Soccer Coaching/Ver.2  ドリブル編

 なぜか大人にも大好評のこのコーナー。今回はドリブルとそれ以前の基本動作ともいえるボールタッチについて書いてみます。



ボールタッチ



 この練習は割合ポピュラーなので、あまり説明する必要がないかもしれません。地面にあるボール感覚が磨かれ、片足だちのバランス感覚や腹筋も鍛えられます。一人一個のボールが必要なことが難点ですが、かなり狭い場所でも練習出来る利点があります。

●ボールを地面に置き、軽くジャンプしながら片足で交互にすばやくタッチ。
●原則として決めた回数を休まずに連続でやらせる。
●触れる部分は必ずボールの頂点。初心者や熟練者でも「慣れ」が出てくるとここが徹底されなくなり、「ボールの高さ感覚を足で知る」という大切なねらいが損なわれてしまうので注意。

 私のチームでは、途中にフリードリブルをはさんで30回ずつ2度、計60回やらせていました。ポイントはだらだら数だけやらずに、リズミカルに素早くやることでしょうか?
 以前、マラドーナやラモスがこれをやっているのをテレビで見ました。たとえ大選手といえども、基本練習は少しも変らないのだ、と知ってちょっと感動しました。速い動作でやると汗ばむほどで、アップも兼ねるとても重宝なトレーニングだと思います。



シザーズ



 シザーズscissorsは「はさみ」という意味で、文字通り両足の間にボールを置き、はさみのように交互にインサイドとつまさきで連続タッチします。

 ボールタッチと同じで、この練習も場所を選びません。インサイドでボールを扱う感覚を養うにはもってこいの練習でしょう。私のチームでは、ボールタッチとセットで30回ずつ2度(計60回)やらせていました。



フリードリブル



●10m四方くらいのスペースにコーンを置く。(人数によって大きさは変える)
●コーンの中で人にぶつからないように自由にドリブルさせる。
●コーチの笛の合図と同時に足の裏ですばやくボールをストップ。
●以上の動作を何度か繰り返す。笛を吹く間隔はランダムに。


 私のチームでは上に書いたボールタッチとシザーズの練習の間にはさんでやっていました。合図は笛のほかに、「回りを見ながらドリブルする」(超重要!)という感覚を養うため、「コーチが片手をあげたらストップする」というルールを適宜混ぜていました。
 同じスペースで「ドリブルしながら、隙を見て他人のボールを枠の外に蹴り出し、出された人は外に出る」という生き残りゲームもたまにやっていました。(通称「蹴りだしゲーム」)子供たちに大人気のメニューでしたが、やはりサッカーのうまい子が最後まで残ってしまいます。



コーンドリブル



●5m間隔くらいで4個ずつ2列にコーンを置く。(合計8個)
●2列のコーンの端にそれぞれ子供を並ばせる。(2グループ)
●合図でグループの先頭が同時にスタート。4個目のコーンを回ったら方向を変え、隣のコーンの列に移動。
●前の人が4個目のコーンを回ったら(方向を変えたら)次の人がスタート。
●コーンと向かってくる相手グループの選手の両方にぶつからないよう、すべてのコーンを回る。
●終わった人は反対側のグループの後ろに並ぶ。


 単純に直列に8個並べてもいいのですが、練習場所が狭いので苦肉の策で考え出した「4個並列コーン」です。その結果「相手にぶつからないよう回りを見てドリブルする」という別の効果が得られました。
 コーンの並べ変えや片付けが面倒なので、(とにかく時間と人手がありません)前回書いた「コーンタッチ」の練習の前後にいっしょにやっていました。



横ドリブル



●30mくらいの直線距離がとれる場所に子供を一列に並べる。
●合図で先頭の子がスタート。右足の裏を使い、うしろから前に「こすりおろす」感じでボールを前に運ぶ。ボールは常に自分の右横にあることになります。
●あらかじめ決めておいたゴール(目印)に着いたら、帰りは前述の「シザーズ」でボールを運びながら戻ってくる。(シザーズドリブル)
●2順目は同じことを左足でやる。

 ボールを敵からスクリーンしてキープする動作に、この「横ドリブル」の練習は欠かせません。戻りのドリブルはシザーズの応用版ですが、「シザーズフェイント」の基本練習にもなっています。

 次回はドリブルとも密接に関係があるターンのいろいろについて語る予定です。