イベントライブ顛末記


篠路コミセン・X'masコンサート/2011.12.11



 怒涛の年末ライブシリーズ第1弾となる近隣の篠路コミュニティセンターでのX'masコンサートを無事に終えた。本番は16時からだったが、13時から出演5組のリハーサルがある。私のリハーサルは13時45分からで、いつもより多い機材を車に積みこんで13時過ぎに家を出た。
 諸事情から、この日のコンサートはPA各自持参が参加条件のひとつ。普段は50〜60人ほどのライブでしか使ったことがない小型のアンプ付スピーカー2台による音がどうなるのか不安だったが、セットして歌を聴いてもらうと、音が少し割れるという。会場となる体育室は6月に会場となったエントランスホールと比べて空間が大きく、やはり30W+6W程度のスピーカーでは非力であった。

 いろいろ調整したが、あまりボリュームを上げずにやろうということになり、いちおうの妥協点をどうにか見つけた。

 15時半に開場。受付ではサンタとトナカイに扮した職員が客を出迎えるという凝った趣向。ホールにも会場にも手作りのクリスマスデコレーションが踊っている。洗練されてはいないが、手作りの温かみにあふれる雰囲気だった。

 16時ちょうどに開演。1番目は木管アンサンブルの若い女性5人グループ。初ステージのトップということで、ガチガチに上がっている。思わず出番前に「大丈夫だよ、がんばってね」と声をかけた。
 前半は固かったが、じょじょに慣れて持ち直した印象。こうして場を重ねて向上していくのだろうと、ちょっと昔の自分を思い出す。

 2番目が私。どのような場でも1番は難しいもので、まず聴き手が場になじんでいない。遅れてくる人もいたりして、落ち着かない。その点で場がこなれてくる5組中2番という順序は、非常に恵まれていた。
「子供から大人まで楽しめる」「クリスマス気分を味わえる」という2つの基本路線が事前に提示されていたので、考えたすえに以下の7曲を選んだ。


「ウィンター・ワンダーランド」
「星の世界」
「見上げてごらん夜の星を」
「冬の星座」
「月の沙漠」
「マル・マル・モリ・モリ」
「ケ・セラ・セラ」


 他のグループとの重複が怖く、クリスマスずばりの曲はあえて外し、「冬」「星」「月」などのキーワードを散りばめて全体を構成した。
 事前の調整で重複はないはずだったが、当日のプログラムを見るとなぜか「見上げてごらん夜の星を」が重なっている。事務局の見落としらしい。予備曲に変更しようかと迷ったが、他が楽器だけの演奏だったこともあり、予定通り歌うことになった。

 180席用意された会場は8割方埋まっている。思っていたよりも盛況だった。(後日、事務局の連絡から延べ集客200名近くだったことを知る)演奏中は会場が暗く、人の顔はほとんど見えない。そのせいで歌には集中できた。

 出だしの「ウィンター・ワンダーランド」で、いきなり会場から手拍子が飛び出す。特に要求していなかったので、ちょっと驚いた。「マル・マル・モリ・モリ」でも手拍子をもらったが、会場にいた多数の子供が一緒に踊ってくれていたらしい。(暗がりでよく見えず、あとで妻に確認)
 特に上がることもなく、淡々と歌い継ぐ。入替え時間にあまり余裕がなく、無用なMCはなし。まるで札幌駅地下歩行空間での街角ライブのようだった。ミスらしいミスもなく、予定より2分早く23分で歌い終える。

 全体的に場の反応は確かなものだったが、特に「月の沙漠」あたりから聴き手が集中してくる気配を強く感じた。会場にいた妻にあとで確かめたら、多少の音割れはあったが、曲に気持ちが強く入っていた、歌詞をていねいになぞっていたとの好評価。
 地区センター担当のIさんにも「歌詞を非常に分かりやすく歌っていましたね」と、同じ趣旨のことを言われた。この日の大きな収穫だったかもしれない。

 出番終了後、他のグループの演奏をゆっくり堪能。サックス四重奏、アカペラ、混成バンドと続いたが、バラエティに富んでいて技術面で見るべきものも多くあった。特にサックス四重奏で目と身振りだけでスタートをピタリ合わせる技術には、目を見張った。音楽を突き詰めると、言葉はもはや無用である。
 私の出番が終わったら早めに帰ると言っていた妻も、予想外のレベルの高さに驚き、結局は最後まで見届けることに。

 コンサート中も終了後にも、見知らぬ方を含めていろいろな方が声をかけてくれて、非常にうれしかった。地道に活動を続けていると、知らず知らずネットワークは広がってゆく。


 

歌酔倶楽部ありがとう・MJ "2011年の総括"/2011.12.25



 たまに顔をだす居酒屋ライブハウス「歌酔倶楽部ありがとう」の定例イベント「MJ」に参加するべく、雪のちらつく夕方に家を出た。毎月最終日曜に実施されるイベントだが、7年前に始まって以来、12月に参加するのは今回が初。
 最近コンサート関連で知り合ったKさんとTさんが大のフォークファンであることを知り、ライブで歌われる楽曲の多くがフォークであるこのお店のイベントの話をしたら、次回のライブの折にぜひ連れていって欲しいという。他にも用事があったので、私が運転手役となって案内した。

 いつもは事前に歌う順番が貼り出されているが、この夜はなぜかそれがない。開始前にママさんがやってきて、「今夜の歌う順はクジ引きで決めますよ」と、クジの入った箱を差し出した。
 1番だけがこの夜初ステージのママさん指定ということだったが、引いてみると私は2番。どのライブでも出番は早いほうが好きである。うまい番号を引き当てた。

 年末なので、選曲もそれに相応しいものを考えた。1曲目にまずオリジナルで「雲や風と共に」を歌った。7月に実施の「ALIVEミュージックフェスティバル」のエントリー曲である。東日本大震災被災地支援をイメージして作ったもので、人前で披露するのは7月のイベントに続いて2度目。

 今年を振り返るに当たり、東日本大震災はやはり避けては通れない。微力だが、主に音楽を通していろいろな形で被災地支援にも参画した。
 今年できた2曲のオリジナルはどちらも意識下で震災後の人の生き方暮し方を自らと世に問うたもの。そのうちの1曲を締めくくりとしてぜひ歌いたかった。

 2曲目は70年代フォークの「通りゃんせ」。歌詞の中に「師走」「雪化粧」が登場するのが選択の決め手である。
 発売当時はよくラジオから流れたものだが、随分軟弱な曲だな、というイメージが先行し、あまり人前で歌ったことはなかった。しかし、最近になってこの曲の持つ叙情的な世界観が理解できるようになった。年を経て曲に対する自分のイメージも変わる。そういうものだろう。

 2曲とも大きなミスなく、無難にこなす。この夜はPAの調子も抜群で、非常に歌いやすかった。あまり期待せずに歌った「通りゃんせ」の反応が思いのほかよくて驚いた。

 この夜は参加者各自が選曲やMCで工夫をこらし、1年の総括に相応しい内容のイベントだった。自分の帽子がある人以外は、お店が準備したサンタの帽子をかぶって歌うという面白い取決めもあった。

 オープニングを務めたママさんの初ステージはギター弾き語りで、小椋佳の「さらば青春」。始めてまもないというギターの技術面はともかく、最後まできちんと歌いきり、立派だった。いくつになっても向上心を忘れてはいけないということだ。
 会場の聴き手も終始暖かく見守り、この日の楽しい気分を冒頭から引っ張る大きなポイントだった気がする。

 この夜で今年32回目のライブが無事終了。弾き語りに関しては大変充実した1年だったが、それを締めくくるに相応しい印象的なライブだった。


 

歌酔倶楽部ありがとう・MJ "冬から春へ"/2012.3.25



 長い冬が続くなか、馴染みの居酒屋ライブハウスの定例ライブ「MJ」に参加した。初めて買ったタブレットPC、中華Pad(アンドロイドタブレット)の操作に熱中するうち、出かける時間がぎりぎりになってしまった。
 車が修理中で代車がないので、何年ぶりかでJRと地下鉄を乗り継いで向かうが、豪雪のせいで自転車は雪に埋もれたまま。駅までギターを背負って歩いて行かねばならない。いつもより30分以上早く出る必要がある。
 久しぶりに地下鉄で行ったので、一駅手前で降りてしまい、このところ天中殺続きなので転ばぬように用心しつつ、凍てつく道をトボトボまた歩いた。

 最終電車の関係で23時過ぎには店を出なくてはならない。車でないときはここが最も不便で、ライブの最後を見届けられないこともしばしば。酒を犠牲にしても融通のきく車に切り換えた最大の理由がこれだった。
 事前に事情をメールしてあったので、この日の順番は12組中の2番。不動のオープニングアクトを務めるマスターの次である。曲は松山千春の「青春2」とオリジナルの「歌街だより」。

 松山千春は直近のチカチカパフォーマンスで最初に歌った「季節の中で」が好評だったのに気を良くしての選曲。メンバーには千春ファンが多いが、「いつか私も歌いますから」と、かねてから伝えてあった。
 オリジナル曲はお店の開店10周年記念にあわせて作ったアニバーサリーソングで、我が家の新築10周年記念に作った「風街だより」が原曲である。曲は同じだが、歌詞をマスターの目線で全面的に書きなおした。

 4日前の地域中高年対象のライブでの失敗と、直後の車の事故とが重なり、このところ歌のモチベーションがめっきり下がっていた。毎日の練習でも声に響きやツヤがなく、高音部もしばしばかすれる。週初めの暖房ボイラ故障による寒さもダメージになっているのかもしれない。
 出かける前に調整はしたので、キーはいつも通りで歌った。幸いにかすれや途切れはなかったが、歌詞の一部を間違えたり、アルペジオが一部怪しかったりした。しかし、全体としては無難にまとめた。今回が上昇のきっかけになればと思う。長い冬に終わりを告げ、新しい明日に向かってまた歩き始めるライブ、といった感じだった。

 この日の参加は12組だったが、「他のメンバーの十八番を別アレンジで」という趣向が多かった。実は私が歌った松山千春も、得意としている歌い手が複数いる。まあ、たまには別メンバーの別アレンジというのも楽しめる。
 そのほか、「伴奏を切ってボーカルだけでふっと終わる」という趣向をライブ中前半にまず誰かがやり、それが「カッコイイ!」と評判になって他のメンバーにも同じ手法が蔓延した。こちらも気心の知れたメンバーならではの趣向だろう。
 私は2番目だったので、真似できず。ヤル気ならいろいろな曲でやれそうだ。「イントロなし」はよく使う技だが、「後奏なし」もアリだと分かった。いつかどこかで試してみたい。


 

森の時間フェスティバル/2012.5.5



 被災地支援の森のコンサートに参加するべく、早朝から起きて札幌南部の国営滝野すずらん公園に向かう。あいにくの空模様だが、雨天時に備えて室内と屋外両方のステージが準備されている。
 GW休暇で帰省中の息子がつきあってくれるというので、助手席に乗せて出発。途中、伴奏を務めるソプラノ歌手の清水紫さん宅に寄り、10時過ぎには会場となる森の交流館に着いた。

 今回のコンサートは東日本大震災で札幌に避難している人たち自身が音楽や展示などで参加するイベントの一環で、避難者と市民との交流が主目的である。

 私のステージは11時20分から。会場ではすでにトップのジャグリングパフォーマンスが始まっている。会うのがこの日初めての主催者のYさんと挨拶をしたり、プログラムの合間に場内を散策などするうち、たちまち予定の時間となった。
 会場は四方を森に囲まれた絶好の環境。広い窓からは芽を吹き始めたばかりの木々が見える。小雨が止まないので外のステージは結局中止となり、室内ステージ1回だけの出番となった。

 寒いのでジャケットを着たまま歌ったが、いざ歌い始めると身体が急に熱くなった。しかし、途中で脱ぐわけにもいかず、そのまま歌い進む。
 この日のセットは以下の6曲。自分のステージの他に清水紫さんの伴奏もあるので冒険を避け、実績のある曲で臨んだ。


「カントリー・ロード」
「この道」
「赤い花白い花」
「北の旅人」(南こうせつ)
「野ばら」(シューベルト)
「宗谷岬」


 聴き手は関係者も含めておよそ40人ほど。階下の第2ステージで子供むけのイベントが同時開催されていた関係で、子供の姿はほとんどなかったが、場の反応は悪くなかった。
 会場は内装がすべて木材で天井も高く、特にボーカルの反響はいい感じである。充分に調整して臨んだので大きなミスもなく、予定通り20分弱で歌い終えた。

 終了後、ただちに次の清水紫さんの伴奏準備にかかる。持参したPAはそのまま使うが、スタンド一体型の譜面台上部は撤去した。ジャケットを脱ぎ、別途持参した独立譜面台をセット。演奏位置は紫さんの左側に移動し、すぐに始めようとしたが、ここで予期せぬことが起きた。
 1曲目は「森へ行きましょう」だったが、紫さんの合図でいざ始めようとしても、どうしても最初の旋律が頭に浮かんでこない。今回初めて演じる曲ではあったが、メロディ自体はよく覚えていたはずだった。
 あとで冷静になって考えてみると、どうも自分のステージで気持ちを入れすぎてしまい、心身が別世界にトリップしてしまったようだ。休憩なしで次のステージに突入したので、瞬間的に切換え困難の状況に陥ったらしい。

 ごく短い時間だったが、1曲目はストロークではなく、指全体を使った特殊なアルペジオ奏法であったことに気づく。「ちょっと待ってください」と小声で伝え、持っていたフラットピックをしまってサムピックを装着。事前のリハで何度も打ち合わせていた前奏をようやく思い出し、事なきを得た。
 こんな経験は初めてである。あとで息子に確かめたら、特に違和感はなかったという。しかし、真横にいた紫さんには気づかれていた。「連続でしたから、仕方ないですよね」と慰めてくれたが、なかなか難しいものだ。

 紫さんのリストは「森へ行きましょう」「ピクニック」「おおブレネリ」「エーデルワイス」「浜辺の歌」「故郷」の6曲。出だしのもたつきは別にし、6曲の伴奏自体に大きなミスはなく、まずまずの出来だったと思う。都合3度にわたる入念な音合わせのかいがあった。事前に「予告」されてもいたが、打合せとは違う歌唱法もいくつか飛び出した。しかし、いずれもアドリブで無難にこなした。

 普段はクラシックの正装で歌っている紫さんだが、この日はかなりラフなスタイル。結果としてフォークギターでの軽い伴奏は楽曲を含めた場の気分ともマッチし、「森のコンサート」に相応しいものだったかもしれない。「今回はクラシックとフォークのコラボと考えます」と言っていった紫さん自身も楽しみつつ、場を盛り上げているように感じた。
 紫さんは地元の交響楽団、札響ともソリストとして共演し、自ら作詞作曲も手がけて日本作詩大賞新人賞にも入選している実績ある方だ。ふとしたことから伴奏の大役を仰せつかったが、どうにかやれた。何でも逃げずにやってみるものだ。

 終了後、展示即売をしていた方から声をかけられる。福島県から来たというその女性、私の歌を以前に聴いたという。どこでお会いしましたか、と尋ねると、1年前に近隣地区センターでの被災地支援コンサートで歌った際、会場に居合わせた方だった。コンサートの最後に司会者からマイクを向けられ、感極まって涙を流す姿が印象的で、すぐに思い出した。

 ちょっと変わった歌唱法の菊地さんの「カントリー・ロード」が強く印象に残りました。また聴けてよかったです。あのコンサートに立ち会って、私の生き方が変わりました。勇気が出ました。ありがとうございます。
 そんな女性の言葉がとてもうれしかった。「カントリー・ロード」は以前から好きな曲だが、東日本大震災以降は「故郷を思う歌」としても再認識されている感じだ。「ひとりぼっち恐れずに生きよう…」「故郷へ帰りたいけど、帰れない…」といった主旨の歌詞は、歌っているだけで胸が熱くなる。
 今回は1曲目に歌ったが、強い調子の手拍子がすぐに起き、以降の進行がスムーズに運んだ。場にぴたり馴染んでいた感じだ。初めて被災者の方から評価されたことで、「聴き手の心に寄り添うように歌う」という自分のめざす方向が間違ってなかったことを知った。

 魂をこめて歌えば、どこかで誰かに必ず届いている。そんなことを再確認した日である。


 

篠路コミセン・夏まつり vol.2/2012.7.15



 近隣の地区センターでの夏祭りイベントに参加。かなり前から出演を打診されていたが、昨年はすでに同じ地域センター主催のイベントに2度出演させていただいた。さすがに出過ぎではないかと自重し、客の少なそうな昼間の時間帯を受け持つことになる。

 いつもふれているが、基本的にお祭り系イベントは苦手。昨年は3度出ているが、いずれも自分としては不本意な結果だった。
「叙情系」の「ソロシンガー」となると、賑やかな傾向を求められる場にはそもそも合わない。苦戦の原因は分かっていたが、それでも依頼は途切れない。ずっと逃げ続けるわけにもいかず、今年はこれまでの殻を打ち破り、全く異なる構成で臨もうと周到に準備した。

 リハは前日を含めて全く出来ないので、自宅でぎりぎりまで調整を続ける。トラックコンテナを利用した屋外ステージなので譜面が風で動かぬよう、磁石付の大型クリップ2個を久しぶりに持参した。
 定刻の12時30分にライブ開始。持ち時間は正味25分である。駐車場を利用して設営された会場には多くの屋台とテーブルが並び、いかにも夏祭りといった気分。好天に恵まれ、前日のような肌寒さもなく、程よい行楽日和とあって客は予想より多く、ざっと100名ほどか。

 工夫を重ねたこの日のセットリストは以下の通り。(※印は初披露)


「恋する夏の日」
「さんぽ(となりのトトロより)」※
「森へ行きましょう」※
「アニー・ローリー」
「おおブレネリ」
「エーデルワイス」※
「草原の輝き」


 目玉はトップとラストに配置した昭和アイドル歌謡で、この日のためにチカチカパフォーマンスで事前に歌い、その手応えを確かめてあった。中間5曲にはアニメソングと世界の民謡を配置。全体を「アウトドア」のイメージで統一し、明るく爽やかに、老若男女むけの構成とした。GWのライブで清水紫さんの伴奏を務めた数曲も、今回は自分の歌として組み込んだ。
 たとえば「上を向いて歩こう」に代表される励まし系の歌は今回あえて外した。日本民謡やフォーク・演歌系の定番曲も入れていない。「よくある曲」ではなく意外性に賭けた。初披露も3曲あり、外れ覚悟の大バクチだった。

 出だしの反応はいまひとつ。しかし、ここであせってはならない。勝負は3曲目以降だ。
 ステージが高いので会場の様子は手に取るように分かる。遠くで熱心に聴いてくれるグループがいるな…、とよく見たら、年に2回招かれる近隣のグループホームの方々だった。特に案内はしてなかったが、センター広報などで知ったらしい。

 歌い進むうち、他にもじょじょに聴いてくれる人が増え始める。「森へ行きましょう」「アニー・ローリー」「おおブレネリ」は、前日になって大幅に伴奏やキー、編曲等を変えた曲。通しで歌ってみて、いまひとつインパクトに欠ける印象がしたからで、「森へ行きましょう」はアルペジオから強いストローク奏法へ、「おおブレネリ」はキーを2つ上げ、さらにサビを冒頭から無伴奏で歌い始める、という具合に工夫した。
 おおむねうまく運んだが、構成上当初のストローク奏法からアルペジオに変えた「アニー・ローリー」は、この日最も外した曲だったかもしれない。位置づけとしては完全に「捨て曲」である。

 初披露の「エーデルワイス」は予想以上に受けた。伴奏を極力控え目にし、ボーカルを前面に押し出したが、「おおブレネリ」の「動」から「静」への反転がうまく効いた。場の反応がよいので、ラストのフェルマータはかなり長く引っ張ることが出来た。この曲の世界観は私に向いている。いい曲に巡りあった。
 ラストの「草原の輝き」では、知り合いのグループホーム関係者を中心に、手拍子が起きる。このあたりはチカチカパフォーマンスでの反応と同じだ。状況によっては省くつもりでいたラストのリフレインも原曲通りに歌った。昭和歌謡強し。

 終了後に「アンコール!」の声を聞く。もしかすると関係者だったかもしれないが、それに値するステージだったと信じたい。「お約束」された場とは異なるこの種のイベントでアンコールが出るのは稀。(私は記憶にない)
 もしやと思って準備はしていたが、進行の都合で応えることは叶わなかった。しかし、私にとっては画期的なことだ。苦手にしていたお祭り系イベントだったが、この日でどうにか克服するヒントをつかんだように思える。またひとつ新しい世界に足を踏み込めた。


 

札幌より愛をこめて〜復興応援コンサート/2012.7.21



「ふるさとを歌う会」が主催する復興応援コンサートに出演。今回で通算4度目だが、私は初めて参加した5/5実施の第3回に続いての参加である。

 会場は前回の滝野すずらん公園とがらり雰囲気が変わって、北海道で唯一の4年制音楽系大学である札幌大谷学園百周年記念館。出演者の半数がクラシック系のプロということで、てっきり350名強が収容可能な記念ホールでやるものと決めこんでいたが、行ってみると1階にあるホワイエが会場となっていた。
 案内状の記載がやや曖昧で、迷った方が多数いたとか。さもありなん。

 10時25分に家を出て、50分に到着。今回は妻に休暇をとってもらい、サポート役を頼んだ。11時10分からリハ開始。機材一式は各自が用意とのことで、最も出力の大きい交流電源式のPAを準備した。

 5分で組立てが終わり、妻に客席に座ってもらって音のチェック。室内の自然反響が程よく、音響効果は一切ないタイプのPAだったが、メインボリュームを普段よりやや上げた程度で、あまり問題ない。
 出掛けにほとんど練習できなかったが、喉の調子はまずまず。機材は組み立てたまま壁際に移動し、昼食を求めて歩いて近所のスーパーに行く。

 予定より少し遅れて13時50分からライブ開始。クラシック系のコンサートということで、白いシャツに黒ズボン、濃いグレーのネクタイという、私にしては極めて珍しいスタイルで臨んだ。
 唯一の「私らしさ」は、頭に巻いたエンジのバンダナ。しかし、場所が結果としてオープンなロビーだったので、もっとラフなスタイルでも良かった気がする。

 セットリストもやはりクラシック系を意識し、「恋はやさし野辺の花よ」「雨が空から降れば」「熱き心に」の3曲とした。持ち時間が転換を含めて10分と短いので、選曲には頭を悩ませた。本来なら2曲に収めるべき持ち時間だが、クラシック→フォーク→昭和歌謡という流れと変化にはこだわった。
 短時間の一発勝負なのでさすがに冒険は避け、実績ある曲を並べた。

 少ない時間を有効に使い、同時に聴き手を素早くつかむべく、司会が自分の略歴を紹介する間、1曲目の前奏を小さく弾く。タイミングをはかりつつ、ギターを適当に引き続ける。
「では、お願いします」の声と同時に強く弾いて音量を増やし、そのままMCなしで歌に入る、という手法を使った。自主企画コンサートではたまにやるが、聴き手の気持ちを引きつけるには効果的である。

 1〜2曲目のつなぎにもMCは入れず、瞬時にカポを移動させ、メドレーのように続けて歌った。どちらもゆったりした曲調なので、違和感なく収まる。3曲目の前にごく短いMCを入れ、一転して強いストロークで歌った。
 時間としては4分を超えるラストの「熱き心に」が最長。総勢70名ほどの客席は終始静かで、非常に気持ちが入った。

 練習通り、ぴたり9分で歌い終える。ただちに次の演奏者にバトンタッチ。前半は鼻笛の互久楽さん、沖縄三線のずずさん、ピアニストの石本裕子さんと続く。バラエティに富んだ内容で、それぞれが熱演。予定通り15時に前半を終えた。

 20分休憩後に後半開始。オカリナの眞朝(MAASA)さん、ソプラノ歌手の清水紫さん(ピアノ伴奏、平岡健一さん)と続く。最後には出演者全員で「ふるさと」を歌い、ほぼ予定通りの16時10分にすべてのプログラムを終えた。

 出演の1〜3番目までがアマチュアで、4〜6番目がプロという構成。楽曲の多くがクラシック系で、最も外れていたのが私の歌った「熱き心に」だったかもしれない。しかし、そう違和感はなかったと妻から言われたので、よしとしたい。
 印象に残ったのは石本裕子さんの20分近い「ラプソディ・イン・ブルー」の演奏。楽譜も見ずにピアノ1台でこの名曲を力強く弾いていた。さらには清水紫さんが自ら作詞作曲した「安東の子守歌」。7分を超える力作だが、ノーマイクで切々と歌い上げ、感動の涙を誘った。この2曲を聴けただけでも今回のコンサートは充分に価値あるものだった。

 ボランティアとはいえ、プロとの共演は、やはり神経を使う。幸いだったのは、出番が緊張する暇もないトップであったこと。リハでは少し足が震えたが、本番では肝が座って大きなミスなくやり終えた。
 全てを見届けた妻の評価から考えても、オープニングアクトとしての役目は充分に果たせたと思う。