篠路コミセン〜叙情歌サロン01st
「オープン&リクエスト形式で盛況」 /2014.12.6
かねてから準備中だった近隣地区センターにおけるオープンリクエスト形式のコンサート、「叙情歌サロン」を実施。主催はあくまで地区センター(篠路コミュニティセンター)だが、企画を持ち込んだのは他ならぬ私。
当初は2年前に自主企画ライブをやった視聴覚室を借りてオープン形式でやる予定でいたが、個室ではルール上オープン形式でやれないことが分かり、1階ロビーの一角を借りて地区センター主催としてやらせていただけることになった。
出入り自由で、もちろん無料。歌う曲は200曲弱のリストから、その場で聴き手に選んでもらうという「聴き手参加型」の一風変わったコンサートだ。近年全国的に盛んな街作り活動の一環ともなる意義深いイベントである。
雪で真冬日の予報だったが、なぜか午前中からカラリと晴れた。無風で気温もプラスに転じ、この時期にしては穏やかな日和。チカチカパフォーマンスのように通りすがりをイメージした企画だったので、天候の要素は大きい。天が味方した。
開演は14時だったが、妻を伴って13時10分に会場入り。ステージに予定されていたロビー奥の展示コーナーには、すでに事務局スタッフによって椅子が並べられていた。
コンサートのコンセプトが「サロン」なので、スペースに余裕をみて並べられた椅子は20脚ほど。足りなくなった場合の予備椅子を後方に20脚準備した。
PAは持ち込みの打合せだったので、能力いっぱいの2台のPAを持参。マイクスタンドの左右に均等に置いた。リクエスト曲一覧を置く譜面台もマイク横に準備。
椅子が正面よりやや右をむけて並べられていたので、それに合わせて立ち位置は正面よりやや右に設定した。
ステージ背面のガラスブロックには事務局スタッフによる「叙情歌サロン」のサインとイラストが貼られ、入り口部分には全193曲のリクエスト曲一覧がA3サイズ2枚に拡大されてイーゼルに立っている。
その横にはテーブルに置かれたA4版のリクエスト曲一覧が30枚ほど。100円の有料コーヒーコーナーもあり、専任スタッフが張りついている。準備万端整った。
セッティング中から事前に案内した知人が三々五々と現れる。「オープン形式」を強く意識して企画を進めたので積極的な集客活動はせず、「コンサートの折にはぜひご案内を」と、日頃から頼まれている方々を中心に案内状を送った。
14時ぴったりから開始。休憩5分を含めて40分ステージを3回、合計2時間やる予定だったが、最初のステージはリクエストが出にくいと予想し、過去に様々な場でリクエストのあった曲を中心に歌う気でいた。
ところが、開始前に知人に聞いて回った時点で、続々とリクエストが飛び出す。1ステージでおよそ9曲を歌うつもりでいたが、全て会場からのリクエストでやり繰り可能であることが分かった。
第1ステージでは以下の10曲を歌った。
「学生街の喫茶店」
「サン・トワ・マミー」
「銀色の道」
「夜霧よ今夜もありがとう」
「白い冬」
「鱒(シューベルト)」
「パダン・パダン」
「荒城の月」
「木綿のハンカチーフ」
「時の流れに身をまかせ」
歌い進むにつれ、客席はどんどん埋まって、結局予備席もすべてセットすることに。時間帯によって出入りはあったが、平均して40名の聴き手が常に場にいた感じだ。
私の案内による知人とその関連の方は合計で13名。他は全て通りすがりの見知らぬ方々である。定着率も高く、有料のコーヒーが結構な売れ行き。
時間通りに進行して、14時40分から第2ステージ開始。以下の9曲を歌った。
「異邦人」
「わかっているよ」
「時代」
「夢の途中」
「宗右衛門町ブルース」
「モルダウの流れ」
「五番街のマリーへ」
「傘がない」
「川の流れのように」
第1ステージ終了後の休憩時に、多くの方がリクエスト用紙の希望曲にマルをつけて持ってきてくれた。中には一人で10曲を超えるリクエストもあったが、全曲はとても無理な情勢。途中から「一人最低1曲のリクエストには必ず応える」という方向に方針転換せざるを得なかった。
予期せぬ来場客とリクエスト数に、(リクエストが埋まるのは全体の半分くらいでは…)と事前に抱いていた一抹の不安も吹き飛ぶ。まさにうれしい悲鳴である。
曲の構成で腐心したのは、7ジャンルに分けた曲のバランス。結果として昭和歌謡ポップス系6、昭和歌謡演歌系5、J-POP系2、フォーク系6、唱歌系1、洋楽系2、シャンソン&クラシック系5という配分になったが、これらを受けたリクエストの中から隔たりなく瞬時にセレクトし、同じ傾向の曲が連続しないよう、曲順も考慮しつつ進める必要がある。
非常に難しい作業だったが、チカチカパフォーマンスで日頃培ったアドリブ的センスが活き、ほぼ思惑通りにうまく運んだ。
第2ステージの終わり頃、左手の指にやや違和感を覚えた。20曲近く歌った際にしばしば起きる「指がつる」状態である。症状はそれほどひどくないので、第3ステージは曲をやや短めにし、MCを長めにとって曲間に指関節をマッサージしながら進めた。
第3ステージでは以下の8曲を歌う。
「カントリー・ロード」
「北の旅人(南こうせつ)」
「時の過ぎゆくままに」
「酒よ」
「青葉城恋唄」
「アメイジング・グレイス」
「少しは私に愛を下さい」
「青春時代」
結果として歌う曲数はステージごとに1曲ずつ減ったが、喉と指の負担を考えると妥当な選択だった。幸いに指のつりは悪化せず、定刻の16時に合計27曲を歌い終えた。
全曲をリクエストでまかなうことが出来たが、最終的にリクエストに応えられなかった曲が22曲。つまり、全49曲のリクエストが飛び出したことになる。
最もリクエストが集中したのは久保田早紀の「異邦人」で、5人の方が希望。次点は「サン・トワ・マミー」の4人で、歌った曲の多くが複数リクエストのあった曲。慎重に絞り込んでリストアップした曲の傾向は、おおむね正解だったといえる。
「オンリーワンリクエスト」つまり、「お一人が1曲のみリクエスト」は5曲が該当したが、全てお応えした。
コンサートの終盤では、「リクエストに1曲もお応えしてない方はおられますか?」と場内に確認をとる。せっかく参加しても、自分のリクエストが全く歌われないのでは、ツマラナイだろう。私が聴く立場ならそうだ。
参加者の最高年齢は近くに住む小学校時代の恩師で、70代後半。最低年齢は学習コーナーに居合わせた女子中学生で、なぜか「時の流れに身をまかせ」をリクエスト。なにゆえ中学生がテレサ・テンなのかは聞き漏らしたが、人の好みはそれぞれであるということか。
聴き手の男女比は、およそ4:6といった印象。チカチカパフォーマンスなど、普段は圧倒的に女性の比率が高いが、意外に男性が多くて驚いた。一過性かもしれないが、傾向としては悪くない。
終了後、館長さんからコンサートの定例化を打診される。おそらく過去に誰もやったことがないような切り口で、大いなる冒険でもあったが、予想を超える盛況だった。ロビーコンサートの新しい方向性を示せたと思う。
毎月は無理でも、季節ごとに年4回程度ならやれるかもしれない。新しい力が湧いてくる。
帰宅後の妻との反省会では、電子譜面を探す時間がやや長い場面があったこと、日没までの窓からの逆光がまぶしかったこと、持参の小型イルミネーションを点け忘れたこと、MCでの客席とのキャッチボール(交流)をもっと増やすべきだったことなどが挙がる。なるほど、的を射た指摘だ。
しかし、今後の方向性としては間違っていないことを確認。修正すべき点は次回への宿題ということで、楽しみが増えたと前向きに考えよう。
フォーラム北海道 喜寿祝いコンサート /2014.12.20
予想外の事態で3日連続のライブとなってしまった2日目である。この日は夕方のライブの前に、年明け早々に実施される市内の寺でのコンサート(新春大般若祈祷会)の会場調査にも行く約束になっていた。
寺は市の中心部近くにあり、このところ雪と悪路による交通渋滞で、時間ギリギリの状態が続いているので、かなりの余裕をみて家を出た。
昨日と違う幹線道路を選んだせいか車の流れは順調で、早めに先方に到着。そのまま30分ほど会場の下見をし、当日のスケジュールを打ち合わせる。
聴き手は檀家の方々150名ほどで、心配していたPAは、寺の本堂に立派な音響装置が備えつけてある。実際にマイクで歌ってみたが、近隣の地区センターにも負けない音。問題なく使えそうだ。
その足で都心のホテルへと向かう。ある市民グループの定期総会があり、代表の方の喜寿をかねたお祝いが同時に実施される。その余興として歌う。
声をかけてくれたのは、チカチカパフォーマンスの聴き手として知り合い、その後町内会女性部懇親会に呼ばれたり、今月初めの叙情歌サロンにも来てくれたSさん。ふとした縁で、人と人とのつながりは静かに広がってゆく。
場所は時計台の真横で、札幌のど真ん中。渋滞もなく、約束より30分も早く着いてしまった。Sさんはすでに準備中で、私も早めに設営を始める。
この日もPAはスピーカー2台方式。会場の下調査が不可能だったので安全をみたが、実際にテストしてみると、やや音が大きすぎるという結論。1台に減らす選択もあったが、両方のボリュームを絞る方向に落ち着いた。
17時から総会が始まり、私の出番は20分後。設営が早く終わったので、開始までの30分をロビーで過ごす。こんなに余裕があるのも久しぶりだ。
予定通りに17時20分からライブ開始。およそ40分で11曲を歌った。
「ボラーレ(オリジナル訳詞)」
「バラが咲いた」
「バラ色の人生」
「サボテンの花」
「川の流れのように」
「灯台守」
「雪が降る」
「星影の小径」
「白い想い出」
「時代」
「聖母たちのララバイ」
選曲リストは10月末にSさんに送り、了解をもらっていたもの。喜寿のお祝いを意識し、人生を懐かしく振り返る曲を中心に構成した。洋楽系を4曲選び、ややバタ臭い雰囲気にしたのは、会の趣旨と代表の方の略歴に合わせたもの。
聴き手は20名ほどで、40〜70代と年齢層は広く、男女比も半々といったところ。ライブ中は終始静ひつで、一瞬手応えがないような印象もしたが、歌い終えるごとの拍手は熱く、長かった。
5曲目の「川の流れのように」では、リストにはない「愛燦々」との二択形式にした。主賓でもある代表のHさんにお好きな方を選んでいただくという趣向だったが、結果としてHさんはプログラム通りの曲をチョイス。
10曲目の「時代」では、こんどは参加者全員に「地上の星」との二択形式を提案。拍手で選んでもらったが、圧倒的に「時代」が支持された。昨日の複合型障がい者施設でも同じ試みをしたが、こちらでは「地上の星」が強かった。場によって嗜好は異なる。
この「二択形式」は、先日のチカチカパフォーマンスで初めて試みたが、聴き手をライブに引き込む有力な手段となる。今後もいろいろ試してみたい。
MCがやや長すぎたせいか、終了は18時を1分ほど過ぎてしまい、進行の都合でアンコールなどはなし。Sさんが気を遣って終了後にオリジナルCDの告知をしてくれて、持参のCDが3枚売れた。
途中、さすがに疲れを感じたが、大きなトラブルもなく、無難に乗り切った。推挙してくれたSさんの面目もつぶさずに済み、これまで例のない新しい場も切り拓けたと思う。