篠路コミセン・ロビーコンサート/2011.6.26
震災復興支援ロビーコンサートが、近隣の篠路コミュニティセンター(篠路コミセン)で実施された。ロビーコンサートの企画者がそもそも私であり、出演と音響ボランティアもかねている。重責であり、大きな失敗は許されない状況だった。
企画書を持ち込んで館長さんと直接交渉したのが昨年暮れのこと。それまである程度の実績を重ねてきたとはいえ、前例のないイベントを公的施設でやるのは、そう簡単なことではない。しかし、何事もアイデアと実行力である。これが残っている限り、まだまだ老けこまずに人生を歩いてゆける。
音響担当の集合は11時だったが、行ってみるとすでにロビー内には50席の椅子が整然と並べられている。椅子の配置には関知してないが、もっと自由な置き方をイメージしていたので、少し戸惑った。なるべく多くの席を確保しようとすると、こうなるのだろう。
2週間近く前に一度リハーサルはやっているので、あまり問題なく15分で設置は終了。その後、まずは私自身のリハーサルを始める。本番で歌う曲は避け、「雨が空から降れば」「夏の想い出」などを気ままに歌う。相変わらずナチュラルリバーブの効いた気持ちの良い空間である。
やり過ぎは禁物なので、適当なところで切り上げ、他の出演者の音響チェックと司会者との打ち合わせ、入替え時の手順などを細かく詰める。
司会進行はNHK札幌でキャスターを務める千葉真澄さんがボランティアで担当してくれる。いつもテレビで見かける方だが、地区センターでの司会などによく応じてくれたものと感心した。
予定通り13時半からイベントは始まったが、最初に登場した被災地支援グループ、「むすびば」の報告会とドラムパフォーマンスが予定より長引き、開演が30分遅れとなった。
この種の想定外はライブでは起こりがち。予定曲は省略せず、入替えを手早く進めて時間を詰めることになった。会場はほぼ満席。スタッフや出演者を加えると、全参加者は80名ほどか。
オカリナワンワンの演奏がまずあり、次が私の出番。入替え時間を使ってオカリナのリーダーがインタビューを受けていたが、ここで司会者のマイクの音が突然出なくなった。あわてる施設側担当のYさん。
司会者用のマイクは施設側の備品だったが、開始時に少しノイズが入るのが気になっていた。スタンバイはほぼ終わっていたが、急きょ私が持参した予備マイクを取りに、いったんステージを降りる。
Yさんと共に素早くマイクを交換。ダメージは最小限で済んだが、ノイズに気づいた際に交換しておけばと、少し悔やむ。
何事もなかったようにステージ開始。予期せぬことが起きるのがライブの宿命だが、そこがライブの醍醐味のひとつ。瞬時の判断で、それをいかにさばくかが、担当者の裁量である。
MCなしでいきなり「カントリー・ロード」から始め、2曲目の前に簡単な自己紹介する。その後、「赤い花白い花」「浜千鳥」「北の旅人(南こうせつ)」「野ばら(シューベルト)」「いい日旅立ち」と歌う。
冒険は避けたので無難にこなした。会場の音響のよさにも、かなり救われた印象だ。妻と職場の友人2人、ライブ酒場「Life」のマスターとママさんが多忙のなか応援に来ていただき、ありがたかった。
Lifeのマスターは「ラストの曲がよかった」との感想。ラストは特に想いをこめて歌い、ステージ上でも手応えを感じた。聴き手には届いていたと思う。
その後、リコーダーの笛部whoaboo、盛岡さんさ踊りの久住健二さん、女声コーラス藍と続く。その後、音響に関する問題は起きず、こちらもまずまずの出来だった。
特筆すべきはリコーダーの演奏で、非常によくまとまっていた。聴き手をビジュアル面でも楽しませる工夫があり、見ていて楽しい。アレンジも巧みで、ほとんど自分たちでやっているそうだ。
演奏後のインタビューで披露していたが、何と3年続けて全国大会出場。過去2年は全国金賞に輝いているそう。さすがだ。
聴きながら思わず「レベル高いなあ…」とつぶやいていたら、そばにいた館長さんが、「いやいや、菊地さんも負けていませんでしたよ」と慰めてくれた。
終了後、「ぜひ私たちの集まりでも歌って」と、2つの組織から声をかけていただいた。いずれも町内会系の組織で、地域の中高年者が対象。ありがたいことだ。
さらには「"北の旅人"を聴いて自然に涙が流れた。感動した」と、見知らぬ同年代の男性から言われた。「北の旅人」はあちこちで歌っているが、この曲で泣かれたのはたぶん初めてだ。全体を通して「聴き手の心に寄り添う」という気持ちを徹底させた成果だと思う。
そのほか、先の笛部さんのスタッフの方(これが施設担当のYさん)からは、「今度コラボ演奏をやりませんか」と声をかけていただいた。レパートリーに大きな隔たりがなく、ボランティア演奏も多数やっているらしい。
絵本読み聞かせとのコラボなど、新しいものへの挑戦もしているようで、その一環としてご一緒できるなら、うれしい限りである。
終了後、館長さんと担当のYさんから何度もお礼を言われる。トラブルもどうにか乗り切り、発案者として最低限の責任は果たせたと思う。
雑談のなかで、はやくも次回の話が出た。「半年おきくらいに」と提案しておいたので、その通りだと次回はクリスマス前の12月ころか。開始時間を少し遅らせ、キャンドルかイルミネーションの中で歌えたら楽しそうだ。夢はつながってゆく。