のリクエストを受けたことを話したら、間髪をいれず「それ、聴きたい」との声。
 しかし、演奏曲目と曲順は事前にプリントされて配られていて、時間も押している。流動的要素は全くなく、要望を取り入れることは不可能だった。残念。

「桃色吐息」の前に、chikaさんにコラボ演奏のスタンバイを促す意味もあって、ソロ演奏のラスト曲目であることを告げる。得意曲だが、結果としてソロではこの曲が最も受けた。
 ただちにコラボ演奏に移る。まずは「アメイジング・グレイス」、続けて「エーデルワイス」を演った。

「アメイジング・グレイス」は前奏から1番を私の弾き語りで、2番をchikaさんのハンマーダルシマー演奏、3番を再び私が演って、ラストフレーズを2人でという趣向だったが、ハンマーダルシマー単独だと専用マイクを通しても、弾き語りに比べて音が弱いという印象が残った。
 それに比べてラストの「エーデルワイス」は互いのよさが出ていたように思える。バランスをとるため、私の弾き語りを極力抑えめにしたことも効果的だった。ボーカルのキーの問題はあるが、もし「次回」があるとしたなら、完全分離型のコラボか、単純に完全合奏のコラボにすべきだと感じた。

 時間はうまく調整して、12時ぴったりに終了。いろいろと新しい試みをしたが、会場には独特の余韻が残り、いい企画だったことを物語っていた。


 

篠路コミセン・叙情歌サロン03rd〜秋編
  「難しい3回目を乗り切る」
/2015.10.24



 近隣の地区センターにて、かねてから準備中の全曲リクエスト型オープンコンサート、「叙情歌サロン」を実施。
 数えて3回目だが、今回はロビーで別の展示会が同時開催され、会場がやや手狭。地域にかなり浸透してきたこともあってか、市広報や地域新聞、地区センター新聞やHPでの事前告知は一切されなかった。

 実施4日前に打合せにいったが、地区センター内にもフライヤーは貼られていない。何か事情があったのかもしれないが、時には通りすがりと口コミを対象に、こじんまりとやってみるのも悪くはない。

 開演35分前に地区センターに行ったら、玄関ホールに植栽つきの立派な案内イーゼルが設置されていた。会場の片隅には、障がい者授産施設によるカフェコーナーがすでにスタンバイ。
 今回は第2ステージ冒頭で館長さんの朗読とコラボを演ることになっていて、機材が多い。妻の手を借りて、15分ほどかかって設営を終えた。

 先の事情により、集客は前回よりかなり減ることが予想された。私自身の告知活動もこれまでより控えめ。並べられた椅子は28席だったが、座席の後方には常設のソファーセットもあるので、充分足りそうだった。

 13時40分に準備を終え、マイクテストに続いて館長さんとコラボのリハーサルと細かい打合せ。互いの位置は決まっていたが、マイクの使い方とボリューム設定、入りのタイミング、朗読から弾き語りへの移行手段、弾き語りが終わるまでの館長さんの位置など、細かい詰めをする。
 そうするうち、続々と聴き手が集まってきた。メールなどで案内した知人のほか、電話で地区センターに問い合わせてやってきた方や、たまたま通りかかった人など、開演時までに20人ほどが集まる。地味に演るつもりでいたが、数としては充分過ぎるほど。

 定刻ぴったりの14時からスタート。館長さんの簡単な挨拶がまずあり、続けて8曲を歌った。
(※は初披露。以下共通)


「生活の柄」
「池上線」
「ブルー・シャトー」
「つぐない」
「別れの朝※」
「みだれ髪※」
「ろくでなし」
「大空と大地の中で」


 1曲目「生活の柄」は、恒例の館長さんリクエスト。2曲目の「池上線」は昨年急逝した知人からのリクエストで、本来ならこの場にいた方だった。
 過去にいろいろリクエストをいただきつつ、唯一お応えできなかった曲。追悼の意味もこめて歌ったが、奇しくもこの曲を1曲限定でリクエストされた方が会場にいた。不思議な縁である。
 今回のリクエスト曲は311曲。前回より51曲増やしたが、A4サイズ裏表に読みやすい文字サイズで印刷するには、このあたりが限界のように思える。

 入口に置かれているリクエスト一覧の希望曲に、マル印をつけて係員か私に手渡すのがルールだが、第1ステージではリクエストが出にくい傾向にある。
 そこで前回歌い残した曲一覧を念のため準備していったが、結果としてどんどんリクエストが飛び出し、予備リストを使うことはなかった。

 充分に準備して臨んだので、喉の調子もまずまず。場の反応も熱い。トントン進んで、14時31分に第1ステージを終えた。
 打合せ通りに、14時40分から館長さんとのコラボで第2ステージ開始。曲はオリジナル作曲の「雨ニモマケズ」(宮澤賢治)で、まず館長さんの朗読で詩を読み、BGMとして私のギター演奏をかぶせる。朗読終了後、ただちに弾き語りに移る、という趣向だった。

 以前にチカチカパフォーマンスで同じ曲を別の方とコラボしたことがあり、館長さんも絵本セラピストの資格者で、その道のスペシャリスト。あまり問題なく演れた。場の反応もよかった。

 続けて通常の弾き語りへと移る。15時10分までに、計8曲を歌った。


「忘れな草をあなたに」
「乾杯※」
「雨が空から降れば」
「雪が降る」
「昔の名前で出ています」
「糸」
「越冬つばめ」
「サヨナラ模様」


 進行で大事なのは、20枚近い記入済みのリクエスト用紙の中から、瞬時の判断で曲順やジャンルを考慮しつつ、曲を選択すること。
 ジャンルが隔たってはいけないし、同じ傾向の曲が連続するのも好ましくない。ステージの最初や最後にふさわしい曲が当然あるし、季節感が大きく外れた曲もなるべく避けたい。

 だいたい思惑通りに運んで、時間通りにステージを消化。15時20分から最終ステージへと進んだ。
 ここまでで、全ての聴き手からのリクエストに最低1曲はお応えした。「リクエストコンサート」をうたっておきながら、自分のリクエストが1曲も歌われないのでは、何ともつまらない。そんな事態を避けるべく、後半に差し掛かると会場に声をかけながら進めていった。

「1曲入魂リクエスト」をされた方は、必ずその曲が歌われることになるが、今回その対象は、「池上線」「雨が空から降れば」「みだれ髪」「忘れな草をあなたに」「越冬つばめ」「糸」の6曲である。
「糸」は今回最もリクエストが集中した曲で、計3人の方が望まれた。前回の歌い残し曲でもある。

 進行と共に聴き手はじわじわと増え、座りきれない方が後方のソファにもあふれる。最終的には30人を超えた感じだ。
 最終ステージでは15時55分までに、計7曲を歌う。


「ジョニィへの伝言」
「恋人よ」
「宗谷岬」
「万里の河」
「銭形平次※」
「地上の星」
「時の過ぎゆくままに」


 20曲を超えると、決まって左手の指がつるのが過去の常だったが、今回は歌い込みを充分にやった成果か、はたまた回数を重ねて緊張感が弱まったせいなのか、最後までその症状は起きなかった。大きな成長だ。
 反面、20曲を越えてから声の伸びがいまひとつになった印象で、「万里の河」で本来ならブレスなしで歌うべきラストの部分を、一部ブレスしてしまった。妻は全く気づかなかったというが、いわゆる「ズル」である。新たなる課題だ。
 気をとりなおして歌い進み、ラスト近くになってやや持ち直す。

 第3ステージではJ-POP系の比重が高くなってしまい、途中で演歌系の曲をぜひ入れたかった。
 目についたのが、一度も人前で歌ったことがない「銭形平次」。ツイッターのフォロワーさんからの情報で覚えた曲だが、場の気分転換には絶好。タイトルを告げると、それだけでどっと場が湧いた。いいメリハリになったと思う。
 反省は、洋楽系の曲を第3ステージで歌えなかったこと。少ないながらも候補曲はいくつかあったが、ちょっと気持ちに余裕を欠いた。

 多少の反省点はあったが、マンネリ化しやすい3回目のコンサートを、「ほとんど告知なし」という難しい条件下で、無事に乗り切った。歌った曲数も24で、これまでと大差ない。
 終了後、館長さんから4回目のコンサートの打診。聞けば先週実施の別イベントより、遥かに集客がよかったらしい。ありがたいことに、もう少し続けられそうだ。


 

終活NPOセミナー・総会 /2015.11.27



 1ヶ月ぶりに人前で歌った。11月は例年ライブが少ない。日々の練習は欠かさなかったが、人前で長く歌ってないとステージ感のようなものが鈍り、歌に勢いと広がりがなくなる。単に練習を重ねるだけでは、どうしても補えないものが確かにある。歌唱を向上させるには、定期的に人前で歌うことが自分には必要だった。

 今回の依頼先は終活関連のNPO法人。1ヶ月前のチカチカパフォーマンスで歌を気に入ってくれた女性のご主人が、たまたまNPOに携わっていて紹介された。NPOのセミナー(総会)で歌って欲しいという。
 電話では何度も打ち合わせていて、YouTubeやHP等も見ていただいたが、実際にお会いしてはいない。あくまで奥様の「強い推薦」からつながった縁である。

 しかし、この偶然からくる出会いには何らかの意味があることが多いので、大切にしなくてはいけない。開始は夕方だったが、スケジュール表は真っ白に空いていたので、ありがたくお受けした。

 会場は都心のススキノ南端にある札幌エクセルホテル東急内レストラン。ホテルで歌う機会はあまりなく、一度も行ったことがない。3日前に降った記録的な大雪による交通渋滞が不安だったが、幹線道路はきれいに除雪されていて、流れはスムーズだった。

 集合時間の18時ちょうどにホテル到着。さっそく担当のSさんと面会し、名刺を交わす。ただちに機材のセットにとりかかる。ホテル側のマイクとアンプが用意されていたが、使い慣れた持参の機材を使うことにした。

 三々五々と集まってくる参加者の方々と、順次名刺を交換。同時に、経歴書とリクエスト一覧を手渡す。すべてSさんからの配慮で、これを機会に多方面の方々に「営業活動」させていただけるいう。
 交換した名刺が計15枚。遠く美唄や旭川から来た方、葬送関係はもとより、仏具販売業、弁護士、行政書士、社会福祉士、不動産業、WEB代行など、他ジャンルの方がいらした。人の死には、あらゆる業種の方々がからんでいるということなのだろう。

 ライブ開始は18時半の予定だったが、やや集まりが悪く、少し遅れそうだった。名刺を交わした方の中に中島みゆきのファンの方がいて、「糸」が大好きだという。予定にはなかったが、せっかくの機会なので、マイクテストをかねて歌うことにした。
 場の「つなぎ」という意味もあったが、長いブランクと慣れない場、初めて会う人ばかりという悪条件で、やや緊張している自分があった。本番前に少しでも歌い、気を慣らしておく必要がある。

 会場の音響は非常によかった。調整のかいあって、喉の状態も悪くない。リクエストしてくれた方には大変喜んでもらえた。
 開始にはまだ時間があり、続けて叙情系の「灯台守」を歌う。静ひつな気分にぴったりの歌で、開始前のBGMのような位置づけだった。

 10分ほど遅れて会が始まる。Sさんの挨拶と乾杯の音頭のあと、ただちに私の歌という手はずだった。「セミナー」といっても、この日は特に話合いや講習等はなく、忘年会をかねた総会、といった印象である。
 開始は18時43分あたり。打合せ通り、ぴったり30分で8曲を歌った。


「大空と大地の中で」
「バラが咲いた」
「酔歌」
「エーデルワイス」
「ブルーライト・ヨコハマ」
「吾亦紅」
「熱き心に」
「高校三年生」


 Sさんから出ていたリクエストは「吾亦紅」のみ。ラストで全員で歌う曲が欲しいとの要望があり、相談のすえに「高校三年生」に決まる。歌詞は事前に印刷して種類に添付した。
 他の構成はお任せいただいたが、「就活のNPO」ということで、全体的に叙情性の強い構成に落ち着いた。おおむね場の気分には合っていたと思えるが、もう少し賑やかな曲、たとえば「まつり」などがあってもよかったかもしれない。
 歌謡曲系が多めだったが、結果としてマイクテストで歌った「糸」「灯台守」で全体のバランスをとった格好。こうした場ではマイクテストも単なる飾りではなく、ライブの一部である。

 参加者は15名ほどで、全員が男性。年代的には私と同年代か、やや若いといったところ。すでに乾杯も終わっているので、苦手ないわゆる「酒席」だったが、全くお酒を飲まない方もけっこういて、町内会の宴会のような気分では全くない。
 無駄なMCは極力減らし、飲食をさまたげないよう、場のBGMになりきるように歌ってみたが、初めてに近いこの試みは、ある程度成功したと思う。手拍子とかけ声で盛り上がるばかりが酒席ではないということで、1曲歌い終えるごとに普通のライブと変わらぬ温かい拍手をいただいた。

 これといったミスもなく、無難に歌い終える。緊張する場だったが、ここから新たな縁が生まれる予感がしないでもない。そうなるとよいが。


 

チカ☆パ・コンペティション vol.1 /2015.12.23



「チカ☆パ・コンペティション」と称する、チカチカパフォーマー限定のイベントが初めて開催された。オーデションに合格したパフォーマーが互いにその技を競い合い、優勝者には賞金3万円のほか、チカチカパフォーマーの「顔」として、パンフレット等に写真がむこう1年掲載される。
 場所や開催要項はオーデションと同じで、審査には一般市民も加わるのが特徴だ。

 パフォーマーが交流するお祭り的なイベントは、かねてからあればいいと考えていた。12月は殺人的なスケジュールに忙殺されていたが、せっかく事務局が設けてくれた機会でもあり、熟慮のすえに参加することにした。

 開催日は12/23(祝)会場は北3条広場と早くから決まっていたが、エントリーの締切は2週間前。パフォーマーにとってはクリスマス直前の「稼ぎどき」の時期だったが、結果的に10組がエントリーした。
 内訳はジャグリングに代表される大道芸ジャンルが大半で、ダンス系、縄跳び系、音楽系が各1組。音楽系は私だけのエントリーで、そもそも現在のチカチカパフォーマーに弾き語り系は私一人しかいない。
 まさに「異端の人」の状況だったが、勝ち負けに対する野心は当初からなく、ただ参加することに意義を見いだす無欲の心境で臨んだ。

 タイムテーブルは二転三転したが、私は2番という早い出番に決まる。苦手な午前中開始で、しかも後半が昼食時間にかかるという悪条件。
 80席ほどの椅子が最初から並んでおり、休日でいつものチカチカパフォーマンスとは客層も大きく異なるので、構成は練りに練った。

 1番のジャグラー・コーヘイさんが無難にオープニングをまとめ、イベントの気分を一気に盛り上げる。その雰囲気を大きく外さないようにしなくてはいけない。
 入れ替え時間は2〜3分で済み、マイクやエレアコの音量調整も短時間でOKとなった。ほぼタイムテーブル通りに11時41分から開始。およそ24分で8曲を歌った。


「ウィンター・ワンダーランド」
「季節の中で」
「夜霧よ今夜も有難う」
「オー・シャンゼリゼ」
「赤鼻のトナカイ」(リクエスト)
「あわてんぼうのサンタクロース」(初披露)
「天使のウィンク」
「また逢う日まで」


 各自の持ち時間は入替えを含めて30分だったので、短めで聞かせどころがあり、しかもジャンルがバラけた曲を慎重にセレクト。さらには「祝日の昼間で、クリスマス直前」という条件から子供が多いことが予想されたので、それらも意識した。

 進行の方が簡単にプロフィールを紹介してくれ、そこではリクエストを募っていることにもふれていた。
 マイク前には前日に急きょ作った自立式のリクエスト用紙スタンドも立ててあったが、普段の通りすがり相手と違って、歌に関心を持って立ち止まり、そこからリクエストにつながる、という流れにはならない。MCで案内しても、席を立ってリクエスト一覧を取りにくる方は皆無だった。

 1曲目に賑やかなXmasソングを歌ったが、場の気分を一気に変えるには程遠く、自然発生的な手拍子もおきない。応援してくれるサポーターの類いは一切頼んでなく、苦戦を覚悟したが、幸いに客席を7〜8割ほど埋めた方々は終始静かに聴いてくれていて、歌い進んでも席を立つ方はほとんどなかった。

 かといって、通りから歌を聴きつけて席につく方もあまりいない。そんな膠着状態を打開するべく、5曲目でXmasソング限定のリクエストを会場から募る。
 最前列に子供が数人座っていたので、「何かリクエストある?」と問いかけた。目の合った男の子に「そこの赤いジャンパーの君、どうですか?」と振ると、一瞬首をかしげる。後ろに座っているお母さんらしき方が、何かささやいている様子。すると「赤鼻のトナカイ」との声。やっと出てくれた。

 これに勇気を得て、さらなるXmasリクエストを募った。実は前日に「あわてんぼうのサンタクロース」「ホワイトクリスマス」の2曲を急きょ会得し、合計9曲のXmasソングを準備していた。いっそ全曲をクリスマスでまとめようかと一時は考えたほど。
 しかし、あとが続かない。ここは無理をせず、つい先日チカホで出たXmasソングリクエストの逸話を披露しつつ、「あわてんぼうのサンタクロース」を自主的に歌う。子供向けの歌なので、場の気分には合っていた。

 ラストは最近介護施設でしばしばやっている、得意の「三択リクエスト」を試みる。思惑通りにリクエストが出ない場合を想定しての切り札だったが、ここではPOP系昭和歌謡で仕掛けた。
「ブルーライト・ヨコハマ」「つぐない」「また逢う日まで」の3つで聴きたい曲を場内の拍手で募ったが、およそ3:3:4ほどの割合で、各曲が僅差で競り合う。どれを歌ってもいい感じがしたが、微妙に拍手の多かった「また逢う日まで」で決着とした。

 場を自分のペースに持ってくるのに、かなりの苦戦を強いられたが、後半はそれなりに盛り上げた。終了後の拍手も熱くて長く、「ありがとうございます」を2度続けたほど。
「三択リクエスト」はこの種の場でも充分使える。これが分かっただけでも、この日のイベントに参加した意味は充分にあった。
 しかし、一発で場の気分を変える力量には欠ける非力な自分もまた再認識した。結果論だが、中高年の姿がまばらだったので、「夜霧よ今夜も有難う」は万人受けする「エーデルワイス」に差し替えるべきだった。

 終了後は翌日以降のライブ準備のため、いったん自宅に戻る。夕方5時に再度会場に出向いて審査結果発表に立ち会ったが、優勝は第8期から活動している若手ジャグラーの方だった。
 3人のプロ審査員の持ち点が各20点で、4人の市民審査員の持ち点が各2点。総合計は68点だが、優勝者は10点を獲得したという。それでも頭ひとつ抜けていた、という講評だった。
 他の得点は公表されなかったが、かなりバラけていたのかもしれない。審査員の自分への評価が大いに気になるので、希望者にはメールでこっそり教えてもらえないだろうか。


 

地域サロン実践報告会in篠路 /2016.1.30



 近隣の地区センターで実施された地域サロンの活動実践報告会余興に出演。市内各所から5つの地域交流団体が集まり、互いの情報交換と交流を図ろうという企画で、日頃からボランティア協力をしている地区センター館長さん経由で依頼された。
 会は13時開始だが、私の出番は報告会終了後の15時半から。やや時間が流動的ということで、早めの15時には会場に入り、会議室外の廊下で機材を予め組立てて備える。

 会議が長引いてしまい、ロスタイムを極力減らすべく、15時半には会議室に機材一式を搬入した。
 予定より20分近く遅れて、15時50分から開始。正味15分のミニライブだったが、とにかく時間が押している。状況次第では1曲減らすつもりでいたが、予定通り歌って欲しいとのことで、15分で5曲を歌う。


「大空と大地の中で」
「糸」
「ダニー・ボーイ」
「仰げば尊し」
「また逢う日まで」


 聴き手はおよそ50名ほど。無駄なMCは極力省き、トントンと歌い進んだが、過去の街づくりイベントで顔見知りの方も何人かいて、場としてはとても歌いやすかった。
 得意の叙情系の曲を中心にし、演歌系の曲は意図的に外して構成。いにしえの卒業ソング、「仰げば尊し」はここでも強かった。最後にノリのいい「また逢う日まで」で締めくくるという、最近よくやる手法がまたまた当たった。特に誘導はしなかったが、自然発生の盛大な手拍子をいただく。

 終了後、「アンコール」の声がチラホラ耳に届いたが、その時すでに集会の終了予定を5分過ぎている。数曲の準備はしてあったが、残念なことをした。

 参加者の中に近隣の特養ホーム相談員の方がいて、今後のイベントへの出演を打診される。歌唱を気に入っていただけたようだ。
 名刺を交換し、準備してあった経歴書等の資料をお渡しする。次なるステージへとつながるとよいが。